説明

電池における電圧レギュレータ

【課題】市販の標準サイズの一次電池よりも有効寿命の長い標準サイズの一次電池を提供する。
【解決手段】電池アセンブリは、標準サイズの一次高エネルギー密度の電池アセンブリと、当該電池アセンブリ内に統合される電圧レギュレータとを含む。標準サイズの一次高エネルギー密度の電池アセンブリを提供する方法は、電圧レギュレータ回路を標準サイズの一次高エネルギー密度の電池アセンブリに統合するステップと、高エネルギー密度の電池アセンブリの出力電圧を調整して標準一次電池の出力電圧に一致させるステップとを具備する。本発明の実施形態は、電圧レギュレータを市販の一次高エネルギー密度電池に統合することができる。本発明の一実施形態における電圧レギュレータは、高エネルギー密度電池の出力電圧を低減するのに使用できる。本発明の実施形態における高エネルギー密度電池アセンブリは、標準一次電池により電力を供給される既存の機器に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、標準的な一次電池に関し、より具体的には、統合された電圧レギュレータを有する一次電池及び高いエネルギー密度を有する標準的なサイズの一次電池を提供する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
広く市販されている標準的な一次(再充電可能でない)電池には、例えば、D、C、AA又はAAAなどの典型的には1.5V(ボルト)の標準出力電圧を有する標準サイズのアルカリ電池もしくはマンガン電池(carbon−zinc battery)、又は典型的には2.0Vの標準出力電圧を有する鉛酸(lead−acid)電池を含む。日頃からよく消費者に使用されるごく最近の既存の機器は、当該機器のための正しい電圧を得るために、これら安価な標準一次電池を単独又は複数で利用する。標準的な一次電池は、電子計算機、電子ドア・ロック、火災検知器、懐中電灯、ラジオ、電子玩具、テープ・レコーダ、コンパクト・ディスク・プレーヤ、カメラ、携帯電話、ページャ、小さな台所用品及びその他のコードレスの消費者製品などの携帯電子機器において消費者によく利用される。電子機器がより高速且つ複雑になればなるほど、動作のためにより大きな電力が必要となり、したがって典型的な標準一次電池はより頻繁に取り替える必要が生じる。標準的な一次電池は、必要な電流を供給しなくなれば通常は捨てられてしまう。したがって、より長時間持続する一次電池に対する需要が高まってきている。さらに、取り替えや供給が困難な地域においては、消費者は、安価な標準一次電池に代えて、リチウムイオン技術などの高価ではあってもより長く持続する技術を使用することを望むであろう。
【0003】
したがって、消費者にとって、標準的な一次電池をリチウムイオン電池などのより高いエネルギー密度をもつ電池に交換することは有利である。残念ながらこれは現状では可能ではない。というのも、そのような高いエネルギー密度の電池の出力電圧は例えば約3.0から3.9Vであり、標準的な一次電池の約1.5Vの出力電圧よりも通常高くなるからである。また、将来的により高いエネルギー密度の電池が開発されると、出力電圧はさらに一層高くなる。リチウムイオン技術などの現代技術を利用するためには、機器をより高いエネルギー密度の電池を使用するように再設計することもあり得るが、これは既存の機器にとって常に都合がよいとは限らず、費用効率が高いとも限らず、さらに可能であるとも限らない。
【0004】
このような現在の市場の需要に対応する内蔵型、携帯型のエネルギー貯蔵装置のような様々な従来技術が存在している。例えば、米国特許第6,654,228号明細書は、一次アルカリ電池におけるステップ・ダウン型電圧変換器を利用している。一次アルカリ電池においてステップ・ダウン型の電圧変換器を提供することにより、電池の有効寿命に亘って実質的には一定の放電を行うことになり、したがって、アルカリ電池の有効寿命は延長される。
【0005】
他の例において、米国特許第6,232,749号明細書は、少なくとも2つの一次電池のグループに動作可能に接続されたDC−DC(直流)変換器を含む電池パックを開示する。当該DC−DC変換器は、電圧を、一次電池のグループの定格電圧よりも低い調整された公称電圧に変換する。電池電圧を一定の電圧にまで調整することにより、これらの電池は、各電池ごとに当該電池のグループからの追加のエネルギー伝達を可能にする最小の電圧レベルへと放電することができる。電池パックの寿命を引き延ばす一方、開示される電池パックは、フォームファクタのために、すなわち、既存の機器において標準サイズの一次電池を受容するスペースの物理的なサイズ及び形状のために、標準サイズの一次電池に取って代わることはできなかった。
