電池パックにおけるブラケットの組み付け方法および組み付け用治具
【課題】スタックアッシーの下面へのブラケットの位置決めを簡易に行うことを可能にした電池パック用ブラケットの組み付け方法、および当該組み付け方法に用いる組み付け用治具を提供する。
【解決手段】スタックアッシー20の下面20aの一端部の所定位置に上側ブラケット10を位置決めして配置し、組み付け用治具1に対して下側ブラケット11を保持させるとともに、スタックアッシー20に対して組み付け用治具1を位置決めして保持させることにより、スタックアッシー20の下面20aの他端部の所定位置に下側ブラケット11を位置決めして配置し、かつ、組み付け用治具1を上側ブラケット10のスタックアッシー20の位置する面と反対側の面に当接させた状態で、スタックアッシー20の下面20aにブラケット9(各ブラケット10・11)を締結する。
【解決手段】スタックアッシー20の下面20aの一端部の所定位置に上側ブラケット10を位置決めして配置し、組み付け用治具1に対して下側ブラケット11を保持させるとともに、スタックアッシー20に対して組み付け用治具1を位置決めして保持させることにより、スタックアッシー20の下面20aの他端部の所定位置に下側ブラケット11を位置決めして配置し、かつ、組み付け用治具1を上側ブラケット10のスタックアッシー20の位置する面と反対側の面に当接させた状態で、スタックアッシー20の下面20aにブラケット9(各ブラケット10・11)を締結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックにおけるロアケースの固定に用いられるブラケットの組み付け方法およびその組み付け用治具の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載される電池パックは、1又は複数の単電池からなる単位電池(電池モジュール)を複数連結して所定の容量を確保した組電池(スタック)を備えており、当該スタックを一対のエンドプレートにより挟持してアッシー(以下、スタックアッシーと呼ぶ)を構成している。そして、当該スタックアッシー等を電池ケースに収容して電池パックを構成するのが一般的である。また、当該電池ケースは、スタックアッシーを載置するロアケースと、スタックアッシーを覆うアッパーケースとからなり、スタックアッシーはロアケースに締結されている。
【0003】
スタックアッシーとロアケースを締結する作業において、スタックアッシーは、作業者の作業姿勢を適正化するべく、当該スタックアッシーにおけるロアケースを締結する側の下面を、側方(作業者と相対する方向)に向けて、作業のしやすい角度に適宜前傾させた状態で配置するのが好適である。
そして、ロアケースを、当該スタックアッシーにおける側方に向けられた面(下面)に位置決めして、ロアケースとスタックアッシーとのボルト孔を一致させた後に、ロアケース側からスタックアッシー側に向けてボルトを差し込んで、両部材を締結するようにしている。
そしてこの作業を行う場合には、スタックアッシーとロアケースの位置決め状態を保持するための装置(以下、位置決め装置と呼ぶ)が一般的に用いられている。
【0004】
しかしながら、ロアケースがより大型のものになると、作業者によるロアケースを持ち上げる作業が困難になるとともに、位置決め装置の能力(挟持力)を増強する必要が生じる。
このため、より大型のロアケースに対応するべく、スタックアッシーとロアケースの間に中間部材(ブラケット)を設けて、ブラケットを介して、スタックアッシーとロアケースを締結する技術が開発されるに至っており、例えば、以下に示す特許文献1にその技術が開示され公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−185815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術に係る電池パックにおいて、ブラケットの組み付け態様は、スタックアッシーの2箇所の側面にブラケットを取り付ける態様としている。この場合、一対のブラケットを取り付けるために2方向(両側面側)から組み付け作業を行う必要がある。
【0007】
このように、特許文献1の開示技術は、スタックアッシーにおけるロアケースを締結する下面を側面(作業者と相対する方向)に向けて、下面方向からのみ作業をできるものではないため、1方向からの組み付け作業を実現するには至っていない。
【0008】
ここで、スタックアッシーの下面を側方(作業者と相対する方向)に向けて保持している態様では、スタックアッシーの下面にブラケットを位置決めしつつ保持するのが困難である。特に、スタックアッシーが大型化すると、それに伴いブラケットも大型化するため、位置決めしつつ保持するのがより困難になる。
このため、スタックアッシーに対してブラケットを位置決めした状態を保持するための手段が必要になるが、従来ロアケースの位置決めに用いていた位置決め装置をブラケット用として用いるには大掛かり過ぎるし、また、ブラケットとロアケースでは形状が異なるため、従来の位置決め装置をそのままブラケット用に転用することは困難であった。
【0009】
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、スタックアッシーに対するブラケットの組み付け作業の更なる容易化を図るべく、スタックアッシーの下面へのブラケットの位置決めを簡易に行うことを可能にした電池パック用ブラケットの組み付け方法、および当該組み付け方法に用いる組み付け用治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、1又は複数の単電池からなる単位電池を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシーに、前記スタックアッシーと電池ケースとの間に固定されるブラケットを、組み付ける組み付け方法であって、前記スタックアッシーの下面の一端部の所定位置に第一のブラケットを位置決めして配置し、治具に対して第二のブラケットを保持させるとともに、前記スタックアッシーに対して前記治具を位置決めして保持させることにより、前記スタックアッシーの下面の他端部の所定位置に第二のブラケットを位置決めして配置し、かつ、前記治具を前記第一のブラケットの前記スタックアッシーの位置する面と反対側の面に当接させた状態で、前記スタックアッシーの下面に前記第一および第二のブラケットを締結するものである。
【0012】
請求項2においては、前記治具は、磁石により構成される保持手段を備え、前記スタックアッシーを、前記保持手段で磁着することにより、前記治具を前記スタックアッシーに対して位置決めして保持させるものである。
【0013】
請求項3においては、前記治具は、前記第二のブラケットを保持するための位置決めピンを備え、前記第二のブラケットに形成された孔に前記位置決めピンを挿通することにより、前記第二のブラケットを前記治具に対して位置決めして保持させるものである。
【0014】
請求項4においては、1又は複数の単電池からなる単位電池を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシーに、前記スタックアッシーと電池ケースの間に固定されるブラケットを組み付けるための組み付け用治具であって、前記スタックアッシーの所定位置に固着可能な手段である保持手段と、前記保持手段が、前記スタックアッシーの所定位置に位置決めして固着されている状態において、前記スタックアッシーの下面の一端部において位置決めして配置された第一のブラケットの前記スタックアッシーが位置する面と反対側の面に当接する部位である当接部と、前記スタックアッシーの下面の他端部において第二のブラケットを位置決めしつつ、保持するための部位である位置決め部と、を備えるものである。
【0015】
請求項5においては、前記保持手段は、磁石により構成され、前記スタックアッシーの所定位置を磁着することにより、前記スタックアッシーに固着されるものである。
【0016】
請求項6においては、前記位置決め部は、ボールプランジャを有する位置決めピンにより構成され、前記第二のブラケットに形成された孔に挿通することにより、前記第二のブラケットを保持するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、ブラケットを位置決めしつつ保持することが困難なスタックアッシーの下面に、容易にブラケットを組み付けることができる。
特に、組み付け用治具が、第二のブラケットをスタックアッシーに位置決めして保持するとともに、第一のブラケットに当接するので、第一のブラケットをも安定して保持することができる。
【0019】
請求項2においては、スタックアッシーに対して、組み付け用治具を容易に保持することができる。
