説明

電気接続構造、画像形成装置

【課題】弾性を有する電気接点部を弾性変形させた状態で導電部材に押し付けて電気接点部と導電部材とを電気接続する電気接続構造において、電気接点部を導電部材に容易に取り付けられるようにした電気接続構造を提供する。
【解決手段】保持部材120に弾性を有する電気接点部112aを弾性変形可能に保持し、電気接点部112aを回転軸114に押し付けて弾性変形させるように保持部材120を回転させ、次いで保持部材120をさらに第1ボス132に挿入し、その位置で保持部材120の弾性反力による移動を第2ボス134によって規制するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続構造及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プロセスカートリッジ7の結合方法において、まずクリーナユニット50に帯電装置2への給電用電極板56を取り付け、その後現像ユニット46をクリーナユニットにはめ合わせてこれらを結合ピン49で結合することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−316357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弾性を有する電気接点部を弾性変形させた状態で導電部材に押し付けて電気接点部と導電部材とを電気接続する電気接続構造において、電気接点部を導電部材に容易に取り付けられるようにした電気接続構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1の電気接続構造は、弾性を有する電気接点部を備えた給電端子を弾性変形可能に保持する保持部材と、前記電気接点部が導電部材の定められた接触位置に至るように、前記電気接点部を導電部材に押し付けて弾性変形させる第1方向と該第1方向に直交する第2方向とに前記保持部材を案内可能な案内部材と、前記案内部材によって前記電気接点部が前記接触位置に至るように案内された前記保持部材に接触し、前記保持部材に作用する弾性反力によって前記保持部材が前記第1方向とは逆方向へ移動することを規制する規制部材と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2の電気接続構造は、請求項1記載の電気接続構造において、前記案内部材は、前記保持部材に形成される円形孔に対して摺動可能に嵌り込む円柱状を呈することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3の画像形成装置は、画像の形成に供されるトナーを吸着させるために帯電される被帯電部材と、前記被帯電部材の帯電に供される電力を供給可能な電力供給部材と、前記被帯電部材に設けられる前記導電部材と前記電力供給部材とを電気的に接続するための請求項1または請求項2記載の電気接続構造と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の電気接続構造によれば、弾性を有する電気接点部を弾性変形させた状態で導電部材に押し付けて電気接点部と導電部材とを電気接続する電気接続構造において、案内部材によって電気接点部が導電部材の接触位置に至るように案内された保持部材の移動を規制部材で規制しないものに比べ、電気接点部を導電部材に容易に取り付けることができる。
【0009】
本発明の請求項2に記載の電気接続構造によれば、案内部材を円柱状としない場合に比べ、簡易な構成で保持部材を第1方向と第2方向に案内することができる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の画像形成装置によれば、請求項1または請求項2記載の電気接続構造を備えない場合に比べ、装置の組み立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る感光体周辺の構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係るプロセスカートリッジの構成を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係る電気接続構造であって、電気接点部をブラシロールの回転軸に組み付ける際の態様を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る電気接続構造であって、電気接点部をブラシロールの回転軸に組み付ける際の態様を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係る電気接続構造であって、電気接点部をブラシロールの回転軸に組み付ける際の態様を示す斜視図である。
【図7】本実施形態に係る電気接続構造であって、図5中の矢印7の方向から見た場合の電気接点部をブラシロールの回転軸に組み付ける際の態様を示す側面図である。
【図8】本実施形態に係る電気接続構造であって、図6中の矢印8の方向から見た場合の電気接点部をブラシロールの回転軸に組み付ける際の態様を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0013】
(画像形成装置の基本構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0014】
画像形成装置10は、記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向を矢印V方向、水平方向を矢印H方向と記載する。
【0015】
用紙収容部12は、サイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられている。搬送路28における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が設けられている。また、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0016】
搬送路28の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印V方向に向けて用紙収容部12の左側から画像形成部14の左側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路28の下流側部分は、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。さらに、搬送路28には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0017】
両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側まで矢印V方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送された記録用紙Pの後端が進入するとともに矢印H方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には一対の搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には一対の搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0018】