【特許文献1】米国特許第6,654,228号明細書
【特許文献2】米国特許第6,232,749号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、現在市販されている標準サイズの一次電池よりも長い有効寿命を有する標準サイズの一次電池に対する要求が存在する。さらに、既存の機器のフォーム・ファクタを満たす標準的な応用のために、リチウムイオン技術などの高いエネルギー密度技術を利用する要求が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様において、電池アセンブリは、標準サイズの一次高エネルギー密度電池アセンブリと、当該電池アセンブリ内に統合される電圧レギュレータとを具備する。
本発明の別の態様において、電池アセンブリは、一次リチウム・セルと、当該リチウム・セルと電気的に接続された電圧レギュレータ回路と、標準一次電池のサイズ及び形状を有するケースとを具備し、当該ケースはリチウム・セル及び電圧レギュレータ回路を収容でき、電圧レギュレータ回路はリチウム・セルの出力電圧を標準一次電池の出力電圧へ調整する。
【0008】
本発明のさらに別の態様において、標準サイズの一次高エネルギー密度電池アセンブリを提供する方法は、電圧レギュレータ回路を高エネルギー密度の電池アセンブリに統合するステップと、当該高エネルギー密度の電池アセンブリの出力電圧を調整して標準一次電池の出力電圧に一致させるステップとを具備する。
【0009】
本発明のこれら及びその他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明並びに添付の特許請求の範囲及び図面を参照することによって、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の詳細な説明は本発明を実施する現時点で予期される最良の態様についてのものである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により最もよく定義されるものであって、以下の説明は、限定的な意味に解釈されるべきではなく、本発明の一般的な原理を説明する目的のみのためになされるものである。
【0011】
概して、本発明は、統合された電圧レギュレータを有する、高エネルギー密度の一次(再充電可能でない)電池を提供する。一実施形態において、本発明は、C、CC、DもしくはDDサイズのリチウムイオン電池などの市販の高エネルギー密度の一次電池に、これら一次電池を再設計することなく導入し得る電圧レギュレータを提供する。本発明の実施形態は、通常は標準的なアルカリ電池により動作する既存の機器のフォーム・ファクタに適合する高エネルギー密度の一次電池の提供に適しているが、これに限定されるものではない。本発明の実施形態は、水中の場所、鉱山、塔及び危険な場所などのサービス提供が困難な応用に適合し得るが、これに限定されるものではない。アルカリ電池などの市販の標準的な一次電池と比較して、本発明の実施形態は、機器の再設計を不要にしつつ、より長期の動作寿命とより軽いパック重量を提供する。
【0012】
例えばElectrochem,Division of Wilson Greatbatch,Ltd.(米国、ニューヨーク)により製造されるような市販の既製の一次(再充電可能でない)リチウム電池は、D、DD、C、CC及びAAなどの多種多様な標準サイズのものが現状で入手可能であり、信頼性が高く、耐久性があり、長持ちし、安全であり、高いエネルギー密度を有し、厳しい条件下でも使用できるが、セルあたり約3から約3.9ボルトの出力電圧を有しており、標準的なアルカリ電池で動作する既存の機器にとっては不利益となりうる。したがって、本発明の一実施形態においては、市販の電池を再設計することなしに、市販のリチウム電池又はその他の高エネルギー密度の電池に電圧レギュレータを統合する。本発明の一実施形態におけるような電圧レギュレータは、市販のリチウム電池の出力電圧を、例えば約1.5Vの所望の電圧へと低減するために使用され、その結果、標準的なアルカリ電池に取って代わるものとして、又は標準的なアルカリ電池に代えて使用されるものとしてリチウム電池が提供される。
