電波修正時計およびその制御方法
【課題】標準電波を受信する際の受信性能を向上できる電波修正時計を提供すること。
【解決手段】電波修正時計1は、標準電波を受信して復調するアンテナ2、受信回路部3と、受信回路部3を制御する制御回路部4と、復調された信号に基づいて時刻情報を修正する時刻修正手段とを備える。受信回路部3は、受信信号を増幅する第1増幅回路32と、増幅された信号を検波して包絡線信号を出力する包絡線検波回路35と、包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を出力する二値化回路37と、二値化回路37の基準電圧の電圧値を、マーカー取得用電圧値または時刻コード取得用電圧値に設定するVREF切替回路38とを備える。制御回路部4は、VREF切替回路38を制御する制御部47を備える。制御部47は、マーカー取得時にはマーカー取得用電圧値に設定し、時刻コード取得時には時刻コード取得用電圧値に設定する。
【解決手段】電波修正時計1は、標準電波を受信して復調するアンテナ2、受信回路部3と、受信回路部3を制御する制御回路部4と、復調された信号に基づいて時刻情報を修正する時刻修正手段とを備える。受信回路部3は、受信信号を増幅する第1増幅回路32と、増幅された信号を検波して包絡線信号を出力する包絡線検波回路35と、包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を出力する二値化回路37と、二値化回路37の基準電圧の電圧値を、マーカー取得用電圧値または時刻コード取得用電圧値に設定するVREF切替回路38とを備える。制御回路部4は、VREF切替回路38を制御する制御部47を備える。制御部47は、マーカー取得時にはマーカー取得用電圧値に設定し、時刻コード取得時には時刻コード取得用電圧値に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻情報を有する標準電波を受信し、受信した標準電波に基づいて時刻を修正する電波修正時計およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標準電波を受信して、時刻を修正する電波修正時計が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
前記標準電波は振幅変調であり、前記電波修正時計は、受信回路において、フィルターなどで受信信号の包絡線を抜き出した後、比較器(コンパレーター)などで包絡線信号と基準電圧(閾値)とを比較して二値化する二値化回路を備えている。そして、電波修正時計は、この二値化回路で得られたタイムコード信号に基づいて時刻情報を入手し、時刻表示を行っている。
【0003】
前記特許文献1,2では、標準電波の種類に応じて前記基準電圧(閾値)を設定し、ノイズの影響などによるタイムコードの誤検出を低減するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20298号公報
【特許文献2】特開2007−139705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各標準電波は、1,0,Pの各信号を1秒毎に送信して時刻情報を送信している。ここで、各信号のデューティー(各信号におけるHiレベル期間の割合)が異なるため、前記包絡線信号の電圧レベルも、各信号で相違する。
例えば、前記包絡線信号の電圧は、各信号のHiレベル期間に上昇し、Lowレベル期間に下降するように構成され、デューティーが50%の信号を基準にした場合、デューティーが20%等、Hiレベル期間が短い信号では、包絡線信号のピーク電圧はデューティー50%の場合に比べて低くなりやすい。また、デューティーが80%等、Lowレベル期間が短い信号では、包絡線信号のボトム電圧はデューティー50%の場合に比べて高くなりやすい。
【0006】
従って、各標準電波毎に、二値化回路の基準電圧(閾値)を設定した場合でも、各標準電波の個別の信号においては基準電圧が適切でない可能性もあった。例えば、デューティー50%の信号を基準に、前記基準電圧を設定した電波の場合、デューティーが小さい信号ではピーク電圧が低いため、基準電圧以上とならず、信号を正しく検出できないという問題があった。
同様に、デューティーが大きい場合にはボトム電圧が高いため、基準電圧未満とならず、この場合も信号を正しく検出できないという問題があった。
このように、受信する標準電波の種類に応じて、二値化回路の基準電圧を設定した場合には、標準電波の種類に関係なく基準電圧を一定にした場合に比べて受信性能を向上できるものの、その性能向上に限界があるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、標準電波を受信する際の受信性能を向上できる電波修正時計およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電波修正時計は、標準電波を受信して復調する受信手段と、前記受信手段を制御する制御手段と、前記受信手段によって復調された信号に基づいて時刻情報を修正する時刻修正手段とを備えた電波修正時計であって、前記受信手段は、前記標準電波の受信信号を増幅する信号増幅部と、増幅された前記受信信号を検波して包絡線信号を出力する検波部と、前記包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を出力する比較部と、前記比較部の基準電圧の電圧値を、マーカー取得用電圧値、または、前記マーカー取得用電圧値とは異なる電圧値である時刻コード取得用電圧値に設定する基準電圧設定部とを備え、前記制御手段は、前記基準電圧設定部を制御する基準電圧制御部を備え、前記基準電圧制御部は、標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時には、前記基準電圧の電圧値を前記マーカー取得用電圧値に設定し、標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時には、前記基準電圧の電圧値を前記時刻コード取得用電圧値に設定することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、標準電波を受信する際に、マーカーの取得時と、時刻コードの取得時において、比較部の基準電圧を個別に設定している。このため、マーカーを表す信号(P、M信号)と、マーカー以外の時刻コードを表す信号(例えば、1信号および0信号)とで包絡線信号のレベルが異なる場合に、それぞれの信号を検出するのに適した基準電圧に設定できる。従って、本発明によれば、標準電波を受信する際に、各信号を精度よく検出することができ、ノイズの影響を軽減できて受信性能を向上できる。
そして、受信性能を向上できるために、正しい時刻情報を取得することができ、この取得した時刻情報によって表示している時刻を正しく修正できるので、時刻精度の高い電波修正時計を構成することができる。
【0010】
本発明の電波修正時計において、前記受信手段は、帯域幅を変更可能なバンドパスフィルターを備え、前記制御手段は、前記バンドパスフィルターの帯域幅を設定する帯域幅制御部を備え、前記帯域幅制御部は、所定の条件に応じて、前記バンドパスフィルターの帯域幅を設定し、前記基準電圧制御部は、前記マーカー取得用電圧値および時刻コード取得用電圧値を、設定されたバンドパスフィルターの帯域幅に応じて設定することが好ましい。
【0011】
本発明によれば、所定の条件に応じて、バンドパスフィルターの帯域幅を変更可能であるため、前記条件に合わせた適切な受信特性が得られる。
例えば、帯域幅が狭い第1の帯域幅(例えば5Hz)と、それよりも帯域幅が広い第2の帯域幅(例えば10Hz)の2段階にバンドパスフィルターの帯域幅を切替可能である場合、第2の帯域幅に設定した場合は、第1の帯域幅に設定した場合に比べて、消費電流を小さくでき、かつ、検波信号の応答性が良く、温度変化にも強いという利点があるのに対し、ノイズに弱いという欠点がある。
従って、各帯域幅の特性を考慮し、所定の条件に応じてバンドパスフィルターの帯域幅を設定すれば、全体的な受信性能を向上できる。
また、バンドパスフィルターの帯域幅によって、検波信号の波形(包絡線信号のレベル)なども変化するが、本発明では、設定されたバンドパスフィルターの帯域幅に応じて、前記マーカー取得用電圧値および時刻コード取得用電圧値を設定しているので、帯域幅を変更した場合でも、マーカー信号や時刻コードを確実にかつ精度良く検出でき、この点でも受信性能を向上できる。
【0012】
本発明の電波修正時計において、前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、前記帯域幅制御部は、受信開始時には、前記第2の帯域幅に設定し、受信開始後、マーカーを取得できない場合、または、時刻コードを取得できない場合には、前記第1の帯域幅に設定することが好ましい。
【0013】
本発明によれば、帯域幅制御部は、前記帯域幅を設定する条件として、受信開始時であるか否かの条件と、マーカーや時刻コードを取得できたか否かの条件が設定され、この条件に応じて帯域幅を設定する。
そして、バンドパスフィルターは、受信開始時には第2の帯域幅に設定され、受信開始後にマーカーや時刻コードを検出、取得できない場合のみ第1の帯域幅に設定されている。このため、通常の受信時には、第2の帯域幅に設定されるので、第1の帯域幅に設定して受信する場合に比べて、消費電流を小さくでき、かつ、検波信号の応答性が良く、温度変化にも強いという利点がある。
また、受信開始後に、マーカーや時刻コードを検出、取得できない場合には、第2の帯域幅よりもノイズに強い第1の帯域幅に設定されるので、ノイズの影響を軽減してマーカーや時刻コードを取得する確率を向上できる。従って、全体的な受信性能を向上できる。
【0014】
本発明の電波修正時計において、温度を測定する温度センサーを備え、前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、前記帯域幅制御部は、前記温度センサーで測定された温度が予め設定された温度範囲内にある時には、前記第1の帯域幅に設定し、前記温度センサーで測定された温度が前記温度範囲外にある時には、前記第2の帯域幅に設定することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、周囲の温度を測定して前記帯域幅を設定しているので、バンドパスフィルターの中心周波数が大きく変動する温度である場合に、広い帯域幅に変更することで、受信感度の低下を抑制することができる。
【0016】
本発明の電波修正時計において、前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、前記帯域幅制御部は、受信する標準電波が日本の標準電波JJYまたはアメリカの標準電波WWVBのいずれかである場合には、前記第1の帯域幅に設定し、受信する標準電波がドイツの標準電波DCF77またはイギリスの標準電波MSFのいずれかである場合には、前記第2の帯域幅に設定することが好ましい。
【0017】
本発明によれば、JJYやWWVBのように、「1」、「0」、「M又はP」の各信号でパルスデューティーが大きく異なる場合は、バンドパスフィルターの帯域幅を第1の帯域幅に設定し、検波信号の応答性が多少悪くても、各信号を判別できる。一方で、第1の帯域幅に設定すれば、外部ノイズの影響を軽減できる。このため、JJYやWWVBでは、バンドパスフィルターの帯域幅を第1の帯域幅に設定することで、受信性能を向上できる。
一方、DCF77やMSFのように、「1」、「0」の各信号でパルスデューティーの相違が小さい場合は、検波信号の立ち上がりの応答性が悪いと、一方の信号を他方の信号と誤認識してしまう可能性が高い。そこで、バンドパスフィルターの帯域幅を第2の帯域幅に設定して検波信号の応答性を良くすれば、検波波形の変化に敏感に反応して検出でき、パルスデューティーの相違が小さい各信号を区別して判定することができる。このため、DCF77やMSFでは、バンドパスフィルターの帯域幅を第2の帯域幅に設定することで、受信性能を向上できる。
【0018】
本発明の電波修正時計において、前記受信手段は、複数の標準電波を受信可能に構成され、前記基準電圧設定部は、前記マーカー取得用電圧値および時刻コード取得用電圧値を、標準電波の種類に対応して設定可能に構成され、前記基準電圧制御部は、標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時には、前記基準電圧の電圧値を、受信する標準電波の種類に対応した前記マーカー取得用電圧値に設定し、標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時には、前記基準電圧の電圧値を、受信する標準電波の種類に対応した前記時刻コード取得用電圧値に設定することが好ましい。
【0019】
本発明によれば、受信する標準電波の種類に合わせてマーカー取得用電圧値を設定しているので、マーカーを表す信号の包絡線信号のレベルが標準電波毎に異なる場合でも、各レベルに適した基準電圧値(マーカー取得用電圧値)を設定できる。このため、マーカー信号を確実にかつ精度良く検出でき、標準電波の分同期を確実に行うことができる。
また、受信する標準電波の種類に合わせて時刻コード取得用電圧値を設定しているので、時刻コードを表す信号(1信号や0信号)の包絡線信号のレベルが標準電波毎に異なる場合でも、各レベルに適した基準電圧(時刻コード取得用電圧値)を設定できる。このため、時刻コードを確実にかつ精度良く検出でき、正しい時刻情報を安定して取得することができる。
なお、例えば、各標準電波毎のマーカー取得用電圧値や時刻コード取得用電圧値は、予め記憶部に記憶しておき、受信する標準電波の種類に応じてデータを読み出し、基準電圧制御部がそのデータに基づいて基準電圧設定部を制御すればよい。
【0020】
本発明の電波修正時計の制御方法は、標準電波を受信して復調する受信手段と、前記受信手段を制御する制御手段と、前記受信手段によって復調された信号に基づいて時刻情報を修正する時刻修正手段とを備えた電波修正時計の制御方法であって、前記受信手段は、前記標準電波の受信信号を増幅する信号増幅部と、増幅された前記受信信号を検波して包絡線信号を出力する検波部と、前記包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を出力する比較部と、前記比較部の基準電圧の電圧値を、マーカー取得用電圧値、または、前記マーカー取得用電圧値とは異なる電圧値である時刻コード取得用電圧値に設定する基準電圧設定部とを備え、標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時に、前記基準電圧の電圧値を前記マーカー取得用電圧値に設定する工程と、標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時に、前記基準電圧の電圧値を前記時刻コード取得用電圧値に設定する工程と、を備えることを特徴とする。
【0021】
この電波修正時計の制御方法においても、前記電波修正時計と同様に、標準電波を受信する際に、各信号を精度よく検出することができ、ノイズの影響を軽減できて受信性能を向上でき、時刻精度の高い電波修正時計を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電波修正時計の構成を示すブロック図である。
【図2】バンドパスフィルターの一例を示す回路図である。
【図3】バンドパスフィルターの他の例を示す回路図である。
【図4】VREF切替回路の一例を示す回路図である。
【図5】日本における標準電波「JJY」の各信号に対する受信パルスデューティーおよび振幅変化を示す図である。
【図6】アメリカ合衆国における標準電波「WWVB」の各信号に対する受信パルスデューティーおよび振幅変化を示す図である。
【図7】ドイツにおける標準電波「DCF77」の各信号に対する受信パルスデューティーおよび振幅変化を示す図である。
【図8】イギリスにおける標準電波「MSF」の各信号に対する受信パルスデューティーおよび振幅変化を示す図である。
【図9】日本における標準電波「JJY」のタイムコードフォーマットを示す図である。
【図10】基準電圧設定テーブルの一例を示す図である。
【図11】タイムコード、検波波形、基準電圧、TCOを示す波形図である。
【図12】第1実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図14】第2実施形態のタイムコード、検波波形、基準電圧、TCOを示す波形図である。
【図15】第3実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図16】MSF受信時のタイムコード、検波波形、基準電圧を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第1実施形態に係る電波修正時計1を図面に基づいて説明する。
〔電波修正時計の構成〕
電波修正時計1は、図1に示すように、アンテナ2と、受信回路部3と、制御回路部4と、表示部5と、外部操作部材6と、水晶振動子48とを備えている。
アンテナ2は、長波標準電波(以下、「標準電波」と称す)を受信し、受信した標準電波の信号を受信回路部3に出力する。
