説明

電気接続箱

【課題】本発明は、低背化されると共に防水性が維持された電気接続箱を提供する。
【解決手段】底壁16及び底壁16から立設される側壁17を備えるケース本体14と、ケース本体14の底壁16に重なるように収容される回路基板12と、側壁17の開口13縁部を底壁16側に切り欠いて形成された切欠部37に配設されると共に相手側部材と嵌合可能なコネクタハウジング28と、底壁16、側壁17、及びコネクタハウジング28により囲まれた空間内に、回路基板12を埋設した状態で充填された充填材36と、切欠部37とコネクタハウジング28の外周面との間に配されて切欠部37とコネクタハウジング28の外周面との間をシールするパッキン39と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内に回路基板を収容した電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気接続箱としては、特許文献1に記載のものが知られている。この電気接続箱は、底壁及び側壁を有するケース本体と、ケース本体の底壁に重なるように収容される回路基板と、回路基板を埋設した状態で前記ケース本体内に充填される充填材と、ケース本体の側壁の上縁に載置されると共に相手側部材と嵌合可能なコネクタハウジングとを備える。この電気接続箱は、例えば車両に搭載されて、ランプ、オーディオ機器等の車載電装品の通電又は断電を実行する。
【特許文献1】特開2005−80370公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、車両における収容スペースの狭小化のため、電気接続箱の低背化が求められている。このため、例えば、ケース本体の側壁の底壁からの高さ寸法を低くして、側壁の上縁に載置されたコネクタハウジングと底壁との間隔を小さくすることが考えられる。これにより電気接続箱の高さ寸法を全体として低背化することが期待される。
【0004】
しかし、側壁の高さ寸法を過度に低くすると、所定の高さにまで充填材を充填しようとしても、充填材が側壁とコネクタハウジングとの間から漏出してしまい、電気接続箱の防水性が低下することが懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、低背化されると共に防水性が維持された電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電気接続箱であって、底壁及び前記底壁から立設される側壁を備えるケース本体と、前記ケース本体の前記底壁に重なるように収容される回路基板と、前記側壁の開口縁部を前記底壁側に切り欠いて形成された切欠部に配設されると共に相手側部材と嵌合可能なコネクタハウジングと、前記底壁、前記側壁、及び前記コネクタハウジングにより囲まれた空間内に、前記回路基板を埋没した状態で充填された充填材と、前記切欠部と前記コネクタハウジングの外周面との間に配されて前記切欠部と前記コネクタハウジングの外周面との間をシールするシール部材と、を備える。
【0007】
本発明によれば、ケースの側壁に形成された切欠部内にコネクタハウジングを収容することにより、電気接続箱を低背化することができる。
【0008】
また、切欠部とコネクタハウジングとの間にはシール部材が介設されているから、充填材が漏出することを防止できる。これにより、電気接続箱の防水性を維持できる。
【0009】
本発明の実施態様としては、以下の構成が好ましい。
【0010】
前記シール部材はパッキンであり、前記パッキンは、前記切欠部、及び前記コネクタハウジングの外周面の少なくとも一方に形成された収容溝の内部に、前記収容溝の奥壁と密着して収容されると共に、前記切欠部、及び前記コネクタハウジングの外周面の他方と密着してもよい。
【0011】
上記の構成によれば、パッキンを、切欠部及びコネクタハウジングの外周面の一方に形成された収容溝内に、その奥壁と密着して収容し、このパッキンと、切欠部及びコネクタハウジングの外周面の他方とを密着させることで、切欠部とコネクタハウジングの外周面との間をシールできる。これにより、例えばシール部材として接着剤を用いた場合に比べて、接着剤の硬化時間等が不要となるので、作業効率を向上させることができる。
【0012】