【0013】
例えばElectrochem,Division of Wilson Greatbatch,Ltd.(米国、ニューヨーク)により製造されるような市販の既製の一次(再充電可能でない)リチウム電池は、通常、リチウム電池パッケージ内に統合されたプリント配線基板を既に有している。したがって、市販の一次リチウム電池には、本発明の一実施形態における電圧レギュレータを含むプリント配線基板を受容するためのスペースが既に存在している。通常、このような従来のプリント配線基板は安全信管及びダイオードを含んでもよい。本発明の実施形態は、既存のプリント配線基板を利用することもできる。電圧レギュレータをリチウム電池パッケージ内に統合することにより、当該電圧レギュレータは本質的に電流を制限するので、通常、安全信管はもはや不要となり、当該電圧レギュレータが一方向性であるので、ダイオードもまた不要となる。したがって、本発明の一実施形態における電圧レギュレータを受容するスペースが既存のプリント配線基板上に存在しうる。
【0014】
本発明の実施形態は、一次リチウム電池の出力電圧を工場で調整して、市販の既製のアルカリ電池又はその他の市販の標準サイズの電池により動作する既存の機器のニーズに対応することによって、従来の市販の既製の一次リチウム電池とは差異を有するものとなっている。したがって、本発明の実施形態は、携帯電子機器などの日常的な応用のために、リチウム電池の利点を利用することができる。例えば、リチウム電池はアルカリ電池よりも3倍のエネルギー密度を生成して、消費者機器において少なくとも3倍の長期の寿命をもたらす。交換の観点から、このことは輸送、工数及び材料を節約することを意味する。
【0015】
したがって、アルカリ電池の方が単価が安いが、リチウム電池の方が全体のコストを低減し得る。さらに、一次アルカリ電池の電圧出力が電池寿命にわたって徐々に低減するのに対して、本発明の実施形態は、一次電池の寿命にわたって一貫して一定の電圧出力を提供することができる。
【0016】
市販の既製の一次リチウム電池の出力電圧を約2.0Vにまで調整することにより、本発明の実施形態は、さらに、毒性の強い鉛酸電池をリチウム電池で代用することができる。リチウム電池が含む材料は、動作中に有害であるのみであって、廃棄時に適切に取り扱った後においては、中和された当該材料は環境的に害がない。
【0017】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による一次電池アセンブリ10の透視切り出し図が示されている。電池アセンブリ10は、一次(再充電可能でない)電池11、プリント配線基板12、電流コレクタ・タブ13、ケース14及び端子キャップ15を含んでもよい。電流コレクタ・タブ13は、プリント配線基板12を介して電池11を端子キャップ15と電気的に接続してもよい。ケース14は、電池11及びプリント配線基板12を収容することができる。ケース14は、一端において開口した円筒であってもよい。端子キャップ15は、ケース14の開口側を閉じるのに使用される。ケース14はステンレス鋼のケースであってもよい。蓋16はケース14の内側に配置してもよい。蓋16は、電池11をプリント配線基板12から分離するようにしてもよい。蓋16は、ケース14の内側に溶接されてもよい。気密シール17は、電流コレクタ・タブ13が蓋16を通じて延在する領域を密封する。したがって、ケース14は、電池11を受容するための密封された空間18を含みうる。蓋16及びシール17により形成される気密シールは、例えば、約800psi(ボンド/平方インチ)の定格としてもよい。電池アセンブリ10のケース14は、例えばD、C、AA又はAAAなどの市販の標準的な一次電池の標準サイズ及び形状を有することができる。電池アセンブリ10のケース14は、例えばDD又はCCなどの2つの市販の標準一次電池のサイズ及び形状をさらに有してもよい。電池アセンブリ10は、以下に詳細に述べるようにプリント配線基板12のみを変更することができる、例えばElectrochem,Division of Wilson Greatbatch,Ltd.により製造される3B36リチウム塩化スルフリルDD電池などの市販の部品であってもよい。各3B36リチウム塩化スルフリル電池は約3.9Vの出力電圧を有し、これは例えば標準的なアルカリ電池の代用とするには高すぎる。その他の市販の既製の電池アセンブリは、本発明の電池アセンブリ10の基礎として使用し得る。
【0018】