【0020】
請求項3においては、組み付け用治具に対して、ブラケットを容易に保持することができる。
【0021】
請求項4においては、ブラケットを位置決めしつつ保持することが困難なスタックアッシーの下面において、ブラケットの姿勢を容易に保持することができる。これにより、容易にブラケットを組み付けることができる。
特に、位置決め部で第二のブラケットをスタックアッシーに位置決めして保持するとともに、当接部で第一のブラケットに当接することにより、第一のブラケットをも安定して保持することができる。
【0022】
請求項5においては、スタックアッシーに対して、組み付け用治具を容易に保持することができる。
【0023】
請求項6においては、組み付け用治具に対して、ブラケットを容易に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法を適用するスタックアッシーを示す模式図、(a)スタックアッシーの全体構成を示す斜視模式図、(b)組み付け状態に配置されたスタックアッシーを示す斜視模式図。
【図2】本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法の適用に係るスタックアッシーおよびブラケットを示す斜視模式図。
【図3】本発明の一実施形態に係る組み付け用治具の全体構成を示す模式図、(a)表面側から見た模式図、(b)裏面側から見た模式図。
【図4】本発明の一実施形態に係る組み付け用治具の全体構成を示す斜視模式図。
【図5】位置決めピンによる下側ブラケットの位置決め状態を示す模式図。
【図6】保持手段による磁着部に対する組み付け用治具の保持状態を示す模式図。
【図7】スタックアッシーに対する上側ブラケットの配置状態を示す模式図、(a)斜視模式図、(b)図7(a)におけるA部の詳細図。
【図8】組み付け用治具における下側ブラケットの保持状態を示す斜視模式図。
【図9】スタックアッシーに対する組み付け用治具および下側ブラケットの位置決め状態を示す斜視模式図。
【図10】スタックアッシーに対する下側ブラケットの配置状態を示す模式図、(a)ダボによる位置決め状態を示す図9におけるB部の詳細図、(b)爪による位置決め状態を示す図9におけるC部の詳細図。
【図11】スタックアッシーに対する組み付け用治具によるブラケットの保持状態を示す斜視模式図。
【図12】図11におけるD部の詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る組み付け用治具を用いたブラケットの組み付け方法を適用する対象たるスタックアッシーおよびブラケットについて、図1および図2を用いて説明をする。
尚、図1(a)(b)および図2において、スタックアッシーは、その下面を側方に向けた姿勢にて保持されている。また、図1(a)(b)中および図2中に記載した矢印Xが示す方向は、組み付け状態に配置されたスタックアッシーおよびブラケットにおける上方を示している(以下、同様とする)。
【0026】
図1(a)に示す如く、本発明の一実施形態に係る組み付け用治具を用いたブラケットの組み付け方法の適用対象たるスタックアッシー20は、1又は複数の単電池からなる単位電池21・21・・・を複数積層して形成されるものであり、積層方向における両端部に位置する各単位電池21・21に隣接させて一対のエンドプレート22・23を配置している。
【0027】
各エンドプレート22・23は、連結部材24・24・・・により連結されており、連結部材24・24・・・に対する各エンドプレート22・23の螺合位置を変更することによって、各エンドプレート22・23の離間距離を調整することができる構成としている。
そして、各エンドプレート22・23の離間距離を小さくして、各単位電池21・21・・・を積層方向に向けて挟圧することにより、各単位電池21・21・・・の積層状態を保持する構成としている。
【0028】
ブラケットの組み付け状態において、スタックアッシー20は、図1(b)に示すように、仮留めクランプ7・7によって挟持されることによって、その下面20aを側方に向けた姿勢を保持するようにしており、作業者は下面20aに対面する位置で組み付け作業を行う構成としている。
【0029】
組み付け状態における下面20aの上部(側面20b側)には、ブラケットを組み付けるための複数のボルト孔21a・21a・・・が形成されており、また、下面20aの組み付け状態における下部(側面20c側)には、ブラケットを組み付けるための複数のボルト孔21b・21b・・・が形成されている。
一方のエンドプレート22におけるスタックアッシー20の下面20aに相当する面の上端部には、ダボ22aが突出しており、他方のエンドプレート23におけるスタックアッシー20の下面20aに相当する面の下端部には、ダボ23aが突出している。
また、一方のエンドプレート22におけるスタックアッシー20の側面20cに相当する面の下面側端部には、爪22bが形成され、他方のエンドプレート23におけるスタックアッシー20の側面20bに相当する面の下面側端部には、爪23bが形成されている。
尚、組み付け状態におけるスタックアッシー20は、作業者の作業性等を考慮して、作業者側に若干前傾させる態様で保持するのが好適である。
【0030】
また、図2に示す如く、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法の適用対象たるブラケット9は、組み付け状態における下面20aの上部(側面20b側)に配置されるブラケットである上側ブラケット10と、組み付け状態における下面20aの下部(側面20c側)に配置されるブラケットである下側ブラケット11により構成している。
【0031】
また、上側ブラケット10には、下面20aの上方に配置された複数のボルト孔21a・21a・・・に対応する孔10a・10a・・・が形成されており、また、下側ブラケット11には、下面20aの下方に配置された複数のボルト孔21b・21b・・・に対応する孔11a・11a・・・が形成されている。
【0032】
さらに、上側ブラケット10には、ダボ22aに対応するダボ孔10cと、爪23bに対応するフック10dが形成されており、また、下側ブラケット11には、ダボ23aに対応するダボ孔11cと、爪22bに対応するフック11dが形成されている。
またさらに、下側ブラケット11には、組み付け用治具によって係止される部位となる位置決め孔11e・11eが形成されている。
【0033】
そして、上側ブラケット10は、ダボ孔10cにダボ22aを挿通しつつ、フック10dを爪23bに係合させることによって、各孔10a・10a・・・がボルト孔21a・21a・・・に対応するように、下面20aの上方における所定位置に位置決めすることができる。
【0034】
また同様に、下側ブラケット11は、ダボ孔11cにダボ23aを挿通しつつ、フック11dを爪22bに係合させることによって、各孔11a・11a・・・がボルト孔21b・21b・・・に対応するように、下面20aの下方における所定位置に位置決めすることができる。
【0035】
上側ブラケット10は、ダボ孔10cにダボ22aを挿通しつつ、フック10dを爪23bに係合させただけでは不安定な配置状態となっており、前方に向けて容易に傾倒する可能性がある。
また、下側ブラケット11も、ダボ孔11cにダボ23aを挿通しつつ、フック11dを爪22bに係合させただけでは不安定な配置状態となっており、容易に脱落する可能性がある。
【0036】
このため、本発明に係るブラケットの組み付け方法においては、下面20aを側方に向けつつ保持された状態のスタックアッシー20の下面20aに対して、所定位置(上方および下方)に配置された各ブラケット10・11を容易に保持することができる治具(組み付け用治具)を用いる構成としている。
【0037】
次に、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法に用いる組み付け用治具の全体構成について、図3〜図6を用いて説明をする。
尚、図3(a)(b)および図4に記載した矢印Xの方向は、組み付け用治具の使用状態における上方を示しており、スタックアッシー20の組み付け状態における上方と一致している。
【0038】
本発明の一実施形態に係る組み付け用治具1は、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法において用いられるものであり、図3(a)(b)および図4に示す如く、基部2a、ブラケット押さえ部2b・2b、ブラケット保持部2c・2c等を有するプレート2、保持手段3・3、位置決め部4・4、取手部6等を備えている。
【0039】