前記収容溝は、前記切欠部と、前記コネクタハウジングの外周面とが対向する領域にのみ設けられており、前記パッキンは棒状をなしており、前記パッキンの長さ寸法は前記収容溝の内部に収容可能な大きさに設定されていてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、例えば、コネクタハウジングの外周面に、全周に亘ってパッキンを外嵌する場合に比べて、パッキンを小さくすることができる。この結果、コスト削減を図ることができる。
【0014】
前記収容溝は、前記コネクタハウジングの外周面に沿って前記収容溝の深さ方向に屈曲した形状をなしており、前記パッキンの端部は前記収容溝の奥壁に沿って前記収容溝の深さ方向に屈曲して収容されており、前記パッキンの端部が収容される領域の前記収容溝の深さ寸法は、前記パッキンの端部と異なる部分が収容される領域の前記収容溝の深さ寸法よりも深く設定されていてもよい。
【0015】
棒状に形成したパッキンを、コネクタハウジングの外周面に形成されると共に深さ方向に屈曲した形状の収容溝内に収容すると、パッキンの端部は、収容溝の奥壁に沿って、収容溝の深さ方向に屈曲した姿勢になる。すると、パッキンは、その弾性力により直線状に復帰変形しようとする。すなわち、コネクタハウジングの端部は、収容溝の奥壁から離間する方向に変形する。このとき、収容溝の深さ寸法が比較的浅い場合には、パッキンの端部が収容溝から外れることが懸念される。
【0016】
上記の構成によれば、収容溝のうち、パッキンの端部が収容される領域の深さ寸法を、パッキンの端部と異なる部分が収容される領域の深さ寸法よりも深く設定したから、パッキンの端部が収容溝から外れることを抑制できる。
【0017】
前記ケース本体には、前記側壁の開口縁部を塞ぐカバーが取り付けられており、前記カバーは、前記コネクタハウジングの外周面に、前記底壁と反対側から当接して、前記コネクタハウジングの外周面を前記切欠部側に押圧してもよい。
【0018】
上記の構成によれば、カバーにより、コネクタハウジングの外周面が切欠部側に押圧されるから、コネクタハウジングの外周面と切欠部との間を確実にシールすることができる。
【0019】
前記コネクタハウジングは、基部と、前記基部に設けられて前記相手側部材と嵌合可能なフード部と、前記基部に設けられた貫通孔内に貫通されて前記フード部内に配される端子金具とを備え、前記貫通孔は、前記充填材の上面よりも上方の位置に形成されていてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、充填材は貫通孔内に流入しないようになっている。この結果、充填材が貫通孔からフード部を経て電気接続箱の外部へ漏出することを防止するために、例えば貫通孔に防水性の接着剤等を塗布する等の工程を省略できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電気接続箱を低背化することができると共に、電気接続箱の防水性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を車両用の電気接続箱10に適用した一実施形態について、図1ないし図8を参照して説明する。このものは、バッテリー等の電源(図示せず)と、ヘッドランプ、ワイパー等の車載電装品(図示せず)との間に接続されて、各種車載電装品の通電及び断電を行う。図3に示すように、電気接続箱10は、扁平なケーシング11内に回路基板12を収容してなる。このケーシング11は、開口13を有する合成樹脂製のケース本体14と、ケース本体14の開口13を塞ぐ合成樹脂製のカバー15とを備える。
【0023】
ケース本体14は浅い容器状をなし、底壁16と、この底壁16から立設される側壁17を有する。
【0024】
カバー15は、ケース本体14の側壁17の外側面に設けられた複数のロック部18(図8参照)と、カバー15のうちロック部18と対応する位置に設けられた複数のロック受け部19(図2参照)とが弾性的に係合することで、ケース本体14に取付けられる。
【0025】
ケース本体14の底壁16には、図3における上方に突出して、回路基板12を下方から支持する支持ボス20が設けられている。
【0026】
ケース本体14の側壁17のうち、図3における左側壁17Aには、図3において左方に開口13するヒューズ装着部21が形成されている。このヒューズ装着部21内にはヒューズ22が装着可能になっている。
【0027】
