説明

電気活性ポリマー及びそれを含有する物品

少なくとも1つのエチレン性不飽和含窒素モノマーの重合物である誘電性ポリマーの少なくとも1つの層を含む電気活性ポリマーデバイスについて説明する。上記のような電気活性ポリマーを含む変換器も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気応答性素子、及びその電気応答性素子を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーのような電気活性物質(電気応答性物質ともいう)は多くの用途で利用されている。代表的な用途としては、ロボット工学用途、ポンプ、スピーカー、及び人工器官が挙げられるが、これらに限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
材料の所要電気エネルギー入力量が低いほど、そのデバイスのエネルギー効率を高くできるので、比較的小さいエネルギー入力に対する機械的応答が比較的大きい材料の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、少なくとも1つのエチレン性不飽和含窒素モノマー(ただし、このエチレン性不飽和含窒素モノマーはアクリロニトリルではない)から形成された誘電性ポリマーの少なくとも1つの層を含む電気活性ポリマーデバイスを開示する。この電気活性ポリマーデバイスは、圧電デバイス、焦電デバイス、作動装置、変換器、又はセンサから選択される。
【0005】
本明細書では、電気的エネルギーと機械的エネルギーとの変換を行うための変換器であって、作動コンポーネントであって、少なくとも1つのエチレン性不飽和含窒素モノマー(ただし、このエチレン性不飽和含窒素モノマーはアクリロニトリルではない)から形成された誘電性ポリマーの少なくとも1つの層を有する、作動コンポーネントと、その作動コンポーネントに電気的に接続された第1の電極と、その作動コンポーネントに電気的に接続された第2の電極とを含む変換器も開示する。上記の作動コンポーネント全体に電界を印加すると、誘電性ポリマーの少なくとも1つの層は機械的に変位する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の様々な実施形態についての以下の詳細説明を添付の図面と共に検討することで、本開示はより完全に理解され得る。
【図1】本明細書に開示されている代表的な変換器。
【0007】
この図は、縮尺通りに描かれている訳ではない。
【0008】
以下の記述では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、特定の実施形態を例として示す。本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が検討され、作製され得ることを理解されたい。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で使用する全ての科学用語及び専門用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書にて提供される定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を促進しようとするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0010】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴の大きさ、量、物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0011】
端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数が含まれ(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)、その範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0013】
本明細書では、電気活性ポリマーと、そのポリマーを含むデバイスを開示する。このようなデバイスの例としては、圧電デバイス、焦電デバイス、作動装置、及びセンサが挙げられるが、これらに限定されない。このような物品に印加される電圧は、その物品、又は物品と共に含まれている電気活性ポリマーを変形させることができ、あるいは、その物品に機械的応力がかかっていると、電圧を発生させることがある。
【0014】
電気活性ポリマーは、電界に反応して、例えば伸長、収縮、若しくは屈曲などの機械的応答を示すポリマー、又は機械的応力に反応してエネルギーを発生させるポリマーである。本明細書に開示されているような代表的な電気活性ポリマーデバイスは、少なくとも1つのエチレン性不飽和含窒素モノマーから形成された誘電性ポリマーの少なくとも1つの層を含む。
【0015】
本明細書に開示されている1つの実施形態は、ポリマーの少なくとも1つの層を含む。この少なくとも1つの層は、作動装置のような電気デバイスを形成するのに有用な任意の厚みを有することができる。1つの実施形態では、この少なくとも1つの層の厚みは、少なくとも0.1マイクロメートル(μm)、少なくとも0.2μm、少なくとも0.5μm、少なくとも1μm、少なくとも10μm、又は少なくとも50μmであることができる。この少なくとも1つの層の厚みは、最大で1000μm、最大で500μm、最大で200μm、又は最大で100μmであることができる。この厚みは例えば、約0.01マイクロメートル〜約1000μm、約0.1〜500μm、又は約0.1μm〜約100μmであることができる。
