説明

電気機器

【課題】防水性に優れると共にハーネスの変更にも容易に対処でき、かつ、ハーネスの引出し方向も可変とすることができる電気機器を提供すること。
【解決手段】フロントケース部32とリアケース部34との合体によりカメラハウジング30が形成され、この内部に回路基板24が収納されている。リアケース部34の外面側に、その一側外方に指向する外側コネクタ38が一体的に設けられている。フロントケース部32に対するリアケース部34の取付姿勢が可変であり、該取付姿勢に応じて前記外側コネクタ38の指向方向を変更できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器に外部ハーネスを介して接続されるカメラ機器等の電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載用カメラ機器を他の制御機器や電源に接続するための技術として、次に説明するものが提案される。
【0003】
すなわち、車載用カメラ機器は、撮像素子を実装すると共に電源回路や信号処理回路等を形成した基板と、この基板を収容したケース状ハウジング体と、本車載用カメラ機器を外部の制御機器や電源等に接続するためのハーネスとを備えている。
【0004】
ハーネスは、基板への接続に適した比較的細径のハーネス部分と、外部での配索に適した比較的太径のハーネス部分とを備えている。細径のハーネス部分は、ケース状ハウジング体の内部で基板に接続されると共に、該ケース状ハウジング体を貫通して外部に引出されている。そして、ケース状ハウジング体の外部で、細径のハーネス部分に、太径のハーネス部分が接続されている。太径のハーネス部分は、適宜車体に配索されて、他の制御機器や電源等に接続されている。
【0005】
ところが、上記構成では、細径のハーネス部分の一端自体が、ケース状ハウジング体内に導入されている。このため、車載用カメラ機器内に水が侵入しないようにするために、細径のハーネス部分に対して十分な防水対策を施す必要がある。例えば、特許文献1に開示のように、細径のハーネス部分と太径のハーネス部分との接続部分を熱収縮チューブで覆った上、そのさらに周囲をエポキシ樹脂などで封止等する必要がある。このため、構成の複雑化及び組立作業の繁雑化を招いていた。
【0006】
また、ハーネスが車載用カメラ機器に一体的に組立てられる構成であるため、例えば、搭載車種の変更によるハーネスの必要長の変更等に容易に対処できず、汎用性に劣るという問題があった。
【0007】
そこで、ケース状ハウジング体自体に中継端子をインサート成形し、ケース状ハウジング体の内部及び外部に、前記中継端子をコネクタ端子として含むコネクタを一体的に作り込んでしまうといった構成が提案されている。
【0008】
この場合、ケース状ハウジング体自体に中継端子をインサート成形しているため、比較的簡易な構成かつ組立で、優れた防水性能を得ることができる。また、ケース状ハウジング体の外側のコネクタに接続するハーネスを変更することで、搭載車種の変更によるハーネスの必要長の変更等に容易に対処でき、汎用性にも優れる。
【0009】
【特許文献1】特開2002−359017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、例えば、車載用カメラ機器の搭載車種が変更されると、車載用カメラ機器から外部機器に至る配線経路も変り、すると、車載用カメラ機器からのハーネスの延出させるべき方向も変る。ところが、ケース状ハウジング体にコネクタを一体的に形成した構成では、コネクタの形成位置及び姿勢に応じてハーネスの引出し方向が限定され、搭載車種変更に伴う配線経路の変更等に容易に対処できないという問題があった。
【0011】
また、ケース状ハウジング体が、所定のケース部と、コネクタ付ケース部との分割構成とされている場合、所定のケース部に対するコネクタ付ケース部の取付姿勢が限定されていると、組立作業上不便である。
【0012】
そこで、本発明は、防水性に優れると共にハーネスの変更にも容易に対処でき、かつ、分割構成とされたケース部の取付姿勢の自由度向上を図って、例えば、ハーネスの引出し方向変更にも容易に対処できるようにした電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係る電気機器は、外部機器に外部ハーネスを介して接続される電気機器であって、内部電気部品と、第1のケース部と第2のケース部との合体により構成され、前記内部電気部品を内部に収容したケース状ハウジング体と、を備え、前記第2のケース部は、前記第1のケース部に対する複数の取付姿勢のうちから一つを選択して前記第1のケース部に取付可能に形成され、前記第2のケース部の内面側に前記内部電気部品が電気的に接続される複数の内側端子部が設けられると共に、前記第2のケース部の外面側に複数の外側コネクタ端子部を有し前記外部ハーネスを接続可能な外側コネクタ部が一体的に設けられ、前記各内側端子部と前記各外側コネクタ端子部とが前記第2のケース部に設けられた接続導体でそれぞれ接続されているものである。
