説明

電気教育用セット

【課題】 この発明は、子供の電気に対する関心を喚起するための教育用玩具を提供することを課題とする。
【解決手段】 この発明の電気教育用セットは、電気によって作動し、乾電池ホルダー3を備えた電気作動体1と、前記乾電池ホルダー3に装着可能な手動発電機5とを組み合わせて構成し、乾電池6と手動発電機5とを任意に交換できるようにしたものである。この発明で使用される手動発電機5の出力部分の形状は、乾電池の代わりに乾電池ホルダー3に装着可能な形状とし、乾電池ホルダー3には乾電池6と手動発電機5との何れかを自由に装着することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小学校低学年の子供の電気に対する関心を喚起するための電気教育用セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の教材は一般に教育用玩具と呼ばれている。教育用玩具は、好奇心が旺盛で知識を備えていない小学校低学年くらいの年齢層を対象としたものであり、これを用いた体験学習を通して、科学等に対する子供の関心を喚起し、学習意欲の向上を図ろうとするものである。科学等の理論や原理は複雑難解であるものが多く、最初からこれを子供が理解することは困難であるところ、子供の興味を引くように遊び心を取り入れつつ、科学等の学習に役立てようというのが教育用玩具である。
【0003】
電気をテーマとした小学生向けの教育用玩具としては、乾電池を電源として用いて電球等の発光体を点灯させるものや、モーターを回転させるもの等がある。電気そのものは視覚的に認識することができないものであるから、上記技術のように、電球を発光させたり、モーターを回転させたりして電気エネルギーを視覚化することで、小学生の電気に対する関心を誘うように工夫が凝らされている。また、電源として、乾電池に代えて太陽電池を用いたものや、風力発電機を利用したものも種々提供されている。こられは、乾電池以外でも電気を発生させることができることを確認できるものであり、小学生の電気に対する関心をより一層喚起するよう工夫されているものである。
【0004】
しかしながら、これらの技術は、電源として乾電池なら乾電池、太陽電池なら太陽電池、風力発電機なら風力発電機といったように、同一製品については特定の電源しか利用できないものとなっている。
この場合、乾電池を使用している場合には、電球が発光等したとしてもことさら電気に対して新たな関心を引くものではない。なぜなら、乾電池は日常生活で普通に使用されているため、乾電池を電源として何らかの物が作動することは日常生活でよく見る場面であり、そこには子供の興味を喚起するような新たな発見につながるものはないからである。
一方、発電機等を使用している場合には、電球の発光やモーターの作動等によって、電気が流れていることの確認はできるものの、当初から電球等と発電機等が接続された状態であると、子供心に電池がどこかに接続されていているのではないかといった疑念が生じるとしても、その電気が発電機等によって作られたものであることを即座に理解することは難しい。なぜなら、発電機等は乾電池と違って日常生活で普通に使用されるようなものではないからである。すなわち、乾電池と発電機との間には乖離があり、発電機が電池と同様の役割を果たしていることの実感を得ることができない。その結果、乾電池を使用している場合と同じ感覚しか子供は持たず、電気に対する新たな関心を喚起することはできない。
【0005】
【特許文献1】実開平6−73766
【0006】
上記特許文献に記載された発明は、太陽電池の学習に関する小学生用の教材であり、太陽電池によって光エネルギーを電気エネルギーに変換し、発生した電気を動力源としてモーターを作動させ、このモーターからの出力によって模型自動車等の従動体を駆動させるものである。
この発明は太陽電池とモーターが直接接続されているので、太陽電池が乾電池と同様の機能を果たしている(乾電池の代わりになる)ことを、子供が実感することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、子供の電気に対する関心を喚起するための教育用玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の電気教育用セットは、電気によって作動し、乾電池ホルダーを備えた電気作動体と、前記乾電池ホルダーに装着可能な手動発電機とを組み合わせてなり、乾電池と手動発電機とを任意に交換することができるようにしたものである。
この発明において「作動」とは、電気エネルギーが熱エネルギーや運動エネルギー等の他のエネルギーに変換されることをいい、例えば負荷として電球を用いた場合には発光することを、電熱線を用いた場合には発熱することを、モーターを用いた場合には回転することをいう。 この発明における「電気作動体」は、ロボットや自動車玩具のように動くものの他、豆電球が点滅するようにした装置や音が発生する装置のように動かないものも含まれる。要は電気の力によって作動が視覚的、聴覚的、触覚的に認識できるものであればよい。
前記乾電池ホルダーは、電気作動体が動かないものであるときには電気作動体と一体的に構成してもよいが、電気作動体が動くものの場合は電気作動体と乾電池ホルダーとを長いリード線で接続することが好ましい。
この発明で使用される手動発電機の出力部分の形状は、乾電池の代わりに乾電池ホルダーに装着可能な形状とし、乾電池ホルダーには乾電池と手動発電機との何れかを自由に装着することができるようにする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、一つの電気作動体を作動させる電源として乾電池と手動発電機とを互換的に使用することができる。そこで、子どもは、一度乾電池で作動することを確認した上で、乾電池ホルダーから乾電池を取り外して手動発電機を乾電池ホルダーに装着し、手動発電機を操作することにより、発電機で作られた電気によって教育用玩具が作動することを確認することができる。その結果、発電機が乾電池と同じ役割を果たしていること、そして自分で電気を作り出すことができることを自らの体験を通して実感することができる。ひいては、発電機というものを知らない子供にとって、乾電池でもない発電機がなぜ乾電池と同じ役割を果たしているのかという疑問は好奇心を刺激するものであり、乾電池と発電機の比較という形で、子供の電気に対する関心を喚起することができる。