【0016】
電気デバイス又は作動装置は、ポリマーの複数の層を含むこともできる。1つの実施形態では、この複数の層のすべてが、誘電性ポリマーを含むことができる。1つの実施形態では、この複数の層の一部が、誘電性ポリマーを含む。1つの実施形態では、電気デバイス又は作動装置は、複数のポリマー層を含むことができる。1つの実施形態では、電気デバイス又は作動装置は、約2〜約10のポリマー層を含むことができる。多層デバイスを製作する代表的な方法は、2008年9月18日に公開された「Multilayer Conductive Elements」という表題の米国特許出願公開第20080224566号で見ることができる。
【0017】
上記のポリマーは、1種類又はそれを超えるモノマーから形成することができる。モノマーという用語は、本明細書で使用する場合、そのモノマー又は異なるモノマーと重合されることのできる任意の分子である。1種類のみのモノマーから形成されたポリマーはホモポリマーである。1種類を超えるモノマーから形成されたポリマーはコポリマーである。
【0018】
上記の少なくとも1つのモノマーは、含窒素基及びエチレン性不飽和官能基を含み、本明細書では、このモノマーをエチレン性不飽和含窒素モノマーと称される。1つの実施形態では、エチレン性不飽和含窒素モノマーのみを反応させて、ホモポリマーを形成する。1つの実施形態では、エチレン性不飽和含窒素モノマーをエチレン性不飽和コモノマーと反応させて、コポリマーを形成する。
【0019】
上記のエチレン性不飽和含窒素モノマーは、含窒素基及びエチレン性不飽和基を含有する。「エチレン性不飽和官能基」という句は、本明細書で使用する場合、分子の末端の二重結合(例えば、最後の2つの炭素間の二重結合、又は最初の2つの炭素間の二重結合)を指す。エチレン性不飽和基に含めることができる代表的な構造体は、(メタ)アクリロイル基又はビニル基である。
【0020】
モノマーの含窒素基は、任意の好適な化学構成を有することができる。この含窒素基は、環状構造体又は線状構造体であることができる。多くの好適な環状含窒素基では、窒素は、環状構造体の環原子の1つである。窒素環原子を含有する代表的な環状基としては、ピロリドニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピペラジニル基、トリアジニル基、及びカプロラクタミル基が挙げられるが、これらに限定されない。これらの環状基は、エチレン性不飽和基に直接又は間接的に結合することができる。いくつかのこのようなモノマーは、式(I)又は式(II)の化合物であることができる。
【0021】
【化1】

【0022】
これらの式中、Rは水素、又は1〜10個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、若しくは1〜4個の炭素原子を有するアルキルのようなアルキルである。Rの基は、単結合、又は1〜10個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、若しくは1〜4個の炭素原子を有するアルキレンのようなアルキレンである。Qの基は、4〜8個の環原子を有する含窒素環状基である。Qの基は、飽和、部分飽和、又は不飽和であることができる。環原子は典型的には窒素又は炭素である。含窒素環状基は典型的には少なくとも1つの窒素環原子を有する。窒素環原子は典型的に、式(I)では−C(R)=CHの基に、又は式(II)ではR基に結合している。
【0023】
式(I)の具体的なモノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロール、N−N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピリジン、及びN−ビニルカプロラクタムが挙げられるが、これらに限定されない。式(II)の具体的なモノマーとしては、ピロリドンエチルアクリレートが挙げられるが、これに限定されない。
【0024】
いくつかの代表的な含窒素モノマーは、式(III)のモノマーである。
【0025】
【化2】

【0026】
式(III)では、エチレン性不飽和基はビニル基である。Rの基は、水素、アルキル基、又はRと一緒になって飽和、部分飽和、若しくは不飽和環状基を形成する基であることができる。Rの基は、アルキル、又はRと一緒になって環状基を形成する基であることができる。この環状基は、4〜8個の環原子を有することが多い。これらの環原子は通常、炭素又は窒素である。好適なアルキル基は、多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。RとRが一緒になって環状基を形成する式(III)のモノマーは、式(I)のモノマーのサブセットである。
【0027】
とRが一緒になって環状構造体を形成する式(III)の例としては、N−ビニルカプロラクタム(vinylcarprolactam)及びN−ビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。Rがアルキルであり、Rが水素又はアルキルである式(III)の例としては、N−ビニルアセトアミド及びN−ビニル−N−メチルアセトアミドが挙げられる。
【0028】
