説明

電池用ブリスターパック

【課題】電池用ブリスターパックには、輸送時等における電池の飛散防止が求められている。また、市場では、任意の場所から開封して電池を取り出し可能な電池用ブリスターパックが要求されている。
【解決手段】電池用ブリスターパックでは、台紙2の層間剥離強度が600kPa以上2000kPa以下であり、台紙2とカバー3との剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用ブリスターパック(以下では単に「ブリスターパック」と記す場合がある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乾電池又は充電式電池(以下では単に「電池」と記す。)は、スーパーマーケット又はコンビニエンスストア等の店舗の店頭において、ブリスターパックに収容されて販売されている。このブリスターパックはカバーが台紙の表面に接着されて構成されており、電池はカバーの内面と台紙の表面とで規定された空間内に収容される。
【0003】
このようなブリスターパックには、輸送時又は落下時等における電池の飛散防止が要求されている。電池の飛散により電池ケースが変形する場合があり、その結果、液漏れ等の不具合を引き起こす場合があるからである。そこで、流通中のブリスターパックでは、カバーが台紙に強固に接着されている。
【0004】
しかし、カバーと台紙とが強固に接着されていると、使用時における電池の取り出し難さを招来する。そこで、通常、例えば特許文献1又は2等に開示されているように、開封案内口又は切取線等がブリスターパックに設けられている。
【0005】
特許文献1のブリスターパックでは、2条のミシン目が台紙の一端縁から他端縁に向かって所定の間隔をおいて形成されており、切欠部が保持部(カバー)の鍔状部であって2条のミシン目の間に設けられている。台紙のうち切欠部に対向する部分に力を加えれば、ミシン目を切り裂くことができ、よって、電池を取り出すことができる。
【0006】
特許文献2のブリスターパックでは、カップに、被包装体のほぼ中央に沿った切れ目部が形成されており、カップと台紙との貼り合わせ部に、ミシン目が形成されている。切れ目部に対向する位置で台座シート部を折ると、カップ部が切れ目部で開口され、よって、電池を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−007025号公報
【特許文献2】特開平09−221170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2等のようにミシン目又は切れ目部がカップと台紙との貼り合わせ部に形成されたブリスターパックでは、ミシン目又は切れ目部が上記貼り合わせ部に形成されていないブリスターパックに比べて、上記貼り合わせ部の面積が小さい。そのため、このブリスターパックに衝撃が与えられたときには(落下時又は輸送時等)、上記貼り合わせ部においてカップが台紙から剥がれやすい。それだけでなく、このブリスターパックでは、ミシン目又は切れ目部がカップにも形成されているため、落下時又は輸送時等にはカップがミシン目又は切れ目部において開口しやすい。よって、このブリスターパックでは、輸送時又は落下時等における電池の飛散防止という要求を満足できない場合がある。
【0009】
ところで、流通中のブリスターパックから電池を取り出す方法についてユーザに聞き取り調査を実施したところ、開封案内口に指を入れて台紙とカバーとの接着を解除させる又は切取線を切り裂いて台紙とカバーとの接着を解除させるという回答以外に、カバーを台紙から無理に剥がすという回答があり、その回答が比較的多かった(3割以上)。しかし、流通中のブリスターパックではカバーが台紙に強固に接着されているので、カバーを台紙から無理に剥がすと電池の飛散を引き起こす場合がある。つまり、カバーを台紙から無理に剥がして流通中のブリスターパックから電池を取り出すと、取り出された電池を正常に使用できない場合がある。以上のことから、電池の飛散を伴うことなく任意の場所から開封可能なブリスターパックの実現が求められている。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電池を取り出すときには電池の飛散を伴うことなく任意の場所から開封でき、衝撃が与えられたときであっても開封が防止された電池用ブリスターパックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電池用ブリスターパックでは、カバーの縁部がカバー周方向に亘って台紙に接着されており、台紙の層間剥離強度が600kPa以上2000kPa以下であり、台紙とカバーとの剥離強度(以下では「ブリスターパックの剥離強度」と記す。)が0.125kN/m以上0.20kN/m以下である。これにより、衝撃が与えられた場合であっても、ブリスターパックが開封することを防止できる。また、任意の場所からブリスターパックを開封して電池を取り出すことができる。
【0012】
本発明に係る電池用ブリスターパックでは、台紙の層間剥離強度が800kPa以上1500kPa以下であることが好ましい。これにより、台紙の層間剥離を伴うことなくブリスターパックを開封して電池を取り出すことができる。
【0013】