尚、以下の説明では、図3(a)において表されている、取手部6が付設されている側の面を、組み付け用治具1の表面1aと規定し、また、図3(b)において表されている、表面1aと反対側の面を裏面1bと規定する。
そして、組み付け用治具1の使用状態において、作業者は、取手部6を把持して、表面1aが作業者と対面した状態で、裏面1bスタックアッシー20に対面させて、組み付け用治具1を使用する構成としている。
【0040】
プレート2は、組み付け用治具1の骨格を形成する部材であり、基部2a、ブラケット押さえ部2b・2b(請求項における当接部に相当)、ブラケット保持部2c・2c等が形成されている。
尚、プレート2は、各ブラケット10・11を押圧するのに必要な剛性を確保しつつ、作業者が容易に取り扱えるようにすべく軽量化を図るため、樹脂製プレート等の素材を採用するのが好適である。
【0041】
ブラケット押さえ部2b・2bは、スタックアッシー20の上部に配置された上側ブラケット10を押圧するための部位であり、基部2aから組み付け用治具1の使用状態における上方に向けて左右一対で突設されている。
また、各ブラケット押さえ部2b・2bには、上側ブラケット10を押圧している状態において、上側ブラケット10に形成された各孔10a・10a・・・の位置に相当する箇所に切欠き部2d・2dが形成されており、各ブラケット押さえ部2b・2bにより各孔10a・10a・・・を塞いでしまうことがないようにしている。
【0042】
また、ブラケット保持部2c・2cは、スタックアッシー20の下部に下側ブラケット11を保持するための部位であり、基部2aから組み付け用治具1の使用状態における下方に向けて左右一対で突設されている。
各ブラケット保持部2c・2cには、各ブラケット保持部2c・2cにより下側ブラケット11を保持するための位置決め部4・4が、裏面1b側の各ブラケット保持部2c・2cに突設されている。
【0043】
図5に示す如く、位置決め部4は、組み付け用治具1に対する下側ブラケット11の配置を位置決めするための部位であり、ブラケット保持部2cに対してボルトにより固定された基部4aと、該基部4aに突設される位置決めピン4b等を備えている。位置決めピン4bは、組み付け用治具1の裏面1b側に突出している。
そして、図5に示す如く、位置決めピン4b・4bを、下側ブラケット11の位置決め孔11e・11eに挿通することによって、ブラケット保持部2c・2cにおいて下側ブラケット11を位置決めしつつ保持することができる構成としている。
【0044】
また、位置決めピン4bの外周面には、ボールプランジャ5が備えられている。
ボールプランジャ5は、定常時において、位置決めピン4bの外周面から突出している部位である略半球状の係止部5aを備えており、位置決めピン4bにおける係止部5aの突出部においては、その外形寸法が、下側ブラケット11に形成される位置決め孔11eの内径寸法に比して大きくなっている。
【0045】
また係止部5aには、位置決めピン4bの内部においてバネ等からなる弾性部材5bが介設されている。このため係止部5aは、押圧されることによって位置決めピン4bの内部に没入するとともに、押圧が解除されることによって、位置決めピン4bの外周面から突出する状態に復元される。
そして、係止部5aが位置決めピン4b内に没入している状態では、係止部5aの存在する部位における位置決めピン4bの外形寸法が、下側ブラケット11に形成される孔11aの内径寸法以下になる構成としている。
【0046】
このような構成により、位置決めピン4bを下側ブラケット11に形成されている各孔11a・11aに対して、表面側から裏面側へ挿通するときには、係止部5aが各孔11a・11aの内周面により押圧されて、位置決めピン4bの内部に没入するため、位置決めピン4bが孔11aに対して挿通可能となる。
【0047】
また、係止部5aが各孔11a・11aを通過して下側ブラケット11の裏面側まで到達したときには、係止部5aが位置決めピン4bの外周面から突出する状態に復元される。
そして、位置決めピン4bの係止部5aのある部位では、位置決めピン4bの外形寸法が孔11aの内径寸法に比して大きくなるため、係止部5aによって下側ブラケット11を係止することができ、下側ブラケット11が位置決めピン4b・4bから容易に抜けることを防止する。
このような構成により、組み付け用治具1(より詳しくは、ブラケット保持部2c・2c)において、下側ブラケット11を容易に着脱可能としつつ、確実に保持することができる。
【0048】
また、各ブラケット保持部2c・2cには、下側ブラケット11を保持している状態において、下側ブラケット11に形成された各孔11a・11a・・・の位置に相当する箇所に切欠き部2d・2dが形成されており、各ブラケット保持部2c・2cにより各孔11a・11a・・・を塞いでしまうことがないようにしている。
【0049】
保持手段3は、組み付け用治具1をスタックアッシー20に対して位置決めしつつ保持するための部位であって、裏面1b側における基部2aの左右各端部に一対で突設されるマグネット3aを備えている。
マグネット3aは、図6に示す如く、スタックアッシー20を保持するための仮留めクランプ7(図1(b)参照)の一部に形成された磁性体からなる磁着部7aに磁着されることによって、スタックアッシー20に対して組み付け用治具1を位置決めしつつ保持することができる。
【0050】
尚、本実施形態では、略六角柱状の形態を有するマグネット3aを例示しているが、本発明に係る組み付け用治具が備えるマグネットの形態をこれに限定するものではない。
また、本実施形態では、磁着部7aを磁性体により構成するとともに、組み付け用治具1に磁力を有するマグネット3aを設ける構成としているが、仮留めクランプ7側にマグネットや電磁石等を配置する構成(組み付け用治具側には磁性体のみを配置する)とすることも可能である。
【0051】
またマグネット3aは、プレート2に対してボルトの突出長さを調整可能に構成しているアジャスター3bを介して固定されている。このため、マグネット3aは、プレート2からの離間距離を調整することができる。
そして、アジャスター3bでマグネット3aとプレート2の離間距離を調整することにより、上側ブラケット10に対するブラケット押さえ部2b・2bの沿わせ具合や、ブラケット保持部2c・2cにおいて保持されている下側ブラケット11の、スタックアッシー20に対する押し付け具合等を調整することができる。
【0052】
次に、本発明の一実施形態に係る組み付け用治具1を用いたブラケット9の組み付け方法について、図7〜図12を用いて説明をする。
図7(a)に示す如く、組み付け用治具1を用いたブラケット9の組み付け方法では、まず始めに、仮留めクランプ7・7により所定の姿勢に保持されたスタックアッシー20に対して、その下面20aの上部における所定位置に、上側ブラケット10を配置して準備をしておく。
【0053】
このとき、上側ブラケット10は、ダボ孔10cにエンドプレート22のダボ22aを挿通するとともに、図7(b)に示すように、フック10dをエンドプレート23の爪23bに係合させることによって、所定の位置に位置決めするようにしている。
これにより、上側ブラケット10に形成された各孔10a・10a・・・が、スタックアッシー20に形成された各ボルト孔21a・21a・・・に対応する位置(作業者の視線方向において略一致する位置)に配置される。
【0054】
一方、図8に示す如く、組み付け用治具1は、そのブラケット保持部2c・2cに備えられる各位置決めピン4b・4bを、下側ブラケット11の位置決め孔11e・11eに挿通させることによって、下側ブラケット11を保持させた状態で準備しておく。
【0055】
即ち、本発明の一実施形態に係る電池パックにおけるブラケットの組み付け方法において、組み付け用治具1は、下側ブラケット11を保持するための位置決めピン4b・4bを備え、下側ブラケット11に形成された位置決め孔11e・11eに位置決めピン4b・4bを挿通することにより、下側ブラケット11を組み付け用治具1に対して位置決めして保持させるものである。
【0056】
また、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法に用いる組み付け用治具1において、位置決め部4は、ボールプランジャ5を有する位置決めピン4bにより構成され、下側ブラケット11に形成された位置決め孔11e・11eに挿通することにより、下側ブラケット11を保持するものである。
このような構成により、組み付け用治具1に対して、ブラケット9(上側ブラケット10および下側ブラケット11)を容易に保持することができる。
【0057】
次に、図9および図10に示す如く、作業者は、取手部6を把持しながら組み付け用治具1を下面20aに向けて沿わせるように移動させて、下側ブラケット11のダボ孔11cにエンドプレート23のダボ23aを挿通しつつ、フック11dをエンドプレート22の爪22bに係合させるように、組み付け用治具1を配置する。
