説明

電気機器

【課題】回路規模を増大することなく、待機状態における消費電力を削減し、さらには年間消費電力の低減にも貢献する。
【解決手段】テレビジョン100は、フライバックコンバーターとしての電源回路24を備えており、通常状態では、フライバックトランスであるトランス24eの2次巻線C2aより出力されるフライバック電圧Vfly1を利用して生成した電源電圧を負荷に供給し、待機状態では、トランス24eの2次巻線c2bより出力されるフォワード電圧Vfor2を利用して生成した電源電圧を負荷に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器に関し、特にフライバックコンバーターを備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、家電だけでなくあらゆる電気機器において省電力が必須課題であり、その要求水準は年々厳しくなっている。例えば、日本のテレビにおけるスタンバイ時の省電力は0.1Wが必須であり、年間消費電力を下げる目的でスタンバイモードでの更なる省電力化を求められている。電源回路の省電力化にかかる技術として以下の特許文献1〜3が開示されている。
【0003】
特許文献1には、1つの1次巻線と2つの2次巻線とを備えるトランスを備え、第1の2次巻線が1次巻線との間でフライバックコンバーターを形成し、第2の2次巻線が1次巻線との間でフォワードコンバーターを形成している電源装置について開示されている。当該電源装置においては、第1の2次巻線から取り出されるフライバック電力を通常電力とし、第2の2次巻線から取り出されるフォワード電力を待機電力として利用している。フライバック電圧は1次巻線の通電時間が短くなると出力電圧が低下するが、フォワード電力は1次巻線の通電時間が短くなっても出力電圧をほぼ一定に維持できるため、電力消費を抑制した状態で待機電力を供給できる。
【0004】
特許文献2には、フォワード方式のコンバータートランスの2次側にダイオードとコンデンサのフライバック回路を設け、負荷電流が所定値以下になった時にフライバック方式に切替えてコンバータートランスに蓄積されたエネルギーをフライバック出力として取り出すスイッチング電源装置について開示されている。当該スイッチング電源装置は、仮に大電力負荷に対応して設計されていても、負荷変動が激しく、使用状態のほとんどがスタンバイで小電力の場合においても省電力を実現可能になっている。
【0005】
特許文献3には、1つのトランスの2次側に2つの2次巻線を設け、一方の2次巻線に対してフライバック方式の整流回路を設け、他方の2次巻線に対してフォワード方式の整流回路を設けることにより、1つのトランスを用いてフォワード方式とフライバック方式の2方式で多出力型スイッチング電源について開示されている。当該スイッチング電源によれば、電源の効率を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−209859号公報
【特許文献2】特開平6−62568号公報
【特許文献3】公開実用平成4−35683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の各種電源回路においては待機状態における省電力化が不十分であり、又、回路規模の縮小に工夫の余地があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、回路規模を増大することなく待機状態における消費電力を削減し、さらには年間消費電力の低減にも貢献することが可能なフライバックコンバーターを備えた電気機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1にかかる電気機器は、フライバックコンバーターを備えており、通常状態では、フライバックトランスの2次巻線より出力されるフライバック電圧を負荷の電源電圧として供給し、待機状態では、前記2次巻線より出力されるフォワード電圧を負荷の電源電圧として供給する構成とされる。
【0010】
前記フライバックコンバーターでは、1つの2次巻線からフライバック電圧とフォワード電圧を出力可能となっている。よって回路規模を増大せずに、フライバック電圧とフォワード電圧とを通常状態と待機状態とに使い分けることができる。よって、待機状態における消費電力を削減し、さらには年間消費電力の低減にも貢献できる。
【0011】