上記の少なくとも1つのエチレン性不飽和含窒素モノマーは任意により、エチレン性不飽和コモノマーと反応させることができる。1種又はそれ以上(例えば2種類以上の混合物)のエチレン性不飽和コモノマーを用いることができる。代表的なエチレン性不飽和コモノマーとしては、イソボルニルアクリレート、ブタジエン(1,3−ブタジエン)、イソオクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、及びイソブチルアクリレート(IBOA)が挙げられるが、これらに限定されない。他の代表的なコモノマーとしては、ビニルアセテートのような各種ビニルエステルを挙げることができる。
【0029】
1種類のモノマーのみ、すなわちエチレン性不飽和含窒素モノマーのみを用いる1つの実施形態では、このモノマーはピロリドンエチルアクリレートであることができる。ピロリドンエチルアクリレートは、ピロリジニル基とビニル基との両方を含むモノマーである。ピロリドンエチルアクリレートを別のエチレン性不飽和含窒素モノマー又はエチレン性不飽和コモノマーのいずれかと組み合わせて、コポリマーを形成することもできる。
【0030】
本明細書に記載されているような代表的なホモポリマーとしては、重合ピロリドンエチルアクリレートを挙げることができるが、これに限定されない。本明細書に記載されているような代表的なコポリマーとしては、N−ビニルピロリドン(NVP)とイソオクチルアクリレート(IOA)とのコポリマー、N−ビニルアセトアミド(NVA)とイソオクチルアクリレート(IOA)とのコポリマー、N−ビニルイミダゾール(NVI)とイソオクチルアクリレート(IOA)とのコポリマー、N−ビニルカプロラクタム(NVC)とイソオクチルアクリレート(IOA)とのコポリマー、ピロリドンエチルアクリレート(PYEA)とイソオクチルアクリレート(IOA)とのコポリマー、N−ビニルピロリドン(NVP)とイソボルニルアクリレート(IBOA)とのコポリマー、N−ビニルアセトアミド(NVA)とイソボルニルアクリレート(IBOA)とのコポリマー、N−ビニルイミダゾール(NVI)とイソボルニルアクリレート(IBOA)とのコポリマー、N−ビニルカプロラクタム(NVC)とイソボルニルアクリレート(IBOA)とのコポリマー、及びピロリドンエチルアクリレート(PYEA)とイソボルニルアクリレート(IBOA)とのコポリマーを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0031】
電気活性ポリマーが、少なくとも2つのモノマー(エチレン性不飽和含窒素モノマー及びエチレン性不飽和コノモマー)で形成されたコポリマーである実施形態では、その2つのモノマーの量は様々であることができる。1つの実施形態では、エチレン性不飽和含窒素モノマーとエチレン性不飽和コノモマーとの重量比は約20:80〜約60:40である。1つの実施形態では、エチレン性不飽和含窒素モノマーとエチレン性不飽和コノモマーとの重量比は約30:70〜約50:50である。
【0032】
電気活性ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)は、架橋することもできる。架橋ポリマーは、非架橋ポリマーよりも優れた耐久性をもたらすことができる。架橋ポリマーは、粘弾性特性に良い効果を与えると共に、場合により絶縁破壊強度を向上させることもある。既知の架橋法を用いることができる。例えば、ポリマーは、物理的に架橋することも、化学的に架橋することもできる。架橋は、例えば、熱、圧力、又は放射線によって開始させることができる。ポリマーを化学的に架橋する1つの実施形態では、様々な既知の化学的架橋剤を用いることができる。用いられる特定の化学的架橋剤は、少なくともある程度は、用いられる特定のモノマー(単一又は複数)、対応するモノマーの量(該当する場合)、所望の架橋度、本明細書では論じられていないその他の要因、又はこれらの組み合わせに応じて決めることができる。
【0033】
用いることができる代表的な化学的架橋剤としては多官能アクリレートが挙げられるが、これに限定されない。1つの実施形態では、用いることができる具体的な代表的架橋剤としては、ポリブタジエンジアクリレート、ペンタアクリレートエステル、トリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート(hexanediol diacryalte)、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリアクリレート(THEIC)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)のような多官能アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。用いることができる化学的架橋剤の量は、少なくともある程度は、用いられる特定の架橋剤、モノマー(単一又は複数)の量、所望の架橋度、本明細書では論じられていないその他の要因、又はこれらの組み合わせに応じて決めることができる。1つの実施形態では、化学的架橋剤は、樹脂100部に対して約0.1部(phr)〜約100phrの量で用いることができる。1つの実施形態では、化学的架橋剤は、約0.2phr〜約50phrの量で用いることができる。1つの実施形態では、化学的架橋剤は、約0.2phr〜約20phrの量で用いることができる。別の実施形態では、化学的架橋剤は、約0.1phr〜約10phr、又は約0.1phr〜約5phrの量で用いることができる。用いる架橋剤は、最終的なポリマーの弾性率に影響を及ぼすことができ、一般に、密に架橋され過ぎてもゆるく架橋され過ぎてもいないポリマーから、更に有益な電気応答性を得ることができる。用いる架橋剤は、印加した電界に対する応答性も有することができる。
【0034】