そして、下側ブラケット11のダボ孔11cやフック11dを利用して、組み付け用治具1が所定位置に配置されるとき、組み付け用治具1が備える各マグネット3a・3aが、磁着部7a・7aに着磁される所定位置に配置され、組み付け用治具1がスタックアッシー20に対して位置決めした状態で保持される。
【0058】
するとこのとき、図11および図12に示すように、上側ブラケット10には、組み付け用治具1のブラケット押さえ部2b・2bが当接するため、傾倒することがない安定した配置状態が保持される。
また、下側ブラケット11は、組み付け用治具1のブラケット保持部2c・2c(位置決めピン4b・4b)によって保持されているため、容易に脱落等することがない安定した配置状態が保持される。
【0059】
即ち、本発明の一実施形態に係る電池パックにおけるブラケットの組み付け方法において、組み付け用治具1は、磁石により構成される保持手段3を備え、スタックアッシー20を、マグネット3aで磁着することにより、組み付け用治具1をスタックアッシー20に対して位置決めして保持させるものである。
【0060】
また、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法に用いる組み付け用治具1において、保持手段3は、磁石たるマグネット3aにより構成され、スタックアッシー20の所定位置を磁着することにより、スタックアッシー20に固着されるものである。
このような構成により、スタックアッシー20に対して、組み付け用治具1を容易に保持することができる。
【0061】
そして、スタックアッシー20に対して、組み付け用治具1によりブラケット9(上側ブラケット10および下側ブラケット11)が保持されている状態に至れば、作業者は、組み付け用治具1から手を離すことができる。
そして、作業者に対面する位置(目前)に、上側の各孔10a・10a・・・と下側の各孔11a・11aが配置されている状態で、作業性よく、ボルト(図示せず)によりスタックアッシー20に対するブラケット9の締結作業を行うことができる。
【0062】
即ち、本発明の一実施形態に係る電池パックにおけるブラケットの組み付け方法においては、1又は複数の単電池からなる単位電池21・21・・・を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシー20に、前記スタックアッシー20と電池ケースとの間に固定されるブラケット9を、組み付ける組み付け方法であって、スタックアッシー20の下面20aの一端部の所定位置に第一のブラケットたる上側ブラケット10を位置決めして配置し、組み付け用治具1に対して第二のブラケットたる下側ブラケット11を保持させるとともに、スタックアッシー20に対して組み付け用治具1を位置決めして保持させることにより、スタックアッシー20の下面20aの他端部の所定位置に下側ブラケット11を位置決めして配置し、かつ、組み付け用治具1を上側ブラケット10のスタックアッシー20の位置する面と反対側の面に当接させた状態で、スタックアッシー20の下面20aにブラケット9(各ブラケット10・11)を締結するものである。
【0063】
また、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法に用いる組み付け用治具1は、1又は複数の単電池からなる単位電池21・21・・・を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシー20に、スタックアッシー20と電池ケースの間に固定されるブラケット9を組み付けるための治具であって、スタックアッシー20の所定位置に固着可能な手段である保持手段3と、保持手段3が、スタックアッシー20の所定位置に位置決めして固着されている状態において、スタックアッシー20の下面20aの一端部(各ボルト孔21a・21a・・・)において位置決めして配置された第一のブラケットたる上側ブラケット10のスタックアッシー20が位置する面と反対側の面に当接する部位である当接部たるブラケット押さえ部2b・2bと、スタックアッシー20の下面20aの他端部(各ボルト孔21a・21a・・・)において第二のブラケットたる下側ブラケット11を位置決めしつつ、保持するための部位である位置決め部たる位置決めピン4b・4bと、を備えるものである。
【0064】
このような構成により、ブラケット9を位置決めしつつ保持することが困難なスタックアッシー20の下面20aにおいて、ブラケット9の姿勢を容易に保持することができる。これにより、容易にブラケット9を組み付けることができる。
特に、位置決めピン4b・4bで下側ブラケット11をスタックアッシー20に位置決めして保持するとともに、ブラケット押さえ部2b・2bで上側ブラケット10に当接することにより、上側ブラケット10をも安定して保持することができる。
【0065】
尚、本実施形態では、下面20aを側方に向けた状態のスタックアッシー20に対して、その下面20aの上部および下部にブラケット9を組み付ける態様とした場合を例示しているが、例えば、下面20aを側方に向けた状態のスタックアッシー20に対して、その下面20aの左右方向の両端部にブラケットを組み付ける態様とすることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 組み付け用治具
2 プレート
2b ブラケット押さえ部
2c ブラケット保持部
3 保持手段
3a マグネット
4 位置決め部
4b 位置決めピン
5 ボールプランジャ
9 ブラケット
10 上側ブラケット(第一のブラケット)
11 下側ブラケット(第二のブラケット)
11e 位置決め孔
20 スタックアッシー
20a 下面
21 単位電池
21a ボルト孔
21b ボルト孔
22 エンドプレート
22a ダボ
22b 爪
23 エンドプレート
23a ダボ
23b 爪
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックにおけるロアケースの固定に用いられるブラケットの組み付け方法およびその組み付け用治具の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載される電池パックは、1又は複数の単電池からなる単位電池(電池モジュール)を複数連結して所定の容量を確保した組電池(スタック)を備えており、当該スタックを一対のエンドプレートにより挟持してアッシー(以下、スタックアッシーと呼ぶ)を構成している。そして、当該スタックアッシー等を電池ケースに収容して電池パックを構成するのが一般的である。また、当該電池ケースは、スタックアッシーを載置するロアケースと、スタックアッシーを覆うアッパーケースとからなり、スタックアッシーはロアケースに締結されている。
【0003】
スタックアッシーとロアケースを締結する作業において、スタックアッシーは、作業者の作業姿勢を適正化するべく、当該スタックアッシーにおけるロアケースを締結する側の下面を、側方(作業者と相対する方向)に向けて、作業のしやすい角度に適宜前傾させた状態で配置するのが好適である。
そして、ロアケースを、当該スタックアッシーにおける側方に向けられた面(下面)に位置決めして、ロアケースとスタックアッシーとのボルト孔を一致させた後に、ロアケース側からスタックアッシー側に向けてボルトを差し込んで、両部材を締結するようにしている。
そしてこの作業を行う場合には、スタックアッシーとロアケースの位置決め状態を保持するための装置(以下、位置決め装置と呼ぶ)が一般的に用いられている。
【0004】
しかしながら、ロアケースがより大型のものになると、作業者によるロアケースを持ち上げる作業が困難になるとともに、位置決め装置の能力(挟持力)を増強する必要が生じる。
このため、より大型のロアケースに対応するべく、スタックアッシーとロアケースの間に中間部材(ブラケット)を設けて、ブラケットを介して、スタックアッシーとロアケースを締結する技術が開発されるに至っており、例えば、以下に示す特許文献1にその技術が開示され公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−185815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術に係る電池パックにおいて、ブラケットの組み付け態様は、スタックアッシーの2箇所の側面にブラケットを取り付ける態様としている。この場合、一対のブラケットを取り付けるために2方向(両側面側)から組み付け作業を行う必要がある。
【0007】
