説明

電気接続箱内における電線の配索構造

【課題】高価な防水コネクタを使用しないでも、電線接続対象部への水の浸入を防止することのできる電気接続箱内における電線の配索構造を提供すること。
【解決手段】電気接続箱の側壁1Cに、該電気接続箱の外部から内部に電線10、20を引き込む電線引込口3が開口され、該電線引込口から電気接続箱の内部に引き込まれた電線10、20が、電線引込口と対向する部品の電線接続対象部H1、H2に向けて配索された電気接続箱内における電線の配索構造において、電線引込口から電線接続対象部までの間の電気接続箱内の空間に、電線引込口から引き込んだ電線を、最短経路を外れて電線接続対象部まで下側および上側に迂回して導く下側および上側迂回経路Y1、Y2が設けられ、それら迂回経路の途中に、電線引込口から電線接続対象部へ向かう経路方向において電線10、20が下から上へ向けて立ち上がる電線立ち上がり部10C、20Aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱内における電線の配索構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気接続箱の内部に外部から電線を引き込む場合、通常は、電気接続箱の壁に設けた貫通孔にグロメットを装着し、グロメットに貫通させる形で電線を引き込んでいる。これは、特許文献1に記載されるように、車体パネルの貫通孔にグロメットを装着し、グロメットに挿通させてワイヤーハーネスを車内に引き込む場合と同じである。このようにすることで、グロメットによって電気接続箱内に、電線を伝って雨水等が入らないようにすることができる。
【0003】
しかし、実際の環境で使用してみると、たとえグロメットを設けてあっても、電線と電線の隙間を通って毛細管現象により雨水等が電気接続箱の内部に浸入することがある。
【0004】
図3は従来のトラック等の大型車両に搭載される電気接続箱の内部構成を示している。本図は手前のカバーを外した状態を示している。電気接続箱は、そのカバーと電気接続箱本体1とからなるものであり、電気接続箱本体1は、底壁1Aと、天壁1Bと、左側の側壁1Cと、右側の側壁1Dと、奥側の側壁1Eと、を有している。尚、底壁1Aには図示略のドレン孔が開いている。
【0005】
電気接続箱本体1の内部には、右側に片寄せてヒューズ・リレーボックス(電気接続箱内収容部品)2が収容され、そのヒューズ・リレーボックス2の左側の側面の中段の高さに電線接続対象部H1、H2が設けられ、各電線接続対象部H1、H2には短い電線30、40が繋がっている。
【0006】
また、左側の側壁1Cの中段の高さには、電気接続箱の外部から内部へ電線を引き込むための電線引込口3が設けられ、その電線引込口3に装着されたグロメット4に挿通させて、外部から2対の電線10、20が内部に引き込まれている。そして、それら内部に引き込まれた電線10、20は、最短距離で防水コネクタ170を介して、前述の電線接続対象部H1、H2に繋がった短い電線30、40と接続されている。従って、電線引込口3から電線接続対象部H1、H2まで、電線10、20はほぼ水平に配索されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−112911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、ほぼ同じ高さに電線引込口3と電線接続対象部H1、H2があり、それらの間を電線10、20がほぼ水平に配索されているような場合、外部から引き込んだ電線10、20の隙間などを伝って雨水が電気接続箱の外部から内部に浸入してくると、そのまま電線接続対象部H1、H2に達するおそれがある。そのため、途中のコネクタに防水コネクタ170を採用している。しかし、通常のコネクタに比べて防水コネクタ170は高価であり、それだけコスト増加になるという問題があった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気接続箱内の電線の配索経路に工夫を加えることで、高価な防水コネクタを使用しないでも、電線接続対象部への水の浸入を防止することのできる電気接続箱内における電線の配索構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱内における電線の配索構造は、下記(1)〜(6)を特徴としている。
(1) 電気接続箱の側壁に該電気接続箱の外部から内部に電線を引き込む電線引込口が開口しており、該電線引込口から前記電気接続箱の内部に引き込まれた前記電線が、前記電線引込口と対向する電気接続箱内収容部品の電線接続対象部に向けて配索された、電気接続箱内における電線の配索構造であって、
