電池パック
【課題】パックケース内で、電池の安全弁からガスが噴出しても、この電池と対向している電池の安全弁が損傷するのを回避する。
【解決手段】電池10bの安全弁18bと、他の電池10fの安全弁18fとは対向している。各安全弁18b,18fには支管41b,41fが接続され、支管41b,41fにおける本管43との開口42,42も互いに対向している。支管41b,41f内には移動可能な弁体71b,71fが配置されている。各弁体71b,71fは、バネ72により接続されている。
【解決手段】電池10bの安全弁18bと、他の電池10fの安全弁18fとは対向している。各安全弁18b,18fには支管41b,41fが接続され、支管41b,41fにおける本管43との開口42,42も互いに対向している。支管41b,41f内には移動可能な弁体71b,71fが配置されている。各弁体71b,71fは、バネ72により接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池を備えた電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、充放電の過程で、電池内部にガスが発生する。このため、リチウム二次電池の多くは、内部ガスを放出するための安全弁や開放弁等の排気弁を備えている。
【0003】
このような排気弁を有する単電池を複数の備えた電池パックとしては、例えば、以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0004】
この電池パックは、いずれかの単電池の排気弁から放出されたガスをパックケース外の目的の場所に導くために、ガス管が設けられている。このガス管には、各電池の排気弁に接続されている支管と、各支管と接続され、いずれかの支管からのガスを目的の場所に導く本管とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4295477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、排気弁は、その機能上、単電池の外周を形成するセルケースよりも強度的に弱い。このため、特許文献1に記載の電池パックにおいて、複数の単電池のうち、いずれかの単電池の排気弁から高温高圧のガスが放出され、このガスが本管及び支管を介して、他の単電池の排気弁に接触すると、この単電池に悪影響を及ぼす虞がある。
【0007】
特に、ある単電池の排気弁に接続された支管と本管の接続部と、他の単電池の排気弁に接続された支管と本管の接続部とが対向している場合には、ある単電池の排気弁から噴出された高温高圧のガスが本管及び支管を介して他の単電池の排気弁に直接接触してしまうため、この他の単電池に悪影響を及ぼす可能性が飛躍的に高まってしまう。
【0008】
そこで、例えば、図17に示すように、単電池1aの排気弁2に接続された支管3aの本管5との接続部4aと、単電池1e,1fの排気弁2に接続された支管3e,3fの接続部4e,4fとが対向しないように、各単電池1a〜1hを配置すると、パックケース6内に不要の空間7a,7bが生じ、電池パックの大型化を招いてしまう。
【0009】
すなわち、電池パックの大型化を回避するために、支管と本管の接続部を対向させた上で、特許文献1に記載の技術を採用すると、ある単電池の排気弁から噴出したガスが他の単電池に悪影響を及ぼす虞が高くなってしまう、という問題点がある。
【0010】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に着目し、電池パックの大型化を回避しつつも、ある単電池の排気弁から噴出したガスが他の単電池に悪影響を及ぼす可能性を抑えることができる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記問題点を解決するための電池パックに係る発明は、
電池内圧が所定の圧力を超えると内部のガスを外部へ排気させる排気弁をそれぞれ有し、二列に配列されていると共に、互いの列同士で対向し合うように配置されている複数の単電池と、前記単電池の列間に配設されている本管と、前記単電池の前記排気弁に設けられ、列同士で互いに対向する位置で前記本管と接続され、前記排気弁から噴出したガスが通る支管と、前記支管内を閉塞するとともに、前記支管に接続された前記排気弁からガスが噴出すると、前記ガスにより前記支管から押し出される弁体と、互いに対向する前記単電池のそれぞれに対応する前記弁体の対毎に設けられ、対を成す一方の弁体が前記支管から押し出されると、他方の弁体を対応する排気弁側へ押す弁体連動手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
以上の発明では、対を成す一方の弁体に対応する排気弁からガスが噴出した場合、この一方の弁体は、このガスに押されて、対応する支管から押し出される。この弁体の移動により、対を成す他方の弁体は、この他方の弁体に対応する支管内において、弁体連動手段により、この支管に対応する排気弁側へ押される。このため、他方の弁体は、支管内を塞いでいる状態を維持し、一方の排気弁から噴出したガスから、他方の排気弁を保護することができる。
【0013】
ここで、前記弁体連動手段は、対を成す前記弁体相互を繋ぐ弁体連結体を有するものであってよい。この場合、前記弁体連結体は、前記一方の弁体が前記他方の弁体へ近づく方向に弾性変形可能な弾性体を有していてもよい。このように、弁体連結体が弾性体を有する場合、一の支管及びこの支管に対向する対向支管を除く他の支管内においても、一の支管に対する排気弁からガスが噴出した際に、該他の支管内の弁体は、いずれも、対応排気弁側へ移動し、対応支管内に収まっているので、該他の支管に対する排気弁も、一の支管に対する排気弁からのガスから保護することができる。
【0014】
また、前記弁体連動手段は、前記一方の弁体と前記他方の弁体とのそれぞれに形成され、前記一方の弁体が前記ガスにより対応する前記支管から押し出されると、互いに接触し合う接触部を有していてもよい。この場合、前記弁体連動手段は、さらに、前記一方の弁体が前記ガスにより対応する前記支管から押し出されると、前記一方の弁体の前記接触部が前記他方の弁体の前記接触部に接触するよう、前記一方の弁体の前記接触部を前記他方の弁体の接触部へ導く案内手段を有していてもよい。
【0015】
また、前記問題点を解決するための電池パックに係る他の発明は、
電池内圧が所定の圧力を超えると内部のガスを外部へ排気させる排気弁を有している複数の単電池と、複数の前記単電池に沿って配設され、前記排気弁から噴出した前記ガスが通る本管と、前記単電池の前記排気弁に接続されているとともに前記本管と接続され、前記排気弁から噴出したガスが通る支管と、前記支管内に配設され、前記支管を閉塞するとともに、前記支管に接続された前記排気弁からガスが噴出すると、前記ガスにより前記支管から押し出される弁体と、前記弁体の前記本管側を支持して、前記支管内で前記弁体の前記本管側への移動を規制する本管側支持部と、前記弁体の前記排気弁側を支持して、前記支管内で前記弁体の前記排気弁側への移動を規制する排気弁側支持部と、を備え、前記弁体は、前記排気弁から噴出した前記ガスから受ける力に耐える強度を有し、前記本管側支持部は、前記排気弁から噴出した前記ガスにより、前記弁体が前記本管側に押された力で形が変化して、前記弁体の前記本管側への移動規制を解除し、前記排気弁側支持部は、該排気弁側支持部に対応する前記排気弁と異なる前記排気弁から噴出した前記ガスにより、該排気弁側支持部に対応する前記弁体が前記排気弁側に押された力に耐えうる強度を有し、該弁体の該排気弁側への移動規制を行うことを特徴とする。
【0016】
以上の発明では、ある排気弁からガスが噴出し、この排気弁に接続されている支管内の弁体が、このガスに押されると、この弁体を支持する本管側支持部の形が変化し、この弁体の移動規制が解除される。この結果、この弁体はガスに押されて、ガスと共に本管内に入りこむ。なお、本管側支持部の形に変化の形態としては、本管側支持部の破損、本管側支持部の変形がある。
【0017】
この排気弁から噴出したガスは、本管に流れ込んだ後、一部が、他の排気弁に接続されている支管にも流れ込む。この結果、他の排気弁に接続されている支管内の弁体は、安全弁側に押される。しかしながら、これら他の排気弁に接続されている支管内の弁体は、この高温・高圧のガスにより、破損することもなく、また、排気弁側支持部に支持されて、安全弁側に移動することもない。
【0018】
よって、排気弁からガスが噴出しても、他の排気弁に接続されている支管内の各弁体は、支管を塞いでいる状態を維持するため、このガスから他の安全弁を保護することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、複数の単電池が二列に配列されていると共に、互いの列同士で対向し合うように配置されているので、複数の単電池を収納するパックケース内に不要な空間が生じることはなく、電池パックの大型化を回避することができる。しかも、本発明では、対向し合っている一対の単電池のうち、一方の単電池の排気弁から噴出したガスから、他方の単電池の排気弁を保護することができるので、他方の電池に悪影響を及ぼすことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る第一実施形態における電池パックの平面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】本発明に係る第一実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図4】本発明に係る第一実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図5】本発明に係る第二実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図6】本発明に係る第二実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図7】本発明に係る第三実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図8】本発明に係る第三実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図9】本発明に係る第四実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図10】本発明に係る第五実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図11】本発明に係る第五実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図12】本発明に係る第六実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図13】本発明に係る第六実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図14】本発明に係る第六実施形態の第一変形例における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図15】本発明に係る第六実施形態の第二変形例における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図16】本発明に係る第六実施形態の第二変形例における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図17】パックケース内の単電池の配置例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る電池パックの各種実施形態について説明する。
【0022】
「第一実施形態」
まず、図1〜図4を用いて、本発明に係る第一実施形態としての電池パックについて説明する。
【0023】