このように、特許文献1の開示技術は、スタックアッシーにおけるロアケースを締結する下面を側面(作業者と相対する方向)に向けて、下面方向からのみ作業をできるものではないため、1方向からの組み付け作業を実現するには至っていない。
【0008】
ここで、スタックアッシーの下面を側方(作業者と相対する方向)に向けて保持している態様では、スタックアッシーの下面にブラケットを位置決めしつつ保持するのが困難である。特に、スタックアッシーが大型化すると、それに伴いブラケットも大型化するため、位置決めしつつ保持するのがより困難になる。
このため、スタックアッシーに対してブラケットを位置決めした状態を保持するための手段が必要になるが、従来ロアケースの位置決めに用いていた位置決め装置をブラケット用として用いるには大掛かり過ぎるし、また、ブラケットとロアケースでは形状が異なるため、従来の位置決め装置をそのままブラケット用に転用することは困難であった。
【0009】
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、スタックアッシーに対するブラケットの組み付け作業の更なる容易化を図るべく、スタックアッシーの下面へのブラケットの位置決めを簡易に行うことを可能にした電池パック用ブラケットの組み付け方法、および当該組み付け方法に用いる組み付け用治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、1又は複数の単電池からなる単位電池を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシーに、前記スタックアッシーと電池ケースとの間に固定されるブラケットを、組み付ける組み付け方法であって、前記スタックアッシーの下面の一端部の所定位置に第一のブラケットを位置決めして配置し、治具に対して第二のブラケットを保持させるとともに、前記スタックアッシーに対して前記治具を位置決めして保持させることにより、前記スタックアッシーの下面の他端部の所定位置に第二のブラケットを位置決めして配置し、かつ、前記治具を前記第一のブラケットの前記スタックアッシーの位置する面と反対側の面に当接させた状態で、前記スタックアッシーの下面に前記第一および第二のブラケットを締結するものである。
【0012】
請求項2においては、前記治具は、磁石により構成される保持手段を備え、前記スタックアッシーを、前記保持手段で磁着することにより、前記治具を前記スタックアッシーに対して位置決めして保持させるものである。
【0013】
請求項3においては、前記治具は、前記第二のブラケットを保持するための位置決めピンを備え、前記第二のブラケットに形成された孔に前記位置決めピンを挿通することにより、前記第二のブラケットを前記治具に対して位置決めして保持させるものである。
【0014】
請求項4においては、1又は複数の単電池からなる単位電池を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシーに、前記スタックアッシーと電池ケースの間に固定されるブラケットを組み付けるための組み付け用治具であって、前記スタックアッシーの所定位置に固着可能な手段である保持手段と、前記保持手段が、前記スタックアッシーの所定位置に位置決めして固着されている状態において、前記スタックアッシーの下面の一端部において位置決めして配置された第一のブラケットの前記スタックアッシーが位置する面と反対側の面に当接する部位である当接部と、前記スタックアッシーの下面の他端部において第二のブラケットを位置決めしつつ、保持するための部位である位置決め部と、を備えるものである。
【0015】
請求項5においては、前記保持手段は、磁石により構成され、前記スタックアッシーの所定位置を磁着することにより、前記スタックアッシーに固着されるものである。
【0016】
請求項6においては、前記位置決め部は、ボールプランジャを有する位置決めピンにより構成され、前記第二のブラケットに形成された孔に挿通することにより、前記第二のブラケットを保持するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、ブラケットを位置決めしつつ保持することが困難なスタックアッシーの下面に、容易にブラケットを組み付けることができる。
特に、組み付け用治具が、第二のブラケットをスタックアッシーに位置決めして保持するとともに、第一のブラケットに当接するので、第一のブラケットをも安定して保持することができる。
【0019】
請求項2においては、スタックアッシーに対して、組み付け用治具を容易に保持することができる。
【0020】
請求項3においては、組み付け用治具に対して、ブラケットを容易に保持することができる。
【0021】
請求項4においては、ブラケットを位置決めしつつ保持することが困難なスタックアッシーの下面において、ブラケットの姿勢を容易に保持することができる。これにより、容易にブラケットを組み付けることができる。
特に、位置決め部で第二のブラケットをスタックアッシーに位置決めして保持するとともに、当接部で第一のブラケットに当接することにより、第一のブラケットをも安定して保持することができる。
【0022】
請求項5においては、スタックアッシーに対して、組み付け用治具を容易に保持することができる。
【0023】
請求項6においては、組み付け用治具に対して、ブラケットを容易に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法を適用するスタックアッシーを示す模式図、(a)スタックアッシーの全体構成を示す斜視模式図、(b)組み付け状態に配置されたスタックアッシーを示す斜視模式図。
【図2】本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法の適用に係るスタックアッシーおよびブラケットを示す斜視模式図。
【図3】本発明の一実施形態に係る組み付け用治具の全体構成を示す模式図、(a)表面側から見た模式図、(b)裏面側から見た模式図。
【図4】本発明の一実施形態に係る組み付け用治具の全体構成を示す斜視模式図。
【図5】位置決めピンによる下側ブラケットの位置決め状態を示す模式図。
【図6】保持手段による磁着部に対する組み付け用治具の保持状態を示す模式図。
【図7】スタックアッシーに対する上側ブラケットの配置状態を示す模式図、(a)斜視模式図、(b)図7(a)におけるA部の詳細図。
【図8】組み付け用治具における下側ブラケットの保持状態を示す斜視模式図。
【図9】スタックアッシーに対する組み付け用治具および下側ブラケットの位置決め状態を示す斜視模式図。
【図10】スタックアッシーに対する下側ブラケットの配置状態を示す模式図、(a)ダボによる位置決め状態を示す図9におけるB部の詳細図、(b)爪による位置決め状態を示す図9におけるC部の詳細図。
【図11】スタックアッシーに対する組み付け用治具によるブラケットの保持状態を示す斜視模式図。
【図12】図11におけるD部の詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る組み付け用治具を用いたブラケットの組み付け方法を適用する対象たるスタックアッシーおよびブラケットについて、図1および図2を用いて説明をする。
尚、図1(a)(b)および図2において、スタックアッシーは、その下面を側方に向けた姿勢にて保持されている。また、図1(a)(b)中および図2中に記載した矢印Xが示す方向は、組み付け状態に配置されたスタックアッシーおよびブラケットにおける上方を示している(以下、同様とする)。
【0026】
図1(a)に示す如く、本発明の一実施形態に係る組み付け用治具を用いたブラケットの組み付け方法の適用対象たるスタックアッシー20は、1又は複数の単電池からなる単位電池21・21・・・を複数積層して形成されるものであり、積層方向における両端部に位置する各単位電池21・21に隣接させて一対のエンドプレート22・23を配置している。
【0027】
各エンドプレート22・23は、連結部材24・24・・・により連結されており、連結部材24・24・・・に対する各エンドプレート22・23の螺合位置を変更することによって、各エンドプレート22・23の離間距離を調整することができる構成としている。
そして、各エンドプレート22・23の離間距離を小さくして、各単位電池21・21・・・を積層方向に向けて挟圧することにより、各単位電池21・21・・・の積層状態を保持する構成としている。
【0028】
ブラケットの組み付け状態において、スタックアッシー20は、図1(b)に示すように、仮留めクランプ7・7によって挟持されることによって、その下面20aを側方に向けた姿勢を保持するようにしており、作業者は下面20aに対面する位置で組み付け作業を行う構成としている。
