説明

電池蓋ロック機構及びそれを用いた電子装置

【課題】ロック機構が弱まりにくく、電池蓋を容易に着脱できる電池蓋ロック機構及びそれを用いた電子装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る電池蓋ロック機構は、電池蓋を電子装置のハウジングにロックするために用いられ、且つ前記ハウジングに装着されるスライド部材と、押圧部材と、電池蓋に設けられるフックと、を備える。前記スライド部材には、前記フックに係合される係止用ブロックが設けられる。前記押圧部材は、前記スライド部材のスライド方向に直交する方向に沿って移動可能に前記スライド部材に装着される。前記押圧部材を押圧すると、前記スライド部材が前記押圧部材に押圧されて前記電池蓋から離れるようにスライドすることによって、前記電池蓋のフックと前記係止用ブロックとの係合が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池蓋ロック機構及びそれを用いた電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、広く用いられている携帯電話及び携帯情報端末(PDA)等の携帯式電子装置は、一般的にリチウム電池を電源として用いる。通常、リチウム電池を携帯式電子装置の本体に設けられた収容凹部に収納してから、電池蓋を前記本体に係合させてリチウム電池を保護する。しかし、前記携帯式電子装置に電力を供給するリチウム電池の容量がなくなると、たびたび電池蓋を取り外して電池を取り換えらなければならない。従って、携帯式電子装置の本体に容易に着脱できる電池蓋のロック機構が望まれている。
【0003】
従来の電池蓋は、一般的にクリップ又はロックピン等を介して携帯式電子装置の本体に設けられたスロットに係合されている。このタイプの電池蓋のロック機構は、構造が簡単であるが、頻繁な開放及びロック操作によって、クリップとスロットとの係合が弱まり易い。さらに、前記電池蓋のロック機構は、取り外し操作に時間と力とを必要とし、ユーザにとって不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、ロック機構が弱まりにくく、電池蓋を容易に着脱できる電池蓋ロック機構及びそれを用いた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電池蓋ロック機構は、電池蓋を電子装置のハウジングにロックするために用いられ、且つ前記ハウジングに装着されるスライド部材と、押圧部材と、電池蓋に設けられるフックと、を備える。前記スライド部材には、前記フックに係合される係止用ブロックが設けられる。前記押圧部材は、前記スライド部材のスライド方向に直交する方向に沿って移動可能に前記スライド部材に装着される。前記押圧部材を押圧すると、前記スライド部材が前記押圧部材に押圧されて前記電池蓋から離れるようにスライドすることによって、前記電池蓋のフックと前記係止用ブロックとの係合が解除される。
【0006】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る電子装置は、ハウジング、前記ハウジングに被せてロックされる電池蓋及び電池蓋ロック機構を備える。前記電池蓋ロック機構は、前記ハウジングに装着されるスライド部材と、押圧部材と、電池蓋に設けられるフックと、を備える。前記ハウジングには、貫通穴が設けられ、前記スライド部材には、係止用ブロックが設けられる。前記係止用ブロックは、前記貫通穴を貫通して前記フックと互いに係合する。前記押圧部材は、前記スライド部材のスライド方向に直交する方向に沿って移動可能に前記スライド部材に装着される。前記押圧部材を押圧すると、前記スライド部材が前記押圧部材に押圧されて前記電池蓋から離れるようにスライドすることによって、前記電池蓋のフックと前記係止用ブロックとの係合が解除される。
【発明の効果】
【0007】
従来の技術に比べて、本発明の電池蓋ロック機構は、押圧部材を介してスライド部材をスライドさせることにより、電池蓋のフックと電子装置のハウジングに設けられた係止用ブロックとを互いに係合させ或いは両者の係合を解除する。これにより、電池蓋のフックとハウジングの係止用ブロックとの摩損が軽減され、押しボタンを押すだけで前記電池蓋をロック状態から解除できるので、電池蓋の着脱操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の電池蓋ロック機構を備える電子装置の部分的な分解図である。
【図2】図1に示した電子装置を別の視点から見た分解図である。
【図3】図1に示した電子装置の組立図である。
