説明

電気炊飯器

【課題】高音質かつ十分な音量で、報知内容が聴き取りやすい、高性能の音声報知手段を備えた電気炊飯器を提供する。
【解決手段】この発明の電気炊飯器は、内鍋と、外ケースおよび内ケースよりなり、内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋を加熱する加熱手段と、必要な音声等の情報を報知する音声報知手段とを備えてなる電気炊飯器において、上記蓋体の外壁に放音孔を設け、その内側に上記音声報知手段を配設している。
このような構成によれば、例えばブザー又はスピーカ等の音声報知手段からの音が、直接音の形で放音孔を介してストレートに外部に出力され、何らの反響音を伴うことなくクリアな状態でユーザーの耳に届けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、蓋体部分に音声報知手段を設けた電気炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電気炊飯器には、一般にブザー等の人の聴覚にアピールするアコースティックな報知手段が設けられており、例えば炊飯スイッチや保温スイッチ等の操作スイッチを操作した時に動作音を発生させたり、炊飯の完了報知やアラーム情報の報知等を行うようになっている。
【0003】
また最近では、このような音声報知手段として、例えば言葉を話す音声スピーカの採用も検討されており、炊飯メニュー設定時の設定方法の設定内容など、より具体的な情報内容の報知を行わせる電気炊飯器の提供も準備、検討されている。
【0004】
ところで、従来、このようなブザー、スピーカなどの音声報知手段は、炊飯器本体の外ケース内にあって、設置可能なスペースがあり、かつ熱的な影響を受けにくく、しかも外部への放音効果が高い設置場所として、一般に外ケース内底部の底部材上の場所が選ばれ、放音用の開口(グリル)を介して炊飯器本体の底面側から放音させるようになっていた(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ところが、このような構成の場合、スピーカから出た音声が、一旦下方側載置面で反射した後にユーザーの耳に入るために、音質の変化や音量の低下を招き、聞き取り難くなる問題がある
また、制御手段である炊飯器本体前側の操作パネルに対応して設けられるマイコン基板から遠いために、配線が長くなり、配線作業(取り回し)も複雑になる。その分、配線材も多くなり、コストも高くなる。
【0006】
さらに、ワークコイルやヒータの下方を通ってマイコン基板から音声報知手段に配線が相当に長く延設されることになるから、その間で各種の電磁ノイズを拾いやすくなり、報知音のクリア性が低下する。
【0007】
そこで、本件発明者および出願人は、このような問題を解決するために、電気炊飯器本体前面側外ケース内のマイコン基板近傍に音声スピーカ等の音声報知手段を配設し、配線距離を短縮して配線作業を容易にするとともに、必要な配線の量を少なくし、熱や周囲の電磁ノイズの影響を可及的に回避した電気炊飯器を先に提案している(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−94924号公報(明細書第1頁−7頁、図1−3)
【特許文献2】特開2009−254号公報(明細書第6頁−11頁、図1,図2,図9,図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記特許文献2に示す従来例の構成の場合にも、次のような問題がある。
【0010】
すなわち、同構成の場合、炊飯器本体の外ケース内にあって、炊飯器本体の後方に向けてスピーカが設置されているために、スピーカからの音声が外部にスムーズに放音されず、こもり音となってしまう。そのため非常に聴きづらい(図1,図2,図9の構成を参照)。
【0011】
もちろん、特許文献2には、そのような問題を解消するために、上記図1,図2,図9における音声スピーカの取付方向を前後逆にし、炊飯器本体の前方に向けて音が放射されるようにするとともに、底部材の前端側円弧面に放音口を形成して音声を出力するようにしたものも示されている(図10の構成を参照)。
【0012】
このような構成にすると、一応音声が前方に向けて出力されることから、こもり音が生じにくくなり、放音口があるために外部への放音性も良くなる。
【0013】
しかし、このような構成の場合にも、音声スピーカと放音孔が上方と下方に大きく離れており、音声スピーカの振動板と放音孔が同軸に対向していないために、音声スピーカから出力された音は外ケース内で複数回反射され、反響音となって下方に向けて出て行くことから、決してクリアな聴き取りやすい音声とはならない。
【0014】
また、放音孔は、やはり底部材部分にあって下方に向けて開口されているものであるから、上述した特許文献1の場合と同様の問題が残されている。
【0015】