受信回路部3は、アンテナ2にて受信した標準電波の受信信号を復調して、TCO(Time Code Out:タイムコード出力)として制御回路部4に出力する。従って、アンテナ2および受信回路部3によって、本発明の受信手段が構成されている。なお、受信回路部3の詳細な説明は、後述する。
【0024】
制御回路部4は、入力されたTCOをデコードしてTC(タイムコード、時刻データ)を生成し、生成したTCに基づいて時刻カウンター43の時刻を設定する。また、制御回路部4は、時刻カウンター43の時刻を表示部5に表示させる制御をする。さらに、制御回路部4は、受信回路部3に制御信号を出力する。従って、制御回路部4により、本発明の制御手段が構成されている。なお、制御回路部4の詳細な説明は、後述する。
【0025】
表示部5は、制御回路部4の駆動回路部46により駆動制御され、時刻カウンター43でカウントされる時刻を表示させる。この表示部5としては、例えば液晶パネルを備え、液晶パネルに時刻を表示させる構成であってもよく、文字板および指針を備え、制御回路部4により指針を運針させて時刻を表示させる構成であってもよい。
【0026】
外部操作部材6は、例えばリューズや設定ボタンなどにより構成され、利用者により操作されることで制御回路部4に所定の操作信号を出力する。この操作信号としては、例えば、アンテナ2で受信される標準電波の種類(例えば、日本におけるJJY、アメリカ合衆国におけるWWVB、ドイツにおけるDCF77など)を設定する旨の電波種類設定データ、標準電波を受信して時刻を修正させる旨の修正要求情報などが挙げられる。
【0027】
基準クロック用の水晶振動子48は、所定の基準信号(基準クロック、例えば32.768kHzの信号)を出力するものであり、この水晶振動子48から出力された基準信号が制御回路部4に入力されている。
【0028】
〔受信回路部の構成〕
受信回路部3は、図1に示すように、同調回路31と、第1増幅回路32と、バンドパスフィルター(Band-pass filter,以下、「BPF」と略す場合がある)33と、第2増幅回路34と、包絡線検波回路35と、自動利得制御回路としてのAGC(Auto Gain Control)回路36と、二値化回路37と、基準電圧設定部としてのVREF切替回路38と、デコード回路39とを備えて構成されている。
【0029】
同調回路31は、コンデンサーを備えて構成され、当該同調回路31とアンテナ2とにより並列共振回路が構成される。この同調回路31は、特定の周波数の電波をアンテナ2で受信させる。この同調回路31により、アンテナ2で受信された標準電波が電圧信号に変換され、第1増幅回路32に出力される。なお、本実施形態の受信回路部3では、日本の標準電波「JJY」の他、アメリカ合衆国の標準電波「WWVB」、ドイツの標準電波「DCF77」、イギリスの標準電波「MSF」などの各地域における標準電波を受信可能に構成されている。
従って、アンテナ2および同調回路31により、複数種類の標準電波を受信可能な受信部が構成されている。
【0030】
第1増幅回路32は、後述するAGC回路36から入力する信号(AGC電圧)に応じてゲインを調整し、同調回路31から入力する受信信号を一定の振幅としてBPF33に入力するように増幅する。すなわち、第1増幅回路32は、AGC回路36から入力する信号に応じて、振幅が大きい場合にはゲインを低くし、振幅が小さい場合にはゲインを高くして、受信信号を一定の振幅となるように増幅する。
【0031】
バンドパスフィルター33は、所望の周波数帯の信号を抽出するフィルターである。すなわち、バンドパスフィルター33を介することにより、第1増幅回路32から入力した受信信号から搬送波成分以外が除去される。
【0032】
本実施形態のバンドパスフィルター33は、図2に示すように、水晶振動子331と、抵抗332,333と、スイッチ334,335とを備える。各抵抗332,333は、異なる抵抗値のものが用いられており、図2では抵抗332の抵抗値は、抵抗333の抵抗値よりも大きく設定されている。各抵抗332,333およびスイッチ334,335は、オペアンプで構成される第2増幅回路34に対して並列に接続されている。
このバンドパスフィルター33では、各スイッチ334,335の一方をオン、他方をオフにすることで、帯域幅WBを変化させている。すなわち、スイッチ334をオフ、スイッチ335をオンにして、抵抗値の小さな抵抗333のみを接続した場合のバンドパスフィルター33の帯域幅を第1の帯域幅WB1とし、逆にスイッチ334をオン、スイッチ335をオフにして、抵抗値の大きな抵抗332のみを接続した場合のバンドパスフィルター33の帯域幅を第2の帯域幅WB2とした場合、WB1<WB2となる。
【0033】
なお、バンドパスフィルター33としては、図3に示すように、第2増幅回路34に並列に接続された抵抗341と、第2増幅回路34に対しては直列に、かつ、互いに並列に接続された抵抗342,343と、スイッチ344,345とを備えるものでもよい。このバンドパスフィルター33においても、各スイッチ344,345の一方をオン、他方をオフにすることで、帯域幅WBを変化させることができる。
また、バンドパスフィルター33としては、図2,3に記載のものに限らず、標準電波の受信回路において利用可能な各種のバンドパスフィルターを利用できる。
【0034】
第2増幅回路34は、BPF33から入力する受信信号を、固定のゲインでさらに増幅する。従って、本実施形態では、第1増幅回路32および第2増幅回路34により、受信信号を増幅する信号増幅部が構成されている。
【0035】
包絡線検波回路35は、図示しない整流器と、図示しないローパスフィルター(Low-Pass Filter,LPF)とを備えて構成され、第2増幅回路34から入力した受信信号を整流およびろ波し、ろ波して得られた包絡線信号を、AGC回路36および二値化回路37に出力する。従って、本実施形態では、包絡線検波回路35により、受信信号を検波して包絡線信号を出力する検波部が構成されている。
【0036】
AGC回路36は、包絡線検波回路35から入力した包絡線信号に基づいて、第1増幅回路32にて受信信号を増幅する際のゲインを決定する信号を出力する。
【0037】
二値化回路37は、包絡線検波回路35から入力した包絡線信号と、基準電圧とを比較して二値化信号を出力する比較部を構成するものである。具体的には、図4に示すように、二値化コンパレーターで構成され、2つの入力端子のうち、一方の入力端子は、包絡線検波回路35に接続され、他方の入力端子は、VREF切替回路38に接続されている。そして、二値化回路37は、包絡線検波回路35から入力する包絡線信号、および、VREF切替回路38から入力する所定電圧を有する基準電圧(閾値)に基づいて、二値化信号すなわちTCO信号を出力する。
【0038】
具体的に、二値化回路37は、包絡線信号の電圧が基準電圧を上回っている場合にはHレベル(ハイレベル)の電圧を有する信号を、また、包絡線信号の電圧が基準電圧を下回っている場合には、Hレベルの信号より電圧値の低いLレベル(ローレベル)の信号を、TCO信号として、制御回路部4のTCOデコード部41に出力する。なお、包絡線信号の電圧が基準電圧を上回っている場合にはLレベルを、包絡線信号の電圧が基準電圧を下回っている場合にはHレベルの信号を、TCO信号として、制御回路部4のTCOデコード部41に出力するように構成することも可能である。
【0039】
VREF切替回路38は、二値化回路37の基準電圧を設定する基準電圧設定部を構成するものである。本実施形態のVREF切替回路38は、具体的には、図4に示すように、定電圧源381から出力された電源電圧VDDから基準電圧VREF1〜VREF4を生成して、当該基準電圧を二値化回路37に出力する。このVREF切替回路38は、定電圧源381と、当該定電圧源381およびグランドGNDの間に配置される4つの抵抗R1〜R4と、これら4つの抵抗R1〜R4の間およびR3とグランドGNDとの間と、二値化回路37との間に配置される4つのスイッチSW1〜SW4と、抵抗R4とグランドGNDとの間に配置される定電流源382とを備えて構成されている。
【0040】
このうち、各スイッチSW1〜SW4は、アナログスイッチで構成され、スイッチSW1は、抵抗R1,R2の間と二値化回路37との間、スイッチSW2は、抵抗R2,R3の間と二値化回路37との間、スイッチSW3は、抵抗R3,R4の間と二値化回路37との間、スイッチSW4は、抵抗R4,定電流源382の間と二値化回路37との間に、それぞれ配置されている。これら各スイッチSW1〜SW4は、デコード回路39と、選択線SEL1〜SEL4を介して、それぞれ独立して接続されており、当該デコード回路39から入力する信号に応じて、オン/オフ状態が切り替わるように構成されている。そして、これらスイッチSW1〜SW4のうち、いずれか1つがオン状態(導通状態)となり、他のスイッチがオフ状態(非導通状態)となることにより、定電圧源381から出力された電源電圧VDDは、定電流源382から出力された電流ISおよび抵抗Rにより電圧変化され、基準電圧VREFとなって二値化回路37に入力する。
【0041】
このようなVREF切替回路38は、スイッチSW1のみがオン状態である場合に、最も高い電圧の基準電圧VREF1を二値化回路37に出力する。そして、VREF切替回路38は、スイッチSW2のみがオン状態である場合に、2番目に高い電圧の基準電圧VREF2を出力し、スイッチSW3のみがオン状態である場合に、3番目に高い電圧の基準電圧VREF3を出力し、また、スイッチSW4のみがオン状態である場合に、最も低い電圧の基準電圧VREF4を出力する。
【0042】
デコード回路39は、後述する制御回路部4と、シリアル通信線SLを介して接続されている。そして、このデコード回路39は、制御回路部4から入力する制御信号をデコードし、当該制御信号に含まれるコードに基づいて、VREF切替回路38のスイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態を設定する信号を、各選択線SEL1〜SEL4に出力したり、バンドパスフィルター33の各スイッチ334,335,344,345のオン/オフ状態を設定する信号を出力する。
【0043】
〔制御回路部の構成〕
制御回路部4は、前述のように、受信回路部3の動作を制御するものであり、受信回路部3のデコード回路39に対して制御信号を出力する。具体的には、制御回路部4の制御部47は、受信する標準電波に応じた同調コンデンサーの切り替えやバンドパスフィルター33の切り替えを指示する制御信号を、デコード回路39を通してシリアル通信で行い、受信回路部3を起動するPWRON信号の受信開始時に送信する。
【0044】
また、制御部47は、基準電圧VREFを切り替える制御信号を出力する。具体的には、制御部47は、例えば、標準電波のタイムコードフォーマットにおける所定のタイミングで基準電圧を切り替えたり、受信する標準電波の種類によって基準電圧を切り替えたり、バンドパスフィルター33の切り替えに応じて基準電圧を切り替える。
従って、制御部47により、基準電圧設定部であるVREF切替回路38を制御する基準電圧制御部と、バンドパスフィルター33の帯域幅を設定する帯域幅制御部が構成されている。
【0045】
また制御回路部4は、二値化回路37から入力するTCO信号をデコードして、デコードされて生成したタイムコードに基づいて、時刻カウンター43の時刻を設定する。さらには、制御回路部4は、時刻カウンター43の時刻を表示部5に表示させる制御をする。
この制御回路部4は、図1に示すように、TCOデコード部41と、記憶部42と、時刻カウンター43と、駆動回路部46と、制御部47とを備えて構成されている。なお、制御部47には、前記水晶振動子48から出力された基準信号が入力されている。
従って、制御回路部4、具体的には、TCOデコード部41、時刻カウンター43、駆動回路部46、制御部47により、デコードされた信号に基づいて表示部5で表示している時刻情報を修正する時刻修正手段が構成されている。
【0046】
TCOデコード部41は、受信回路部3の二値化回路37から入力するTCO信号をデコードして、当該TCO信号に含まれる日付情報および時刻情報等を有するタイムコード(TC、時刻データ)を抽出する。そして、TCOデコード部41は、抽出したTCを制御部47に出力する。
具体的には、TCOデコード部41は、TCO信号の波形を認識し、所定のパルス幅(例えば1Hz)に対する受信パルスデューティーを計測する。そして、この受信パルスデューティーの違いによりTCO信号からTCを認識する。
【0047】
例えば、日本国内において用いられる標準電波(JJY)では、図5に示すように、ハイレベル信号とローレベル信号の振幅割合が100:10のAM変調で信号が出力されている。すなわち、ハイレベル信号の振幅に対するローレベル信号の振幅の割合は10%である。
また、パルスデューティーは、図5(A)に示すように、1秒のパルス幅に対して、ハイレベル信号のパルス幅が0.8秒である場合(つまり、デューティが80%である場合)、「0」の信号(0信号)を認識する。また、図5(B)に示すように、1秒のパルス幅に対して、ハイレベル信号のパルス幅が0.5秒である場合(つまり、デューティが50%である場合)、「1」の信号(1信号)を認識する。さらに、図5(C)に示すように、1秒のパルス幅に対して、ハイレベル信号のパルス幅が0.2秒である場合(つまり、デューティが20%である場合)、「M」信号(マーカー信号)および「P」信号(ポジションマーカー信号)を認識する。そして、TCOデコード部41は、これら認識した1信号、0信号、およびM,P信号の並びにより所定のTCを認識する。
【0048】
なお、上記において、JJYにおけるTCの認識を例示したが、受信された標準電波が他の種類である場合、それぞれの電波に対応するデューティーにより、TCを認識する。
例えば、図6に示すように、アメリカ合衆国における標準電波(WWVB)では、ハイレベル信号の振幅と、ローレベル信号の振幅の割合は100:14のAM変調で信号が出力されている。
また、パルスデューティーは、図6(A)〜(C)に示すように、ハイレベル信号のパルス幅が0.8秒(ローレベル信号のパルス幅が0.2秒)つまりデューティーが80%である場合に0信号、ハイレベル信号のパルス幅が0.5秒(ローレベル信号のパルス幅が0.5秒)つまりデューティーが50%である場合に1信号、ハイレベル信号のパルス幅が0.2秒(ローレベル信号のパルス幅が0.8秒)つまりデューティーが20%である場合にM,P信号を認識する。
【0049】
また、ドイツにおける標準電波(DCF77)では、図7に示すように、ハイレベル信号の振幅とローレベル信号の振幅の割合が100:25のAM変調で信号が出力されている。
また、パルスデューティーは、図7(A)〜(C)に示すように、ローレベル信号のパルス幅が0.1秒つまりローレベル信号のデューティーが10%である場合に0信号、ローレベル信号のパルス幅が0.2秒つまりローレベル信号のデューティーが20%である場合に1信号を認識する。
さらに、DCF77では、M、P信号は、AM変調がされておらず、ハイレベル信号が1秒間続くと、M,P信号を認識する。
【0050】
また、図8に示すように、イギリスにおける標準電波(MSF)では、ハイレベル信号の振幅とローレベル信号の振幅の割合が100:0のAM変調で信号が出力されている。
また、パルスデューティーは、図8(A)〜(C)に示すように、ローレベル信号のパルス幅が0.1秒つまりローレベル信号のデューティーが10%である場合に0信号、ローレベル信号のパルス幅が0.2秒つまりローレベル信号のデューティーが20%である場合に1信号、ローレベル信号のパルス幅が0.5秒つまりローレベル信号のデューティーが50%である場合にP信号を認識する。
【0051】
そして、標準電波毎のタイムコードフォーマットにおいて、上記1,0,M,Pの各信号を用いることで時刻情報を送信している。
例えば、JJYのタイムコードフォーマットでは、図9に示すように、1秒ごとに一つの信号が送信され、60秒で1レコードとして構成されている。つまり、1フレームが60ビットのデータである。また、データ項目として分、時の現時刻情報と、現在年の1月1日からの通算日、年(西暦下2桁)、曜日等のカレンダー情報とが含まれている。各項目の値は、各秒毎に割り当てられた数値の組み合わせによって構成され、この組み合わせのON、OFFが信号の種類から判断される。さらに、P信号およびM信号が連続して入力された場合、つまりハイレベル信号のパルス幅が0.2秒の信号が連続して入力された場合の、2番目の信号のタイミングが0秒位置となる。従って、0.2秒の信号を2つ連続で検出すると分同期を認識することができる。
他の標準電波も、図示を略すが、タイムコードフォーマットがそれぞれ規定されている。
【0052】
記憶部42は、制御回路部4による受信回路部3の制御等に必要な各種データやプログラム等を記憶するメモリーである。このような記憶部42は、電波修正時計1の製造時に設定され、図10に示すように、VREF切替回路38における基準電圧VREFの設定値が記憶される基準電圧設定テーブル421を記憶している。
【0053】
図10に示すように、基準電圧設定テーブル421は、標準電波の種類と、バンドパスフィルター33の帯域幅と、タイミングの各条件に応じて設定されている。
標準電波の種類としては、例えば、JJY、WWVB、DCF77、MSFの4種類が設定されている。
バンドパスフィルター33の帯域幅としては、第1の帯域幅WB1と、この第1の帯域幅WB1よりも広い第2の帯域幅WB2とが設定されている。ここで、第1の帯域幅WB1は例えば5Hzであり、第2の帯域幅WB2は例えば10Hzである。