電気活性ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)は、他の添加剤も含んでよい。添加剤は、ポリマーの特定の特性に影響を及ぼす目的で、任意で用いてよい。用いてよい添加剤の1つのタイプは、電気活性ポリマーの電気応答性を高めるか又は調整する添加剤であり、本明細書では電気応答添加剤と称する。代表的な電気応答添加剤としては、ポリオレフィン、エラストマー、ポリウレタン、シリコーン、ポリ(フッ化ビニリデン(vinylidine))、又はアクリルコポリマーのような有機添加剤(ポリマーブレンド)が挙げられる。代表的な電気応答添加剤としては、金属酸化物、BaTiO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、及びニオブ酸鉛マグネシウム−チタン酸鉛(PMN−PT)のような無機添加剤(ポリマー複合材料)が挙げられる。用いてよい他の添加剤としては、シアノエチルアクリレート−ポリメチルメタクリレートコポリマー(CEA−MMA)が挙げられるが、これに限定されない。
【0035】
本明細書に開示されているような電気活性ポリマーは、変換器に含めることができる。変換器は、電気的エネルギーと機械的エネルギーとの変換、又は機械的エネルギーと電気的エネルギーとの変換を行うことができるデバイスである。本明細書に開示されているような電気活性ポリマーを含む変換器及び他の電気デバイスの構造及び製作は、一般に当業者に既知である。本明細書に開示されている電気活性ポリマーを既知の変換器構造体で用いて、有益な結果をもたらすことができる。
【0036】
代表的な変換器が図1に示されている。本明細書に開示されているような変換器100は、作動コンポーネント110と、第1の電極120と、第2の電極130とを含むことができる。第1の電極120と第2の電極130は一般に導電性であり、作動コンポーネント110に電気的に接続されるように構成されている。第1の電極120と第2の電極130は、単一のコンポーネント又は1つを超えるコンポーネントを含むことができる。第1の電極120と第2の電極130は、作動コンポーネントに電気的に接続される導電性の材料を含むことができると共に、電気エネルギー源に電気的に接続されるようにも構成されている。
【0037】
図1に示されている実施形態では、第1の電極120と第2の電極130は、作動コンポーネント110に隣接させて配置することができる。1つの実施形態では、第1の電極120と第2の電極130は、作動コンポーネント110に直接隣接させて配置することができる。1つの実施形態では、第1の電極120と第2の電極130は、作動コンポーネント110の対向する表面に電気的に接続させることができる。例えば、第1の電極120は、作動コンポーネント110の第1の表面112に隣接させて配置することができ、第2の電極130は、作動コンポーネント110の第2の表面113に隣接させて配置することができる。図1には、作動素子の対向する表面上において互いの真向かいに直接配置されている第1の電極120と第2の電極130が示されているが、必ずしもこのようである必要はなく、これらの電極は、作動素子の対向する表面上でオフセットさせることができる。第1の電極120と第2の電極130は、作動コンポーネント110の表面を覆う必要もなく、「MULTILAYER CONDUCTIVE ELEMENTS」という表題の米国特許出願公開第20080224566号(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に示されているように、作動コンポーネント110の表面上に断続的に配置することができる。
【0038】
第1の電極120と第2の電極130は、任意の導電性材料で作ることができる。代表的な導電性材料としては、はんだ、他の導電性金属、導電性ポリマー、及び導電性充填剤を含有するポリマーを挙げることができるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、第1の電極120と第2の電極130は、非金属の導電性材料で作ることができ、電気エネルギー源に電気的に接続される金属物質と接しているように構成されることができる。代表的な導電性材料としては、導電性金属及び導電性ポリマーを挙げることができるが、これらに限定されない。代表的な導電性金属は、銅、銀、金、白金、アルミニウム、又はこれらの混合物から選択することができる。代表的な導電性ポリマーは、ポリ(アセチレン)、ポリ(ピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(アニリン)、ポリ(フルオレン)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリテトラチアフルバレン、ポリナフタレン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)、又はこれらの混合物から選択することができる。導電性になるようにできるポリマーも用いることができる。非導電性ポリマーを導電性にする代表的な方法としては、導電性粒子を含めること、つまりドーピングが挙げられるが、これらに限定されない。具体的な代表的材料としては、CLEVIOS(商標)という導電性ポリマー(以前はH.C.Starck GmbH、Goslar、GermanyのBaytronという導電性ポリマーとして知られており、モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンから調製される)、グラファイト、及びカーボングリース(MG Chemicals、Surrey、British Columbia)が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、第1及び第2の電極は、スパッタリング蒸着した導電性金属(例えば金など)を含むことができる。