以上の説明から明らかなように、仮に音声スピーカを炊飯器本体の前面側に持って来たとしても、その設置部が炊飯器の本体ケース内である限り、こもり音、反響音となることは避けられず、特にIHタイプの炊飯器の場合には、冷却ファンの音に加えて、さらにワークコイルの発振音が重畳されるので、同発振音により音声スピーカからの音声がマスキングされ、余計に聴きづらいものとなる。
【0016】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、蓋体の内側に放音孔を介して音声報知手段を配設することにより、ストレートとで聴き取り易いクリアな放音を可能にするとともに最短距離でマイコン基板と接続することにより、配線距離を短縮して配線作業を容易にするとともに、冷却ファンの駆動音やワークコイルの発振音の影響および周囲の熱や電磁ノイズの影響を回避した電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明は、同目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0018】
(1) 請求項1の発明
この発明の電気炊飯器は、内鍋と、外ケースおよび内ケースよりなり、内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋を加熱する加熱手段と、必要な音声等の情報を報知する音声報知手段とを備えてなる電気炊飯器において、上記蓋体の外壁に放音孔を設け、その内側に上記音声報知手段を配設したことを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、例えばブザー又はスピーカ等の音声報知手段からの音が、直接音の形で放音孔を介してストレートに外部に出力され、何らの反響音を伴うことなくユーザーの耳に届けられる。
【0020】
しかも、蓋体であるため、炊飯器本体内に設置されている場合のような冷却ファンのモータ駆動音や風切り音、ワークコイルの発振音の影響を受けず、もちろん配線部での電磁ノイズも拾わない。
【0021】
したがって、その音質は極めてクリアで、聴き取りやすいものとなる。
【0022】
その結果、同構成によると、高音質で、快適性の高い音色を用いた高級感のある音声報知システムを実現することが可能となる。
【0023】
また、従来のように下方側に向けて放音される場合と異なり、直接ユーザーの顔の方向に向けて放音することができる。
【0024】
したがって、ユーザーに対しての注意喚起力も高くなる。
【0025】
さらに、音声回路基板を含めてマイコン基板、操作基板を近傍に設け、対応する操作パネルをも蓋体に設けるようにすると、最短距離でマイコン基板のマイコンとも接続することができるようになるので、より配線距離が短縮されるとともに、配線作業が容易になり、必要な配線の量を少なくすることができ、さらに熱や周囲の電磁ノイズの影響を可及的に回避することができるようになる。
【0026】
(2) 請求項2の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項1の発明の構成において、放音孔部分に、空気を通すが水を通さない疎水膜を設けたことを特徴としている。
【0027】
このような疎水膜を採用すると、音声は放出させるが、水は通さないようにすることができる。
【0028】
したがって、このような構成によれば、蓋が洗えるタイプのものは例外であるとしても、比較的蒸気や水が掛かりやすい蓋体の放音孔部分に蒸気や水が侵入したような場合にも、ブザー、スピーカ等の音声報知手段部分に水が侵入するのを確実に回避することができ、安定した音声報知機能を維持することができる。
【0029】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項1又は2の発明の構成において、放音孔に対して、導波管を介して音声報知手段を設けたことを特徴としている。
【0030】
このような構成によると、ブザー、スピーカ等の音声報知手段は放音孔の直下を避け、導波管を介して放音孔から離れた箇所へ配置することができるようになり、疎水膜を設けない場合、または設けてあっても仮に疎水膜が破損して内部に水が侵入した場合に、音声報知手段に直接水がかからないようにすることが可能となる。
【0031】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項1,2又は3の発明の構成において、蓋体の開閉検知手段を設け、蓋体が開かれたことが検知された時には音声報知手段の音声報知機能を無効にするようにしたことを特徴としている。
【0032】
上述のように蓋体にブザー、スピーカ等の音声報知手段、また必要な操作部があっても、蓋体が開いた状態では共に正面側とは反対の後向きになり、操作し難く、報知された音声も聞こえ難いので、同蓋体が開いた状態では音声の報知機能は無効とする。
【0033】
そして、例えば蓋体が開かれた時にはAC電源のゼロクロス信号と蓋体の開検知信号の論理積条件で停電状態を判定し、同停電時には、誤動作させないようにする。
