説明

電池収容装置

【課題】装着の際に電池の向きを選ばず、装着後は、経時変化によって接触不良を来たすことなく常に良好な電気的接続が得られる電池収容装置の提供。
【解決手段】電池(50)を収容する電池収容ケース(10)と、電池収容ケース(10)の両端部に電池(50)の電極(51、52)と接触する接続部材(20、30)が設けられ、電池収容ケース(10)は導電性材料で構成され、負極用のリード線(L30)と接続されており、接続部材(20、30)は電池(50)の正極(51)と接触する第1の接続部(20)と電池(50)の負極(52)と接触する第2の接続部(30)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を収容し、以って、電池を使用する電気機器やその付属装置(以下、「電気機器等」と表記する)の電源として使用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、各種の電気機器等の電源として広く用いられている。
そして、電池を電源として使用するに当たっては、電気機器等に内蔵されたケースに収容される場合と、電気機器等とは別体に形成されたケースに収容される場合とがある。
何れの場合においても、ケース内に収容した電池から電気機器等に電力が供給される。
【0003】
ここで、電気機器等に内蔵されたケースであっても、電気機器等とは別体に形成されたケースであっても、ケース内に電池を収容する場合には、一般的に、収容した際の電池の向き(正極、負極の位置)が決められている。
係る電池の向き(正極、負極の位置)を間違えてケース内に収容した場合には、電気機器等が作動しないという不都合を惹起する恐れがある。そして、電池から漏液してしまう恐れも存在する。
【0004】
電気機器等が作動しないという不都合や、電池から漏液という不都合を防止するために、従来技術においては、例えば、電池の向き(正極、負極の位置)が正しくない場合(電池を逆向きに装填した場合)には、電池がケース内に収容出来ない様に構成することが提案されている。しかし、その様に構成すると、無理に電池を逆向きに装填すると、ケースが破損する恐れがある。
或いは、ケースや電池に絶縁体を設けて、電池の向き(正極、負極の位置)が正しくない場合(電池を逆向きに入れた場合)には、電気回路に電流が流れないように構成することが、従来技術で提案されている。しかし、電池の向き(正極、負極の位置)が正しくないこと(電池を逆向きに入れてしまったこと)を認識するのに長時間が掛かってしまうという問題がある。
【0005】
これに対して、電池の向きの如何に拘らず、電池の正極或いは負極に対して、対応する接続端子のみが接続される構造の電池収納装置が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)では、電池の正極と接続する接続端子が平板状に形成されているため、電池の正極に対して電気的に良好な接続をすることが出来ず、いわゆる「接触不良状態」となってしまう恐れがある。
また、接続端子が経年変化により変形して、電池の正極或いは負極と電気的に良好な接続が出来なくなってしまう恐れもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−223192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、装着の際に電池の向きを選ばず、装着後は、経時変化によって接触不良を来たすことなく常に良好な電気的接続が得られる電池収容装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電池収容装置は、電池(50)を収容する電池収容ケース(10)と、電池収容ケース(10)の両端部に電池(50)の電極(51、52)と接触する接続部材(20、30)が設けられ、
電池収容ケース(10)は導電性材料で構成され、負極用のリード線(L30)と接続されており、
接続部材(20、30)は電池(50)の正極(51)と接触する第1の接続部(20)と電池(50)の負極(52)と接触する第2の接続部(30)を備え、第1の接続部(20)と第2の接続部(30)は電気的に隔離されており、
第1の接続部(20)は第2の接続部(30)よりも電池収容ケース(10)の中心から離隔する側に設けられ、
第2の接続部(30)は2個の導電材料の湾曲部材(31)を有し、2個の湾曲部材(31)は電池収容ケース(10)に接続され且つ間隔を空けて配置されており、