本実施形態の電池パックは、図1及び図2に示すように、偶数個の二次電池(単電池)10a〜10h(以下、特定の二次電池を示す場合を除き、単に、「二次電池10」とする)と、二次電池10を覆う電池カバー20と、各二次電池10の充放電等を制御するCMU(Cell Monitoring Unit)30と、各CMU30からのデータを集中管理するBMU(Battery Management Unit)35と、各二次電池10から噴出されたガスが流れるガス配管40と、これらを収納するパックケース60と、を備えている。
【0024】
二次電池10は、正負の電極(図示されていない)と、正負の電極を覆う直方体形状のセルケース11と、セルケース11から突出している正負の電極端子16,17と、セルケース11内からガスを放出するための安全弁18と、を有している。なお、以下では、各二次電池10a〜10h毎の安全弁18を安全弁18a〜18hとする。但し、特定の安全弁を示す場合を除き、単に安全弁18とする。
【0025】
直方体形状のセルケース11は、正負の電極端子16,17が突出していると共に安全弁18が設けられている端子露出面12と、この端子露出面12と対向している底面13と、互いに対向している一対の第一側面14と、同じく互いに対向している一対の第二側面15と、を有している。第一側面14は、正電極端子16と負電極端子17とが並んでいる方向に対して垂直であり、第二側面15は、この第一側面14に対して垂直である。
【0026】
安全弁18は、電池内圧が所定の圧力を超えると動作する弁で、例えば、破裂板等を有して構成されている。
【0027】
パックケース60は、複数の電池等が収納される収納凹部を有するケース本体61と、収納凹部の開口を塞ぐ蓋65とを有している。ケース本体61は、互いに対向している矩形板状の一対の第一側板62と、互いに対向している矩形板状の一対の第二側板63と、底板64と、を有している。上記収納凹部は、一対の第一側板62と一対の第二側板63と底板64とで形成された直方体形状の凹部である。
【0028】
ここで、二次電池10のセルケース11において、一対の第一側面14のうち、一方の第一側面14から他方の第一側面14に向かう方向をX方向とし、一対の第二側面15のうち、一方の第二側面15から他方の第二側面15へ向かう方向をZ方向とし、X方向及びZ方向に垂直な方向をY方向とする。
【0029】
偶数個の二次電池10は、パックケース本体61内において、二列に、各列の二次電池10がX方向に平行に並べられている。各二次電池10a〜10hは、第一列の二次電池10a〜10dの端子露出面12と第二列の列の二次電池10e〜10hの端子露出面12とが対向し、二次電池10の第一側面14がパックケース60の第一側板62に対向し、さらに、二次電池10の第二側板15がパックケース60の底板64及び蓋65に対向するよう、パックケース本体61内に配置されている。
【0030】
パックケース本体61内には、複数の二次電池10をそれぞれ(−)X側へ押し付ける押付け機構50が設けられている。この押付け機構50は、パックケース本体61内の(+)X側に配置され、複数の二次電池10のうちの(+)側の二次電池10の第一側面14に接触する押付け板51と、この押付け板51をX方向に移動可能にガイドするガイドネジ53と、パックケース本体61内の(+)X側の部分に固定され、ガイドネジ53が捻じ込まれるガイドベース54と、を有している。
【0031】
押付け板51は、矩形板状を成し、その長辺が(+)X側の第一側板62に沿うように配置されている。この押付け板51には、ガイドネジ53が摺動可能に入り込む長孔52が形成されている。この長孔52は、X方向に伸びている。
【0032】
複数の二次電池10は、押付け機能50の押付け板51をガイドネジ53に対して(−)X方向に移動させることにより、(−)X方向の第一側板62側に押し付けられる。この結果、X方向において、第一列の二次電池10a〜10dの第一側面14の位置と、第二列の二次電池10e〜10hのうちの対向二次電池の第一側面14の位置とが揃うことになる。このため、第一列の二次電池10a〜10dの安全弁18a〜18dと、第二列の二次電池10e〜10hのうちの対向二次電池の安全弁18e〜10hとは対向する。この状態になった後、ガイドネジ53がガイドベース54に捻じ込まれて、押付け板51はガイドネジ53に対して移動不能に拘束される。この押付け板51の拘束により、パックケース本体61内において、複数の二次電池10のX方向に位置が拘束される。
【0033】
前述のCMU30やBMU35は、電池パックの構成に応じて最適な場所に配置可能であり、本実施形態では、パックケース本体61内であって、押付け板51の下方に配置されている。
【0034】
ガス配管40は、各二次電池10a〜10hの安全弁18から噴出したガスが通る支管41a〜41hと、各二次電池10a〜10h毎の支管41a〜41h(以下、特定の支管を示す場合を除き、単に、「支管41」とする)と連通している本管43と、を有している。
【0035】
本管43は、X方向に伸び、第一列の二次電池10a〜10dと第二列の二次電池10e〜10hの間に配置されている。この本管43の(−)X側の端部は、排気口44として開口し、パックケース60の(−)X側の第一側板62から露出している。この排気口40には、各二次電池10から噴出されたガスを特定の場所に導くための排気ダクト45等が接続される。また、この本管43の(+)X側の端部は、パックケース60の(+)X側の第一側板62近傍まで伸び、そこで閉じている。
【0036】
各安全弁18に接続された支管41は、本管43まで直線的に伸びている。このため、図3に示すように、互いに向かい合っている二次電池10の各支管41における本管43との各接続部42は、互いに対向している。
【0037】
図3に示すように、二次電池10を覆う電池カバー20は、セルケース11の端子露出面12を覆う天板21と、セルケース11の第一側面14を覆う側板24と、セルケース11の底面13を覆う底板23と、第一側板14の外面にコーティングされた絶縁性樹脂膜26と、を有している。電池カバー20の天板21、側板24、底板23は、金属で一体形成されている。
【0038】
電池カバー20の天板21には、安全弁18からのガスを支管41に導くためのガス抜き孔28と、正負の電極端子16,17が貫通する端子貫通孔27とが形成されている。
【0039】
このガス抜き孔28の一方の開口は、安全弁18に臨んでいる。また、このガス抜き孔28の他方の開口は、支管41の外径と実質的に同じ内径の第一内径部28aとして形成されている。この第一内径部28aより一方の開口側には、支管41の内径よりも小さい内径の第二内径部28bが形成されている。第一内径部28aの内面と第二内径部28bの内面とは、天板21の厚み方向に対して垂直な受け面29により接続されている。支管41の端部は、このガス抜き孔28の第一内径部28aに嵌入され、受け面29で受けられる。
【0040】
電池カバー20の側板24には、複数の冷却フィン25が形成されている。絶縁性樹脂膜26は、この冷却フィン25を含めて側板24の外面を覆っている。このように、電池カバー20には、冷却フィン25が形成されているため、二次電池10の冷却効果を高めることができる。
【0041】
電池カバー20の底板23は、この電池カバー20で二次電池10を覆う前段階では、側板24が伸びている方向と同じ方向に伸びている。すなわち、この前段階では、側板24に対して底板23は曲がっていない。このため、この前段階において、この電池カバー20は、天板21と反対側が開口している。作業者は、この電池カバー20の開口から二次電池10を電池カバー20内に入れ、その後、側板24に対して底板23を折り曲げて、二次電池10を電池カバー20内に封じ込める。
【0042】
以上のように、電池カバー20内に収められた複数の二次電池10がパックケース60内に配置される。そして、パックケース60内の複数の二次電池10は、押付け機構50により、パックケース本体61の第一側板62へ押し付けられ、X方向の移動が拘束される。その後、電池カバー20に収納された二次電池10を本管43に近づく方向、つまり、Y方向に移動させて、支管41の端部を天板20のガス抜き孔28の第一開口部28aに嵌入させる。
【0043】
なお、以上では、電池カバー20内に収められた二次電池10のX方向の移動を、押付け機構50により拘束した後、支管41の端部を電池カバー20のガス抜き孔28に嵌入させたが、逆に、支管41の端部を電池カバー20のガス抜き孔28に嵌入させた後、電池カバー20内に収められた二次電池10のX方向の移動を、押付け機構50により、拘束してもよい。また、以上では、押付け機構として、二次電池10をX方向に押し付ける押付け機構50のみを設けているが、二次電池10をY方向に押し付ける押付け機構をさらに設けてもよい。
【0044】
二次電池10のX方向の移動が拘束され、支管41の端部が電池カバー20のガス抜き孔28に嵌入された後、各二次電池10の電極端子16,17相互は、バスバー39により電気的に接続される。
【0045】
図3に示すように、ガス配管40の各支管41内には、この支管41を塞ぐことができ、且つこの支管41内を移動できる弁体71が配置されている。この弁体71は、支管71の内周面に接する外周部分が少なくも弾性材で形成されていることが好ましい。
【0046】
各弁体71は、弁体71が入っている支管41に対向する支管41内の弁体71と、弁体連動手段としてのバネ72で接続されている。バネ72は、二つの弁体71のうち、一方の弁体71から他方の弁体71の方向へ弾性変形するもので、自然長のときには、二つの弁体71は、それぞれの弁体71用の支管41内に入っている。
【0047】
次に、以上で説明した二次電池モジュールの作用・効果について説明する。
【0048】
パックケース60内の複数の二次電池10のうち、いずれかの二次電池10の電池内圧が所定の圧力になると、その二次電池10の安全弁18が動作して、二次電池10内に発生した高温・高圧のガスが安全弁18から高速で噴出する。ここで、本実施形態では、図4に示すように、二次電池10bの電池内圧が所定の圧力になり、この二次電池10bの安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出したとする。
【0049】
安全弁18bからガスが噴出すると、この安全弁18bに対する支管41b内の弁体71bは、このガスに押されて、本管43内へ移動する。この結果、この弁体71bで塞がれていた支管41bが貫通し、この安全弁18bから噴出したガスは、本管43内に流入し、排気口44からパックケース60外へと排気される。
【0050】
仮に、各支管41内に弁体71が入っていない場合、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出すると、このガスは、支管41b及び本管43を介して、支管41fに流入し、安全弁18fに接する。この際、ガスは、安全弁18bから安全弁18fへ向かって直線的に噴出されるため、安全弁18bから噴出した高温・高圧のガスは、その速度をほとんど落とすことなく、安全弁18fに接触する。このため、安全弁18fが損傷する可能性が極めて高まる。
【0051】
一方、本実施形態では、各支管41内に弁体71が入っており、各弁体71は、その弁体71に対向する弁体71とバネ72で接続されている。このため、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、この安全弁18bに対する支管41b内の弁体71bが本管43内へ移動すると、この弁体71bと弁体71fとを接続するバネ72が縮み、この縮んだバネ72により、弁体71fは安全弁18f側へ押されることになる。
【0052】
バネ72により、安全弁18f側へ押された弁体71fは、二次電池10fの電池カバー20に形成されているガス抜き孔28内の受け面29に接触して、静止し、支管41fを塞いでいる状態を維持する。
【0053】
このため、安全弁18fには、二次電池10bの安全弁18bから噴出したガスが、その速度及び圧力を維持したまま接触することはない。よって、本実施形態では、二次電池10bに対向する二次電池10fの安全弁18fは、損傷する可能性が極めて低い。
【0054】
また、本実施形態では、ガスが噴出した安全弁18b及びこれに対向する安全弁18fを除く他の安全弁18も、損傷する可能性が極めて低い。これは、安全弁18bからガスが噴出しても、他の弁体71が支管41を塞いでいる状態を維持するからである。
