説明

電気炊飯器

【課題】蓋体側に電気基板を設け、炊飯器本体側の電気基板と所定の接続用配線で接続する一方、ヒンジ部にコイルバネを設けて蓋体が自動開放されるようにした電気炊飯器において、接続用配線がコイルバネ部分で損傷されないようにする。
【解決手段】内鍋と、該内鍋を収容する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部にヒンジ部を介して開閉可能に設けられ、閉状態において上記収容された内鍋の上部を覆う蓋体とを備え、該蓋体内には、上記炊飯器本体内の第1の電気基板と所定の接続用配線を介して接続される第2の電気基板が設けられているとともに、上記ヒンジ部には、上記蓋体を開状態に付勢するコイルバネが設けられている電気炊飯器であって、上記コイルバネは、その両端側係合片が、それぞれ左右逆方向に偏位して上記蓋体側、炊飯器本体側に係合されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、蓋体内に本体側電気基板と接続される電気基板を備えた電気炊飯器の蓋開閉機構の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に電気炊飯器は、内鍋と、該内鍋を収容する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部にヒンジ部を介して開閉可能に設けられ、閉状態において上記収容された内鍋の上部を覆う蓋体とを備えて構成されている。そして、上記蓋体は、その開放操作を容易にするためと開状態を維持するための手段として、炊飯器本体との枢着部であるヒンジ部分に蓋体を開方向に回動付勢するコイルバネが設けられている(特許文献1参照)。
【0003】
また、最近では、上記蓋体側に各種操作キーや液晶表示部を有する操作パネルを設置し、上方側から見やすく、かつ操作しやすくしたものも多くなって来ている。
【0004】
このようなタイプのものでは、当然ながら蓋体の内側に操作基板やマイコン基板のような電気基板が設けられ、同電気基板が可撓性のあるフラットケーブル等の接続用配線を介して炊飯器本体側の制御基板等の電気基板に接続されることになる。
【0005】
今、これらのタイプの電気炊飯器の蓋体、炊飯器本体、蓋体と炊飯器本体とを枢着するヒンジ部の構成の概略を図6に示す。
【0006】
図6中、符号1は内側の保護枠内部に内鍋が収納されるようになった炊飯器本体で、その外ケース5の肩部には肩部材10が一体化されている。
【0007】
同肩部材10の本体後端側中央位置には、ヒンジ軸(中心軸O−O′)取付用のヒンジブラケット10aが設けられており、同ヒンジブラケット10aにヒンジ軸(O−O′)が左右に延びて枢着されている。
【0008】
また、該炊飯器本体1の後端側内部の上記保護枠と外ケース5との間の空間には、第1の電気基板である制御基板B1が立設されている。
【0009】
他方、符号2は蓋体であり、少なくとも外周側外カバーと該外カバー内側の内カバーとを備えてなり、その後端には、上述したヒンジブラケット10a部分への嵌合凹部が設けられており、該嵌合凹部の両側には、ヒンジ軸(O−O′)両端部の挿入孔が設けられている。そして、該挿入孔に上述したヒンジ軸(O−O′)の両端が挿入されることにより、蓋体2が同ヒンジ軸(O−O′)を介して上記炊飯器本体1の上部に開閉可能に枢着される。
【0010】
そして、符号40が、当該蓋体2を開状態に付勢する従来のコイルバネであり、該コイルバネ40は、中央部に炊飯器本体1側肩部材10aに係合するU状の係合片43を有するとともに、その左右両端側に何重かの均等な巻成回数のコイル部41L,41Rを形成し、かつコイル部41L,41R両端側に、上記U状の係合片43と180゜反対方向にストレートに延びる蓋体2内側への係合片42L,42Rを設けて構成されている。
【0011】
そして、そのコイル部41L,41Rの蓋体2を開く方向への付勢力により、蓋体2を図示のような開状態に維持するようになっている。
【0012】
また、上記蓋体2の前部側操作パネル部20部分には、液晶表示部21が設けられ、その外周囲には、図示はしなかったが、例えば炊飯スイッチ、保温スイッチ、タイマー予約スイッチ、取消スイッチ、時指定スイッチ、分指定スイッチ、メニュー選択スイッチ等の各種操作キーが設けられる。
