説明

電池パック

【課題】電池セルの過大な発熱と、スイッチ手段の過大な発熱の両方を防止できる、安全性の高い電池パックを提供すること。
【解決手段】接続された外部機器に電力を供給する電池セル2と、配置された部分の温度を検出する温度検出センサ3と、外部機器と電池セル2との間の電流経路を開閉するスイッチ手段4と、温度検出センサ3で検出された温度に応じてスイッチ手段4の開閉を制御する制御手段5とを備え、双方の温度の影響を受けるように電池セル2とスイッチ手段4の間に温度検出センサ3を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具等の外部機器に電力を供給する電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図3に示すような、電動工具等の外部機器(図示せず)に電力を供給する電池パック11が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この電池パック11には、電池セル12と、接続した外部機器と電池セル12との間の電流経路を開閉するスイッチ手段13と、温度を検出する温度検出手段14と、検出温度に応じてスイッチ手段13の開閉を制御する制御手段15とが、内蔵されている。温度検出手段14は、電池セル12と近接して設けられている。
【0004】
この電池パック11を接続した外部機器では、連続作業や、高負荷の作業を行う場合等に、電池パック11の電池セル12が内部抵抗によって高温化する。
【0005】
このとき、上述の電池パック11では、温度検出手段14で電池セル12の温度を検出して、電池セル12が過大な発熱状態となる前に、スイッチ手段13により電池セル12と外部機器との電気的接続を解除する制御が行われる。このようにすることで、電池パック11の故障、発煙、発火を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−236877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述の電池パック11では、電池セル12が過大な発熱状態となる前に、スイッチ手段13が内部抵抗によって高温化し、スイッチ手段13自体が発熱して、電池パック11の故障、発煙、発火の原因となるおそれがあった。
【0008】
そこで、上記事情を鑑みて、本発明は、電池セルの過大な発熱と、スイッチ手段の過大な発熱の両方を防止できる、安全性の高い電池パックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の電池パックは、接続された外部機器に電力を供給する電池セルと、配置された部分の温度を検出する温度検出センサと、前記外部機器と前記電池セルとの間の電流経路を開閉するスイッチ手段と、前記温度検出センサで検出された温度に応じて前記スイッチ手段の開閉を制御する制御手段とを備え、双方の温度の影響を受けるように前記電池セルと前記スイッチ手段の間に前記温度検出センサを配置したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電池パックは、前記スイッチ手段を実装するための基板を前記電池セルと近接して備え、この基板よりも電池セル側の位置に前記温度検出センサを配置することが好ましい。
【0011】
また、本発明の電池パックは、前記温度検出センサを、前記基板の電池セル側を向く面上に実装することが好ましい。
【0012】
また、本発明の電池パックは、前記スイッチ手段を、前記基板の電池セル側の反対側を向く面上に実装することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電池パックは、電池セルの過大な発熱と、スイッチ手段の過大な発熱の両方を防止できて、安全性の高いものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の電池パックを示す側面断面図である。
【図2】同上の電池パックを示す側面図である。
【図3】従来の電池パックを示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
図2に示す、本実施形態の電池パック1は、電動工具等の高出力モータを備えた外部機器に特に好適に接続される。電池パック1は、外部機器に着脱自在に接続されて、接続した外部機器に電力を供給する。
【0017】
図1には、本実施形態の電池パック1の構造を示す断面図が記載されている。
【0018】
電池パック1には、複数(図では3つ)の電池セル2と、温度検出センサ3と、スイッチ手段4と、スイッチ手段4の開閉を制御する制御手段5を備えた基板6と、が内蔵されている。これらの構成は全て、電池パック1の下部の電池パック本体7に内蔵されている。電池パック1の上部には、外部機器に着脱自在に接続される電池パック接続部8を備えている。この電池パック接続部8が外部機器に接続された状態で、外部機器には、電池セル2の電力が供給される。
【0019】
複数の電池セル2は、直列に接続しており、接続された外部機器に高電力を供給することができる。本実施形態では、3つの電池セル2は、電池パック本体7内の、上部に横並びで2つ、下部に1つ、全体として三角形状を成すように配置されている。なお、電池セル2は、接続される外部機器の必要な電力に応じて、1つであってもよいし、複数(2つあるいは4つ以上)であってもよい。また、複数の電池セル2は、並列に接続してもよいし、三角形状ではなく他の様態で配置してもよい。
【0020】
上述の横並びの電池セル2,2の上方には、近接する位置に基板6が配置されている。基板6には、その上面(電池セル2側の反対側を向く面)にスイッチ手段4が実装され、その下面(電池セル2側を向く面)に温度検出センサ3が実装されている。
【0021】
温度検出センサ3は、チップサーミスタのような表面実装品である。温度検出センサ3は、基板6の下面のうち、横並びの電池セル2,2のうち一方の電池セル2に近接する位置に配置されている。
【0022】
スイッチ手段4は、接続された外部機器と電池セル2との間の電流経路を開閉するものである。スイッチ手段4は、電池セル2に直列に接続されている。スイッチ手段4は、基板6の上面のうち、温度検出センサ3に近接する位置に配置されている。
【0023】
