説明

電気部品用ソケット

【目的】 両面パッド形の電気部品に使用でき、薄型化および軽量化が可能でコンタクトピンの取付け作業性に優れた電気部品用ソケットを提供する。
【構成】 複数の上面用および下面用コンタクトピン13,14はブロック20を上下に把持するクリップ部を有する。各コンタクトピンをブロックに装着した後、ブロックを押し下げて上面用および下面用コンタクトピンを同時にソケット本体11に装着する。上面用コンタクトピンと下面用コンタクトピンとでICモジュール1を挟持したとき、その挟持力の反作用で上面用および下面用コンタクトピンに互いに反対方向の曲げモーメントが生じでも、上面用および下面用コンタクトピンのクリップ部がブロックを上下に把持しているので、互いに反対方向の曲げモーメントをブロックを介して相殺させることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はICチップ、チップオンボードモジュール等の電気部品と回路基板とを電気的に接続するために使用される電気部品用ソケットに関する。
【0002】
【従来の技術】ICチップ、マルチ・チップ・モジュール(MCM)等の電気部品を回路基板上に実装する場合、電気部品の端縁に沿って配列された電極パッドを半田付け等で直接回路基板上に接続固定するのが一般的である。しかし、例えば電気部品を試験のために回路基板に接続する場合や、容易に部品交換できるように電気部品を回路基板上に実装する場合や、半田付け時の熱が内部回路に悪影響を及ぼす虞れのある電気部品を回路基板上に実装する場合、従来より電気部品用ソケットが用いられている。
【0003】従来の一般的な電気部品用ソケットにおいては、電気部品の電極パッドまたはリード端子に接触させるためのコンタクトピンがソケット本体の上面に開口形成した溝穴に上から圧入保持される。この種のソケットにおいて、コンタクトピンの本数が増大し、コンタクトピンの間隔が狭まくなると、コンタクトピンの組み付けが困難となる。そこでで、かかる問題に対処すべく、予めコンタクトピンを組み込んだブロックをソケット本体に組み込む方式が提案されている(特開平5−121595号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、電極パッド数の増大に伴い、電極パッドを絶縁基板の上面と下面とに上下間で千鳥状に並設したいわゆる両面パッド形の電気部品(ICモジュール等)が使用されつつある。このような両面パッド形の電気部品に用いるための電気部品用ソケットにおいては、多数の上面用コンタクトピンと多数の下面用コンタクトピンを交互に並設する必要があり、コンタクトピンの間隔がさらに狭くなるので、コンタクトピンを支持するソケット本体に加わる強度上の負荷が大きくなる。また、上面用コンタクトピンと下面用コンタクトピンとで電気部品を挟持した場合、その挟持力の反作用で上面用および下面用コンタクトピンには互いに反対方向の曲げモーメントが生じ易い。このため、上述した従来の電気部品用ソケットのコンタクトピン支持構造を、上述した両面電極パッド形の電気部品に適用しようとすると、両コンタクトピンの脚部をソケット本体、ブロック等の溝穴に圧入して両コンタクトピンをソケット本体に保持することになるため、上面用および下面用コンタクトピンに生じる互いに反対方向の曲げモーメントの作用により、ソケット本体、ブロック等には溝穴を拡開させる方向のせん断応力が生じる。このためソケット本体、ブロック等の強度を確保する必要上、ソケット本体、ブロック等を厚肉に形成せざるを得ないため、ソケットの薄型化および軽量化が困難となり、また、ソケットを介して回路基板に実装される電気部品の実装高さが増大することとなる。また、狭小ピッチで配設されるコンタクトピンの脚部の圧入量が増大するため、ソケット本体、ブロック等の成形加工やコンタクトピンの圧入作業が困難となる。
【0005】したがって、本発明の目的は、両面パッド形の電気部品に使用でき、薄型化および軽量化が可能でコンタクトピンの取付け作業性に優れた電気部品用ソケットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題と解決するために、請求項1記載の発明は、電気部品の上面と下面とに上下間で千鳥状をなして並設された電極パッドを回路基板の回路に電気的に接続するために使用される電気部品用ソケットであって、電気部品の周囲に設けられる枠状のソケット本体と、該ソケット本体の上面に載置され、該ソケット本体の側辺に沿って延びるブロックと、前記電気部品の上面の電極パッドに接触される接触部と、前記ソケット本体の外側で回路基板の回路に接続されるリード部と、前記接触部を前記電気部品の上面の電極パッドに付勢するための略縦U字形のばね部と、前記ばね部と前記リード部との間に位置し且つ前記ブロックに側方より挿抜可能に装着されて前記ブロックを上下方向に把持する略横U字形のクリップ部とを有する複数の上面用コンタクトピンと、前記電気部品の下面の電極パッドに接触される接触部と、前記ソケット本体の外側で前記回路基板の回路に接続されるリード部と、前記接触部と前記リード部との間に位置し且つ前記ブロックに側方より挿抜可能に装着されて前記ブロックを上下方向に把持する略横U字形のクリップ部とを有する複数の下面用コンタクトピンとを備え、前記上面用コンタクトピンおよび下面用コンタクトピンは、前記ブロック上に交互に並設され、前記上面用および下面用コンタクトピンのうちの少なくとも一方と前記ソケット本体とに、前記ブロックの押し下げによって互いに係合する係合手段が設けられていることを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の電気部品用ソケットにおいて、前記クリップ部が湾曲した連結部と該連結部により相互に連結された下辺部および上辺部を有し、前記リード部が前記下辺部の先端に接続されており、前記ブロックの下面には前記上面用および下面用コンタクトピンの配列間隔を規制するための条溝が形成されており、前記クリップ部の下辺部が前記条溝に係合していることを特徴とする。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項2記載の電気部品用ソケットにおいて、前記ブロックの上面には前記上面用および下面用コンタクトピンの配列間隔を規制するためのリブが形成されており、前記クリップ部の上辺部が前記リブ間に係合していることを特徴とする。
【0009】請求項4記載の発明は、請求項2記載の電気部品用ソケットにおいて、前記ブロックの前記電気部品と対向する内側辺部に前記上面用および下面用コンタクトピンの配列間隔を規制するためのスリットが上下方向に貫通形成されており、前記クリップ部の連結部がそれぞれ前記スリット内に係合していることを特徴とする。
【0010】請求項5記載の発明は、請求項2記載の電気部品用ソケットにおいて、前記下面用コンタクトピンの前記クリップ部の下辺部には下方に突出する係合突起が設けられており、前記ソケット本体の上面には前記係合突起と係合する係合溝が形成されており、前記係合突起と前記係合溝とにより前記係合手段を構成していることを特徴とする。
【0011】請求項6記載の発明は、請求項2記載の電気部品用ソケットにおいて、前記ソケット本体には前記上面用コンタクトピンのばね部の下部を受容する受容溝が前記ソケット本体の上面に開口して形成されており、前記上面用コンタクトピンは前記ばね部と前記リード部とで前記ソケット本体を挟持しており、さらに前記上面用コンタクトピンのリード部に形成された係合爪部が前記ソケット本体の外側面に形成された係合溝と係合して前記係合手段を構成していることを特徴とする。
【0012】
【作用】請求項1記載の電気部品用ソケットにおいては、上面用および下面用コンタクトピンのクリップ部をブロック側方より該ブロックに装着することにより、両コンタクトピンを交互にブロック上に並設することができる。そして、クリップ部はブロックを上下に把持する略横U字状のものであるので、ブロックに対し容易に装着することができる。また、ブロックに細長い貫通孔を設ける必要がないので、ブロックを容易に製作することができる。さらに、ブロックに装着されてブロックと一体化された複数の上面用および下面用コンタクトピンは、ブロックをソケット本体の上面に対し押下げることによって、係合手段を介してソケット本体に同時に装着することができる。したがってソケット本体に対する上面用および下面用コンタクトピンの装着作業を容易に行うことができる。また、上面用および下面用コンタクトピンは各々のクリップ部でブロックを上下に把持した状態でソケット本体に装着されるので、上面用および下面用コンタクトピンの高さを容易に均一に揃えることができる。しかも、上面用コンタクトピンと下面用コンタクトピンとで電気部品を挟持した場合、その挟持力の反作用で上面用および下面用コンタクトピンに互いに反対方向の曲げモーメントが生じでも、上面用および下面用コンタクトピンのクリップ部がブロックを上下に把持しているので、互いに反対方向の曲げモーメントをブロックを介して相殺させることができる。したがって、ソケット本体への強度上の負荷を軽減することができるので、ソケット本体の薄型化および軽量化が可能となり、ソケットを介して回路基板に実装される電気部品の実装高さを低くできる。
【0013】請求項2記載の電気部品用ソケットにおいては、上面用および下面用コンタクトピンのクリップ部の下辺部をブロックの下面に形成された条溝に容易に係合させることができ、且つ、該係合によって上面用および下面用コンタクトピンを絶縁状態に保つと共にコンタクトピンの間隔を一定に規制することができる。
