説明

電池ユニットおよびセキュリティシステム

【課題】搭載した携帯端末に対して容易にセキュリティ機能を実現させ得る電池ユニットおよびセキュリティシステムを提供する。
【解決手段】携帯端末30は、決済処理を実施する携帯型の決済端末である。この携帯端末30に搭載される電池ユニット40では、アクティブタグ処理部43により検出される自機の位置が所定のエリアS外にある場合に、制限必要状態であるとして、電流制限回路42が制御されてバッテリ41から携帯端末30の制御部31等に供給される電流が制限されて停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ機能を有する携帯端末に使用される電池ユニットおよびセキュリティシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、セキュリティ機能を有する携帯端末に使用される電池ユニットに関する技術として、下記特許文献1に示す電池が知られている。この電池には、タグが内蔵されており、このタグに当該電池の状態/使用状況などの電池自体の情報が記憶されている。これにより、必要に応じて記録された情報を非接触で読み出すことで、製造時および流通時やリサイクル時に対象となる電池の情報を容易に取得することができる。
【0003】
また、下記特許文献2に示すICカードシステムでは、端末管理サーバにより、紛失、盗難等が確認されてその旨の届け出があった利用端末や、明細リストが精査された結果電子バリューの増減に不整合がある等の理由により不正利用の疑いがあると判断された不正利用端末についての端末ネガリストや、この端末ネガリストに含まれて運用が停止された利用端末についての運用停止端末リストが作成される。そして、端末管理サーバ等から送信された端末ネガリストに自己の端末識別情報が含まれていることが確認されると、予め指定されている秘密情報を破棄し、端末ネガリストから自己の端末識別情報を削除すると同時に、自己の運用停止情報を運用停止端末リストに保存して自己の運用を停止することでセキュリティ性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−324074号公報
【特許文献2】特開2005−339472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す電池のような構成では、電池に記憶装置を付加し当該電池とは独立した外部装置がセキュリティ等に関する情報管理を行うように機能するため、電池の状態を上記外部機器の記録機能を利用しなければ、管理することができないという問題がある。また、上記特許文献2に示すICカードシステムのような構成では、システムが複雑になるだけでなく、盗難等の届け出後にその旨が端末ネガリスト等を作成するため、情報の反映に時間がかかり即時対応することが困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、搭載した携帯端末に対して容易にセキュリティ機能を実現させ得る電池ユニットおよびセキュリティシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の電池ユニットでは、携帯端末に搭載される電池ユニットであって、前記携帯端末に電流を供給するための電池と、自機の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出される前記自機の位置が所定のエリア外にある場合に、前記携帯端末の所定の機能に対する制限が必要な制限必要状態であるとして、前記電池から電流の供給を制限する制限手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電池ユニットにおいて、前記電池から供給される電流の電流値を検出する電流値検出手段を備え、前記制限手段は、前記位置検出手段により検出される前記自機の位置が前記所定のエリア外にあり、かつ、前記電流値検出手段により検出される前記電流値が前記所定の機能の実施が想定される電流値に相当する電流閾値以上である場合に、前記制限必要状態であるとして、前記電池から電流の供給を制限することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の電池ユニットにおいて、前記制限手段による制限は、前記電池から電流の供給停止であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池ユニットにおいて、前記所定の機能の実施を許可するための許可情報が記憶される記憶手段を備え、前記制限手段は、前記制限必要状態である場合に、前記記憶手段の前記許可情報の消去と前記電池から電流の供給の制限との少なくともいずれか一方を実施することを特徴とする。
【0011】