電池11は、一次リチウム電池又は他の如何なる一次高エネルギー密度電池であってもよい。電池11は、例えば、ボビン・セル構造、デュアル・アノード・セル構造又は螺旋状にねじれたセル構造を有していてもよい。電池11は、例えば、螺旋状にねじれたリチウム塩化スルフリル電池であってもよい。螺旋状にねじれた電池は、しばしば、その他の電池構造よりも高いエネルギー密度及びより一貫した性能を示す。また、パルス状の又は間欠的な応用のための再起動性能が改善され得る。
【0019】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による電池アセンブリ10のブロック図が示される。図示されるように、電圧レギュレータ回路27がプリント配線基板12上に取り付けられており、これは電圧レギュレータ21、入力キャパシタ22、出力キャパシタ23、フィード・フォワード・キャパシタ28、抵抗24及び抵抗25を含んでもよい。プリント配線基板12は、Electrochem,Division of Wilson Greatbatch,Ltd.により製造される3B36リチウム塩化スルフリルDD電池などの市販の既製の電池アセンブリ内に既に存在するプリント配線基板であってもよい。電圧レギュレータ21は本質的に電流を制限し且つ一方向性であるので、市販の既製の電池アセンブリのプリント配線基板上に取り付けられて通常は電流の値及び方向を制限するのに使用されるヒューズ及びダイオードはもはや不要である。したがって、電圧レギュレータ21、キャパシタ22、23及び28並びに抵抗24及び25をプリント配線基板12上に取り付けるための空間が既に利用可能である。市販の既製の電池アセンブリに通常含まれるプリント配線基板は完全に円形でなくても、本発明の一実施形態のように、円形のプリント配線基板をプリント配線基板12として利用することは可能である。必要な場合、円形のプリント配線基板12は、通常の従来のプリント配線基板よりも回路用により大きな空間を提供し得る。さらに、従来のプリント配線基板をプリント配線基板12と取り替えたり、既に存在しているプリント配線基板に加えてプリント配線基板12を使用することも可能である。また、既に存在している回路に加えて、既に存在しているプリント配線基板上に電圧レギュレータ回路27を取り付けることも可能である。
【0020】
電圧レギュレータ21は、低いドロップアウト電圧(すなわち、入出力差動電圧)及び低い零入力電流(負荷が存在しない場合にレギュレータ21を通じて流れる電流)を有してもよい。低いドロップアウト電圧を有することにより、電池11の寿命は延び、電圧レギュレータ21が電池11が切れるまで適切な出力電圧を提供し続けることを可能にする。ドロップアウト電圧は、例えば約0.1Vであってもよいが、その他の同様の低いドロップアウト電圧を有するレギュレータを使用することもできる。低い零入力電流もまた、電池11の寿命を延ばす上で有益である。本発明の幾つかの実施形態にとって、100μA以下の低い零入力電流は有益となり得る。あまりに大きな電流を消費しないようにすることにより、電圧レギュレータ21は、機器に電力を供給するためにより大きなアンペア時を使用することができる。
【0021】
電池アセンブリ10における使用に適した例示的な電圧レギュレータ21は、National Semiconductor,Inc.(米国、カリフォルニア州)により製造されるレギュレータLP2980―ADJであってもよい。レギュレータLP2980―ADJは既製の市販のレギュレータであり、本発明の実施形態における使用の際に約0.1Vのドロップアウト電圧と約60−62μAの零入力電流とを有する。しかし、その他の既製の又は特注のレギュレータを本発明の電池アセンブリ10におけるレギュレータ21として使用することができることを理解されたい。既製の電池アセンブリ10を修正し既製のレギュレータ21を使用することにより、本発明の実施例は、通常は特注の部品を使用することに関連するコストを低減することができる。
【0022】