【0014】請求項3記載の電気部品用ソケットにおいては、上面用および下面用コンタクトピンのクリップ部の上辺部をブロックの上面に形成されたリブ間に容易に係合させることができ、且つ、該係合によって上面用および下面用コンタクトピンを絶縁状態に保つと共にコンタクトピンの間隔を一定に規制することができる。
【0015】請求項4記載の電気部品用ソケットにおいては、上面用および下面用コンタクトピンのクリップ部の連結部をブロックの内側辺部に形成されたスリット内に容易に係合させることができ、且つ、該係合によって上面用および下面用コンタクトピンを絶縁状態に保つと共にコンタクトピンの間隔を一定に規制することができる。
【0016】請求項5記載の電気部品用ソケットにおいては、ソケット本体の上面に対するブロックの押下げ時に、複数の下面用コンタクトピンのクリップ部の下辺部に突出形成されている係合突起をソケット本体の上面に開口形成されている係合溝に対し同時に容易に圧入することができ、且つ、該圧入によって上面用および下面用コンタクトピンをブロックと共にソケット本体に対し同時に固定することができる。また、係合溝の深さすなわち係合突起の圧入量を大きく確保する必要がないので、成形によるソケット本体の製作が容易となる。
【0017】請求項6記載の電気部品用ソケットにおいては、ソケット本体に上面用コンタクトピンの略縦U字状のばね部を受容する受容溝が形成されているので、上面用コンタクトピンの高さを低く抑えつつばね部の大きな変位量を確保することができる。したがって、上面用コンタクトピンの接触部による電気部品の押圧および開放動作を容易に行わせることができる。また、上面用コンタクトピンのばね部とリード部とでソケット本体を挟持すると共に、上面用コンタクトピンのリード部に形成された係合爪部をソケット本体の外側面に形成された係合溝に係合させるので、上面用および下面用コンタクトピンをブロックと共にソケット本体に対し同時に固定することができる。
【0018】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例につき説明する。
【0019】図1から図9までは本発明の一実施例を示したものであり、図1は電気部品用ソケットの斜視図、図2は図1に示すソケットに電気部品としてのICモジュールを装着した状態を示す斜視図、図3はICモジュールの部分斜視図である。また、図4は上面用コンタクトピンの側面図であり、図5は下面用コンタクトピンの側面図である。さらに、図6は電気部品用ソケットの要部分解斜視図であり、図7から図9まではICモジュールを装着する工程を示す説明図である。
【0020】図3に示すように、ICモジュール1は略矩形の基板2を有し、該基板2の上面2aおよび下面2bにはそれぞれ複数の上側電極パッド3および下側電極パッド4が各側縁に沿って上下間で千鳥状をなして並設されている。すなわち、上側電極パッド3は、隣接する2つの下側電極パッド4の中間に位置するように配置されている。なお、図面上明確にするために、隣接する上側電極パッド3および隣接する下側電極パッド4の夫々の間隔が大きく描かれているが、実際は、狭小間隔で上側電極パッド3および下側電極パッド4が列をなして配置されている。図1および図2において全体的に符号10で示す電気部品用ソケットはこのICモジュール1を回路基板(図示せず)に電気的に接続するように構成されている。
【0021】図1に示すように、ソケット10はプラスチック等の絶縁材からなる矩形枠状のソケット本体11を備えている。ソケット本体11はICモジュール1の基板2の周囲を包囲するように略矩形の形状を有し、その中央空間12にICモジュール1が装着される(図2参照)。ソケット本体11の各辺部にはICモジュール1の上面の電極パッド3に接触させるための複数の上面用コンタクトピン13と、ICモジュール1の下面の電極パッド4に接触させるための複数の下面用コンタクトピン14とが交互に並設されている。図1および図2においても、各要素を明確にするために、上面用および下面用コンタクトピン13、14の夫々の間隔が大きく描かれているが、実際は、狭小間隔でコンタクトピン13、14が夫々配置されている。なお、ソケット本体11の4つのコーナ部の上面には、後述する治具30のための位置決め用の穴11aが開口形成されている。
【0022】ソケット本体11の各側辺部の上面にはソケット本体11の側辺に沿って延びるブロック20が載置される。