【発明の効果】
【0034】
以上の結果、本願発明によると、高音質かつ十分な音量で、報知内容が聴き取りやすい高性能の音声報知手段を備えた電気炊飯器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器本体の全体的な構成を示す断面図(図3のA−A)である。
【図2】同電気炊飯器本体の正面図である。
【図3】同電気炊飯器本体の操作パネル部分を示す平面図である。
【図4】同電気炊飯器本体の要部である蓋体のスピーカ設置部の構成を示す断面図(図3のB−B)である。
【図5】本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器本体の要部の構成を示す断面図(図3のB−Bに対応)である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(実施の形態1)
以下、図1〜図4を参照して、本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器の構成および作用を説明する。
【0037】
<炊飯器本体の構造>
先ず図1には、例えば内鍋加熱手段として電気ヒータ(一例)を採用した電気炊飯器の炊飯器本体部分の構造が示されている。
【0038】
この電気炊飯器は、例えば炊飯と保温とを兼用する所謂炊飯ジャータイプのものに構成されている。そして、内部に内鍋3をセットし得るように構成された有底筒状の外ケース1と、該外ケース1の上部を覆蓋する蓋ユニット2とからなる容器本体を備えて構成されている。
【0039】
上記外ケース1は、例えば合成樹脂からなる有底筒状のカバー部材4と、該カバー部材4の上端部に結合一体化された合成樹脂製の肩部材5とによって構成されており、その内部には、上記内鍋3を取り出し可能にセットするための有底筒状の内ケース6が設けられている。
【0040】
該内ケース6は、例えば有底筒状の金属板よりなり、上記肩部材5の断面コ字状の内周縁部5aに対してその上端側外周縁部6aが嵌合され、その側壁部6bの外周面上下方向略中央部には保温ヒータ(サブヒータ)H2が備えられている。また、該内ケース6の底壁部6cの中央部には、上記内鍋3の底部3aの下面中央部に対して接触するセンタセンサ7が設けられている。
【0041】
該センタセンサ7は、上記内鍋3の底部3aの温度(つまりは、ごはんの温度)を検知する飯器温度検出手段として作用するものであり、温度検知素子としてサーミスタが採用されている。
【0042】
また、上記内ケース6の底壁部6cの上方側には、上記センタセンサ7のサーミスタ部分を包囲するように飯器加熱手段としての炊飯ヒータ(メインヒータ)H1を備えたヒータプレート9が配設されている。このヒータプレート9は、上記内ケース6内にセットされた内鍋3の底部3aの下面から側部面に対応して隙間なく密着され、内鍋3の底部3aおよびその側面部を伝熱性良く加熱するようになっている。
【0043】
さらに、炊飯器本体後部側の上記内ケース6と外ケース1との間の空間内には、後述する蓋ユニット2側マイコン基板24A上のマイコン制御ユニットにより上記炊飯ヒータH1、保温ヒータH2、蓋ヒータH3各々への通電制御を行う制御回路を具備した制御基盤24Cが上下に延びる形で保持されている。また、内ケース6と外ケース1との間には、必要な断熱材13が配設されている。
【0044】
一方、上記蓋ユニット2は、その外周面を構成する合成樹脂製の外カバー10Aと、該外カバー10Aの外周縁部内側における内枠10Bと、該内枠10Bの下面側に断熱材13を介して取り付けられた蓋ヒータH3付きの放熱板11と、該放熱板11の下方に着脱可能に設けられた内カバー12とによって図示のような中空構造に形成されている。そして、この蓋ユニット2は、上記肩部材5の後端側に対してヒンジカバー14bによりカバーされたヒンジ機構14aを介して上下方向に回動自在に取り付けられており、その開放端側(前端側)には、該蓋ユニット2の前端側所定の位置に対して係合して、該蓋ユニット2の閉塞状態を維持するロック機構(ロック・アンロック機構)15が設けられている。
【0045】
また、符号16は、上記蓋ユニット2の中央部に設けられた蒸気逃がし通路、17は該蒸気逃がし通路16の下部に着脱可能に設けられたおねば戻し機能を有する蒸気放出パイプである。
【0046】
また、同蓋ユニット2の外カバー10Aには、当該炊飯器の操作部および表示部を構成する操作パネル部21が設けられている。該操作パネル部21は、例えばグループ分けされた第1,第2の操作パネル21A,21Bよりなり、第1の操作パネル21Aには、例えば図3に示されるようにタイマー炊飯用の炊飯予約スイッチ22a、炊飯スイッチ22b、保温取消スイッチ22cが設けられ、また第2の操作パネル21Bには、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他)を指定するメニュースイッチ22d、時計及びタイマーの時刻時設定スイッチ22e、同じく時計及びタイマーの時刻分設定スイッチ22fに加え、それらの中間部に位置して液晶ディスプレイ29が設けられている。