また、本発明の選択的な一態様は、前記フォワード電圧の正負を反転させる正負反転回路を備え、前記電気機器は、前記正負反転回路にて正負反転された前記フォワード電圧を前記電源電圧として前記負荷に供給する構成とされる。
当該構成によれば、予め正負反転したフォワード電圧が負荷に供給されるため、負荷にてフォワード電圧を正負反転させたり、負電圧で駆動する構成としたりする必要が無い。
【0012】
また、本発明の選択的な一態様は、前記正負反転回路は、負極を前記2次巻線の負極に接続した第1の電解コンデンサと、カソードを前記第1の電解コンデンサの正極に接続されアノードをグランドに接続された第1のダイオードと、アノードを前記第1の電解コンデンサの正極に接続された第2のダイオードと、正極を前記第2のダイオードのカソードに接続されアノードをグランドに接続された第2の電解コンデンサと、を備え、前記第2の電解コンデンサの正極に発生する電圧を前記電源電圧として前記負荷に供給する構成とされる。
当該構成によれば、フォワード電圧を正負反転する回路をシンプルな回路構成で実現できる。
【0013】
また、本発明の選択的な一態様は、前記電源電圧の供給対象となる負荷に流れる電流が約13.8mA以下の場合は、前記フライバック電圧を利用して生成した電源電圧を負荷に供給し、前記電源電圧の供給対象となる負荷に流れる電流が約13.8mAより大きい場合は、前記フォワード電圧を利用して生成した電源電圧を負荷に供給する構成とされる。
当該構成によれば、確実に待機動作時における待機電力を削減することができる。
【0014】
また、本発明の選択的な一態様は、負極を前記2次巻線の負極に接続した第1の電解コンデンサと、カソードを前記第1の電解コンデンサの正極に接続されアノードをグランドに接続された第1のダイオードと、アノードを前記第1の電解コンデンサの正極に接続された第2のダイオードと、正極を前記第2のダイオードのカソードに接続されアノードをグランドに接続された第2の電解コンデンサと、により構成され、前記第2の電解コンデンサの正極に前記フォワード電圧の正負を反転させた電圧を発生する正負反転回路を備え、前記電気機器は、前記フォワード電圧の正負を反転させた電圧を前記電源電圧として前記負荷に供給し、前記待機状態において前記電源電圧の供給対象となる負荷に流れる電流は、約13.8mA以下である構成とされる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、回路規模を増大することなく、待機状態における消費電力を削減し、さらには年間消費電力の低減にも貢献することが可能なフライバックコンバーターを備えた電気機器を提供することができる。
請求項2にかかる発明によれば、予め正負反転したフォワード電圧が負荷に供給される。
請求項3にかかる発明によれば、フォワード電圧を正負反転する回路をシンプルな回路構成で実現できる。
請求項4にかかる発明によれば、確実に待機状態における待機電力を削減することができる。
請求項5のようなより具体的な構成によれば請求項1〜請求項4の各発明と同様の作用を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】スイッチング電源回路を備えたテレビジョンの概略構成を示すブロック図である。
【図2】電源回路の一例にかかる構成を示す回路図である。
【図3】負荷に流れる電流値と電力変換効率の関係をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)本実施形態の構成:
(2)電源回路の構成:
(3)まとめ:
【0018】
(1)本実施形態の構成:
図1は、本発明の実施形態にかかるスイッチング電源回路を備えたテレビジョンの概略構成を示すブロック図である。同図に示すテレビジョンは、本実施形態において電気機器を構成する。なお、本発明における電気機器は、アナログ回路のみならずIC(Integrated Circuit)のような電子回路を含んだ機器も含むものとする。
【0019】
図1に示すように、テレビジョン100は、チューナー10、映像処理部12、表示部14、音声処理部16、スピーカー18、メインマイコン20、サブマイコン22、電源回路24、リモコン26、等を備えている。電源回路24には、外部から、例えば商用の交流電源が入力れており、当該交流電源を利用して生成した各種の電源電圧をテレビジョン100の各部へ供給している。なお、図1ではメインマイコン20とサブマイコン22への電源電圧の供給のみを図示して有る。チューナー10、映像処理部12、表示部14、音声処理部16、スピーカー18、メインマイコン20、サブマイコン22は、本実施形態において電源回路24の負荷を構成する。