現在市販されているリチウム電池又はその他の高エネルギー密度の電池の出力電圧は、例えば典型的に1.5V(ボルト)の標準出力電圧を有するD、C、AA又はAAAの単一セル電池などの標準サイズのアルカリ又はマンガン電池や典型的に2.0Vの標準出力を有する鉛酸電池のような通常の標準的な一次(再充電可能でない)電池の応用において使用するには高すぎるので、プリント配線基板12に取り付けられた電圧レギュレータ回路27は、出力電圧26を標準的な一次電池の値に調整する。例えば、D、C、AA又はAAAサイズの標準的なアルカリ電池を取り替えるか又はそれに代えて使用するために電池アセンブリ10を用意する場合、出力電圧26は、約1.5Vに低減してもよい。別の例において、それぞれ例えばD又はCサイズの2つの標準的なアルカリ電池を取り替えるために電池アセンブリ10が使用される場合、電池アセンブリ10のケース14はDD又はCCサイズであってもよく、出力電圧26は約3.0Vに低減されてもよい。高エネルギー密度の電池11を含み約3.0Vの調整された出力電圧を有するDDサイズの電池アセンブリ10は、懐中電灯に電力を供給するDサイズの2つの標準的なアルカリ電池を取り替えるか又はそれに代えて使用するために使用することができる。Dサイズの2つの標準的なアルカリ電池を使用する場合と比較して、懐中電灯の動作時間が延長されるだけでなく、一次電池11の寿命にわたって一貫して一定の電圧出力が得られることによって一定の強度の光線を確保することができる。
【0023】
さらに図2を参照すると、National Semiconductor,Inc.により製造されるレギュレータLP2980―ADJなどのレギュレータ21ととも使用するために構成される電圧レギュレータ回路27が図示される。特にレギュレータ21(LP2980―ADJ)は、レギュレータ21の適切な機能のために、1μF(マイクロ・ファラッド)又はそれ以上の最小キャパシタンスを有する入力キャパシタ22(Cin)及び2.2μF又はそれ以上の最小キャパシタンスを有する出力キャパシタ23(Cout)を必要とする。フィード・フォワードキャパシタ28(Cf)は、レギュレータ21におけるループ安定性に必要なリード補償を提供することができる。
【0024】
レギュレータ21の出力電圧26は、抵抗24及び25の値により決定することができる。抵抗24及び25は、レギュレータ21の出力電圧26を調整するための電圧分配器(voltage divider)として機能してもよい。2つの抵抗24及び25を使用することで、1つの抵抗のみを使用する場合と比較して、抵抗レベルにわたってより正確な制御が可能となり、したがって、出力電圧にわたってより正確な制御が可能となり得る。抵抗24及び25は、レギュレータ21の出力電圧が電池11の出力電圧以下の所望の電圧となり得るように選択することができる。このような出力電圧26は、例えば、1.5V、3.0V又は2.0Vであってもよい。選択された抵抗24及び25に応じて、電池アセンブリ10の出力電圧26は工場で調整してもよい。プリント配線基板12は、電池アセンブリ10のケース14内に統合されているので、標準的なアルカリ電池などの標準的な一次電池が現在入手できるのと同じ方法で消費者に入手可能となり得る。ケース14は、D、C、AA又はAAAなどの標準的な一次電池と同じサイズ及び形状を有しているか、又は、それぞれがDD又はCCなどのDサイズ又はCサイズの2つの標準的な一次電池の形状を有しているので、本発明の実施形態におけるような高エネルギー密度電池アセンブリ10は、既存の機器を再設計する必要なしに、標準的な一次電池により一般的に電力供給される既存の機器において使用することができる。
【0025】
図2に示されるレギュレータ21は電池11に直接的に配線されているが、別の実施形態において、レギュレータ21と電池11との間に小さなプラスチックのタブを具備し、これを引き抜くことによりレギュレータ21を作動させるようにしてもよい。この例においては、レギュレータ21のオン/オフ機能を利用することができ、電池アセンブリ10の保存期間(shelf life)を延ばすことができる。
【0026】
図3を参照すると、標準サイズの一次高エネルギー密度電池アセンブリ10を提供するための方法30を表すフローチャートが示されている。方法30はステップ31を含み、ここで、電池11及びプリント配線基板12を含む標準サイズの一次高エネルギー密度電池アセンブリ10が提供される。当該高エネルギー密度の電池アセンブリ10は、標準的な一次電池を取り替えるため又はそれに代えて使用するために提供される。高エネルギー密度の電池アセンブリ10は、通常の標準的な一次電池よりも高い出力電圧を有する。ステップ32は、電圧レギュレータ回路28をプリント配線基板12上に取り付けることにより、電圧レギュレータ回路28を標準サイズの一次高エネルギー密度電池アセンブリ10に統合するステップを含む。当該電圧レギュレータ回路28は、例えばNational Semiconductor,Inc.