説明

電池残量の検出回路、検出方法およびそれを用いた電子機器

【課題】少ない消費電力で、電池残量を検出可能な電池残量検出回路を提供する。
【解決手段】検出回路100は、少なくとも電池2とCPU4と通信ユニット6と、を有する通信機能を有する電子機器1に搭載され、電池2の残量を検出する。A/Dコンバータ10は、電池2から放出される電流IBATの大きさをサンプリングし、デジタルの電流値D1に変換する。インタフェース回路20は、電池2から放出される電流IBATが増大する期間を示す制御データD3を、CPU4から受ける。制御部18は、制御データD6にもとづき、電流IBATが増大する期間において、A/Dコンバータ10のサンプリング周波数を高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池残量検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistants)、ノート型パーソナルコンピュータをはじめとするさまざまな電池駆動型の電子機器において、デジタル信号処理を行うCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)、液晶パネル、その他のアナログ、デジタル回路などの各電子回路は、電池からの電力供給を受けて動作する。
【0003】
こうした電子機器は、電池から負荷に供給される電流(以下、電池電流という)を測定し、その値を積算することにより電池の残量を検出する機能を有し、この機能は、クーロンカウンタなどとも称される電池残量検出回路によって提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いま、携帯電話端末をはじめとする通信機能を有する電子機器における残量検出について検討する。図1は、携帯電話端末の待ち受け状態(スリープ状態)における電池電流IBATの波形の一例を示す図である。なお本明細書における波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化されている。
【0005】
携帯電話端末は、待ち受け状態(スリープ状態)であっても、定期的に基地局との間で定期的に、位置登録などを目的として、パケットの送信(TX)、受信(RX)を行う。送信期間TTXにおいては、パワーアンプ、変調器、ベースバンドIC(Integrated Circuit)を有する送信回路に大きな電流が流れるため、電池電流IBATが増大する。そしてこのときの電池電流IBATは基地局との距離に応じて、ダイナミックに変動する。また受信期間TRXにおいては、ローノイズアンプ、復調器、ベースバンドIC等を含む受信回路が動作するために、電池電流IBATが増大する。一方、待ち受け状態において通信を行わない期間(非通信期間)では、携帯電話端末の内部のほとんどのブロックがスタンバイ状態となるため、電池電流IBATはきわめて小さくなり、その変動もほとんどない。
【0006】
送信期間TTX、受信期間TRXにおいて間欠的に流れるバースト電流を正確に積算するためには、電池電流IBATをサンプリングする周波数を高めて時間軸方向の分解能を高める必要があるが、これは残量検出回路の消費電力の増大を意味するため好ましくない。
【0007】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、少ない消費電力で、電池残量を検出可能な電池残量検出回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、少なくとも、電池と、それが搭載される電子機器を統合的に制御するプロセッサと、通信ユニットと、を有する通信機能を有する電子機器に搭載され、電池の残量を検出する検出回路に関する。検出回路は、電池から放出される電流の大きさをサンプリングし、デジタルの電流値に変換するA/Dコンバータと、電池から放出される電流が増大する期間を示す制御データを、プロセッサから受けるインタフェース回路と、制御データにもとづき、電流が増大する期間において、A/Dコンバータのサンプリング周波数を高くする制御部と、を備える。
【0009】
プロセッサは、電子機器に搭載される各回路ブロックが動作する時間を知っており、言い換えれば電池電流が変動するタイミングを知っている。そこで電池電流の急峻な増加に先立ち、電流の増加が発生することを示す制御信号を検出回路に与えることにより、検出回路は、急峻な電流変化を、高いサンプリング周波数でサンプリングできるため、検出精度を高めることができる。また、電池電流が小さく安定している期間は、低いサンプリング周波数で動作するため、消費電力の増大を抑制できる。
【0010】
ある態様の検出回路は、電池の電流の経路上に設けられた検出抵抗と、検出抵抗の電圧降下を増幅するアンプと、をさらに備えてもよい。制御部は、制御データにもとづき、電流が増大する期間において、アンプの動作速度を高めてもよい。