【0054】
タイミングとしては、マーカーを取得するタイミングと、信号を取得するタイミングとが設定されている。
マーカーを取得するタイミングとは、各標準電波のタイムコードフォーマットにおいて0秒位置を取得するタイミングである。具体的には、受信開始直後の分同期を行うタイミングと、分同期後に時刻情報を取得している際に1分間隔で0秒位置を確認するタイミングである。ここで、0秒位置の確認は、59秒のタイミングで送信されるP信号(ポジションマーカー)と、0秒のタイミングで送信されるM信号(マーカー)の2つのマーカー信号が連続して受信されたかで確認できる。
一方、信号を取得するタイミングとは、各標準電波のタイムコードフォーマットにおいて、前記マーカーを取得するタイミング以外である。具体的には、分同期後に時刻情報を取得している際に前記マーカーを取得するタイミング以外である。例えば、1分間隔のマーカーの確認は、59秒および0秒の信号を受信すればよいので、マーカー以外の信号を取得するタイミングは、標準電波のタイムコードフォーマットにおいて1秒から58秒の信号を受信するタイミングである。
【0055】
基準電圧設定テーブル421は、上記の条件で設定されている。例えば、図10に示すように、標準電波がJJYの場合、各基準電圧は以下のように設定される。
すなわち、第1の帯域幅でかつマーカー取得時には基準電圧VREF4に設定され、第1の帯域幅でかつ時刻コード取得時には基準電圧VREF1に設定される。また、第2の帯域幅でかつマーカー取得時には基準電圧VREF3に設定され、第2の帯域幅でかつ時刻コード取得時には基準電圧VREF2に設定される。
ここで、各基準電圧の大きさは、VREF1>VREF2>VREF3>VREF4である。すなわち、JJYにおいては、バンドパスフィルター33の帯域幅が同じ場合、時刻コード取得時の基準電圧のほうが、マーカー取得時の基準電圧よりも高く設定されている。すなわち、VREF1>VREF4、VREF2>VREF3である。これは、図11に示すように、JJYでは、マーカーの信号P,Mが、他の0,1の信号に比べてハイレベル信号のパルス幅が小さく、包絡線信号(検波信号)の信号レベルも低くなるため、基準電圧も低くする必要があるためである。
【0056】
一方、同じタイミングでバンドパスフィルター33の帯域幅を広狭に切り替えた場合、検波信号の応答性が異なるため、次のように基準電圧を設定している。
すなわち、帯域幅を第1の帯域幅に切り替えた場合は、第2の帯域幅に比べて帯域幅が狭いため、検波信号の応答性も悪くなる。
このため、マーカーのようにハイレベル信号のパルス幅が狭い信号では、ローレベルからハイレベルに切り替わった後、再度ローレベルに切り替わるまでの時間が短いため、検波信号の信号レベルも余り高くならずにローレベルに戻ってしまう。このため、第1の帯域幅の場合に、マーカーを取得するための基準電圧VREF4は、第2の帯域幅の場合の基準電圧VREF3に比べて低くする必要がある。
同様に、マーカー以外の信号のように、ハイレベル信号のパルス幅が0.5秒以上と広い信号では、ハイレベルからローレベルに切り替わった後、再度ハイレベルに切り替わるまでの時間が短いため、検波信号の信号レベルも余り低くならずにハイレベルに戻ってしまう。このため、第1の帯域幅の場合に、信号を検出するための基準電圧VREF1は、第2の帯域幅の場合の基準電圧VREF2に比べて高くする必要がある。
【0057】
但し、本実施形態では、バンドパスフィルター33を第2の帯域幅WB2に固定して受信しているので、JJYを受信する場合には、基準電圧VREF2、VREF3を切り替えて制御している。バンドパスフィルター33の帯域幅を切り替えた場合の処理については、第2実施形態で説明する。
【0058】
時刻カウンター43は、水晶振動子48から出力される基準信号に基づいて、時間(内部時刻)をカウントする。具体的には、時刻カウンター43は、秒をカウントする秒カウンター、分をカウントする分カウンター、時をカウントする時カウンターを備えている。
秒カウンターは、例えば水晶振動子48が接続されている制御部47内の発振回路(図示せず)から1Hzの基準信号が出力されている場合、その信号を60カウントつまり60秒でループするカウンターである。分カウンターは、1Hzの基準信号を60回係数したところで1カウントし、60カウント、すなわち60分でループするカウントである。時カウンターは、1Hzの基準信号を3600回係数したところで1カウントし、24カウント、すなわち24時間でループするカウントである。
なお、分カウンターは、秒カウンターが60カウントするごとに秒カウンターから分カウンターに信号を出力して分カウンターをカウントアップさせる構成としてもよい。同様に、時カウンターは、分カウンターが60カウントするごとに分カウンターから時カウンターに信号を出力され、時カウンターをカウントアップさせる構成としてもよい。
【0059】
駆動回路部46は、制御部47から出力される時刻表示制御信号に基づいて、表示部5の表示状態を制御し、表示部5に時刻を表示させる制御をする。例えば、表示部5が液晶パネルを有し、液晶パネルに時刻を表示させる構成である場合、駆動回路部46は、時刻表示制御信号に基づいて、液晶パネルを制御し、液晶パネルに時刻を表示させる制御をする。また、表示部5が文字板および指針を有する構成である場合、駆動回路部46は、指針を駆動させるステッピングモーターに、パルス信号を出力し、ステッピングモーターの駆動力により指針を運針させる制御をする。
【0060】
制御部47は、水晶振動子48から入力される駆動周波数に基づいて駆動し各種制御処理を実施する。すなわち、制御部47は、TCOデコード部41から入力されるTCを、時刻カウンター43に出力し、時刻カウンター43のカウントを修正する制御をする。また、制御部47は、時刻カウンター43にてカウントされる時刻を表示部5に表示させる旨の時刻表示制御信号を駆動回路部46に出力する。
【0061】
なお、制御部47と、デコード回路39とは、前述のように、シリアル通信線SLにより接続され、制御信号は、シリアル通信線SLを介してデコード回路39に入力される。これにより、VREF切替回路38の電圧切替を制御する制御信号を、デコード回路39を介してVREF切替回路38に出力させることができる。なお、制御部47は、前記記憶部42に記憶された基準電圧設定テーブル421の情報に基づいて、VREF切替回路38を制御する信号を出力している。
【0062】
ここで、制御部47と受信回路部3とのシリアル通信においては、制御部47と受信回路部3との間で双方向通信が可能な2線の同期式インターフェースを用いて、それぞれによる双方向のシリアル通信を行うようにしてもよい。このような場合、制御部47から受信回路部3に制御信号を出力した後、当該受信回路部3が、受信および認識した制御信号を制御部47に再度転送し、制御部47にて出力した制御信号と入力した制御信号とのデータの差異を確認することで、より信頼性の高いシリアル通信を行うことができる。
【0063】
〔電波修正時計の動作〕
次に、上記のような電波修正時計1における、標準電波による時刻修正動作について説明する。
図12は、電波修正時計1の時刻修正動作を示すフローチャートである。図12で説明する動作は、JJYを受信する場合であり、バンドパスフィルター33の帯域幅を第2の帯域幅に固定した状態で、マーカー取得時および時刻コード取得時で基準電圧を切り替えるように制御したものである。
【0064】
電波修正時計1の制御部47は、外部操作部材6から時刻修正を実施する旨の操作信号が入力されたり、予め設定された時刻となったりしたことを認識すると、受信回路部3にPWRON信号を入力して受信回路部3を起動し、アンテナ2による標準電波の受信を開始する(ステップ1、以下ステップを「S」と略す)。
【0065】
この際、制御部47は、アンテナ2での受信に影響しないように、駆動回路部46を介して秒針の運針を停止している。さらに、制御部47は、同調回路31の周波数を受信する標準電波に応じて設定する。
なお、受信する標準電波の種類は、前回、受信した標準電波が初期値として設定されるが、利用者が外部操作部材6を操作して選択することもできる。例えば、長波標準電波(JJY)が選択されている場合は、40kHz(東日本)と60kHz(西日本)のいずれかに設定される。具体的には、JJY(東日本)とJJY(西日本)とを利用者が選択している場合には、制御部47は、選択された周波数に設定し、選択されていない場合は、前回の受信周波数に設定する。また、制御部47は、DCF77では77.5kHz、WWVBおよびMSFでは60kHzに設定する。
【0066】
次に、制御部47は、VREF切替回路38の基準電圧を、JJYの第2の帯域幅におけるマーカー取得時の基準電圧VREF3に設定する(S2)。
この基準電圧VREF3は、図11(B)に示すように、従来の二値化回路37で包絡線検波の信号を二値化する基準電圧Vthよりも小さな電圧とされている。すなわち、前記基準電圧Vthは、0,1,M,Pの各信号をすべて二値化できるように、検波信号の最大振幅の中心位置、つまりピークとボトムの中心位置に設定されている。
このため、基準電圧Vthで二値化した二値化信号は、図11(C)に示すように、各信号の立ち上がりのタイミングのズレ量が大きくなり、秒同期を確保することが困難になる。その上、マーカー部分(M,Pの信号)のパルス幅が狭くなり、ノイズ等と誤って識別されたり、マーカーを取得できず、分同期つまり標準電波の0秒位置を把握することができないおそれがある。
【0067】
一方、本実施形態では、S2において、VREF切替回路38の基準電圧を、Vthよりも低いVREF3に設定している。このため、図11(D)に示すように、各信号の立ち上がりのタイミングのズレ量が小さくなり、秒同期も確保できる。また、マーカー部分のパルス幅を元の信号に近いものにできてマーカーを正確に判別でき、分同期も確保できる。
但し、この場合、図11(D)に示すように、マーカー以外の0,1信号を正確に判別することができない。
【0068】
S2でマーカー用の基準電圧を設定すると、図11(D)に示すようなTCOが二値化回路37から出力される。
また、検波波形はAGC回路36に入力され、検波波形の変化によってAGC電圧が変化する。すなわち、検波波形の電圧レベルが低い場合は、AGC回路36から出力されるAGC電圧が上昇し、第1増幅回路32のゲインが大きくなる。一方、検波波形の電圧レベルが高い場合は、AGC回路36から出力されるAGC電圧が下降し、第1増幅回路32のゲインが小さくなる。これにより、第1増幅回路32のゲインが自動的に調整され、受信信号のレベルを適切な値に調整する。
【0069】
次に、制御部47は、二値化回路37からTCOデコード部41に出力されるTCOに基づいて、マーカーを取得して分同期を確立できたかを判断する(S3)。
具体的には、日本の標準電波(JJY)では、1秒間隔でパルスが立ち上がるため、まず、1秒間隔のパルス立ち上がりを検出して秒同期を確立する。そして、日本の標準電波では、図9に示すように、ポジションマーカー(P)、マーカー(M)が連続する部分がタイムコードの開始時点(0秒位置)となり、この連続するマーカーを取得することができれば分同期を確立することができる。
【0070】
S3でマーカーを取得できたと判定された場合、制御部47は、VREF切替回路38の基準電圧を、時刻コード取得用の基準電圧VREF2に設定する(S4)。基準電圧VREF2は、図11(B)に示すように、基準電圧VREF3やVthよりも高い電圧値である。このため、二値化回路37からは、図11(E)に示すようなTCOが出力される。
基準電圧VREF2は、電圧値が高いため、マーカー部分の信号は検出できない場合がある。一方、0,1の各信号は、基準電圧VREF2の電圧値が高いために、二値化された際の信号の幅は元の信号に比べて短いが、0,1の信号を区別することはできる。従って、二値化回路37からは、0,1信号を判別可能なTCOが、TCOデコード部41に出力される。
【0071】
制御部47は、TCOデコード部41から時刻情報を取得する(S5)。
そして、制御部47は、受信している標準電波が59秒のタイミングになったかを判定する(S6)。具体的には、S3でマーカーを取得して分同期が確立しているので、毎正分から59秒経過したことを、水晶振動子48の基準クロックや時刻カウンター43を用いて計測し、59秒のタイミングになるまでS6の判定を継続する。
【0072】
59秒のタイミングになってS6で「Yes」と判定されると、制御部47は、VREF切替回路38の基準電圧を、マーカー用の基準電圧VREF3に設定する(S7)。
次に、制御部47は、マーカーを再確認して分同期が確立されているかを判定する(S8)。
【0073】
S8で分同期を確認できた場合、制御部47は、VREF切替回路38の基準電圧を再度時刻コード取得用の基準電圧VREF2に設定する(S9)。
そして、制御部47は、TCOデコード部41から時刻情報を取得し、その整合性を確認する(S10)。
整合性の確認方法としては、例えば、標準電波は1分間隔で時刻情報を送信しているため、1分毎に取得した時刻情報が1分間隔の時刻であるかで整合性を確認したり、時刻カウンター43で計時している内部時刻と受信時刻とを比較して整合性を確認する方法が利用できる。
【0074】
本実施形態では、S10において、4つの時刻情報を取得して整合性が確保されたかを確認している。すなわち、最初に取得した時刻情報に1分を加算し、次の1分間で受信した時刻情報と比較して一致するかを判定する。そして、今回取得した時刻情報に1分を加算し、次の1分間で受信した時刻情報と比較して一致するかを判定する。このように、直前に取得した時刻情報に1分を加算したものと、今回取得した時刻情報とが、3回一致するまでは、S10で「No」と判定される。
この場合、制御部47は、受信時間(受信開始からの経過時間)が予め設定している設定時間(例えば、5分)をオーバーしたかを判定する(S11)。これにより、標準電波を受信できない環境にある場合などに、受信処理を長時間継続して無駄に電力を消費することを防止できる。
【0075】
S11で受信時間がオーバーしていない場合は、制御部47はS5の時刻情報の取得処理に戻り、前記S5〜S11の処理を繰り返す。
一方、S10で3回一致して整合性があると判定された場合、制御部47は受信処理を終了する(S12)。また、取得した時刻データで時刻カウンター43を更新し、駆動回路部46を介して表示部5における時刻表示を修正する(S13)。
その後、制御部47は、通常の運針処理に復帰する(S14)。
【0076】
制御部47は、S8において、マーカーを再確認できず、分同期も確立できなかった場合は、S11と同様に、受信時間がオーバーしているかを判定する(S15)。
S15で受信時間がオーバーしていないと判定された場合、制御部47は、S3のマーカーの取得確認処理に戻り、処理を続行する。
【0077】
一方、S3でマーカーを取得できない場合と、S11,15で受信時間が設定時間をオーバーした場合、制御部47は、受信処理を終了し(S16)、通常の運針処理に復帰する(S14)。
【0078】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)本実施形態では、二値化回路37で包絡線検波の信号と比較する基準電圧を、マーカーを取得する場合と、時刻コードを取得する場合とで、異なる電圧に切り替えて設定している。このため、マーカーを表す信号(P、M信号)と、マーカー以外の時刻コードを表す信号(例えば、1信号および0信号)とをそれぞれ取得するのに適した基準電圧に設定できる。従って、1種類の基準電圧Vthで受信信号を二値化する場合に比べて、各信号を精度よく検出することができ、ノイズの影響を軽減できて受信性能を向上することができる。
【0079】
(2)また、マーカー取得用基準電圧の設定は、受信開始時の分同期を行う場合だけでなく、S6〜S8の処理によって、受信中の0秒の位置でマーカーを再確認する場合にも行われている。このため、時刻コードの取得処理中も、1分間隔で分同期が確保されているのかを確認でき、その分、正しい時刻コードを取得できて受信性能を向上できる。
【0080】
(3)受信開始直後にマーカーを取得できたかを判定し(S3)、取得できない場合には、直ちに受信を終了している。このため、標準電波を受信できない地域に移動している場合や、ビル内や地下街などの標準電波を受信できない環境に移動している場合に、無駄な受信処理を継続することがなく、無駄な電力消費を防止できる。
同様に、受信時間が設定時間をオーバーしている場合も受信を終了しているので、この点でも無駄な電力消費を防止できる。
【0081】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の電波修正時計について、図面に基づいて説明する。
第2実施形態では、マーカーが取得できたか否かで、バンドパスフィルター33の帯域幅を第1の帯域幅と第2の帯域幅とで切り替えている点が、前記第1実施形態と相違するが、他の基本的な処理は一致する。この前記第1実施形態と同一または類似する部分については説明を簡略または省略する。
【0082】
第2実施形態の電波修正時計では、図13に示すように、S1の処理後に、バンドパスフィルター33の帯域幅を第2の帯域幅に初期設定する(S20)。
ここで、バンドパスフィルター33の帯域幅を第1の帯域幅に設定した場合と、第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅に設定した場合とでは、お互いを比較して次のような特徴がある。
