説明

電気接続箱

【課題】複数の部品支持部材を取り付け可能な筐体を備える電気接続箱において、空間の利用効率を高めること。
【解決手段】電気接続箱1は、筐体2と、2つの部品支持部材3,4と、連結部構造5,6Aと、固定構造6C,6Dとを備える。2つの部品支持部材3,4は、電気部品32,42及びそれに対し電気的に接続された電線群33,43をその電線群33,43が底面311,411から延び出る状態で支持する。連結構造6C,6Dは、嵌め合わせ構造を有する2つの部品支持部材31,41各々の一部により構成され、2つの部品支持部材31,41を、それらの底面311,411各々が同一の配線空間7に対して異なる方向から対向する屈曲姿勢で連結する。固定部6C,6Dは、筐体2の一部と2つの部品支持部材31,41の一部とにより構成され、屈曲姿勢で連結された2つの部品支持部材31,41を、筐体2内に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、自動車などの車両に搭載される電気接続箱は、一般に、箱状又は枠状の筐体と、リレーなどの電気部品を支持する状態で筐体内に取り付けられる部品支持部材とを備える。特許文献1における部品支持部材は箱体である。
【0003】
また、電気接続箱において、部品支持部材は、1つ又は複数の電気部品を、その電気部品に対し電気的に接続された電線群とともに支持する。より具体的には、部品支持部材は、1つ又は複数の電気部品を一の面(支持面)で支持し、電線群を電気部品の支持面に対し反対側の底面から延び出る状態で支持する。従って、部品支持部材の底面が対向する空間は、電線群が通る配線空間となる。
【0004】
なお、電線群は、電気部品に対して直接接続されているか、或いは、部品支持部材に設けられた部品座を介して電気部品に対して電気的に接続されている。
【0005】
また、電気接続箱において、複数の部品支持部材が、筐体内に取り付けられることもある。例えば、標準の電気部品を支持する標準部品支持部材と、オプションの電気部品を支持するオプション部品支持部材とが、1つの筐体内に取り付けられることがある。そのような場合、特許文献1に示されるように、複数の部品支持部材が、同じ姿勢で横並びの状態で筐体内に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−278841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電気接続箱は、複数の部品支持部材が同じ姿勢で横並びの状態で筐体内に保持されるため、設置面積が大きい。さらに、従来の電気接続箱において、筐体が、オプション部品支持部材を取り付け可能に構成され、オプション部品支持部材がその筐体に取り付けられない場合、オプション部品支持部材の配置空間及びオプション部品の電線群用の配線空間の全体が、未利用の無駄な空間になる。このように、従来の電気接続箱は、空間の利用効率が悪いという問題点があった。
【0008】
本発明は、複数の部品支持部材を取り付け可能な筐体を備える電気接続箱において、空間の利用効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電気接続箱は、以下に示す各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は筐体である。
(2)第2の構成要素は、電気部品及びその電気部品に対し電気的に接続された電線群をその電線群が底面から延び出る状態で支持する2つの部品支持部材である。
(3)第3の構成要素は、2つの部品支持部材各々の一部により構成され、2つの前記部品支持部材を、それらの底面各々が同一の空間に対して異なる方向から対向する第1の姿勢で連結する第1の連結部である。
(4)第4の構成要素は、筐体の一部と2つの部品支持部材の内の少なくとも一方の一部とにより構成され、第1の連結部により連結された2つの部品支持部材を、筐体内に固定する第1の固定部である。
【0010】
また、本発明に係る電気接続箱が、さらに以下の構成要素を備えることも考えられる。
(5)第5の構成要素は、2つの部品支持部材各々の一部により構成され、2つの部品支持部材を、それらの底面各々が並列して異なる空間に対向する第2の姿勢で連結する第2の連結部である。