【0055】
以上のように、本実施形態では、複数の二次電池10が二列に配列されていると共に、互いの列同士で対向し合うように配置されているので、複数の二次電池10を収納するパックケース60内に不要な空間が生じることはなく、電池パックの大型化を回避することができる。しかも、本実施形態では、ある二次電池10の安全弁18からガスが噴出しても、これに対向する二次電池10の安全弁18を含む他の二次電池10の安全弁18をガスから保護することができるので、パックケース60内の二次電池10に悪影響を及ぼすことを回避できる。
【0056】
「第二実施形態」
次に、図5及び図6を用いて、本発明に係る第二実施形態としての電池パックについて説明する。なお、本実施形態の電池パックは、弁体連動手段の構成が異なっており、その他の構成に関して、基本的に第一実施形態の電池パックと同一である。
【0057】
第一実施形態の弁体連動手段は、弁体71と、これに対向する弁体71とを接続するバネ72を有するものであるが、本実施形態の弁体連動手段は、図5に示すように、弁体71bと弁体71fとを連結する剛性を有する連結ロッド73である。本実施形態において、弁体71とこれに対向する弁体71と連結ロッド73とは、一体形成されている。
【0058】
また、本実施形態において、支管41内には、この支管内41の弁体71よりも、本管43側の位置に、支管41を塞ぐ破裂膜74が設けられている。
【0059】
本実施形態では、図6に示すように、仮に、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、この安全弁18bに対する支管41b内の弁体71bが本管43側へ移動すると、破裂膜74はこの弁体71bに押されて破れ、この弁体71bは本管43内へ入る。この結果、この弁体71bと連結ロッド73で連結されている弁体71fは、弁体71bと同じ向きに且つ同じ移動量分だけ、支管41f内を安全弁18f側へ移動する。
【0060】
このため、弁体71fは、安全弁18bからガスが噴出しても、支管41fを塞いでいる状態を維持する。よって、本実施形態でも、安全弁18fは、安全弁18bからガスが噴出しても、弁体71fにより保護され、損傷する可能性が極めて低い。
【0061】
また、本実施形態において、安全弁18bからガスが噴出しても、この安全弁18bを除く他の安全弁に対する破裂膜74は、このガスの噴出によって破られることがない。さらに、安全弁18bからガスが噴出しても、他の弁体が支管41を塞いでいる状態を維持する。よって、本実施形態においても、第一実施形態と同様、他の安全弁18も損傷する可能性が極めて低い。
【0062】
以上のように、本実施形態でも、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態は、弁体71とこれに対向する弁体71とを連結する連結体が連結ロッド73であり、これら弁体71と連結ロッド73とを一体形成できるため、第一実施形態よりも構成が単純化され、製造コストを抑えることができる。
【0063】
ここで、支管41を塞ぐ破裂膜74の存在理由について説明する。仮に、支管41を塞ぐ破裂膜74を設けない場合、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、このガスの噴出によって、他の安全弁18側への圧力がかかったとする。この際、弁体71cにかかる圧力と、この弁体71cに対向する弁体71gにかかる圧力とは、基本的に等しい。しかしながら、ガスが噴出した安全弁18bに対する弁体71bが本管43内で傾く等の原因で、弁体71cにかかる圧力と弁体71gにかかる圧力とが等しくならない場合がある。この結果、支管41c内の弁体71cが安全弁18c側に移動すると、この弁体71cに対向する弁体71gも同じ方向に同量だけ移動して、この弁体71gが支管41gから本管43内に移動してしまう虞がある。
【0064】
そこで、本実施形態では、支管41に破裂膜74を設けることにより、安全弁18bからガスが噴出しても、このガスにより生じる圧力が弁体71にかかることを防ぐことができる。このため、弁体71は、ガス圧力が発生しても、移動することがない。
【0065】
一方、第一実施形態では、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出すると、他の支管41内の弁体71が安全弁18側への圧力がかかる。しかも、弁体71とこれに対向する弁体71は、かかる圧力が等しくない場合でも、弾性変形するバネ72で接続されているため、それぞれの安全弁18側へ移動する。このため、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出した場合に、他の弁体71が本管43内に移動してしまう可能性は小さくなる。よって、第一実施形態では破裂膜74を設けなくてもよい。
【0066】
但し、第一実施形態でも、安全弁18bからガスが噴出した際に、このガスの噴出によって、バネ72に接続された一方の弁体71が安全弁18側に移動し、この弁体71の移動に伴って、他方の弁体71が本管43内に移動する可能性が高い場合には、本実施形態と同様の破裂膜74を設けることが好ましい。
【0067】
「第三実施形態」
次に、図7及び図8を用いて、本発明に係る第三実施形態としての電池パックについて説明する。なお、本実施形態の電池パックは、弁体及び弁体連動手段の構成が第二実施形態と異なっており、その他の構成に関して、基本的に第二実施形態と同一である。
【0068】
本実施形態の弁体75は、図7に示すように、支管41を塞ぐ閉塞部76と、対向する弁体75に接触する接触部77と、閉塞部76と接触部77とを連結する連結ロッド78と、を有している。
【0069】
また、本実施形態の弁体連動手段は、各弁体75の接触部77と、安全弁18からのガス噴出で弁体75の接触部77が対向する弁体75の接触部77に接触するように弁体75を導く案内管(案内手段)79と、を備えている。
【0070】
案内管79は、支管41の接続部42と、対向する支管41の接続部42とを接続する配管である。この案内管79は、例えば、パンチングメタル等、多数の孔が開いている板材を環状にしたもので、外周側から内周側に向かって多数の孔が開いている。また、この案内管79は、その内径が支管41の内径と実質的に同じ、若しくは支管41の内径より若干大きく、この案内管79内を弁体75が移動できるように形成されている。
【0071】
各弁体75の接触部77は、案内管79内に配置されている。この接触部77は、その外径が案内管79の内径よりも若干小さく、案内管79内をスムーズに移動できるよう形成されている。
【0072】
本実施形態の支管41内であって、その接続部42近傍には、第二実施形態と同様、支管41を塞ぐ破裂膜74が設けられている。
【0073】
本実施形態の弁体75の閉塞部76は、支管41内であって破裂膜74よりも安全弁18側に配置され、当該弁体75の接触部77は、破裂膜74よりも対向する弁体75側に配置されている。このため、弁体75の閉塞部76と接触部77とを連結する連結ロッド78は、破裂膜74を貫通している。
【0074】
本実施形態では、図8に示すように、仮に、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、弁体75bが本管43側へ移動すると、破裂膜74はこの弁体75bの閉塞部76に押されて破れ、この閉塞部76は本管43内へ入る。すなわち、この弁体75bは支管41bから押し出される。
【0075】
この弁体75bの移動過程で、この弁体75bの接触部77は、案内管79によりガイドされて、対向する弁体75fの接触部77に確実に接触する。このため、この弁体75fは、弁体75bにより、安全弁18f側へ押される。
【0076】
よって、弁体75fの閉塞部76は、安全弁18bからガスが噴出しても、支管41fを塞いでいる状態を維持するため、本実施形態でも、安全弁18fは、弁体75fによりガスから保護され、損傷する可能性が極めて低い。
【0077】
また、本実施形態において、安全弁18bからガスが噴出しても、第二実施形態と同様、この安全弁18bを除く他の安全弁18に対する破裂膜74は、このガスの噴出によっては破られない。さらに、安全弁18bからガスが噴出しても、他の安全弁18において弁体75の閉塞部76が支管41を塞いでいる状態を維持する。よって、本実施形態においても、第一及び第二実施形態と同様、他の安全弁18も、損傷する可能性が極めて低い。
【0078】
なお、本実施形態では、安全弁18bからガスが噴出した際に、弁体75bの接触部77を対向する弁体75fの接触部77に確実に接触させるために、案内管79を設けているが、二つの弁体75b,75fの各接触部77間の間隔が狭く、弁体75bの接触部77が弁体75fの接触部77に確実に接触するような場合には、この案内管79を設ける必要はない。
【0079】
「第四実施形態」
次に、図9を用いて、本発明に係る第四実施形態としての電池パックについて説明する。なお、本実施形態の電池パックは、弁体及び弁体連動手段の構成が第三実施形態と異なっており、その他の構成に関して、基本的に第三実施形態と同一である。
【0080】
具体的に、本実施形態では、第三実施形態の電池パックにおける案内管79は存在しない。さらに、本実施形態では、弁体の接触部の形状が第三実施形態と異なっている。
【0081】
本実施形態の弁体80は、閉塞部81と接触部82と連結ロッド83と有して構成されている。また、この弁体80に対向する弁体85も、閉塞部81と接触部84と連結ロッド83と有して構成されている。弁体80の接触部82は、弁体85側に向かうに連れて次第に縮径され、外周側に対して中心側が弁体85側へ突出している。また、弁体85の接触部84は、これに対向する弁体80側に向かうに連れて次第に拡径され、外周側に対して中心側が弁体80から遠ざかる側に凹んでいる。お互いに対抗する弁体80と弁体85は、支管41の移動範囲内で接触部82と接触部84が接触できるように、連結ロッド83の長さが設定されている。本実施形態では、これらの接触部82,84が弁体連動手段を構成している。
【0082】
ここで、仮に、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、この安全弁18bに対する弁体80bが安全弁18f側へ移動したとする。
【0083】
この弁体80bの移動過程で、この弁体80bの接触部82のいずれかの部分は、弁体85fの接触部84のいずれかの部分に接触して、弁体80bの突出形状の接触部82は、弁体85fの凹形状の接触部84に入り込み、弁体80bは、対向弁体85fを安全弁18f側へ押す。
【0084】
すなわち、弁体80bの接触部82と弁体85fの接触部84とは、安全弁18bからガスが噴出した場合に、弁体80bの接触部82を弁体85fの接触部84に確実に接触させるための案内手段として機能する。また、安全弁18fからガスが噴出した場合も、弁体80bの接触部82と弁体85fの接触部84自体が、弁体85fの接触部84を弁体80bの接触部82に確実に接触させるための案内手段として機能する。このため、本実施形態では、第三実施形態における案内手段としての案内管79が存在しない。
【0085】
以上、本実施形態では、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出して、弁体80bが移動すると、この移動に伴って、弁体85fが安全弁18f側に移動し、この弁体85fの閉塞部81は、支管41fを塞いでいる状態を維持する。このため、本実施形態でも、安全弁18fは、弁体85fの閉塞部81fによりガスから保護され、損傷する可能性が極めて低い。
【0086】
また、本実施形態において、安全弁18bからガスが噴出しても、第二及び第三実施形態と同様、この安全弁18bを除く他の安全弁18に対する破裂膜74は、このガスの噴出によっては破られない。さらに、安全弁18bからガスが噴出しても、他の安全弁18に対する弁体80の閉塞部81が、これに対する支管41を塞いでいる状態を維持する。よって、本実施形態においても、以上の各実施形態と同様、他の安全弁18も、損傷する可能性が極めて低い。