第1の帯域幅(例えば5Hz)の場合、第2の帯域幅(例えば10Hz)の場合に比べて、ノイズに強い利点がある一方で、消費電流が大、検波信号の応答性が悪い、温度変化に弱いといった欠点がある。逆に、第2の帯域幅の場合、第1の帯域幅の場合に比べて、ノイズに弱い欠点がある一方で、消費電流が小、検波信号の応答性が良い、温度変化に強いという利点がある。
【0083】
従って、第2実施形態では、これらの特徴を考慮して、バンドパスフィルター33の帯域幅を設定している。
すなわち、受信開始時には、消費電流の少ない第2の帯域幅に設定して受信する。しかし、受信の可否は周囲のノイズの影響を受ける。このため、第2の帯域幅で受信回路部3から安定したタイムコードを得られない場合には、ノイズに強い第1の帯域幅に変更して受信する。
ここで、バンドパスフィルター33の帯域幅を狭くすると、耐ノイズ特性は向上するが、フィルター33を通過する信号のレベルが低下するため、AGCアンプ(第1増幅回路32)のゲインが高くなり、消費電流は増大する。このため、第2実施形態では、消費電流の低減を重視し、初期設定では第2の帯域幅に設定し、ノイズの影響を受けた場合のみ、第1の帯域幅に設定している。
【0084】
制御部47は、バンドパスフィルター33が第2の帯域幅に設定されている場合には、前記第1実施形態と同様に、S2,S7ではマーカー取得用基準電圧として基準電圧VREF3を設定し、S4,S9では時刻コード取得用基準電圧として基準電圧VREF2を設定する。
一方、S3でマーカーが取得できないと判定された場合、制御部47は、直ちに受信を終了するのではなく、バンドパスフィルター33の現在の設定が第1の帯域幅であるかを確認する(S21)。
【0085】
S21で「No」と判定された場合、制御部47は、バンドパスフィルター33をノイズに強い第1の帯域幅に設定する(S22)。その後、S3のマーカー取得判定から処理を再開する。
また、S21で「Yes」と判定された場合、つまり、ノイズに強い第1の帯域幅に設定しても、マーカーを取得できない場合には、それ以上、受信処理を継続しても信号を取得できる可能性が低いので、制御部47は、受信処理を終了する(S16)。
【0086】
また、S15で「No」と判定された場合、制御部47は、バンドパスフィルター33を第1の帯域幅に設定し(S23)、S3のマーカー取得判定から処理を再開する。
なお、S23において、既にバンドパスフィルター33が第1の帯域幅に設定されている場合には、その帯域幅のままにしておけばよい。
ここで、S8でマーカーを再確認できない場合は、少なくともS3でマーカーを取得できた場合であり、一時的にマーカーを確認できていない可能性がある。このため、S21のような判定処理を行って直ちに受信処理を終了することは行わず、第1の帯域幅に設定後(S23)、再度、S3のマーカー取得判定を繰り返すようにしている。
【0087】
そして、制御部47は、バンドパスフィルター33が第1の帯域幅に設定されている場合には、図14に示すように、S2,S7ではマーカー取得用基準電圧として基準電圧VREF4を設定し、S4,S9では時刻コード取得用基準電圧として基準電圧VREF1を設定する。
すなわち、第1の帯域幅に設定すると、それよりも広い第2の帯域幅に設定した場合に比べて、ノイズに強い利点があるが、検波信号の応答性が悪く、図14に示すように、ハイレベルおよびローレベルに変化した際の検波信号の変化量が小さくなる。このため、第2の帯域幅の場合の基準電圧VREF2,3のままでは、0,1,P,Mの各信号を精度良く検出することができないおそれがある。
【0088】
そこで、本実施形態では、第1の帯域幅に合わせて、基準電圧を設定している。
ここで、基準電圧VREF4は、VREF3よりも低い電圧値であればよく、本実施形態では、検波信号の振幅の約10%程度低い電圧に設定している。
また、基準電圧VREF1は、VREF2よりも高い電圧値であればよく、本実施形態では、検波信号の振幅の約10%程度高い電圧に設定している。
なお、これらの基準電圧VREF1〜4の最適値は、バンドパスフィルター33に設定する帯域幅の具体的な値や、回路の構成、受信する標準電波の種類などによって変化するため、実際の回路構成等に応じて設定すればよい。
【0089】
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる上、次の効果も得られる。
受信開始時には、バンドパスフィルター33を第2の帯域幅に設定しているので、消費電流を小さくでき、検波信号の応答性も向上できる。
また、マーカーを取得できない場合には、第2の帯域幅に比べてノイズに強い第1の帯域幅に切り替えているので、マーカーを取得できるようになる可能性を高くできる。このため、時刻情報の受信に成功する確率を向上できる。
【0090】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態の電波修正時計について、図面に基づいて説明する。
第3実施形態は、図15に示すように、S1の処理後に、帯域幅の設定処理(S30)を行っていることが、前記第1実施形態と相違する。また、S30で帯域幅を設定しているため、S2,S4,S7,S9の各基準電圧の設定は、第2実施形態と同じく、各帯域幅に応じて設定される。
それ以外の処理は、前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0091】
本実施形態の帯域幅の設定処理(S30)では、温度に応じて帯域幅を設定している。
すなわち、耐ノイズ特性などを考慮して、第1の帯域幅で受信をしている場合、温度が高い場所や低い場所ではバンドパスフィルター33の中心周波数が変動し、受信性能が低下(2.5Hzの変動で3dB感度劣化)する。
従って、電波修正時計1に温度センサーを組み込み、この温度センサーで測定された温度が、前記バンドパスフィルター33の中心周波数が2.5Hz以上外れる温度の場合、第2の帯域幅に変更して受信感度低下を抑制している。
【0092】
具体的には、S30では、受信処理時の温度を検出し、その温度に応じて帯域幅を設定する。すなわち、制御部47は、測定温度が予め設定された温度範囲内であれば、第1の帯域幅に設定し、その温度範囲よりも高い場合および低い場合には、第2の帯域幅に設定する。
なお、前記温度範囲は、例えば、15〜25度程度の通常に利用される場合の平均的な温度範囲に設定すればよいが、具体的な範囲は実施にあたって適宜設定すればよい。
【0093】
そして、制御部47は、S2,S4,S7,S9では、S30で設定された帯域幅に応じた基準電圧を選択して処理を行う。
このような第3実施形態においても、前記各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
その上、周囲の温度に応じて、バンドパスフィルター33の帯域幅を設定しているので、温度変化による受信感度の低下を防止でき、その分、受信性能を向上できる。
【0094】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0095】
例えば、第1〜3実施形態では、JJYを受信する場合の処理フローについて説明したが、他の標準電波を受信する場合に適用することもできる。この場合、基準電圧は、各標準電波に応じて設定すればよい。
例えば、WWVBの場合、図6に示すように、100:14のAM変調の信号であり、振幅が小さいローレベルの信号は、100:10のAM変調の信号であるJJYに比べて4%大きくなる。このため、検波信号の振幅、つまりハイレベルからローレベルに変化した際の変化幅がJJYに比べて小さくなる。すなわち、ローレベル時の検波信号のレベルは、JJYに比べてWWVBのほうが高くなる。このため、WWVBの検波信号を二値化する基準電圧の最適値は、JJYに比べて約2%高くすることが好ましい。
従って、受信する標準電波の種類がWWVBの場合は、マーカー取得時および時刻コード取得時のそれぞれにおいて、JJYの場合に比べて基準電圧を2%程度高く設定することが好ましい。
【0096】
また、MSFの場合、100:0のAM変調で信号が出力されており、時刻コードは振幅大のハイレベル部分が0.9秒、0.8秒が「0」、「1」の時刻コードであり、0.5秒がマーカーである。このため、図16に示すように、包絡線の検波信号は、低いレベルに落ち込むことが少なくなり、全体的に高いレベルに維持される。
このため、JJY等に比べて、マーカー取得時および時刻コード取得時のいずれの場合も基準電圧を高く設定することが好ましい。具体的には、図16において、マーカー取得用の基準電圧VM1は、検波信号の最大振幅の約50%のレベルに設定し、時刻コード取得用の基準電圧VM2は、VM1に対して検波信号の最大振幅の10〜20%程度高いレベルに設定すればよい。
【0097】
さらに、DCF77の場合、100:25のAM変調で信号が出力されており、時刻コードのパルス幅はMSFと同じである。一方、マーカーは、図7に示すように、AM変調されていない。
このため、DCF77受信時は、マーカー取得時と時刻コード取得時で基準電圧を同じ値VD1にしている。なお、DCF77は、MSF以上に、ハイレベルの期間が長いので、前記基準電圧VD1は、VM2と同じ、あるいは、VM2よりも若干高いレベルに設定することが好ましい。
【0098】
また、標準電波の種類を選択した場合に、その標準電波の種類に応じて、バンドパスフィルター33の帯域幅を設定し、マーカー取得時と時刻コード取得時の各基準電圧を、選択した帯域幅に応じて設定するようにしてもよい。
例えば、第3実施形態のS30の帯域幅の設定を、測定温度で行う代わりに、標準電波の種類で行えばよい。この場合、JJYまたはWWVBを受信する場合には第1の帯域幅に設定し、DVF77またはMSFを受信する場合には第2の帯域幅に設定する。
DCF77、MSFはバンドパスフィルター33の帯域幅を狭く設定すると、検波信号の立ち上がりの応答性が悪く、検波波形の振幅が小さくなる。このため、弱電界強度では、検波波形に揺らぎが生じ、二値化した受信回路部3の出力信号TCOにノイズが含まれてしまう。そこで、第2の帯域幅にして帯域幅を広くすると、信号の変化が急峻になり、検波波形の振幅が大きくなり感度を向上できる。
なお、DCF77およびMSFは、「0」、「1」の時刻コードにおけるAM変調の振幅が小さい期間が0.1秒、0.2秒と短い。このため、バンドパスフィルター33の帯域幅が狭い場合(例えば5Hz)、検波信号の応答性が悪いため、変調0%(MSF)と25%(DCF77)で検波信号は殆ど変わらない。従って、MSFのマーカー取得時の基準電圧VM1(例えば、検波信号の最大振幅の約50%のレベル)に比べて、DCF77およびMSFの時刻コード取得時の基準電圧VD1,VM2は、20%以上高くすることが好ましい。
一方、バンドパスフィルター33の帯域幅が広い場合(例えば10Hz以上)、検波信号の応答性が良いため、変調0%(MSF)と25%(DCF77)で検波信号の振幅が変化する。そして、包絡線検波をしているため、振幅が変化すると検波信号のボトムの位置も変化する。従って、振幅の変化が小さいDCF77の基準電圧VD1は、MSFの基準電圧VM2に比べて基準電圧を上げることが好ましい。例えば、VD1は、VM2に対して12.5%程度高くすることが好ましい。
【0099】
さらに、バンドパスフィルター33の帯域幅を設定する場合、前記第2実施形態のようなノイズ影響の有無(条件1)や、第3実施形態のような温度変化(条件2)や、変形例で説明した標準電波の種類(条件3)のうち、どの条件で設定するかは、受信回路を組み込む機器などの用途に応じて設定すればよい。この場合、前記第2,3実施形態や変形例のように、条件1〜3の一つの条件のみを設定しても良いし、複数の条件を組み合わせて設定してもよい。
【0100】
その他、バンドパスフィルター33やVREF切替回路38の具体的な構成等、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【符号の説明】
【0101】
1…電波修正時計、2…アンテナ、3…受信回路部、4…制御回路部、5…表示部、6…外部操作部材、31…同調回路、32…第1増幅回路、33…バンドパスフィルター、34…第2増幅回路、35…包絡線検波回路、36…AGC回路、37…二値化回路、38…VREF切替回路、39…デコード回路、41…TCOデコード部、42…記憶部、43…時刻カウンター、46…駆動回路部、47…制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻情報を有する標準電波を受信し、受信した標準電波に基づいて時刻を修正する電波修正時計およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標準電波を受信して、時刻を修正する電波修正時計が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
前記標準電波は振幅変調であり、前記電波修正時計は、受信回路において、フィルターなどで受信信号の包絡線を抜き出した後、比較器(コンパレーター)などで包絡線信号と基準電圧(閾値)とを比較して二値化する二値化回路を備えている。そして、電波修正時計は、この二値化回路で得られたタイムコード信号に基づいて時刻情報を入手し、時刻表示を行っている。
【0003】
前記特許文献1,2では、標準電波の種類に応じて前記基準電圧(閾値)を設定し、ノイズの影響などによるタイムコードの誤検出を低減するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20298号公報
【特許文献2】特開2007−139705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各標準電波は、1,0,Pの各信号を1秒毎に送信して時刻情報を送信している。ここで、各信号のデューティー(各信号におけるHiレベル期間の割合)が異なるため、前記包絡線信号の電圧レベルも、各信号で相違する。
例えば、前記包絡線信号の電圧は、各信号のHiレベル期間に上昇し、Lowレベル期間に下降するように構成され、デューティーが50%の信号を基準にした場合、デューティーが20%等、Hiレベル期間が短い信号では、包絡線信号のピーク電圧はデューティー50%の場合に比べて低くなりやすい。また、デューティーが80%等、Lowレベル期間が短い信号では、包絡線信号のボトム電圧はデューティー50%の場合に比べて高くなりやすい。
【0006】
従って、各標準電波毎に、二値化回路の基準電圧(閾値)を設定した場合でも、各標準電波の個別の信号においては基準電圧が適切でない可能性もあった。例えば、デューティー50%の信号を基準に、前記基準電圧を設定した電波の場合、デューティーが小さい信号ではピーク電圧が低いため、基準電圧以上とならず、信号を正しく検出できないという問題があった。
同様に、デューティーが大きい場合にはボトム電圧が高いため、基準電圧未満とならず、この場合も信号を正しく検出できないという問題があった。
このように、受信する標準電波の種類に応じて、二値化回路の基準電圧を設定した場合には、標準電波の種類に関係なく基準電圧を一定にした場合に比べて受信性能を向上できるものの、その性能向上に限界があるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、標準電波を受信する際の受信性能を向上できる電波修正時計およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電波修正時計は、標準電波を受信して復調する受信手段と、前記受信手段を制御する制御手段と、前記受信手段によって復調された信号に基づいて時刻情報を修正する時刻修正手段とを備えた電波修正時計であって、前記受信手段は、前記標準電波の受信信号を増幅する信号増幅部と、増幅された前記受信信号を検波して包絡線信号を出力する検波部と、前記包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を出力する比較部と、前記比較部の基準電圧の電圧値を、マーカー取得用電圧値、または、前記マーカー取得用電圧値とは異なる電圧値である時刻コード取得用電圧値に設定する基準電圧設定部とを備え、前記制御手段は、前記基準電圧設定部を制御する基準電圧制御部を備え、前記基準電圧制御部は、標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時には、前記基準電圧の電圧値を前記マーカー取得用電圧値に設定し、標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時には、前記基準電圧の電圧値を前記時刻コード取得用電圧値に設定することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、標準電波を受信する際に、マーカーの取得時と、時刻コードの取得時において、比較部の基準電圧を個別に設定している。このため、マーカーを表す信号(P、M信号)と、マーカー以外の時刻コードを表す信号(例えば、1信号および0信号)とで包絡線信号のレベルが異なる場合に、それぞれの信号を検出するのに適した基準電圧に設定できる。従って、本発明によれば、標準電波を受信する際に、各信号を精度よく検出することができ、ノイズの影響を軽減できて受信性能を向上できる。