【図4】図3に示した電子装置のIV−IV線に沿う断面図であり、電池蓋ロック機構はロック状態にある。
【図5】図3に示した電子装置の電池蓋ロック機構のロック状態が解除される過程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の電池蓋ロック機構は、携帯電話及び個人用携帯情報端末(PDA)等の電子装置に用いられる。本発明は、携帯電話を例として説明する。以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る電池蓋ロック機構について詳細に説明する。
【0010】
図1及び図2に示したように、本発明の電子装置は、ハウジング10及びこのハウジング10に係合される電池蓋20を備える。本発明に係る電池蓋ロック機構は、前記ハウジング10に装着されて、前記電池蓋20を前記ハウジング10にロックする役割を果たし、且つ前記電池蓋20に設けられるフック23、ベース部30、スライド部材40、押圧部材50、第一弾性部材60及び第二弾性部材70を備える。
【0011】
前記ハウジング10は、主体部11、対向する2つの端壁12、対向する2つの側壁13及び電池収容凹所15を備える。前記主体部11は、対向して配置されている外面111及び内面113を有する。2つの前記端壁12及び2つの前記側壁13は、それぞれ前記主体部11の周縁に直交して延伸してなり、且つ順次に滑らかに連接する。前記電池収容凹所15は、側壁151を備え、前記主体部11の外面111から内面113に向かって窪んで形成される。前記電池収容凹所15の前記側壁151と1つの端壁12との間には、収容空間14(図2を参照)が形成されている。前記外面111における前記電池収容凹所15の長手方向の両側には、前記電池蓋20を装着する場合に前記電池蓋20の2つの翼部22に嵌合される嵌合部153が設けられる。
【0012】
前記ハウジング10には、押しボタン穴16、矩形凹所17、収容凹所18及び係止部19が設けられている。前記押しボタン穴16は、前記電池収容凹所15と1つの端壁12との間に設けられる。前記矩形凹所17は、前記電池収容凹所15の前記押しボタン穴16に近接する一端の中部から窪んで形成され、且つ前記電池収容凹所15の側壁151の一部を貫通する。前記矩形凹所17は、底壁171を有する。前記収容凹所18は、前記底壁171に設けられる。
【0013】
前記係止部19は、貫通穴191、スロット193及び突出部195を備える。前記貫通穴191は、前記矩形凹所17の長手方向の側壁に設けられて、前記収容空間14と前記収容凹所18とを連通させる。前記スロット193は、前記収容空間14内に位置する前記電池収容凹所15の外壁に設けられ、且つ前記貫通穴191と上下方向で離間して平行に配列されている。前記突出部195は、前記スロット193の位置に対応するように1つの前記端壁12の内面に突設される。
【0014】
前記電池蓋20は、2つの翼部22を有する矩形のカバーボード21を備える。前記翼部22は、前記カバーボード21の両側を少々折り曲げられて形成される。前記カバーボード21の一端の内面の中部には、フック23が設けられている。前記電池蓋20が前記電池収容凹所15に被せられた後、2つの前記翼部22は前記嵌合部153内に嵌合される。
【0015】
前記ベース部30は、矩形の底板31と、この底板31の両辺から垂直に突出する2つの側板32と、2つの前記側板32の間の底板31に設けられる矩形のブロック33と、前記ブロック33に隣接して前記底板31に設けられる凹溝34と、前記底板31の延在方向に沿って前記底板31の一端の側面に設けられるリブ35と、を備える。前記リブ35は、前記スロット193に係合され、前記底板31の他端は、前記突出部195に係止される。
【0016】
前記スライド部材40は、筐体41、第一楔形壁42、係止用ブロック43及び第一柱体44を備える。前記筐体41は、それぞれ対向して配置される2つの側壁及び2つの端壁411と、貫通開口412と、を備える。前記第一楔形壁42は、1つの前記端壁411の内面から前記貫通開口412に向かって傾斜して形成されてなる。前記係止用ブロック43及び前記第一柱体44は、2つの前記端壁411の外面にそれぞれ突設される。前記スライド部材40全体は、前記ブロック33の上面に当止されるように前記ベース部30の2つの側板32の間に装着される。
【0017】
前記押圧部材50は、基体51、第二楔形壁52、押しボタン54及び第二柱体55を備える。前記基体51は、断面が台形を呈する板体であり、対向して配置された第一表面511及び第二表面512を備える。前記第二楔形壁52は、前記基体51の1つの端面を構成し、前記第二表面512の一端から前記第一表面511に向かって傾斜して形成される。前記押しボタン54は、前記基体51の第一表面511から突出して形成される。前記第二柱体55は、前記押しボタン54の位置に対応して前記基体51の第二表面512に突設される。