特許請求の範囲に記載の請求項5のセキュリティシステムでは、請求項2〜4のいずれか一項に記載の電池ユニットを搭載する1または2以上の携帯端末と、前記携帯端末に対して前記所定の機能の実施を許可するための許可情報を付与するサーバと、を有するセキュリティシステムであって、前記電池ユニットは、前記制限必要状態である場合に当該制限必要状態に関する情報を前記サーバに送信する通信手段を備え、前記サーバは、前記電池ユニットから受信した前記制限必要状態に関する情報に基づいて前記許可情報を付与するか否かを判定する判定手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載のセキュリティシステムにおいて、前記通信手段は、外部から位置に関する情報を受信することで自機の位置を検出する前記位置検出手段としても機能することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、位置検出手段により検出される自機の位置が所定のエリア外にある場合に、携帯端末の所定の機能に対する制限が必要な制限必要状態であるとして、制限手段により電池から電流の供給が制限される。
【0014】
これにより、自機の位置が所定のエリア外にある場合には電池から電流の供給が制限されるので、電池ユニットを搭載した携帯端末が盗難されても上記所定のエリア外に持ち出される場合には、上記所定の機能、例えば決済処理等の実行が制限されてセキュリティ機能を実現することができる。特に、電池ユニットを搭載するだけで、容易に携帯端末にセキュリティ機能をもたせることができる。さらに、不正使用者がセキュリティ機能を解除するためには、電池ユニットを破損させる必要がありこの場合には携帯端末の全ての機能が使用できなくなるので、セキュリティ機能を高めることもできる。
したがって、当該電池ユニットを搭載した携帯端末に対して容易にセキュリティ機能を実現することができる。
【0015】
請求項2の発明では、位置検出手段により検出される自機の位置が所定のエリア外にあり、かつ、電流値検出手段により検出される電流値が上記電流閾値以上である場合に、制限必要状態であるとして、制限手段により電池から電流の供給が制限される。
【0016】
これにより、電池ユニットを搭載した携帯端末が上記所定のエリア外に持ち出された場合でも、上記電流閾値未満を必要とする処理は実施できるので、電流閾値を適切に設定することで、制限すべき機能を容易に調整することができる。
【0017】
請求項3の発明では、制限手段による制限は、電池から電流の供給停止であるため、位置検出手段により検出される自機の位置が所定のエリア外にある場合には、確実に上記所定の機能を制限してセキュリティ機能を実現することができる。
【0018】
請求項4の発明では、上記所定の機能の実施を許可するための許可情報が記憶される記憶手段が設けられている。そして、制限必要状態である場合に、記憶手段の許可情報の消去と電池から電流の供給の制限との少なくともいずれか一方が、制限手段により実施される。
【0019】
これにより、許可情報の有無に応じて上記所定の機能を制限する場合でも、セキュリティ機能を容易に実現することができる。特に、許可情報が消去されると、この消去後に当該電池ユニットを搭載した携帯端末が上記所定のエリア内に再び位置する場合でも、上記所定の機能を制限した状態が維持されるので、セキュリティ機能を向上させることができる。
【0020】
請求項5の発明では、セキュリティシステムは、請求項2〜4のいずれか一項に記載の電池ユニットを搭載する1または2以上の携帯端末と、携帯端末に対して上記所定の機能の実施を許可するための許可情報を付与するサーバとを有している。そして、電池ユニットは、上記制限必要状態である場合に当該制限必要状態に関する情報をサーバに送信する通信手段を備え、サーバは、電池ユニットから受信した制限必要状態に関する情報に基づいて許可情報を付与するか否かを判定する判定手段を備えている。
【0021】
これにより、サーバは、電池ユニットから通信手段により送信される制限必要状態に関する情報に基づいて、許可情報を付与するか否かを判定手段により判定するので、上記電池ユニットを搭載した携帯端末に対して容易にセキュリティ機能を実現し得る等の請求項2〜4の各発明による作用・効果を享受しつつ、当該携帯端末に対するセキュリティ機能を確実に制御することができる。
【0022】
請求項6の発明では、電池ユニットの通信手段は、外部から位置に関する情報を受信することで自機の位置を検出する位置検出手段としても機能するため、別途専用の位置検出手段を設けることなく自機の位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係るセキュリティシステムの概略構成を示す概念図である。
【図2】図1の携帯端末の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図2の電池ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態における制御部による端末処理の流れを例示するフローチャートである。