【0047】
一方、同第1,第2の操作パネル21A,21Bの裏側断熱材13との間には、上記液晶ディスプレイ29のディスプレイ駆動部および上記各種スイッチ22a〜22fのスイッチ部品等を設けた操作基板(表示基板)24Bおよび操作パネル21A,21Bの操作機能、表示機能、および上記炊飯ヒータH1、保温ヒータH2、肩ヒータH3各々への通電制御機能に対応した入出力制御回路およびマイコン制御ユニットを備えたマイコン基板(マイコンボード)24Aがそれぞれパネル裏面に沿った状態で設けられている。そして、マイコン基板24Aには音声回路(音声スピーカ駆動回路)が圧縮レイアウトされている。
【0048】
さらに、上記蓋ユニット2の炊飯時および保温時において最も熱の影響が少ない個所、例えば図3における蓋ユニット2の内鍋3の開口縁部3bを避けた前端側左コーナ部内(もちろん右のコーナ部内でも良い)には、例えば図4に示すように、外カバー10A側に複数の内外貫通孔30,30・・・、32,32・・・よりなる放音孔が設けられ、その内側に位置してフラットレベルの高い(略フラットな)音声スピーカ33が設置されている。
【0049】
すなわち、この音声スピーカ33は、図4に示すように、非常にホーン部の拡大角が大きい音声スピーカよりなり、その駆動部(ボイスコイル部)33bを下方側、ホーン部(コーン部)33aを上方側放音孔30,30・・・、32,32・・・に向けて取り付けられている。
【0050】
一方、上記外カバー10Aの上記放音孔32,32・・・設置部の上面側は、所定の深さだけ円形に凹まされて円形の凹溝部が形成されており、同円形の凹溝部内に所定の厚さの疎水膜31が埋設されている。そして、それにより外カバー10A側の放音孔32,32・・・が外見上外部からシールされている。
【0051】
この疎水膜31には、特に水に対する発水性が高く、空気はスムーズに通すが、水や蒸気は通さない材質のもの、例えば4ふっ化エチレン樹脂多孔質膜が採用されている。
【0052】
この4ふっ化エチレン樹脂多孔質膜は、例えば1cm2あたり数億個の微細孔をもち、防水性・防塵性と通気性とを同時に発揮し、さらに、発水性、耐熱性、耐薬品性、耐候性にすぐれており、各種基材とのラミネート化や複合化が可能である。
【0053】
また、上記蓋ユニット2の外カバー10Aの上面には、必要に応じ、デザイン上の見地からステンレス等の金属製カバー2aが貼設されており、上記疎水膜31は、この金属製カバー2aにより上面側をカバーされている。そして、同金属製のカバー2aの上記外カバー10A側の放音孔32,32・・・の各貫通孔部分に対応する部分には各々同軸の貫通孔(相対的に小径)よりなる放音孔30,30・・・が設けられている。
【0054】
したがって、上記音声スピーカ33が駆動されると、同音声スピーカ33から出力された音圧変化による空気の振動、すなわち音(音の波)は外カバー10Aの放音孔32,32・・・から疎水膜31、金属製カバー2aの放音孔30,30・・・を通って、蓋ユニット2の正面側斜め前方(上方)のユーザーの顔(耳)に向けて効率良く放音される。
【0055】
以上のように、この発明の実施の形態に係る電気炊飯器は、内鍋と、外ケースおよび内ケースよりなり、内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋ユニットと、上記内鍋を加熱する加熱手段と、必要な音声等の情報を報知する音声報知手段とを備えてなる電気炊飯器において、上記蓋ユニットの外カバーに放音孔を設け、その内側に上記の音声報知手段を配設したことを特徴としている。
【0056】
このような構成によれば、例えばブザー又はスピーカ等の音声報知手段からの音が、直接音の形で放音孔を介してストレートに外部に出力され、何らの反響音を伴うことなくユーザーの耳に届けられる。
【0057】
しかも、設置されているのが蓋ユニットであるため、炊飯器本体内に設置されている場合のような冷却ファンのモータ駆動音や風切り音、ワークコイルの発振音の影響を受けず、もちろん配線部での電磁ノイズも拾わない。
【0058】
したがって、その音質は極めてクリアで、聴き取りやすいものとなる。
【0059】
その結果、同構成によると、高音質で、快適性の高い音色を用いた高級感のある音声報知システムを実現することが可能となる。
【0060】
また、従来のように下方側(床面など)に向けて放音される場合と異なり、直接ユーザーの顔の方向に向けて放音することができる。
【0061】
したがって、ユーザーに対しての注意喚起力も高くなる。
【0062】
さらに、音声回路基板を含めてマイコン基板、操作基板を近傍に設け、対応する操作パネルをも蓋ユニットに設けるようにしているので、最短距離でマイコン基板の音声回路およびマイコンと接続することができるようになるので、より配線距離が短縮されるとともに、配線作業が容易になり、必要な配線の量を少なくすることができ、さらに熱や周囲の電磁ノイズの影響を可及的に回避することができるようになる。