なお、本明細書における「カバーの縁部がカバー周方向に亘って台紙に接着されている」には、カバーの縁部が文字通り周方向に亘って台紙に接着されている場合だけでなく、カバーの縁部のうちカバー周方向の一部分(開封案内口又は切取線等に相当する部分)以外の部分が台紙に接着されている場合も含む。
【0014】
本明細書における「ブリスターパックの開封」には、台紙とカバーとの接着が解除される場合だけでなく、台紙の一部分がカバーに接着した状態でそのカバーが台紙から剥がれる場合も含まれる。後者には、台紙が層間剥離(互いに接着されている紙層が剥離すること)を起こした場合も含まれる。
【0015】
本明細書における「ブリスターパックの剥離強度」は、ブリスターパックの開封に必要な単位幅当たりの力である。別の言い方をすると、本明細書における「ブリスターパックの剥離強度」には、台紙とカバーとの接着が解除されたときの単位幅当たりの力だけでなく、台紙の一部分がカバーに接着された状態でそのカバーが台紙から剥がれたときの単位幅当たりの力も含まれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電池の飛散を伴うことなく任意の場所からブリスターパックを開封して電池を取り出すことができる。また、衝撃が与えられたときであっても、ブリスターパックの開封を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係るブリスターパックの平面図であり、(b)は図1(a)に示すIB−IB線における断面図であり、(c)は図1(a)に示すIC−IC線における断面図である。
【図2】(a)〜(b)は、ブリスターパックの剥離強度の測定方法の一例を工程順に説明する断面図である。
【図3】台紙の層間剥離強度を測定する際に用いる装置の一例を示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、開封後のブリスターパックの平面図である。
【図5】実施例の結果をまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。
【0019】
図1(a)は本発明の一実施形態に係るブリスターパックの平面図であり、図1(b)は図1(a)に示すIB−IB線における断面図であり、図1(c)は図1(a)に示すIC−IC線における断面図である。
【0020】
本実施形態に係るブリスターパックでは、互いに接着された台紙2とカバー3との間に電池1が収容されている。具体的には、カバー3の鍔状の縁部4がカバー周方向に亘って台紙2の表面に接着されており、電池1は台紙2の表面とカバー3の凹部の内面とで規定される空間6内に収容される。このようなブリスターパックの製造方法は、例えば、カバー3の凹部内に電池1を収納してから、ホットメルト型接着剤(好ましくは塩化ビニル樹脂又はエポキシ基を含む塩化ビニル樹脂)を用いてカバー3の縁部4を台紙2の表面に接着させるというものである。
【0021】
台紙2は、3層の紙層が互いに接着されて構成されたものである。具体的には、表面層21と中間層22とが接着層24を介して接着されており、中間層22と裏面層23とが接着層25を介して接着されている。表面層21は、例えば晒しパルプ又は上白系古紙からなり、例えば50μmの厚みを有している。中間層22は、例えば古紙からなり、例えば0.4mmの厚みを有している。裏面層23は、例えば古紙又はパルプからなり、例えば50μmの厚みを有している。台紙2の具体例としては、0.4mm〜0.7mmの一般的な板紙(片面若しくは両面にコーティング剤が塗布されたカード又は片面にコーティング剤が塗布された白ボール)等を挙げることができる。このような台紙2の上部には吊り下げ用穴2aが形成されており、これにより、店舗等の店頭においてブリスターパックを吊り下げて陳列することができる。
【0022】
カバー3は、樹脂IV値が0.6よりも大きく0.7よりも小さい樹脂(例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂)からなることが好ましい。樹脂IV値が0.6以下であればカバー3に成形することが難しい場合があり、樹脂IV値が0.7以上である樹脂は入手困難である場合がある。
【0023】
また、カバー3の厚みは、0.2mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.23mm以上0.3mm以下であればさらに好ましい。カバー3の厚みが0.2mm未満であればカバー3を台紙2に接着させることが困難となる場合があり、カバー3の厚みが0.5mmよりも大きければ接着させるために多くの熱量が必要となる場合がある。一方、カバー3の厚みが0.23mm以上0.3mm以下であれば、比較的少ない熱量でカバー3を台紙2に接着させることができる。
【0024】
このようなブリスターパックは0.125kN/m以上0.20kN/m以下の剥離強度を有しており、また、台紙2は600kPa以上2000kPa以下の層間剥離強度を有している。以下では、ブリスターパックの剥離強度及び台紙2の層間剥離強度の各測定方法を説明してから、本実施形態に係るブリスターパックをさらに説明する。
【0025】
ブリスターパックの剥離強度は、180度剥離試験によって測定され、例えば次に示す方法に従って測定される。図2(a)〜図2(b)は、ブリスターパックの剥離強度の測定方法の一例を工程順に示す断面図である。
【0026】