急峻な電池電流の変動に追従するためには、アンプにはある程度高速な応答速度が要求される。ここでアンプの動作速度を高めるためには、アンプの動作電流を増加させる必要があるところ、この態様によれば、高速動作すべき期間だけ動作電流が増加することになり、トータルとしての消費電力の増加を抑制することができる。
【0011】
ある態様において、A/Dコンバータは、ΔΣ型A/Dコンバータであってもよい。制御部は、制御データにもとづき、電流が増大する期間において、A/Dコンバータに対するクロック信号の周波数を高めてもよい。
【0012】
ある態様の検出回路は、A/Dコンバータにより取得された電流値を積算する積分回路をさらに備えてもよい。
検出回路に、電流値を積算して保持する機能を設けることにより、プロセッサは、A/Dコンバータのサンプリングごとに、電流値を読み出す必要がなくなり、プロセッサの演算処理量や、プロセッサと検出回路の間の、データの送受信の回数を減らすことができ、消費電力を低減することができる。
【0013】
本発明の別の態様は、通信機能を有する電子機器である。この通信機能を有する電子機器は、電池と、プロセッサと、通信ユニットと、電池の残量を検出する上述のいずれかの態様の検出回路と、を備える。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少ない消費電力で、電池残量を検出可能な検出回路の提供にある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】携帯電話端末の待ち受け状態(スリープ状態)における電池電流の波形の一例を示す図である。
【図2】実施の形態に係る電池残量検出回路を備える電子機器の構成を示すブロック図である。
【図3】図3(a)は、待ち受け状態の電池電流を第1サンプリング周波数でサンプリングしたときの動作を示す図であり、図3(b)は、待ち受け状態の電池電流を第2サンプリング周波数でサンプリングしたときの動作を示す図である。
【図4】図2の検出回路の動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0018】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0019】
また本明細書において、電圧信号、電流信号、あるいは抵抗に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値を表すものとする。
【0020】
図2は、実施の形態に係る電池残量検出回路100を備える電子機器1の構成を示すブロック図である。
電子機器1は、電池2、CPU4、通信ユニット6、その他の負荷8および電池残量検出回路(以下、単に検出回路ともいう)100を備える。電子機器1はたとえば携帯電話端末であり、基地局との間の通信機能を有する。
【0021】
電池2は、電子機器1の電源であり、たとえばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの2次電池であり電池電圧VBATを出力し、負荷であるCPU4、通信ユニット6、負荷8および検出回路100に供給する。
【0022】
CPU4は、電子機器1全体を統合的に制御するユニットであり、電子機器1に搭載される各機能ブロックは、CPU4からの指令にもとづいて動作する。CPU4はベースバンド回路であってもよい。通信ユニット6は、基地局との間で通信を行うブロックであり、ベースバンド回路からのベースバンド信号を変調する変調回路、送信信号を増幅するパワーアンプ、パワーアンプからの信号を基地局に送信するアンテナ、アンテナが基地局から受信した信号を増幅するLNA(ローノイズアンプ)、LNAの出力を復調する復調回路などを含む。通信ユニット6の構成や通信方式は特に限定されない。
【0023】
負荷8は、スイッチングレギュレータ、リニアレギュレータ(LDO:Low Drop Output)、チャージポンプ回路をはじめとする電源回路や、電池2の充電回路や、DSP(Digital Signal Processor)や、液晶パネル、その他のアナログ回路、デジタル回路を含む。
【0024】
電池残量検出回路100は、クーロンカウンタとも称され、電池2から放出される電池電流IBATを検出し、CPU4との協調処理によって電池2の残量を検出する。検出回路100は、アンプ11、A/Dコンバータ10、積分回路12、レジスタ16、制御部18、インタフェース回路20を備える。検出回路100は、図示しない充電回路、DC/DCコンバータの制御回路、リニアレギュレータ(LDO:Low Drop Output)、GPIO(General Purpose Input/Output)とともにひとつのICに集積化されてもよい。このようなICは、パワーマネージメントICとも称される。