前記電線引込口から前記電線接続対象部までの間の前記電気接続箱内の空間に、前記電線引込口から引き込まれた前記電線を、最短経路を外れて前記電線接続対象部まで迂回して導く迂回経路が設けられ、当該迂回経路の途中に、前記電線引込口から前記電線接続対象部へ向かう経路方向において前記電線が下から上へ向けて立ち上がる電線立ち上がり部が設けられていること。
(2) 上記(1)の構成の電線の配索構造において、
前記電気接続箱の内壁に、前記迂回経路に沿って配索された前記電線を保持する電線保持部が設けられていること。
(3) 上記(2)の構成の電線の配索構造において、
前記迂回経路に、前記電線立ち上がり部の他に、前記電線が水平方向に延びる水平移行部と、前記電線引込口から前記電線接続対象部へ向かう経路方向において前記電線が上から下へ向けて立ち下がる電線立ち下がり部とが設けられており、そして、前記水平移行部が前記電線保持部によって前記電気接続箱の天壁または底壁に保持されることによって、前記迂回経路に沿って前記電線が配索されていること。
(4) 上記(3)の構成の電線の配索構造において、
前記迂回経路として、前記電線を前記最短経路よりも上側に迂回させて前記電線引込口から前記電線接続対象部に導く上側迂回経路と、前記電線を前記最短経路よりも下側に迂回させて前記電線引込口から前記電線接続対象部に導く下側迂回経路と、が設けられており、
前記上側迂回経路では、前記電線引込口から前記電線接続対象部へ向かう経路方向において、前記電線立ち上がり部、前記水平移行部、および前記電線立ち下がり部が、この順に配置され、
前記下側迂回経路では、前記電線引込口から前記電線接続対象部へ向かう経路方向において、前記電線立ち下がり部、前記水平移行部、および前記電線立ち上がり部が、この順に配置され、
前記上側迂回経路の水平移行部が前記電線保持部によって前記電気接続箱の天壁に保持され、
前記下側迂回経路の水平移行部が前記電線保持部によって前記電気接続箱の底壁に保持されていること。
(5) 上記(4)の構成の電線の配索構造において、
前記上側迂回経路の電線立ち下がり部の下端から前記電線接続対象部までの間に水平配索部が設けられ、当該水平配索部の途中に、前記電線引込口から引き込んだ電線と前記電線接続対象部に繋がる電線とを相互に電気的に接続する第1コネクタが水平方向に向けて設けられ、
また、前記下側迂回経路の電線立ち上がり部の途中に、前記電線引込口から引き込んだ電線と前記電線接続対象部に繋がる電線とを相互に電気的に接続する第2コネクタが垂直方向に向けて設けられており、
前記第1コネクタおよび第2コネクタが、前記電気接続箱の内壁に設けたコネクタ保持部に着脱自在に係合されて固定されていること。
(6) 上記(1)の構成の電線の配索構造において、
前記電線立ち上がり部と前記電線接続対象部との間にコネクタが設けられていること。
【0011】
上記(1)の構成の電線の配索構造によれば、電気接続箱の側壁に設けた電線引込口から電線接続対象部までの電線を、最短経路に沿ってではなく、敢えて迂回経路に沿って配索し、その迂回経路の途中に、電線引込口から電線接続対象部へ向かう経路方向において電線が下から上へ向けて立ち上がる電線立ち上がり部を設けているので、その電線立ち上がり部により水の上昇を重力によって阻止することができる。従って、高価な防水コネクタを使用しないでも、電線接続対象部への水の浸入を有効に防止することができ、コストの低減を図ることができる。
上記(2)の構成の電線の配索構造によれば、迂回経路に沿って配索された電線を、電線保持部によって保持するので、最短経路をとらないために弛みをもちながら配索された電線の遊びやガタつきを防止することができる。また、車両の振動等によらず、電気接続箱内に引き込んだ電線を、迂回経路に沿った状態に留め置くことができるので、水の浸入防止効果を常に確実に果たすことができる。
上記(3)の構成の電線の配索構造によれば、迂回経路に、電線立ち上がり部と水平移行部と電線立ち下がり部とを設け、前記水平移行部を電線保持部で電気接続箱の天壁または底壁に保持するようにしているので、電気接続箱内の空間に電線をU字状または逆U字状の経路で簡素に且つ整然と配索することができる。
上記(4)の構成の電線の配索構造によれば、電気接続箱内に引き込んだ電線を上側迂回経路と下側迂回経路に分割して配索したので、上側迂回経路については、最初の電線立ち上がり部で、電線を伝ってくる水の浸入を確実に断ち切ることができ、むしろその水を下側迂回経路の方へ向かわせることができる。従って、電線接続対象部側への水の進行を確実に阻止することができる。
また、下側迂回経路については、最初の電線立ち下がり部で、電線を伝ってくる水を積極的に下方へ誘導することができるので、高い位置での水の滴下を防ぐことができ、浸入してきた水をスムーズに電気接続箱の内底部に誘導して、ドレン孔から排出させることができる。また、最後の電線立ち上がり部で、電線を伝ってくる水の浸入を確実に断ち切るので、電線接続対象部への進行を阻止することができる。