【図5】第1実施形態におけるアクティブタグ処理部による供給電流調整処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】第2実施形態における電池ユニットの概略構成を示す概念図である。
【図7】第2実施形態におけるアクティブタグ処理部による供給電流調整処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】第3実施形態におけるアクティブタグ処理部による供給電流調整処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の電池ユニットを搭載した携帯端末を複数有するセキュリティシステムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本第1実施形態に係るセキュリティシステム10の概略構成を示す概念図である。図2は、図1の携帯端末30の電気的構成を示すブロック図である。図3は、図2の電池ユニット40の概略構成を示す概念図である。
【0025】
図1に示すように、本第1実施形態に係るセキュリティシステム10は、サーバ20と、このサーバ20により管理される複数の携帯端末30とを備えている。サーバ20は、所定のエリアS内にある携帯端末30に対して、決済処理等の所定の機能を実施可能とする端末用許可情報を付与するホストコンピュータとして機能するもので、各携帯端末30と無線通信可能に構成されている。なお、サーバ20は、各携帯端末30とケーブル等を介して有線通信可能に接続されてもよい。
【0026】
携帯端末30は、商品の購入に関する決済処理を実施する携帯型の決済端末であって、現金だけでなく決済メディア(例えばキャッシュカードやクレジットカードとして構成されるICカード等)等を取り扱い可能に構成されている。図2に示すように、携帯端末30の筐体内には、携帯端末30全体を制御する制御部31が設けられている。この制御部31は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有しており、メモリ32とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有している。また、制御部31には、表示部33、キー操作部34、通信インターフェース35などが接続されている。
【0027】
表示部33は、制御部31によって制御される構成をなしており、制御部31から表示処理等に関する指令を受けて動作するようになっている。また、キー操作部34は、制御部31に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部31は、これらからの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行うようになっている。通信インターフェース35は、サーバ20との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部31と協働して無線通信処理を行う構成をなしている。
【0028】
また、制御部31には、情報読取部36および無線タグ処理部37がそれぞれ接続されている。情報読取部36は、購入者により購入される商品の情報等を光学的に取得する機能を有するもので、購入商品などの読取対象に付された情報コード(例えばバーコードなどの一次元コードや二次元コード)を読み取るための画像認識モジュール36aを備えている。この画像認識モジュール36aは、照明光源や受光センサ(図略)等を備えており、照明光源からの照射光が情報コード(図2ではバーコードBとして例示する)にて反射され反射光が受光センサにて受光されると、この反射光に応じた受光信号を受光センサから制御部31に出力するように構成されている。制御部31では、この受光信号に基づいて購入商品の情報等が取得されることとなる。
【0029】
無線タグ処理部37は、アンテナ38及び制御部31と協働して上記決済メディア(図2ではICカードCとして例示する)に設けられた無線タグとの間で電磁波による通信を行ない、無線タグに記憶されるデータの読取り、或いは無線タグに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この無線タグ処理部37は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図2にて概略的に示すように、発振器37a、変調器37b、復調器37cなどを備えている。なお、無線タグ処理部37には、これら以外の公知構成(例えば、増幅器、フィルタ回路、整合回路等)も設けられているが、図2ではこれらについては図示を省略している。
【0030】
また、携帯端末30の筐体内には、電源となる電池ユニット40が設けられており、この電池ユニット40によって制御部31や各種電気部品に所定の電流が供給されるようになっている。電池ユニット40は、図3に示すように、そのケース内に、バッテリ41と、電流制限回路42と、アクティブタグ処理部43と、アンテナ44とを備えている。電流制限回路42は、アクティブタグ処理部43により制御されて、バッテリ41から供給される電流を制限するように機能する。