(6)第6の構成要素は、筐体の一部と2つの部品支持部材のうちの少なくとも一方の一部とにより構成され、第2の連結部により連結された2つの部品支持部材を筐体内に固定する第2の固定部である。
【0011】
また、本発明に係る電気接続箱において、第1の連結部が次に示す棒状部及び棒保持部を含むことが考えられる。棒状部は、2つの部品支持部材のうちの一方に架設された棒状の部分である。棒保持部は、2つの部品支持部材のうちの他方において棒状部が嵌め込まれる中空部を形成し、2つの部品支持部材が第1の姿勢及び第2の姿勢のいずれの状態である場合でも中空部に嵌め込まれた棒状部を保持する部分である。この場合、第1の連結部における棒状部及び棒保持部は第2の連結部を兼ねる。
【0012】
また、本発明に係る電気接続箱において、嵌め合わせ構造を有する第1の連結部を構成する2つの部品支持部材のうちの一方の一部と他方の一部とが異なる色を有すれば好適である。同様に、本発明に係る電気接続箱が第2の連結部を備える場合、嵌め合わせ構造を有する第2の連結部を構成する2つの部品支持部材のうちの一方の一部と他方の一部とが異なる色を有すれば好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、2つの部品支持部材は、それらの底面各々が同一の空間に対して異なる方向から対向する第1の姿勢で連結された状態で筐体内に固定される。即ち、一方の部品支持部材が横方向に沿う姿勢で保持される場合、他方の部品支持部材は縦方向に沿う姿勢で保持される。そのため、2つの部品支持部材各々の電線群は、それらに共通の配線空間を通る。さらに、本発明に係る電気接続箱は、2つの部品支持部材を異なる向きで保持するため、2つの部品支持部材が同じ姿勢で横並びで配置される従来の電気接続箱に比べ、設置面積が小さくなる。
【0014】
また、本発明に係る電気接続箱は、2つの部品支持部材が第1の連結部により連結される構造を有する。そのため、2つの部品支持部材の一方が標準部品用、他方がオプション部品用である場合、本発明に係る電気接続箱は、標準部品用の部品支持部材のみを備える電気接続箱として使用されてもよい。以上に示したように、本発明によれば、電気接続箱において、電線群の配線空間を集約すること、及び要求仕様に応じて不要な部品を支持する部材を省くことが可能となり、その結果、空間の利用効率が高まる。
【0015】
また、本発明に係る電気接続箱が、第2の連結部及び第2の固定部を備えれば、2つの部品支持部材を、それらの底面各々が並列して異なる空間に対向する第2の姿勢で連結された状態で筐体内に固定に固定することも可能となる。その結果、空間の利用効率が高まるとともに、空間利用の自由度が高まる。
【0016】
例えば、第1の連結部が棒状部及び棒保持部を含み、それらが第2の連結部を兼ねれば、第1の連結部及び第2の連結部の構成が簡素化され好適である。
【0017】
また、嵌め合わせ構造を有する第1の連結部を構成する2つの部品支持部材のうちの一方の一部と他方の一部とが異なる色を有すれば、第1の連結部における嵌め合わせの状態の目視確認が容易となり好適である。また、嵌め合わせ構造を有する第2の連結部を構成する2つの部品支持部材のうちの一方の一部と他方の一部とが異なる色を有する場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る電気接続箱1の斜視図である。
【図2】屈曲姿勢で連結された2つの部品支持部材を備える電気接続箱1の側面図である。
【図3】横並び姿勢で連結された2つの部品支持部材を備える電気接続箱1の側面図である。
【図4】電気接続箱1が備える第1嵌め合わせ構造の斜視図である。
【図5】電気接続箱1が備える第2嵌め合わせ構造の斜視図である。
【図6】電気接続箱1において2つの部品支持部材を屈曲姿勢で連結する連結構造の側面図である。
【図7】電気接続箱1において2つの部品支持部材を横並び姿勢で連結する連結構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0020】
<実施形態>
まず、図1から図3を参照しつつ、本発明の実施形態に係る電気接続箱1の概略構成について説明する。電気接続箱1は、自動車などの車両に搭載され、リレー又はヒューズなどの電気部品を支持及び収容する物である。
【0021】