回路基板12は、図3における支持ボス20の上面に載置されて、ケース本体14の底壁16と隙間を空けて、底壁16に重なるように配される。回路基板12とケース本体14とは、ボルト23を支持ボス20に螺合してネジ止めされる。回路基板12にはプリント配線技術により図示しない導電路が形成されている。回路基板12としては、例えば、導電路が形成された絶縁基板を積層してなる厚膜基板を用いてもよい。導電路には、リレー24や、半導体リレー25のリード端子26が、例えばはんだ付けにより、電気的に接続されている。
【0028】
回路基板12には、図2における左端寄りの位置に、ヒューズ端子27が配設されている。ヒューズ端子27は、図2における紙面を貫通する方向に複数並んで配設されている。ヒューズ端子27は金属板材をプレス加工してなる。ヒューズ端子27の一方の端部は、回路基板12に形成されたスルーホール34(図示せず)に挿通されて、はんだ付けにより、導電路と電気的に接続される。
【0029】
ヒューズ端子27の他方の端部は、図3における左方に延びて形成されて、ケース本体14に形成されたヒューズ装着部21内に配設されている。このヒューズ装着部21内にヒューズ22が挿入され、ヒューズ22とヒューズ端子27とが電気的に接続される。
【0030】
図3における回路基板12の右端寄りの位置には合成樹脂製のコネクタハウジング28が配設されている。本実施形態においては、コネクタハウジング28は回路基板12に接続される基板用コネクタとされる。コネクタハウジング28は、基部29と、この基部29から図1における右方に開口して、図示しない相手側コネクタ(相手側部材の一例)と嵌合可能なフード部30と、基部29を図2における左右方向に貫通して、フード部30内に突出する端子金具31とを備える。
【0031】
図6に示すように、コネクタハウジング28には、回路基板12の下面側から回路基板12を貫通するボルト23が螺合されるボルト受け部32が設けられている。このボルト受け部32にボルト23が螺合されることで、コネクタハウジング28は回路基板12に固定される。
【0032】
フード部30は、図3における右方に開口して形成されている。相手側コネクタは、図3における左右方向から、フード部30内に嵌着可能になっている。
【0033】
図3に示すように、基部29には図中、左右方向に貫通する貫通孔33が形成されている。端子金具31は貫通孔33内に貫通されている。端子金具31のうち基部29から図3における左方に突出した部分は、下方に略直角曲げされて、回路基板12に形成されたスルーホール34内に挿通され、例えばはんだ付けされることにより、回路基板12の導電路と電気的に接続される。端子金具31は、図6における上下2段に並んで配設されると共に、左右方向に複数並んで配設されている。
【0034】
ケース本体14の底壁16には、端子金具31に対応する位置に、図3における下方に陥没して、端子金具31の先端から逃げる逃げ凹部35が形成されている。
【0035】
図3において二点鎖線で示すように、ケース本体14の底壁16と、側壁17と、コネクタハウジング28とに囲まれた空間には、充填材36が充填されている。充填材36は、例えばエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等を用いることができる。この充填材36は、ケース本体14に充填する際には液状をなし、ケース本体14の底壁16から所定の高さにまで充填した後、固化するようになっている。
【0036】
充填材36は、ケース本体14の逃げ凹部35内、及び、回路基板12とケース本体14の底壁16との間に形成された隙間内に充填されている。また、回路基板12は充填材36により埋没されている。さらに、充填材36は、リレー24や半導体リレー25のリード端子26を覆う高さまで充填されている。これにより、充填材36は、回路基板12の導電路と、リレー24や半導体リレー25のリード端子26との接続部分を覆うようになっている。また、基部29に形成された貫通孔33は、充填材36の上面よりも上方の位置に形成されている。
【0037】
ケース本体14の側壁17のうち、図3における右側壁17Bには、上述したコネクタハウジング28が取り付けられており、取り付け壁17Bとされる。図4に示すように、取り付け壁17Bには、取り付け壁17Bの開口縁部を図4における下方(底壁16側)に切り欠いて、切欠部37が形成されている。この切欠部37内に、コネクタハウジング28が配設される。切欠部37の開口部は、コネクタハウジング28を案内するために面取りがなされている。また、切欠部37の側縁と下縁との間に位置する2ヶ所の隅部38は、弧状に形成されている。
【0038】