【0087】
「第五実施形態」
次に、図10及び図11を用いて、本発明に係る第五実施形態としての電池パックについて説明する。なお、本実施形態の電池パックは、弁体の構成が第三実施形態と異なっており、その他の構成に関して、基本的に第三実施形態と同一である。
【0088】
本実施形態の弁体87は、弾性を有し、球形又は回転楕円体形状を成し、支管41内に弾性変形した状態で押し込められている。このため、弁体87と支管41との間には、比較的大きな接触圧が作用している。
【0089】
各弁体87に対向する弁体側は、接触部88を成している。
【0090】
支管41の各々の接続部42を接続する案内管79は、第三実施形態の案内管79と同様に、外周側から内周側に向かって多数の孔が形成されている。また、この案内管79は、その内径が支管41の内径と実質的に同じ、若しくは支管41の内径より若干大きく形成されている。
【0091】
本実施形態では、図11に示すように、仮に、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、この安全弁18bに対する支管41b内の弁体87bが安全弁18f側へ移動すると、案内管79に導かれて、この弁体87bの接触部88は、弁体87fの接触部88に確実に接触する。この結果、弁体87fは、弁体87bに押されて、支管41f内を弁体87bと共に安全弁18f側へ移動する。
【0092】
よって、安全弁18bからガスが噴出しても、弁体87fは、支管41fを塞いでいる状態を維持するため、本実施形態でも、安全弁18fは、弁体87fによりガスから保護され、損傷する可能性が極めて低い。
【0093】
また、本実施形態において、安全弁18bからガスが噴出しても、この安全弁18bを除く他の安全弁18に対する弁体87は、支管41に対する接触圧が比較的大きくために、移動し難い上に、仮に、移動したとしても、対応する安全弁18側へ移動するために、支管41を塞いでいる状態を維持する。よって、本実施形態においても、以上の各実施形態と同様、他の安全弁18も、損傷する可能性が極めて低い。
【0094】
また、本実施形態では、弁体としての構成が第三実施形態と比較して、極めて単純な構成であるため、製造コストを抑えることができる。
【0095】
なお、以上の各実施形態では、安全弁を排気弁の一例としたが、本発明は、これに限定されるものではなく、電池内圧が所定の圧力を超えると動作して、電池内のガスを放出する弁であれば、いかなる弁であってもよく、例えば、開放弁であってもよい。
【0096】
また、以上の各実施形態では、複数の二次電池10が二列に並び、この二列の一組のみがパックケース内に存在するが、複数の組がパックケース内に存在する場合でも、本発明を適用できることは言うまでもない。また、上述した実施形態では、二次電池が互いの列同士で対向し合うように配置された電池パックについて説明したが、列端部など一部の二次電池のみ対向する二次電池がない構成の電池パックであっても、本発明を適用することができる。
【0097】
「第六実施形態」
次に、図12及び図13を用いて、本発明に係る第六実施形態としての電池パックについて説明する。なお、本実施形態の電池パックは、弁体99に付属する構成が以上の各実施形態と異なっており、その他の構成に関して、基本的に以上の各実施形態と同一である。
【0098】
弁体99は、以上の実施形態と同様、支管41内に配設され、支管41を閉塞するとともに、支管41に接続されている安全弁18からガスが噴出すると、このガスにより支管41から押し出されるものである。このため、この弁体99は、安全弁18から噴出したガスから受ける力に耐える強度を有している。つまり、この弁体99は、安全弁18から噴出したガスからの力を受けても、破損しない強度である。
【0099】
この弁体99は、この弁体99の付属構造としての本管側支持部90と安全弁(排気弁)側支持部とにより支持されている。本管側支持部90は、この弁体99の本管側を支持して、支管41内で弁体99の本管側への移動を規制する。この本管側支持部90の強度は、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、破損する強度である。また、安全弁側支持部93は、弁体99の安全弁側を支持して、支管41内で弁体99の安全弁側への移動を規制する。この安全弁側支持部93は、他の安全弁18から噴出したガスにより、この安全弁側支持部93で支持されている弁体99が安全弁側に押された力に耐えうる強度を有している。
【0100】
各支持部90,93は、いずれも、支持具91,94と、この支持具91,94を支管41に接合する接合部92,95と、を有している。各支持部90,93の支持具91,94は、基本的に如何なる材料で形成してもよいが、本管側支持具91の材料としては、例えば、比較的強度管理の容易なセラミックス材が考えられる。この場合、本管側支持具91の厚さを適宜設定することで、この本管側支持具91の強度を、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、破損する強度にすることができる。
【0101】
本実施形態では、図12に示すように、仮に、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、この安全弁18bに接続されている支管41b内の弁体99bが、この高温・高圧のガスに押されると、図13に示すように、この弁体99bを支持する本管側支持部90bの支持具91が破損し、この支持具91の一部91xが本管43内に入り込むとともに、弁体99も本管43内に入り込む。このため、安全弁18から噴出したガスは、支管41bを経て、本管43に流れ込む。
【0102】
この安全弁18bから噴出した高温・高圧のガスは、本管43に流れ込んだ後、一部が、この安全弁18bに対向する他の安全弁18fに接続されている支管41f、さらにその他の安全弁18が接続されている支管41にも流れ込む。この結果、これら他の安全弁18f,18に接続されている支管41f,41内の弁体99f,99は、安全弁側に押される。しかしながら、これら他の安全弁18f,18に接続されている支管41f,41内の弁体99f,99は、この高温・高圧のガスにより、破損することも、安全弁側に移動することもない。これは、各弁体99が、前述したように、当該弁体99が収まっている支管41が接続されている安全弁18から高温・高圧のガスが噴出しても破損しない強度を有している上に、各弁体99を支持する安全弁側支持部93が、他の安全弁18から噴出した高温・高圧のガスで当該弁体99が安全弁側に押されても、これに耐えうる強度を有しているからである。
【0103】
よって、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出しても、この安全弁18bに対向する他の安全弁18fに接続されている支管41f、さらにその他の安全弁18に接続されている支管41内の各弁体99は、支管41f,41を塞いでいる状態を維持するため、本実施形態でも、他の安全弁18f,18は、弁体99f,99により高温・高圧のガスから保護され、損傷する可能性が極めて低い。
【0104】
なお、本実施形態は、本管側支持部90のうち、本管側支持具91が破損するものであるが、図14に示すように、本管側支持部96のうちの接合部98が破損するようにしてもよい。この場合、支管41に対する接合部98の接合面積を適宜設定することで、この接合部98の強度を、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、破損する強度にすることができる。また、この場合、本管側支持部96のうちの支持具97は、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押されても、これに耐えうる強度を有していることが好ましい。
【0105】
また、以上では、本管側支持部90が破損することで弁体99の移動規制を解除しているが、本管側支持部90が変形することで弁体99の移動規制を解除するようにしてもよい。この場合、図15及び図16に示すように、本管側支持部100の支持具101として、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、大きく変形するものを採用する。例えば、本管側支持部100の支持具101をゴムで形成し、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、この支持具101が大きく弾性変形するようにしてもよい。また、本管側支持部100の支持具101を金属シート等で形成し、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、この支持具101が大きく塑性変形するようにしてもよい。この場合、本管側支持部100の接合部102は、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押されても、これに耐えうる強度を有していることが好ましい。
【0106】
以上、本実施形態及びその各変形例では、他の実施形態のように弁体連動手段を有していないものの、ある二次電池10の安全弁18から高温・高圧のガスが噴出しても、これに対向する二次電池10の安全弁18を含む他の二次電池10の安全弁18を高温・高圧のガスから保護することができる。さらに、本実施形態及びその各変形例では、弁体連動手段ではなく、弁体99の支持構造で、上記効果を達成しているので、2つの二次電池10の各安全弁18が対向していなくてもよく、複数の二次電池10のレイアウトの自由度を高めることができる。
【符号の説明】
【0107】
10,10a〜10h:二次電池、11:セルケース、16:正電極端子、17:負正極端子、18,18a〜18g:安全弁、20:電池カバー、21:天板、25:冷却フィン、26:絶縁性樹脂膜、30:CMU、35:BMU、41,41a〜41h:支管、43:本管、50:押付け機構、60:パックケース、61:パックケース本体、65:蓋、71,71b,71c,71f,71g,75,75b,75c,75f,75g,80,80b,80f,85,85f,85g,87,87b,87c,87f,87g,99,99b:弁体、72:バネ、73,78,83:連結ロッド、76,81:閉塞部、77,82,84,88:接触部、79:案内管、90,90b,96,100:本管側支持部、93,93b:安全弁側支持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池を備えた電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、充放電の過程で、電池内部にガスが発生する。このため、リチウム二次電池の多くは、内部ガスを放出するための安全弁や開放弁等の排気弁を備えている。
【0003】
このような排気弁を有する単電池を複数の備えた電池パックとしては、例えば、以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0004】
この電池パックは、いずれかの単電池の排気弁から放出されたガスをパックケース外の目的の場所に導くために、ガス管が設けられている。このガス管には、各電池の排気弁に接続されている支管と、各支管と接続され、いずれかの支管からのガスを目的の場所に導く本管とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4295477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、排気弁は、その機能上、単電池の外周を形成するセルケースよりも強度的に弱い。このため、特許文献1に記載の電池パックにおいて、複数の単電池のうち、いずれかの単電池の排気弁から高温高圧のガスが放出され、このガスが本管及び支管を介して、他の単電池の排気弁に接触すると、この単電池に悪影響を及ぼす虞がある。
【0007】
特に、ある単電池の排気弁に接続された支管と本管の接続部と、他の単電池の排気弁に接続された支管と本管の接続部とが対向している場合には、ある単電池の排気弁から噴出された高温高圧のガスが本管及び支管を介して他の単電池の排気弁に直接接触してしまうため、この他の単電池に悪影響を及ぼす可能性が飛躍的に高まってしまう。