まず、幅が2cmとなるようにブリスターパックを切断する。これにより、図2(a)に示すように、カバー103の第1鍔部104Aと第2鍔部104Bとが台紙102に接着された試験片が得られる。ここで、試験片の幅を2cmとした理由は、台紙2とカバー3との接着を解除させるときには、多くの場合、親指と人差し指とでカバー3をつまむからであり、人間の親指の幅は2cm程度であるからである。
【0027】
次に、台紙102とカバー103の第2鍔部104Bとの接着を解除させた後、カバー103の第2鍔部104Bを持ってカバー103をめくる。このとき、図2(b)に示すように、カバー103が台紙102の表面に沿うようにカバー103を変形させれば良い。それから、所定の速度(例えば100mm/分)でカバー103の第2鍔部104Bと台紙102の端部102Bとを互いに逆方向に引っ張る。そして、台紙102とカバー103との接着が解除される直前の力、又は、台紙102の一部分がカバー103に接着された状態でそのカバー103が台紙102から剥がれる直前の力を求め、その力を試験片の幅(この場合2cm)で割る。これにより、ブリスターパックの剥離強度が得られる。
【0028】
台紙2の層間剥離強度は、TAPPI UM522に従って測定され、例えば図3に示す装置を用いて測定される。図3は、台紙2の層間剥離強度を測定する際に用いる装置の一例を示す断面図である。具体的には、まず、台紙2をドーナツ状に切り抜いて試験片202とし、試験片202の各面に両面テープを貼り付ける。次に、この試験片202を環状円板301と無孔円板302とで挟んで環状円板301及び無孔円板302に接着させる。その後、クランプ303を用いて図3の上下方向から環状円板301を挟み、試験片202が剥離するまでゴム隔膜304を無孔円板302に加圧させる。試験片202が剥離する直前の圧力(最大の圧力)が試験片202の層間剥離強度である。
【0029】
本実施形態に係るブリスターパックの説明に話を戻す。上述のように、本実施形態に係るブリスターパックの剥離強度は0.125kN/m以上0.20kN/m以下であり、本実施形態における台紙2の層間剥離強度は600kPa以上2000kPa以下である。よって、本実施形態に係るブリスターパックに衝撃が与えられたときであっても、ブリスターパックの開封を防止できる。また、任意の場所から本実施形態に係るブリスターパックを開封して電池1を取り出すことができる。これらのことは、以下に示すように、本発明者が鋭意検討した結果得られたことである。
【0030】
市場では、任意の場所から開封可能なブリスターパックが要求されている。しかし、流通中のブリスターパックは、任意の場所においてカバーと台紙との接着を解除できるように設計されておらず(カバーを台紙から無理に剥がして電池を取り出せるように設計されておらず)、落下時等においてカバーと台紙との接着が解除されないように設計されているに過ぎない。そのため、流通中のブリスターパックでは、落下時等においても台紙とカバーとの接着を維持するために必要な最小の力よりも大きな力で、カバーが台紙に接着されている可能性がある。これらのことから、市場のニーズに応えつつ落下時等における電池の飛散を防止するためには、カバーと台紙との接着力を最適化する必要があると考えられる。
【0031】
ところが、ブリスターパックを構成する台紙では、2層以上の紙層が互いに接着されている。そのため、台紙とカバーとの接着力が最適化されても台紙を構成する紙層間における接着力(台紙の層間剥離強度)が非常に小さければ、落下時等において台紙が層間剥離を起こす場合がある。また、台紙とカバーとの接着を解除させるときには、台紙とカバーとの接着力だけでなく台紙の層間剥離強度も作用する。これらのことから、台紙とカバーとの接着力を最適化するだけでは不十分であり、台紙とカバーとの接着力と台紙の層間剥離強度との両方を考慮する必要がある。以上のことから、本発明者はブリスターパックの剥離強度に着目してその最適化を試みた。
【0032】
ブリスターパックの剥離強度を最適化するに当たり流通中のブリスターパックの剥離強度を測定したところ、A社製のブリスターパックの剥離強度は約0.235kN/mであり、B社製のブリスターパックの剥離強度は約0.28kN/mであり、C社製のブリスターパックの剥離強度は約0.36kN/mであった。流通中のブリスターパックでは、必要以上に大きな力で台紙とカバーとが接着されていると考えられる。よって、ブリスターパックの剥離強度が0.235kN/m未満であっても落下時等におけるブリスターパックの開封を防止できる可能性があると考えられる。また、ブリスターパックの剥離強度には台紙の層間剥離強度及び台紙とパックとの接着力が含まれていることを考慮すると、台紙の層間剥離強度又は台紙とパックとの接着条件等を変更すればブリスターパックの剥離強度を変更できると考えられる。そこで、本発明者は、台紙の種類又は台紙とパックとの接着条件等を変更して剥離強度が0.235kN/m未満(具体的には0.1kN/m以上0.225kN/m以下)である種々のブリスターパックを作製し、得られたブリスターパックに対して落下試験及び開封試験を行った。そして、以下に示す結果を得た。
【0033】
落下試験では、剥離強度が0.125kN/m未満であるブリスターパックを落下させるとブリスターパックが開封する場合があったが、剥離強度が0.125kN/m以上であるブリスターパックを落下させてもブリスターパックの開封を防止できた。
【0034】