【0013】
そして、同操作パネル部20の下方側(外カバーと内カバーとの間)には、それらに対応したマイコン基板等の第2の電気基板B2が設置されている。
【0014】
また、符号2eは、蓋体2の内鍋側下面から外周面側上方に沸騰時の蒸気を逃がす蒸気パイプ(調圧ユニット)の嵌合孔であり、蓋体2の左右方向中間部に位置して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−54916号公報(図1のヒンジ部の構造を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところが、以上のような構成の場合、上記蓋体2側の第2の電気基板B2を例えばフラットケーブルを介して炊飯器本体1側の第1の電気基板B1に接続しようとすると、第2の電気基板B2の中央部からヒンジ部中央のコイルバネU状部43部分を通して炊飯器本体1側第1の電気基板B1に接続するか、第2の電気基板B2の左右両側の何れかの部分からヒンジ部左右両側の何れかの部分からコイルバネ40のコイル部41L,41R部分を通して炊飯器本体1側第1の電気基板B1に接続するか、の何れかの構成を採用せざるを得ない。
【0017】
しかし、前者の構成の場合、蓋体中央の蒸気パイプ嵌合孔2eを迂回させて接続しなければならず、複雑な断熱構造の蓋体内を迂回させることはもちろん、フラットケーブルをフラットに維持した状態でコイルバネ中央部分を通すことが難しい(配線作業も難しい)。また、大きく迂回させようとすると、必要なフラットケーブルの長さが長くなる。
【0018】
他方、後者の場合、そのような問題はないが、フラットケーブル等の接続用配線が、蓋開閉の度に拡径、縮径、回動されるコイル部41L,41R部分を通るために、頻繁な摩擦、引張、曲成作用によるストレスを受けて、断線等損傷されやすい問題がある。
【0019】
もちろん、以上のような断線等を防止するために、ヒンジ部の幅を拡大したり、ケーブルの強度、材質を高めたりすることもできるが、何れも大幅なコストを招き、容易には採用できない。
【0020】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、上述のコイルバネの構造を、その両端側係止片が、それぞれ左右逆方向に偏位して蓋体側および炊飯器本体側に係合される構成のものとすることによって、上記従来のような問題を生じさせないようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0022】
(1) 請求項1記載の発明
この発明の電気炊飯器は、内鍋と、該内鍋を収容する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部にヒンジ部を介して開閉可能に設けられ、閉状態において上記収容された内鍋の上部を覆う蓋体とを備え、該蓋体内には、上記炊飯器本体内の第1の電気基板と所定の接続用配線を介して接続される第2の電気基板が設けられているとともに、上記ヒンジ部には、上記蓋体を開状態に付勢するコイルバネが設けられている電気炊飯器であって、上記コイルバネは、その両端側係合片が、それぞれ左右逆方向に偏位して上記蓋体側、炊飯器本体側に係合されていることを特徴としている。
【0023】
このように、蓋体を自動的に開方向に付勢するコイルバネが、その両端側係合片が、それぞれ左右逆方向に偏位して蓋体側および炊飯器本体側に係合されるようになっていると、偏位した分だけ接続用配線の配設スペースが生じるので、同スペースを利用して、損傷の恐れのない、安全かつ作業性の良い、ストレートな配線が可能となり、製品の信頼性も向上する。
【0024】
(2) 請求項2記載の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項1記載の発明の構成において、コイルバネは、左右一対の2組のコイルバネよりなることを特徴としている。
【0025】
このような構成によると、左右一対のコイルバネの内、何れか一方側の全体を、さらに係合片の偏位方向に寄せて設けることが可能となるので、より接続配線配設用のスペースを広く確保することが可能となり、一層幅の広い接続用配線の使用が可能となる。
【0026】