図3に示すように、コネクタハウジング28と切欠部37とは、両部材の間にパッキン39(シール部材に相当する)が配された状態で配設されている。パッキン39は、独立気泡を有する発泡ゴムからなる。独立気泡を有する発泡ゴムは、比較的、振動を吸収しやすいので、車両から電気接続箱10に振動が伝わっても、パッキン39により振動を吸収できる。これにより、コネクタハウジング28に配設された端子金具31と、回路基板12とのはんだ付け部分に過度の力が加わることを抑制できる。図6ないし図8に示すように、パッキン39は角棒状をなしており、断面が長方形をなす細長い形状をなしている。
【0039】
図6ないし図8に示すように、コネクタハウジング28の外周面には、コネクタハウジング28を切欠部37に取り付けた状態で、切欠部37と対向する領域に、外方に向けて突出すると共に切欠部37を覆う突出壁40が形成されている。具体的には、突出壁40は、図5及び図6におけるコネクタハウジング28の基部29の下面及び左右両側面からそれぞれ、下方及び左右両側方に突出して形成されている。この突出壁40に囲まれた領域の内側は、上述したパッキン39を収容する収容溝41とされる。収容溝41の断面形状は長方形状をなしている。また、パッキン39の長さ寸法は、収容溝41内に収容可能に設定されている。
【0040】
図3に示すように、パッキン39は、収容溝41の奥壁42に密着している。また、パッキン39は、切欠部37の端縁と密着している。これにより、コネクタハウジング28の外周面と切欠部37との間がシールされる。
【0041】
図3に示すように、カバー15がケース本体14に取付けられた状態において、カバー15の右端縁は、上方からコネクタハウジング28のフード部30の上面に上方(ケース本体14の底壁16と反対側)から当接している。これにより、カバー15は、コネクタハウジング28を上方から下方(切欠部37側)に押圧するようになっている。
【0042】
図5及び図6に示すように、パッキン39の左右両端部43,43は、収容溝41の奥壁42に沿って、図中における上方に屈曲した形状で、収容溝41内に収容される。
【0043】
図5に示すように、パッキン39の両端部43,43が収容される領域における収容溝41の深さ寸法D1は、パッキン39の両端部43,43と異なる部分が収容される領域の収容溝41の深さ寸法D2よりも、大きく設定されている。
【0044】
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。回路基板12の導電路に、リレー24及び半導体リレー25等の電子部品のリード端子26を、例えばはんだ付けにより実装する。また、回路基板12のスルーホールに、ヒューズ端子27の一方の端部を、例えばはんだ付けにより接続する。
【0045】
コネクタハウジング28の基部29に端子金具31を挿入する。基部29から、フード部30と反対側に突出する端部を折り曲げ加工する。図6の矢線に示すように、コネクタハウジング28の収容溝41内にパッキン39を収容する。
【0046】
端子金具31を回路基板12のスルーホール34内に挿通させる。続いて、回路基板12とコネクタハウジング28とを、ボルト23によりネジ止めする。その後、端子金具31と回路基板12のスルーホール34とを例えばはんだ付けにより接続する。
【0047】
ケース本体14を、底壁16が水平になる姿勢で載置する。底壁16の支持ボス20の上面に回路基板12を載置し、底壁16に重なるようにして回路基板12をケース本体14の内部に収容する。
【0048】
このとき、図5に示すように、ケース本体14の切欠部37がコネクタハウジング28の収容溝41内に嵌入されてパッキン39と下方から当接する姿勢で、回路基板12をケース本体14に配置する。続いて、回路基板12を、ケース本体14にボルト23によりネジ止めする。すると、切欠部37がパッキン39を下方から押圧することにより、パッキン39と切欠部37とが密着する。さらにパッキン39が弾性変形することでパッキン39と収容溝41の底壁16とが密着する。これにより、コネクタハウジング28とケース本体14との間がシールされる。
【0049】
ケース本体14の底壁16と、側壁17とで囲まれた空間内に、回路基板12の上方から液状の充填材36を注入する。回路基板12に実装された電子部品のリード端子26を覆う高さまで充填材36を注入した後、ケース本体14の姿勢を保持したまま放置し、充填材36を固化させる。
【0050】