第1切替部材31は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。なお、搬送部37の下流側端部は、搬送路28の上流側部分にある搬送ロール36の手前側に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38へ記録用紙Pを搬送可能とされている。
【0019】
原稿読取部16は、読取原稿Gを1枚ずつ搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール53が複数配置された搬送路55を有しており、搬送路55の一部は記録用紙Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は矢印H方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0020】
一方、画像形成部14には、装置本体10Aの中央部に円筒状の感光体62が設けられている。感光体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図1における時計回り方向)に回転すると共に光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体62の上方で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、感光体62の表面を帯電するコロトロン方式の帯電装置64が設けられている。
【0021】
感光体62の回転方向における帯電装置64よりも下流側で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、帯電装置64により帯電した感光体62の外周面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。
【0022】
感光体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、感光体62の外周面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる回転切り替え式の現像装置70が設けられている。なお、現像装置70の具体的な構成については後述する。
【0023】
感光体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり且つ感光体62の下側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト68が設けられている。中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図2における反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0024】
また、中間転写ベルト68を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、感光体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体62との電位差で感光体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0025】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像を記録用紙Pに二次転写させる二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で中間転写ベルト68のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
【0026】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを回収する現像剤回収装置の一例としてのクリーニング装置100が設けられている。クリーニング装置100では、クリーニングブレード106が中間転写ベルト68に接触してトナーを掻き取るようになっている。このクリーニング装置100のクリーニングブレード106及び二次転写ロール71は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写され且つ記録用紙P上に二次転写されるまで、中間転写ベルト68の外周面から離れるようになっている。
【0027】
さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0028】
感光体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに感光体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。クリーニング装置73は、感光体62表面に接触するクリーニングブレード73A及びブラシロール73Bにより残留トナー等を回収する構成となっている。回収された残留トナー等は、内部にオーガを備えるトナー送出装置73Cによってクリーニング装置73の外部に送り出される。また、感光体62の回転方向でクリーニング装置73の上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、感光体62の外周面に光を照射して除電を行う除電装置81が設けられている。除電装置81は、クリーニング装置73による残留トナー等の回収前に感光体62の外周面に光を照射して除電することで静電気による付着力を低減し、残留トナー等の回収率を高めるためのものである。なお、クリーニング装置73の下流側で且つ帯電装置64の上流側に、残留トナー等の回収後の除電手段を設けてもよい。
【0029】
図1に示すように、二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、前述の搬送路28の途中に設定されており、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。定着装置80は、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0030】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。
【0031】
なお、第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。
【0032】
なお、画像形成装置10には、装置本体10Aに対して開閉される開閉部10Bが、画像形成部14の右側面に設けられている。
【0033】
(現像装置の構成)
次に、現像装置70の具体的な構成について説明する。
【0034】
現像装置70は、図2に示すように、装置本体10A(図1参照)に対して回転可能に支持された回転体86を備えている。回転体86は、その回転軸方向に沿って延びる回転軸部材86Aと、回転軸部材86Aの軸方向両端部にそれぞれ設けられ回転軸部材86Aの半径方向外側へ鍔状に張り出した鍔状部材86Bと、を備えて構成されている。
【0035】
2つの鍔状部材86Bの間の空間には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、回転軸部材86Aの周方向に(図2における反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されている。
【0036】