当該2個の湾曲部材(31)を接続する板状の非導電性材料(40)を設け、
当該2個の湾曲部材(31)間に第1の接続部(20)が配置され、
第1の接続部(20)が電池(50)の正極(51)と接触する箇所と、第2の接続部(30)が電池(50)の負極(52)と接触する箇所には、曲面で構成された導電材料の突出部(22、32)が設けられており、
第1の接続部(20)の突出部(22)は、非導電性部材(40)を貫通する貫通部材(22b)を介して、正極用のリード線(R20)と接続されており、
第2の接続部(30)の突出部(32)は、湾曲部材(31)及び非導電性材料(40)により支持されていることを特徴としている。
【0009】
本発明において、第1の接続部(20A)における前記突出部は球体(70)で構成されており、
当該球体(70)は、前記非導電性材料(80)に形成された凹部(81)内に収容され、当該凹部(81)内には当該球体(70)を電池(50)側に付勢する弾性手段(例えば、コイルスプリング90)が配置され、第1の接続部(20A)における前記弾性手段(90)は導電性材料で構成されており、
第1の接続部(20A)における前記貫通部材(95)は導電性材料製の弾性手段と接続しているのが好ましい。
その場合、第2の接続部(30B)では、凹部(81B)が形成された非導電性材料(80B)には貫通孔(82B)が形成され、貫通孔(82B)の縁部が前記球体(70B)に接触しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上述する構成を具備する本発明によれば、突出部(22、32)の曲面が電池の電極(51、52)と、常時、確実に接続或いは接触する。そして、接続部材(20、30)における突出部(22、32)の曲面と電池(50)の電極(51、52)との接続或いは接触は、平板状の接続部材と電池の電極との接続に比較して、確実且つ良好である。
その結果、電池(50)の電極(51、52)と第1の接続部(20)及び/又は第2の接続部(30)が、長期に亘って電気的に良好に接続される。
【0011】
より詳細には、電池(50)の正極(51)は、第1の接続部(20)の突出部(22)の曲面(22a)、貫通部材(22b)を介して、正極(51)用のリード線(R20)に接続される。
一方、電池の負極(52)は第2の接続部(30)の突出部(32)の曲面(32a)、湾曲部材(31)、電池収容ケース(10)を介して、負極(52)用のリード線(R30)に接続される。
ここで、第1の接続部(20)と第2の接続部(30)は電気的に隔離されているので、電池(50)の正極(51)と負極(52)が短絡されてしまう恐れはない。
【0012】
本発明において、前記突出部を構成する球体(70)が電池(50)側に常時付勢される様に構成されていれば、前記突出部(70)が経年変化により変形或いは摩耗をしても、当該突出部(70)と電池(50)の正極(51)或いは負極(52)とが確実に接触し、且つ、電池(50)の電極(正極51)とリード線(R20)が電気的に良好に接続される。
ここで、電池(50)の正極(51)は、前記球体(第1の接続部20Aの突出部の曲面を構成する部材70)、導電性材料の弾性手段(90)、貫通部材(80)を介して、正極(51)用のリード線(R20)に接続される。
また、電池(50)の負極(52)は、前記球体(第2の接続部30Bの突出部の曲面を構成する部材70B)、前記弾性手段(例えば、コイルスプリング90B)を介して、負極用のリード線R30に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態を示す水平断面図である。
【図2】図1におけるX−X矢視断面図(縦断面図)である。
【図3】第1実施形態において、3個の電池を直列に接続した状態を示す図である。
【図4】第1実施形態において、3個の電池を並列に接続した状態を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す水平断面図である。
【図6】第2実施形態において、3個の電池を直列に接続した状態を示す図である。
【図7】第2実施形態において、3個の電池を並列に接続した状態を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図4に基づいて第1実施形態を説明する。