【0020】
テレビジョン100においては、リモコン26に対してユーザーが行う操作入力に従って電源のオンオフを切換可能である。電源のオンとはテレビジョン100の画面に映像を表示している通常状態であり、電源のオフとはテレビジョン100の画面に映像を表示せずにリモコン26に対する操作入力を待機している待機状態である。
【0021】
通常状態のテレビジョン100において、ユーザーがリモコン26に対して待機状態への移行を指示する操作入力を行うと、リモコン26から待機状態への切換を指示する信号が入力され、テレビジョン100は通常状態から待機状態へ移行する。
待機状態に移行すると、電源回路24は、メインマイコン20を含むテレビジョン100の大半(以下、メインマイコン20等と記載する)に対して供給する電源電圧を低下させ、メインマイコン20等の動作を停止させる。また、待機状態において、電源回路24は、サブマイコン22に対して供給する電源電圧をサブマイコン22が動作可能なレベルに維持する。なお、本実施形態では、サブマイコン22が、リモコン26からテレビジョン100の本体へ送信される信号を受信する機能を有しているものとする。
【0022】
待機状態のテレビジョン100において、ユーザーがリモコン26に対して通常状態への移行を指示する操作入力を行うと、リモコン26から通常状態への切換を指示する信号が入力され、テレビジョン100は待機状態から通常状態へ移行する。
通常状態へ移行すると、電源回路24は、サブマイコン22の制御に従いメインマイコン20等に供給する電源電圧を上昇させ、メインマイコン20等の動作を再開させる。
【0023】
(2)電源回路の構成:
図2は、電源回路24の一例にかかる構成を示す回路図である。同図に示す電源回路は、本実施形態においてフライバックコンバーターを構成する。
同図において、電源回路24は1次側に、整流回路24a、平滑回路24b、スイッチング素子24c、スイッチング制御部24d、フライバックトランス24e(1次巻線C1)、フィードバック回路24h(後述するフォトカプラの受光素子)、を備えている。
また、電源回路24は2次側に、フライバックトランス24e(主たる2次巻線C2a、補助的な2次巻線C2b)、整流回路24f、平滑回路24g、フィードバック回路24h(フォトカプラの受光素子を除く)、状態切換回路24i、整流回路24j、反転整流回路24k、を備えている。
【0024】
整流回路24aは、外部から入力される交流電源を整流する回路であり、例えば、ダイオードにより構成することができる。
【0025】
平滑回路24bは、整流回路24aの出力する直流からリップルを除去する回路であり、例えば、平滑用の電解コンデンサにより構成することができる。
【0026】
スイッチング素子24cは、フライバックトランス24eの1次巻線C1に対する整流平滑された直流の印加をオンオフする素子であり、例えば、FET(電界効果トランジスタ)により構成することができる。
【0027】
スイッチング制御部24dは、スイッチング素子24cのオンオフをスイッチング制御するものであり、例えば電源制御ICにより構成することができる。むろん、スイッチング制御部24dは、他励式に限るものではなく自励式であってもよい。
【0028】
整流回路24fは、2次巻線C2aから出力されるフライバック電圧Vfly1を整流する回路であり、例えば、ダイオードにより構成することができる。
【0029】
平滑回路24gは、整流回路24fの出力する直流からリップルを除去する回路であり、例えば、平滑用の電解コンデンサにより構成することができる。
【0030】
フィードバック回路24hは、1次巻線C1から出力されるフライバック電圧Vfly1の変動を1次側のスイッチング制御部24dへフィードバックする。
具体的には、フィードバック回路24hは、例えば、フォトカプラの発光素子24h1とツェナダイオード24h2により構成することができる。ツェナダイオード24h2は、カソードをフライバック電圧Vfly1の伝送ラインに向け、アノードをグランドに向けて配置されており、フォトカプラの発光素子(例えば発光ダイオード)とツェナダイオードは直列接続によりフライバック電圧Vfly1の伝送ラインとグランドの間を接続している。