そして、受信性能を向上できるために、正しい時刻情報を取得することができ、この取得した時刻情報によって表示している時刻を正しく修正できるので、時刻精度の高い電波修正時計を構成することができる。
【0010】
本発明の電波修正時計において、前記受信手段は、帯域幅を変更可能なバンドパスフィルターを備え、前記制御手段は、前記バンドパスフィルターの帯域幅を設定する帯域幅制御部を備え、前記帯域幅制御部は、所定の条件に応じて、前記バンドパスフィルターの帯域幅を設定し、前記基準電圧制御部は、前記マーカー取得用電圧値および時刻コード取得用電圧値を、設定されたバンドパスフィルターの帯域幅に応じて設定することが好ましい。
【0011】
本発明によれば、所定の条件に応じて、バンドパスフィルターの帯域幅を変更可能であるため、前記条件に合わせた適切な受信特性が得られる。
例えば、帯域幅が狭い第1の帯域幅(例えば5Hz)と、それよりも帯域幅が広い第2の帯域幅(例えば10Hz)の2段階にバンドパスフィルターの帯域幅を切替可能である場合、第2の帯域幅に設定した場合は、第1の帯域幅に設定した場合に比べて、消費電流を小さくでき、かつ、検波信号の応答性が良く、温度変化にも強いという利点があるのに対し、ノイズに弱いという欠点がある。
従って、各帯域幅の特性を考慮し、所定の条件に応じてバンドパスフィルターの帯域幅を設定すれば、全体的な受信性能を向上できる。
また、バンドパスフィルターの帯域幅によって、検波信号の波形(包絡線信号のレベル)なども変化するが、本発明では、設定されたバンドパスフィルターの帯域幅に応じて、前記マーカー取得用電圧値および時刻コード取得用電圧値を設定しているので、帯域幅を変更した場合でも、マーカー信号や時刻コードを確実にかつ精度良く検出でき、この点でも受信性能を向上できる。
【0012】
本発明の電波修正時計において、前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、前記帯域幅制御部は、受信開始時には、前記第2の帯域幅に設定し、受信開始後、マーカーを取得できない場合、または、時刻コードを取得できない場合には、前記第1の帯域幅に設定することが好ましい。
【0013】
本発明によれば、帯域幅制御部は、前記帯域幅を設定する条件として、受信開始時であるか否かの条件と、マーカーや時刻コードを取得できたか否かの条件が設定され、この条件に応じて帯域幅を設定する。
そして、バンドパスフィルターは、受信開始時には第2の帯域幅に設定され、受信開始後にマーカーや時刻コードを検出、取得できない場合のみ第1の帯域幅に設定されている。このため、通常の受信時には、第2の帯域幅に設定されるので、第1の帯域幅に設定して受信する場合に比べて、消費電流を小さくでき、かつ、検波信号の応答性が良く、温度変化にも強いという利点がある。
また、受信開始後に、マーカーや時刻コードを検出、取得できない場合には、第2の帯域幅よりもノイズに強い第1の帯域幅に設定されるので、ノイズの影響を軽減してマーカーや時刻コードを取得する確率を向上できる。従って、全体的な受信性能を向上できる。
【0014】
本発明の電波修正時計において、温度を測定する温度センサーを備え、前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、前記帯域幅制御部は、前記温度センサーで測定された温度が予め設定された温度範囲内にある時には、前記第1の帯域幅に設定し、前記温度センサーで測定された温度が前記温度範囲外にある時には、前記第2の帯域幅に設定することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、周囲の温度を測定して前記帯域幅を設定しているので、バンドパスフィルターの中心周波数が大きく変動する温度である場合に、広い帯域幅に変更することで、受信感度の低下を抑制することができる。
【0016】
本発明の電波修正時計において、前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、前記帯域幅制御部は、受信する標準電波が日本の標準電波JJYまたはアメリカの標準電波WWVBのいずれかである場合には、前記第1の帯域幅に設定し、受信する標準電波がドイツの標準電波DCF77またはイギリスの標準電波MSFのいずれかである場合には、前記第2の帯域幅に設定することが好ましい。
【0017】
本発明によれば、JJYやWWVBのように、「1」、「0」、「M又はP」の各信号でパルスデューティーが大きく異なる場合は、バンドパスフィルターの帯域幅を第1の帯域幅に設定し、検波信号の応答性が多少悪くても、各信号を判別できる。一方で、第1の帯域幅に設定すれば、外部ノイズの影響を軽減できる。このため、JJYやWWVBでは、バンドパスフィルターの帯域幅を第1の帯域幅に設定することで、受信性能を向上できる。
一方、DCF77やMSFのように、「1」、「0」の各信号でパルスデューティーの相違が小さい場合は、検波信号の立ち上がりの応答性が悪いと、一方の信号を他方の信号と誤認識してしまう可能性が高い。そこで、バンドパスフィルターの帯域幅を第2の帯域幅に設定して検波信号の応答性を良くすれば、検波波形の変化に敏感に反応して検出でき、パルスデューティーの相違が小さい各信号を区別して判定することができる。このため、DCF77やMSFでは、バンドパスフィルターの帯域幅を第2の帯域幅に設定することで、受信性能を向上できる。
【0018】
本発明の電波修正時計において、前記受信手段は、複数の標準電波を受信可能に構成され、前記基準電圧設定部は、前記マーカー取得用電圧値および時刻コード取得用電圧値を、標準電波の種類に対応して設定可能に構成され、前記基準電圧制御部は、標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時には、前記基準電圧の電圧値を、受信する標準電波の種類に対応した前記マーカー取得用電圧値に設定し、標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時には、前記基準電圧の電圧値を、受信する標準電波の種類に対応した前記時刻コード取得用電圧値に設定することが好ましい。
【0019】
本発明によれば、受信する標準電波の種類に合わせてマーカー取得用電圧値を設定しているので、マーカーを表す信号の包絡線信号のレベルが標準電波毎に異なる場合でも、各レベルに適した基準電圧値(マーカー取得用電圧値)を設定できる。このため、マーカー信号を確実にかつ精度良く検出でき、標準電波の分同期を確実に行うことができる。
また、受信する標準電波の種類に合わせて時刻コード取得用電圧値を設定しているので、時刻コードを表す信号(1信号や0信号)の包絡線信号のレベルが標準電波毎に異なる場合でも、各レベルに適した基準電圧(時刻コード取得用電圧値)を設定できる。このため、時刻コードを確実にかつ精度良く検出でき、正しい時刻情報を安定して取得することができる。
なお、例えば、各標準電波毎のマーカー取得用電圧値や時刻コード取得用電圧値は、予め記憶部に記憶しておき、受信する標準電波の種類に応じてデータを読み出し、基準電圧制御部がそのデータに基づいて基準電圧設定部を制御すればよい。
【0020】
本発明の電波修正時計の制御方法は、標準電波を受信して復調する受信手段と、前記受信手段を制御する制御手段と、前記受信手段によって復調された信号に基づいて時刻情報を修正する時刻修正手段とを備えた電波修正時計の制御方法であって、前記受信手段は、前記標準電波の受信信号を増幅する信号増幅部と、増幅された前記受信信号を検波して包絡線信号を出力する検波部と、前記包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を出力する比較部と、前記比較部の基準電圧の電圧値を、マーカー取得用電圧値、または、前記マーカー取得用電圧値とは異なる電圧値である時刻コード取得用電圧値に設定する基準電圧設定部とを備え、標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時に、前記基準電圧の電圧値を前記マーカー取得用電圧値に設定する工程と、標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時に、前記基準電圧の電圧値を前記時刻コード取得用電圧値に設定する工程と、を備えることを特徴とする。
【0021】
この電波修正時計の制御方法においても、前記電波修正時計と同様に、標準電波を受信する際に、各信号を精度よく検出することができ、ノイズの影響を軽減できて受信性能を向上でき、時刻精度の高い電波修正時計を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電波修正時計の構成を示すブロック図である。
【図2】バンドパスフィルターの一例を示す回路図である。
【図3】バンドパスフィルターの他の例を示す回路図である。
【図4】VREF切替回路の一例を示す回路図である。
【図5】日本における標準電波「JJY」の各信号に対する受信パルスデューティーおよび振幅変化を示す図である。
【図6】アメリカ合衆国における標準電波「WWVB」の各信号に対する受信パルスデューティーおよび振幅変化を示す図である。
【図7】ドイツにおける標準電波「DCF77」の各信号に対する受信パルスデューティーおよび振幅変化を示す図である。
【図8】イギリスにおける標準電波「MSF」の各信号に対する受信パルスデューティーおよび振幅変化を示す図である。
【図9】日本における標準電波「JJY」のタイムコードフォーマットを示す図である。
【図10】基準電圧設定テーブルの一例を示す図である。
【図11】タイムコード、検波波形、基準電圧、TCOを示す波形図である。
【図12】第1実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図14】第2実施形態のタイムコード、検波波形、基準電圧、TCOを示す波形図である。
【図15】第3実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図16】MSF受信時のタイムコード、検波波形、基準電圧を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第1実施形態に係る電波修正時計1を図面に基づいて説明する。
〔電波修正時計の構成〕
電波修正時計1は、図1に示すように、アンテナ2と、受信回路部3と、制御回路部4と、表示部5と、外部操作部材6と、水晶振動子48とを備えている。
アンテナ2は、長波標準電波(以下、「標準電波」と称す)を受信し、受信した標準電波の信号を受信回路部3に出力する。
受信回路部3は、アンテナ2にて受信した標準電波の受信信号を復調して、TCO(Time Code Out:タイムコード出力)として制御回路部4に出力する。従って、アンテナ2および受信回路部3によって、本発明の受信手段が構成されている。なお、受信回路部3の詳細な説明は、後述する。
【0024】
制御回路部4は、入力されたTCOをデコードしてTC(タイムコード、時刻データ)を生成し、生成したTCに基づいて時刻カウンター43の時刻を設定する。また、制御回路部4は、時刻カウンター43の時刻を表示部5に表示させる制御をする。さらに、制御回路部4は、受信回路部3に制御信号を出力する。従って、制御回路部4により、本発明の制御手段が構成されている。なお、制御回路部4の詳細な説明は、後述する。
【0025】
表示部5は、制御回路部4の駆動回路部46により駆動制御され、時刻カウンター43でカウントされる時刻を表示させる。この表示部5としては、例えば液晶パネルを備え、液晶パネルに時刻を表示させる構成であってもよく、文字板および指針を備え、制御回路部4により指針を運針させて時刻を表示させる構成であってもよい。
【0026】
外部操作部材6は、例えばリューズや設定ボタンなどにより構成され、利用者により操作されることで制御回路部4に所定の操作信号を出力する。この操作信号としては、例えば、アンテナ2で受信される標準電波の種類(例えば、日本におけるJJY、アメリカ合衆国におけるWWVB、ドイツにおけるDCF77など)を設定する旨の電波種類設定データ、標準電波を受信して時刻を修正させる旨の修正要求情報などが挙げられる。
【0027】
基準クロック用の水晶振動子48は、所定の基準信号(基準クロック、例えば32.768kHzの信号)を出力するものであり、この水晶振動子48から出力された基準信号が制御回路部4に入力されている。
【0028】
〔受信回路部の構成〕
受信回路部3は、図1に示すように、同調回路31と、第1増幅回路32と、バンドパスフィルター(Band-pass filter,以下、「BPF」と略す場合がある)33と、第2増幅回路34と、包絡線検波回路35と、自動利得制御回路としてのAGC(Auto Gain Control)回路36と、二値化回路37と、基準電圧設定部としてのVREF切替回路38と、デコード回路39とを備えて構成されている。
【0029】
同調回路31は、コンデンサーを備えて構成され、当該同調回路31とアンテナ2とにより並列共振回路が構成される。この同調回路31は、特定の周波数の電波をアンテナ2で受信させる。この同調回路31により、アンテナ2で受信された標準電波が電圧信号に変換され、第1増幅回路32に出力される。なお、本実施形態の受信回路部3では、日本の標準電波「JJY」の他、アメリカ合衆国の標準電波「WWVB」、ドイツの標準電波「DCF77」、イギリスの標準電波「MSF」などの各地域における標準電波を受信可能に構成されている。
従って、アンテナ2および同調回路31により、複数種類の標準電波を受信可能な受信部が構成されている。
【0030】
第1増幅回路32は、後述するAGC回路36から入力する信号(AGC電圧)に応じてゲインを調整し、同調回路31から入力する受信信号を一定の振幅としてBPF33に入力するように増幅する。すなわち、第1増幅回路32は、AGC回路36から入力する信号に応じて、振幅が大きい場合にはゲインを低くし、振幅が小さい場合にはゲインを高くして、受信信号を一定の振幅となるように増幅する。
【0031】
バンドパスフィルター33は、所望の周波数帯の信号を抽出するフィルターである。すなわち、バンドパスフィルター33を介することにより、第1増幅回路32から入力した受信信号から搬送波成分以外が除去される。
【0032】
本実施形態のバンドパスフィルター33は、図2に示すように、水晶振動子331と、抵抗332,333と、スイッチ334,335とを備える。各抵抗332,333は、異なる抵抗値のものが用いられており、図2では抵抗332の抵抗値は、抵抗333の抵抗値よりも大きく設定されている。各抵抗332,333およびスイッチ334,335は、オペアンプで構成される第2増幅回路34に対して並列に接続されている。
このバンドパスフィルター33では、各スイッチ334,335の一方をオン、他方をオフにすることで、帯域幅WBを変化させている。すなわち、スイッチ334をオフ、スイッチ335をオンにして、抵抗値の小さな抵抗333のみを接続した場合のバンドパスフィルター33の帯域幅を第1の帯域幅WB1とし、逆にスイッチ334をオン、スイッチ335をオフにして、抵抗値の大きな抵抗332のみを接続した場合のバンドパスフィルター33の帯域幅を第2の帯域幅WB2とした場合、WB1<WB2となる。
【0033】
なお、バンドパスフィルター33としては、図3に示すように、第2増幅回路34に並列に接続された抵抗341と、第2増幅回路34に対しては直列に、かつ、互いに並列に接続された抵抗342,343と、スイッチ344,345とを備えるものでもよい。このバンドパスフィルター33においても、各スイッチ344,345の一方をオン、他方をオフにすることで、帯域幅WBを変化させることができる。
また、バンドパスフィルター33としては、図2,3に記載のものに限らず、標準電波の受信回路において利用可能な各種のバンドパスフィルターを利用できる。
【0034】
第2増幅回路34は、BPF33から入力する受信信号を、固定のゲインでさらに増幅する。従って、本実施形態では、第1増幅回路32および第2増幅回路34により、受信信号を増幅する信号増幅部が構成されている。
【0035】
包絡線検波回路35は、図示しない整流器と、図示しないローパスフィルター(Low-Pass Filter,LPF)とを備えて構成され、第2増幅回路34から入力した受信信号を整流およびろ波し、ろ波して得られた包絡線信号を、AGC回路36および二値化回路37に出力する。従って、本実施形態では、包絡線検波回路35により、受信信号を検波して包絡線信号を出力する検波部が構成されている。
【0036】
AGC回路36は、包絡線検波回路35から入力した包絡線信号に基づいて、第1増幅回路32にて受信信号を増幅する際のゲインを決定する信号を出力する。
【0037】
二値化回路37は、包絡線検波回路35から入力した包絡線信号と、基準電圧とを比較して二値化信号を出力する比較部を構成するものである。具体的には、図4に示すように、二値化コンパレーターで構成され、2つの入力端子のうち、一方の入力端子は、包絡線検波回路35に接続され、他方の入力端子は、VREF切替回路38に接続されている。そして、二値化回路37は、包絡線検波回路35から入力する包絡線信号、および、VREF切替回路38から入力する所定電圧を有する基準電圧(閾値)に基づいて、二値化信号すなわちTCO信号を出力する。
【0038】