【0029】
組み付け状態における下面20aの上部(側面20b側)には、ブラケットを組み付けるための複数のボルト孔21a・21a・・・が形成されており、また、下面20aの組み付け状態における下部(側面20c側)には、ブラケットを組み付けるための複数のボルト孔21b・21b・・・が形成されている。
一方のエンドプレート22におけるスタックアッシー20の下面20aに相当する面の上端部には、ダボ22aが突出しており、他方のエンドプレート23におけるスタックアッシー20の下面20aに相当する面の下端部には、ダボ23aが突出している。
また、一方のエンドプレート22におけるスタックアッシー20の側面20cに相当する面の下面側端部には、爪22bが形成され、他方のエンドプレート23におけるスタックアッシー20の側面20bに相当する面の下面側端部には、爪23bが形成されている。
尚、組み付け状態におけるスタックアッシー20は、作業者の作業性等を考慮して、作業者側に若干前傾させる態様で保持するのが好適である。
【0030】
また、図2に示す如く、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法の適用対象たるブラケット9は、組み付け状態における下面20aの上部(側面20b側)に配置されるブラケットである上側ブラケット10と、組み付け状態における下面20aの下部(側面20c側)に配置されるブラケットである下側ブラケット11により構成している。
【0031】
また、上側ブラケット10には、下面20aの上方に配置された複数のボルト孔21a・21a・・・に対応する孔10a・10a・・・が形成されており、また、下側ブラケット11には、下面20aの下方に配置された複数のボルト孔21b・21b・・・に対応する孔11a・11a・・・が形成されている。
【0032】
さらに、上側ブラケット10には、ダボ22aに対応するダボ孔10cと、爪23bに対応するフック10dが形成されており、また、下側ブラケット11には、ダボ23aに対応するダボ孔11cと、爪22bに対応するフック11dが形成されている。
またさらに、下側ブラケット11には、組み付け用治具によって係止される部位となる位置決め孔11e・11eが形成されている。
【0033】
そして、上側ブラケット10は、ダボ孔10cにダボ22aを挿通しつつ、フック10dを爪23bに係合させることによって、各孔10a・10a・・・がボルト孔21a・21a・・・に対応するように、下面20aの上方における所定位置に位置決めすることができる。
【0034】
また同様に、下側ブラケット11は、ダボ孔11cにダボ23aを挿通しつつ、フック11dを爪22bに係合させることによって、各孔11a・11a・・・がボルト孔21b・21b・・・に対応するように、下面20aの下方における所定位置に位置決めすることができる。
【0035】
上側ブラケット10は、ダボ孔10cにダボ22aを挿通しつつ、フック10dを爪23bに係合させただけでは不安定な配置状態となっており、前方に向けて容易に傾倒する可能性がある。
また、下側ブラケット11も、ダボ孔11cにダボ23aを挿通しつつ、フック11dを爪22bに係合させただけでは不安定な配置状態となっており、容易に脱落する可能性がある。
【0036】
このため、本発明に係るブラケットの組み付け方法においては、下面20aを側方に向けつつ保持された状態のスタックアッシー20の下面20aに対して、所定位置(上方および下方)に配置された各ブラケット10・11を容易に保持することができる治具(組み付け用治具)を用いる構成としている。
【0037】
次に、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法に用いる組み付け用治具の全体構成について、図3〜図6を用いて説明をする。
尚、図3(a)(b)および図4に記載した矢印Xの方向は、組み付け用治具の使用状態における上方を示しており、スタックアッシー20の組み付け状態における上方と一致している。
【0038】
本発明の一実施形態に係る組み付け用治具1は、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法において用いられるものであり、図3(a)(b)および図4に示す如く、基部2a、ブラケット押さえ部2b・2b、ブラケット保持部2c・2c等を有するプレート2、保持手段3・3、位置決め部4・4、取手部6等を備えている。
【0039】
尚、以下の説明では、図3(a)において表されている、取手部6が付設されている側の面を、組み付け用治具1の表面1aと規定し、また、図3(b)において表されている、表面1aと反対側の面を裏面1bと規定する。
そして、組み付け用治具1の使用状態において、作業者は、取手部6を把持して、表面1aが作業者と対面した状態で、裏面1bスタックアッシー20に対面させて、組み付け用治具1を使用する構成としている。
【0040】
プレート2は、組み付け用治具1の骨格を形成する部材であり、基部2a、ブラケット押さえ部2b・2b(請求項における当接部に相当)、ブラケット保持部2c・2c等が形成されている。
尚、プレート2は、各ブラケット10・11を押圧するのに必要な剛性を確保しつつ、作業者が容易に取り扱えるようにすべく軽量化を図るため、樹脂製プレート等の素材を採用するのが好適である。
【0041】
ブラケット押さえ部2b・2bは、スタックアッシー20の上部に配置された上側ブラケット10を押圧するための部位であり、基部2aから組み付け用治具1の使用状態における上方に向けて左右一対で突設されている。
また、各ブラケット押さえ部2b・2bには、上側ブラケット10を押圧している状態において、上側ブラケット10に形成された各孔10a・10a・・・の位置に相当する箇所に切欠き部2d・2dが形成されており、各ブラケット押さえ部2b・2bにより各孔10a・10a・・・を塞いでしまうことがないようにしている。
【0042】
また、ブラケット保持部2c・2cは、スタックアッシー20の下部に下側ブラケット11を保持するための部位であり、基部2aから組み付け用治具1の使用状態における下方に向けて左右一対で突設されている。
各ブラケット保持部2c・2cには、各ブラケット保持部2c・2cにより下側ブラケット11を保持するための位置決め部4・4が、裏面1b側の各ブラケット保持部2c・2cに突設されている。
【0043】
図5に示す如く、位置決め部4は、組み付け用治具1に対する下側ブラケット11の配置を位置決めするための部位であり、ブラケット保持部2cに対してボルトにより固定された基部4aと、該基部4aに突設される位置決めピン4b等を備えている。位置決めピン4bは、組み付け用治具1の裏面1b側に突出している。
そして、図5に示す如く、位置決めピン4b・4bを、下側ブラケット11の位置決め孔11e・11eに挿通することによって、ブラケット保持部2c・2cにおいて下側ブラケット11を位置決めしつつ保持することができる構成としている。
【0044】
また、位置決めピン4bの外周面には、ボールプランジャ5が備えられている。
ボールプランジャ5は、定常時において、位置決めピン4bの外周面から突出している部位である略半球状の係止部5aを備えており、位置決めピン4bにおける係止部5aの突出部においては、その外形寸法が、下側ブラケット11に形成される位置決め孔11eの内径寸法に比して大きくなっている。
【0045】
また係止部5aには、位置決めピン4bの内部においてバネ等からなる弾性部材5bが介設されている。このため係止部5aは、押圧されることによって位置決めピン4bの内部に没入するとともに、押圧が解除されることによって、位置決めピン4bの外周面から突出する状態に復元される。
そして、係止部5aが位置決めピン4b内に没入している状態では、係止部5aの存在する部位における位置決めピン4bの外形寸法が、下側ブラケット11に形成される孔11aの内径寸法以下になる構成としている。
【0046】
このような構成により、位置決めピン4bを下側ブラケット11に形成されている各孔11a・11aに対して、表面側から裏面側へ挿通するときには、係止部5aが各孔11a・11aの内周面により押圧されて、位置決めピン4bの内部に没入するため、位置決めピン4bが孔11aに対して挿通可能となる。
【0047】
また、係止部5aが各孔11a・11aを通過して下側ブラケット11の裏面側まで到達したときには、係止部5aが位置決めピン4bの外周面から突出する状態に復元される。
そして、位置決めピン4bの係止部5aのある部位では、位置決めピン4bの外形寸法が孔11aの内径寸法に比して大きくなるため、係止部5aによって下側ブラケット11を係止することができ、下側ブラケット11が位置決めピン4b・4bから容易に抜けることを防止する。