【0023】図4を参照すると、上面用コンタクトピン13は、ICモジュール1の上面の電極パッド3に接触される接触部13aと、ソケット本体11の外側で回路基板の導体パターン(回路)に例えばリフローにより半田付けされるリード部13bと、接触部13aをICモジュール1の上面の電極パッド3に付勢するための略縦U字形のばね部13cと、該ばね部13cとリード部13bとの間に位置し且つブロック20に側方より挿抜可能に装着されてブロック20を上下方向に把持する略横U字形のクリップ部とを有する。このクリップ部は下辺部13dと上辺部13eと湾曲した連結部13fとからなる。接触部13aの近傍のばね部上端には突出片13hが設けられている。
【0024】また、図5を参照すると、下面用コンタクトピン14は、ICモジュール1の下面の電極パッド4に接触される接触部14aと、ソケット本体11の外側で回路基板の導体パターン(回路)に例えばリフローにより半田付けされるリード部14bと、接触部14aとリード部14bとの間に位置し且つブロック20に側方より挿抜可能に装着されてブロック20を上下方向に把持する略横U字形のクリップ部とを有する。このクリップ部は下辺部14dと上辺部14eと湾曲した連結部14fとからなる。
【0025】上面用および下面用コンタクトピン13,14のリード部13b,14bはクリップ部の下辺部13d,14dの先端に接続されている。
【0026】図6に示すように、上面用コンタクトピン13および下面用コンタクトピン14は、ブロック20上に交互に並設される。
【0027】また、図6に示すように、ブロック20の下面には上面用および下面用コンタクトピン13,14の配列間隔を規制するための条溝20cが形成されており、上面用および下面用コンタクトピン13,14の装着時に各々のクリップ部の下辺部13d,14dがそれぞれ条溝20cに係合されるようになっている。また、ブロック20の上面には上面用および下面用コンタクトピン13,14の配列間隔を規制するためのリブ20eが形成されており、上面用および下面用コンタクトピン13,14の装着時に各々のクリップ部の上辺部13e,14eがそれぞれリブ20e間に係合されるようになっている。
【0028】さらに、ブロック20のICモジュール1側の内側辺部には、上面用および下面用コンタクトピン13,14の配列間隔を規制するためのスリット21が上下方向に貫通形成されており、上面用および下面用コンタクトピン13,14の装着時に各々のクリップ部の連結部13f,14fがそれぞれスリット21内に係合されるようになっている。
【0029】上記構成のソケットにおいて、上面用および下面用コンタクトピン13,14のうちの少なくとも一方とソケット本体11とに、ブロック20の押し下げによって互いに係合する係合手段が設けられる。この実施例では、下面用コンタクトピン14のクリップ部の下辺部14dには下方に突出する係合突起14gが設けられており、ソケット本体11の上面には係合突起14gと係合する係合溝11bが形成されており、係合突起14gと係合溝11bとにより前記係合手段を構成している。
【0030】また、ソケット本体11には上面用コンタクトピン13のばね部13cの下部を受容する受容溝11dがソケット本体11の上面に開口して形成されており、上面用コンタクトピン13はばね部13cとリード部13bとでソケット本体11を挟持している。さらに、上面用コンタクトピン13のリード部13bに形成された係合爪部13gがソケット本体11の外側面に形成された係合溝11cと係合して前記係合手段を構成している。
【0031】上記構成を有するソケットにおいては、上面用および下面用コンタクトピン13,14のクリップ部をブロック20の側方より該ブロック20に装着することにより、両コンタクトピン13,14を交互にブロック20上に並設することができる。そして、クリップ部はブロック20を上下に把持する略横U字状のものであるので、ブロック20に対し容易に装着することができる。また、ブロックに細長い貫通孔を設ける必要がないので、型成形によりブロック20を容易に製作することができる。さらに、ブロック20に装着されてブロック20と一体化された複数の上面用および下面用コンタクトピン13,14は、ブロック20をソケット本体11の上面に対し押下げることによって、前記係合手段を介してソケット本体11に同時に装着することができる。したがってソケット本体11に対する上面用および下面用コンタクトピン13,14の装着作業を容易に行うことができる。また、上面用および下面用コンタクトピン13,14は各々のクリップ部でブロック20を上下に把持した状態でソケット本体11に装着されるので、上面用および下面用コンタクトピン13,14の高さを容易に均一に揃えることができる。しかも、上面用コンタクトピンと下面用コンタクトピン13,14とでICモジュール1を挟持した場合、その挟持力の反作用で上面用および下面用コンタクトピン13,14に互いに反対方向の曲げモーメントが生じでも、上面用および下面用コンタクトピン13,14のクリップ部がブロック20を上下に把持しているので、互いに反対方向の曲げモーメントをブロック20を介して相殺させることができる。したがって、ソケット本体11への強度上の負荷を軽減することができるので、ソケット本体11の薄型化および軽量化が可能となり、ソケット10を介して回路基板に実装されるICモジュール1の実装高さを低くできる。