(3) 請求項3記載の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項2記載の発明の構成において、第2の電気基板は、コイルバネの蓋体側係合片の偏位方向と逆の方向に偏位して設けられていることを特徴としている。
【0027】
このような構成によると、上記コイルバネと蓋体との係合片を左右何れか一方側に偏位させたことによる蓋体支持力の左右両側のアンバランスが、第2の電気基板の重量により補正されて、可及的に均等に近くなる。
【0028】
また、電気基板と接続用配線との接続幅も広く取ることができるようになる。
【発明の効果】
【0029】
以上の結果、本願発明によると、蓋体側電気基板と炊飯器本体側電気基板との確実かつ信頼性の高い接続が可能になるとともに、接続作業自体も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願発明の実施の形態に係る電気炊飯器の内部構成を示す縦断面図である。
【図2】同電気炊飯器の外部構成を示す斜視図である。
【図3】同電気炊飯器のヒンジ部分の構成を示す背面図である。
【図4】同電気炊飯器のヒンジ部におけるコイルバネ自体の構成を示す背面図である。
【図5】同電気炊飯器のヒンジ部の構成の特徴を分かりやすく説明するための概略図である。
【図6】従来の電気炊飯器のヒンジ部分の構成を示す背面図である。
【図7】同従来の電気炊飯器のヒンジ部の構成の特徴を分かりやすく説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1〜図5は、本願発明の実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器本体および要部の構成を示している。
【0032】
(炊飯器全体の構成)
この電気炊飯器では、図1に示すように、例えば内鍋(飯器ないし保温容器)3として非金属材料からなる蓄熱性の良い鍋(例えば、セラミック製の土鍋)が一例として採用されており、その底壁部3aの底部中央面(フラット面部)および該底壁部3a外周の湾曲面部(R面部)には、それぞれ内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えば銀ペースト等の金属製の第1,第2の誘導発熱体G1,G2が設けられている。
【0033】
そして、この電気炊飯器では、同構成の内鍋3と、該内鍋3を任意に収納セットし得るように形成された下部側合成樹脂製の皿状の底壁部4aおよび上部側筒状の側壁部4bよりなる内ケース(保護枠)4と、該内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース5と、該外ケース5の下部に一体に嵌合された底ケース13と、上記外ケース5と上記内ケース4とを肩部10により一体化して形成された炊飯器本体1の上部に開閉可能に設けられた蓋体2とから構成されている。
【0034】
一方、内ケース4の底壁部4aの下方側には、フェライトコア収納部を備えたコイルカバー(コイル台)6が設けられ、その下部にはフェライトコア(符号省略)を配置し、またそれらの間には、上記内鍋3の底壁部3aの中央部側フラット面部と外周部側湾曲面部の上記第1,第2の2組の誘導発熱体G1,G2位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられており、それらへの通電時には上記内鍋3の上記第1,第2の誘導発熱体G1,G2にうず電流を誘起して、上記内鍋3を効率良く加熱するようになっている。
【0035】
上記内ケース4(側壁部4b)の後方部側炊飯器本体1の外ケース(側壁)5aとの間には、上記のようにワークコイルC1,C2、保温ヒータH1等を駆動制御するIGBTやヒータ駆動回路、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路、平滑回路などを備えた第1の電気基板(制御基板)B1および電気基板カバー(制御基板カバー)7が上下方向に立設する状態で設けられている。
【0036】
この第1の電気基板B1には、後述するように接続用配線であるフレキシブルなフラットケーブル25を介して蓋体2側の第2の電気基板(マイコン基板)B2が接続される。
【0037】
上記内ケース4の皿状の底壁部4aは、その底面部の中央部に内鍋3の底部3aの温度を検知するサーミスタを内装した底センサー18のセンサー部嵌合口が形成されているとともに、同センサー部嵌合口の外周側上面にはドーナツ状の遮熱板8が設けられている。また、外周側湾曲面部の上端側には、所定幅半径方向外方に張り出したフランジ状の段部9が設けられ、この段部9部分に上記上部側筒状の側壁部4bの下端側が係合載置されている。
【0038】
他方、同上部側筒状の側壁部4bの上端は、図示しない内枠部材を介して上記炊飯器本体側外ケース5上端の肩部材10側に連結して固定されている。
【0039】
また、上記内ケース4の上部側筒状の側壁部4bの外周には、炊飯および保温時において加熱手段として機能する側面ヒータH1が設けられており、炊飯時および保温時において上記内鍋3の全周を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0040】
なお、符号11は、上記外ケース5の底部側に嵌合一体化された底ケース13の空気吸込口上部に設けられた冷却ファン、12はヒンジカバー、19はコードリールである。
【0041】
(蓋体の構成)
さらに、符号2は上記蓋体であり、該蓋体2は、その外周面を構成するとともに、中央部の蒸気パイプ嵌合孔2e部分におねば戻し機能を有する蒸気パイプ(調圧ユニット)14を備えた合成樹脂製の外カバー2aと、該外カバー2aの外周部内側に嵌合一体化して設けられた同じく合成樹脂製の内カバー2bと、該内カバー2bの下方に設けられた金属製の放熱板2cと、放熱板2cの上面に設けられた蓋ヒータH2と、上記放熱板2cの下方に設けられた金属製の内蓋2dとを備えて構成されている。
【0042】
また、放熱板2cの外周縁部下方および内蓋2dの外周縁部下方には、それぞれパッキンが設けられており、内蓋2dは、同パッキンを介して内鍋3の開口縁部3cの上面部に接触させられている。また、蒸気パイプ14には、下方側内カバー2dの蒸気導入口部から上方側蒸気排出口14aに向けて相互にジグザグ構造に連通した蒸気排出通路15が形成されている。そして、14cは、同蒸気排出通路15内の調圧弁(球体弁)、14dはその下方側の弁口部を有する筒状の弁座部、14eは同弁座部の下端に嵌合された調圧キャップである。
【0043】
この蓋体2は、上記外ケース5の後壁5a上部の肩部材10に対してヒンジ部(ヒンジ機構)を介して上下方向に回動自在に取付けられており、その開放端側内周面には、該蓋体2に係合して当該蓋体2の上方への開放を係止する炊飯器本体1側のロック爪17aが係合する係合部2fが設けられている。
【0044】
そして、上記外ケース1の前面側上部位置に設けられているロック機構アンロック操作部17のON操作によって同ロック爪17aが解除されると、後述するコイルバネ40L,40Rの付勢力によって、上記蓋体2が自動的に上方に開かれるようになっている。
【0045】
また、符号16は、上記内鍋3内の温度および沸騰状態を検知する蓋センサ(蒸気センサ)である。
【0046】
一方、上記蓋体2の外カバー2aの前部中央には、当該炊飯器の操作部および表示部を構成する操作パネル部20嵌合用の凹溝部が形成されており、同凹溝部部分に外カバー2aの外周面と連続する外周面を形成する形で操作パネル部20が嵌合されるようになっている。
【0047】
該操作パネル部20は、例えば薄型のボックス構造(合成樹脂製)のものよりなり、上記凹溝部内に着脱自在に嵌合して収納されている。そして、その上部側部材の上方側中央部に液晶表示部21に対応する透明窓を有するとともに、その周囲には、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチ、炊飯スイッチ、保温取消スイッチ、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他)を指定するメニュースイッチ、時計及びタイマーの時刻時設定スイッチ、時計及びタイマーの時刻分設定スイッチの各操作キー22a〜22h(図2参照)が設けられている。
【0048】