【0039】
本明細書では、電気的エネルギーと機械的エネルギーとの変換を行う変換器を開示しており、この変換器は、少なくとも1つのエチレン性不飽和含窒素モノマーから形成された誘電性ポリマーの少なくとも1つの層を含む作動コンポーネントと、その作動コンポーネントに電気的に接続された第1の電極と、その作動コンポーネントに電気的に接続された第2の電極とを含み、その作動コンポーネント全体に電界を印加すると、そのポリマーの少なくとも1つの層は機械的に変位する。
【0040】
本明細書に開示されている変換器又はその他の電気デバイスは、他の任意のコンポーネント(本明細書で論じられているものもあれば、本明細書では具体的に論じられていないものもある)も含むことができる。例えば、電気デバイスは、例えば、電気活性ポリマー(本明細書で論じられているポリマー、及びその他のポリマー)又はその他のポリマー材料(導電性及び非導電性の両方)の複数の層を含むことができる。
【0041】
電気活性ポリマーの少なくとも1つの層は、電界に反応して機械的応答(伸長、収縮、又は屈曲)を示すことができる。確かではないが、上記の少なくとも1つの電気活性ポリマー層に電気的に接続されている2つの電極全体に電圧を印加すると、一方の電極に正電荷が発生し、もう一方の電極に負電荷が発生すると考えられる。これらの静電荷は互いに引き合って、2つの電極を近づけるので、その結果、電気活性ポリマー層の厚みが減少する(変位又はひずみが生じる)。電気活性ポリマー層のポアソン比は一定でなければならないので、厚みの減少によって、電気活性ポリマー層の他の自由方向への機械的応答(すなわち移動)が生じる。厚み減少の特性は、作動装置特性として知られている。
【0042】
本明細書に開示されているポリマーのようないくつかの電気活性ポリマーの作動装置特性は、広範な潜在用途(ロボットアーム、グリッパ、ラウドスピーカ、アクティブ振動板、ダストワイパー、ヒールストライカー(歯科用)、及び多数の自動車用途が挙げられるが、これらに限定されない)にとって魅力的である。医療分野内でも多数の用途(人工筋肉、人工手足又は人工器官、創傷ポンプ、着圧ソックス(active compressing socks)、及びカテーテル又はその他の移植可能な医療用デバイスの操作素子が挙げられるが、これらに限定されない)が存在する。
【0043】
本明細書に開示されているような電気活性ポリマーは、特にこれまで用いられてきた電気活性ポリマーと比べて有益な特性をもたらすことができる。例えば、本明細書に開示されているような電気活性ポリマーは、高い弾性係数(すなわちヤング率、本明細書では単に「弾性率」ともいう)を有することができる。材料の弾性率は、材料の剛性の指標である。弾性率は、メガパスカル(MPa)という単位を用いて定量化することができる。弾性率は、材料の応力をひずみで除した値であり、換言すれば、材料に加えられた負荷の量によって材料がどの程度変形するかを表すものである。
【0044】
弾性率は、動的機械分析装置(DMA)を用いるなど、当業者に知られている方法によって測定することができる。弾性率を測定する代表的な方法は実施例に示されている。1つの実施形態では、電気活性ポリマーは、高い弾性率を有するとみなされており、その弾性率の測定値は少なくとも約100MPaである。
【0045】
本明細書に記載されているような電気活性ポリマーは、印加された電界から見た変位が比較的大きいという利点ももたらすことができる。1つの実施形態では、この変位は、MTI Instruments Inc.(Albany USA)のフォトニックセンサ(モデル番号MTI−2000)を用いて測定することができる。1つの実施形態では、ひずみは、フィルムの初期厚に対する、電界がかかっている状態の厚みの変化の比率として定義されている。一般に、ひずみには単位はない。印加した電圧をフィルムの厚みで除することによって、電界強度を測定した。いずれの実施例においても、電界単位MV/mを用いる。電気的に誘発されるひずみの、印加した電界に対する比率(S/EF)を用いて、各種フィルムの作動装置特性を比較することができる。1つの実施形態では、電気活性ポリマーのS/EFは約0.3以下であることができる。
【0046】
本明細書に記載されているような電気活性ポリマーは、これまで最も使われてきた電気活性ポリマーと比べて、加工上の利点ももたらすことができる。これまで最も使われてきた電気活性ポリマーは一般に、使用する前に「予めひずませる」ことが必要となる。これには一般に、1つ以上の方向でフィルムの寸法を変えることが包含される。これは、ポリマーを引っ張って伸長させると共に、伸長させながら1つ以上の縁部を固定することによって行うことができる。他の電気活性ポリマーを予めひずませる作業は、電気的エネルギーと機械的エネルギーとの変換を高めると共に、ポリマーの強度を向上させる目的で行う。本明細書に開示されている電気活性ポリマーは、予めひずませる必要がないという利点をもたらす。本明細書に開示されている電気活性ポリマーは、予めひずませなくても、電気的エネルギーと機械的エネルギーとの有益な変換及び機械的特性をもたらす。これによって、本明細書に開示されている電気活性ポリマーを含むデバイスの製作をしやすくできると共に、コスト効率を向上できる公算が高くなる。
【実施例】
【0047】
材料及び方法