【0014】
この発明に係る他の電気機器は、外部機器に外部ハーネスを介して接続される電気機器であって、内部電気部品と、第1のケース部と第2のケース部との合体により構成され、前記内部電気部品を内部に収容したケース状ハウジング体と、を備え、前記第2のケース部は、前記第1のケース部に対する複数の取付姿勢のうちから一つを選択して前記第1のケース部に取付可能に形成され、前記第2のケース部の内面側に前記内部電気部品が電気的に接続される複数の内側端子部が設けられると共に、前記第2のケース部の外面側に複数の外側コネクタ端子部を有し前記第2のケース部の一側方から前記外部ハーネスを接続可能な外側コネクタ部が一体的に設けられ、前記各内側端子部と前記各外側コネクタ端子部とが前記第2のケース部に設けられた接続導体でそれぞれ接続されているものである。
【0015】
この場合に、前記第1のケース部の接合部と前記第2のケース部の接合部とが、略n回転対称形状(nは2以上の整数)または略円形状に形成されていてもよい。
【0016】
また、前記内側端子部のうちの一つと、前記各外側コネクタ端子部のうちの一つと、これらの端子部同士を接続する接続導体とが単一の導電性部材により構成されていてもよい。
【0017】
さらに、前記接続導体は、第2のケース部にインサート成形されていてもよい。
【0018】
また、前記第2のケース部の内面側に、前記各内側端子部をコネクタ端子部として有する内側コネクタ部が設けられ、前記内部電気部品と前記内側コネクタ部にコネクタ接続される部品側コネクタとが配線部材を介して接続されており、前記内側コネクタ部と前記部品側コネクタとが接続された状態で、前記配線部材が前記第2のケース部の接合部の回転対称軸又は中心軸近傍で前記部品側コネクタ部から引出されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明の電気機器によると、第2のケース部の外面側に複数の外側コネクタ端子部を有し外部ハーネスを接続可能な外側コネクタ部が一体的に設けられている。このため、外部ハーネスを伝った水の浸入がより確実に防止され防水性に優れると共に、外部ハーネスの変更にも容易に対処できる。さらに、前記第2のケース部は、前記第1のケース部に対する複数の取付姿勢のうちから一つを選択して前記第1のケース部に取付可能に形成されているため、第1のケース部に対する第2のケース部の取付姿勢を適宜選択して取付けることができ、第1のケース部に対する第2のケース部の取付姿勢の自由度向上を図ることができる。
【0020】
この発明の電気機器によると、第2のケース部の外面側に複数の外側コネクタ端子部を有し前記第2のケース部の一側方から外部ハーネスを接続可能な外側コネクタ部が一体的に設けられている。このため、外部ハーネスを伝った水の浸入がより確実に防止され防水性に優れると共に、外部ハーネスの変更にも容易に対処できる。さらに、前記第2のケース部は、前記第1のケース部に対する複数の取付姿勢のうちから一つを選択して前記第1のケース部に取付可能に形成されているため、第1のケース部に対する第2のケース部の取付姿勢を適宜選択して取付けることで、第1のケース部に対する第2のケース部の取付姿勢の自由度向上を図ることができ、ハーネスの引出し方向変更にも容易に対処できるようになる。
【0021】
より具体的には、前記第1のケース部の接合部と前記第2のケース部の接合部とが、略n回転対称形状(nは2以上の整数)又は略円形状に形成されていると、前記第1のケース部に対して前記第2のケース部を回転させてその取付姿勢を変更することができる。
【0022】
さらに、前記内側端子部のうちの一つと、前記各外側コネクタ端子部のうちの一つと、これらの端子部同士を接続する接続導体とが単一の中継導電性部材により構成されていると、その構成をより簡易化することができる。
【0023】
さらに、前記接続導体が、第2のケース部にインサート成形されていると、容易に製造でき、かつ、防水性にも優れる。
【0024】
また、前記第2のケース部の内面側に、前記各内側端子部をコネクタ端子部として有する内側コネクタ部が設けられ、前記内部電気部品と前記内側コネクタ部にコネクタ接続される部品側コネクタとが配線部材を介して接続されており、前記内側コネクタ部と前記部品側コネクタとが接続された状態で、前記配線部材が前記第2のケース部の接合部の回転対称軸又は中心軸近傍で前記部品側コネクタ部から引出されていると、第1のケース部に対する第2のケース部の取付姿勢に拘らず、配線部材の引出し位置や必要長を略一定にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態に係る電気機器について説明する。ここでは、電気機器として車載用カメラ機器を想定した例について説明するが、その他、各種車載電気機器、一般的なモジュール機器等、外部機器に外部ハーネスを介して電気的に接続される電気機器一般に適用し得る。