【0008】
そこで、例えば、図17に示すように、単電池1aの排気弁2に接続された支管3aの本管5との接続部4aと、単電池1e,1fの排気弁2に接続された支管3e,3fの接続部4e,4fとが対向しないように、各単電池1a〜1hを配置すると、パックケース6内に不要の空間7a,7bが生じ、電池パックの大型化を招いてしまう。
【0009】
すなわち、電池パックの大型化を回避するために、支管と本管の接続部を対向させた上で、特許文献1に記載の技術を採用すると、ある単電池の排気弁から噴出したガスが他の単電池に悪影響を及ぼす虞が高くなってしまう、という問題点がある。
【0010】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に着目し、電池パックの大型化を回避しつつも、ある単電池の排気弁から噴出したガスが他の単電池に悪影響を及ぼす可能性を抑えることができる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記問題点を解決するための電池パックに係る発明は、
電池内圧が所定の圧力を超えると内部のガスを外部へ排気させる排気弁をそれぞれ有し、二列に配列されていると共に、互いの列同士で対向し合うように配置されている複数の単電池と、前記単電池の列間に配設されている本管と、前記単電池の前記排気弁に設けられ、列同士で互いに対向する位置で前記本管と接続され、前記排気弁から噴出したガスが通る支管と、前記支管内を閉塞するとともに、前記支管に接続された前記排気弁からガスが噴出すると、前記ガスにより前記支管から押し出される弁体と、互いに対向する前記単電池のそれぞれに対応する前記弁体の対毎に設けられ、対を成す一方の弁体が前記支管から押し出されると、他方の弁体を対応する排気弁側へ押す弁体連動手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
以上の発明では、対を成す一方の弁体に対応する排気弁からガスが噴出した場合、この一方の弁体は、このガスに押されて、対応する支管から押し出される。この弁体の移動により、対を成す他方の弁体は、この他方の弁体に対応する支管内において、弁体連動手段により、この支管に対応する排気弁側へ押される。このため、他方の弁体は、支管内を塞いでいる状態を維持し、一方の排気弁から噴出したガスから、他方の排気弁を保護することができる。
【0013】
ここで、前記弁体連動手段は、対を成す前記弁体相互を繋ぐ弁体連結体を有するものであってよい。この場合、前記弁体連結体は、前記一方の弁体が前記他方の弁体へ近づく方向に弾性変形可能な弾性体を有していてもよい。このように、弁体連結体が弾性体を有する場合、一の支管及びこの支管に対向する対向支管を除く他の支管内においても、一の支管に対する排気弁からガスが噴出した際に、該他の支管内の弁体は、いずれも、対応排気弁側へ移動し、対応支管内に収まっているので、該他の支管に対する排気弁も、一の支管に対する排気弁からのガスから保護することができる。
【0014】
また、前記弁体連動手段は、前記一方の弁体と前記他方の弁体とのそれぞれに形成され、前記一方の弁体が前記ガスにより対応する前記支管から押し出されると、互いに接触し合う接触部を有していてもよい。この場合、前記弁体連動手段は、さらに、前記一方の弁体が前記ガスにより対応する前記支管から押し出されると、前記一方の弁体の前記接触部が前記他方の弁体の前記接触部に接触するよう、前記一方の弁体の前記接触部を前記他方の弁体の接触部へ導く案内手段を有していてもよい。
【0015】
また、前記問題点を解決するための電池パックに係る他の発明は、
電池内圧が所定の圧力を超えると内部のガスを外部へ排気させる排気弁を有している複数の単電池と、複数の前記単電池に沿って配設され、前記排気弁から噴出した前記ガスが通る本管と、前記単電池の前記排気弁に接続されているとともに前記本管と接続され、前記排気弁から噴出したガスが通る支管と、前記支管内に配設され、前記支管を閉塞するとともに、前記支管に接続された前記排気弁からガスが噴出すると、前記ガスにより前記支管から押し出される弁体と、前記弁体の前記本管側を支持して、前記支管内で前記弁体の前記本管側への移動を規制する本管側支持部と、前記弁体の前記排気弁側を支持して、前記支管内で前記弁体の前記排気弁側への移動を規制する排気弁側支持部と、を備え、前記弁体は、前記排気弁から噴出した前記ガスから受ける力に耐える強度を有し、前記本管側支持部は、前記排気弁から噴出した前記ガスにより、前記弁体が前記本管側に押された力で形が変化して、前記弁体の前記本管側への移動規制を解除し、前記排気弁側支持部は、該排気弁側支持部に対応する前記排気弁と異なる前記排気弁から噴出した前記ガスにより、該排気弁側支持部に対応する前記弁体が前記排気弁側に押された力に耐えうる強度を有し、該弁体の該排気弁側への移動規制を行うことを特徴とする。
【0016】
以上の発明では、ある排気弁からガスが噴出し、この排気弁に接続されている支管内の弁体が、このガスに押されると、この弁体を支持する本管側支持部の形が変化し、この弁体の移動規制が解除される。この結果、この弁体はガスに押されて、ガスと共に本管内に入りこむ。なお、本管側支持部の形に変化の形態としては、本管側支持部の破損、本管側支持部の変形がある。
【0017】
この排気弁から噴出したガスは、本管に流れ込んだ後、一部が、他の排気弁に接続されている支管にも流れ込む。この結果、他の排気弁に接続されている支管内の弁体は、安全弁側に押される。しかしながら、これら他の排気弁に接続されている支管内の弁体は、この高温・高圧のガスにより、破損することもなく、また、排気弁側支持部に支持されて、安全弁側に移動することもない。
【0018】
よって、排気弁からガスが噴出しても、他の排気弁に接続されている支管内の各弁体は、支管を塞いでいる状態を維持するため、このガスから他の安全弁を保護することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、複数の単電池が二列に配列されていると共に、互いの列同士で対向し合うように配置されているので、複数の単電池を収納するパックケース内に不要な空間が生じることはなく、電池パックの大型化を回避することができる。しかも、本発明では、対向し合っている一対の単電池のうち、一方の単電池の排気弁から噴出したガスから、他方の単電池の排気弁を保護することができるので、他方の電池に悪影響を及ぼすことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る第一実施形態における電池パックの平面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】本発明に係る第一実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図4】本発明に係る第一実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図5】本発明に係る第二実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図6】本発明に係る第二実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図7】本発明に係る第三実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図8】本発明に係る第三実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図9】本発明に係る第四実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図10】本発明に係る第五実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図11】本発明に係る第五実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図12】本発明に係る第六実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図13】本発明に係る第六実施形態における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図14】本発明に係る第六実施形態の第一変形例における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図15】本発明に係る第六実施形態の第二変形例における電池パックの要部横断面図(ガス噴出前)である。
【図16】本発明に係る第六実施形態の第二変形例における電池パックの要部横断面図(ガス噴出時)である。
【図17】パックケース内の単電池の配置例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る電池パックの各種実施形態について説明する。
【0022】
「第一実施形態」
まず、図1〜図4を用いて、本発明に係る第一実施形態としての電池パックについて説明する。
【0023】
本実施形態の電池パックは、図1及び図2に示すように、偶数個の二次電池(単電池)10a〜10h(以下、特定の二次電池を示す場合を除き、単に、「二次電池10」とする)と、二次電池10を覆う電池カバー20と、各二次電池10の充放電等を制御するCMU(Cell Monitoring Unit)30と、各CMU30からのデータを集中管理するBMU(Battery Management Unit)35と、各二次電池10から噴出されたガスが流れるガス配管40と、これらを収納するパックケース60と、を備えている。
【0024】
二次電池10は、正負の電極(図示されていない)と、正負の電極を覆う直方体形状のセルケース11と、セルケース11から突出している正負の電極端子16,17と、セルケース11内からガスを放出するための安全弁18と、を有している。なお、以下では、各二次電池10a〜10h毎の安全弁18を安全弁18a〜18hとする。但し、特定の安全弁を示す場合を除き、単に安全弁18とする。
【0025】
直方体形状のセルケース11は、正負の電極端子16,17が突出していると共に安全弁18が設けられている端子露出面12と、この端子露出面12と対向している底面13と、互いに対向している一対の第一側面14と、同じく互いに対向している一対の第二側面15と、を有している。第一側面14は、正電極端子16と負電極端子17とが並んでいる方向に対して垂直であり、第二側面15は、この第一側面14に対して垂直である。
【0026】
安全弁18は、電池内圧が所定の圧力を超えると動作する弁で、例えば、破裂板等を有して構成されている。
【0027】
パックケース60は、複数の電池等が収納される収納凹部を有するケース本体61と、収納凹部の開口を塞ぐ蓋65とを有している。ケース本体61は、互いに対向している矩形板状の一対の第一側板62と、互いに対向している矩形板状の一対の第二側板63と、底板64と、を有している。上記収納凹部は、一対の第一側板62と一対の第二側板63と底板64とで形成された直方体形状の凹部である。
【0028】
ここで、二次電池10のセルケース11において、一対の第一側面14のうち、一方の第一側面14から他方の第一側面14に向かう方向をX方向とし、一対の第二側面15のうち、一方の第二側面15から他方の第二側面15へ向かう方向をZ方向とし、X方向及びZ方向に垂直な方向をY方向とする。
【0029】
偶数個の二次電池10は、パックケース本体61内において、二列に、各列の二次電池10がX方向に平行に並べられている。各二次電池10a〜10hは、第一列の二次電池10a〜10dの端子露出面12と第二列の列の二次電池10e〜10hの端子露出面12とが対向し、二次電池10の第一側面14がパックケース60の第一側板62に対向し、さらに、二次電池10の第二側板15がパックケース60の底板64及び蓋65に対向するよう、パックケース本体61内に配置されている。
【0030】