ツェナダイオード24h2は、フライバック電圧Vfly1が所定値を超えると降伏し、フォトカプラの発光素子24h1は、ツェナダイオード24h2が降伏すると発光するようになっている。この発光を受光素子(例えば、フォトトランジスタ)が受光し、スイッチング制御部24dにフィードバック信号が入力される。
スイッチング制御部24dは、フィードバック回路24hからフィードバック信号が入力されるとスイッチング素子24cのスイッチング制御を停止し、フィードバック回路24hからのフィードバック信号の入力が停止するとスイッチング素子24cのスイッチング制御を行う。
【0031】
状態切換回路24iは、サブマイコン22の指示に従って電源回路24の状態を通常状態と待機状態と間で切換えることができる。状態切換回路24iは、例えば、スイッチング制御部24dに対するフィードバック信号の出力タイミングを調整することにより状態を切換え可能であり、待機状態では通常状態より低いフライバック電圧Vfly1でフィードバック信号が出力されるようにフィードバック信号の出力タイミングを調整する。
具体的には、状態切換回路24iは、ツェナダイオード24i1、トランジスタ24i2、並びに上述したフィードバック回路24hにより構成することができる。ツェナダイオード24i1はアノードをグランドに接続されている。トランジスタ24i2はNPN型であり、ベースにはサブマイコン22から状態切換信号が入力され、エミッタがツェナダイオード24i1のカソードに接続され、コレクタがツェナダイオード24h2のカソードに接続されている。ツェナダイオード24i1はツェナダイオード24h2よりも低電圧で降伏するようになっている。
なお、状態切換信号は、通常状態ではローレベルとされ、待機状態になるとハイレベルとされる。すなわち、トランジスタ24i2は、通常状態ではオンせず、待機状態ではオンする。その結果、通常状態ではツェナダイオード24h2の降伏電圧によってフィードバック信号の出力タイミングが決定され、待機状態ではツェナダイオード24i1の降伏電圧によってフィードバック信号の出力タイミングが決定される。
【0032】
整流回路24jは、補助的な2次巻線C2bから出力されるフライバック電圧Vfly2を整流する回路であり、例えば、ダイオードで構成することができる。
【0033】
反転整流回路24kは、補助的な2次巻線C2bから出力されるフォワード電圧Vfor2の電圧を正負反転させた後、整流する回路である。
具体的には、反転整流回路24kは、電解コンデンサ24k1、ダイオード24k2、ダイオード24k3、電解コンデンサ24k4により構成することができる。電解コンデンサ24k1は、負極をサブ巻線の負極に接続されている。ダイオード24k2は、カソードを電解コンデンサ24k1の正極に接続され、アノードをグランドに接続されている。ダイオード24k3は、アノードを電解コンデンサ24k1の正極とダイオード24k2のカソードに接続されている。電解コンデンサ24k4は、正極をダイオード24k3のカソードとサブマイコンの電源端子に接続され、アノードをグランドに接続されている。
電解コンデンサ24k1は、フライバックトランス24eの2次巻線C2bにフォワード電圧Vfor2が発生している期間(フォワード期間)中にフォワード電圧Vfor2を蓄積し、フライバックトランス24eの2次巻線C2bにフライバック電圧Vfly2が発生している期間(フライバック期間)に蓄積したフォワード電圧Vfor2を放出する。
ダイオード24k2は、フォワード期間にグランドから電解コンデンサ24k1へ電荷を供給し、フライバック期間に電解コンデンサ24k1とグランドとの間を絶縁する。
ダイオード24k3は、フォワード期間に電解コンデンサ24k1とサブマイコン22との間を絶縁し、フライバック期間に電解コンデンサ24k1に蓄積された電荷に基づく電圧をサブマイコン22へ入力する。ダイオード24k3は整流作用も有する。
電解コンデンサ24k4は、電解コンデンサ24k1からサブマイコン22へ入力される電圧を平滑する。
【0034】
なお、フォワード電圧Vfor2の電圧を正負反転させる反転整流回路24kは、本実施形態において正負反転回路を構成する。また、本実施形態において、電解コンデンサ24k1は第1の電解コンデンサを構成し、ダイオード24k2は第1のダイオードを構成し、ダイオード24k3は第2のダイオードを構成し、電解コンデンサ24k4は第2の電解コンデンサを構成する。