図1に示されるように、電気接続箱1は、筐体2及び2つの電気部品ユニット3,4を備えている。以下、2つの電気部品ユニット3,4の各々を第1電気部品ユニット3及び第2電気部品ユニット4と称する。電気接続箱1は、例えば、車両に搭載されるリレーボックス又はヒューズボックスなどである。なお、便宜上、図1から図3において、筐体2は仮想線(二点鎖線)で描かれている。
【0022】
<筐体>
筐体2は、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂などの樹脂が成形された絶縁性の部材である。図1から図3に示される筐体2は、箱状に形成されているが、筐体2が、底部が形成されていない枠状であることも考えられる。
【0023】
<電気部品ユニット>
第1電気部品ユニット3は、リレーなどの複数の電気部品32及びそれら電気部品32に対し電気的に接続された電線群33と、それら電気部品32及び電線群33を支持する部品支持部材31とを備える。同様に、第2電気部品ユニット4も、リレーなどの複数の電気部品42及びそれら電気部品42に対し電気的に接続された電線群43と、それら電気部品42及び電線群43を支持する部品支持部材41とを備える。
【0024】
便宜上、第1電気部品ユニット3における部品支持部材31、電気部品32及び電線群33のことをそれぞれ第1部品支持部材31、第1電気部品32及び第1電線群33と称する。また、第2電気部品ユニット4における部品支持部材41、電気部品42及び電線群43のことをそれぞれ第2部品支持部材41、第2電気部品42及び第2電線群43と称する。
【0025】
<電気部品ユニット:部品支持部材>
部品支持部材31,41は、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂などの樹脂が成形された絶縁性の部材である。図1に示される部品支持部材31,41は、箱状に形成されているが、部品支持部材31,41が板状であることも考えられる。
【0026】
部品支持部材31,41は、それぞれ複数の電気部品32,42を一の面(支持面)で支持し、電気部品32,42を支持する面に対し反対側の底面311,411から延び出る状態で電線群33,43を支持する。従って、部品支持部材31,41各々の底面311,411が対向する空間は、電線群33,43が通る配線空間となる。
【0027】
2つの電気部品ユニット3,4各々において、電線群33,43は、電気部品32,42に対して直接接続されているか、或いは、部品支持部材31,41に設けられた不図示の部品座を介して電気部品32,42に対して電気的に接続されている。なお、電線群33,43が電気部品32,42に対して直接接続されている場合、部品支持部材31,41は、電気部品32,42を介して電線群33,43を支持する。また、電線群33,43が部品座を介して電気部品32,42に対して電気的に接続されている場合、部品支持部材31,41は、部品座の部分において電線群33,43を支持する。
【0028】
電気接続箱1において、2つの電気部品ユニット3,4は、それらの底面311,411各々が同一の配線空間7に対して異なる方向から対向する屈曲姿勢で連結される状態と、それらの底面311,411各々が並列して異なる配線空間7,8に対向する横並び姿勢で連結される状態とのいずれかで筐体2内に固定される。
【0029】
図1及び図2は、2つの電気部品ユニット3,4が屈曲姿勢で連結され、その屈曲姿勢の状態で筐体2内に固定されたときの電気接続箱1を表している。一方、図3は、2つの電気部品ユニット3,4が横並び姿勢で連結され、その横並び姿勢の状態で筐体2内に固定されたときの電気接続箱1を表している。
【0030】
また、電気接続箱1は、2つの電気部品ユニット3,4を連結するため、及び2つの電気部品ユニット3,4を筐体2に固定するために2種類の嵌め合わせ構造を備えている。以下、2種類の嵌め合わせ構造のうちの一方を第1嵌め合わせ構造5、他方を第2嵌め合わせ構造6と称する。
【0031】
<第1嵌め合わせ構造>
図4は、電気接続箱1が備える第1嵌め合わせ構造5の斜視図である。なお、図4は、2つの部品支持部材31,41が図1及び図2に示される屈曲姿勢で連結される状態における第1嵌め合わせ構造5の斜視図である。
【0032】
