説明

電気部品収納ケース及び電気機器

【課題】取付金具の脱落の危険性を軽減できる電気部品収納ケース及び電気機器を提供する。
【解決手段】電気部品収納ケース12は、両端に開口を有し、内部に電気部品を収容する中空筒状のケース本体15と、少なくとも一方の開口近傍から、互いに対向しながら、開口方向に延在するようにケース本体15の外面に備えられた一対のスライド溝41,42と、ケース本体15の両端部を閉塞する閉塞板18,19と、スライド溝41,42に摺動可能に嵌合して外部に突出し、閉塞板の端部に突き当たって摺動が規制されるように形成された係止部43aを有すると共にケース本体15に螺着される取付金具43とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品収納ケース及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば高圧放電灯を光源とした照明器具においては、照明器具に点灯装置を内蔵させないで、分離して配設されるものがある。
【0003】
このようなものでは、点灯装置を構成する電気部品を電気部品収納ケース内に収納して、このケースを器具本体や器具を支持する支柱等に取り付けるようにしている。
ここで、電気部品収納ケースを取り付けるためには、通常、そのケースの外面に螺子等で固定した取付用金具を介して器具本体等に取り付けられることが多用されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平5−291759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電気部品収納ケースの構造では、取付用金具がケースに螺子等で取着されている構造のため、その螺子が脱落した場合は、電気部品収納ケースが落下してしまう虞があった。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、取付金具の脱落の危険性を軽減できる電気部品収納ケース及び電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明による電気部品収納ケースは、両端に開口を有し、内部に電気部品を収容する中空筒状のケース本体と; 少なくとも一方の開口近傍から、互いに対向しながら、開口方向に延在するようにケース本体の外面に備えられた一対のスライド溝と; ケース本体の両端部を閉塞する閉塞板と; スライド溝に摺動可能に嵌合して外部に突出し、閉塞板の端部に突き当たって摺動が規制されるように形成された係止部を有すると共にケース本体に螺着される取付金具と; を具備していることを特徴とする。
【0006】
ここで、ケース本体は、例えばプリント基板に実装等された種々の電気部品をその内部に組み込む必要がある。そのためにケース本体は、底部とそれをカバーする部材に分割されたものを組み合わせて筒状を呈するようなものを使用することができる。
【0007】
さらには、筒形状のケースを製造するための金型は、押出し成形の金型に比較して相対的に型代が高く、ケースの製造コストが高くなり易いため、所望に切断した押出し成形材を用いて筒状のケース本体を構成させることが好ましい。
このような押出し成形材を適用させるときは、閉塞板を嵌合する一対のスライド溝を、ケース本体の外面に一体的に形成することが可能となる利点も備える。
【0008】
請求項2記載の本発明による電気機器は、請求項1記載の電気部品収納ケースと;そのケースの内部に収容されている電気部品と;を具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スライド溝に嵌合される取付金具には、ケース本体の端部を閉塞する閉塞板に突き当たる係止部が形成されているため、取付金具自体の摺動がその閉塞板により規制されることになる。したがって、取付金具とケース本体とを螺着する螺子が外れても、取付金具がスライド溝から外れることを効果的に防止でき、取付金具の脱落の危険性を軽減可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明による電気部品収納ケース及び電気機器の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態の一を示す電気部品収納ケース及び電気機器の分解斜視図である。
【0011】
ここで示す形態の電気機器は、放電灯点灯装置11であり、この放電灯点灯装置11は、電気部品収納ケース12に基板13を収納して構成され、高圧放電ランプ(HID)などの放電灯を点灯させるものである。
【0012】
電気部品収納ケース12は、例えばアルミニウムなどの金属の押し出し成形材などにより角筒状に形成されたケース本体15と、このケース本体15の両端部に取り付けられたるパッキン16,17および閉塞板を構成する蓋部18,19とを備えている。
【0013】
本形態による押し出し成形のケース本体15は、両端部に開口部21,22を備えた中空筒状の構造体であり、共通金型にて切り出し長さを変更するだけで容易にサイズ調整を可能とし、汎用性に優れ、製造コストを抑制可能としている。
【0014】
また、このケース本体15の内側の対向する面には、基板13を挟みこむ一対の保持部としての溝部23,23が互いに設けられている。これら溝部23,23は、ケース本体15の両開口部21,22を結ぶ直線上に配設されている。
【0015】
パッキン16は、ケース本体15内の絶縁性を保つ目的から、硬化性の合成樹脂液が充填される場合に、ケース本体15と蓋部18,19の間の密閉性を高めるために好ましくは配設するものであり、たとえばクロロプレンやゴム材料等、弾力性および可撓性を有する部材により形成される。