その後、カバー15をケース本体14に取り付ける。これにより電気接続箱10が完成する。この電気接続箱10は、例えば、コネクタハウジング28のフード部30を下方に向けた姿勢で車両に取り付けられて使用される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、ケースの側壁17に形成された切欠部37内にコネクタハウジング28を収容することにより、例えばケースの側壁17の上縁にコネクタハウジング28を載置する場合に比べて、電気接続箱10を低背化することができる。
【0052】
さらに、切欠部37とコネクタハウジング28との間にはパッキン39が介設されているから、充填材36が漏出することを防止できる。これにより、電気接続箱10の防水性を維持できる。
【0053】
また、本実施形態のように棒状に形成したパッキン39を、コネクタハウジング28の外周面に形成されると共に深さ方向に屈曲した形状の収容溝41内に収容すると、パッキン39の端部は、収容溝41の底面に沿って、収容溝41の深さ方向に屈曲した姿勢になる。すると、パッキン39は、その弾性力により直線状に復帰変形しようとする。すなわち、コネクタハウジング28の端部は、収容溝41の底面から離間する方向に変位する。このとき、収容溝41の深さ寸法が比較的浅い場合には、パッキン39の端部が収容溝41から外れることが懸念される。
【0054】
本実施形態によれば、収容溝41のうち、パッキン39の端部が収容される領域の深さ寸法を、パッキン39の端部と異なる部分が収容される領域の深さ寸法よりも深く設定したから、パッキン39の端部が収容溝41から外れることを抑制できる。
【0055】
さらに、本実施形態によれば、カバー15により、コネクタハウジング28の外周面が切欠部37側に押圧されるから、コネクタハウジング28の外周面と切欠部37との間を確実にシールすることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、収容溝41は、切欠部37と、コネクタハウジング28の外周面とが対向する領域にのみ設けられており、パッキン39は棒状をなしており、パッキン39の長さ寸法は収容溝41の内部に収容可能な大きさに設定されている。これにより、例えば、コネクタハウジング28の外周面に、全周に亘ってパッキン39を外嵌する場合に比べて、パッキン39を小さくすることができる。この結果、コスト削減を図ることができる。
【0057】
そして、本実施形態によれば、パッキン39を、コネクタハウジング28の外周面に形成された収容溝41内に、その底壁16面と密着して収容し、このパッキン39と、切欠部37とを密着させることで、切欠部37とコネクタハウジング28の外周面との間をシールできる。これにより、例えばシール部材として接着剤を用いた場合に比べて、接着剤の硬化時間等が不要となるので、作業効率を向上させることができる。
【0058】
そして、本実施形態によれば、コネクタハウジング28の基部29に設けられた貫通孔33は、充填材36の上面よりも上方の位置に形成されている。これにより、充填材36は貫通孔33内に流入しないようになっている。この結果、充填材36が貫通孔33からフード部30を経て電気接続箱10の外部へ漏出することを防止するために、例えば貫通孔33に防水性の接着剤等を塗布する等の工程を省略できる。
【0059】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0060】
(1)本実施形態によれば、シール部材としてパッキン39を用いる構成としたが、これに限られず、例えばコネクタハウジング28の外周面と切欠部37との間に、耐水性を有する接着剤等を塗布することによってコネクタハウジング28の外周面と切欠部37との間をシールしてもよい。
(2)本実施形態によれば、パッキン39は棒状をなしていたが、これに限られず、環状をなして、コネクタハウジング28の外周面に外嵌される構成としてもよい。
(3)本実施形態によれば、パッキン39の端部43が収容される領域の収容溝41の深さ寸法D1は、パッキン39の端部43と異なる部分が収容される領域の収容溝41の深さ寸法D2よりも深く設定されていたが、これに限られず、例えば、収容溝41の内周面に突起を形成する等、パッキン39を仮止めすることでパッキン39が復帰変形することを規制するための構造を形成した場合には、収容溝41の深さ寸法は、一定に設定してもよい。