また、上側迂回経路の水平移行部を電気接続箱の天壁に保持させ、下側迂回経路の水平移行部を電気接続箱の底壁に保持させたので、車両の振動に伴う電線の揺れ動きを阻止することができ、ガタ付きや異音発生を防ぐことができる。
上記(5)の構成の電線の配索構造によれば、電気接続箱内での2つのコネクタの取り付け向きを違えたので、狭い電気接続箱内での作業スペースが確保しやすくなる。
上記(6)の構成の電線の配索構造によれば、電気接続箱内でコネクタ接続が必要な場合、安価な非防水のコネクタを使用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電線引込口から電線接続対象部までの経路に電線立ち上がり部を設けているので、高価な防水コネクタを使用しないでも、電線接続対象部への水の浸入を有効に防止することができ、コストの低減を図ることができる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は実施形態の電線の配索構造を含む電気接続箱の内部構成を示す図であり、手前のカバーを外した状態を示す正面図、そして図2はその一部の構成を示す斜視図である。
【0016】
この電気接続箱は、図示しないカバーと電気接続箱本体1とからなるものであり、電気接続箱本体1は、底壁1Aと、天壁1Bと、左側の側壁1Cと、右側の側壁1Dと、奥側の側壁1Eと、を有している。尚、底壁1Aには図示略のドレン孔が開いている。
【0017】
電気接続箱本体1の内部には、右側に片寄せてヒューズ・リレーボックス(電気接続箱内収容部品)2が収容され、そのヒューズ・リレーボックス2の左側の側面の中段より若干上の高さに電線接続対象部H1、H2が設けられ、電線接続対象部H1、H2には短い電線30、40が繋がっている。
【0018】
また、左側の側壁1Cの中段の高さには、電気接続箱の外部から内部へ電線を引き込むための電線引込口3が設けられ、その電線引込口3に装着されたグロメット4に挿通させて、外部から2対の電線10、20が電気接続箱内部に引き込まれている。
【0019】
そして、それら電気接続箱の内部に引き込まれた電線10、20は、下側迂回経路Y1と上側迂回経路Y2をそれぞれ経由して、防水コネクタではない通常のコネクタ(即ち、非防水のコネクタ)70を介して、前述の電線接続対象部H1、H2に繋がった短い電線30、40と接続されている。
【0020】
これら下側迂回経路Y1および上側迂回経路Y2は、電線引込口3から電線接続対象部H1、H2までの間の電気接続箱内の空間に確保されており、電線引込口3から引き込んだ電線10、20を、最短経路を外れて、電線接続対象部H1、H2まで、下側および上側にそれぞれ迂回させて導くものである。尚、最短経路とは、電線引込口3から電線接続対象部H1、H2までをほぼ直線で結ぶ経路である。
【0021】
下側迂回経路Y1には、電線引込口3から電線接続対象部H1へ向かう経路方向において電線10が上から下へ向けて立ち下がる電線立ち下がり部10Aと、電線10が水平方向に延びる水平移行部10Bと、電線引込口3から電線接続対象部H1へ向かう経路方向において電線10が下から上へ向けて立ち上がる電線立ち上がり部10Cとが、電線引込口3から電線接続対象部H1へ向けてこの順に設けられている。
【0022】
また、上側迂回経路Y2には、電線引込口3から電線接続対象部H2へ向かう経路方向において電線20が下から上へ向けて立ち上がる電線立ち上がり部20Aと、電線20が水平方向に延びる水平移行部20Bと、電線引込口3から電線接続対象部H2へ向かう経路方向において電線20が上から下へ向けて立ち下がる電線立ち下がり部20Cとが、電線引込口3から電線接続対象部H2へ向けてこの順に設けられている。
【0023】
そして、上側の電線20は、その水平移行部20Bが、電気接続箱本体1の天壁1Bの近傍に設けられた電線保持用突出片(電線保持部)50に係合されることで、逆U字状の上側迂回経路Y2に沿って保持され、下側の電線10は、その水平移行部10Bが、電気接続箱本体1の底壁1Aの近傍に設けられた電線保持用突出片(電線保持部)50に係合されることで、U字状の下側迂回経路に沿って保持されている。尚、上下の電線保持用突出片50は、電気接続箱本体1の奥側の側壁1Eから正面に向けて突出しており、正面から電線10、20の水平移行部10B、20Bを挿入することにより、電線10、20を底壁1Aと天壁1Bにそれぞれ止めることができるようになっている。
【0024】