【0031】
アクティブタグ処理部43は、上記無線タグ処理部37と同様に外部の装置等と無線通信可能に構成されており、アンテナ44を介してタグ通信アンテナ21からの電波を受信することで自機の位置を検出可能であって、後述する供給電流調整処理を実施することにより電流制限回路42を制御可能に構成されている。具体的には、当該アクティブタグ処理部43は、タグ通信アンテナ21からの電波の強弱に応じて求められるタグ通信アンテナ21までの距離に基づいて、当該タグ通信アンテナ21を中心とする上記所定のエリアSに対する自機の位置を検出している。
【0032】
次に、携帯端末30において制御部31により実施される端末処理について図4のフローチャートを参照して以下に説明する。図4は、第1実施形態における制御部31による端末処理の流れを例示するフローチャートである。
まず、携帯端末30は、電源ON操作がなされて電池ユニット40からの電流供給が開始されると、図4のステップS101において初期設定処理がなされ、サーバ20から決済処理に関する端末用許可情報を取得する処理がなされるとともに、他の初期設定に関する処理がなされる。
【0033】
次に、ステップS103において、サーバ20から端末用許可情報を取得できたか否かについて判定され、当該携帯端末30が所定の条件を満たしていないために上記端末用許可情報が取得できなければ(S103でNo)、当該携帯端末30は決済端末としての使用が禁止されて、当該端末処理が終了する。一方、サーバ20から端末用許可情報が取得されると(S103でYes)、ステップS105にて機密情報取得処理がなされる。この処理では、決済処理に関する機密情報がサーバ20からダウンロードされて取得される。
【0034】
次に、ステップS107において、価格の読み取りがなされたか否かについて判定される。ここで、店員が購入商品に対して所定の読取作業を実施することにより、購入商品に表示されたバーコードBを情報読取部36により読み取ると、ステップS107にてYesと判定される。そして、バーコードBの読み取りにより購入商品の価格が取得されると、ステップS109において決済処理がなされる。この処理では、クレジットカード等のICカードを用いた決済処理時では、無線タグ処理部37により当該ICカードの無線タグとの間で無線通信を行い無線タグに記憶された個人情報等を取得するとともに、サーバ20を介して銀行側サーバに接続することでこの決済に関する認証情報が取得され、当該商品購入に関する決済処理が完了する。
【0035】
そして、ステップS111にて電源がOFF状態になり端末処理が終了するまで、上記ステップS107からの処理が繰り返される。なお、後述する供給電流調整処理に応じて電池ユニット40から供給される電流が停止されるか、電源OFF操作などによりステップS111にてYesと判定されると、上述した機密情報等が消去されて当該端末処理が終了する。
【0036】
次に、電池ユニット40においてアクティブタグ処理部43により実施される供給電流調整処理について図5のフローチャートを参照して以下に説明する。図5は、第1実施形態におけるアクティブタグ処理部43による供給電流調整処理の流れを例示するフローチャートである。
【0037】
電池ユニット40が携帯端末30に対して電流供給可能に収容されて本供給電流調整処理が開始されると、まず、図5のステップS201において、制限解除処理がなされ、バッテリ41からの電流が制限されることなく制御部31や各種電気部品に供給される。
【0038】
次に、ステップS203にて受信処理がなされ、アンテナ44を介してタグ通信アンテナ21からの電波を受信することで上記所定のエリアSに対する自機の位置が検出される。続いて、ステップS205において、自機の位置が所定のエリアS内にあるか否かについて判定される。ここで、上記ステップS203による受信結果により自機の位置が所定のエリアS内にあると判定されると(S205でYes)、決済機能に対する制限が必要な制限必要状態でないとして、上記ステップS201からの処理がなされる。
【0039】
一方、上記ステップS203による受信結果により自機の位置が所定のエリアS内にないと判定されると(S205でNo)、決済機能に対する制限が必要な制限必要状態であるとして、ステップS207にて制限処理がなされる。この処理では、アクティブタグ処理部43により電流制限回路42が制御されて、バッテリ41から制御部31等に供給される電流が停止される。そして、携帯端末30の電源OFF操作などにより当該制限処理が終了するまでステップS209にてNoと判定されて、上述した処理が繰り返される。
【0040】