【0025】
電池2から放出される電池電流IBATの経路上には、検出抵抗RSENSEが設けられる。検出抵抗RSENSEは、図示のように電池2の接地端子側に設けてもよいし、負荷側に設けてもよい。検出抵抗RSENSEには、電池電流IBATに比例した電圧降下(検出電圧ともいう)VSENSEが生ずる。
【0026】
アンプ11は、検出電圧VSENSEを増幅する。後述のようにアンプ11の動作速度は可変に構成される。A/Dコンバータ10は、増幅された検出電圧VSENSE’をサンプリングし、検出電圧VSENSE’に応じたデジタルの電流値D1に変換する。このデジタルの電流値D1は、電池電流IBATに比例する。
【0027】
A/Dコンバータ10は、制御部18からのサンプリングクロックSCLKに応じ、検出電圧VSENSE’をサンプリングする。A/Dコンバータ10は、そのサンプリング周波数Fsが可変に構成され、サンプリング周期Ts(=1/Fs)ごとに、検出電圧VSENSEに応じたデジタルの電流値D1を生成する。電池2の放電量は、電池電流IBATの時間積分で与えられる。つまり電流値D1を積算することにより、電池2の放電量が計算される。
【0028】
A/Dコンバータ10は、ΔΣ型A/Dコンバータであってもよい。この場合、サンプリング周波数Fsが高いときにはΔΣ型A/Dコンバータに対する動作クロックCLKの周波数も合わせて高められる。
【0029】
制御部18は、A/Dコンバータ10のサンプリング周波数Fsを設定する。電子機器1が待ち受け状態(スリープ状態ともいう)のとき、電池電流IBATは、図1に示すように通信ユニット6が基地局との間で通信する期間(通信期間という)を除いて非常に小さくなる。通信期間TTX、TRXの長さはたとえば数ms〜数10ms程度であり、通信期間TXやTRXの間には、たとえば数百ms〜数秒の非通信期間が存在する。
【0030】
上述のように非通信期間においては、電子機器1の各ブロックは、必要なものを除いてスリープ状態となるため、電池電流IBATは非常に小さくなり、またその変動も小さくなる。そこで制御部18は、非通信期間においてA/Dコンバータ10を、相対的に低い第1サンプリング周波数Fs1にて動作させる。
【0031】
反対に通信期間において制御部18は、A/Dコンバータ10を、第1サンプリング周波数Fs1よりも高い第2サンプリング周波数Fs2で動作させる。検出回路100が第1サンプリング周波数Fs1で動作するときの消費電流は、第2サンプリング周波数Fs2で動作するときの消費電流よりも十分に小さい。つまり、サンプリング周波数Fsに応じて検出回路100の消費電流は変動し、それらはトレードオフの関係にある。
【0032】
図3(a)は、待ち受け状態の電池電流IBATを、第1サンプリング周波数でサンプリングしたときの動作を、図3(b)は、待ち受け状態の電池電流IBATを、第2サンプリング周波数でサンプリングしたときの動作を示す図である。
図3(a)に示すように、第1サンプリング周波数Fs1で動作させると、サンプリング周期(1/Fs1)が、通信期間TTX、TRXに比べて十分短くないため、ハッチングを付した面積が検出誤差となる。
【0033】
図3(b)では、図3(a)の電池電流IBATを参照するものとし、その波形は省略している。図3(b)に示すように、第2サンプリング周波数Fs2で動作させると、ハッチングが付される面積が減少し、検出誤差が小さくなる。ところが、このときの検出回路100の消費電流は、待ち受け状態において許容される電流をはるかに上回る。
【0034】
そこで制御部18は、電池電流IBATに応じた電流値D1にもとづき、電子機器1が非通信状態であるか、通信状態であるかを判定する。具体的には、電流値D1が、電子機器1が待ち受け状態でありかつ非通信状態であるときに想定される所定の範囲に含まれるとき、A/Dコンバータ10を第1サンプリング周波数Fs1で動作させる。反対に、通信期間において電池電流IBATに応じた電流値D1が増加することにより、所定の範囲から外れると、検出回路100はA/Dコンバータ10を第2サンプリング周波数Fs2で動作させる。
【0035】
検出回路100とCPU4は、IC(Inter IC)Busなどを介して接続されている。インタフェース回路20は、CPU4との間で種々のデータを送受信する。CPU4は、どの時間において通信ユニット6が通信を行い、あるいはその他の負荷が動作するか、すなわち電池電流IBATが増大する期間を知っている。CPU4は、電流が増大する期間を示す制御データ(負荷信号)D6を、電流の増大に先立って検出回路100のインタフェース回路20に送信する。
【0036】