開封試験では、剥離強度が0.20kN/m以下であるブリスターパックを任意の場所から容易に開封することができたが、剥離強度が0.20kN/mよりも大きいブリスターパックを任意の場所から開封することは困難であった。
【0035】
以上本発明者が鋭意検討したことをまとめると、開封案内口又は切取線等の有無に関係なくカバーを台紙から無理に剥がしてブリスターパックを開封しようとするユーザが多いという現状を踏まえ、任意の場所から開封して電池を取り出し可能なブリスターパックの実現が必要である,と考えた。一方、ブリスターパックには、衝撃が与えられたときであっても開封を防止するということが要求されている。この相反する作用を同時に奏するブリスターパックを実現させるために、本発明者は、従来では着目すらされなかったブリスターパックの剥離強度という物理量に着目し、ブリスターパックの剥離強度を最適化させた。その結果、ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下であれば、落下等の衝撃が与えられたときであってもブリスターパックの開封を防止でき、電池を取り出すときには任意の場所からブリスターパックを開封できる,という結論に至った。以下では、ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となるための好ましい条件を説明する。
【0036】
ブリスターパックの剥離強度には、台紙2の層間剥離強度と台紙2とカバー3との接着力とが含まれている。そのため、台紙2の層間剥離強度又は台紙2とカバー3との接着条件を適宜変更すれば、ブリスターパックの剥離強度を0.125kN/m以上0.20kN/m以下の範囲内におさめることができる,と考えられる。
【0037】
まず、台紙2の層間剥離強度について説明する。
【0038】
台紙2の層間剥離強度は600kPa以上2000kPa以下であれば良い。台紙2の層間剥離強度が600kPa未満であれば、衝撃が与えられたときに台紙2が層間剥離を起こす場合があり、そのため、ブリスターパックの剥離強度を0.125kN/m以上とすることが難しい場合がある。一方、層間剥離強度が2000kPaを超える台紙2は、一般に、抄紙されにくい。
【0039】
なお、台紙2は製紙メーカーから購入したものを使用する場合が多いため、台紙2の層間剥離強度を電池製造メーカーで制御することは難しい。そこで、実際には、層間剥離強度が600kPa以上2000kPa以下である台紙2を購入し、台紙2とカバー3との接着条件(以下単に「接着条件」と記す。)を制御して、ブリスターパックの剥離強度を0.125kN/m以上0.20kN/m以下の範囲内におさめることが好ましい。では、接着条件について説明する。
【0040】
接着条件は、台紙2とカバー3とを接着させる接着剤の材料及び塗布量、台紙2とカバー3とを接着させるときの温度、圧力及び時間、並びに、接着剤を乾燥させるときの温度及び時間等が挙げられる。以下、順に説明する。
【0041】
接着剤の材料としては、ホットメルト型接着剤であることが好ましく、例えば塩化ビニル樹脂又はエポキシ基を有する塩化ビニル樹脂であれば良い。
【0042】
接着剤の塗布量は、接着力が接着剤自身の接着能又は接着条件等にも依存するので一概には言えないが、例えば3.0g/mよりも多く4.5g/m未満であることが好ましい。
【0043】
塗布量が3.0g/m以下であれば、台紙2とカバー3との接着力を十分に確保できない場合があり、そのため、ブリスターパックの剥離強度を0.125kN/m以上とすることが難しい場合がある。塗布量が3.0g/mよりも多くなるにつれて、台紙2とカバー3との接着力が大きくなるので、ブリスターパックの剥離強度が大きくなる。しかし、接着剤の塗布量が4.5g/m以上となると、輸送時等に台紙2とカバー3とでブロッキング現象を起こして、台紙2からのインキ剥がれ及びカバー3へのインキ付着が発生し、外観を損ねる場合がある。また、接着剤の乾燥に要する時間が長くなるので、作業効率の低下を引き起こす場合がある。さらに、台紙2とカバー3との接着力が大きくなったためにブリスターパックの剥離強度が0.20kN/mを超える場合がある。
【0044】
台紙2とカバー3とを接着させるときの温度(接着温度)は、接着力が接着剤自身の接着能又は接着温度以外の接着条件等にも依存するので一概には言えないが、例えば130℃以上150℃以下であることが好ましい。
【0045】
接着温度が130℃未満であれば、接着剤の活性化を十分に図ることが難しい場合があるので、台紙2とカバー3との接着力を確保することが難しい場合がある。そのため、ブリスターパックの剥離強度を0.125kN/m以上とすることが難しい場合がある。接着温度が130℃よりも高くなるにつれて、台紙2とカバー3との接着力が大きくなるので、ブリスターパックの剥離強度が大きくなる。しかし、接着温度が150℃を超えると、カバー3の変形(例えばカバー3の収縮)を引き起こす場合がある。そのため、台紙2とカバー3とを接着させることが困難であるという不具合、又は、内部に収容されている電池1の外装ラベルとカバー3とが溶着してしまうという不具合を引き起こす場合がある。
【0046】
台紙2とカバー3との接着に要する圧力(接着圧力)は、接着力が接着剤自身の接着能又は接着圧力以外の接着条件等にも依存するので一概には言えないが、例えば0.5kg/cm以上0.6kg/cm以下であることが好ましい。
【0047】