このような構成により、組み付け用治具1(より詳しくは、ブラケット保持部2c・2c)において、下側ブラケット11を容易に着脱可能としつつ、確実に保持することができる。
【0048】
また、各ブラケット保持部2c・2cには、下側ブラケット11を保持している状態において、下側ブラケット11に形成された各孔11a・11a・・・の位置に相当する箇所に切欠き部2d・2dが形成されており、各ブラケット保持部2c・2cにより各孔11a・11a・・・を塞いでしまうことがないようにしている。
【0049】
保持手段3は、組み付け用治具1をスタックアッシー20に対して位置決めしつつ保持するための部位であって、裏面1b側における基部2aの左右各端部に一対で突設されるマグネット3aを備えている。
マグネット3aは、図6に示す如く、スタックアッシー20を保持するための仮留めクランプ7(図1(b)参照)の一部に形成された磁性体からなる磁着部7aに磁着されることによって、スタックアッシー20に対して組み付け用治具1を位置決めしつつ保持することができる。
【0050】
尚、本実施形態では、略六角柱状の形態を有するマグネット3aを例示しているが、本発明に係る組み付け用治具が備えるマグネットの形態をこれに限定するものではない。
また、本実施形態では、磁着部7aを磁性体により構成するとともに、組み付け用治具1に磁力を有するマグネット3aを設ける構成としているが、仮留めクランプ7側にマグネットや電磁石等を配置する構成(組み付け用治具側には磁性体のみを配置する)とすることも可能である。
【0051】
またマグネット3aは、プレート2に対してボルトの突出長さを調整可能に構成しているアジャスター3bを介して固定されている。このため、マグネット3aは、プレート2からの離間距離を調整することができる。
そして、アジャスター3bでマグネット3aとプレート2の離間距離を調整することにより、上側ブラケット10に対するブラケット押さえ部2b・2bの沿わせ具合や、ブラケット保持部2c・2cにおいて保持されている下側ブラケット11の、スタックアッシー20に対する押し付け具合等を調整することができる。
【0052】
次に、本発明の一実施形態に係る組み付け用治具1を用いたブラケット9の組み付け方法について、図7〜図12を用いて説明をする。
図7(a)に示す如く、組み付け用治具1を用いたブラケット9の組み付け方法では、まず始めに、仮留めクランプ7・7により所定の姿勢に保持されたスタックアッシー20に対して、その下面20aの上部における所定位置に、上側ブラケット10を配置して準備をしておく。
【0053】
このとき、上側ブラケット10は、ダボ孔10cにエンドプレート22のダボ22aを挿通するとともに、図7(b)に示すように、フック10dをエンドプレート23の爪23bに係合させることによって、所定の位置に位置決めするようにしている。
これにより、上側ブラケット10に形成された各孔10a・10a・・・が、スタックアッシー20に形成された各ボルト孔21a・21a・・・に対応する位置(作業者の視線方向において略一致する位置)に配置される。
【0054】
一方、図8に示す如く、組み付け用治具1は、そのブラケット保持部2c・2cに備えられる各位置決めピン4b・4bを、下側ブラケット11の位置決め孔11e・11eに挿通させることによって、下側ブラケット11を保持させた状態で準備しておく。
【0055】
即ち、本発明の一実施形態に係る電池パックにおけるブラケットの組み付け方法において、組み付け用治具1は、下側ブラケット11を保持するための位置決めピン4b・4bを備え、下側ブラケット11に形成された位置決め孔11e・11eに位置決めピン4b・4bを挿通することにより、下側ブラケット11を組み付け用治具1に対して位置決めして保持させるものである。
【0056】
また、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法に用いる組み付け用治具1において、位置決め部4は、ボールプランジャ5を有する位置決めピン4bにより構成され、下側ブラケット11に形成された位置決め孔11e・11eに挿通することにより、下側ブラケット11を保持するものである。
このような構成により、組み付け用治具1に対して、ブラケット9(上側ブラケット10および下側ブラケット11)を容易に保持することができる。
【0057】
次に、図9および図10に示す如く、作業者は、取手部6を把持しながら組み付け用治具1を下面20aに向けて沿わせるように移動させて、下側ブラケット11のダボ孔11cにエンドプレート23のダボ23aを挿通しつつ、フック11dをエンドプレート22の爪22bに係合させるように、組み付け用治具1を配置する。
そして、下側ブラケット11のダボ孔11cやフック11dを利用して、組み付け用治具1が所定位置に配置されるとき、組み付け用治具1が備える各マグネット3a・3aが、磁着部7a・7aに着磁される所定位置に配置され、組み付け用治具1がスタックアッシー20に対して位置決めした状態で保持される。
【0058】
するとこのとき、図11および図12に示すように、上側ブラケット10には、組み付け用治具1のブラケット押さえ部2b・2bが当接するため、傾倒することがない安定した配置状態が保持される。
また、下側ブラケット11は、組み付け用治具1のブラケット保持部2c・2c(位置決めピン4b・4b)によって保持されているため、容易に脱落等することがない安定した配置状態が保持される。
【0059】
即ち、本発明の一実施形態に係る電池パックにおけるブラケットの組み付け方法において、組み付け用治具1は、磁石により構成される保持手段3を備え、スタックアッシー20を、マグネット3aで磁着することにより、組み付け用治具1をスタックアッシー20に対して位置決めして保持させるものである。
【0060】
また、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法に用いる組み付け用治具1において、保持手段3は、磁石たるマグネット3aにより構成され、スタックアッシー20の所定位置を磁着することにより、スタックアッシー20に固着されるものである。
このような構成により、スタックアッシー20に対して、組み付け用治具1を容易に保持することができる。
【0061】
そして、スタックアッシー20に対して、組み付け用治具1によりブラケット9(上側ブラケット10および下側ブラケット11)が保持されている状態に至れば、作業者は、組み付け用治具1から手を離すことができる。
そして、作業者に対面する位置(目前)に、上側の各孔10a・10a・・・と下側の各孔11a・11aが配置されている状態で、作業性よく、ボルト(図示せず)によりスタックアッシー20に対するブラケット9の締結作業を行うことができる。
【0062】
即ち、本発明の一実施形態に係る電池パックにおけるブラケットの組み付け方法においては、1又は複数の単電池からなる単位電池21・21・・・を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシー20に、前記スタックアッシー20と電池ケースとの間に固定されるブラケット9を、組み付ける組み付け方法であって、スタックアッシー20の下面20aの一端部の所定位置に第一のブラケットたる上側ブラケット10を位置決めして配置し、組み付け用治具1に対して第二のブラケットたる下側ブラケット11を保持させるとともに、スタックアッシー20に対して組み付け用治具1を位置決めして保持させることにより、スタックアッシー20の下面20aの他端部の所定位置に下側ブラケット11を位置決めして配置し、かつ、組み付け用治具1を上側ブラケット10のスタックアッシー20の位置する面と反対側の面に当接させた状態で、スタックアッシー20の下面20aにブラケット9(各ブラケット10・11)を締結するものである。
【0063】
また、本発明の一実施形態に係るブラケットの組み付け方法に用いる組み付け用治具1は、1又は複数の単電池からなる単位電池21・21・・・を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシー20に、スタックアッシー20と電池ケースの間に固定されるブラケット9を組み付けるための治具であって、スタックアッシー20の所定位置に固着可能な手段である保持手段3と、保持手段3が、スタックアッシー20の所定位置に位置決めして固着されている状態において、スタックアッシー20の下面20aの一端部(各ボルト孔21a・21a・・・)において位置決めして配置された第一のブラケットたる上側ブラケット10のスタックアッシー20が位置する面と反対側の面に当接する部位である当接部たるブラケット押さえ部2b・2bと、スタックアッシー20の下面20aの他端部(各ボルト孔21a・21a・・・)において第二のブラケットたる下側ブラケット11を位置決めしつつ、保持するための部位である位置決め部たる位置決めピン4b・4bと、を備えるものである。