【0018】
前記第一弾性部材60及び前記第二弾性部材70は、全て螺旋ばねである。前記第一弾性部材60は、前記第一柱体44に巻かれて設置される。前記第二弾性部材70は、前記第二柱体55に巻かれて設置される。
【0019】
図3及び図4に示したように、前記電池蓋ロック機構を前記ハウジング10に装着する場合、まず、前記押圧部材50の第二柱体55を前記スライド部材40の貫通開口412に貫通させて、前記第一楔形壁42と前記第二楔形壁52とを互いに当接させる。次に、前記主体部11の内面113から一体に組み立てられた前記スライド部材40及び前記押圧部材50を前記収容空間14内に装着して、前記押しボタン54を前記押しボタン穴16に貫通させて前記外面111から露出させると共に、前記係止用ブロック43を前記貫通穴191に貫通させて前記収容凹所18内へ突出させる。この時、前記第一柱体44に装着された前記第一弾性部材60の自由端が前記端壁12の内面に当止され、前記第一弾性部材60全体が圧縮状態になる。次に、前記主体部11の内面113から前記ベース部30を前記スライド部材40に装着して、前記第二柱体55に装着された前記第二弾性部材70の自由端を前記凹溝34内に収納し、前記ブロック33を前記スライド部材40の筐体41に当止させ、前記ベース部30のリブ35を前記スロット193に係合させ、且つ前記底板31の前記リブ35の反対側の一端を前記突出部195に係止させる。以上により、前記電池蓋ロック機構を前記ハウジング10に装着することが完了する。
【0020】
前記電池蓋20を前記ハウジング10に装着する場合、前記カバーボード21を前記電池収容凹所15に対応して被覆して、前記カバーボード21を前記ハウジング10に向かって押圧すると、前記フック23は、前記収容凹所18内に入って前記スライド部材40の係止用ブロック43に係止され、且つ前記係止用ブロック43に水平方向に沿う押圧力を加える。この時、前記係止用ブロック43の反対側の第一柱体44に装着された前記第一弾性部材60の弾性復帰力によって、前記係止用ブロック43と前記フック23とが係合状態に保持され、前記電池蓋20が前記ハウジング10に安定してロックされる。
【0021】
図5に示したように、前記電池蓋20を取り外す場合、前記押しボタン54を押圧すると、前記第二弾性部材70は圧縮され、前記押圧部材50の第二楔形壁52は前記ハウジング10の内部に移動しながら、前記スライド部材40の第一楔形壁42を押圧して前記第一弾性部材60を圧縮し、前記スライド部材40は、前記ブロック33の上面に沿って前記収容凹所18から離れるようにスライドする。従って、前記係止用ブロック43は、前記フック23から離脱する。これで、前記電池蓋20が前記ハウジング10から取り外される。
【0022】
本発明の実施形態によれば、前記電池蓋ロック機構は、前記ハウジング10に装着され、且つベース部30、第一楔形壁42及び係止用ブロック43が設けられたスライド部材40と、押しボタン54及び第二楔形壁52が設けられた押圧部材50と、を備える。前記電池蓋20を前記ハウジング10にロックした後、前記第一弾性部材60の弾性復帰力により、前記第一楔形壁42と前記第二楔形壁52とが緊密に当接し、前記係止用ブロック43と前記電池蓋20のフック23とが係合状態に保持される。これにより、前記係止用ブロック43と前記フック23との係合が弱まることが防止され、前記電池蓋20が前記ハウジング10に安定してロックされる。また、前記押しボタン54を押圧すると、前記第二楔形壁52は、前記第一楔形壁42を推進して前記スライド部材40を前記ブロック30の上面でスライドさせることにより、前記係止用ブロック43と前記フック23との係合が解除され、前記電池蓋20が前記ハウジング10から容易に取り外される。
【0023】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も又、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0024】
10 ハウジング
11 主体部
12 端壁
13 側壁
14 収容空間
15 電池収容凹所
16 押しボタン穴
17 矩形凹所
18 収容凹所
19 係止部
20 電池蓋
21 カバーボード
22 翼部
23 フック
30 ベース部
31 底板
32 側板
33 ブロック
34 凹溝
35 リブ
40 スライド部材
41 筐体
42 第一楔形壁
43 係止用ブロック