第1嵌め合わせ構造5は、2つの部品支持部材31,41のうちの一方の側面及び他方の側面に形成された被保持部51と保持部52とにより構成されている。以下、被保持部51が第1部品支持部材31の側面に形成され、保持部52が第2部品支持部材41の側面に形成された場合の例について説明する。なお、被保持部51が第2部品支持部材41の一部として形成され、保持部52が第1部品支持部材31の一部として形成されることも考えられる。
【0033】
被保持部51は、第1部品支持部材31からその側面方向へ突出して形成された2つの支柱部511と、2つの支柱部511に架け渡された棒状部512とを有している。即ち、棒状部512は、第1部品支持部31に架設された部分である。
【0034】
一方、保持部52は、第2部品支持部材41の側面において棒状部512が嵌め込まれる中空部を形成する形状で形成されている。即ち、保持部52は、棒状部512の導入路となる隙間を残して中空部を取り囲むように形成され、導入路(隙間)を通じて中空部に嵌め込まれた棒状部512を保持する部分である。保持部52の導入路(隙間)の幅は、棒状部512の外径よりも小さく形成されており、保持部52が、棒状部512が挿入される際に一時的に弾性変形することにより、保持部52の導入路(隙間)の幅は、棒状部512が通過可能な程度に一時的に拡大する。なお、保持部52は、棒保持部の一例である。
【0035】
図4に示される例では、棒状部512は円柱状であり、保持部52の内側面は、その断面が棒状部512の表面に沿う円弧状に形成された湾曲面である。これにより、第1嵌め合わせ構造5は、棒状部512が保持部52の中空部に嵌め込まれた状態において、2つの部品支持部材31,41を回動可能に連結する。
【0036】
図4に示されるように、保持部52は、2つの部品支持部材31,41が図1及び図2に示される屈曲姿勢の状態である場合において、その中空部に嵌め込まれた棒状部512を保持する。さらに、後述するように、保持部52は、2つの部品支持部材31,41が図3に示される横並び姿勢の状態である場合においても、その中空部に嵌め込まれた棒状部512を保持することが可能である。
【0037】
第1嵌め合わせ構造5において、被保持部51と保持部52とが異なる色を有することが望ましい。例えば、2つの部品支持部材31,41の各々が異なる色の樹脂部材で形成されることが考えられる。また、2つの部品支持部材31,41のうちの少なくとも一方において、被保持部51及び保持部52の一方が、2色成形によって他の部分とは異なる色の樹脂部材で形成されることも考えられる。
【0038】
<第2嵌め合わせ構造>
図1に示されるように、電気接続箱1は、構造が同じで用途が異なる複数種類の第2嵌め合わせ構造6を備えている。各図において、2つの部品支持部材31,41を屈曲姿勢で連結する用途の第2嵌め合わせ構造6は、第2嵌め合わせ構造6Aと記載されている。また、2つの部品支持部材31,41を横並び姿勢で連結する用途の第2嵌め合わせ構造6は、第2嵌め合わせ構造6Bと記載されている。また、各図において、第1部品支持部材31を筐体2内に固定する用途の第2嵌め合わせ構造6は、第2嵌め合わせ構造6Cと記載されている。また、第2部品支持部材41を筐体2内に固定する用途の第2嵌め合わせ構造6は、第2嵌め合わせ構造6D,6Eと記載されている。
【0039】
図5は、電気接続箱1が備える第2嵌め合わせ構造6の斜視図である。図5に示される第2嵌め合わせ構造6は、2つの部品支持部材31,41を屈曲姿勢で連結する用途の第2嵌め合わせ構造6Aであるが、他の第2嵌め合わせ構造6B,6C,6D,6Eも同様の構造を備えている。また、便宜上、図5の斜視図は、図1の斜視図に対して上下の方向が反転した状態を表す。さらに、図5において、第2部品支持部材41は仮想線(二点鎖線)により描かれている。
【0040】
図5に示されるように、第2嵌め合わせ構造6は、2つの部材のうちの一方に形成された受け部61と他方に形成された突起部62とを含む。即ち、第2嵌め合わせ構造6A,6Bは、2つの部品支持部材31,41のうちの一方に形成された受け部61と他方に形成された突起部62とを含む。また、第2嵌め合わせ構造6Cは、第1部品支持部材31及び筐体2の一方に形成された受け部61と他方に形成された突起部62とを含む。また、第2嵌め合わせ構造6D,6Eは、第2部品支持部材41及び筐体2の一方に形成された受け部61と他方に形成された突起部62とを含む。なお、第2嵌め合わせ構造6D及び第2嵌め合わせ構造6Eにおいて、第2部品支持部材41側に形成された部分(受け部61又は突起部62)は両方において兼用される。