【0064】
このような構成により、ブラケット9を位置決めしつつ保持することが困難なスタックアッシー20の下面20aにおいて、ブラケット9の姿勢を容易に保持することができる。これにより、容易にブラケット9を組み付けることができる。
特に、位置決めピン4b・4bで下側ブラケット11をスタックアッシー20に位置決めして保持するとともに、ブラケット押さえ部2b・2bで上側ブラケット10に当接することにより、上側ブラケット10をも安定して保持することができる。
【0065】
尚、本実施形態では、下面20aを側方に向けた状態のスタックアッシー20に対して、その下面20aの上部および下部にブラケット9を組み付ける態様とした場合を例示しているが、例えば、下面20aを側方に向けた状態のスタックアッシー20に対して、その下面20aの左右方向の両端部にブラケットを組み付ける態様とすることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 組み付け用治具
2 プレート
2b ブラケット押さえ部
2c ブラケット保持部
3 保持手段
3a マグネット
4 位置決め部
4b 位置決めピン
5 ボールプランジャ
9 ブラケット
10 上側ブラケット(第一のブラケット)
11 下側ブラケット(第二のブラケット)
11e 位置決め孔
20 スタックアッシー
20a 下面
21 単位電池
21a ボルト孔
21b ボルト孔
22 エンドプレート
22a ダボ
22b 爪
23 エンドプレート
23a ダボ
23b 爪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の単電池からなる単位電池を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシーに、
前記スタックアッシーと電池ケースとの間に固定されるブラケットを、組み付ける組み付け方法であって、
前記スタックアッシーの下面の一端部の所定位置に第一のブラケットを位置決めして配置し、
治具に対して第二のブラケットを保持させるとともに、前記スタックアッシーに対して前記治具を位置決めして保持させることにより、前記スタックアッシーの下面の他端部の所定位置に第二のブラケットを位置決めして配置し、かつ、前記治具を前記第一のブラケットの前記スタックアッシーの位置する面と反対側の面に当接させた状態で、前記スタックアッシーの下面に前記第一および第二のブラケットを締結する、
ことを特徴とするブラケットの組み付け方法。
【請求項2】
前記治具は、
磁石により構成される保持手段を備え、
前記スタックアッシーを、前記保持手段で磁着することにより、
前記治具を前記スタックアッシーに対して位置決めして保持させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のブラケットの組み付け方法。
【請求項3】
前記治具は、
前記第二のブラケットを保持するための位置決めピンを備え、
前記第二のブラケットに形成された孔に前記位置決めピンを挿通することにより、
前記第二のブラケットを前記治具に対して位置決めして保持させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブラケットの組み付け方法。
【請求項4】
1又は複数の単電池からなる単位電池を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシーに、前記スタックアッシーと電池ケースの間に固定されるブラケットを組み付けるための組み付け用治具であって、
前記スタックアッシーの所定位置に固着可能な手段である保持手段と、
前記保持手段が、前記スタックアッシーの所定位置に位置決めして固着されている状態において、
前記スタックアッシーの下面の一端部において位置決めして配置された第一のブラケットの前記スタックアッシーが位置する面と反対側の面に当接する部位である当接部と、
前記スタックアッシーの下面の他端部において第二のブラケットを位置決めしつつ、保持するための部位である位置決め部と、
を備える、
ことを特徴とする組み付け用治具。
【請求項5】
前記保持手段は、
磁石により構成され、
前記スタックアッシーの所定位置を磁着することにより、前記スタックアッシーに固着される、
ことを特徴とする請求項4に記載の組み付け用治具。
【請求項6】
前記位置決め部は、
ボールプランジャを有する位置決めピンにより構成され、
前記第二のブラケットに形成された孔に挿通することにより、前記第二のブラケットを保持する、
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の組み付け用治具。
【請求項1】
1又は複数の単電池からなる単位電池を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシーに、
前記スタックアッシーと電池ケースとの間に固定されるブラケットを、組み付ける組み付け方法であって、
前記スタックアッシーの下面の一端部の所定位置に第一のブラケットを位置決めして配置し、
治具に対して第二のブラケットを保持させるとともに、前記スタックアッシーに対して前記治具を位置決めして保持させることにより、前記スタックアッシーの下面の他端部の所定位置に第二のブラケットを位置決めして配置し、かつ、前記治具を前記第一のブラケットの前記スタックアッシーの位置する面と反対側の面に当接させた状態で、前記スタックアッシーの下面に前記第一および第二のブラケットを締結する、
ことを特徴とするブラケットの組み付け方法。
【請求項2】
前記治具は、
磁石により構成される保持手段を備え、
前記スタックアッシーを、前記保持手段で磁着することにより、
前記治具を前記スタックアッシーに対して位置決めして保持させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のブラケットの組み付け方法。
【請求項3】
前記治具は、
前記第二のブラケットを保持するための位置決めピンを備え、
前記第二のブラケットに形成された孔に前記位置決めピンを挿通することにより、
前記第二のブラケットを前記治具に対して位置決めして保持させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブラケットの組み付け方法。
【請求項4】
1又は複数の単電池からなる単位電池を複数接続して形成された組電池を有するスタックアッシーに、前記スタックアッシーと電池ケースの間に固定されるブラケットを組み付けるための組み付け用治具であって、
前記スタックアッシーの所定位置に固着可能な手段である保持手段と、
前記保持手段が、前記スタックアッシーの所定位置に位置決めして固着されている状態において、
前記スタックアッシーの下面の一端部において位置決めして配置された第一のブラケットの前記スタックアッシーが位置する面と反対側の面に当接する部位である当接部と、
前記スタックアッシーの下面の他端部において第二のブラケットを位置決めしつつ、保持するための部位である位置決め部と、
を備える、
ことを特徴とする組み付け用治具。
【請求項5】
前記保持手段は、
磁石により構成され、
前記スタックアッシーの所定位置を磁着することにより、前記スタックアッシーに固着される、
ことを特徴とする請求項4に記載の組み付け用治具。
【請求項6】
前記位置決め部は、
ボールプランジャを有する位置決めピンにより構成され、
前記第二のブラケットに形成された孔に挿通することにより、前記第二のブラケットを保持する、
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の組み付け用治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−98141(P2013−98141A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242873(P2011−242873)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(399107063)プライムアースEVエナジー株式会社 (193)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(399107063)プライムアースEVエナジー株式会社 (193)
【Fターム(参考)】
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