パックケース本体61内には、複数の二次電池10をそれぞれ(−)X側へ押し付ける押付け機構50が設けられている。この押付け機構50は、パックケース本体61内の(+)X側に配置され、複数の二次電池10のうちの(+)側の二次電池10の第一側面14に接触する押付け板51と、この押付け板51をX方向に移動可能にガイドするガイドネジ53と、パックケース本体61内の(+)X側の部分に固定され、ガイドネジ53が捻じ込まれるガイドベース54と、を有している。
【0031】
押付け板51は、矩形板状を成し、その長辺が(+)X側の第一側板62に沿うように配置されている。この押付け板51には、ガイドネジ53が摺動可能に入り込む長孔52が形成されている。この長孔52は、X方向に伸びている。
【0032】
複数の二次電池10は、押付け機能50の押付け板51をガイドネジ53に対して(−)X方向に移動させることにより、(−)X方向の第一側板62側に押し付けられる。この結果、X方向において、第一列の二次電池10a〜10dの第一側面14の位置と、第二列の二次電池10e〜10hのうちの対向二次電池の第一側面14の位置とが揃うことになる。このため、第一列の二次電池10a〜10dの安全弁18a〜18dと、第二列の二次電池10e〜10hのうちの対向二次電池の安全弁18e〜10hとは対向する。この状態になった後、ガイドネジ53がガイドベース54に捻じ込まれて、押付け板51はガイドネジ53に対して移動不能に拘束される。この押付け板51の拘束により、パックケース本体61内において、複数の二次電池10のX方向に位置が拘束される。
【0033】
前述のCMU30やBMU35は、電池パックの構成に応じて最適な場所に配置可能であり、本実施形態では、パックケース本体61内であって、押付け板51の下方に配置されている。
【0034】
ガス配管40は、各二次電池10a〜10hの安全弁18から噴出したガスが通る支管41a〜41hと、各二次電池10a〜10h毎の支管41a〜41h(以下、特定の支管を示す場合を除き、単に、「支管41」とする)と連通している本管43と、を有している。
【0035】
本管43は、X方向に伸び、第一列の二次電池10a〜10dと第二列の二次電池10e〜10hの間に配置されている。この本管43の(−)X側の端部は、排気口44として開口し、パックケース60の(−)X側の第一側板62から露出している。この排気口40には、各二次電池10から噴出されたガスを特定の場所に導くための排気ダクト45等が接続される。また、この本管43の(+)X側の端部は、パックケース60の(+)X側の第一側板62近傍まで伸び、そこで閉じている。
【0036】
各安全弁18に接続された支管41は、本管43まで直線的に伸びている。このため、図3に示すように、互いに向かい合っている二次電池10の各支管41における本管43との各接続部42は、互いに対向している。
【0037】
図3に示すように、二次電池10を覆う電池カバー20は、セルケース11の端子露出面12を覆う天板21と、セルケース11の第一側面14を覆う側板24と、セルケース11の底面13を覆う底板23と、第一側板14の外面にコーティングされた絶縁性樹脂膜26と、を有している。電池カバー20の天板21、側板24、底板23は、金属で一体形成されている。
【0038】
電池カバー20の天板21には、安全弁18からのガスを支管41に導くためのガス抜き孔28と、正負の電極端子16,17が貫通する端子貫通孔27とが形成されている。
【0039】
このガス抜き孔28の一方の開口は、安全弁18に臨んでいる。また、このガス抜き孔28の他方の開口は、支管41の外径と実質的に同じ内径の第一内径部28aとして形成されている。この第一内径部28aより一方の開口側には、支管41の内径よりも小さい内径の第二内径部28bが形成されている。第一内径部28aの内面と第二内径部28bの内面とは、天板21の厚み方向に対して垂直な受け面29により接続されている。支管41の端部は、このガス抜き孔28の第一内径部28aに嵌入され、受け面29で受けられる。
【0040】
電池カバー20の側板24には、複数の冷却フィン25が形成されている。絶縁性樹脂膜26は、この冷却フィン25を含めて側板24の外面を覆っている。このように、電池カバー20には、冷却フィン25が形成されているため、二次電池10の冷却効果を高めることができる。
【0041】
電池カバー20の底板23は、この電池カバー20で二次電池10を覆う前段階では、側板24が伸びている方向と同じ方向に伸びている。すなわち、この前段階では、側板24に対して底板23は曲がっていない。このため、この前段階において、この電池カバー20は、天板21と反対側が開口している。作業者は、この電池カバー20の開口から二次電池10を電池カバー20内に入れ、その後、側板24に対して底板23を折り曲げて、二次電池10を電池カバー20内に封じ込める。
【0042】
以上のように、電池カバー20内に収められた複数の二次電池10がパックケース60内に配置される。そして、パックケース60内の複数の二次電池10は、押付け機構50により、パックケース本体61の第一側板62へ押し付けられ、X方向の移動が拘束される。その後、電池カバー20に収納された二次電池10を本管43に近づく方向、つまり、Y方向に移動させて、支管41の端部を天板20のガス抜き孔28の第一開口部28aに嵌入させる。
【0043】
なお、以上では、電池カバー20内に収められた二次電池10のX方向の移動を、押付け機構50により拘束した後、支管41の端部を電池カバー20のガス抜き孔28に嵌入させたが、逆に、支管41の端部を電池カバー20のガス抜き孔28に嵌入させた後、電池カバー20内に収められた二次電池10のX方向の移動を、押付け機構50により、拘束してもよい。また、以上では、押付け機構として、二次電池10をX方向に押し付ける押付け機構50のみを設けているが、二次電池10をY方向に押し付ける押付け機構をさらに設けてもよい。
【0044】
二次電池10のX方向の移動が拘束され、支管41の端部が電池カバー20のガス抜き孔28に嵌入された後、各二次電池10の電極端子16,17相互は、バスバー39により電気的に接続される。
【0045】
図3に示すように、ガス配管40の各支管41内には、この支管41を塞ぐことができ、且つこの支管41内を移動できる弁体71が配置されている。この弁体71は、支管71の内周面に接する外周部分が少なくも弾性材で形成されていることが好ましい。
【0046】
各弁体71は、弁体71が入っている支管41に対向する支管41内の弁体71と、弁体連動手段としてのバネ72で接続されている。バネ72は、二つの弁体71のうち、一方の弁体71から他方の弁体71の方向へ弾性変形するもので、自然長のときには、二つの弁体71は、それぞれの弁体71用の支管41内に入っている。
【0047】
次に、以上で説明した二次電池モジュールの作用・効果について説明する。
【0048】
パックケース60内の複数の二次電池10のうち、いずれかの二次電池10の電池内圧が所定の圧力になると、その二次電池10の安全弁18が動作して、二次電池10内に発生した高温・高圧のガスが安全弁18から高速で噴出する。ここで、本実施形態では、図4に示すように、二次電池10bの電池内圧が所定の圧力になり、この二次電池10bの安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出したとする。
【0049】
安全弁18bからガスが噴出すると、この安全弁18bに対する支管41b内の弁体71bは、このガスに押されて、本管43内へ移動する。この結果、この弁体71bで塞がれていた支管41bが貫通し、この安全弁18bから噴出したガスは、本管43内に流入し、排気口44からパックケース60外へと排気される。
【0050】
仮に、各支管41内に弁体71が入っていない場合、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出すると、このガスは、支管41b及び本管43を介して、支管41fに流入し、安全弁18fに接する。この際、ガスは、安全弁18bから安全弁18fへ向かって直線的に噴出されるため、安全弁18bから噴出した高温・高圧のガスは、その速度をほとんど落とすことなく、安全弁18fに接触する。このため、安全弁18fが損傷する可能性が極めて高まる。
【0051】
一方、本実施形態では、各支管41内に弁体71が入っており、各弁体71は、その弁体71に対向する弁体71とバネ72で接続されている。このため、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、この安全弁18bに対する支管41b内の弁体71bが本管43内へ移動すると、この弁体71bと弁体71fとを接続するバネ72が縮み、この縮んだバネ72により、弁体71fは安全弁18f側へ押されることになる。
【0052】
バネ72により、安全弁18f側へ押された弁体71fは、二次電池10fの電池カバー20に形成されているガス抜き孔28内の受け面29に接触して、静止し、支管41fを塞いでいる状態を維持する。
【0053】
このため、安全弁18fには、二次電池10bの安全弁18bから噴出したガスが、その速度及び圧力を維持したまま接触することはない。よって、本実施形態では、二次電池10bに対向する二次電池10fの安全弁18fは、損傷する可能性が極めて低い。
【0054】
また、本実施形態では、ガスが噴出した安全弁18b及びこれに対向する安全弁18fを除く他の安全弁18も、損傷する可能性が極めて低い。これは、安全弁18bからガスが噴出しても、他の弁体71が支管41を塞いでいる状態を維持するからである。
【0055】
以上のように、本実施形態では、複数の二次電池10が二列に配列されていると共に、互いの列同士で対向し合うように配置されているので、複数の二次電池10を収納するパックケース60内に不要な空間が生じることはなく、電池パックの大型化を回避することができる。しかも、本実施形態では、ある二次電池10の安全弁18からガスが噴出しても、これに対向する二次電池10の安全弁18を含む他の二次電池10の安全弁18をガスから保護することができるので、パックケース60内の二次電池10に悪影響を及ぼすことを回避できる。
【0056】
「第二実施形態」
次に、図5及び図6を用いて、本発明に係る第二実施形態としての電池パックについて説明する。なお、本実施形態の電池パックは、弁体連動手段の構成が異なっており、その他の構成に関して、基本的に第一実施形態の電池パックと同一である。
【0057】
第一実施形態の弁体連動手段は、弁体71と、これに対向する弁体71とを接続するバネ72を有するものであるが、本実施形態の弁体連動手段は、図5に示すように、弁体71bと弁体71fとを連結する剛性を有する連結ロッド73である。本実施形態において、弁体71とこれに対向する弁体71と連結ロッド73とは、一体形成されている。
【0058】
また、本実施形態において、支管41内には、この支管内41の弁体71よりも、本管43側の位置に、支管41を塞ぐ破裂膜74が設けられている。
【0059】
本実施形態では、図6に示すように、仮に、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、この安全弁18bに対する支管41b内の弁体71bが本管43側へ移動すると、破裂膜74はこの弁体71bに押されて破れ、この弁体71bは本管43内へ入る。この結果、この弁体71bと連結ロッド73で連結されている弁体71fは、弁体71bと同じ向きに且つ同じ移動量分だけ、支管41f内を安全弁18f側へ移動する。
【0060】
このため、弁体71fは、安全弁18bからガスが噴出しても、支管41fを塞いでいる状態を維持する。よって、本実施形態でも、安全弁18fは、安全弁18bからガスが噴出しても、弁体71fにより保護され、損傷する可能性が極めて低い。
【0061】
また、本実施形態において、安全弁18bからガスが噴出しても、この安全弁18bを除く他の安全弁に対する破裂膜74は、このガスの噴出によって破られることがない。さらに、安全弁18bからガスが噴出しても、他の弁体が支管41を塞いでいる状態を維持する。よって、本実施形態においても、第一実施形態と同様、他の安全弁18も損傷する可能性が極めて低い。
【0062】