接着圧力が0.5kg/cm未満であれば、カバー3を台紙2に強固に接着させることが難しい場合があり、そのため、ブリスターパックの剥離強度を0.125kN/m以上とすることが難しい場合がある。接着圧力が0.5kg/cmよりも高くなるにつれて、台紙2とカバー3との接着力が大きくなるので、ブリスターパックの剥離強度が大きくなる。しかし、接着圧力が0.6kg/cmよりも大きくなると、台紙2とカバー3とを接着させるために使用する設備が大掛かりとなる場合がある。また、台紙2とカバー3との接着力が大きくなりすぎる場合があり、そのため、ブリスターパックの剥離強度を0.20kN/m以下とすることが難しい場合がある。
【0048】
台紙2とカバー3との接着に要する時間(接着時間)は、接着剤の活性し易さが接着剤の材料等にも依存するので一概には言えないが、例えば、4秒以上であることが好ましく、4秒以上6秒以下であることが好ましい。
【0049】
接着時間が4秒未満であれば、接着剤が活性し難い場合があり、そのため、ブリスターパックの剥離強度を0.125kN/m以上とすることが難しい場合がある。接着時間が4秒よりも長くなるにつれて、台紙2とカバー3との接着力が大きくなるので、ブリスターパックの剥離強度が大きくなる。しかし、接着時間が6秒を超えると、作業効率の低下を引き起こす場合がある。
【0050】
接着剤を乾燥させるときの温度(乾燥温度)は、一概には言えないが、例えば20℃以上40℃以下であれば良い。
【0051】
乾燥温度が20℃未満であれば、接着剤の乾燥に時間を要するため、作業効率の低下を引き起こす場合がある。乾燥温度が20℃よりも高くなるにつれて、接着剤の乾燥に要する時間の短縮化を図ることができるので、作業効率の向上を図ることができる。しかし、乾燥温度が40℃を超えると、接着剤に含まれる溶剤が突沸して塗工面が荒れる場合がある。
【0052】
接着剤の乾燥に要する時間(乾燥時間)は、接着力が接着剤自身の接着能又は乾燥時間以外の接着条件等にも依存するので一概には言えないが、例えば1時間以上10時間以下であれば良い。
【0053】
乾燥時間が1時間未満であれば、接着剤を十分に乾燥させることが難しい場合があるので、ブリスターパックの剥離強度を0.125kN/m以上にすることが難しい場合がある。乾燥時間が1時間よりも長くなるにつれて、接着剤を十分に乾燥させることができるので、ブリスターパックの剥離強度が大きくなる。しかし、乾燥時間が10時間を超えると、作業効率の低下を引き起こす場合がある。
【0054】
全ての接着条件が上述の対応する好ましい範囲内にあり、且つ、台紙2の層間剥離強度が600kPa以上2000kPa以下であれば、ブリスターパックの剥離強度は0.125kN/m以上0.20kN/m以下となる。しかし、接着条件が上述の対応する好ましい範囲から外れていたとしてもブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となる場合がある。
【0055】
例えば、接着時間、乾燥温度及び乾燥時間が上述の対応する好ましい範囲の上限値より大きくても、ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となる場合がある。なぜならば、これらの接着条件の好ましい範囲の上限値は、作業効率の向上を図る等の理由から設定されているからである。
【0056】
また、1つの接着条件が上述の対応する好ましい範囲から外れている場合であっても、剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となる場合がある。
【0057】
特に、台紙2の層間剥離強度が大きいときには(例えば、台紙2の層間剥離強度が1500kPa以上であるときには)、1つの接着条件(好ましくは接着剤の塗布量、接着圧力又は接着温度)が上述の対応する好ましい範囲の下限値を下回っていても、ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となる場合がある。実際、本発明者は、接着剤の塗布量が3.0g/m以下であってもブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となる場合があることを確認している。その理由としては、次に示すことが考えられる。台紙2の層間剥離強度が1500kPa以上であるときには、ブリスターパックの剥離強度に対する台紙2の層間剥離強度の寄与が比較的大きいと考えられる。そのため、台紙2とカバー3との接着力が若干小さくなっても、ブリスターパックの剥離強度を上記範囲内におさめることができる。
【0058】
同様に、台紙2の層間剥離強度が小さいときには(例えば、台紙2の層間剥離強度が800kPa以下であるときには)、1つの接着条件(好ましくは接着剤の塗布量、接着圧力又は接着温度)が上述の対応する好ましい範囲の上限値を上回っていても、ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となる場合がある。
【0059】
また、ある接着条件が上述の対応する好ましい範囲の下限値よりも下回っている一方、別の接着条件が上述の対応する好ましい範囲の上限値よりも上回っている場合には、互いの効果が相殺されてブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となる場合がある。実際、本発明者は、接着剤の塗布量が3.0g/m以下である一方接着温度が150℃を超えているときに、ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となる場合があることを確認している。