また、上側迂回経路Y2の電線立ち下がり部20Cの下端から電線接続対象部H2までの間には、水平配索部20Dが設けられ、その水平配索部20Dの途中に、電線引込口3から引き込んだ電線20と電線接続対象部H2に繋がる電線40とを相互に電気的に接続する第1コネクタ70が水平方向に向けて配置されている。また、下側迂回経路Y1の電線立ち上がり部10Cの途中に、電線引込口3から引き込んだ電線10と電線接続対象部H1に繋がる電線30とを相互接続する第2コネクタ70が垂直方向に向けて配置されている。そして、これら第1および第2コネクタ70は、電気接続箱本体1の奥側の側壁1Eに設けたコネクタ保持用ブラケット(コネクタ保持部)80の係合孔81に各コネクタ70のクリップ71を着脱自在に係合することで、電気接続箱本体1の内部の所定位置に固定されている。
【0025】
以上の構成の電線の配索構造によれば、電気接続箱の側壁1Cに設けた電線引込口3から電線接続対象部H1、H2までの電線10、20を、最短経路に沿ってではなく、敢えて迂回経路Y1、Y2に沿って配索し、その迂回経路Y1、Y2の途中に、電線引込口3から電線接続対象部H1、H2へ向かう経路方向において電線が下から上へ向けて立ち上がる電線立ち上がり部10C、20Aを設けているので、それら電線立ち上がり部10C、20Aの存在により、矢印Fで示すように外部から電線を伝ってくる水の浸入を重力によって阻止することができる。従って、従来例のように高価な防水コネクタを使用しないでも、電線接続対象部H1、H2への水の浸入を有効に防止することができ、コストの低減を図ることができる。
【0026】
特に、本実施形態の電線の配索構造によれば、迂回経路Y1、Y2に沿って配索された電線10、20を、電線保持用突出片50によって保持しているので、最短経路をとらないために弛みをもちながら配索された電線10、20の遊びやガタつきを防止することができる。また、車両の振動等によらず、電気接続箱内に引き込んだ電線10、20を、迂回経路Y1、Y2に沿った状態に留め置くことができるので、水の浸入防止効果を常に確実に果たすことができる。
【0027】
また、各迂回経路Y1、Y2に、電線立ち上がり部10C、20Aと水平移行部10B、20Bと電線立ち下がり部10A、20Cとを設け、水平移行部10B、20Bを電線保持用突出片50で電気接続箱の天壁1Bまたは底壁1Aに保持するようにしているので、電気接続箱内の空間に電線10、20をU字状または逆U字状の経路で簡素に且つ整然と配索することができると共に、車両の振動に伴う電線10、20の揺れ動きを阻止することができて、ガタ付きや異音発生を防ぐことができる。
【0028】
また、電気接続箱内に引き込んだ電線10、20を上側迂回経路Y2と下側迂回経路Y1に分割して配索しているので、上側迂回経路Y2については、最初の電線立ち上がり部20Aで、電線20を伝ってくる水の浸入を確実に断ち切ることができ、むしろその水を下側迂回経路Y1の方へ向かわせることができる。従って、電線接続対象部H2側への水の進行を確実に阻止することができる。また、下側迂回経路Y1については、最初の電線立ち下がり部10Aで、電線10を伝ってくる水を積極的に下方へ誘導することができるので、高い位置での水の滴下を防ぐことができ、浸入してきた水をスムーズに電気接続箱の内底部に誘導して、ドレン孔から排出させることができる。また、最後の電線立ち上がり部10Cで、電線10を伝ってくる水の浸入を確実に断ち切るので、電線接続対象部H1への進行を阻止することができる。
【0029】
また、2つのコネクタ70,70の取り付け向きを違えているので、狭い電気接続箱内での作業スペースが確保しやすくなる。尚、本実施形態の電線の配索構造によれば、電線立ち上がり部10C,20Cと電線接続対象部H1,H2との間にコネクタ70,70が設けられているので、電気接続箱内でコネクタ接続が必要な場合、安価な非防水のコネクタを使用することができる。
【0030】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0031】
例えば、上記実施形態では、上側迂回経路Y2と下側迂回経路Y1の両方を設けているが、どちらか一方のみを設けてもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、下側迂回経路Y1の電線10の水平移行部10Bを、電線保持用突出片50で底壁1Aに保持固定しているが、電線10が自由状態で底壁1Aに達する遊び長さを有していれば、必ずしも電線保持用突出片50で底壁1Aに止めておかなくても、電線10が揺れ動くことはなく、その場合は、下側の電線保持用突出片50を省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態の電線の配索構造を含む電気接続箱の内部構成を示す図であり、手前のカバーを外した状態を示す正面図である。