【0032】図7〜図9は、ソケット10にICモジュール1を組み付ける各工程を示すものであり、図7はICモジュール1を装着する前の準備工程を示し、図8はICモジュール1の搭載工程を示し、図9はソケット10に搭載したICモジュール1を上面用および下面用コンタクトピン13、14で挾持させるための最終工程を示す。
【0033】ソケット10に対するICモジュール1の装着は、図7および図8に部分的に示す治具30を用いて行われる。治具30を下降させて上面用コンタクトピン13の突出片13hを押し下げると、ばね部13cが撓み変位し、接触部13aがソケット本体11の外方に移動してICモジュール1の搭載が可能となる。また、治具30を上方に復帰させると、上面用コンタクトピン13の接触部13aがばね部13cのばね力によりソケット本体11の内方に復帰し、ICモジュール1の上面の電極パッド3を下方に押圧する。これにより、両コンタクトピン13,14と上下の電極パッド3,4とが所要の接触圧で接触する。なお、治具30とソケット本体11との位置合わせは、先に述べた位置決め用の穴11aで行う。
【0034】図10は本発明の他の実施例を示したものである。図において上記第1実施例と同様の構成要素には同一の参照符号が付してある。この実施例では、上面用および下面用コンタクトピン13,14の接触部13a,14aがそれぞれソケット本体11の内方に向かって傾斜して延びているので、両コンタクトピン13,14の接触部13a,14aがICモジュール1の電極パッド3,4に接触したときに上面用コンタクトピン13の接触部13aでICモジュール1を水平方向に押圧し易くなる。したがって、両コンタクトピン13,14の接触部13a,14aがICモジュール1の電極パッド3,4とこすれ合っていわゆるワイピング作用が生じることにより、コンタクトピン13,14とICモジュール1とを確実に電気的に接続できることとなる。
【0035】以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は、これに限定されることなく、例えば以下のような変形例を包含するものである。
【0036】(1) 下面用コンタクトピン14に係合突起14gを設けて、この係合突起14gをソケット本体11の係合溝11bに嵌合するようにしたが、この係合突起を下面用コンタクトピン14だけでなく上面用コンタクトピン13にも設けてもよい。
【0037】(2) 係合突起14gを受け入れるためにソケット本体11に係合溝をなす長溝11bが形成されているが、この長溝11bに代えて、係合突起14gに対応する位置にこれを受け入れる小孔を設け、この小孔に係合突起14gを嵌合させるようにしてもよい。この変形例に比べて、ソケット本体11に長溝11bを設けた上記の実施例によれば、ソケット本体11の成形型を簡素化することができるだけでなく、ソケット本体11を軽量化することができる。
【0038】(3) ソケット本体11の係合溝11cに係合する係合爪13gを上面用コンタクトピン13に設けたが、このような係合爪を下面用コンタクトピン14に設けてもよい。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明による電気部品用ソケットは、上面用および下面用コンタクトピンがICモジュール等の電子部品から受ける反力をブロックで打ち消すことができるので、ソケット本体を薄型化および軽量化できるとともに、この反力が両コンタクトピンと回路基板との間の半田付け部分に及ぼす影響を低減することができ、しかも、予めブロックに装着した上面用および下面用コンタクトピンをソケット本体に対し同時に容易に組み付けることができる。したがって、両面パッド形の電気部品に使用でき、薄型化および軽量化が可能でコンタクトピンの取付け作業性に優れた電気部品用ソケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す電気部品用ソケットの斜視図である。
【図2】図1に示すソケットにICモジュールを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図3】図1のソケットに装着されるICモジュールの部分斜視図である。
【図4】図1に示す上面用コンタクトピンの側面図である。