図1及び図2において、全体を符号101で示す電池収容装置は、左右対称に構成されており、且つ、長手方向(左右方向)の中心線Lcに対して上下対称に構成されている。
電池収容装置101は、電池50を収容する電池収容ケース(以下、「ケース」と言う)10と、第1の電極接続部20と、第2の電極接続部30を有している。
電池収容ケース10は導電性材料(例えば、アルミニウム合金)で構成され、図1における左端面10a及び右端面10bの上下両端部近傍には、リード線接続用ターミナル(負極用ターミナル)11がケース10と一体に形成されている。
【0015】
図1において、第1の電極接続部20は、電池収容ケース10の左右両端部近傍に、長手方向の中心軸Lc上に、1箇所ずつ設けられている。
第2の電極接続部30は、第1の電極接続部20を挟むように、ケース10の左右両端部近傍において2個ずつ設けられている。
電池収容ケース10の左右両端の何れかにおいて、第1の電極接続部20(図1、図2では左側における第1の電極接続部20)は、収容される電池50の正極51と接触するように構成されている。そして電池収容ケース10の他方の端部(図1、図2では右側端部)では、2個の第2の電極接続部30が、電池50の負極52と接触するように構成されている。
【0016】
第1の電極接続部20と第2の電極接続部30は、非導電性部材40によって電気的に隔離されている。非導電性部材40により、電池50の正極51と負極52が短絡してしまうことが防止されている。
ここで、電池50をケース10に収容した際、電池50の正極側端面51fと、第2の電極接続部30におけるリベット32の先端の間には、隙間δが確保されている。この隙間δの寸法は、電池の種類(サイズ)によって適宜設定される。この隙間δも、電池50の正極51と負極52が短絡するのを防止している。
【0017】
第1の接続部20は、第2の接続部30よりも、電池収容ケース10の長手方向(図1、図2の左右方向)について、電池50から離隔する側に設けられている。
そのため、第1の接続部20における(電池50の)正極51との接触部22は、第2の接続部30における(電池50の)負極52との接触部32よりも、電池50から離隔する側に位置している。換言すれば、第2の接続部30における(電池50の)負極52との接触部32は、第1の接続部20における(電池50の)正極51との接触部22よりも、電池50に近接する側に位置している。
【0018】
図2において、第1の接続部20は、導電性の正極接触部材22と、ナットNと、ターミナル60とを有している。
正極接触部材22は導電性材料製の小さいネジにより構成されており、当該小さいネジの頭部は、球の一部分を構成する扁平な形状となっている。
ターミナル60には、正極接触部材(上述した扁平な頭部を有する小さいネジ)22の軸部22bを挿通させる貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0019】
正極接触部材(扁平な頭部を有する小さいネジ)22は、頭部22a(扁平な頭部)と軸部22bとを有し、その軸部22bに雄ねじ22cが形成されている。軸部22bは、非導電性部材40の貫通孔(図示せず)に挿入されており、ターミナル60を貫通している。そして、当該雄ねじ22cにナットNを螺合させ、適正トルクでナットNを締め込むことにより、第1の接続部材20が非導電性部材40の中央に取り付けられた状態で、ターミナル60を締結している。
図1、図2では、正極接触部材22は扁平な頭部を有する小さいネジで構成されているが、後述する第2の接続部材30の様に、リベットで構成しても良い。
【0020】
図2において、第2の接続部材30(ケース10の左右両端で、合計2対:左側の第2の接続部材30は図示を省略)は、何れも導電性の湾曲部材31と、リベット32とを有している。湾曲部材31は、短冊状の薄板をV字状或いはU字状に折り曲げて成形されている。
湾曲部材31の一方の端部31aは、公知の手段(例えば、リベットや溶接:図示せず)によって、ケース10の左右両端壁部10a、10bに固着されている。
【0021】
湾曲部材31の他方の端部31bは、リベット32によって非導電性部材40の一方の端部と接続される。
リベット32は、電池50側のヘッド32aと、軸部32bと、電池50と離隔する側のヘッド32cとを有している。そして、両ヘッド32a、32cと軸部32bにより、湾曲部材31及び非導電性部材40を挟み込んで配置されており、以って、湾曲部材31に非導電性部材40を取り付けている。
【0022】