【0060】
しかし、少なくとも1つの接着条件が上述の対応する好ましい範囲から著しく逸脱している場合(少なくとも1つの接着条件が上述の対応する好ましい範囲の下限値の例えば1/2倍以下である場合、又は、少なくとも1つの接着条件が上述の対応する好ましい範囲の上限値の例えば1.5倍以上である場合)には、ブリスターパックの剥離強度を0.125kN/m以上0.20kN/m以下の範囲内とすることが難しいと考えられる。
【0061】
以上、接着条件が上述の対応する好ましい範囲から外れていたとしてもブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となると考えられる場合を中心に説明したが、実際には、次に示す方法に従ってブリスターパックを設計することが好ましい。
【0062】
まず、ブリスターパックの試作品を作製する。具体的には、層間剥離強度が600kPa以上2000kPa以下の台紙を用意し、樹脂IV値が0.6よりも大きく0.7よりも小さい樹脂製のカバー(厚みは0.2mm以上0.5mm以下である)を用意する。次に、各接着条件を上述の対応する好ましい範囲から大きく外れないように設定して、カバーを台紙に接着させる。これにより、ブリスターパックの試作品が作製される。
【0063】
次に、ブリスターパックの試作品の剥離強度を測定する。測定された剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下であれば、所望の効果を奏するブリスターパックが設計されたことになる。
【0064】
一方、ブリスターパックの試作品の剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下の範囲から外れていれば、接着条件を変更して、可能であれば層間剥離強度の異なる台紙を用いて、ブリスターパックの試作品を再作製する。例えばブリスターパックの試作品の剥離強度が0.125kN/m未満であれば、台紙とカバーとの接着力が大きくなるように接着条件を変更して(接着剤を接着能に優れた接着剤に変更する、接着剤の塗布量を増やす、又は、接着圧力を大きくする等)、ブリスターパックの試作品を再作製する。層間剥離強度の大きな台紙を用意できるのであれば、その台紙を用いてブリスターパックの試作品を再作製しても良い。
【0065】
続いて、再作製されたブリスターパックの試作品の剥離強度を測定する。測定された剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下であれば、所望の効果を奏するブリスターパックが設計されたことになる。
【0066】
一方、上記測定された剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下の範囲から外れていれば、接着条件を変更してブリスターパックの試作品を作製し、その剥離強度を測定する。勿論、層間剥離強度の異なる台紙を用意できるのであれば、層間剥離強度の異なる台紙を用いてブリスターパックの試作品を作製し、その剥離強度を測定する。このように、ブリスターパックの試作品の剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下となるまで、接着条件を変更し又は層間剥離強度の異なる台紙を用意してブリスターパックの試作品を作製するというステップと、作製されたブリスターパックの剥離強度を測定するというステップとを繰り返せば良い。
【0067】
ところで、台紙2の層間剥離強度が800kPa以上1500kPa以下であれば、以下に示すように、台紙2が層間剥離を起こすことなくブリスターパックを開封して電池1を取り出すことができる。
【0068】
図4(a)〜図4(c)は、開封後のブリスターパックの平面図である。図4(a)〜図4(c)の各図において、左側には剥離面から台紙2側を見たときの平面図を記載しており、右側には剥離面からカバー3側を見たときの平面図を記載している。図4(a)〜図4(c)の各図では、ブリスターパックを開封する前は、左側の平面図の「X」と右側の平面図の「X」とが接着されており、左側の平面図の「Y」と右側の平面図の「Y」とが接着されていた。
【0069】
台紙2の層間剥離強度が800kPa未満であり、且つ、ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下であれば、ブリスターパックの剥離強度に対する寄与は台紙2の層間剥離強度の方が台紙2とカバー3との接着力よりも小さいと考えられる。そのため、図4(a)に示すように、電池1を取り出すときに台紙2で層間剥離が生じる場合がある。図4(a)には、表面層21が中間層22から剥離した状態を図示している。
【0070】
図4(a)に示す場合であっても、電池1の飛散を伴うことなく任意の場所からブリスターパックを開封して電池1を取り出すことができる。しかし、この場合には、カバー3側の台紙2(表面層21)を破かなければ電池1を取り出すことができないため、電池1を取り出すまでに時間がかかる。また、昨今、紙と樹脂とを分別して廃棄することが望まれているが、図4(a)に示す場合では紙(台紙2)と樹脂(カバー3)との分別廃棄を行うことが難しい。
【0071】