【図2】図1の電気接続箱内における一部の構成を示す斜視図である。
【図3】従来のトラック等の大型車両に搭載される電気接続箱の内部構成を示し、手前のカバーを外した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1:電気接続箱本体
1A:底壁
1B:天壁
1C 側壁
2:ヒューズ・リレーボックス(電気接続箱内収容部品)
3:電線引込口
10:下側の電線
10A:電線立ち下がり部
10B:水平移行部
10C:電線立ち上がり部
20:上側の電線
20A:電線立ち上がり部
20B:水平移行部
20C:電線立ち下がり部
20D:水平配索部
50:電線保持用突出片(電線保持部)
70:コネクタ
Y1:下側迂回経路
Y2:上側迂回経路
H1,H2:電線接続対象部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続箱の側壁に該電気接続箱の外部から内部に電線を引き込む電線引込口が開口しており、該電線引込口から前記電気接続箱の内部に引き込まれた前記電線が、前記電線引込口と対向する電気接続箱内収容部品の電線接続対象部に向けて配索された、電気接続箱内における電線の配索構造であって、
前記電線引込口から前記電線接続対象部までの間の前記電気接続箱内の空間に、前記電線引込口から引き込まれた前記電線を、最短経路を外れて前記電線接続対象部まで迂回して導く迂回経路が設けられ、当該迂回経路の途中に、前記電線引込口から前記電線接続対象部へ向かう経路方向において前記電線が下から上へ向けて立ち上がる電線立ち上がり部が設けられていることを特徴とする電気接続箱内における電線の配索構造。
【請求項2】
前記電気接続箱の内壁に、前記迂回経路に沿って配索された前記電線を保持する電線保持部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載した電気接続箱内における電線の配索構造。
【請求項3】
前記迂回経路に、前記電線立ち上がり部の他に、前記電線が水平方向に延びる水平移行部と、前記電線引込口から前記電線接続対象部へ向かう経路方向において前記電線が上から下へ向けて立ち下がる電線立ち下がり部とが設けられており、そして、前記水平移行部が前記電線保持部によって前記電気接続箱の天壁または底壁に保持されることによって、前記迂回経路に沿って前記電線が配索されていることを特徴とする請求項2に記載した電気接続箱内における電線の配索構造。
【請求項4】
前記迂回経路として、前記電線を前記最短経路よりも上側に迂回させて前記電線引込口から前記電線接続対象部に導く上側迂回経路と、前記電線を前記最短経路よりも下側に迂回させて前記電線引込口から前記電線接続対象部に導く下側迂回経路と、が設けられており、
前記上側迂回経路では、前記電線引込口から前記電線接続対象部へ向かう経路方向において、前記電線立ち上がり部、前記水平移行部、および前記電線立ち下がり部が、この順に配置され、
前記下側迂回経路では、前記電線引込口から前記電線接続対象部へ向かう経路方向において、前記電線立ち下がり部、前記水平移行部、および前記電線立ち上がり部が、この順に配置され、
前記上側迂回経路の水平移行部が前記電線保持部によって前記電気接続箱の天壁に保持され、
前記下側迂回経路の水平移行部が前記電線保持部によって前記電気接続箱の底壁に保持されていることを特徴とする請求項3に記載した電気接続箱内における電線の配索構造。
【請求項5】
前記上側迂回経路の電線立ち下がり部の下端から前記電線接続対象部までの間に水平配索部が設けられ、当該水平配索部の途中に、前記電線引込口から引き込んだ電線と前記電線接続対象部に繋がる電線とを相互に電気的に接続する第1コネクタが水平方向に向けて設けられ、
また、前記下側迂回経路の電線立ち上がり部の途中に、前記電線引込口から引き込んだ電線と前記電線接続対象部に繋がる電線とを相互に電気的に接続する第2コネクタが垂直方向に向けて設けられており、
前記第1コネクタおよび第2コネクタが、前記電気接続箱の内壁に設けたコネクタ保持部に着脱自在に係合されて固定されていることを特徴とする請求項4に記載した電気接続箱内における電線の配索構造。
【請求項6】
前記電線立ち上がり部と前記電線接続対象部との間にコネクタが設けられていることを特徴とする請求項1に記載した電気接続箱内における電線の配索構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−194978(P2009−194978A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31479(P2008−31479)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】