制御部18は、制御データD6にもとづき、電流が増大する期間において、それ以外の期間に比べて、A/Dコンバータ10のサンプリング周波数Fsを高くする。また制御部18は、電流が増大する期間において、アンプ11の動作速度を高くする。アンプの動作速度は、バイアス電流を高めることで速めることができる。つまりアンプの動作速度と動作電流はトレードオフの関係にある。ここでのバイアス電流とは、アンプ11の入力段の差動増幅器のバイアス電流(テイル電流ともいう)であってもよいし、その増幅段(中段)あるいはその出力段(最終段)のバイアス電流であってもよい。
【0037】
A/Dコンバータ10が取得した電流値D1は、サンプリングごとにCPU4に送出してもよい。しかしながらこの場合、サンプリングごとにインタフェース回路20とCPU4の間でデータ伝送が発生し、CPU4がサンプリングごとに電流値D1を積算する必要がある。したがって待ち受け状態かつ非通信状態においてCPU4がスタンバイ状態となっていても、電流値D1の積算のために、CPU4が起動して演算を行うことになり、システム全体の消費電力が大きくなる。この問題を解決するため、実施の形態に係る検出回路100は以下の特徴を有している。
【0038】
積分回路12は、A/Dコンバータ10により取得された電流値D1を積算する。積算値D3は、電池電流IBATの積分値に相当し、すなわち電池2から放出された電荷量を示す。積算値D3はレジスタ16に書き込まれる。
【0039】
電池2の充電状態において、検出抵抗RSENSEには充電電流に比例した電圧降下VSENSEが、放電電流とは反対の極性で発生する。したがって充電状態においてA/Dコンバータ10により取得された電流値D1は充電電流を示す。充電状態において、積分回路12が生成する積分値D3は、充電により電池2に供給された電荷量を示す。
【0040】
インタフェース回路20は、サンプリングごとではなく、それよりも低い頻度で、積算値D3をCPU4に送信する。これによりデータ伝送の回数が減るため、消費電力を低減できる。この伝送は、CPU4からのリクエストに応じて行ってもよい。
【0041】
より好ましくはインタフェース回路20は、CPU4のスタンバイ期間ではなく、CPU4が動作している期間に、より具体的には通信期間TTX、TRXの間に、積算値D3およびカウント値D4をCPU4に引き渡す。これにより、スタンバイ状態のCPU4をわざわざ起動する必要が無くなるため、より消費電力を低減することができる。
【0042】
CPU4は、積算値D3にもとづき、電池2の放電電荷量を計算する。CPU4は、A/Dコンバータ10のサンプリング周波数Fsを知っており、またサンプリングを行った回数も知っている。サンプリング回数がn、積算値D3の値がm、サンプリング周波数がFsであるとき、放電電荷量QDISは、
DIS=m×n×1/Fs
となる。CPU4は、検出回路100から積算値D3を受け取るたびに、放電電荷量QDISを計算し、それまでに積算した放電電荷量QDISと足し合わせる。
【0043】
以上が検出回路100の構成である。続いてその動作を説明する。図4は、図2の検出回路100の動作を示す波形図である。
電池電流IBATがほとんど流れない期間において、電池電流IBATの変動はほとんど無く、あったとしても緩やかなものであるから、A/Dコンバータ10のサンプリング周波数は低く設定され、またアンプ11の応答速度も低く設定される。
【0044】
通信ユニット6が基地局との間でデータを送受信する送信期間TTXあるいは受信期間TRXに先立ち、制御データD6がアサート(ハイレベル)されると、制御部18はA/Dコンバータ10のサンプリング周波数を、第2サンプリング周波数Fs2に切りかえる。またアンプ11のバイアス電流を増加させることよりその動作速度を高める。
【0045】
通信期間TTX、TRXが終了すると、制御データD6がネゲート(ローレベル)される。これを受けて、制御部18は、A/Dコンバータ10のサンプリング周波数を低下させるとともに、アンプ11の動作速度を低下させる。
【0046】
以上が検出回路100の動作である。
検出回路100によれば、電池電流IBATに応じてサンプリング周波数Fsおよびアンプ11の動作速度を、CPU4からの制御に応じて動的に変更することができ、高検出精度と低消費電流を両立することができる。
また、検出回路100に電流値D1を積算する機能を設けることにより、サンプリングごとに検出回路100とCPU4の間でデータ伝送が発生しなくなるため、システム全体の消費電力を低減できる。
【0047】
さらには、検出回路100において取得された積算値D3およびカウント値D4を、スタンバイ状態のCPU4ではなく、動作していることが想定されるCPU4に送信することにより、CPU4を不要に起動させることが防止され、システムの消費電力の低減が図られる。
【0048】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0049】