以上のように、本実施形態でも、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態は、弁体71とこれに対向する弁体71とを連結する連結体が連結ロッド73であり、これら弁体71と連結ロッド73とを一体形成できるため、第一実施形態よりも構成が単純化され、製造コストを抑えることができる。
【0063】
ここで、支管41を塞ぐ破裂膜74の存在理由について説明する。仮に、支管41を塞ぐ破裂膜74を設けない場合、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、このガスの噴出によって、他の安全弁18側への圧力がかかったとする。この際、弁体71cにかかる圧力と、この弁体71cに対向する弁体71gにかかる圧力とは、基本的に等しい。しかしながら、ガスが噴出した安全弁18bに対する弁体71bが本管43内で傾く等の原因で、弁体71cにかかる圧力と弁体71gにかかる圧力とが等しくならない場合がある。この結果、支管41c内の弁体71cが安全弁18c側に移動すると、この弁体71cに対向する弁体71gも同じ方向に同量だけ移動して、この弁体71gが支管41gから本管43内に移動してしまう虞がある。
【0064】
そこで、本実施形態では、支管41に破裂膜74を設けることにより、安全弁18bからガスが噴出しても、このガスにより生じる圧力が弁体71にかかることを防ぐことができる。このため、弁体71は、ガス圧力が発生しても、移動することがない。
【0065】
一方、第一実施形態では、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出すると、他の支管41内の弁体71が安全弁18側への圧力がかかる。しかも、弁体71とこれに対向する弁体71は、かかる圧力が等しくない場合でも、弾性変形するバネ72で接続されているため、それぞれの安全弁18側へ移動する。このため、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出した場合に、他の弁体71が本管43内に移動してしまう可能性は小さくなる。よって、第一実施形態では破裂膜74を設けなくてもよい。
【0066】
但し、第一実施形態でも、安全弁18bからガスが噴出した際に、このガスの噴出によって、バネ72に接続された一方の弁体71が安全弁18側に移動し、この弁体71の移動に伴って、他方の弁体71が本管43内に移動する可能性が高い場合には、本実施形態と同様の破裂膜74を設けることが好ましい。
【0067】
「第三実施形態」
次に、図7及び図8を用いて、本発明に係る第三実施形態としての電池パックについて説明する。なお、本実施形態の電池パックは、弁体及び弁体連動手段の構成が第二実施形態と異なっており、その他の構成に関して、基本的に第二実施形態と同一である。
【0068】
本実施形態の弁体75は、図7に示すように、支管41を塞ぐ閉塞部76と、対向する弁体75に接触する接触部77と、閉塞部76と接触部77とを連結する連結ロッド78と、を有している。
【0069】
また、本実施形態の弁体連動手段は、各弁体75の接触部77と、安全弁18からのガス噴出で弁体75の接触部77が対向する弁体75の接触部77に接触するように弁体75を導く案内管(案内手段)79と、を備えている。
【0070】
案内管79は、支管41の接続部42と、対向する支管41の接続部42とを接続する配管である。この案内管79は、例えば、パンチングメタル等、多数の孔が開いている板材を環状にしたもので、外周側から内周側に向かって多数の孔が開いている。また、この案内管79は、その内径が支管41の内径と実質的に同じ、若しくは支管41の内径より若干大きく、この案内管79内を弁体75が移動できるように形成されている。
【0071】
各弁体75の接触部77は、案内管79内に配置されている。この接触部77は、その外径が案内管79の内径よりも若干小さく、案内管79内をスムーズに移動できるよう形成されている。
【0072】
本実施形態の支管41内であって、その接続部42近傍には、第二実施形態と同様、支管41を塞ぐ破裂膜74が設けられている。
【0073】
本実施形態の弁体75の閉塞部76は、支管41内であって破裂膜74よりも安全弁18側に配置され、当該弁体75の接触部77は、破裂膜74よりも対向する弁体75側に配置されている。このため、弁体75の閉塞部76と接触部77とを連結する連結ロッド78は、破裂膜74を貫通している。
【0074】
本実施形態では、図8に示すように、仮に、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、弁体75bが本管43側へ移動すると、破裂膜74はこの弁体75bの閉塞部76に押されて破れ、この閉塞部76は本管43内へ入る。すなわち、この弁体75bは支管41bから押し出される。
【0075】
この弁体75bの移動過程で、この弁体75bの接触部77は、案内管79によりガイドされて、対向する弁体75fの接触部77に確実に接触する。このため、この弁体75fは、弁体75bにより、安全弁18f側へ押される。
【0076】
よって、弁体75fの閉塞部76は、安全弁18bからガスが噴出しても、支管41fを塞いでいる状態を維持するため、本実施形態でも、安全弁18fは、弁体75fによりガスから保護され、損傷する可能性が極めて低い。
【0077】
また、本実施形態において、安全弁18bからガスが噴出しても、第二実施形態と同様、この安全弁18bを除く他の安全弁18に対する破裂膜74は、このガスの噴出によっては破られない。さらに、安全弁18bからガスが噴出しても、他の安全弁18において弁体75の閉塞部76が支管41を塞いでいる状態を維持する。よって、本実施形態においても、第一及び第二実施形態と同様、他の安全弁18も、損傷する可能性が極めて低い。
【0078】
なお、本実施形態では、安全弁18bからガスが噴出した際に、弁体75bの接触部77を対向する弁体75fの接触部77に確実に接触させるために、案内管79を設けているが、二つの弁体75b,75fの各接触部77間の間隔が狭く、弁体75bの接触部77が弁体75fの接触部77に確実に接触するような場合には、この案内管79を設ける必要はない。
【0079】
「第四実施形態」
次に、図9を用いて、本発明に係る第四実施形態としての電池パックについて説明する。なお、本実施形態の電池パックは、弁体及び弁体連動手段の構成が第三実施形態と異なっており、その他の構成に関して、基本的に第三実施形態と同一である。
【0080】
具体的に、本実施形態では、第三実施形態の電池パックにおける案内管79は存在しない。さらに、本実施形態では、弁体の接触部の形状が第三実施形態と異なっている。
【0081】
本実施形態の弁体80は、閉塞部81と接触部82と連結ロッド83と有して構成されている。また、この弁体80に対向する弁体85も、閉塞部81と接触部84と連結ロッド83と有して構成されている。弁体80の接触部82は、弁体85側に向かうに連れて次第に縮径され、外周側に対して中心側が弁体85側へ突出している。また、弁体85の接触部84は、これに対向する弁体80側に向かうに連れて次第に拡径され、外周側に対して中心側が弁体80から遠ざかる側に凹んでいる。お互いに対抗する弁体80と弁体85は、支管41の移動範囲内で接触部82と接触部84が接触できるように、連結ロッド83の長さが設定されている。本実施形態では、これらの接触部82,84が弁体連動手段を構成している。
【0082】
ここで、仮に、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、この安全弁18bに対する弁体80bが安全弁18f側へ移動したとする。
【0083】
この弁体80bの移動過程で、この弁体80bの接触部82のいずれかの部分は、弁体85fの接触部84のいずれかの部分に接触して、弁体80bの突出形状の接触部82は、弁体85fの凹形状の接触部84に入り込み、弁体80bは、対向弁体85fを安全弁18f側へ押す。
【0084】
すなわち、弁体80bの接触部82と弁体85fの接触部84とは、安全弁18bからガスが噴出した場合に、弁体80bの接触部82を弁体85fの接触部84に確実に接触させるための案内手段として機能する。また、安全弁18fからガスが噴出した場合も、弁体80bの接触部82と弁体85fの接触部84自体が、弁体85fの接触部84を弁体80bの接触部82に確実に接触させるための案内手段として機能する。このため、本実施形態では、第三実施形態における案内手段としての案内管79が存在しない。
【0085】
以上、本実施形態では、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出して、弁体80bが移動すると、この移動に伴って、弁体85fが安全弁18f側に移動し、この弁体85fの閉塞部81は、支管41fを塞いでいる状態を維持する。このため、本実施形態でも、安全弁18fは、弁体85fの閉塞部81fによりガスから保護され、損傷する可能性が極めて低い。
【0086】
また、本実施形態において、安全弁18bからガスが噴出しても、第二及び第三実施形態と同様、この安全弁18bを除く他の安全弁18に対する破裂膜74は、このガスの噴出によっては破られない。さらに、安全弁18bからガスが噴出しても、他の安全弁18に対する弁体80の閉塞部81が、これに対する支管41を塞いでいる状態を維持する。よって、本実施形態においても、以上の各実施形態と同様、他の安全弁18も、損傷する可能性が極めて低い。
【0087】
「第五実施形態」
次に、図10及び図11を用いて、本発明に係る第五実施形態としての電池パックについて説明する。なお、本実施形態の電池パックは、弁体の構成が第三実施形態と異なっており、その他の構成に関して、基本的に第三実施形態と同一である。
【0088】
本実施形態の弁体87は、弾性を有し、球形又は回転楕円体形状を成し、支管41内に弾性変形した状態で押し込められている。このため、弁体87と支管41との間には、比較的大きな接触圧が作用している。
【0089】
各弁体87に対向する弁体側は、接触部88を成している。
【0090】
支管41の各々の接続部42を接続する案内管79は、第三実施形態の案内管79と同様に、外周側から内周側に向かって多数の孔が形成されている。また、この案内管79は、その内径が支管41の内径と実質的に同じ、若しくは支管41の内径より若干大きく形成されている。
【0091】
本実施形態では、図11に示すように、仮に、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、この安全弁18bに対する支管41b内の弁体87bが安全弁18f側へ移動すると、案内管79に導かれて、この弁体87bの接触部88は、弁体87fの接触部88に確実に接触する。この結果、弁体87fは、弁体87bに押されて、支管41f内を弁体87bと共に安全弁18f側へ移動する。
【0092】
よって、安全弁18bからガスが噴出しても、弁体87fは、支管41fを塞いでいる状態を維持するため、本実施形態でも、安全弁18fは、弁体87fによりガスから保護され、損傷する可能性が極めて低い。
【0093】
また、本実施形態において、安全弁18bからガスが噴出しても、この安全弁18bを除く他の安全弁18に対する弁体87は、支管41に対する接触圧が比較的大きくために、移動し難い上に、仮に、移動したとしても、対応する安全弁18側へ移動するために、支管41を塞いでいる状態を維持する。よって、本実施形態においても、以上の各実施形態と同様、他の安全弁18も、損傷する可能性が極めて低い。
【0094】
また、本実施形態では、弁体としての構成が第三実施形態と比較して、極めて単純な構成であるため、製造コストを抑えることができる。
【0095】
なお、以上の各実施形態では、安全弁を排気弁の一例としたが、本発明は、これに限定されるものではなく、電池内圧が所定の圧力を超えると動作して、電池内のガスを放出する弁であれば、いかなる弁であってもよく、例えば、開放弁であってもよい。
【0096】