【0035】
以上説明した電源回路24によれば、フライバックトランスの2次巻線よりフライバック電圧Vfly1とフォワード電圧Vfor2とを出力することができる。フライバック電圧Vfly1は、メインマイコン20等に対して供給されており、フォワード電圧Vfor2は、サブマイコン22に対して供給されている。フライバック電圧Vfly1は、通常状態においては各構成の動作電圧以上となるように調整され、待機状態においては各構成の動作電圧未満となるように調整されている。電源回路24から各構成へ供給される電源電圧は、レギュレータにより、各構成の動作電圧に適合するように低下させてから供給される。一方、フォワード電圧Vfor2は、通常状態における電圧レベルを調整する必要はないが、待機状態においてはサブマイコン22の動作電圧以上の電源電圧を出力するように調整されている。
【0036】
また、以上説明した電源回路24によれば、リモコン26の操作入力に応じて、通常状態と当該通常状態よりも出力電圧が低下する待機状態とが切換わる。通常状態と待機状態におけるフライバック電圧Vfly1は、前記のように調整されているため、電源回路24から供給される電源電圧が動作電圧未満に低下すると各構成に対する電源電圧の供給が停止され、メインマイコン20等は動作を停止する。その結果、これら構成における消費電力も0になる。また、待機状態におけるフォワード電圧Vfor2は、前記のように調整されているため、サブマイコン22は待機状態において動作する。
【0037】
ここで、待機状態においてサブマイコン22をフライバック電圧Vfly1で駆動する場合とフォワード電圧Vfor2で駆動する場合とを比較する。上述したように、待機状態においては、フィードバック回路24hにおける閾値(ツェナダイオードの降伏電圧)が低くなり、トランス24eの1次巻線C1の通電時間が短くなる。このとき、フライバック電圧Vfly1の出力は通電時間に応じて低下するが、フォワード電圧Vfor2の出力はほぼ一定に維持される。すなわち、フォワード電圧Vfor2でサブマイコン22を駆動することにより、フライバック電圧Vfly1でサブマイコン22を駆動する場合に比べて、トランス24eの1次巻線C1の通電時間を大幅に短縮することができる。よって、待機状態における消費電力を削減することができる。
【0038】
また、図3を参照し、フライバック電圧で負荷を駆動した場合とフォワード電圧で負荷を駆動した場合との電力変換効率を比較する。同図は、フライバック電圧で負荷を駆動した場合と、フォワード電圧で負荷を駆動した場合と、で負荷(抵抗値)を様々に変更した場合における、負荷に流れる電流値(mA)と電力変換効率ηの関係をプロットしたグラフである。
なお、電力変換効率ηは下記式(1)により算出される。下記式(1)において、P1は1次側に入力される電力を表し、P2は2次側に出力される電力を表している。
【数1】


同図に示されるように、電源電圧の供給対象となる負荷に流れる電流が約13.8mA以下の場合は、フライバック電圧を利用して生成した電源電圧を負荷に供給した方が効率が高く、電源電圧の供給対象となる負荷に流れる電流が約13.8mAより大きい場合は、フォワード電圧を利用して生成した電源電圧を負荷に供給する方が効率が高くなることが分かる。すなわち、待機状態において駆動される負荷に流れる電流が約13.8mA以下の場合にフォワード電圧を利用すると、フライバック電圧を利用して負荷を駆動する場合に比べて電力変換効率が向上し、省電力に効果がある事が分かる。
【0039】
(3)まとめ:
以上説明したように本実施形態にかかるテレビジョン100は、フライバックコンバーターとしての電源回路24を備えており、通常状態では、フライバックトランスであるトランス24eの2次巻線C2aより出力されるフライバック電圧Vfly1を利用して生成した電源電圧を負荷に供給し、待機状態では、トランス24eの2次巻線c2bより出力されるフォワード電圧Vfor2を利用して生成した電源電圧を負荷に供給する。このように構成されたテレビジョン100であれば、電源回路24の回路規模を増大することなく、待機状態における消費電力を削減し、さらには年間消費電力の低減にも貢献することが可能となる。
【0040】