現像装置70では、図2に示すように、回転手段としてのモータ(図示省略)によって回転体86が中心角で60°ずつ矢印+R方向に回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、感光体62の外周面と対向するようになっている。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0037】
現像器72Yは、本体となるケース部材76を有しており、ケース部材76内にトナーカートリッジ78Y(図1参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。また、ケース部材76には、感光体62の外周面と対向して矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、外周面が感光体62の外周面と対向する現像ロール74が設けられている。現像ロール74は、ケース部材76に回転可能に支持されている。さらに、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像ロール74により搬送される現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
【0038】
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bと、で構成されている。現像ロール74では、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されると共に、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの外周面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの外周面の現像剤層は、感光体62に対向する位置に搬送され、感光体62の外周面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行う。
【0039】
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送ローラ77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送ローラ77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が感光体62の外周面と対向するようになっている。
【0040】
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
【0041】
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図2参照)が感光体62の外周面と対向するように回転し保持されている。
【0042】
続いて、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電装置64により帯電された感光体62の外周面(表面)を露光し、感光体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、感光体62の表面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、感光体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0043】
続いて、図1に示すように、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが感光体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、感光体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、及び第2特別色(F)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。
【0044】
一方、用紙収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。
【0045】
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、一例として、排紙部15に排出される。なお、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、記録用紙Pは、反転部33に送り込まれて反転し、二次転写位置に搬送される。そして、この記録用紙Pの裏面に対して、画像形成及び定着が行われる。
【0046】
(電気接続構造)
次に、本実施形態に係る電気接続構造について説明する。
【0047】
図3に示すように、感光体62と帯電装置64とクリーニング装置73は一体化されたプロセスカートリッジ110として画像形成部14に対して着脱可能に構成されている。
【0048】
クリーニング装置73は、プロセスカートリッジ110が画像形成部14に装着されたときに画像形成部14側から電力の供給を受けるための電力供給部材の一例としての給電端子112を備えている。給電端子112から供給された電力は、被帯電部材の一例としてのブラシロール73Bに供給される。ブラシロール73Bは供給される電力で帯電され、感光体62表面の残留トナー等を吸着する。具体的には、ブラシロール73Bは、感光体62に隣接して配置されて感光体62の回転に伴って従動回転され、感光体62とブラシロール73Bの接触部位において感光体62表面の残留トナー等を順次吸着し、感光体62をクリーニングする。尚、ブラシロール73Bに吸着された残留トナー等は、ブラシロール73Bに接触するフリッカー部材(図示省略)によって掻き落とされる。
【0049】
ブラシロール73Bの回転軸114は例えば鉄材などの導電部材からなり、給電端子112の電気接点部112aを回転軸114に押し付けるように接触させることで、給電端子112とブラシロール73Bが電気的に接続される。
【0050】
図4〜図8は、電気接点部112aをブラシロール73Bの回転軸114に組み付ける際の態様を示している。尚、図4〜図8においては、感光体62と帯電装置64と筐体カバー118(図3参照)を取り外した状態で示している。
【0051】
図4に示すように、電気接点部112aを備える給電端子112は保持部材120に設けられている。保持部材120は、無底円筒状を呈する本体部122と本体部122の外周面に設けられた鍔部124とを有する。給電端子112は本体部122の円筒内部126に収容されている。鍔部124の先端側にはネジ挿入用の挿入孔128が設けられている。
【0052】
電気接点部112aは、導電性を有する材料、例えば、鉄や銅などであって薄厚、狭幅、長尺の板金からなり、その基端側が保持部材120の本体部122に取り付けられ、先端側は本体部122から接線方向に突出させられている。従って、給電端子112の電気接点部112aに図中のX方向(接線方向と直交する方向)の外力を加えると電気接点部112aは湾曲するように弾性変形する。即ち、電気接点部112aは板バネとしての機能を有するように弾性変形可能に保持部材120に保持されている。
【0053】
尚、電気接点部112aの先端側は長手方向に沿って溝112bが形成されている。
【0054】