具体的に、二値化回路37は、包絡線信号の電圧が基準電圧を上回っている場合にはHレベル(ハイレベル)の電圧を有する信号を、また、包絡線信号の電圧が基準電圧を下回っている場合には、Hレベルの信号より電圧値の低いLレベル(ローレベル)の信号を、TCO信号として、制御回路部4のTCOデコード部41に出力する。なお、包絡線信号の電圧が基準電圧を上回っている場合にはLレベルを、包絡線信号の電圧が基準電圧を下回っている場合にはHレベルの信号を、TCO信号として、制御回路部4のTCOデコード部41に出力するように構成することも可能である。
【0039】
VREF切替回路38は、二値化回路37の基準電圧を設定する基準電圧設定部を構成するものである。本実施形態のVREF切替回路38は、具体的には、図4に示すように、定電圧源381から出力された電源電圧VDDから基準電圧VREF1〜VREF4を生成して、当該基準電圧を二値化回路37に出力する。このVREF切替回路38は、定電圧源381と、当該定電圧源381およびグランドGNDの間に配置される4つの抵抗R1〜R4と、これら4つの抵抗R1〜R4の間およびR3とグランドGNDとの間と、二値化回路37との間に配置される4つのスイッチSW1〜SW4と、抵抗R4とグランドGNDとの間に配置される定電流源382とを備えて構成されている。
【0040】
このうち、各スイッチSW1〜SW4は、アナログスイッチで構成され、スイッチSW1は、抵抗R1,R2の間と二値化回路37との間、スイッチSW2は、抵抗R2,R3の間と二値化回路37との間、スイッチSW3は、抵抗R3,R4の間と二値化回路37との間、スイッチSW4は、抵抗R4,定電流源382の間と二値化回路37との間に、それぞれ配置されている。これら各スイッチSW1〜SW4は、デコード回路39と、選択線SEL1〜SEL4を介して、それぞれ独立して接続されており、当該デコード回路39から入力する信号に応じて、オン/オフ状態が切り替わるように構成されている。そして、これらスイッチSW1〜SW4のうち、いずれか1つがオン状態(導通状態)となり、他のスイッチがオフ状態(非導通状態)となることにより、定電圧源381から出力された電源電圧VDDは、定電流源382から出力された電流ISおよび抵抗Rにより電圧変化され、基準電圧VREFとなって二値化回路37に入力する。
【0041】
このようなVREF切替回路38は、スイッチSW1のみがオン状態である場合に、最も高い電圧の基準電圧VREF1を二値化回路37に出力する。そして、VREF切替回路38は、スイッチSW2のみがオン状態である場合に、2番目に高い電圧の基準電圧VREF2を出力し、スイッチSW3のみがオン状態である場合に、3番目に高い電圧の基準電圧VREF3を出力し、また、スイッチSW4のみがオン状態である場合に、最も低い電圧の基準電圧VREF4を出力する。
【0042】
デコード回路39は、後述する制御回路部4と、シリアル通信線SLを介して接続されている。そして、このデコード回路39は、制御回路部4から入力する制御信号をデコードし、当該制御信号に含まれるコードに基づいて、VREF切替回路38のスイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態を設定する信号を、各選択線SEL1〜SEL4に出力したり、バンドパスフィルター33の各スイッチ334,335,344,345のオン/オフ状態を設定する信号を出力する。
【0043】
〔制御回路部の構成〕
制御回路部4は、前述のように、受信回路部3の動作を制御するものであり、受信回路部3のデコード回路39に対して制御信号を出力する。具体的には、制御回路部4の制御部47は、受信する標準電波に応じた同調コンデンサーの切り替えやバンドパスフィルター33の切り替えを指示する制御信号を、デコード回路39を通してシリアル通信で行い、受信回路部3を起動するPWRON信号の受信開始時に送信する。
【0044】
また、制御部47は、基準電圧VREFを切り替える制御信号を出力する。具体的には、制御部47は、例えば、標準電波のタイムコードフォーマットにおける所定のタイミングで基準電圧を切り替えたり、受信する標準電波の種類によって基準電圧を切り替えたり、バンドパスフィルター33の切り替えに応じて基準電圧を切り替える。
従って、制御部47により、基準電圧設定部であるVREF切替回路38を制御する基準電圧制御部と、バンドパスフィルター33の帯域幅を設定する帯域幅制御部が構成されている。
【0045】
また制御回路部4は、二値化回路37から入力するTCO信号をデコードして、デコードされて生成したタイムコードに基づいて、時刻カウンター43の時刻を設定する。さらには、制御回路部4は、時刻カウンター43の時刻を表示部5に表示させる制御をする。
この制御回路部4は、図1に示すように、TCOデコード部41と、記憶部42と、時刻カウンター43と、駆動回路部46と、制御部47とを備えて構成されている。なお、制御部47には、前記水晶振動子48から出力された基準信号が入力されている。
従って、制御回路部4、具体的には、TCOデコード部41、時刻カウンター43、駆動回路部46、制御部47により、デコードされた信号に基づいて表示部5で表示している時刻情報を修正する時刻修正手段が構成されている。
【0046】
TCOデコード部41は、受信回路部3の二値化回路37から入力するTCO信号をデコードして、当該TCO信号に含まれる日付情報および時刻情報等を有するタイムコード(TC、時刻データ)を抽出する。そして、TCOデコード部41は、抽出したTCを制御部47に出力する。
具体的には、TCOデコード部41は、TCO信号の波形を認識し、所定のパルス幅(例えば1Hz)に対する受信パルスデューティーを計測する。そして、この受信パルスデューティーの違いによりTCO信号からTCを認識する。
【0047】
例えば、日本国内において用いられる標準電波(JJY)では、図5に示すように、ハイレベル信号とローレベル信号の振幅割合が100:10のAM変調で信号が出力されている。すなわち、ハイレベル信号の振幅に対するローレベル信号の振幅の割合は10%である。
また、パルスデューティーは、図5(A)に示すように、1秒のパルス幅に対して、ハイレベル信号のパルス幅が0.8秒である場合(つまり、デューティが80%である場合)、「0」の信号(0信号)を認識する。また、図5(B)に示すように、1秒のパルス幅に対して、ハイレベル信号のパルス幅が0.5秒である場合(つまり、デューティが50%である場合)、「1」の信号(1信号)を認識する。さらに、図5(C)に示すように、1秒のパルス幅に対して、ハイレベル信号のパルス幅が0.2秒である場合(つまり、デューティが20%である場合)、「M」信号(マーカー信号)および「P」信号(ポジションマーカー信号)を認識する。そして、TCOデコード部41は、これら認識した1信号、0信号、およびM,P信号の並びにより所定のTCを認識する。
【0048】
なお、上記において、JJYにおけるTCの認識を例示したが、受信された標準電波が他の種類である場合、それぞれの電波に対応するデューティーにより、TCを認識する。
例えば、図6に示すように、アメリカ合衆国における標準電波(WWVB)では、ハイレベル信号の振幅と、ローレベル信号の振幅の割合は100:14のAM変調で信号が出力されている。
また、パルスデューティーは、図6(A)〜(C)に示すように、ハイレベル信号のパルス幅が0.8秒(ローレベル信号のパルス幅が0.2秒)つまりデューティーが80%である場合に0信号、ハイレベル信号のパルス幅が0.5秒(ローレベル信号のパルス幅が0.5秒)つまりデューティーが50%である場合に1信号、ハイレベル信号のパルス幅が0.2秒(ローレベル信号のパルス幅が0.8秒)つまりデューティーが20%である場合にM,P信号を認識する。
【0049】
また、ドイツにおける標準電波(DCF77)では、図7に示すように、ハイレベル信号の振幅とローレベル信号の振幅の割合が100:25のAM変調で信号が出力されている。
また、パルスデューティーは、図7(A)〜(C)に示すように、ローレベル信号のパルス幅が0.1秒つまりローレベル信号のデューティーが10%である場合に0信号、ローレベル信号のパルス幅が0.2秒つまりローレベル信号のデューティーが20%である場合に1信号を認識する。
さらに、DCF77では、M、P信号は、AM変調がされておらず、ハイレベル信号が1秒間続くと、M,P信号を認識する。
【0050】
また、図8に示すように、イギリスにおける標準電波(MSF)では、ハイレベル信号の振幅とローレベル信号の振幅の割合が100:0のAM変調で信号が出力されている。
また、パルスデューティーは、図8(A)〜(C)に示すように、ローレベル信号のパルス幅が0.1秒つまりローレベル信号のデューティーが10%である場合に0信号、ローレベル信号のパルス幅が0.2秒つまりローレベル信号のデューティーが20%である場合に1信号、ローレベル信号のパルス幅が0.5秒つまりローレベル信号のデューティーが50%である場合にP信号を認識する。
【0051】
そして、標準電波毎のタイムコードフォーマットにおいて、上記1,0,M,Pの各信号を用いることで時刻情報を送信している。
例えば、JJYのタイムコードフォーマットでは、図9に示すように、1秒ごとに一つの信号が送信され、60秒で1レコードとして構成されている。つまり、1フレームが60ビットのデータである。また、データ項目として分、時の現時刻情報と、現在年の1月1日からの通算日、年(西暦下2桁)、曜日等のカレンダー情報とが含まれている。各項目の値は、各秒毎に割り当てられた数値の組み合わせによって構成され、この組み合わせのON、OFFが信号の種類から判断される。さらに、P信号およびM信号が連続して入力された場合、つまりハイレベル信号のパルス幅が0.2秒の信号が連続して入力された場合の、2番目の信号のタイミングが0秒位置となる。従って、0.2秒の信号を2つ連続で検出すると分同期を認識することができる。
他の標準電波も、図示を略すが、タイムコードフォーマットがそれぞれ規定されている。
【0052】
記憶部42は、制御回路部4による受信回路部3の制御等に必要な各種データやプログラム等を記憶するメモリーである。このような記憶部42は、電波修正時計1の製造時に設定され、図10に示すように、VREF切替回路38における基準電圧VREFの設定値が記憶される基準電圧設定テーブル421を記憶している。
【0053】
図10に示すように、基準電圧設定テーブル421は、標準電波の種類と、バンドパスフィルター33の帯域幅と、タイミングの各条件に応じて設定されている。
標準電波の種類としては、例えば、JJY、WWVB、DCF77、MSFの4種類が設定されている。
バンドパスフィルター33の帯域幅としては、第1の帯域幅WB1と、この第1の帯域幅WB1よりも広い第2の帯域幅WB2とが設定されている。ここで、第1の帯域幅WB1は例えば5Hzであり、第2の帯域幅WB2は例えば10Hzである。
【0054】
タイミングとしては、マーカーを取得するタイミングと、信号を取得するタイミングとが設定されている。
マーカーを取得するタイミングとは、各標準電波のタイムコードフォーマットにおいて0秒位置を取得するタイミングである。具体的には、受信開始直後の分同期を行うタイミングと、分同期後に時刻情報を取得している際に1分間隔で0秒位置を確認するタイミングである。ここで、0秒位置の確認は、59秒のタイミングで送信されるP信号(ポジションマーカー)と、0秒のタイミングで送信されるM信号(マーカー)の2つのマーカー信号が連続して受信されたかで確認できる。
一方、信号を取得するタイミングとは、各標準電波のタイムコードフォーマットにおいて、前記マーカーを取得するタイミング以外である。具体的には、分同期後に時刻情報を取得している際に前記マーカーを取得するタイミング以外である。例えば、1分間隔のマーカーの確認は、59秒および0秒の信号を受信すればよいので、マーカー以外の信号を取得するタイミングは、標準電波のタイムコードフォーマットにおいて1秒から58秒の信号を受信するタイミングである。
【0055】
基準電圧設定テーブル421は、上記の条件で設定されている。例えば、図10に示すように、標準電波がJJYの場合、各基準電圧は以下のように設定される。
すなわち、第1の帯域幅でかつマーカー取得時には基準電圧VREF4に設定され、第1の帯域幅でかつ時刻コード取得時には基準電圧VREF1に設定される。また、第2の帯域幅でかつマーカー取得時には基準電圧VREF3に設定され、第2の帯域幅でかつ時刻コード取得時には基準電圧VREF2に設定される。
ここで、各基準電圧の大きさは、VREF1>VREF2>VREF3>VREF4である。すなわち、JJYにおいては、バンドパスフィルター33の帯域幅が同じ場合、時刻コード取得時の基準電圧のほうが、マーカー取得時の基準電圧よりも高く設定されている。すなわち、VREF1>VREF4、VREF2>VREF3である。これは、図11に示すように、JJYでは、マーカーの信号P,Mが、他の0,1の信号に比べてハイレベル信号のパルス幅が小さく、包絡線信号(検波信号)の信号レベルも低くなるため、基準電圧も低くする必要があるためである。
【0056】
一方、同じタイミングでバンドパスフィルター33の帯域幅を広狭に切り替えた場合、検波信号の応答性が異なるため、次のように基準電圧を設定している。
すなわち、帯域幅を第1の帯域幅に切り替えた場合は、第2の帯域幅に比べて帯域幅が狭いため、検波信号の応答性も悪くなる。
このため、マーカーのようにハイレベル信号のパルス幅が狭い信号では、ローレベルからハイレベルに切り替わった後、再度ローレベルに切り替わるまでの時間が短いため、検波信号の信号レベルも余り高くならずにローレベルに戻ってしまう。このため、第1の帯域幅の場合に、マーカーを取得するための基準電圧VREF4は、第2の帯域幅の場合の基準電圧VREF3に比べて低くする必要がある。
同様に、マーカー以外の信号のように、ハイレベル信号のパルス幅が0.5秒以上と広い信号では、ハイレベルからローレベルに切り替わった後、再度ハイレベルに切り替わるまでの時間が短いため、検波信号の信号レベルも余り低くならずにハイレベルに戻ってしまう。このため、第1の帯域幅の場合に、信号を検出するための基準電圧VREF1は、第2の帯域幅の場合の基準電圧VREF2に比べて高くする必要がある。
【0057】
但し、本実施形態では、バンドパスフィルター33を第2の帯域幅WB2に固定して受信しているので、JJYを受信する場合には、基準電圧VREF2、VREF3を切り替えて制御している。バンドパスフィルター33の帯域幅を切り替えた場合の処理については、第2実施形態で説明する。
【0058】
時刻カウンター43は、水晶振動子48から出力される基準信号に基づいて、時間(内部時刻)をカウントする。具体的には、時刻カウンター43は、秒をカウントする秒カウンター、分をカウントする分カウンター、時をカウントする時カウンターを備えている。
秒カウンターは、例えば水晶振動子48が接続されている制御部47内の発振回路(図示せず)から1Hzの基準信号が出力されている場合、その信号を60カウントつまり60秒でループするカウンターである。分カウンターは、1Hzの基準信号を60回係数したところで1カウントし、60カウント、すなわち60分でループするカウントである。時カウンターは、1Hzの基準信号を3600回係数したところで1カウントし、24カウント、すなわち24時間でループするカウントである。
なお、分カウンターは、秒カウンターが60カウントするごとに秒カウンターから分カウンターに信号を出力して分カウンターをカウントアップさせる構成としてもよい。同様に、時カウンターは、分カウンターが60カウントするごとに分カウンターから時カウンターに信号を出力され、時カウンターをカウントアップさせる構成としてもよい。
【0059】
駆動回路部46は、制御部47から出力される時刻表示制御信号に基づいて、表示部5の表示状態を制御し、表示部5に時刻を表示させる制御をする。例えば、表示部5が液晶パネルを有し、液晶パネルに時刻を表示させる構成である場合、駆動回路部46は、時刻表示制御信号に基づいて、液晶パネルを制御し、液晶パネルに時刻を表示させる制御をする。また、表示部5が文字板および指針を有する構成である場合、駆動回路部46は、指針を駆動させるステッピングモーターに、パルス信号を出力し、ステッピングモーターの駆動力により指針を運針させる制御をする。
【0060】
制御部47は、水晶振動子48から入力される駆動周波数に基づいて駆動し各種制御処理を実施する。すなわち、制御部47は、TCOデコード部41から入力されるTCを、時刻カウンター43に出力し、時刻カウンター43のカウントを修正する制御をする。また、制御部47は、時刻カウンター43にてカウントされる時刻を表示部5に表示させる旨の時刻表示制御信号を駆動回路部46に出力する。
【0061】
なお、制御部47と、デコード回路39とは、前述のように、シリアル通信線SLにより接続され、制御信号は、シリアル通信線SLを介してデコード回路39に入力される。これにより、VREF切替回路38の電圧切替を制御する制御信号を、デコード回路39を介してVREF切替回路38に出力させることができる。なお、制御部47は、前記記憶部42に記憶された基準電圧設定テーブル421の情報に基づいて、VREF切替回路38を制御する信号を出力している。
【0062】
ここで、制御部47と受信回路部3とのシリアル通信においては、制御部47と受信回路部3との間で双方向通信が可能な2線の同期式インターフェースを用いて、それぞれによる双方向のシリアル通信を行うようにしてもよい。このような場合、制御部47から受信回路部3に制御信号を出力した後、当該受信回路部3が、受信および認識した制御信号を制御部47に再度転送し、制御部47にて出力した制御信号と入力した制御信号とのデータの差異を確認することで、より信頼性の高いシリアル通信を行うことができる。