このようにバッテリ41から制御部31等に供給される電流が停止されると、携帯端末30は、全ての機能が使用不能となる。このため、電池ユニット40を搭載した携帯端末30が盗難等されて所定のエリアS外に持ち出されると、全機能が使用不能となるため、セキュリティ機能が発揮されて当該携帯端末30の不正使用が防止されることとなる。
【0041】
以上説明したように、本第1実施形態に係る電池ユニット40では、アクティブタグ処理部43により検出される自機の位置が所定のエリアS外にある場合に、上記制限必要状態であるとして、電流制限回路42が制御されてバッテリ41から制御部31等に供給される電流が制限されて停止される。
【0042】
これにより、自機の位置が所定のエリアS外にある場合にはバッテリ41から電流の供給が制限されるので、電池ユニット40を搭載した携帯端末30が盗難されても上記所定のエリアS外に持ち出される場合には、上記決済処理等の実行が制限されてセキュリティ機能を実現することができる。特に、電池ユニット40を搭載するだけで、容易に携帯端末30にセキュリティ機能をもたせることができる。さらに、不正使用者がセキュリティ機能を解除するためには、電池ユニット40を破損させる必要がありこの場合には携帯端末30の全ての機能が使用できなくなるので、セキュリティ機能を高めることもできる。
したがって、サーバ20等による各携帯端末30の監視を常に実施することなく、当該電池ユニット40を搭載した携帯端末30に対して容易にセキュリティ機能を実現することができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の電池ユニットを搭載した携帯端末を複数有するセキュリティシステムを具現化した第2実施形態について、図6および図7を参照して説明する。図6は、第2実施形態における電池ユニット40aの概略構成を示す概念図である。図7は、第2実施形態におけるアクティブタグ処理部43による供給電流調整処理の流れを例示するフローチャートである。
【0044】
本第2実施形態に係る電池ユニット40aは、バッテリ41から供給される電流値を検出可能な電流センサ45を新たに採用する点が、上記第1実施形態に係る電池ユニットと異なる。したがって、上述した第1実施形態の電池ユニットと実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0045】
図6に示すように、電池ユニット40aには、上記電池ユニット40に対して、バッテリ41から供給される電流値を検出可能な電流センサ45が新たに採用されている。この電流センサ45は、バッテリ41から供給される電流値に応じた信号をアクティブタグ処理部43に出力する電流値検出手段として構成されている。
【0046】
次に、本第2実施形態に係る電池ユニット40aにおいてアクティブタグ処理部43により実施される供給電流調整処理について図7のフローチャートを参照して以下に説明する。
電池ユニット40aが携帯端末30に対して電流供給可能に収容されて本供給電流調整処理が開始されると、図7のステップS301,S303での処理が上述したステップS201,203での処理と同様になされる。そして、ステップS305にて、自機の位置が所定のエリアS内にないことからNoと判定されると、ステップS307において、電流値検出処理がなされる。この処理では、電流センサ45から入力される信号に応じて、バッテリ41から供給される電流値Iが検出される。
【0047】
次に、ステップS309において、上記ステップS307にて検出された電流値Iが電流閾値Ith以上であるか否かについて判定される。ここで、電流閾値Ithは、決済処理に必要な電流値に応じて設定されており、検出された電流値Iが電流閾値Ith未満であれば(S309でNo)、決済機能に対する制限が必要な制限必要状態でないとして、上述した制限処理を実施することなく上記ステップS301からの処理が繰り返される。なお、電流閾値Ithは、決済処理に必要な電流値に応じて設定されることに限らず、決済処理を含めたセキュリティを必要とする処理に必要な電流値に応じて設定されてもよい。
【0048】
一方、ステップS309にて検出された電流値Iが電流閾値Ith以上である場合には(S309でYes)、上記制限必要状態であるとして、ステップS311にて制限処理がなされる。この処理では、アクティブタグ処理部43により電流制限回路42が制御されて、バッテリ41から制御部31等に供給される電流が電流閾値Ithに等しくなるかそれ以下になるように制限される。
【0049】
以上説明したように、本第2実施形態に係る電池ユニット40aでは、アクティブタグ処理部43により検出される自機の位置が所定のエリアS外にあり、かつ、電流センサ45により検出される電流値Iが電流閾値Ith以上である場合に、制限必要状態であるとして、電流制限回路42が制御されてバッテリ41から制御部31等に供給される電流が制限される。
【0050】