プロセスカートリッジ110の筐体130には、案内部材の一例としての第1ボス132が形成されている。第1ボス132は、円柱状を呈し、筐体130から垂直に立設されている。また、図4紙面上において第1ボス132の左上には、規制部材の一例としての第2ボス134が立設されている。第2ボス134は筐体130のリブ136に隣接して設けられている。第2ボス134の筐体130からの突出量はリブ136の筐体130からの突出量に比べ少なく、リブ136と第2ボス134との間にはリブ136の頂部と第2ボス134の頂部を結ぶ傾斜面138が設けられている。また、図4紙面上において第2ボス134の右上には、ネジ穴140が形成されている。
【0055】
第1ボス132は保持部材120の本体部122の円筒内部126に嵌め合わされ、保持部材の移動を案内するためのものである。尚、第1ボス132の外周面と円筒内部126の内周面との間には、保持部材120が第1ボス132に対して挿入方向に摺動可能であり、かつ、挿入後に保持部材120が第1ボス132の外周面に沿って摺動回転可能な程度のクリアランス(設計公差)が設けられている。
【0056】
電気接点部112aが保持されたこの保持部材120の取り付け順を説明すると、先ず、図5、図7に示すように、保持部材120の鍔部124がリブ136の頂部に突き当たる位置まで保持部材120を第1ボス132に嵌め込む。次いで、保持部材120を第1ボス132中心に第1方向の一例としての矢印A方向に回転させる。それにより、電気接点部112aはブラシロール73Bの回転軸114(正確には回転軸114に摺動可能に嵌め込まれているスリーブ)に押し付けられ、ブラシロール73Bの回転軸114から外力を受けて弾性変形することとなる。
【0057】
次いで、図6、図8に示すように、保持部材120を第1方向の一例としての矢印B方向に移動させるように保持部材120をさらに第1ボス132に押し込む。それにより、保持部材120の鍔部124が第2ボス134の側面に接触することとなる。
【0058】
ここで、電気接点部112aがバネ板の如く作用するため、保持部材120には弾性反力が作用するが、保持部材120の矢印A方向とは逆向きの移動は第2ボス134によって規制され、電気接点部112aがブラシロール73Bの回転軸114に押し付けられる状態が維持される。
【0059】
保持部材120が第2ボス134によって規制される位置に移動させられると、電気接点部112aもブラシロール73Bの回転軸114の定められた接触位置に移動することとなる。また、鍔部124の挿入孔128も筐体130に設けられたネジ穴140に対応した位置に移動することとなり、保持部材120は筐体130にネジ止め可能な位置に保持されることとなる。
【0060】
以上の如く、電気接点部112aを弾性変形させてブラシロール73Bの回転軸114に押し付けるように組み付けるに際し、保持部材120に弾性を有する電気接点部112aを弾性変形可能に保持し、電気接点部112aを回転軸114に押し付けて弾性変形させるように保持部材120を回転させ、次いで保持部材120をさらに第1ボス132に挿入し、その位置で保持部材120の弾性反力による移動を第2ボス134によって規制するようにした。このような保持部材120の回転移動および挿入方向への移動は第1ボス132によって案内される。
【0061】
従って、弾性を有する電気接点部112aを弾性変形させた状態でブラシロール73Bの回転軸114に押し付けて電気接点部112aと回転軸114とを電気接続する電気接続構造において、電気接点部112aを回転軸114に容易に組み付けられる。
【0062】
また、リブ136と第2ボス134との間には、保持部材120を第1ボス132に対して回転させながら挿入させることを案内する傾斜面138が形成されるため、保持部材120の回転移動と挿入方向への移動を略同時に行え、電気接点部112aの組み付けがさらに容易とされている。
【0063】
また、電気接点部112aがブラシロール73Bの回転軸114に押し付けられる状態が維持されるように第2ボス134によって保持部材120の移動が規制され、保持部材120は筐体130にネジ止め可能な位置に保持されるため、組み付け作業者は保持部材120を支える必要がなく、保持部材120を筐体130にネジ止めする作業を片手で容易に行える。
【0064】
また、本実施形態では、一例として、ブラシロール73Bの回転軸114に適用される電気接続構造について説明したが、本電気接続構造は弾性変形可能な電気接点部で電気接続すべき対象部材全てに適用可能であり、例えば、中間転写ベルト68が懸架される搬送ロールをはじめとする各種搬送ロール、現像ロール74などに対しても適用可能である。
【0065】
また、保持部材120を筐体130にネジ止めするための挿入孔128とネジ穴140を設けたが、それらに代えて保持部材120のB方向とは反対の向きへの移動を防止する抜け止めフックを設けてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、一例として、Y、M、C、K、E、Fの6色で画像形成を行う場合について説明したが、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行ってもよいし、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0067】
また、本実施形態では、現像装置70は、60°分割で6色の現像器を有する構成であったが、例えば、90°分割で4色の現像器を有する現像装置であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 画像形成装置
73 クリーニング装置
73B ブラシロール(被帯電部材の一例)
110 プロセスカートリッジ
112 給電端子(電力供給部材の一例)
112a 電気接点部
114 回転軸(導電部材の一例)
120 保持部材
122 本体部
124 鍔部
132 第1ボス(案内部材の一例)
134 第2ボス(規制部材の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する電気接点部を備えた給電端子を弾性変形可能に保持する保持部材と、
前記電気接点部が導電部材の定められた接触位置に至るように、前記電気接点部を導電部材に押し付けて弾性変形させる第1方向と該第1方向に直交する第2方向とに前記保持部材を案内可能な案内部材と、
前記案内部材によって前記電気接点部が前記接触位置に至るように案内された前記保持部材に接触し、前記保持部材に作用する弾性反力によって前記保持部材が前記第1方向とは逆方向へ移動することを規制する規制部材と、
を備える電気接続構造。
【請求項2】
前記案内部材は、前記保持部材に形成される円形孔に対して摺動可能に嵌り込む円柱状を呈する請求項1記載の電気接続構造。
【請求項3】
画像の形成に供されるトナーを吸着させるために帯電される被帯電部材と、
前記被帯電部材の帯電に供される電力を供給可能な電力供給部材と、
前記被帯電部材に設けられる前記導電部材と前記電力供給部材とを電気的に接続するための請求項1または請求項2記載の電気接続構造と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−103406(P2012−103406A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250733(P2010−250733)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】