説明

電池パック

【課題】 電流遮断時のスイッチの接点などの損傷を防止し、長時間使用における信頼性を確保しうる電池パックの提供。
【解決手段】 電池パックの外部回路とを接続する接続端子15と電池11との間に直列に少なくとも1個の半導体スイッチ13を配置し、半導体スイッチを遮断動作させる駆動手段14を設けた電池パックであって、該駆動手段は充電器又は電池パック使用機器から電池パックを取り外した際、あるいは手動によって動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池パックに関し、特に比較的出力電圧が高い電池パックの取り付け、取り外しの作業の安全性を考慮した、電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電池パックはその用途に応じて出力電圧、容量は様々のものが用いられている。携帯電話等にあっては、数ボルト程度、ノート型パソコンでは10〜20ボルト程度と比較的低い電圧が用いられている。
しかしながらモータ等のように大きな電力が要求される用途にあっては、数十ボルトの高電圧が供給可能な電池パックが求められている。
出力電圧が40V以上と比較的高いものにあっては、電池パックの取り外し時に、電池パックの端子と、電池パックの使用機器あるいは充電器等の端子と近接した場合には気中放電が起こることがあった。また、電池パックの端子の短絡事故、あるいは取り扱い時の感電の危険性もあった。
【0003】
こうした問題を解決するためには、電圧が印加された状態の接続端子の取り外しを避けることが必要となる。そこで、電圧が印加された端子の取り外しを避けるために、電池使用機器、あるいは充電器側にスイッチを設ける方法が考えられる。
このような方法では、電池パックの取りはずし時に電池パックの接続端子でのスパークを防止することが可能であるが、取り外した電池パックの接続端子には未だ電圧が印加されているために、電池パックの接続端子における短絡、あるいは感電を防止することはできなかった。
【0004】
そこで、電池パックに開路した少なくとも2個の保護用端子を設け、この端子間を外部で回路接続することにより、電池パックの出力端子に電池セルが回路接続された短絡防止機構を設けた電池パック、および電池パック内の電池セルと直列に常開側接点が接続される保護用スイッチと、電池パック装填時に上記スイッチを操作して上記接点を閉成する外部の機械的なスイッチ機構を設けた電池パックが提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、2個の保護用端子を設け、この端子間を外部で回路接続した電池パックは、電池パックを取り外した状態では電池パックの出力端子間には出力電圧は印加されないものの、出力端子の一方と保護用端子の一方の間には、電圧が印加されるので短絡等のおそれがあった。
【0005】
また、電池パック内に接続端子と電池の間にスイッチを設けたものにあっては、電池パックを取り外した状態では、接続端子には出力は印加されないので安全性を確保することはできるものの、高電圧で容量が大きな電池パックにあっては、電流容量が大きなスイッチを配置することが必要となるので電池パックが大きくなって電池パックの容積容量密度が小さくなるという問題があった。
また、大電流の出力電流を遮断する電池パックにあっては、スイッチの接点の劣化、あるいは損傷等によってスイッチの電流遮断の信頼性に問題があった。
【特許文献1】特開平6−310114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電池パックの接続端子の回路を遮断して電池パックの回路からの取り外し時の問題点、および電池パックの接続端子の短絡、あるいは感電を防止して安全性が大きな電池パックを提供することを課題とするものであって、電流遮断用のスイッチの接点の損傷などを防止し、電池パックの長期間使用における信頼性を確保し得る、電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、電池パックにおいて、外部回路とを接続する接続端子と電池との間に直列に少なくとも1個の半導体スイッチ、および半導体スイッチを遮断動作させる駆動手段を設けた電池パックである。
半導体スイッチを遮断動作させる駆動手段は、充電器または電池パック使用機器から電池パックを取り外した際、あるいは手動によって動作する前記の電池パックである。
また、半導体スイッチは、電界効果トランジスタである前記の電池パックである。
【発明の効果】
【0008】
電池パック内に電池と接続端子との間に直列に半導体スイッチを設けたことにより、接点型スイッチで発生するスパーク溶接事故を防ぐとともに、電池パックの容積容量密度を大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は電池パック内部に、半導体スイッチからなる遮断スイッチを電池と接続端子の間に直列に設けたことによって、接点式のスイッチを設けた場合に比べて、電池パック内部に占める容積を小さなものとすることができ、また接点部の損傷等がなく確実な動作が可能な、容積容量密度が大きく、高電圧を供給する電池パックにあっても安全性に優れた電池パックを提供することが可能であることを見出したものである。
【0010】
図1は、本発明の電池パックの1例を説明する図であり、図1(A)は、電池パックを説明する斜視図であり、図1(B)は回路図である。