これにより、電池ユニット40aを搭載した携帯端末30が所定のエリアS外に持ち出された場合でも、電流閾値Ith未満を必要とする処理は実施できるので、電流閾値Ithを適切に設定することで、制限すべき機能を容易に調整することができる。なお、上記ステップS311における制限処理では、上記第1実施形態のステップS207における処理と同様に、バッテリ41から供給される電流を停止してもよい。また、上記第1実施形態のステップS207における制限処理では、本第2実施形態のステップS311における処理と同様に、バッテリ41から供給される電流を所定の電流値に制限してもよい。
【0051】
[第3実施形態]
次に、本発明の電池ユニットを搭載した携帯端末を複数有するセキュリティシステムを具現化した第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態におけるアクティブタグ処理部43による供給電流調整処理の流れを例示するフローチャートである。
【0052】
本第3実施形態に係る電池ユニット40では、アクティブタグ処理部43による供給電流調整処理を図5に示すフローチャートに代えて図8に示すフローチャートに基づいて実施する点が、上記第1実施形態に係る電池ユニットと異なる。したがって、上述した第1実施形態の電池ユニットと実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0053】
以下、本第3実施形態に係る電池ユニット40においてアクティブタグ処理部43により実施される供給電流調整処理について図8のフローチャートを参照して以下に説明する。
電池ユニット40が携帯端末30に対して電流供給可能に収容されて本供給電流調整処理が開始されると、まず、図8のステップS401において、電源用許可情報取得処理がなされ、自機の位置が所定のエリアS内にあることを前提にサーバ20に対して電源用許可情報が要求されるとサーバ20から電源用許可情報が送信され、この電源用許可情報がアンテナ44を介して取得すると、アクティブタグ処理部43のメモリに記憶される。
【0054】
次に、ステップS403,S405での処理が上述したステップS201,203での処理と同様になされる。続いて、ステップS407にて電源用許可情報がメモリに記憶されているか否かについて判定され、上述のように電源用許可情報がメモリに記憶されている場合には(S407でYes)、ステップS409にて自機の位置が所定のエリアS内にあるか否かについて判定される。そして、自機の位置が所定のエリアS外になるか、後述するように電源用許可情報がメモリから消去されるまで、ステップS403からの処理がなされて、バッテリ41からの電流が制限されることなく制御部31や各種電気部品に供給される。
【0055】
そして、自機の位置が所定のエリアS外になると(S409でNo)、ステップS411にて消去処理がなされ、アクティブタグ処理部43のメモリに記憶された電源用許可情報が消去される。続いて、ステップS413にて制限処理がなされ、バッテリ41から制御部31等に供給される電流が停止される。そして、ステップS415にて再び電源用許可情報を取得するまで、ステップS415にてNoと判定されて、自機の位置が所定のエリアS内にあるか否かを考慮することなくステップS413での制限処理がなされることとなる。
【0056】
以上説明したように、本第3実施形態に係る電池ユニット40では、本供給電流調整処理の開始時には電源用許可情報がアクティブタグ処理部43のメモリに記憶され、上記制限必要状態である場合に、メモリの電源用許可情報の消去が実施されて、バッテリ41から電流の供給の制限が実施される。
【0057】
これにより、電源用許可情報の有無に応じて上記所定の機能を制限する場合でも、セキュリティ機能を容易に実現することができる。特に、電源用許可情報が消去されると、この消去後に当該電池ユニット40を搭載した携帯端末30が所定のエリアS内に再び位置する場合でも、上記所定の機能を制限した状態が維持されるので、セキュリティ機能を向上させることができる。なお、上記ステップS413における制限処理では、上記第2実施形態のステップS311における処理と同様に、バッテリ41から供給される電流を所定の電流値に制限してもよい。
【0058】
[第4実施形態]
次に、本発明の電池ユニットを搭載した携帯端末を複数有するセキュリティシステムを具現化した第4実施形態について説明する。
本第4実施形態に係る電池ユニット40においてアクティブタグ処理部43により実施される供給電流調整処理では、上記制限必要状態である場合に当該制限必要状態に関する情報、例えば、位置情報や電流値Iがアンテナ44を介してサーバ20に送信される。そして、サーバ20は、電池ユニット40から受信した制限必要状態に関する情報に基づいて、当該電池ユニット40を搭載する携帯端末30に端末用許可情報を付与するか否かを判定する。
【0059】
これにより、本第4実施形態に係るセキュリティシステム10では、サーバ20は、電池ユニット40から送信される制限必要状態に関する情報に基づいて、許可情報を付与するか否かを判定するので、上記電池ユニット40を搭載した携帯端末30に対して容易にセキュリティ機能を実現し得る等の作用・効果を享受しつつ、当該携帯端末30に対するセキュリティ機能を確実に制御することができる。