【0041】
受け部61は、対向して形成された2つの起立部611及び2つの起立部611に架け渡された架設部612を有する。2つの起立部611及び架設部612は、突起部62が嵌め入れられる孔である嵌入孔613を形成している。また、架設部612には、突起部62の一部と引っ掛かる孔である留め孔614が形成されている。
【0042】
一方、突起部62は、対応する受け部61の嵌入孔613に嵌め入れられる部分である。突起部62は、受け部61に向かう方向へ起立した幹部621と、幹部621からその起立方向に対して交差する方向に突出する爪部622とが形成されている。突起部62が受け部61の嵌入孔613に嵌め入れられると、突起部62の爪部622が、受け部61の架設部612に形成された留め孔614に引っ掛かり、嵌入孔613からの突起部62の抜けが妨げられる。即ち、受け部61の留め孔614及び突起部62の爪部622は、突起部62が受け部61の嵌入孔613から抜け出すことを妨げる抜け止め構造を構成している。
【0043】
2つの部材の一方に設けられた受け部61の嵌入孔613に、2つの部材の他方に設けられた突起部62が嵌め入れられることにより、2つの部材は連結された状態で保持される。
【0044】
第2嵌め合わせ構造6において、受け部61と突起部62とが異なる色を有することが望ましい。例えば、受け部61が形成される部材及び突起部62が形成される部材の各々が異なる色の樹脂部材で形成されることが考えられる。また、受け部61又は突起部62が形成される2つの部材のうちの少なくとも一方において、受け部61及び突起部62の一方が、2色成形によって他の部分とは異なる色の樹脂部材で形成されることも考えられる。
【0045】
<連結構造>
次に、図6及び図7を参照しつつ、電気接続箱1において2つの部品支持部材31,41を連結する連結構造について説明する。図6は、2つの部品支持部材31,41を屈曲姿勢で連結する連結構造の側面図である。また、図7は、2つの部品支持部材31,41を横並び姿勢で連結する連結構造の側面図である。なお、図6及び図7において、2つの部品支持部材31,41が連結される前の状態における第2部品支持部材41が仮想線(二点鎖線)により描かれている。
【0046】
図6に示されるように、2つの部品支持部材31,41を屈曲姿勢で連結する第1の連結構造は、第1嵌め合わせ構造5と第2嵌め合わせ構造6Aとにより構成されている。2つの部品支持部材31,41が、図1及び図2に示される屈曲姿勢で組み合わされると、第1嵌め合わせ構造5が、2つの部品支持部材31,41を連結し、第2嵌め合わせ構造6Aが、2つの部品支持部材31,41を屈曲姿勢の状態で保持する。
【0047】
一方、図7に示されるように、2つの部品支持部材31,41を横並び姿勢で連結する第2の連結構造は、第1嵌め合わせ構造5と第2嵌め合わせ構造6Bとにより構成されている。2つの部品支持部材31,41が、図3に示される横並び姿勢で組み合わされると、第1嵌め合わせ構造5が、2つの部品支持部材31,41を連結し、第2嵌め合わせ構造6Bが、2つの部品支持部材31,41を横並び姿勢の状態で保持する。
【0048】
図6及び図7に示されるように、第1嵌め合わせ構造5において、保持部52は、2つの部品支持部材31,41が屈曲姿勢及び横並び姿勢のいずれの状態である場合でもその中空部に嵌め込まれた棒状部512を保持する。即ち、屈曲姿勢に対応した第1の連結構造5,6Aにおける第1嵌め合わせ構造5は、横並び姿勢に対応した第2の連結構造5,6Bを兼ねる。
【0049】
<固定構造>
また、図1及び図2に示されるように、筐体2の一部と第1部品支持部材31の一部とにより構成された第2嵌め合わせ構造6Cは、第1の連結構造5,6Aにより屈曲姿勢で連結された2つの部品支持部材31,41を、筐体2内において屈曲姿勢のまま固定する固定構造を構成している。同様に、筐体2の一部と第2部品支持部材41の一部とにより構成された第2嵌め合わせ構造6Dも、第1の連結構造5,6Aにより屈曲姿勢で連結された2つの部品支持部材31,41を、筐体2内に屈曲姿勢のまま固定する固定構造を構成している。なお、固定構造6C,6Dは、第1の固定部の一例である。
【0050】