特に言及されない限り、全ての化学物質は、アルドリッチ(Aldrich)から入手され、更に精製することなく使用された。
【0048】
ピロリドンエチル(Pyrrolidonoethyl)アクリレート(PYEA)の調製
更なる詳細は、米国特許第6,902,740号(Schabergら)(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)で見ることができる。1リットルの3つ口丸底フラスコにパドルスターラー、温度調節器付きの温度計、水冷コンデンサ付きのDean Starkトラップ、及び電熱マントルを取り付けた。このフラスコに、N−(ヒドロキシエチル)ピロリジン−2−オン(260g、2モル)、アクリル酸(290g、4モル)、トルエン(300mL)、p−トルエンスルホン酸水和物(26g、0.14モル)、4−メトキシフェノール(2g)、及び銅粉末(1g)を加えた。攪拌を開始し、フラスコの内容物に熱を加えて、トルエンをコンデンサに還流させた。エステル化反応の過程(4.5時間)において、約122mLの水をトラップ内に集めた。反応槽の内容物をロトエバポレータで濃縮して、茶色の液体である粗生成物を得た。この液体を真空下で6インチ(15.2cm)のVigreuxカラム/水冷コンデンサに通して蒸留した。留出物(アクリル酸)の第1の留分を廃棄し、その後、PYEAを115〜120℃の沸点、0.2水銀柱ミリメートルの圧力で回収した。無色透明の液体である260gのPYEAを得た。核磁気共鳴分光法による分析によって、この物質が純度95%であることが分かった。PYEAの各ロットの純度レベルと、PYEAの所望の重量比を用いて、特定のコポリマーの合成で用いるPYEAの量を割り出す。
【0049】
IOAは、Sartomer(West Chester、PA)からSR−440の商品名で市販されているイソオクチルアクリレートである。
【0050】
IBOAは、Sartomer(West Chester、PA)からSR−506の商品名で市販されているイソボルニルアクリレートである。
【0051】
N−ビニルカプロラクタム(NVC)、N−ビニルピロリドン(NVP)、N−ビニルイミダゾール(NVI)、及びN−ビニルアセトアミド(NV)はいずれも、Aldrich(Milwaukee、WI)から入手可能である。
【0052】
pBDDAは、San Esters Corp.(New York、NY)からBAC−15の商品名で市販されているポリブタジエンジアクリレートである。
【0053】
CEA−MAAは、3M(Saint Paul、MN)から3M Scotch−Weld Instant Adhesiveの商品名で入手可能なシアノエチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマーである。
【0054】
TMPTAは、Sartomer(West Chester、PA)からSR−531の商品名で市販されているトリメチロールプロパン(trimethyloylpropane)トリアクリレートである。
【0055】
THEI−TAは、Sartomer(West Chester、PA)からSR−368の商品名で市販されているトリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレートトリアクリレートである。
【0056】
PTeAは、Sartomer(West Chester、PA)からSR−295の商品名で市販されているペンタエリスリトール(petaerythritol)テトラアクリレートである。
【0057】
PAは、Sartomer(West Chester、PA)のペンタアクリレートエステル(商品名SR−9041)である。
【0058】
TrEGDAは、Sartomer(West Chester、PA)からSR−272の商品名で市販されているトリエチレングリコールジアクリレートである。
【0059】
EO4BisA DMAは、Sartomer(West Chester、PA)からCD−540の商品名で市販されているエトキシ化4−ビスフェノールAジメタクリレート(dimetahcrylate)である。
【0060】
DEGDAはジエチレングリコールジアクリレートを指す。この材料は、Sartomer(West Chester、PA)からSR−230の商品名で市販されている。
【0061】
pUは、Bayer Material Science LLC(Pittsburgh、PA)からTEXINの商品名で入手可能な熱可塑性ポリウレタンを指す。
【0062】
ライナー支持体の調製Zeon Corporation(Tokyo、JAPAN)からZETPOL 1010の商品名で市販されている高ニトリルブタジエンゴム(HNBR)を用いた。このHNBR(ブタジエンとアクリロニトリルとの高飽和コポリマー)を固形分約10%でトルエンに溶解させた。シリコーン剥離剤(CP Film Inc.、Dieldale、VA)で処理したポリエチレンフタレートフィルムの上に、この溶液をある厚みギャップでコーティングして、加熱した70℃のオーブンで約5分間乾燥させた後、厚さ約0.5ミル(12.7マイクロメートル)のフィルムを得た。
【0063】
試験方法
厚みが約2mmで8mmのサンプルをレオロジー分析器(Rheometric Scientific,Inc.(Piscataway、N.J.)から「2980 DMA」の商品名で市販されているもの)に配置することによって、弾性率を測定したが、測定は、サンドイッチモードにて、周波数0.1Hz、ひずみ0.2%、温度範囲−100℃〜200℃で行った。貯蔵弾性率G’は25℃で記録した。
【0064】