【0060】
また、本第4実施形態に係るセキュリティシステム10では、制限必要状態に関する情報を送信する通信手段として機能するアクティブタグ処理部43およびアンテナ44は、自機の位置を検出する位置検出手段としても機能するため、別途専用の位置検出手段を設けることなく自機の位置を検出することができる。
【0061】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)所定のエリアSは、タグ通信アンテナ21を中心として設定されることに限らず、任意のエリアとして設定されてもよい。このとき、アクティブタグ処理部43は、自機の位置を、外部から受信した位置情報等に基づいて検出してもよい。
【0062】
(2)上記ステップS109における決済処理では、携帯端末30は、サーバ20を介して銀行側サーバに接続することに限らず、直接銀行側サーバに接続してもよい。
【0063】
(3)上記ステップS107では、情報読取部36によるバーコードBの読み取りに応じて購入商品の価格が取得されることに限らず、例えば、使用者がキー操作部34等を操作することで購入商品の価格を直接入力してもよいし、他の読取手段により購入商品の価格を読み取るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…セキュリティシステム
20…サーバ
21…タグ通信アンテナ
30…携帯端末
40,40a…電池ユニット
41…バッテリ(電池)
42…電流制限回路(制限手段)
43…アクティブタグ処理部(位置検出手段,制限手段,記憶手段)
44…アンテナ(位置検出手段,通信手段)
45…電流センサ(電流値検出手段)
I…電流値
Ith…電流閾値
S…所定のエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末に搭載される電池ユニットであって、
前記携帯端末に電流を供給するための電池と、
自機の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出される前記自機の位置が所定のエリア外にある場合に、前記携帯端末の所定の機能に対する制限が必要な制限必要状態であるとして、前記電池から電流の供給を制限する制限手段と、を備えることを特徴とする電池ユニット。
【請求項2】
前記電池から供給される電流の電流値を検出する電流値検出手段を備え、
前記制限手段は、前記位置検出手段により検出される前記自機の位置が前記所定のエリア外にあり、かつ、前記電流値検出手段により検出される前記電流値が前記所定の機能の実施が想定される電流値に相当する電流閾値以上である場合に、前記制限必要状態であるとして、前記電池から電流の供給を制限することを特徴とする請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記制限手段による制限は、前記電池から電流の供給停止であることを特徴とする請求項1または2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記所定の機能の実施を許可するための許可情報が記憶される記憶手段を備え、
前記制限手段は、前記制限必要状態である場合に、前記記憶手段の前記許可情報の消去と前記電池から電流の供給の制限との少なくともいずれか一方を実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池ユニット。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の電池ユニットを搭載する1または2以上の携帯端末と、
前記携帯端末に対して前記所定の機能の実施を許可するための許可情報を付与するサーバと、
を有するセキュリティシステムであって、
前記電池ユニットは、前記制限必要状態である場合に当該制限必要状態に関する情報を前記サーバに送信する通信手段を備え、
前記サーバは、前記電池ユニットから受信した前記制限必要状態に関する情報に基づいて前記許可情報を付与するか否かを判定する判定手段を備えることを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項6】
前記通信手段は、外部から位置に関する情報を受信することで自機の位置を検出する前記位置検出手段としても機能することを特徴とする請求項5に記載のセキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−181307(P2011−181307A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43840(P2010−43840)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】