【図5】図1に示す下面用コンタクトピンの側面図である。
【図6】図1のソケットの要部分解斜視図である。
【図7】図1の実施例の動作説明図である。
【図8】図1の実施例の動作説明図である。
【図9】図1の実施例の動作説明図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す電気部品用ソケットの要部縦断面図である。
【符号の説明】
1 ICモジュール
3,4 電極パッド
10 ソケット
11 ソケット本体
11b,11c 係合溝
13 上面用コンタクトピン
13a 接触部
13b リード部
13c ばね部
13d クリップ部の下辺部
13e クリップ部の上辺部
13f クリップ部の連結部
13g 係合突起部
14 下面用コンタクトピン
14a 接触部
14b リード部
14d クリップ部の下辺部
14e クリップ部の上辺部
14f クリップ部の連結部
14g 係合爪部
20 ブロック
20c 条溝
20e リブ
21 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気部品の上面と下面とに上下間で千鳥状をなして並設された電極パッドを回路基板の回路に電気的に接続するために使用される電気部品用ソケットであって、電気部品の周囲に設けられる枠状のソケット本体と、該ソケット本体の上面に載置され、該ソケット本体の側辺に沿って延びるブロックと、前記電気部品の上面の電極パッドに接触される接触部と、前記ソケット本体の外側で回路基板の回路に接続されるリード部と、前記接触部を前記電気部品の上面の電極パッドに付勢するための略縦U字形のばね部と、前記ばね部と前記リード部との間に位置し且つ前記ブロックに側方より挿抜可能に装着されて前記ブロックを上下方向に把持する略横U字形のクリップ部とを有する複数の上面用コンタクトピンと、前記電気部品の下面の電極パッドに接触される接触部と、前記ソケット本体の外側で前記回路基板の回路に接続されるリード部と、前記接触部と前記リード部との間に位置し且つ前記ブロックに側方より挿抜可能に装着されて前記ブロックを上下方向に把持する略横U字形のクリップ部とを有する複数の下面用コンタクトピンとを備え、前記上面用コンタクトピンおよび下面用コンタクトピンは前記ブロック上に交互に並設され、前記上面用および下面用コンタクトピンのうちの少なくとも一方と前記ソケット本体とに、前記ブロックの押し下げによって互いに係合する係合手段が設けられていることを特徴とする電気部品用ソケット。
【請求項2】 前記クリップ部が湾曲した連結部と該連結部により相互に連結された下辺部および上辺部を有し、前記リード部が前記下辺部の先端に接続されており、前記ブロックの下面には前記上面用および下面用コンタクトピンの配列間隔を規制するための条溝が形成されており、前記クリップ部の下辺部が前記条溝に係合していることを特徴とする請求項1記載の電気部品用ソケット。
【請求項3】 前記ブロックの上面には前記上面用および下面用コンタクトピンの配列間隔を規制するためのリブが形成されており、前記クリップ部の上辺部が前記リブ間に係合していることを特徴とする請求項2記載の電気部品用ソケット。
【請求項4】 前記ブロックの前記電気部品と対向する内側辺部に前記上面用および下面用コンタクトピンの配列間隔を規制するためのスリットが上下方向に貫通形成されており、前記クリップ部の連結部がそれぞれ前記スリット内に係合していることを特徴とする請求項2記載の電気部品用ソケット。
【請求項5】 前記下面用コンタクトピンの前記クリップ部の下辺部には下方に突出する係合突起が設けられており、前記ソケット本体の上面には前記係合突起と係合する係合溝が形成されており、前記係合突起と前記係合溝とにより前記係合手段を構成していることを特徴とする請求項2記載の電気部品用ソケット。
【請求項6】 前記ソケット本体には前記上面用コンタクトピンのばね部の下部を受容する受容溝が前記ソケット本体の上面に開口して形成されており、前記上面用コンタクトピンは前記ばね部と前記リード部とで前記ソケット本体を挟持しており、さらに前記上面用コンタクトピンのリード部に形成された係合爪部が前記ソケット本体の外側面に形成された係合溝と係合して前記係合手段を構成していることを特徴とする請求項2記載の電気部品用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開平8−273785
【公開日】平成8年(1996)10月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−100699
【出願日】平成7年(1995)3月31日
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)