【0063】
〔電波修正時計の動作〕
次に、上記のような電波修正時計1における、標準電波による時刻修正動作について説明する。
図12は、電波修正時計1の時刻修正動作を示すフローチャートである。図12で説明する動作は、JJYを受信する場合であり、バンドパスフィルター33の帯域幅を第2の帯域幅に固定した状態で、マーカー取得時および時刻コード取得時で基準電圧を切り替えるように制御したものである。
【0064】
電波修正時計1の制御部47は、外部操作部材6から時刻修正を実施する旨の操作信号が入力されたり、予め設定された時刻となったりしたことを認識すると、受信回路部3にPWRON信号を入力して受信回路部3を起動し、アンテナ2による標準電波の受信を開始する(ステップ1、以下ステップを「S」と略す)。
【0065】
この際、制御部47は、アンテナ2での受信に影響しないように、駆動回路部46を介して秒針の運針を停止している。さらに、制御部47は、同調回路31の周波数を受信する標準電波に応じて設定する。
なお、受信する標準電波の種類は、前回、受信した標準電波が初期値として設定されるが、利用者が外部操作部材6を操作して選択することもできる。例えば、長波標準電波(JJY)が選択されている場合は、40kHz(東日本)と60kHz(西日本)のいずれかに設定される。具体的には、JJY(東日本)とJJY(西日本)とを利用者が選択している場合には、制御部47は、選択された周波数に設定し、選択されていない場合は、前回の受信周波数に設定する。また、制御部47は、DCF77では77.5kHz、WWVBおよびMSFでは60kHzに設定する。
【0066】
次に、制御部47は、VREF切替回路38の基準電圧を、JJYの第2の帯域幅におけるマーカー取得時の基準電圧VREF3に設定する(S2)。
この基準電圧VREF3は、図11(B)に示すように、従来の二値化回路37で包絡線検波の信号を二値化する基準電圧Vthよりも小さな電圧とされている。すなわち、前記基準電圧Vthは、0,1,M,Pの各信号をすべて二値化できるように、検波信号の最大振幅の中心位置、つまりピークとボトムの中心位置に設定されている。
このため、基準電圧Vthで二値化した二値化信号は、図11(C)に示すように、各信号の立ち上がりのタイミングのズレ量が大きくなり、秒同期を確保することが困難になる。その上、マーカー部分(M,Pの信号)のパルス幅が狭くなり、ノイズ等と誤って識別されたり、マーカーを取得できず、分同期つまり標準電波の0秒位置を把握することができないおそれがある。
【0067】
一方、本実施形態では、S2において、VREF切替回路38の基準電圧を、Vthよりも低いVREF3に設定している。このため、図11(D)に示すように、各信号の立ち上がりのタイミングのズレ量が小さくなり、秒同期も確保できる。また、マーカー部分のパルス幅を元の信号に近いものにできてマーカーを正確に判別でき、分同期も確保できる。
但し、この場合、図11(D)に示すように、マーカー以外の0,1信号を正確に判別することができない。
【0068】
S2でマーカー用の基準電圧を設定すると、図11(D)に示すようなTCOが二値化回路37から出力される。
また、検波波形はAGC回路36に入力され、検波波形の変化によってAGC電圧が変化する。すなわち、検波波形の電圧レベルが低い場合は、AGC回路36から出力されるAGC電圧が上昇し、第1増幅回路32のゲインが大きくなる。一方、検波波形の電圧レベルが高い場合は、AGC回路36から出力されるAGC電圧が下降し、第1増幅回路32のゲインが小さくなる。これにより、第1増幅回路32のゲインが自動的に調整され、受信信号のレベルを適切な値に調整する。
【0069】
次に、制御部47は、二値化回路37からTCOデコード部41に出力されるTCOに基づいて、マーカーを取得して分同期を確立できたかを判断する(S3)。
具体的には、日本の標準電波(JJY)では、1秒間隔でパルスが立ち上がるため、まず、1秒間隔のパルス立ち上がりを検出して秒同期を確立する。そして、日本の標準電波では、図9に示すように、ポジションマーカー(P)、マーカー(M)が連続する部分がタイムコードの開始時点(0秒位置)となり、この連続するマーカーを取得することができれば分同期を確立することができる。
【0070】
S3でマーカーを取得できたと判定された場合、制御部47は、VREF切替回路38の基準電圧を、時刻コード取得用の基準電圧VREF2に設定する(S4)。基準電圧VREF2は、図11(B)に示すように、基準電圧VREF3やVthよりも高い電圧値である。このため、二値化回路37からは、図11(E)に示すようなTCOが出力される。
基準電圧VREF2は、電圧値が高いため、マーカー部分の信号は検出できない場合がある。一方、0,1の各信号は、基準電圧VREF2の電圧値が高いために、二値化された際の信号の幅は元の信号に比べて短いが、0,1の信号を区別することはできる。従って、二値化回路37からは、0,1信号を判別可能なTCOが、TCOデコード部41に出力される。
【0071】
制御部47は、TCOデコード部41から時刻情報を取得する(S5)。
そして、制御部47は、受信している標準電波が59秒のタイミングになったかを判定する(S6)。具体的には、S3でマーカーを取得して分同期が確立しているので、毎正分から59秒経過したことを、水晶振動子48の基準クロックや時刻カウンター43を用いて計測し、59秒のタイミングになるまでS6の判定を継続する。
【0072】
59秒のタイミングになってS6で「Yes」と判定されると、制御部47は、VREF切替回路38の基準電圧を、マーカー用の基準電圧VREF3に設定する(S7)。
次に、制御部47は、マーカーを再確認して分同期が確立されているかを判定する(S8)。
【0073】
S8で分同期を確認できた場合、制御部47は、VREF切替回路38の基準電圧を再度時刻コード取得用の基準電圧VREF2に設定する(S9)。
そして、制御部47は、TCOデコード部41から時刻情報を取得し、その整合性を確認する(S10)。
整合性の確認方法としては、例えば、標準電波は1分間隔で時刻情報を送信しているため、1分毎に取得した時刻情報が1分間隔の時刻であるかで整合性を確認したり、時刻カウンター43で計時している内部時刻と受信時刻とを比較して整合性を確認する方法が利用できる。
【0074】
本実施形態では、S10において、4つの時刻情報を取得して整合性が確保されたかを確認している。すなわち、最初に取得した時刻情報に1分を加算し、次の1分間で受信した時刻情報と比較して一致するかを判定する。そして、今回取得した時刻情報に1分を加算し、次の1分間で受信した時刻情報と比較して一致するかを判定する。このように、直前に取得した時刻情報に1分を加算したものと、今回取得した時刻情報とが、3回一致するまでは、S10で「No」と判定される。
この場合、制御部47は、受信時間(受信開始からの経過時間)が予め設定している設定時間(例えば、5分)をオーバーしたかを判定する(S11)。これにより、標準電波を受信できない環境にある場合などに、受信処理を長時間継続して無駄に電力を消費することを防止できる。
【0075】
S11で受信時間がオーバーしていない場合は、制御部47はS5の時刻情報の取得処理に戻り、前記S5〜S11の処理を繰り返す。
一方、S10で3回一致して整合性があると判定された場合、制御部47は受信処理を終了する(S12)。また、取得した時刻データで時刻カウンター43を更新し、駆動回路部46を介して表示部5における時刻表示を修正する(S13)。
その後、制御部47は、通常の運針処理に復帰する(S14)。
【0076】
制御部47は、S8において、マーカーを再確認できず、分同期も確立できなかった場合は、S11と同様に、受信時間がオーバーしているかを判定する(S15)。
S15で受信時間がオーバーしていないと判定された場合、制御部47は、S3のマーカーの取得確認処理に戻り、処理を続行する。
【0077】
一方、S3でマーカーを取得できない場合と、S11,15で受信時間が設定時間をオーバーした場合、制御部47は、受信処理を終了し(S16)、通常の運針処理に復帰する(S14)。
【0078】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)本実施形態では、二値化回路37で包絡線検波の信号と比較する基準電圧を、マーカーを取得する場合と、時刻コードを取得する場合とで、異なる電圧に切り替えて設定している。このため、マーカーを表す信号(P、M信号)と、マーカー以外の時刻コードを表す信号(例えば、1信号および0信号)とをそれぞれ取得するのに適した基準電圧に設定できる。従って、1種類の基準電圧Vthで受信信号を二値化する場合に比べて、各信号を精度よく検出することができ、ノイズの影響を軽減できて受信性能を向上することができる。
【0079】
(2)また、マーカー取得用基準電圧の設定は、受信開始時の分同期を行う場合だけでなく、S6〜S8の処理によって、受信中の0秒の位置でマーカーを再確認する場合にも行われている。このため、時刻コードの取得処理中も、1分間隔で分同期が確保されているのかを確認でき、その分、正しい時刻コードを取得できて受信性能を向上できる。
【0080】
(3)受信開始直後にマーカーを取得できたかを判定し(S3)、取得できない場合には、直ちに受信を終了している。このため、標準電波を受信できない地域に移動している場合や、ビル内や地下街などの標準電波を受信できない環境に移動している場合に、無駄な受信処理を継続することがなく、無駄な電力消費を防止できる。
同様に、受信時間が設定時間をオーバーしている場合も受信を終了しているので、この点でも無駄な電力消費を防止できる。
【0081】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の電波修正時計について、図面に基づいて説明する。
第2実施形態では、マーカーが取得できたか否かで、バンドパスフィルター33の帯域幅を第1の帯域幅と第2の帯域幅とで切り替えている点が、前記第1実施形態と相違するが、他の基本的な処理は一致する。この前記第1実施形態と同一または類似する部分については説明を簡略または省略する。
【0082】
第2実施形態の電波修正時計では、図13に示すように、S1の処理後に、バンドパスフィルター33の帯域幅を第2の帯域幅に初期設定する(S20)。
ここで、バンドパスフィルター33の帯域幅を第1の帯域幅に設定した場合と、第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅に設定した場合とでは、お互いを比較して次のような特徴がある。
第1の帯域幅(例えば5Hz)の場合、第2の帯域幅(例えば10Hz)の場合に比べて、ノイズに強い利点がある一方で、消費電流が大、検波信号の応答性が悪い、温度変化に弱いといった欠点がある。逆に、第2の帯域幅の場合、第1の帯域幅の場合に比べて、ノイズに弱い欠点がある一方で、消費電流が小、検波信号の応答性が良い、温度変化に強いという利点がある。
【0083】
従って、第2実施形態では、これらの特徴を考慮して、バンドパスフィルター33の帯域幅を設定している。
すなわち、受信開始時には、消費電流の少ない第2の帯域幅に設定して受信する。しかし、受信の可否は周囲のノイズの影響を受ける。このため、第2の帯域幅で受信回路部3から安定したタイムコードを得られない場合には、ノイズに強い第1の帯域幅に変更して受信する。
ここで、バンドパスフィルター33の帯域幅を狭くすると、耐ノイズ特性は向上するが、フィルター33を通過する信号のレベルが低下するため、AGCアンプ(第1増幅回路32)のゲインが高くなり、消費電流は増大する。このため、第2実施形態では、消費電流の低減を重視し、初期設定では第2の帯域幅に設定し、ノイズの影響を受けた場合のみ、第1の帯域幅に設定している。
【0084】
制御部47は、バンドパスフィルター33が第2の帯域幅に設定されている場合には、前記第1実施形態と同様に、S2,S7ではマーカー取得用基準電圧として基準電圧VREF3を設定し、S4,S9では時刻コード取得用基準電圧として基準電圧VREF2を設定する。
一方、S3でマーカーが取得できないと判定された場合、制御部47は、直ちに受信を終了するのではなく、バンドパスフィルター33の現在の設定が第1の帯域幅であるかを確認する(S21)。
【0085】
S21で「No」と判定された場合、制御部47は、バンドパスフィルター33をノイズに強い第1の帯域幅に設定する(S22)。その後、S3のマーカー取得判定から処理を再開する。
また、S21で「Yes」と判定された場合、つまり、ノイズに強い第1の帯域幅に設定しても、マーカーを取得できない場合には、それ以上、受信処理を継続しても信号を取得できる可能性が低いので、制御部47は、受信処理を終了する(S16)。
【0086】
また、S15で「No」と判定された場合、制御部47は、バンドパスフィルター33を第1の帯域幅に設定し(S23)、S3のマーカー取得判定から処理を再開する。
なお、S23において、既にバンドパスフィルター33が第1の帯域幅に設定されている場合には、その帯域幅のままにしておけばよい。
ここで、S8でマーカーを再確認できない場合は、少なくともS3でマーカーを取得できた場合であり、一時的にマーカーを確認できていない可能性がある。このため、S21のような判定処理を行って直ちに受信処理を終了することは行わず、第1の帯域幅に設定後(S23)、再度、S3のマーカー取得判定を繰り返すようにしている。
【0087】
そして、制御部47は、バンドパスフィルター33が第1の帯域幅に設定されている場合には、図14に示すように、S2,S7ではマーカー取得用基準電圧として基準電圧VREF4を設定し、S4,S9では時刻コード取得用基準電圧として基準電圧VREF1を設定する。
すなわち、第1の帯域幅に設定すると、それよりも広い第2の帯域幅に設定した場合に比べて、ノイズに強い利点があるが、検波信号の応答性が悪く、図14に示すように、ハイレベルおよびローレベルに変化した際の検波信号の変化量が小さくなる。このため、第2の帯域幅の場合の基準電圧VREF2,3のままでは、0,1,P,Mの各信号を精度良く検出することができないおそれがある。
【0088】
そこで、本実施形態では、第1の帯域幅に合わせて、基準電圧を設定している。
ここで、基準電圧VREF4は、VREF3よりも低い電圧値であればよく、本実施形態では、検波信号の振幅の約10%程度低い電圧に設定している。
また、基準電圧VREF1は、VREF2よりも高い電圧値であればよく、本実施形態では、検波信号の振幅の約10%程度高い電圧に設定している。
なお、これらの基準電圧VREF1〜4の最適値は、バンドパスフィルター33に設定する帯域幅の具体的な値や、回路の構成、受信する標準電波の種類などによって変化するため、実際の回路構成等に応じて設定すればよい。
【0089】
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる上、次の効果も得られる。
受信開始時には、バンドパスフィルター33を第2の帯域幅に設定しているので、消費電流を小さくでき、検波信号の応答性も向上できる。
また、マーカーを取得できない場合には、第2の帯域幅に比べてノイズに強い第1の帯域幅に切り替えているので、マーカーを取得できるようになる可能性を高くできる。このため、時刻情報の受信に成功する確率を向上できる。
【0090】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態の電波修正時計について、図面に基づいて説明する。
第3実施形態は、図15に示すように、S1の処理後に、帯域幅の設定処理(S30)を行っていることが、前記第1実施形態と相違する。また、S30で帯域幅を設定しているため、S2,S4,S7,S9の各基準電圧の設定は、第2実施形態と同じく、各帯域幅に応じて設定される。
それ以外の処理は、前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0091】
本実施形態の帯域幅の設定処理(S30)では、温度に応じて帯域幅を設定している。
すなわち、耐ノイズ特性などを考慮して、第1の帯域幅で受信をしている場合、温度が高い場所や低い場所ではバンドパスフィルター33の中心周波数が変動し、受信性能が低下(2.5Hzの変動で3dB感度劣化)する。
従って、電波修正時計1に温度センサーを組み込み、この温度センサーで測定された温度が、前記バンドパスフィルター33の中心周波数が2.5Hz以上外れる温度の場合、第2の帯域幅に変更して受信感度低下を抑制している。
【0092】
具体的には、S30では、受信処理時の温度を検出し、その温度に応じて帯域幅を設定する。すなわち、制御部47は、測定温度が予め設定された温度範囲内であれば、第1の帯域幅に設定し、その温度範囲よりも高い場合および低い場合には、第2の帯域幅に設定する。
なお、前記温度範囲は、例えば、15〜25度程度の通常に利用される場合の平均的な温度範囲に設定すればよいが、具体的な範囲は実施にあたって適宜設定すればよい。
【0093】
そして、制御部47は、S2,S4,S7,S9では、S30で設定された帯域幅に応じた基準電圧を選択して処理を行う。
このような第3実施形態においても、前記各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