一方、同操作パネル部20の内側には、上記各種スイッチのスイッチ部品およびそれら操作スイッチの操作状態等表示制御機能、上記第1,第2のワークコイルC1,C2、保温ヒータH1、蓋ヒータH2各々への通電制御機能を有するマイコン制御ユニットを備えた第2の電気基板(マイコン基板)B2とともに液晶表示部21がそれぞれ上記操作パネル部20面(上部側部材の上面)に対して所定の相対角を有した状態で設けられている。
【0049】
また第2の電気基板(マイコン基板)B2は、上記操作パネル部20の全体に対応し、かつ上記液晶表示部21よりも下方側に位置して、上記操作パネル部20の前傾角よりも小さな前傾角を有して、上記操作パネル部20収納ボックス内の底壁部上面側に設置されている。
【0050】
(蓋体と炊飯器本体との関係)
上記炊飯器本体1の肩部材10の本体後端側中央位置には、ヒンジ軸30取付用のヒンジブラケット10aが設けられており、同ヒンジブラケット10aにヒンジ軸(中心軸O−O′)30が左右両方向に延びて枢着されている。
【0051】
また、該炊飯器本体1の後端側内部の上記保護枠4と外ケース壁5aとの間の空間には、上述のように第1の電気基板(制御基板)B1が立設されている。
【0052】
他方、蓋体2の後端には、上述したヒンジブラケット10a部分への嵌合凹部が設けられており、該嵌合凹部の両側壁10b,10eには、ヒンジ軸30両端部の挿入孔が設けられている。そして、該挿入孔に上述したヒンジ軸30の両端が挿入(遊嵌)されることにより、上記蓋体2が同ヒンジ軸30を介して上記炊飯器本体1の上部に開閉可能に枢着されている。
【0053】
なお、ヒンジ軸30の中央部には、油圧式のダンパー機構31が設けられており、蓋体2の緩かな開閉が行われるようになっている。
【0054】
一方、符号40L,40Rは、上記蓋体2を開状態に付勢する左右一対の2組のコイルバネ(同一寸法、同一形状)であり、該コイルバネ40L,40Rは、例えば図3、図4に示すように、それぞれ右側下端に炊飯器本体1側肩部材10aの内側に係合する軸状の係合片43L,43R、また左側上端に蓋体2の内側に係合する軸状の係合片42L,42Rを、例えば相互に略180゜位置を異にする状態で有しているとともに、それら左右各係合片43L,43R、42L,42R間に何重かの均等な巻成回数のコイル部41L,41Rを形成して、必要な蓋開放方向への付勢力が得られるように構成されている。
【0055】
そして、それらコイル部41L,41Rを、図3のように上記ヒンジ軸30の外周に嵌合し、上記各係合片42L,42R、43L,43Rを、それぞれ上記対応する蓋体2、肩部材10の係合部材部分に係合させることにより、上記蓋体2を常時開放方向へ付勢して、上記蓋体2を開状態に維持するようになっている。
【0056】
すなわち、この実施の形態の構成の場合、例えば図3および図4に示すように、上記左右一対の2組のコイルバネ40L,40Rは、その左右両端側係止片42L,43L、42R,43Rが、それぞれ略180゜位置を異にし、かつ左右逆方向(左側と右側)に偏位して、上記蓋体2の内側および炊飯器本体1の肩部材10の内側に係合されていることを特徴としている。
【0057】
このように、蓋体2を自動的に開方向に付勢するコイルバネ40L,40R各々の両端側係止片42L,43L、42R,43Rが、それぞれ左右逆方向に偏位して蓋体2の内側および炊飯器本体1の肩部材10の内側に係合されるようになっていると、例えば図3のように、それぞれコイル部41L,41Rの位置は、蓋体2および炊飯器本体1の中心位置A−A′から左右均等な位置に設けたとしても、それらの各蓋体2側係合片42L,42Rの位置は、ともに左側に大きく偏位して係合される。したがって、同蓋体2側の係合片42L,42R(特に右側のコイルバネ40Rの係合片42R)が左側に偏位した分だけ、コイルバネ40Rの右側部分に接続用配線であるフラットケーブル25の十分に広い配設スペース(蓋体2への係合片42Rに邪魔されない配設スペース)が生じるので、同スペースを利用して、ケーブル損傷の恐れのない(肩部材10側係合片43Rおよびコイル部41Rについては、その背面側後方を通してケーブルが配設されるので、重なっても問題とならない)、安全かつ作業性の良い配線が可能となり、製品の信頼性も向上する。
【0058】
すなわち、同構成の場合、蓋体2の左右方向中央(A−A′線上)で、前後方向略中央(B−B線上)よりも若干後方位置の蒸気パイプ嵌合孔2eを迂回させる必要もなく、フラットケーブル25の長さを長くする必要もない。また、フラットケーブル25の幅を十分に広くすることができ、信号量の増大にも容易に対応することができる。