図1、図2において、第1の接続部20のターミナル60(正極用ターミナル)は、正極用のリード線R20を介して、電気機器M(電気機器等:図1参照)の正極側入力端子Mt2と接続されている。
また、ケース10のターミナル(負極用ターミナル)11の1箇所は、負極用のリード線R30によって、電気機器M(図1参照)の負極側入力端子Mt3と接続されている。
そして、また、ケース10のターミナル(負極用ターミナル)11とリベット32とは、湾曲部材31を介して電気的に接続されている。
【0023】
図1、図2では、電池50は、ケース10の左側における第1の接続部20と正極51が接触するように、ケース10に収容されている。図1で示すように、ケース10の左側では、電池50の正極側端面51fと、第2の電極接続部30におけるリベット32の先端との間には、寸法δの隙間が形成されているので、第2の電極接続部30は電池50とは接触しない。
上述した様に、第1の接続部20における(電池50の)正極51との接触部22(扁平な頭部を有する小さいネジ)は、第2の接続部30における(電池50の)負極52との接触部32(リベット)よりも、電池50から離隔する側に位置している。そのため、図1においてケース10の右側では、電池50の負極52は、電池50に近い側に位置している(第2の接続部30における)接触部32(リベット)とは接触しているが、電池50から離隔した側に位置している(第1の接続部20における)接触部22(扁平な頭部を有する小さいネジ)とは接触していない。
その結果、電池50の正極51は、ケース10左側の第1の接続部20における接触部22のみと接触し、負極52はケース10右側の第2の接続部30における接触部32のみと接触する。
【0024】
ここで、電池収容装置101は、図1、図2において左右対称に構成されているため、仮に電池50を図1、図2で示すのと反対の向きにしてケース10内に収容しても、電池50の正極51は、ケース10の右側で第1の接続部20における接触部22のみと接触し、負極52はケース10の左側で第2の接続部30における接触部32のみと接触する。
すなわち、電池50をどの様な向きでケース10内に収容したとしても、正極51は、第1の接続部20における接触部22のみと接触し、負極52は第2の接続部30における接触部32のみと接触する。
【0025】
正極接触部材22を構成するネジの頭部22aにおける先端の曲面と、電池50の正極51は、板状の部材と正極51とが接触する場合に比較して、確実に接続する。
同様に、リベット32のヘッド32aにおける先端の曲線と電池50の負極52は、板状の部材と負極52とが接触する場合に比較して、確実に接続する(図2参照)。
その結果、電池50の正極51と第1の接続部20の接続、負極52と第2の接続部30の接続は、長期に亘って電気的に良好に接続される。
【0026】
電池50の正極51は、第1の接続部20におけるネジ22(扁平な頭部を有する小さいネジ)及びターミナル60を介して、正極51用のリード線R20に接続される。
一方、電池50の負極52は第2の接続部30におけるリベット32、湾曲部材31、電池収容ケース10を介して、負極52用のリード線R30に接続される(図2参照)。
第1の接続部20と第2の接続部30は、非導電性部材40によって絶縁されているので、電池50の正極51と負極52が短絡されてしまう恐れはない。
【0027】
図3は、第1実施形態の電池収容装置101により、3個の電池を電気的に直列に接続した状態を示している。
図3では、3個のケース10−1、10−2、10−3を、横置きで、上下3列に配置している。
また、図3では、中央のケース10−2に収容された電池50の正極51は右方を向いているが、上下のケース10−1、10−3では正極51が左方を向いている。
【0028】
図3で示す様に、上下で隣り合うケース10−1と10−2、10−2と10−3において、上方のケースにおける正極用ターミナル60と、下方のケースにおける負極用ターミナル11が、リード線R23によって接続されている。そして、負極用ターミナル11とリベット32とは、湾曲部材31を介して電気的に接続されている。
そのため、上下で隣り合うケース10−1と10−2、10−2と10−3において、上方のケースにおける(第1の接続部30に接続された)正極用ターミナル60と、下方のケースにおける(第2の接続部30の)リベット32が、電気的に接続している。
【0029】