一方、台紙2の層間剥離強度が800kPa以上1500kPa以下であり、且つ、ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下であれば、ブリスターパックの剥離強度に対する寄与は台紙2の層間剥離強度と台紙2とカバー3との接着力とで同程度である又は台紙2の層間剥離強度の方が台紙2とカバー3との接着力よりも大きいと考えられる。そのため、電池1を取り出すときには、図4(b)に示すように台紙2の一部分がカバー3の縁部4にのみ接着された状態でカバー3が台紙2から剥離される、又は、図4(c)に示すように台紙2とカバー3との接着が解除される。これにより、ブリスターパックの開封と同時に電池1をブリスターパックから取り出すことができ、また、紙と樹脂とを容易に分別廃棄できる。図4(c)に示す場合においては、紙と樹脂とを完全に分別廃棄することができる。
【0072】
以上をまとめると、本実施形態に係るブリスターパックに落下等の衝撃が与えられた場合であっても、ブリスターパックの開封を防止できるので、落下時等における電池1の飛散を防止できる。
【0073】
また、任意の場所から本実施形態に係るブリスターパックを開封して電池1を取り出すことができるので、電池1の飛散を伴うことなく本実施形態に係るブリスターパックを開封できる。従って、本実施形態では、開封案内口又は切取線等を設けることなくブリスターパックの開封容易性を確保できるので、市場のニーズに応えたブリスターパックを低価格で実現することができる。
【0074】
さらに、台紙2の層間剥離強度が800kPa以上1500kPa以下であれば、ブリスターパックの開封と同時に電池をブリスターパックから取り出すことができ、また、紙と樹脂との分別廃棄を容易に行うことができる。よって、電池1の取り出し性に優れ、且つ、環境に優しいブリスターパックを実現できる。
【0075】
なお、本実施形態は、以下に示す構成を備えていても良い。
【0076】
カバー3は、台紙2の表面全体を覆うようにその表面に接着されていても良く、また、台紙2の裏面に接着されていても良い。
【0077】
カバー3の縁部4は、周方向の一部分以外の部分において台紙2の表面に接着されていても良い。つまり、ブリスターパックに開封案内口又は切取線が形成されていても良い。これにより、ブリスターパックの開封容易性をさらに向上させることができる。なお、ブリスターパックを低価格で提供するためには、本実施形態に係るブリスターパックのように開封案内口又は切取線を形成しない方が良い。
【0078】
カバー3の縁部4は、カバー周方向の一部分において形成されていなくても良い。
【0079】
カバー3の縁部4は、鍔状に限定されない。しかし、カバー3の縁部4が鍔状に形成されていれば、別の言い方をすると、カバー3の縁部4がカバー3の凹部端部から凹部外側へ向かって延びていれば、台紙2とカバー3との接着面積を確保することができる。また、カバー3の縁部4を指でつまむことができるので、電池1を取り出すときにブリスターパックを開封しやすい。
【0080】
電池1は、店舗の店頭等において販売される電池であれば良く、例えばアルカリ電池、マンガン電池、又は、ニッケル水素電池である。後述の実施例では、単3形アルカリ電池が4本収容されたブリスターパックについて落下試験及び開封試験等を行っているが、ブリスターパックに収容される電池1の本数及びその大きさに限定されないことは言うまでもない。
【0081】
電池1は、シュリンクパックに梱包された状態でブリスターパックの空間6内に収容されていても良い。これにより、輸送時等において、電池1がブリスターパックの空間6内で回転することを防止できる。よって、店舗等の店頭では、電池の外周表面を揃えて陳列することができる。また、購入時には、電池の外周表面に印刷された電池の種類、グレード及び製造者名等を視認することができる。
【0082】
台紙2を構成する紙層の層数は3層に限定されない。また、各紙層を構成する材料は上記材料に限定されず、各紙層の厚みは上記数値に限定されない。
【0083】
台紙2の表面に、顧客の購買意欲を鼓舞するメッセージ又は電池の性能が表示されていることが好ましい。また、台紙2の表面上又は裏面上に、電池の製造情報、流通情報及び販売情報等が記録されたバーコードが形成されていることが好ましい。
【0084】
台紙2には、吊り下げ用穴2aが形成されていなくても良い。
【実施例】
【0085】
本実施例では、単3形アルカリ電池を4本収容可能なブリスターパックを作製し、作製されたブリスターパックに対して落下試験、保管試験及び開封試験を行い、また、開封状態を観察した。
【0086】
1.ブリスターパックの作製方法
(1)ブリスターパック1の作製方法
まず、厚みが0.5mmである台紙(日本大昭和板紙(株)製「JETエース」)を用意し、厚みが0.3mmであるカバー(ウツミリサイクル(株)製「サイテックシートBL」(3層PET,100%再生品含有))を用意した。
【0087】
次に、塗布量が4.5g/mとなるように、接着剤(荒川塗料工業(株)製「5508」)をカバーの縁部に塗布した。その後、30℃で10時間に亘って接着剤を乾燥させた。カバーの凹部に単3形のアルカリ電池を4本収容してから、接着剤が塗布された面に台紙の表面を対向させ、140℃の環境下、0.6kg/cmの圧力で5秒間、カバーを台紙の表面に接着させた。このようにして、ブリスターパック1を作製した。
【0088】
(2)ブリスターパック2〜33の作製方法