により製造されるレギュレータLP2980―ADJのような電圧レギュレータ21、入力キャパシタ22、出力キャパシタ23、フィード・フォワード・キャパシタ28、抵抗24及び抵抗25などの構成要素を含んでもよい。ステップ33において、抵抗24及び25など、電圧レギュレータ回路28の構成要素の値が、標準的な一次電池の出力電圧に一致する所望の出力電圧26に従って選択される。ステップ34は、高エネルギー密度の電池アセンブリ10の出力電圧を、標準的な一次電池の出力電圧に一致させるように調整するステップを含む。高エネルギー密度の電池アセンブリ10は、ステップ35において、DD、D、CC、C、AA又はAAAなどの標準的な一次電池と同じサイズ及び形状を有するように提供することができる。
【0027】
当然のことながら、上述の説明は本発明の例示的な実施形態に関するものであり、添付の特許請求の範囲に記載されるように、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく変更をなし得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態による電池の透視切り出し図である。
【図2】本発明の一実施形態による電池アセンブリのブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による、標準サイズの一次高エネルギー密度電池アセンブリを提供するための方法を表すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準サイズの一次高エネルギー密度電池アセンブリ(10)と、
前記電池アセンブリに統合された電圧レギュレータ(21)と
を具備する電池アセンブリ(10)。
【請求項2】
前記電池アセンブリ(10)は一次高エネルギー密度電池(11)をさらに含み、前記電池(11)は密封された空間(18)内に含まれる請求項1に記載の電池アセンブリ(10)。
【請求項3】
前記電池アセンブリ(10)はプリント配線基板(12)をさらに含み、前記電圧レギュレータ(21)は前記プリント配線基板(12)に取り付けられる請求項1又は2に記載の電池アセンブリ(10)。
【請求項4】
前記電池アセンブリ(10)は、一次高エネルギー密度電池(11)、端子キャップ(15)及び電流コレクタ・タブ(13)をさらに含み、前記電流コレクタ・タブ(13)は前記電圧レギュレータ(21)を介して前記電池(11)を前記端子キャップ(15)と電気的に接続する請求項1−3のいずれかに記載の電池アセンブリ(10)。
【請求項5】
前記電池アセンブリ(10)は、約3.9Vの出力電圧を有するリチウム塩化スルフリルDD電池(11)をさらに含む請求項1−4のいずれかに記載の電池アセンブリ(10)。
【請求項6】
前記電圧レギュレータ(21)は、前記電池アセンブリ(10)の出力電圧(26)を標準的な一次電池の出力電圧へ調整する請求項1−5のいずれかに記載の電池アセンブリ(10)。
【請求項7】
前記電圧レギュレータ(21)は電圧レギュレータ回路(27)に含まれ、前記電圧レギュレータ回路(27)は、入力キャパシタ(22)、出力キャパシタ(23)、フィード・フォワード・キャパシタ(28)並びに第1の抵抗(24)及び第2の抵抗(25)を含む請求項1−6のいずれかに記載の電池アセンブリ(10)。
【請求項8】
前記電圧レギュレータ(21)は低いドロップアウト電圧及び低い零入力電流を有する請求項1−7のいずれかに記載の電池アセンブリ(10)。
【請求項9】
前記電池アセンブリ(10)は標準サイズD、C、AA又はAAAを有し、前記電圧レギュレータ(21)は前記電池アセンブリ(10)の出力電圧(26)を約1.5Vに調整する請求項1−8のいずれかに記載の電池アセンブリ(10)。
【請求項10】
前記電池アセンブリ(10)は標準サイズDD又はCCを有し、前記電圧レギュレータ(21)は前記電池アセンブリ(10)の出力電圧を約3.0Vに調整する請求項1−9のいずれかに記載の電池アセンブリ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−243818(P2008−243818A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−83113(P2008−83113)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】