44 第一柱体
50 押圧部材
51 基体
52 第二楔形壁
54 押しボタン
55 第二柱体
60 第一弾性部材
70 第二弾性部材
111 外面
113 内面
151 側壁
153 嵌合部
171 底壁
191 貫通穴
193 スロット
195 突出部
411 端壁
412 貫通開口
511 第一表面
512 第二表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池蓋を電子装置のハウジングにロックするために用いられ、且つ前記ハウジングに装着されるスライド部材と、押圧部材と、前記電池蓋に設けられるフックと、を備える電池蓋ロック機構であって、
前記スライド部材には、前記フックに係合される係止用ブロックが設けられ、前記押圧部材は、前記スライド部材のスライド方向に直交する方向に沿って移動可能に前記スライド部材に装着され、
前記押圧部材を押圧すると、前記スライド部材が前記押圧部材に押圧されて前記電池蓋から離れるようにスライドすることによって、前記電池蓋の前記フックと前記係止用ブロックとの係合が解除されることを特徴とする電池蓋ロック機構。
【請求項2】
前記スライド部材には、第一楔形壁がさらに設けられ、前記押圧部材は、押しボタン及び前記第一楔形壁と互いに当止する第二楔形壁を備え、前記押しボタンを押圧すると、前記第二楔形壁は、前記第一楔形壁を押圧して前記スライド部材をスライドさせ、前記係止用ブロックが前記スライド部材に誘導されて前記フックから離脱するので、前記電池蓋は、前記ハウジングに対してロック状態から解除されることを特徴とする請求項1に記載する電池蓋ロック機構。
【請求項3】
前記電池蓋ロック機構は、第一弾性部材をさらに備え、前記スライド部材は、前記係止用ブロックに対向して設けられる第一柱体を有し、前記第一弾性部材の一端は、前記第一柱体の周りに巻かれるように設置され、前記第一弾性部材の他端は、前記ハウジングに当止されるので、前記係止用ブロックが前記第一弾性部材の弾性力により前記フックに安定して係合されることを特徴とする請求項1または2に記載する電池蓋ロック機構。
【請求項4】
前記スライド部材は、貫通開口を有する筐体を備え、前記第一楔形壁は、前記貫通開口の端壁の内面に傾斜して形成され、
前記押圧部材は、基体を備え、前記第二楔形壁が前記基体の1つの端面を構成し、前記基体を前記貫通開口内に収納すると、前記第二楔形壁は、前記第一楔形壁に当接されることを特徴とする請求項2または3に記載する電池蓋ロック機構。
【請求項5】
前記電池蓋ロック機構は、第二弾性部材及び前記ハウジングに装着されるベース部をさらに備え、前記押圧部材は、前記押しボタンの反対側に突設される第二柱体を有し、
前記ベース部には凹溝が設けられ、前記第二弾性部材は、前記第二柱体と前記凹溝との間に装着されて前記押しボタンに弾性復帰力をもたらすことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載する電池蓋ロック機構。
【請求項6】
前記ベース部は、2つの側板及びこの2つの前記側板の間に設けられるブロックを備え、前記スライド部材を2つの前記側板の間に装着した後、前記筐体が前記ブロックの上面にスライド可能に当止されることを特徴とする請求項5に記載する電池蓋ロック機構。
【請求項7】
ハウジング、前記ハウジングに被せてロックされる電池蓋及び電池蓋ロック機構を備える電子装置であって、
前記電池蓋ロック機構は、前記ハウジングに装着されるスライド部材と、押圧部材と、前記電池蓋に設けられるフックと、を備え、
前記ハウジングには、貫通穴が設けられ、前記スライド部材には、係止用ブロックが設けられ、前記係止用ブロックは、前記貫通穴を貫通して前記フックと互いに係合し、
前記押圧部材は、前記スライド部材のスライド方向に直交する方向に沿って移動可能に前記スライド部材に装着され、前記押圧部材を押圧すると、前記スライド部材が前記押圧部材に押圧されて前記電池蓋から離れるようにスライドすることによって、前記電池蓋の前記フックと前記係止用ブロックとの係合が解除されることを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−33489(P2012−33489A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164222(P2011−164222)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(505177003)深▲セン▼富泰宏精密工業有限公司 (138)
【出願人】(508155310)富士康(香港)有限公司 (185)
【Fターム(参考)】