【0026】
図1は実施形態に係る車載用カメラ機器と外部ハーネスとを示す説明図であり、図2はリアケース部を示す図である。この車載用カメラ機器20は、車両のバンパやグリル等に設置されて車両の外部景色を撮像するための装置で、いわゆるブラインドコーナーモニタやバックモニタ、サイドモニタ等を構成し、外部ハーネス21を介して電源や車室内の表示装置等の外部機器に接続される構造とされている。
【0027】
ここで、外部ハーネス21は、複数の電線21aの端部にハーネス側コネクタ22を取付けた構成とされている。前記各電線21aとしては、耐屈曲性の観点等からして外部での配索に適した比較的太径のものが用いられている。
【0028】
ハーネス側コネクタ22は、コネクタハウジング22a内に、前記各電線21aに対応するコネクタ端子22b(例えばメス端子)をそれぞれ組み込んだ構成とされている。各コネクタ端子22bとしては、前記電線21aの径にあわせて、当該比較的太径の電線21aを圧着可能な比較的太径なものが用いられている。
【0029】
なお、外部ハーネス21の他端側は、適宜コネクタ接続等を介して車室内の表示装置や電源等の外部機器に接続されている。
【0030】
車載用カメラ機器20は、内部電気部品としての回路基板24と、ケース状ハウジング体としてのカメラハウジング30とを備えている。
【0031】
回路基板24には、CCD素子等の撮像素子26が実装されると共に、撮像素子26に関する電源回路や信号処理回路等が形成されている。
【0032】
また、回路基板24に配線部材として電源供給用や信号授受用の複数の電線25が半田付け等により接続されると共に、その複数の電線25の端部に部品側コネクタ27が取付けられている。複数の電線25としては、上記電線21aよりも細径のもの、即ち、カメラハウジング30内における狭所での配線及び回路基板24への接続に適した比較的細径のものが用いられる。
【0033】
部品側コネクタ27は、コネクタハウジング27a内に、複数のコネクタ端子27bが所定の配列(ここでは略正方形形状の配列)で、コネクタハウジング27aに組込み保持された構成とされている。
【0034】
各コネクタ端子27bは、それぞれ電線25の端部に接続されている。各コネクタ端子27bとしては、電線25の径に合わせて、当該比較的細径の電線25を圧着可能な比較的細径のものが用いられる。
【0035】
各コネクタ端子27bに接続された各電線25は、各コネクタ端子27bの側方を経由してコネクタハウジング27aの一側部から外部に引出される(図1及び図2(a)参照)。そして、本部品側コネクタ27と後述する内側コネクタ部37とが接続された状態で、リアケース部34の略中央部(より具体的には、リアケース部34の開口周縁部34aの回転対称軸A近傍)位置で部品側コネクタ27から引出されるようになっている。これにより、フロントケース部32に対するリアケース部34との回転取付姿勢に拘らず、各電線25の必要長、配線態様等を略一定にできる。
【0036】
また、回路基板24は、撮像素子26にて外部景色を撮像可能な位置及び姿勢で、カメラハウジング30内に固定される。ここでは、回路基板24はフロントケース部32内に固定される。
【0037】
カメラハウジング30は、第1ケース部としてのフロントケース部32と第2ケース部としてのリアケース部34との2分割構造とされ、適宜シール材を介して両者がねじ止等により組合わされて液密状に合体される構造とされている。
【0038】
フロントケース部32は、樹脂等により形成されており、その一主面には光学系30cが組込まれている。そして、カメラハウジング30内の撮像素子26は当該光学系30cを通じて外部景色を撮像するように構成されている。
【0039】
また、リアケース部34も樹脂等により形成されており、上記フロントケース部32に対する複数の取付姿勢のうちから一つを選択して該フロントケース部32に取付可能に構成されている。
【0040】
より具体的には、上記フロントケース部32の接合部である開口周縁部32aと、リアケース部34の接合部である開口周縁部34a(開口周縁部34aに設けられたシール部材等を含む)とが、4回回転対称な形状である略正方形形状に形成されている。そして、リアケース部34が、フロントケース部32に対してを所定の回転対称軸Aを中心に略90度ずつ順次回転させた姿勢のうちの一つを選択して液密状に取付可能に構成されている。ここで、所定の回転対称軸Aは、フロントケース部32とリアケース部34との接合部分(開口周縁部32a,34a)の中心を通る軸Aである。