ガラス転移温度は、ガラス相からゴム相への相変化で測定した。
【0065】
電界に対するひずみの比率(S/EF)には、ひずみと電界の両方が含まれる。変位は、MTI Instruments Inc.(Albany USA)のフォトニックセンサ(モデル番号MTI−2000)を用いて測定することができる。ひずみは、フィルムの初期厚に対する、電界がかかっている状態の厚みの変化の比率として定義されている。一般に、ひずみには単位はない。印加した電圧をフィルムの厚みで除することによって、電界強度を測定した。いずれの実施例においても、電界単位MV/mを用いる。電気的に誘発されるひずみの、印加した電界に対する比率(S/EF)を用いて、各種フィルムの作動装置特性を比較することができる。
【0066】
比較例
表1に、様々な参考文献において様々な材料について測定した、ひずみの電界に対する最大比率を示す。照射したP(VDF−TrFe)の値は、米国特許6,423,412号によるものである。P(VDF−TrFe)とCuPCとの複合フィルムの値は、米国特許出願公開第20020161074号によるものである。P(VDF−TrFE−CTFE)フィルムの値は、米国特許第6,355,749号によるものである。P(VDF−TrFE−CTFE)とPANIとの複合体の値は、Appl.Phys.Lett.,vol.82,pp.3503(2003)によるものである。VHBの値は、Science,vol.287,pp.836,(2000)によるものである。ポリウレタンの値は、J.Polym.Sci:Part B:Polym.Phys.,vol 32,pp 2721(1994)によるものである。シリコーンの値は、Sensors & Actuators,vol.64,pp.77,(1998)によるものである。
【0067】
【表1】

【0068】
(実施例1)
各電気活性ポリマーフィルムは、以下のように調製した。イソオクチルアクリレート(IOA)と表2に列挙されている他のコモノマー(PYEAしか含まない最後の2つを除く)との初期混合物からシロップ剤を調製した。この混合物(又はPYEA)に、0.04phr(樹脂100部当たりの部)の量の反応開始剤2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(0.04phr)を加えた。ブルックフィールド粘度が1000〜3000センチポアズになるまで、窒素雰囲気下で紫外線を照射することによって、この初期混合物を部分的に重合させた。部分重合の後、ポリブタジエンジアクリレート(0.2phr)と共に、更なる量の反応開始剤2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(0.2phr)を加えた。得られた混合物をローラー上で十分に混合した。所望の厚みのシロップ剤を有するコーティングをライナー支持体(ZETPOL 1010)に塗布し、シリコン剥離剤(CP Film Inc.(Fieldale、VA))で処理したポリエチレンフタレートフィルムで覆った。硬化プロセスを行うために、このコーティングに総線量900mJ/cm2の紫外線光を照射した。
【0069】
上記のように、弾性率、ガラス転移温度、及びS/EFの比率を測定した。
【0070】
【表2】

【0071】
(実施例2)
異なる架橋剤TMPTA(トリメチロールプロパン(Trimethyloylpropane)トリアクリレート)を0.2pph用いた以外は、上記の実施例1と同様に、IBOA 60部とPYEA 40部とを有するフィルムを調製した。233MPaで弾性率を測定し、S/EFの比率(いずれも上記のように測定した)は0.31であった。
【0072】
(実施例3)
電気応答性添加剤である熱可塑性ポリウレタン(Bayer Material Science LLC(Pittsburgh、Pa)からTEXINの商品名で市販されているもの)をIOA/IBOA混合物に溶解させて、粘度1000〜3000センチポアズのシロップ剤を形成した。ポリウレタンを溶解させた後、以下の表4に列挙されている他の添加剤と共に、反応開始剤2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(0.2phr)を加えた。得られた混合物をローラー上で十分に混合した。シリコン剥離剤(CP Film Inc.(Fieldale、VA))で処理した2つのポリエチレンフタレートフィルムの間に、所望の厚みのシロップ剤を有するコーティングを塗布した。硬化プロセスのために、このコーティングに総線量900mJ/cm2の紫外線光を照射した。上記のように、弾性率、ガラス転移温度、及びS/EFの比率を測定した。
【0073】
【表3】

【0074】
(実施例4)
熱可塑性ポリウレタン(Bayer Material Scicence LLC(Pittsburgh、Pa)からTEXINとして市販されているもの)を100% PYEAモノマーに溶解させて、粘度1000〜3000センチポアズのシロップ剤を形成した。ポリウレタンを溶解させた後、表4に列挙されている異なるタイプの架橋剤と共に、反応開始剤2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(0.2phr)を加えた。得られた混合物をローラー上で十分に混合した。シリコン剥離剤(CP Film Inc.(Fieldale、VA))で処理した2つのポリエチレンフタレートフィルムの間に、所望の厚みのシロップ剤を有するコーティングを塗布した。硬化プロセスのために、このコーティングに総線量900mJ/cm2の紫外線光を照射した。上記のように、弾性率、ガラス転移温度、及びS/EFの比率を測定した。