さらに、手動発電機は力加減によって発電量が変化するから、子供はどの程度の力で回せばどの程度の電気が発生するのかを体験することができる。これにより、遊び感覚で電気に接することができ、より一層電気に関心を持つようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1において、電気作動体1は、モーターが内蔵されたロボット型玩具2と、電池ホルダー3と、前記モーターと前記電池ホルダー3とを接続するリード線4で構成されている。そしてこの電気作動体1と手動発電機5とで電気教育セットが構成されている。
【0011】
前記ロボット型玩具2は、胴体部と腕部を備えており、胴体部に内蔵されたモーターの回転を利用して両腕部21が回動すると共に、胴体底部に設けられた車輪が回転して前進するようになっている。乾電池6又は手動発電機5を乾電池ホルダー3に装着して電源スイッチを入れると前記モーターが作動して前記ロボット型玩具2の両腕が肩部を中心として同方向に回動すると共に、車輪が回転してロボットが進行する。
なお、乾電池又は手動発電機の+極と−極を逆にして乾電池ホルダー3に装着して作動させれば、両腕部21の回動を逆回転とすると共に、ロボット型玩具2の進行方向も逆方向とすることができる。また、ロボット型玩具に発光部を設けて通電時に光るようにすることもできる。
【0012】
前記手動発電機5は手回し発電機であり、出力部分の両側に乾電池ホルダー3の端子7と接続される出力端子9が設けてあり、前記乾電池ホルダー3に乾電池の代替として着脱可能な形状となっている。すなわち、電源として手動発電機5を使用する場合に、乾電池ホルダー3から乾電池6を取り外した状態で、前記乾電池ホルダー3に乾電池を装着するのと同じ要領で手動発電機5を装着することができる。
【0013】
また、この実施例においてはカゴ10、ボール11、台座12が付属品としてセットされている。
カゴ10はロボット型玩具2の両腕部21の先端の凹み部分22にセットした上でカゴの中に重りをのせて使用するものであり、電気の力でどの程度の重りを持ち上げることができるか、すなわち、電気がどの程度の力を持っているのかを体験させることができる。
電源に乾電池を用いた場合と、手回し発電機を用いた場合のそれぞれにつきどの程度の重りを持ち上げることができるがを体感できる。手回し発電機を用いた場合には、回し加減によって発電量は異なるため、持ち上げることのできる重さに違いが出てくる。すなわち、回せば回すほどよりたくさんの重りを持ち上げることができる。このことは子供の遊び心を刺激し、子供は乾電池が持ち上げた重りよりも多くの重りを持ち上げようと懸命に発電機を回すようになるが、このことを通してどれだけ回せばどれだけの電気が発生するのか、そして手回しするという運動エネルギーが電気エネルギーに代わることを視覚的に確認することができる。
上記操作はロボット型玩具を停止した状態で行うことが好ましい。そこで、ロボット型玩具を台座12に乗せ、車輪の回転が進行する力として働かないようにする。
ボール11はロボット型玩具2の前に置いてロボット型玩具2を前後進させて転がすことができる。これもいくつのボールを転がすことができるかは電力に依存しているのであり、手回し発電機の発電量を実感することができる。
【0014】
上記実施形態の電気教育用セットの使用方法は以下のとおりである。
まず、乾電池ホルダー3に乾電池6をセットして、スイッチを入れてロボット型玩具2を作動させる。歩かせたり、カゴを持ち上げたり、ボールを押したりさせる。このことにより、学習者はロボット型玩具2が電池(電気の力)により作動することを理解できる。
次いで乾電池6を乾電池ホルダー3から取り外し、代わりに手動発電機5を乾電池ホルダー3に装着する。そして、手動発電機5を操作して発電する。手動発電機を操作することにより、ロボットは乾電池を使用したときと同様に作動するので、学習者は手動発電機5が乾電池6と同じ機能を有することが理解できる。すなわち、学習者は手動発電機によって、すなわち自らが手動発電機を回すことによって電気が作り出されていることを理解する。
【0015】
特にこの発明においては、同一の乾電池ホルダーに乾電池と手動発電機とを交換して装着するもの、すなわち乾電池ホルダーには乾電池か手動発電機の何れか一方しか装着できない構造であるから、乾電池と手動発電機の機能が同一であることを、視覚的にも理解することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
この発明は、電気で作動する電気教育用セットに関するものであり、産業上利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施形態の斜視図
【図2】同じく乾電池ホルダーと手動発電機の斜視図
【図3】この発明の作動状態を示す図
【図4】同じく別の作動状態を示す図
【符号の説明】
【0018】
1 電気作動体
2 ロボット型玩具
21 両腕部
3 乾電池ホルダー
4 リード線
5 手動発電機
6 乾電池
7 乾電池ホルダーの端子
9 出力端子
10 カゴ
11 ボール
12 台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気によって作動し、乾電池ホルダーを備えた電気作動体と、前記乾電池ホルダーに装着可能な手動発電機とを組み合わせてなり、乾電池と手動発電機とを任意に交換することができるようにした、電気教育用セット

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−154349(P2006−154349A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345344(P2004−345344)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(591121498)株式会社ベネッセコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】