【0063】
そして、その場合において、さらに本体側の制御基板24cをヒンジ機構14aに近い後部側に設置し、ヒンジ部を介して接続されるワイヤーハーネスの長さをも極力短かくできるようにしている。
【0064】
また、それらの場合において、放音孔部分には、空気を通すが水を通さない疎水膜を設けたことを特徴としている。
【0065】
このような空気を通すが水を通さない疎水膜を採用すると、空気の振動である音声は放出させるが、水は通さないようにすることができる。
【0066】
したがって、蓋体そのものを洗えるようにした蓋ユニットの場合は例外であるとしても、比較的蒸気や水が掛かりやすい蓋体の放音孔部分に蒸気や水が侵入したような場合にも、ブザー、スピーカ等の音声報知手段部分に水が侵入するのを確実に回避することができ、安定した音声報知機能を維持することができる。
【0067】
それらの結果、高音質かつ十分な音量で、報知内容が聴き取りやすい高性能の音声報知手段を備えた電気炊飯器を提供することが可能となる。
【0068】
(実施の形態2)
次に、図5は、本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の要部である蓋ユニットの音声スピーカ設置部の構成を示している。
【0069】
この実施の形態のものは、上述した外カバー10Aの放音孔32,32・・・に対して、所定の長さの導波管34を介して音声報知手段である上述の音声スピーカ33を設けたことを特徴としている。
【0070】
このような構成によると、音声報知手段である音声スピーカ33は放音孔32,32・・・の直下を避け、所定の長さの導波管34を介して放音孔32,32・・・から離れた箇所へ配置することができるようになり、疎水膜31を設けない場合、または設けてあっても何らかの原因により同疎水膜31が破損して内部に水が侵入したような場合に、音声スピーカ33に直接水がかからないようにすることが可能となる。
【0071】
(実施の形態3)
この実施の形態3に係る電気炊飯器では、上記各実施の形態の構成において、蓋ユニット2の開閉を検知する蓋開閉検知手段を設け、蓋ユニット2が開かれたことが検知された時には上記音声スピーカ33の音声報知機能を無効にするようにしたことを特徴としている。
【0072】
上述のように蓋ユニット2に音声スピーカ33等の音声報知手段、また操作パネル21A,21Bを設けても、蓋ユニット2が開いた状態では、それらが共に正面側とは反対の後向きになるので、その操作はできず、また報知された音声もユーザーには聞こえにくい。したがって、同蓋ユニット2が開いた状態では音声の報知機能は無効とする。
【0073】
このようにすると、例えばAC電源のゼロクロス信号の消滅により停電状態を判定し、同停電時には、操作パネル等を誤動作させないようにする停電モードの場合と同様に、蓋ユニット2の開放時に音声スピーカ33の停止モードを実現することができる。
【0074】
この蓋開閉検知手段は、例えば蓋ユニット2と炊飯器本体側肩部5との間に設けたON,OFFスイッチ(リードスイッチ)により形成される。
【0075】
(他の実施の形態)
以上の実施の形態では、メインの加熱手段としてヒータH1を採用した場合について説明したが、これは例えばワークコイル等の電磁誘導加熱式のものである場合にも全く同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1は外ケース、2は蓋ユニット、3は内鍋、6は内ケース、9はヒータプレート、H1はヒータである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋と、外ケースおよび内ケースよりなり、内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋を加熱する加熱手段と、必要な音声等の情報を報知する音声報知手段とを備えてなる電気炊飯器において、上記蓋体の外壁に放音孔を設け、その内側に上記音声報知手段を配設したことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
放音孔部分に、空気を通すが水を通さない疎水膜を設けたことを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項3】
放音孔に対して、導波管を介して音声報知手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【請求項4】
蓋体の開閉検知手段を設け、蓋体が開かれたことが検知された時には音声報知手段の音声報知機能を無効にするようにしたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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