1…電子機器、2…電池、4…CPU、6…通信ユニット、8…負荷、100…検出回路、10…A/Dコンバータ、11…アンプ、12…積分回路、16…レジスタ、18…制御部、20…インタフェース回路、D1…電流値、D3…積算値、D6…制御データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、電池と、それが搭載される電子機器を統合的に制御するプロセッサと、通信ユニットと、を有する通信機能を有する電子機器において、前記電池の残量を検出する検出回路であって、
前記電池から放出される電流の大きさをサンプリングし、デジタルの電流値に変換するA/Dコンバータと、
前記電池から放出される電流が増大する期間を示す制御データを、前記プロセッサから受けるインタフェース回路と、
前記制御データにもとづき、前記電流が増大する期間において、前記A/Dコンバータのサンプリング周波数を高くする制御部と、
を備えることを特徴とする検出回路。
【請求項2】
前記電池の電流の経路上に設けられた検出抵抗と、
前記検出抵抗の電圧降下を増幅するアンプと、
をさらに備え、
前記制御部は、前記制御データにもとづき、前記電流が増大する期間において、前記アンプの動作速度を高めることを特徴とする請求項1に記載の検出回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記アンプのバイアス電流を増加させることにより、前記アンプの動作速度を高めることを特徴とする請求項2に記載の検出回路。
【請求項4】
前記A/Dコンバータは、ΔΣ型A/Dコンバータであり、前記制御部は、前記制御データにもとづき、前記電流が増大する期間において、前記A/Dコンバータに対するクロック信号の周波数を高めることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の検出回路。
【請求項5】
A/Dコンバータにより取得された電流値を積算する積分回路をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の検出回路。
【請求項6】
少なくとも、電池と、それが搭載される電子機器を統合的に制御するプロセッサと、通信ユニットと、を有する通信機能を有する電子機器において、前記電池の残量を検出する検出回路であって、
動作速度が可変に構成され、前記電池から放出される電流に応じた検出電圧を増幅するアンプと、
前記アンプの出力をサンプリングし、デジタルの電流値に変換するA/Dコンバータと、
前記電池から放出される電流が増大する期間を示す制御データを、前記プロセッサから受けるインタフェース回路と、
前記制御データにもとづき、前記電流が増大する期間において、前記アンプの動作速度を高めること制御部と、
を備えることを特徴とする検出回路。
【請求項7】
前記制御部は、前記アンプのバイアス電流を増加させることにより、前記アンプの動作速度を高めることを特徴とする請求項6に記載の検出回路。
【請求項8】
電池と、
プロセッサと、
通信ユニットと、
前記電池の残量を検出する請求項1から7のいずれかに記載の検出回路と、
を備えることを特徴とする通信機能を有する電子機器。
【請求項9】
少なくとも、電池と、それが搭載される電子機器を統合的に制御するプロセッサと、通信ユニットと、を有する通信機能を有する電子機器において、前記電池の残量を検出する方法であって、
A/Dコンバータによって、前記電池から放出される電流の大きさをサンプリングし、デジタルの電流値に変換するステップと、
前記プロセッサが、前記電池から放出される電流が増大する期間を示す制御データを生成するステップと、
前記制御データにもとづき、前記電流が増大する期間において、前記A/Dコンバータのサンプリング周波数を高くするステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
少なくとも、電池と、それが搭載される電子機器を統合的に制御するプロセッサと、通信ユニットと、を有する通信機能を有する電子機器において、前記電池の残量を検出する方法であって、
アンプによって、前記電池から放出される電流に応じた検出電圧を増幅するステップと、
前記アンプの出力をサンプリングし、デジタルの電流値に変換するステップと、
前記プロセッサが、前記電池から放出される電流が増大する期間を示す制御データを生成するステップと、
前記制御データにもとづき、前記電流が増大する期間において、前記アンプの動作速度を高めるステップと、
を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−163434(P2012−163434A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24006(P2011−24006)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】