このパッキン16の表面には粘着層が形成されていて、蓋部18の内面に貼着された状態で開口部21に取付けられる。
蓋部18は、例えばケース本体15と同様のアルミニウムにより形成され、ねじS1などによりパッキン16とともにケース本体15に固定される。
【0016】
ここで、アルミ押出し成形材は、通常アルマイト処理が施されているが、所定長さに切断された切断端部はアルミニウムの地肌が露出し、電気機器のケースでは、その露出部分の電界腐食が生じる場合があるため、粘着性のあるパッキン16を開口部21,22に介在させれば、電界腐食の軽減も期待できる。
【0017】
基板13は、四角形板状の基板本体31と、この基板本体31の表面、あるいは裏面に実装された点灯回路部品である電子部品32、33a、33bなどを備えている。
【0018】
基板本体31は、例えばガラスエポキシなどの絶縁性の部材により形成されている。基板本体31の端部には、その長手方向へ突出するスペーサが取付けられており、基板本体31の端部とパッキン17との間で連通部を形成するようにしている。すなわち、スペーサの先端がパッキン17に接触することで、基板本体31の端部とパッキン17とが所定の距離だけ離間される。
【0019】
電子部品32は、例えばコンデンサ、抵抗器、インダクタ、トランジスタ、あるいはICなどであり、基板本体31上に形成された図示しないパターンなどとともに、所定の回路、ここでは図示しない放電灯を点灯させるインバータを備えた点灯回路を、基板本体31上に形成している。なお、各図において、電子部品32、33a、33bは一部のみを記載し、その配置は任意に設定可能である。
【0020】
ケース本体15の一面の中央には、その両端の開口部21,22の近傍から、それら開口部21,22を結ぶ方向に延在して、互いに対向するコ字状のスライド溝41,42が形成されている。
【0021】
このスライド41,42溝は、取付金具43を挟み込んだ状態で、取付金具43がスライドできるように構成されており、例えばケース本体15として一体的に押出成形されたものである。
【0022】
このスライド溝41,42に摺動可能に挟み込まれる取付金具43は、その上部において、例えば段差を呈するように屈曲成形されている。そして、図中の下方に相当する部位がスライド溝41,42に差し込まれた状態で、屈曲された部位の上面は、図中水平方向に一方の開口部21と同一面に位置するようにされている。
また、この開口部21を閉塞する蓋部18は、取付金具43の屈曲部位の上面を覆うように、凸状18aを呈している。
【0023】
したがって、取付金具43の下部がスライド溝41,42に差し込まれた状態で、ケース本体15の開口が蓋部18により閉塞され、螺子S1により蓋部18がケース本体15に固定されると、取付金具43の屈曲部位の上面が係止部43aとして作用し、凸状をなしている蓋部18aの裏面に突き当たって、取付金具43全体の摺動は完全に規制される。
なお、上方に突出する取付金具の上部には、例えば図示しない照明器具本体にこの放電灯点灯装置11を取着するための取付穴43bが設けられている。
【0024】
また、取付金具43は、下方に形成された螺子孔43cを介して螺子S3により、ケース本体15に螺着されている。その結果、仮に取付金具43を螺着する螺子S3が外れたとしても、取付金具43は、スライド溝41,42に挟まれた状態で蓋部18により係止されるため、取付金具43は脱落することがない。
【0025】
なお、上記実施の形態における取付金具43では、段差を呈するように屈曲成形した部位により、蓋部18に突き当たる係止部43aを構成したものを説明しているが、例えば、平板状の取付金具に蓋部の凸部が挿入される開口を形成し、この開口の内側面が蓋部の凸部に突き当たるように構成させることもできる。
このものにおいては、取付金具の係止部は、その開口の内側面が相当する。
【0026】
また、電気機器11としては、放電灯を点灯させる点灯回路部品を用いた放電灯点灯装置に限らず、その他の電力変換装置や、別の電気機器などにも適用することもでき、同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の電気部品収納ケース及び電気機器の一実施例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
11 電気機器
12 電気部品収納ケース
13 基板
15 ケース本体
18,19 閉塞板(蓋部)
31〜34 電気部品
41,42 スライド溝
43 取付金具
S1,S2,S3 螺子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に開口を有し、内部に電気部品を収容する中空筒状のケース本体と;
少なくとも一方の開口近傍から、互いに対向しながら、開口方向に延在するようにケース本体の外面に備えられた一対のスライド溝と;
ケース本体の両端部を閉塞する閉塞板と;
スライド溝に摺動可能に嵌合して外部に突出し、閉塞板に突き当たって摺動が規制されるように形成された係止部を有すると共に、ケース本体に螺着される取付金具と;
を具備していることを特徴とする電気部品収納ケース。
【請求項2】
請求項1記載の電気部品収納ケースと;
そのケースの内部に収容されている電気部品と;
を具備していることを特徴とする電気機器。

【図1】
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【公開番号】特開2009−246202(P2009−246202A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92297(P2008−92297)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】