図5に示すように条件を変更したことを除いてはブリスターパック1の作製方法と同様にして、ブリスターパック2〜33をそれぞれ作製した。
【0089】
なお、図5における「台紙」は何れも日本大昭和板紙(株)製である。
【0090】
また、図5における「接着剤」の「材料」において、「A」は荒川塗料工業(株)製「5508」であり、「B」は日本化工塗料(株)製「BP38−1」である。
【0091】
また、図5における「樹脂カバー」の「材料」において、「X」はNANYA Corp.製「2AFVB」(3層PET(poly(ethylene terephthalate)),100%バージン)であり、「Y」はウツミリサイクル(株)製「サイテックシートBL」(3層PET,80%再生品含有)であり、「Z」はウツミリサイクル(株)製「サイテックシートBL」(3層PET,100%再生品含有)である。
【0092】
2.作製したブリスターパックの剥離強度の測定方法
図2(a)〜図2(b)に示す方法に従って、且つ、引張速度を100mm/分として、ブリスターパックの剥離強度を測定した。その結果を図5における「剥離強度」に示す。なお、図5には、幅で規格化する前の値を記している。
【0093】
3.作製したブリスターパックの評価方法
(1)落下試験
常温下で、60cmの高さから、ブリスターパックを自由落下させた。自由落下後のブリスターパックを見て、ブリスターパックが開封していない場合を「OK」とし、ブリスターパックが開封している場合を「NG」とした。その結果を図5における「落下試験」に示す。
【0094】
(2)保管試験
常温環境下で2ヶ月間、ブリスターパックを吊り下げた。2ヶ月保管後のブリスターパックを見て、ブリスターパックが開封していない場合を「OK」とし、ブリスターパックが開封している場合を「NG」とした。その結果を図5における「保管試験」に示す。
【0095】
(3)開封試験
複数の被験者によるブリスターパックの開封容易性を調べた。電池の飛散を伴うことなく任意の場所からブリスターパックを開封できた場合を「OK」とし、ブリスターパックを開封できなかった場合又はブリスターパックを開封できたが電池が飛散した場合を「NG」とした。その結果を図5における「開封試験」に示す。
【0096】
(4)開封状態の確認
開封後のブリスターパックを見て、図4(a)に該当するものを「I」とし、図4(b)に該当するものを「II」とし、図4(c)に該当するものを「III」とした。その結果を図5における「開封状態」に示す。
【0097】
4.結果及び考察
図5に結果を示す。
【0098】
ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m未満であれば(図5に示す剥離強度が2.5N/2cm未満であれば)、落下試験又は落下試験及び保管試験においてNGであった。また、ブリスターパックの剥離強度が0.20kN/mを超えると(図5に示す剥離強度が4.0N/2cmを超えると)、落下試験及び保管試験ではOKであったが、開封試験においてNGであった。
【0099】
一方、ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下であれば(図5に示す剥離強度が2.5N/2cm以上4.0N/2cm以下であれば)、衝撃が与えられたときにブリスターパックが開封することを防止でき、また、電池の飛散を伴うことなくブリスターパックを開封して電池を取り出すことができる,ということが確認された。
【0100】
さらに、ブリスターパック8〜33では、開封状態はII(図4(b))又はIII(図4(c))であった。このことから、ブリスターパックの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下であり、且つ、台紙の層間剥離強度が800kPa以上1500kPa以下であれば、台紙が層間剥離を起こすことなくブリスターパックを開封して電池を取り出すことができる,ということが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上説明したように、本発明は、落下時等における収容物の飛散防止及び開封容易性が要求されるブリスターパックに有用である。
【符号の説明】
【0102】
1 電池
2 台紙
3 カバー
4 縁部
6 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接着された台紙とカバーとの間に電池が収容された電池用ブリスターパックであって、
前記カバーの縁部がカバー周方向に亘って前記台紙に接着されており、
前記台紙の層間剥離強度が600kPa以上2000kPa以下であり、
前記台紙と前記カバーとの剥離強度が0.125kN/m以上0.20kN/m以下である電池用ブリスターパック。
【請求項2】
請求項1における電池用ブリスターパックであって、
前記台紙の層間剥離強度が800kPa以上1500kPa以下である電池用ブリスターパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−173636(P2011−173636A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40450(P2010−40450)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】