その上、周囲の温度に応じて、バンドパスフィルター33の帯域幅を設定しているので、温度変化による受信感度の低下を防止でき、その分、受信性能を向上できる。
【0094】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0095】
例えば、第1〜3実施形態では、JJYを受信する場合の処理フローについて説明したが、他の標準電波を受信する場合に適用することもできる。この場合、基準電圧は、各標準電波に応じて設定すればよい。
例えば、WWVBの場合、図6に示すように、100:14のAM変調の信号であり、振幅が小さいローレベルの信号は、100:10のAM変調の信号であるJJYに比べて4%大きくなる。このため、検波信号の振幅、つまりハイレベルからローレベルに変化した際の変化幅がJJYに比べて小さくなる。すなわち、ローレベル時の検波信号のレベルは、JJYに比べてWWVBのほうが高くなる。このため、WWVBの検波信号を二値化する基準電圧の最適値は、JJYに比べて約2%高くすることが好ましい。
従って、受信する標準電波の種類がWWVBの場合は、マーカー取得時および時刻コード取得時のそれぞれにおいて、JJYの場合に比べて基準電圧を2%程度高く設定することが好ましい。
【0096】
また、MSFの場合、100:0のAM変調で信号が出力されており、時刻コードは振幅大のハイレベル部分が0.9秒、0.8秒が「0」、「1」の時刻コードであり、0.5秒がマーカーである。このため、図16に示すように、包絡線の検波信号は、低いレベルに落ち込むことが少なくなり、全体的に高いレベルに維持される。
このため、JJY等に比べて、マーカー取得時および時刻コード取得時のいずれの場合も基準電圧を高く設定することが好ましい。具体的には、図16において、マーカー取得用の基準電圧VM1は、検波信号の最大振幅の約50%のレベルに設定し、時刻コード取得用の基準電圧VM2は、VM1に対して検波信号の最大振幅の10〜20%程度高いレベルに設定すればよい。
【0097】
さらに、DCF77の場合、100:25のAM変調で信号が出力されており、時刻コードのパルス幅はMSFと同じである。一方、マーカーは、図7に示すように、AM変調されていない。
このため、DCF77受信時は、マーカー取得時と時刻コード取得時で基準電圧を同じ値VD1にしている。なお、DCF77は、MSF以上に、ハイレベルの期間が長いので、前記基準電圧VD1は、VM2と同じ、あるいは、VM2よりも若干高いレベルに設定することが好ましい。
【0098】
また、標準電波の種類を選択した場合に、その標準電波の種類に応じて、バンドパスフィルター33の帯域幅を設定し、マーカー取得時と時刻コード取得時の各基準電圧を、選択した帯域幅に応じて設定するようにしてもよい。
例えば、第3実施形態のS30の帯域幅の設定を、測定温度で行う代わりに、標準電波の種類で行えばよい。この場合、JJYまたはWWVBを受信する場合には第1の帯域幅に設定し、DVF77またはMSFを受信する場合には第2の帯域幅に設定する。
DCF77、MSFはバンドパスフィルター33の帯域幅を狭く設定すると、検波信号の立ち上がりの応答性が悪く、検波波形の振幅が小さくなる。このため、弱電界強度では、検波波形に揺らぎが生じ、二値化した受信回路部3の出力信号TCOにノイズが含まれてしまう。そこで、第2の帯域幅にして帯域幅を広くすると、信号の変化が急峻になり、検波波形の振幅が大きくなり感度を向上できる。
なお、DCF77およびMSFは、「0」、「1」の時刻コードにおけるAM変調の振幅が小さい期間が0.1秒、0.2秒と短い。このため、バンドパスフィルター33の帯域幅が狭い場合(例えば5Hz)、検波信号の応答性が悪いため、変調0%(MSF)と25%(DCF77)で検波信号は殆ど変わらない。従って、MSFのマーカー取得時の基準電圧VM1(例えば、検波信号の最大振幅の約50%のレベル)に比べて、DCF77およびMSFの時刻コード取得時の基準電圧VD1,VM2は、20%以上高くすることが好ましい。
一方、バンドパスフィルター33の帯域幅が広い場合(例えば10Hz以上)、検波信号の応答性が良いため、変調0%(MSF)と25%(DCF77)で検波信号の振幅が変化する。そして、包絡線検波をしているため、振幅が変化すると検波信号のボトムの位置も変化する。従って、振幅の変化が小さいDCF77の基準電圧VD1は、MSFの基準電圧VM2に比べて基準電圧を上げることが好ましい。例えば、VD1は、VM2に対して12.5%程度高くすることが好ましい。
【0099】
さらに、バンドパスフィルター33の帯域幅を設定する場合、前記第2実施形態のようなノイズ影響の有無(条件1)や、第3実施形態のような温度変化(条件2)や、変形例で説明した標準電波の種類(条件3)のうち、どの条件で設定するかは、受信回路を組み込む機器などの用途に応じて設定すればよい。この場合、前記第2,3実施形態や変形例のように、条件1〜3の一つの条件のみを設定しても良いし、複数の条件を組み合わせて設定してもよい。
【0100】
その他、バンドパスフィルター33やVREF切替回路38の具体的な構成等、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【符号の説明】
【0101】
1…電波修正時計、2…アンテナ、3…受信回路部、4…制御回路部、5…表示部、6…外部操作部材、31…同調回路、32…第1増幅回路、33…バンドパスフィルター、34…第2増幅回路、35…包絡線検波回路、36…AGC回路、37…二値化回路、38…VREF切替回路、39…デコード回路、41…TCOデコード部、42…記憶部、43…時刻カウンター、46…駆動回路部、47…制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準電波を受信して復調する受信手段と、
前記受信手段を制御する制御手段と、
前記受信手段によって復調された信号に基づいて時刻情報を修正する時刻修正手段とを備えた電波修正時計であって、
前記受信手段は、
前記標準電波の受信信号を増幅する信号増幅部と、
増幅された前記受信信号を検波して包絡線信号を出力する検波部と、
前記包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を出力する比較部と、
前記比較部の基準電圧の電圧値を、マーカー取得用電圧値、または、前記マーカー取得用電圧値とは異なる電圧値である時刻コード取得用電圧値に設定する基準電圧設定部とを備え、
前記制御手段は、前記基準電圧設定部を制御する基準電圧制御部を備え、
前記基準電圧制御部は、
標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時には、前記基準電圧の電圧値を前記マーカー取得用電圧値に設定し、
標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時には、前記基準電圧の電圧値を前記時刻コード取得用電圧値に設定する、
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電波修正時計において、
前記受信手段は、帯域幅を変更可能なバンドパスフィルターを備え、
前記制御手段は、前記バンドパスフィルターの帯域幅を設定する帯域幅制御部を備え、
前記帯域幅制御部は、
所定の条件に応じて、前記バンドパスフィルターの帯域幅を設定し、
前記基準電圧制御部は、
前記マーカー取得用電圧値および時刻コード取得用電圧値を、設定されたバンドパスフィルターの帯域幅に応じて設定する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項3】
請求項2に記載の電波修正時計において、
前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、
前記帯域幅制御部は、
受信開始時には、前記第2の帯域幅に設定し、
受信開始後、マーカーを取得できない場合、または、時刻コードを取得できない場合には、前記第1の帯域幅に設定する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項4】
請求項2に記載の電波修正時計において、
温度を測定する温度センサーを備え、
前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、
前記帯域幅制御部は、
前記温度センサーで測定された温度が予め設定された温度範囲内にある時には、前記第1の帯域幅に設定し、
前記温度センサーで測定された温度が前記温度範囲外にある時には、前記第2の帯域幅に設定する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項5】
請求項2に記載の電波修正時計において、
前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、
前記帯域幅制御部は、
受信する標準電波が日本の標準電波JJYまたはアメリカの標準電波WWVBのいずれかである場合には、前記第1の帯域幅に設定し、
受信する標準電波がドイツの標準電波DCF77またはイギリスの標準電波MSFのいずれかである場合には、前記第2の帯域幅に設定する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記受信手段は、複数の標準電波を受信可能に構成され、
前記基準電圧設定部は、
前記マーカー取得用電圧値および時刻コード取得用電圧値を、標準電波の種類に対応して設定可能に構成され、
前記基準電圧制御部は、
標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時には、前記基準電圧の電圧値を、受信する標準電波の種類に対応した前記マーカー取得用電圧値に設定し、
標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時には、前記基準電圧の電圧値を、受信する標準電波の種類に対応した前記時刻コード取得用電圧値に設定する、
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項7】
標準電波を受信して復調する受信手段と、
前記受信手段を制御する制御手段と、
前記受信手段によって復調された信号に基づいて時刻情報を修正する時刻修正手段とを備えた電波修正時計の制御方法であって、
前記受信手段は、
前記標準電波の受信信号を増幅する信号増幅部と、
増幅された前記受信信号を検波して包絡線信号を出力する検波部と、
前記包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を出力する比較部と、
前記比較部の基準電圧の電圧値を、マーカー取得用電圧値、または、前記マーカー取得用電圧値とは異なる電圧値である時刻コード取得用電圧値に設定する基準電圧設定部とを備え、
標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時に、前記基準電圧の電圧値を前記マーカー取得用電圧値に設定する工程と、
標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時に、前記基準電圧の電圧値を前記時刻コード取得用電圧値に設定する工程と、
を備えることを特徴とする電波修正時計の制御方法。
【請求項1】
標準電波を受信して復調する受信手段と、
前記受信手段を制御する制御手段と、
前記受信手段によって復調された信号に基づいて時刻情報を修正する時刻修正手段とを備えた電波修正時計であって、
前記受信手段は、
前記標準電波の受信信号を増幅する信号増幅部と、
増幅された前記受信信号を検波して包絡線信号を出力する検波部と、
前記包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を出力する比較部と、
前記比較部の基準電圧の電圧値を、マーカー取得用電圧値、または、前記マーカー取得用電圧値とは異なる電圧値である時刻コード取得用電圧値に設定する基準電圧設定部とを備え、
前記制御手段は、前記基準電圧設定部を制御する基準電圧制御部を備え、
前記基準電圧制御部は、
標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時には、前記基準電圧の電圧値を前記マーカー取得用電圧値に設定し、
標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時には、前記基準電圧の電圧値を前記時刻コード取得用電圧値に設定する、
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電波修正時計において、
前記受信手段は、帯域幅を変更可能なバンドパスフィルターを備え、
前記制御手段は、前記バンドパスフィルターの帯域幅を設定する帯域幅制御部を備え、
前記帯域幅制御部は、
所定の条件に応じて、前記バンドパスフィルターの帯域幅を設定し、
前記基準電圧制御部は、
前記マーカー取得用電圧値および時刻コード取得用電圧値を、設定されたバンドパスフィルターの帯域幅に応じて設定する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項3】
請求項2に記載の電波修正時計において、
前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、
前記帯域幅制御部は、
受信開始時には、前記第2の帯域幅に設定し、
受信開始後、マーカーを取得できない場合、または、時刻コードを取得できない場合には、前記第1の帯域幅に設定する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項4】
請求項2に記載の電波修正時計において、
温度を測定する温度センサーを備え、
前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、
前記帯域幅制御部は、
前記温度センサーで測定された温度が予め設定された温度範囲内にある時には、前記第1の帯域幅に設定し、
前記温度センサーで測定された温度が前記温度範囲外にある時には、前記第2の帯域幅に設定する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項5】
請求項2に記載の電波修正時計において、
前記バンドパスフィルターは、帯域幅を、第1の帯域幅と、前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅とに切り替え可能に構成され、
前記帯域幅制御部は、
受信する標準電波が日本の標準電波JJYまたはアメリカの標準電波WWVBのいずれかである場合には、前記第1の帯域幅に設定し、
受信する標準電波がドイツの標準電波DCF77またはイギリスの標準電波MSFのいずれかである場合には、前記第2の帯域幅に設定する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記受信手段は、複数の標準電波を受信可能に構成され、
前記基準電圧設定部は、
前記マーカー取得用電圧値および時刻コード取得用電圧値を、標準電波の種類に対応して設定可能に構成され、
前記基準電圧制御部は、
標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時には、前記基準電圧の電圧値を、受信する標準電波の種類に対応した前記マーカー取得用電圧値に設定し、
標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時には、前記基準電圧の電圧値を、受信する標準電波の種類に対応した前記時刻コード取得用電圧値に設定する、
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項7】
標準電波を受信して復調する受信手段と、
前記受信手段を制御する制御手段と、
前記受信手段によって復調された信号に基づいて時刻情報を修正する時刻修正手段とを備えた電波修正時計の制御方法であって、
前記受信手段は、
前記標準電波の受信信号を増幅する信号増幅部と、
増幅された前記受信信号を検波して包絡線信号を出力する検波部と、
前記包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を出力する比較部と、
前記比較部の基準電圧の電圧値を、マーカー取得用電圧値、または、前記マーカー取得用電圧値とは異なる電圧値である時刻コード取得用電圧値に設定する基準電圧設定部とを備え、
標準電波のマーカーを取得するマーカー取得時に、前記基準電圧の電圧値を前記マーカー取得用電圧値に設定する工程と、
標準電波の時刻コードを取得する時刻コード取得時に、前記基準電圧の電圧値を前記時刻コード取得用電圧値に設定する工程と、
を備えることを特徴とする電波修正時計の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−112428(P2011−112428A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267214(P2009−267214)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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