また、図3に示されるように、筐体2の一部と第1部品支持部材31の一部とにより構成された第2嵌め合わせ構造6Cは、第2の連結構造5,6Bにより横並び姿勢で連結された2つの部品支持部材31,41を、筐体2内に横並び姿勢のまま固定する固定構造としても機能する。また、筐体2の一部と第2部品支持部材41の一部とにより構成された第2嵌め合わせ構造6Eは、第2の連結構造5,6Bにより横並び姿勢で連結された2つの部品支持部材31,41を、筐体2内に横並び姿勢のまま固定する固定構造を構成している。なお、固定構造6C,6Eは、第2の固定部の一例である。
【0051】
<効果>
図1及び図2に示されるように、電気接続箱1は、2つの部品支持部材31,41を、それらの底面311,411各々が同一の配線空間7に対して異なる方向から対向する屈曲姿勢で連結された状態で筐体2内に固定することができる。この場合、第1部品支持部材31が横方向に沿う姿勢で保持される状態において、第2部品支持部材41は縦方向に沿う姿勢で保持される。そのため、2つの部品支持部材31,41各々の電線群33,43は、それらに共通の配線空間7を通る。さらに、電気接続箱1において、2つの部品支持部材31,41が屈曲姿勢で(異なる向きで)固定された場合、2つの部品支持部材31,41が横並び姿勢で配置される従来の電気接続箱に比べ、設置面積が小さくなる。
【0052】
また、電気接続箱1は、2つの部品支持部材31,41が第1の連結構造5,6A又は第2の連結構造5,6Bにより連結される構造を有する。そのため、2つの部品支持部材31,41の一方が標準部品用、他方がオプション部品用である場合、電気接続箱1は、第2電気部品ユニット4の組み付けが省略され、標準部品を含む第1電気部品ユニット3のみを備える電気接続箱として使用されてもよい。
【0053】
以上に示したように、電気接続箱1が採用されることにより、電線群33,43の配線空間を集約すること、及び要求仕様に応じて不要な部品を支持する部材(第2支持部材41)を省くことが可能となり、その結果、空間の利用効率が高まる。
【0054】
また、電気接続箱1は、第2の連結構造5,6B及び固定構造6C,6Eを備えるため、2つの部品支持部材31,41を、それらの底面各々が並列して異なる空間に対向する横並び姿勢で連結された状態で筐体2内に固定に固定することも可能である。その結果、空間の利用効率が高まるとともに、空間利用の自由度が高まる。
【0055】
また、電気接続箱1において、棒状部512及び保持部52を含む第2嵌め合わせ構造5は、第1の連結構造5,6Aと第2の連結構造5,6Bとを兼ねる。そのため、2つの部品支持部材31,41の連結構造が簡素化される点において好適である。
【0056】
また、第1の連結構造5,6Aを構成する第1嵌め合わせ構造5の被保持部51と保持部52とが異なる色を有すれば、第1の連結構造5,6Aにおける嵌め合わせの状態の目視確認が容易となり好適である。第1の連結構造5,6Aを構成する第2嵌め合わせ構造6Aの受け部61と突起部62とが異なる色を有する場合も同様である。また、第2の連結構造5,6Bについても同様である。
【0057】
<その他>
以上に示された電気接続箱1において、屈曲姿勢で連結された2つの部品支持部材31,41を筐体2内に固定する固定構造として、第2嵌め合わせ構造6C及び第2嵌め合わせ構造6Dのうちの一方のみが設けられることも考えられる。同様に、横並び姿勢で連結された2つの部品支持部材31,41を筐体2内に固定する固定構造として、第2嵌め合わせ構造6C及び第2嵌め合わせ構造6Eのうちの一方のみが設けられることも考えられる。
【0058】
また、第1嵌め合わせ構造5において、棒状部512が正方形状もしくは正八角形状などの多角形状の断面を有する角柱状であり、保持部52の内側面が、棒状部512の表面における複数の平坦面と密接する複数の平坦面が形成された屈曲面であることも考えられる。そのような第1嵌め合わせ構造5も、2つの部品支持部材31,41を屈曲姿勢及び横並び姿勢で連結することが可能である。
【0059】
また、電気接続箱1において、第2嵌め合わせ構造6D,6Eは、2つの部品支持部材31,41を屈曲姿勢及び横並び姿勢の各々の状態で保持する機能を有している。そのため、2つの部品支持部材31,41の連結構造において、第2嵌め合わせ構造6A,6Bが省略されることも考えられる。
【0060】