図3において、上段のケース10−1のケース10におけるターミナル(負極用ターミナル)11と、電気機器Mの負極側入力端子Mt3は、リード線R30で接続されている。
一方、図3における下段のケース10−3の左右の正極用ターミナル60、60(第1の接続部20)と、電気機器Mの正極側入力端子Mt2は、リード線R23で接続されている。
【0030】
ケース10−1、10−2、10−3の各々に電池50を収容すると、電池50の向きに拘わらず、図1、図2を参照して説明したのと同様に、電池50の正極51は(第1の接続部20の)接触部22のみに接触し、電池50の負極51は(第2の接続部30の)接触部32のみに接触する。
図3において、中段のケース10−2に収容した電池50の向きと、上下段のケース10−1、10−3に収容した電池の向きは相違しているが、いずれの電池も、正極51は正接触部22のみに接触し、負極52はリベット32にのみ接触する。上記の各電池50の向きを任意に入れ替えても同様である。
【0031】
図3の上下方向について隣り合うケース10−1と10−2、10−2と10−3において、上側のケースにおける(第1の接続部20の接触部22に接続した)正極用ターミナル60と、下側のケースにおける負極用ターミナル11がリード線R23により接続される。そして、上段のケース10−1の負極用ターミナル11はリード線R30を介して電気機器Mの負極側入力端子Mt3に接続され、下段のケース10−3の正極用ターミナル60と電気機器Mの正極側入力端子Mt2がリード線R20で接続されている。
そのため、ケース10−1、10−2、10−3に収容された電池50の向きに拘わらず、3つの電池は直列に接続され、4.5Vの電圧が電気機器Mに対して印加される。
【0032】
図4は、第1実施形態の電池収容装置101を用いて、3個の電池を電気的に並列に接続した実施例を示している。
図4において、図3と同様に、3個のケース10−1、10−2、10−3を横置きで上下3列に並列配置している。
図4において、ケース10−1、10−2、10−3における左右の正極用ターミナル60は、リード線R23を介して電気機器Mの正極側入力端子Mt2に接続されている。
図4の上下方向について隣り合うケース10−1と10−2、10−2と10−3において、上方のケースにおける負極用ターミナル11と、下方のケースにおける負極用ターミナル11は、リード線R33により接続されている。
そして、ケース10−1、10−2、10−3における第2の接続部30の接触部32(リベット)は、湾曲部材31を介して、ケース10に接続している。そして上段のケース10−1において、負極用ターミナル11は、リード線R30を介して電気機器Mの負極側入力端子Mt3に接続されている。
【0033】
ケース10−1、10−2、10−3の各々に電池50を収容すると、電池50の向きの如何に拘わらず、各電池50の正極51は(第1の接続部20の)接触部22にのみ接触し、負極52は(第2の接続部20の)接触部32にのみ接触する。各電池50の向きが、図4で示すのとは逆向きになったとしても同様である。
そのため、電池50の各々は、電池50の向きの如何に拘わらず、正極51はリード線R23を介して電気機器Mの入力端子Mt2に接続される。そして、負極52は、リード線R33、R30を介して電気機器Mの入力端子Mt3に接続される。これにより、ケース10−1、10−2、10−3に収容された電池50は、並列に接続された状態になる。
【0034】
なお、図3、図4の実施例においては、複数の電池50を直列及び並列接続する場合を示したが、複数の電池50について、直列と並列を適宜組み合わせることも可能である。
また、第1実施形態において、複数の電池50を収容するケースをそれぞれ別体10で形成しているが、1個のケースに複数の電池を収容する様に構成することも可能である。
【0035】
また、第1実施例においては、ケース10を金属等の導電性材料で形成し、その一部を負極用ターミナル11に兼用したが、正極用接続端子に兼用させる様に構成することもできる。或いは、ケース10を樹脂製等の非導電性材料で形成し、正極用接続端子及び負極用接続端子をそれぞれケースと別体に構成することも可能である。
【0036】
次に、図5〜図7を参照して第2実施形態を説明する。
第2実施形態に係る電池収容装置102は、第1の電極接続部20Aにおいて、電池50の正極51との接触部が、導電性の弾性部材(コイルスプリング90)によって、ケース10Aの長手方向で、電池50に近接する側に付勢される様に構成されている。