【0041】
なお、開口周縁部32a,34aは、2回転対称形状である略楕円や、3回転対称形状である略正三角形状に形成されていてもよく、要するに、略n回転対称形状(nは2以上の整数)に形成されていてもよい。また、開口周縁部32a,34aは、略円形状に形成されていてもよい。
【0042】
また、リアケース部34の一主面(背面)には、複数(ここでは4つ)の中継端子部材36が設けられている。
【0043】
各中継端子部材36は、長尺状の導電性部材の中間部を略L字状に屈曲した部材であり、その一端部は他端部よりも細径に形成されている。各中継端子部材36の細径側の端部は、部品側コネクタ27のコネクタ端子27bと接続可能な内側コネクタ端子部37aに形成される。各中継端子部材36の太径側の端部は、ハーネス側コネクタ22のコネクタ端子22bに接続可能な外側コネクタ端子部38aに形成される。つまり、一つの内側コネクタ端子部37aと、これに対応する一つの外側コネクタ端子部38aと、これらを接続する接続導体(ここでは中継端子部材36の中間部分)とが、単一の導電性部材で構成されることになる。もっとも、これらの各部分が別々の部材で構成され、それら各部材が別途半田付けや溶接、圧着等で接続される構成であってもよい。ちなみに、この中継端子部材36は、カメラハウジング30内での比較的細径な端子接続構造を、カメラハウジング30外での比較的太径の端子接続構造に変換する機能をも有している。
【0044】
このような中継端子部材36は、例えば、金属板を適宜形状に打抜き加工等することにより形成され、例えば、銅合金等の母材にSnメッキを施した部材である。相手側端子との接触面積が小さくなる傾向にある細径側の内側コネクタ端子部37a部分については、接続信頼性を向上させるため、金メッキを施してもよい。さらに、中継端子部材の内側コネクタ端子部37a及び外側コネクタ端子部38aの端子形状については、低コスト化を図るため、角型に形成しておくことが好ましい。この場合、相手側端子との接続信頼性向上を図るため、該相手側端子との接触面は、端子材剪断加工時の剪断面ではない平滑面(基の板材で表面となっていた面)となるようにすることが好ましい。
【0045】
これらの中継端子部材36は、各内側コネクタ端子部37aをリアケース部34内に突出させると共に、各外側コネクタ端子部38aをリアケース部34の外方に突出させた状態で、リアケース部34にインサート成形されている。なお、リアケース部34の一主面のうち本中継端子部材36がインサート成形される部分の一部分は、他の部分よりも若干肉厚に形成されていてもよい。
【0046】
各内側コネクタ端子部37aは、リアケース部34の一主面の背面側に所定の配列(ここでは略方形状)に並べられており、これらの内側コネクタ端子部37aにより上記部品側コネクタ27と接続可能な内側コネクタ部37が構成されている。
【0047】
また、各外側コネクタ端子部38aは、所定の配列(ここでは略正方形形状)でリアケース部34の外面側方に向けて延出している。換言すれば、各外側コネクタ端子部38aは、上記所定の回転対称軸Aと略直交する方向に沿って延出している。また、リアケース部34の外面に、上記各外側コネクタ端子部38aを囲うようにして略筒状のコネクタハウジング38bが一体形成されている。このコネクタハウジング38bには、相手側のハーネス側コネクタ22との接続状態を係合保持するためのロック部38dが形成されている。そして、各外側コネクタ端子部38a及びコネクタハウジング38bにより、外側コネクタ38が構成される。これにより、リアケース部34の一側方からハーネス側コネクタ22を接続可能な外側コネクタ38がリアケース部34に一体的に設けられることになる。
【0048】
このように構成された車載用カメラ機器を組立てるにあたっては、回路基板24をフロントケース部32内に固定させると共に、回路基板24側の部品側コネクタ27をリアケース部34内部の内側コネクタ部37に接続する。この状態で、フロントケース部32内の回路基板24とリアケース部34内の部品側コネクタ27間は、屈曲自在かつ柔軟な電線25で接続されている。このため、フロントケース部32に対するリアケース部34の姿勢は変更自在である。
【0049】