なお、上述した実施形態では、通常状態においては、主たる2次巻線C2aから出力されるフライバック電圧を利用してメインマイコン20等を駆動し、待機状態においては、補助的な2次巻線C2bから出力されるフォワード電圧を利用してサブマイコン22を駆動する場合を例にとって説明しているが、むろん、同じ2次巻線から出力されるフライバック電圧とフォワード電圧を使い分けても構わない。すなわち、通常状態においては、主たる2次巻線C2aから出力されるフライバック電圧を利用してメインマイコン20等を駆動し、待機状態においても、主たる2次巻線C2aから出力されるフォワード電圧を利用してサブマイコン22を駆動するようにしてもよい。
【0041】
また、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0042】
10…チューナー、12…映像処理部、14…表示部、16…音声処理部、18…スピーカー、20…メインマイコン、22…サブマイコン、24…電源回路、24a…整流回路、24b…平滑回路、24c…スイッチング素子、24d…スイッチング制御部、24e…フライバックトランス、C1…1次巻線、C2a…2次巻線、C2b…2次巻線、24f…整流回路、24g…平滑回路、24h…フィードバック回路、24h…フィードバック回路、24h1…フォトカプラ、24h2…ツェナダイオード、24i…状態切換回路、24i1…ツェナダイオード、24i2…トランジスタ、24j…整流回路、24k…反転整流回路、24k1…電解コンデンサ、24k2…ダイオード、24k3…ダイオード、24k4…電解コンデンサ、26…リモコン、100…テレビジョン、Vfly1…フライバック電圧、Vfor2…フォワード電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライバックコンバーターを備える電気機器において、
通常状態では、フライバックトランスの2次巻線より出力されるフライバック電圧を利用して生成した電源電圧を負荷に供給し、
待機状態では、前記2次巻線より出力されるフォワード電圧を利用して生成した電源電圧を負荷に供給する
ことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記フォワード電圧の正負を反転させる正負反転回路を備え、
前記正負反転回路にて正負反転された前記フォワード電圧が前記電源電圧として前記負荷に供給される請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記正負反転回路は、負極を前記2次巻線の負極に接続した第1の電解コンデンサと、カソードを前記第1の電解コンデンサの正極に接続されアノードをグランドに接続された第1のダイオードと、アノードを前記第1の電解コンデンサの正極に接続された第2のダイオードと、正極を前記第2のダイオードのカソードに接続されアノードをグランドに接続された第2の電解コンデンサと、を備え、
前記第2の電解コンデンサの正極に発生する電圧が前記電源電圧として前記負荷に供給される請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記待機状態において前記電源電圧の供給対象となる負荷に流れる電流は、約13.8mA以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
負極を前記2次巻線の負極に接続した第1の電解コンデンサと、カソードを前記第1の電解コンデンサの正極に接続されアノードをグランドに接続された第1のダイオードと、アノードを前記第1の電解コンデンサの正極に接続された第2のダイオードと、正極を前記第2のダイオードのカソードに接続されアノードをグランドに接続された第2の電解コンデンサと、により構成され、前記第2の電解コンデンサの正極に前記フォワード電圧の正負を反転させた電圧を発生する正負反転回路を備え、
前記電気機器は、前記フォワード電圧の正負を反転させた電圧を前記電源電圧として前記負荷に供給し、
前記待機状態において前記電源電圧の供給対象となる負荷に流れる電流は、約13.8mA以下である請求項1に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−182955(P2012−182955A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45607(P2011−45607)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】