以下、第2実施形態について、図1〜図4の第1実施形態とは異なる点を中心に、図5〜図7に基づいて説明する。
【0037】
図5において、全体を符号102で示す電池収容装置は、第2実施形態では左右対称に構成されており、且つ、長手方向(左右方向)の中心線Lcに対して、上下対称に構成されている。
電池収容装置102は、電池50を収容するケース10Aと、第1の電極接続部20Aと、第2の電極接続部材30Aを有している。
電池収容ケース10Aは、図1〜図4で示す第1実施形態と同様に、導電性材料で構成され、図5における左端面10Aa及び右端面10Abの中心部に第1の電極接続部20Aが形成されている。
【0038】
第1の電極接続部20Aは、導電性の球体70と、円筒状の非導電性部材80と、導電性の弾性部材(コイルスプリング)90と、正極用ターミナル95を備えている。
正極用ターミナル95は、ターミナル本体95aとスプリングシート95bが一体になって構成されている。
図5では、導電性の球体70として、例えば、鋼球が用いられている。
【0039】
円筒状の非導電性部材80は、一方の端部に縮径段部80aが形成されている。
非導電性部材80の内部空間81において、縮径段部80a側(電池50側)の開口部82の内壁面は、球面の一部と相補的な形状に構成されている。そして非導電性部材80の内部空間81は、電池50側の断面積が小さくなる様に形成されている。
非導電性部材80の内部空間81において、縮径段部80a側の反対側(電池50から離隔する側)の開口部には、正極用ターミナル95のスプリングシート95bが固着されている。そしてターミナル本体95aは、当該開口部(内部空間81における電池50から離隔する側の開口部)の外方に露出している。
【0040】
図5における左端部では、非導電性部材80の縮径段部80aは、ケース10Aの左端面10Aaの中心に嵌合している。そして図5における右端部では、非導電性部材80の縮径段部80aは、ケース10Aの右端面10Abの中心に嵌合している。そして、非導電性部材80の開口部82は、ケース10Aの内部(電池50側)に向かって開口している。
導電性の球体70は、非導電性部材80における内部空間81内に収容されている。そして内部空間81内において、球体70は、コイルスプリング90によって、常時、開口部82側(或いは、電池50側)に付勢されている。
【0041】
図1〜図4の第1実施形態では、第2の電極接続部材30は、複数の部材(湾曲部材31と、リベット32等)によってケース10と別体で構成されていた。
それに対して図5の第2実施形態では、第2の電極接続部材30Aは、ケース10Aと一体に成形されている。
図5において、ケース10Aの左右両端面10Aa、10Abの各々には、突出部32Aが2箇所ずつ形成されており、突出部32Aは、球面の一部分を構成する様な湾曲した形状である。
そして、2箇所の突出部32Aは、第1の電極接続部20Aを挟んで、対称の位置となっている。
【0042】
電池50をケース10Aに収容した際、第1の電極接続部20Aに電池50の正極51が接触している側(図5では左側)においては、第2の電極接続部30Aの突出部(接触部)32Aと電池50の正極51側端面51fとの間には、隙間δが確保されている。この隙間δは、電池の種類(サイズ)によって適宜設定される。
ここで、第1の接続部20Aにおける(電池50の)正極51との接触部(球体70の電池50側の先端部)は、第2の接続部30Aにおける(電池50の)負極52との接触部32よりも、電池50から離隔する側に位置している。
【0043】
第2実施形態によれば、例えば図5で示すように、ケース10の左側における第1の接続部20と正極51が接触するように、電池50をケース10に収容した場合には、ケース10の左側において、電池50の正極側端面51fと、第2の電極接続部30Aにおける接触部32Aの間には、寸法δの隙間が形成されているので、第2の電極接続部30は電池50とは接触しない。
また、上述した様に、第1の接続部20Aにおける(電池50の)正極51との接触部(球体70の電池50側の先端部)は、第2の接続部30Aにおける(電池50の)負極52との接触部32よりも、電池50から離隔している。そのため、図5においてケース10Aの右側では、電池50の負極52は、第2の接続部30Aの接触部32Aとは接触しているが、電池50から離隔した側に位置している(第1の接続部20Aにおける)接触部(球体70の電池50側の先端部)とは接触していない。