また、以上の各実施形態では、複数の二次電池10が二列に並び、この二列の一組のみがパックケース内に存在するが、複数の組がパックケース内に存在する場合でも、本発明を適用できることは言うまでもない。また、上述した実施形態では、二次電池が互いの列同士で対向し合うように配置された電池パックについて説明したが、列端部など一部の二次電池のみ対向する二次電池がない構成の電池パックであっても、本発明を適用することができる。
【0097】
「第六実施形態」
次に、図12及び図13を用いて、本発明に係る第六実施形態としての電池パックについて説明する。なお、本実施形態の電池パックは、弁体99に付属する構成が以上の各実施形態と異なっており、その他の構成に関して、基本的に以上の各実施形態と同一である。
【0098】
弁体99は、以上の実施形態と同様、支管41内に配設され、支管41を閉塞するとともに、支管41に接続されている安全弁18からガスが噴出すると、このガスにより支管41から押し出されるものである。このため、この弁体99は、安全弁18から噴出したガスから受ける力に耐える強度を有している。つまり、この弁体99は、安全弁18から噴出したガスからの力を受けても、破損しない強度である。
【0099】
この弁体99は、この弁体99の付属構造としての本管側支持部90と安全弁(排気弁)側支持部とにより支持されている。本管側支持部90は、この弁体99の本管側を支持して、支管41内で弁体99の本管側への移動を規制する。この本管側支持部90の強度は、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、破損する強度である。また、安全弁側支持部93は、弁体99の安全弁側を支持して、支管41内で弁体99の安全弁側への移動を規制する。この安全弁側支持部93は、他の安全弁18から噴出したガスにより、この安全弁側支持部93で支持されている弁体99が安全弁側に押された力に耐えうる強度を有している。
【0100】
各支持部90,93は、いずれも、支持具91,94と、この支持具91,94を支管41に接合する接合部92,95と、を有している。各支持部90,93の支持具91,94は、基本的に如何なる材料で形成してもよいが、本管側支持具91の材料としては、例えば、比較的強度管理の容易なセラミックス材が考えられる。この場合、本管側支持具91の厚さを適宜設定することで、この本管側支持具91の強度を、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、破損する強度にすることができる。
【0101】
本実施形態では、図12に示すように、仮に、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出し、この安全弁18bに接続されている支管41b内の弁体99bが、この高温・高圧のガスに押されると、図13に示すように、この弁体99bを支持する本管側支持部90bの支持具91が破損し、この支持具91の一部91xが本管43内に入り込むとともに、弁体99も本管43内に入り込む。このため、安全弁18から噴出したガスは、支管41bを経て、本管43に流れ込む。
【0102】
この安全弁18bから噴出した高温・高圧のガスは、本管43に流れ込んだ後、一部が、この安全弁18bに対向する他の安全弁18fに接続されている支管41f、さらにその他の安全弁18が接続されている支管41にも流れ込む。この結果、これら他の安全弁18f,18に接続されている支管41f,41内の弁体99f,99は、安全弁側に押される。しかしながら、これら他の安全弁18f,18に接続されている支管41f,41内の弁体99f,99は、この高温・高圧のガスにより、破損することも、安全弁側に移動することもない。これは、各弁体99が、前述したように、当該弁体99が収まっている支管41が接続されている安全弁18から高温・高圧のガスが噴出しても破損しない強度を有している上に、各弁体99を支持する安全弁側支持部93が、他の安全弁18から噴出した高温・高圧のガスで当該弁体99が安全弁側に押されても、これに耐えうる強度を有しているからである。
【0103】
よって、安全弁18bから高温・高圧のガスが噴出しても、この安全弁18bに対向する他の安全弁18fに接続されている支管41f、さらにその他の安全弁18に接続されている支管41内の各弁体99は、支管41f,41を塞いでいる状態を維持するため、本実施形態でも、他の安全弁18f,18は、弁体99f,99により高温・高圧のガスから保護され、損傷する可能性が極めて低い。
【0104】
なお、本実施形態は、本管側支持部90のうち、本管側支持具91が破損するものであるが、図14に示すように、本管側支持部96のうちの接合部98が破損するようにしてもよい。この場合、支管41に対する接合部98の接合面積を適宜設定することで、この接合部98の強度を、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、破損する強度にすることができる。また、この場合、本管側支持部96のうちの支持具97は、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押されても、これに耐えうる強度を有していることが好ましい。
【0105】
また、以上では、本管側支持部90が破損することで弁体99の移動規制を解除しているが、本管側支持部90が変形することで弁体99の移動規制を解除するようにしてもよい。この場合、図15及び図16に示すように、本管側支持部100の支持具101として、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、大きく変形するものを採用する。例えば、本管側支持部100の支持具101をゴムで形成し、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、この支持具101が大きく弾性変形するようにしてもよい。また、本管側支持部100の支持具101を金属シート等で形成し、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押された力により、この支持具101が大きく塑性変形するようにしてもよい。この場合、本管側支持部100の接合部102は、安全弁18から噴出したガスで弁体99が本管側に押されても、これに耐えうる強度を有していることが好ましい。
【0106】
以上、本実施形態及びその各変形例では、他の実施形態のように弁体連動手段を有していないものの、ある二次電池10の安全弁18から高温・高圧のガスが噴出しても、これに対向する二次電池10の安全弁18を含む他の二次電池10の安全弁18を高温・高圧のガスから保護することができる。さらに、本実施形態及びその各変形例では、弁体連動手段ではなく、弁体99の支持構造で、上記効果を達成しているので、2つの二次電池10の各安全弁18が対向していなくてもよく、複数の二次電池10のレイアウトの自由度を高めることができる。
【符号の説明】
【0107】
10,10a〜10h:二次電池、11:セルケース、16:正電極端子、17:負正極端子、18,18a〜18g:安全弁、20:電池カバー、21:天板、25:冷却フィン、26:絶縁性樹脂膜、30:CMU、35:BMU、41,41a〜41h:支管、43:本管、50:押付け機構、60:パックケース、61:パックケース本体、65:蓋、71,71b,71c,71f,71g,75,75b,75c,75f,75g,80,80b,80f,85,85f,85g,87,87b,87c,87f,87g,99,99b:弁体、72:バネ、73,78,83:連結ロッド、76,81:閉塞部、77,82,84,88:接触部、79:案内管、90,90b,96,100:本管側支持部、93,93b:安全弁側支持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池内圧が所定の圧力を超えると内部のガスを外部へ排気させる排気弁をそれぞれ有し、二列に配列されていると共に、互いの列同士で対向し合うように配置されている複数の単電池と、
前記単電池の列間に配設されている本管と、
前記単電池の前記排気弁に設けられ、列同士で互いに対向する位置で前記本管と接続され、前記排気弁から噴出したガスが通る支管と、
前記支管内を閉塞するとともに、前記支管に接続された前記排気弁からガスが噴出すると、前記ガスにより前記支管から押し出される弁体と、
互いに対向する前記単電池のそれぞれに対応する前記弁体の対毎に設けられ、対を成す一方の弁体が前記支管から押し出されると、他方の弁体を対応する排気弁側へ押す弁体連動手段と、を備える、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックにおいて、
前記弁体連動手段は、対を成す前記弁体相互を繋ぐ弁体連結体を有する、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項2に記載の電池パックにおいて、
前記弁体連結体は、前記一方の弁体が前記他方の弁体へ近づく方向に弾性変形可能な弾性体を有する、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項1に記載の電池パックにおいて、
前記弁体連動手段は、前記一方の弁体と前記他方の弁体とのそれぞれに形成され、前記一方の弁体が前記ガスにより対応する前記支管から押し出されると、互いに接触し合う接触部を有する、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項4に記載の電池パックにおいて、
前記弁体連動手段は、前記一方の弁体が前記ガスにより対応する前記支管から押し出されると、前記一方の弁体の前記接触部が前記他方の弁体の前記接触部に接触するよう、前記一方の弁体の前記接触部を前記他方の弁体の接触部へ導く案内手段を有する、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項1】
電池内圧が所定の圧力を超えると内部のガスを外部へ排気させる排気弁をそれぞれ有し、二列に配列されていると共に、互いの列同士で対向し合うように配置されている複数の単電池と、
前記単電池の列間に配設されている本管と、
前記単電池の前記排気弁に設けられ、列同士で互いに対向する位置で前記本管と接続され、前記排気弁から噴出したガスが通る支管と、
前記支管内を閉塞するとともに、前記支管に接続された前記排気弁からガスが噴出すると、前記ガスにより前記支管から押し出される弁体と、
互いに対向する前記単電池のそれぞれに対応する前記弁体の対毎に設けられ、対を成す一方の弁体が前記支管から押し出されると、他方の弁体を対応する排気弁側へ押す弁体連動手段と、を備える、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックにおいて、
前記弁体連動手段は、対を成す前記弁体相互を繋ぐ弁体連結体を有する、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項2に記載の電池パックにおいて、
前記弁体連結体は、前記一方の弁体が前記他方の弁体へ近づく方向に弾性変形可能な弾性体を有する、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項1に記載の電池パックにおいて、
前記弁体連動手段は、前記一方の弁体と前記他方の弁体とのそれぞれに形成され、前記一方の弁体が前記ガスにより対応する前記支管から押し出されると、互いに接触し合う接触部を有する、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項4に記載の電池パックにおいて、
前記弁体連動手段は、前記一方の弁体が前記ガスにより対応する前記支管から押し出されると、前記一方の弁体の前記接触部が前記他方の弁体の前記接触部に接触するよう、前記一方の弁体の前記接触部を前記他方の弁体の接触部へ導く案内手段を有する、
ことを特徴とする電池パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−204193(P2012−204193A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68733(P2011−68733)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]