図1(A)に示す電池パック1は、接続端子装着面2に接続端子を有し、電池パック装着方向3に向けて電池パック使用機器、あるいは充電器等に装着することによって、接続端子を通じた導電接続が形成される。
電池パックの接続端子装着面とは反対側の面には、電池パック内に設けた半導体スイッチを駆動する押しボタン式スイッチ4が設けられている。また押しボタン式スイッチ4に近接して、電池の残存容量、電池パックが遮断状態であるかを含めた電池パックの状態を表示する表示部5が設けられている。
電池パック1を電池使用機器から取り外す場合には、押しボタン式スイッチ4を押すことによって、電池と電池パックの接続端子とを直列に接続した半導体スイッチを動作させて、回路を遮断することができる。
また、電池と電池パックの接続端子とが電気的に接続されているか遮断されているかは、押しボタン式スイッチ4に近接して設けられた表示部5によって表示されているので、表示部5によって状態を確認した後に安全に取り外すことができる。
【0011】
図1(B)は、電池パックの主要な回路構成例を説明する図である。
電池パック1は、単位電池を所定の個数接続した電池11の充放電を制御する制御手段12を有しており、過充電、過放電、異常温度上昇、短絡等から電池を保護するとともに、適切な充放電を可能としている。
制御手段12と接続端子15との間には、半導体スイッチ13が直列に接続されており、半導体スイッチ13には、半導体スイッチ13の駆動手段である接点式のスイッチ14が接続されており、接点式スイッチ14の投入動作による電圧によって半導体スイッチが動作して回路を遮断することができる。
【0012】
図2は、本発明の他の例の電池パックの主要な回路構成を説明する図である。
電池パック1は、単位電池を所定の個数接続した電池11の充放電を制御するとともに、過充電、過放電、異常温度上昇、短絡等から電池を保護する制御手段12を有している。 制御手段12と接続端子15との間には、半導体スイッチ13が直列に接続されており、半導体スイッチ13には、半導体スイッチ13を駆動する電子的駆動手段16が接続されている。
【0013】
電池パック1が電池使用機器から取り外されるとセンサ17が取り外し信号を発信し、取り外し信号に基づいて電子的駆動手段16が半導体スイッチ13を駆動して、取り外し時には、確実に接続端子15とつながる回路を切断することができる。
取り外しを検出するセンサには、光を利用したセンサ、磁気を利用したセンサ、機械的な動きを検出するセンサ17等の各種のセンサを使用することができる。
【0014】
本発明の電池パックは、電池と接続端子との間の回路に直列に半導体スイッチを設けていることを特徴としており、高速で確実な遮断を可能とし安全性が大きな電池パックとしている。
これに対して、制御手段を構成するスイッチング回路は、電池パックの様々な制御に対応したものであって、制御条件等を変更することによって、電池パックの接続端子との接続を遮断する目的にも使用することが可能であるが、制御手段は多機能であるために複雑な回路構成を有している。したがって、電池パックの安全性をより高いものとするためには、本願の発明のように制御手段とは独立した半導体スイッチとその駆動手段を設けることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0015】
電池パック内に電池と接続端子との間に直列に半導体スイッチを設けたことにより、接点型スイッチで発生するスパーク溶接事故を防ぐとともに、接点型スイッチに比べて小型化が可能であるので、容積容量密度が大きく安全性高い高電圧の電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の電池パックの1例を説明する図である。
【図2】図2は、本発明の他の例の電池パックの主要な回路構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0017】
1…電池パック、2…接続端子装着面、3…電池パック装着方向、4…ボタン式スイッチ、5…表示部、11…電池、12…制御手段、13…半導体スイッチ、14…接点式スイッチ、15…接続端子、16…電子的駆動手段、17…センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックにおいて、外部回路とを接続する接続端子と電池との間に直列に少なくとも1個の半導体スイッチ、および半導体スイッチを遮断動作させる駆動手段を設けたことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
半導体スイッチを遮断動作させる駆動手段は、充電器または電池パック使用機器から電池パックを取り外した際、あるいは手動によって動作することを特徴とする請求項1記載の電池パック。
【請求項3】
半導体スイッチは、電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項1または2に記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−4637(P2006−4637A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176460(P2004−176460)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(302067084)NECトーキン栃木株式会社 (44)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】