そして、本カメラ機器20の設置対応箇所における外部ハーネス21の敷設態様等に応じて、外側コネクタ38がカメラハウジング30の所定の一側外方向を指向するように、フロントケース部32に対するリアケース部34の姿勢を決定して組合わせる。例えば、カメラ機器20の下方に外部ハーネス21が引回されるような場合には、図1に示すように、外側コネクタ38がカメラ機器20の下方を指向するように、フロントケース部32に対してリアケース部34を組合わせる。また、カメラ機器20の上方に外部ハーネス21が引回されるような場合には、図3に示すように、外側コネクタ38がカメラ機器20の上方を指向するように、フロントケース部32に対してリアケース部34を組合わせる。さらに、カメラ機器20の横方向に外部ハーネス21が引回される場合には、外側コネクタ38がカメラ機器20の横方向を指向するように、フロントケース部32に対してリアケース部34を組合わせる。そして、フロントケース部32とリアケース部34とを、ねじ等を用いて固定する。
【0050】
また、このように組み付けられた車載用カメラ機器20を車両に設置するに際しては、外側コネクタ38に外部ハーネス21のハーネス側コネクタ22をコネクタ接続する。これにより、内部電気機器である回路基板24が、部品側コネクタ27、内側コネクタ部37、外側コネクタ38、ハーネス側コネクタ22及び外部ハーネス21を介して、外部制御機器や外部電源等の外部機器に電気的に接続される。
【0051】
以上のように構成されたカメラ機器20によると、リアケース部34の外面側に、複数の外側コネクタ端子部38aを有し該リアケース部34の一側方から外部ハーネス21を接続可能な外側コネクタ38が一体的に設けられている。このため、外部ハーネス21を伝った水の浸入がより確実に防止され防水性に優れると。また、車載用カメラ機器20の設置位置や姿勢、また、設置する車種の変更等に起因する外部ハーネス21の変更にも容易に対処できる。
【0052】
さらに、リアケース部34は、フロントケース部32に対する複数の取付姿勢のうちから一つを選択してフロントケース部32に取付可能に形成されている。本実施形態では、フロントケース部32の開口周縁部32aとリアケース部34の開口周縁部34aとが、略n回転対称形状(nは2以上の整数)又は略円形状に形成されることで、前記第1のケース部に対する前記第2のケース部の取付姿勢を変更することができるようになっている。このため、フロントケース部32に対するリアケース部34の取付姿勢を適宜選択して取付けることで、外部ハーネス21の引出し方向変更にも容易に対処することができる。
【0053】
また、各内側コネクタ端子部37aのうちの一つと、各外側コネクタ端子部38aのうちの一つと、これらの端子部37a,38a同士を接続する接続導体とが、単一の中継端子部材36により構成されているため、その構成をより簡易化することができる。
【0054】
しかも、接続導体を含む中継端子部材36がリアケース部34にインサート成型されているため、容易に製造でき、かつ、防水性にも優れる。
【0055】
なお、本実施形態では、内側コネクタ部37と部品側コネクタ27とがコネクタ接続される例で説明したが、必ずしもその必要はない。例えば、上記内側コネクタ端子部37aに代えて半田付又は溶接等可能な内側端子部に形成し、回路基板24側の配線部材であるリード線、FFC(フレキシブルフラットケーブル)やFPC(フレキシブル印刷基板)等をこの内側端子部に半田付や溶接等で接続するようにしてもよい。
【0056】
もっとも、本実施形態のように、リアケース部34の内面側に、内側コネクタ部37が設けられると共に、回路基板24と部品側コネクタ27とが電線25を介して接続されており、内側コネクタ部37と部品側コネクタ27とがコネクタ接続された状態で、電線25がリアケース部34の開口周縁部34aの回転対称軸A又は中心軸近傍で部品側コネクタ27から引出されることで、フロントケース部32に対するリアケース部34の取付姿勢に拘らず、電線25の引出し位置やその必要長を略一定にすることができる。
【0057】
また、上記外部ハーネス21は、必ずしも直接外部機器に接続される必要はなく、中継ハーネス等を介して外部機器に接続されてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、外側コネクタ38がリアケース部34の一側方に向けて延出する態様について説明したが、必ずしもその必要はない。
【0059】
例えば、図4及び図5に示すように、上記リアケース部34に対応するリアケース部134の背面から外方向(後方)に向けて、外側コネクタ138が延出する構成であっても構わない。なお、本例では、外側コネクタ138の延出方向に合わせて、上記中継端子部材36に対応する中継端子部材136を直線状に形成している。
【0060】
また、これら外側コネクタ138はリアケース部34の背面における中央部からずれた位置にあっても、或は、中央部にあっても構わない。
【0061】