また、2つの部品支持部材31,41の連結構造として、第1嵌め合わせ構造5に代えて、第2嵌め合わせ構造6のみが採用されることも考えられる。この場合、2つの部品支持部材31,41を屈曲姿勢及び横並び姿勢の各々で連結するための第2嵌め合わせ構造6において、少なくとも受け部61は、屈曲姿勢での連結用と横並び姿勢での連結用とで個別に設けられる必要がある。
【0061】
また、電気接続箱1が、2つの電気部品ユニット3,4に加え、さらに1つ以上の電気部品ユニットを備えることも考えられる。例えば、電気接続箱1が、第1電気部品ユニット3と第2電気部品ユニット4との組合せを2組以上備えることが考えられる。また、電気接続箱1が、1つの第1電気部品ユニット3と、これに連結された2つの第2電気部品ユニット4とを備えることも考えられる。
【符号の説明】
【0062】
1 電気接続箱
2 筐体
3,4 電気部品ユニット
5 第1嵌め合わせ構造(第1の連結構造、第2の連結構造)
6 第2嵌め合わせ構造
6A 第2嵌め合わせ構造(第1の連結構造)
6B 第2嵌め合わせ構造(第2の連結構造)
6C,6D,6E 第2嵌め合わせ構造(固定構造)
7,8 配線空間
31,41 部品支持部材
32,42 電気部品
33,43 電線群
51 被保持部
52 保持部
61 受け部
62 突起部
311,411 部品支持部材の底面
511 支柱部
512 棒状部
611 起立部
612 架設部
613 嵌入孔
614 留め孔
621 幹部
622 爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
電気部品及び該電気部品に対し電気的に接続された電線群を該電線群が底面から延び出る状態で支持する2つの部品支持部材と、
2つの前記部品支持部材各々の一部により構成され、2つの前記部品支持部材を、それらの底面各々が同一の空間に対して異なる方向から対向する第1の姿勢で連結する第1の連結部と、
前記筐体の一部と2つの前記部品支持部材の内の少なくとも一方の一部とにより構成され、前記第1の連結部により連結された2つの前記部品支持部材を、前記筐体内に固定する第1の固定部と、を備えることを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
2つの前記部品支持部材各々の一部により構成され、2つの前記部品支持部材を、それらの底面各々が並列して異なる空間に対向する第2の姿勢で連結する第2の連結部と、
前記筐体の一部と2つの前記部品支持部材のうちの少なくとも一方の一部とにより構成され、前記第2の連結部により連結された2つの前記部品支持部材を前記筐体内に固定する第2の固定部と、をさらに備える請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記第1の連結部は、
2つの前記部品支持部材のうちの一方に架設された棒状部と、
2つの前記部品支持部材のうちの他方において前記棒状部が嵌め込まれる中空部を形成し、2つの前記部品支持部材が前記第1の姿勢及び前記第2の姿勢のいずれの状態である場合でも前記中空部に嵌め込まれた前記棒状部を保持する棒保持部と、を含み、
前記第1の連結部における前記棒状部及び前記棒保持部は前記第2の連結部を兼ねる、請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
嵌め合わせ構造を有する前記第1の連結部を構成する2つの前記部品支持部材のうちの一方の一部と他方の一部とが異なる色を有する、請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項5】
嵌め合わせ構造を有する前記第1の連結部を構成する2つの前記部品支持部材のうちの一方の一部と他方の一部とが異なる色を有し、
嵌め合わせ構造を有する前記第2の連結部を構成する2つの前記部品支持部材のうちの一方の一部と他方の一部とが異なる色を有する、請求項2又は請求項3に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−244799(P2012−244799A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113411(P2011−113411)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】