(4)本実施形態によれば、端子金具31はコネクタハウジング28の貫通孔33に貫通させる構成としたが、これに限られず、端子金具31を貫通孔33内に貫通させた状態で、貫通孔33のうちフード部30と反対側の開口13を、防水性の接着剤で封止する構成としてもよい。これにより、貫通孔33よりも上方の位置にまで充填材36を充填することができる。
(5)本実施形態においては、収容溝41は、コネクタハウジング28に形成される構成としたが、これに限られず、収容溝41を切欠部37側に設け、この収容溝41内にパッキン39を収容する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態に係る電気接続箱を示す平面図
【図2】電気接続箱を示す斜視図
【図3】図1におけるA−A線断面図
【図4】切欠部とコネクタハウジングとを取付ける前の状態を示す要部拡大斜視図
【図5】パッキンをコネクタハウジングに取付ける前の状態を示す要部拡大背面図
【図6】ケース本体にコネクタハウジングを取り付けた状態を示す正面図
【図7】ケース本体、回路基板、コネクタハウジング、及びパッキンを示す要部拡大分解側断面図
【図8】ケース本体、回路基板、コネクタハウジング、及びパッキンを示す要部拡大分解側面図
【符号の説明】
【0062】
10…電気接続箱
12…回路基板
14…ケース本体
15…カバー
16…底壁
17…側壁
28…コネクタハウジング
29…基部
30…フード部
31…端子金具
33…貫通孔
36…充填材
37…切欠部
39…パッキン(シール部材)
41…収容溝
42…奥壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及び前記底壁から立設される側壁を備えるケース本体と、前記ケース本体の前記底壁に重なるように収容される回路基板と、前記側壁の開口縁部を前記底壁側に切り欠いて形成された切欠部に配設されると共に相手側部材と嵌合可能なコネクタハウジングと、前記底壁、前記側壁、及び前記コネクタハウジングにより囲まれた空間内に、前記回路基板を埋没した状態で充填された充填材と、前記切欠部と前記コネクタハウジングの外周面との間に配されて前記切欠部と前記コネクタハウジングの外周面との間をシールするシール部材と、を備えた電気接続箱。
【請求項2】
前記シール部材はパッキンであり、前記パッキンは、前記切欠部、及び前記コネクタハウジングの外周面の少なくとも一方に形成された収容溝の内部に、前記収容溝の奥壁と密着して収容されると共に、前記切欠部、及び前記コネクタハウジングの外周面の他方と密着する請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記収容溝は、前記切欠部と、前記コネクタハウジングの外周面とが対向する領域にのみ設けられており、前記パッキンは棒状をなしており、前記パッキンの長さ寸法は前記収容溝の内部に収容可能な大きさに設定されている請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記収容溝は、前記コネクタハウジングの外周面に沿って前記収容溝の深さ方向に屈曲した形状をなしており、前記パッキンの端部は前記収容溝の奥壁に沿って前記収容溝の深さ方向に屈曲して収容されており、前記パッキンの端部が収容される領域の前記収容溝の深さ寸法は、前記パッキンの端部と異なる部分が収容される領域の前記収容溝の深さ寸法よりも深く設定されている請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記ケース本体には、前記側壁の開口縁部を塞ぐカバーが取り付けられており、前記カバーは、前記コネクタハウジングの外周面に、前記底壁と反対側から当接して、前記コネクタハウジングの外周面を前記切欠部側に押圧する請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記コネクタハウジングは、基部と、前記基部に設けられて前記相手側部材と嵌合可能なフード部と、前記基部に設けられた貫通孔内に貫通されて前記フード部内に配される端子金具とを備え、前記貫通孔は、前記充填材の上面よりも上方の位置に形成されている請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−118656(P2009−118656A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289739(P2007−289739)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】