制御手段5は、基板6に設けられている。制御手段5は、温度検出センサ3で検出された温度に応じて、スイッチ手段4の開閉を制御する。詳しくは、制御手段5は、通常(温度検出センサ3で検出した温度が所定温度未満である場合)、スイッチ手段4を閉操作して、外部機器と電池セル2を電気的に接続させている。そして、制御手段5は、温度検出センサ3で検出された温度が所定温度以上となった場合に、スイッチ手段4を開操作して、外部機器と電池セル2の電気的接続を遮断する制御を行う。
【0024】
以上のように構成される本実施形態の電池パック1を接続した外部機器では、連続作業や高負荷の作業を行う場合等の、電池パック1の電池セル2やスイッチ手段4がそれぞれの内部抵抗によって高温化する際に、以下のように動作する。
【0025】
すなわち、温度検出センサ3で検出した温度が、所定温度以上となった場合に、制御手段5で、スイッチ手段4を開操作して、外部機器と電池セル2の電気的接続を遮断する制御を行う。すると、電池セル2やスイッチ手段4には、それ以上負荷がかからず、電池セル2やスイッチ手段4がそれ以上高温化することを防止できる。なお、外部機器と電池セル2の電気的接続を遮断する制御が行われた場合、一定時間、この電気的接続を回復する制御を行うことができないように設定することが好適である。
【0026】
そして、外部機器と電池セル2の電気的接続が遮断された状態で、一定時間経過すると、電池セル2やスイッチ手段4及びこれらの間の温度が下がる。すると、温度検出センサ3で検出する温度が所定温度未満となり、制御手段5によって、スイッチ手段4が閉操作されて、外部機器と電池セル2が再び電気的に接続された状態となる。
【0027】
上述のようにして、本実施形態の電池パック1は、電池セル2の過大な発熱と、スイッチ手段4の過大な発熱の両方を防止できる。
【0028】
以上まとめると、本実施形態の電池パック1は、接続された外部機器に電力を供給する電池セル2と、配置された部分の温度を検出する温度検出センサ3とを内蔵する。さらに、外部機器と電池セル2との間の電流経路を開閉するスイッチ手段4と、温度検出センサ3で検出された温度に応じてスイッチ手段4の開閉を制御する制御手段5とを内蔵する。そして、双方の温度の影響を受けるように電池セル2とスイッチ手段4の間に温度検出センサ3を配置したことを特徴とする。
【0029】
このような構成とすることで、本実施形態の電池パック1は、電池セル2とスイッチ手段4双方の温度の影響を受ける部分を温度検出して、電池セル2やスイッチ手段4が過大な発熱状態となる前に、電池セル2と外部機器の電気的接続を遮断することができる。
【0030】
よって、本実施形態の電池パック1は、電池セル2の過大な発熱と、スイッチ手段4の過大な発熱の両方を防止できて、より安全性の高い電池パックとなっている。
【0031】
加えて、本実施形態の電池パック1は、電池セル2とスイッチ手段4それぞれを温度検出する温度検出センサ3を別々に設けなくてもよいので、部品点数が減らすことができて、部品コストを抑えることができ、且つコンパクトに形成できる。
【0032】
また、本実施形態の電池パック1は、スイッチ手段4を実装するための基板6を電池セル2と近接して備え、この基板6よりも電池セル2側の位置に温度検出センサ3を配置したことを特徴とする。
【0033】
このような構成としたことで、本実施形態の電池パック1は、電池セル2と基板6とスイッチ手段4と温度検出センサ3がまとまって配置されることになり、コンパクトに形成できる。
【0034】
また、本実施形態の電池パック1は、温度検出センサ3を、基板6の電池セル2側を向く面上に実装したことを特徴とする。
【0035】
このような構成としたことで、基板6上にスイッチ手段4と温度検出センサ3を共に実装したことになり、全体の構成がさらにコンパクト化できる。また、基板6を介してスイッチ手段4の発熱を温度検出センサ3に伝達できるので、より安定してスイッチ手段4の温度上昇を検出することができる。
【0036】
また、本実施形態の電池パック1は、スイッチ手段4を、基板6の電池セル2側の反対側を向く面上に実装したことを特徴とする。
【0037】
このような構成としたことで、スイッチ手段4と電池セル2の間に基板6が位置することになり、スイッチ手段4と電池セル2それぞれの温度上昇が互いに影響を与えることを抑制できる。
【0038】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 電池パック
2 電池セル
3 温度検出センサ
4 スイッチ手段
5 制御手段
6 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された外部機器に電力を供給する電池セルと、配置された部分の温度を検出する温度検出センサと、前記外部機器と前記電池セルとの間の電流経路を開閉するスイッチ手段と、前記温度検出センサで検出された温度に応じて前記スイッチ手段の開閉を制御する制御手段とを備え、双方の温度の影響を受けるように前記電池セルと前記スイッチ手段の間に前記温度検出センサを配置したことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記スイッチ手段を実装するための基板を前記電池セルと近接して備え、この基板よりも電池セル側の位置に前記温度検出センサを配置したことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記温度検出センサを、前記基板の電池セル側を向く面上に実装したことを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記スイッチ手段を、前記基板の電池セル側の反対側を向く面上に実装したことを特徴とする請求項3に記載の電池パック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−151045(P2012−151045A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10080(P2011−10080)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(509119153)パナソニックESパワーツール株式会社 (107)
【Fターム(参考)】