その結果、電池50の正極51は、ケース10左側の第1の接続部20Aにおける接触部(球体70の電池50側の先端部)のみと接触し、負極52はケース10右側の第2の接続部30Aにおける接触部32Aのみと接触する。
【0044】
図5において、電池収容装置102は左右対称に構成されているため、仮に電池50を図5で示すのと反対の向きにしてケース10A内に収容しても、電池50の正極51は、ケース10の右側で第1の接続部20Aにおける接触部(球体70の電池50側の先端部)のみと接触し、負極52はケース10の左側で第2の接続部30Aにおける接触部32Aのみと接触する。
すなわち、電池50をどの様な向きでケース10内に収容したとしても、正極51は、第1の接続部20Aにおける接触部のみと接触し、負極52は第2の接続部30Aにおける接触部32Aのみと接触する。
【0045】
そして第2実施形態によれば、球体70が電池50側に常時付勢される様に構成されているので、球体70が経年変化により変形或いは摩耗をしても、球体70と電池50の正極51とが確実に接触し、且つ、電池50の正極51とリード線R20が電気的に良好に接続される。
また、図示の第2実施形態は、第1実施形態に対して第2の電極接続部がケース10Aと一体に形成されているため、構成部材が少なくなり、部品購入コストや製造コストを節減することができる。
【0046】
図6は、第2実施形態の電池収容装置102を用いて3個の電池を直列に接続した状態を示している。
図6において、上下方向に隣接したケース10A−1と10A−2、10A−2と10A−3は、上側のケースの正極用ターミナル95がリード線R20を介して下側のケースの負極用ターミナル11Aに接続されている。
上側のケース10A−1の負極用ターミナル11Aは、リード線R30を介して電気機器Mの入力端子Mt3に接続されている。そして下側のケース10A−3の正極用ターミナル95は、リード線R20を介して電気機器Mの入力端子Mt2に接続されている。
これにより、ケース10A−1、10A−2、10A−3に収容された電池50は直列に接続され、電気機器Mには4.5Vの電圧が印加される。
【0047】
図7は、第2実施形態の電池収容装置102を用いて3個の電池を並列に接続した状態を示している。
図7において、上下方向に隣接したケース10A−1と10A−2はリード線R33で接続され、ケース10A−2と10A−3もリード線R33で接続されている。
上側のケース10A−1の負極用ターミナル11Aは、リード線R30を介して電気機器Mの入力端子Mt3に接続されている。ケース10A−1、10A−2、10A−3における正極用ターミナル95は、リード線R20により電気機器Mの入力端子Mt2に接続されている。
上側のケース10A−1の負極用ターミナル11Aは、リード線R30を介して電気機器Mの入力端子Mt3に接続されている。
これにより、ケース10A−1、10A−2、10A−3に収容された電池50は、並列に接続される。
図5〜図7の第2実施形態における上記以外の構成及び作用効果については、図1〜図4の第1実施形態と同様である。
【0048】
次いで、図8を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態では、第1の電極接続部20Aのみならず、第2の電極接続部30Bも、導電性の弾性部材(コイルスプリング90B)によって、ケース10Bの長手方向で、電池50に近接する側に付勢される様に構成されている。
【0049】
図8において、全体を符号103で示す電池収容装置は、左右対称に構成されており、且つ、長手方向(左右方向)の中心線Lcに対して上下対称に構成されている。
ケース10Bでは、ケース10Bと一体に構成されたターミナルは設けられていない。
ケース10Bの左右両端面10Ba、10Bbの中心には、第1の電極接続部20Aが設けられている。第1の電極接続部20Aの構成は、第2実施形態と同様である。
【0050】
ケース10Bの左右両端面10Ba、10Bbにおいて、第1の電極接続部20Aを挟んだ対象位置には、第2の電極接続部30Bが形成されている。第2の電極接続部30Bの構成は、第1の電極接続部20Aの構成部材と似通っている。
すなわち、第2の電極接続部30Bの非導電性部材80Bが、中空円筒形状に構成されており、その内部空間81Bは電池50側に開口部82Bを形成している。内部空間81Bにおいて、球体70Bが、コイルスプリング90Bによって、常時、開口部82B側(或いは、電池50側)に付勢されている。