【0075】
【表4】

【0076】
以上のように、電気活性ポリマー及びそれを含有する物品の実施形態を開示する。本開示が、開示されたもの以外の実施形態で実施され得ることは当業者には理解されよう。開示された実施形態は、図示の目的のために示され、制限のために示されてはおらず、本開示は以下の「特許請求の範囲」によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエチレン性不飽和含窒素モノマー(ただし、前記エチレン性不飽和含窒素モノマーはアクリロニトリルではない)の重合物を含む誘電性ポリマーの少なくとも1つの層を含む電気活性ポリマーデバイスであって、
圧電デバイス、焦電デバイス、作動装置、変換器、又はセンサから選択される、電気活性ポリマーデバイス。
【請求項2】
前記誘電性ポリマーが1種類のモノマーのみから形成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記モノマーがピロリドンエチルアクリレートである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記誘電性ポリマーが、前記エチレン性不飽和含窒素モノマーとエチレン性不飽和コモノマーとの重合物を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記エチレン性不飽和含窒素モノマーが、ピロリドンエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記エチレン性不飽和コモノマーがアクリル基を含有する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和コモノマーが、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
エチレン性不飽和含窒素モノマーとエチレン性不飽和コモノマーとの重量比が約20:80〜約60:40である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項9】
エチレン性不飽和含窒素モノマーとエチレン性不飽和コモノマーとの重量比が約30:70〜約50:50である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記誘電性ポリマーが架橋されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記誘電性コポリマーが、化学的架橋剤を用いて架橋されている、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記化学的架橋剤が、ポリブタジエンジアクリレート、ペンタアクリレートエステル、トリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記層が電歪添加剤を更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記誘電性ポリマーの複数の層を更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
電気的エネルギーと機械的エネルギーとの変換を行うための変換器であって、
作動コンポーネントであって、少なくとも1つのエチレン性不飽和含窒素モノマー(ただし、前記エチレン性不飽和含窒素モノマーはアクリロニトリルではない)の重合物を含む誘電性ポリマーの少なくとも1つの層を含む、作動コンポーネントと、
前記作動コンポーネントに電気的に接続された第1の電極と、
前記作動コンポーネントに電気的に接続された第2の電極と
を備え、
前記作動コンポーネント全体に電界を印加すると、前記ポリマーの少なくとも1つの層が機械的に変位する、変換器。
【請求項16】
前記誘電性ポリマーが1種類のモノマーのみから形成されている、請求項15に記載の変換器。
【請求項17】
前記エチレン性不飽和含窒素モノマーがピロリドンエチルアクリレートである、請求項16に記載の変換器。
【請求項18】
前記誘電性ポリマーが、前記エチレン性不飽和含窒素モノマーとエチレン性不飽和コモノマーとの重合物を含む、請求項15に記載の変換器。
【請求項19】
前記エチレン性不飽和含窒素モノマーが、アクリロニトリル、ピロリドンエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の変換器。
【請求項20】
前記エチレン性不飽和コモノマーがアクリル基を含有する、請求項18に記載の変換器。
【請求項21】
前記エチレン性不飽和コモノマーが、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の変換器。
【請求項22】
前記誘電性ポリマーの複数の層を更に含む、請求項15に記載の変換器。

【図1】
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【公表番号】特表2012−514102(P2012−514102A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544435(P2011−544435)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065028
【国際公開番号】WO2010/077465
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】