このような構成においても、上記実施形態と同様に、防水性に優れると共にハーネスの変更にも容易に対処できるという効果を得ることができる。また、フロントケース部32に対するリアケース部34の取付姿勢の自由度向上を図ることができ、これにより、リアケース背面におけるハーネスの引出し位置の変更に容易に対処できるようにし、また、組立作業性の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施形態に係る車載用カメラ機器と外部ハーネスとを示す説明図である。
【図2】図2(a)はリアケース部を示す正面図であり、図2(b)はリアケース部を示す底面図であり、図2(c)はリアケース部を示す背面図であり、図2(d)はリアケース部を示す断面図である。
【図3】リアケース部の取付姿勢の他の例を示す図である。
【図4】変形例に係るリアケース部を示す断面図である。
【図5】変形例に係るリアケース部を示す正面図である。
【符号の説明】
【0063】
20 カメラ機器
21 外部ハーネス
22 ハーネス側コネクタ
24 回路基板
25 電線
27 部品側コネクタ
27a コネクタハウジング
27b コネクタ端子
30 カメラハウジング
32 フロントケース部
32a 開口周縁部
34 リアケース部
34a 開口周縁部
36 中継端子部材
37 内側コネクタ部
37a 内側コネクタ端子部
38 外側コネクタ
38a 外側コネクタ端子部
38b コネクタハウジング
A 回転対称軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器に外部ハーネスを介して接続される電気機器であって、
内部電気部品と、
第1のケース部と第2のケース部との合体により構成され、前記内部電気部品を内部に収容したケース状ハウジング体と、
を備え、
前記第2のケース部は、前記第1のケース部に対する複数の取付姿勢のうちから一つを選択して前記第1のケース部に取付可能に形成され、
前記第2のケース部の内面側に前記内部電気部品が電気的に接続される複数の内側端子部が設けられると共に、前記第2のケース部の外面側に複数の外側コネクタ端子部を有し前記外部ハーネスを接続可能な外側コネクタ部が一体的に設けられ、前記各内側端子部と前記各外側コネクタ端子部とが前記第2のケース部に設けられた接続導体でそれぞれ接続されている、電気機器。
【請求項2】
外部機器に外部ハーネスを介して接続される電気機器であって、
内部電気部品と、
第1のケース部と第2のケース部との合体により構成され、前記内部電気部品を内部に収容したケース状ハウジング体と、
を備え、
前記第2のケース部は、前記第1のケース部に対する複数の取付姿勢のうちから一つを選択して前記第1のケース部に取付可能に形成され、
前記第2のケース部の内面側に前記内部電気部品が電気的に接続される複数の内側端子部が設けられると共に、前記第2のケース部の外面側に複数の外側コネクタ端子部を有し前記第2のケース部の一側方から前記外部ハーネスを接続可能な外側コネクタ部が一体的に設けられ、前記各内側端子部と前記各外側コネクタ端子部とが前記第2のケース部に設けられた接続導体でそれぞれ接続されている、電気機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電気機器であって、
前記第1のケース部の接合部と前記第2のケース部の接合部とが、略n回転対称形状(nは2以上の整数)または略円形状に形成されている、電気機器。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電気機器であって、
前記内側端子部のうちの一つと、前記各外側コネクタ端子部のうちの一つと、これらの端子部同士を接続する接続導体とが単一の導電性部材により構成されている、電気機器。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電気機器であって、
前記接続導体は、第2のケース部にインサート成形されている、電気機器。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載の電気機器であって、
前記第2のケース部の内面側に、前記各内側端子部をコネクタ端子部として有する内側コネクタ部が設けられ、
前記内部電気部品と前記内側コネクタ部にコネクタ接続される部品側コネクタとが配線部材を介して接続されており、
前記内側コネクタ部と前記部品側コネクタとが接続された状態で、前記配線部材が前記第2のケース部の接合部の回転対称軸又は中心軸近傍で前記部品側コネクタ部から引出されている、電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−344571(P2006−344571A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254615(P2005−254615)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】