【0059】
つまり、フラットケーブル25の折り曲げ加工が不要となり、耐久性、信頼性が向上するとともに、ケーブルの加工コストが低下し、配線作業も容易である。
【0060】
ところで、この実施の形態の場合、上記のような構成のコイルバネ40は、さらに左右一対の2組のコイルバネ40L,40Rよりなることを特徴としている。
【0061】
このような構成によると、左右一対の2組のコイルバネ40L,40Rの内、何れか一方側の全体を、例えば図4、図5に示すように、図3の構成の左右均等な位置Pから、さらに蓋体2側係合片42L,42Rの偏位方向に所定の寸法aだけ寄せて設けることが可能となるので、その他方側(右側)に、より広い接続配線配設用のスペースを確保することが可能となり、全くコイル部41Rおよび係合片43Rに重ならせないで配設することも可能となる。また、一層幅の広い接続用配線(フラットケーブル25)の使用が可能となる(図5中の蓋体2の左右1/2の幅の中心線A−A′に対する左側コイルバネ40Lの係合片42Lの離間寸法WLと右側コイルバネ40Rの係合片42Rの離間寸法WR相互の関係を参照)。
【0062】
しかも、各コイルバネ40L,40Rは、全く同じもの(同一形状、同一寸法)であるので、製造、組付も非常に容易で、低コストで済む。
【0063】
また、この実施の形態の場合、上記蓋体2側の第2の電気基板B2は、例えば図5に示すように、コイルバネ40L,40Rの蓋体2側係合片42L,42Rの偏位方向(左)と逆の方向(右)に所定寸法bだけ偏位して設けられていることを特徴としている(図3の場合にも同様)。
【0064】
このような構成によると、上記コイルバネ40L,40Rと蓋体2との係合片42L,42Rを左右何れか一方側に偏位させたことによる蓋体2支持力(バネ力)の左右両側のアンバランスにより、炊飯器本体1の中心と蓋体2の中心がズレ、蓋体2が炊飯器本体1の上部に正確に対応しなくなる恐れが、第2の電気基板B2の重量の移動による重心の変化により補正されて、可及的に均等に近くなる(バランスされる)。その結果、蓋体2の開閉状態がスムーズになるとともに、閉状態も正確かつ安定したものとなる。
【0065】
また、電気基板B2と接続用配線(フラットケーブル25)との相互に対応する接続幅(コネクタ幅)も広く取ることができるようになる。
【0066】
なお、図5中の符号25aは、上記フラットケーブル25の炊飯器本体1側第1の電気基板B1への接続端、25bは蓋体2側第2の電気基板B2への接続端を示している。
【符号の説明】
【0067】
1は炊飯器本体、2は蓋体、3は内鍋、4は保護枠、10aはヒンジブラケット、25はフラットケーブル、30はヒンジ軸、40,40L,40Rはコイルバネ、42L,42R,43L,43Rはコイルバネの係合片である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋と、該内鍋を収容する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部にヒンジ部を介して開閉可能に設けられ、閉状態において上記収容された内鍋の上部を覆う蓋体とを備え、該蓋体内には、上記炊飯器本体内の第1の電気基板と所定の接続用配線を介して接続される第2の電気基板が設けられているとともに、上記ヒンジ部には、上記蓋体を開状態に付勢するコイルバネが設けられている電気炊飯器であって、上記コイルバネは、その両端側係合片が、それぞれ左右逆方向に偏位して上記蓋体側、炊飯器本体側に係合されていることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
コイルバネは、左右一対の2組のコイルバネよりなることを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項3】
第2の電気基板は、コイルバネの蓋体側係合片の偏位方向と逆の方向に偏位して設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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