図8では明示されていないが、ケース10Bの左右両側において、図8の上側に位置する第2の電極接続部30Bと、図8の下側に位置する第2の電極接続部30Bは、電気的に接続されている。
【0051】
電池50をケース10Bに収容した際、第1の電極接続部20Aに電池50の正極51が接触する側(図8では左側)では、第2の電極接続部30Bにおける球体70Bと、電池50の正極51側端面51fとの間には、隙間δが確保されている。この隙間δは、電池の種類(サイズ)によって適宜設定されている。
球体70Bが電池50側に常時付勢されているので、球体70Bが経年変化により変形或いは摩耗をしても、球体70Bと電池50の負極52とが確実に接触する。それと共に、電池50の正極51は、第1の電極接続部20Aを介して、リード線R20と電気的に良好に接続される。
図8の第3実施形態の上記した以外の構成及び作用効果は、図1〜図7の実施形態と同様である。
【0052】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では、ケース10(10−1〜10−3)、10A(10A−1〜10A−3)は電気機器Mと別体に構成されているが、電気機器Mと一体に構成しても良く、電気機器M内に内蔵することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
10・・・収容ケース
11・・・リード線接続用ターミナル
20・・・第1の接続部
22・・・正極接触部材
30・・・第2の接続部
31・・・湾曲部材
32・・・リベット
40・・・非導電性部材
50・・・電池
51・・・正極
52・・・負極
60・・・正極用ターミナル/ターミナル
70・・・導電性の球体/球体
80・・・非導電性部材
90・・・弾性部材/コイルスプリング
95・・・正極用ターミナル
101、102、103・・・電池収容装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を収容する電池収容ケースと、電池収容ケースの両端部に電池の電極と接触する接続部材が設けられ、
電池収容ケースは導電性材料で構成され、負極用のリード線との接続されており、
接続部材は電池の正極と接触する第1の接続部と電池の負極と接触する第2の接続部を備え、第1の接続部と第2の接続部は電気的に隔離されており、
第1の接続部は第2の接続部よりも電池収容ケースの中心から離隔する側に設けられ、
第2の接続部は2個の導電材料製の湾曲部材を有し、2個の湾曲部材は電池収容ケースに接続され且つ間隔を空けて配置されており、
当該2個の湾曲部材を接続する板状の非導電性材料を設け、
当該2個の湾曲部材間に第1の接続部が配置され、
第1の接続部が電池の正極と接触する箇所と、第2の接続部が電池の負極と接触する箇所には、曲面で構成された導電材料の突出部が設けられており、
第1の接続部の突出部は、非導電性材料を貫通する貫通部材を介して、正極用のリード線と接続されており、
第2の接続部の突出部は、湾曲部材及び非導電性材料により支持されていることを特徴とする電池収容装置。
【請求項2】
第1の接続部における前記突出部は球体で構成されており、
当該球体は、前記非導電性材料に形成された凹部内に収容され、当該凹部内には当該球体を電池側に付勢する弾性手段が配置され、第1の接続部における前記弾性手段は導電性材料で構成されており、第1の接続部における前記貫通部材は導電性材料の弾性手段と接続している請求項1の電池収容装置。
【請求項3】
第2の接続部では、凹部が形成された非導電性材料には貫通孔が形成され、貫通孔の縁部が前記球体に接触している請求項2の電池収容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−243486(P2012−243486A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110926(P2011−110926)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【特許番号】特許第4869445号(P4869445)
【特許公報発行日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(393030545)新倉計量器株式会社 (8)
【Fターム(参考)】