説明

電波監視装置、及び電波監視方法

【課題】広域の監視対象エリアから監視対象(電波発射源)の位置を推定する際に、複数の方位センサの中から最適な方位センサを自動で選択する。
【解決手段】監視対象エリア1における監視対象2の位置を特定する位置特定情報(緯度・経度等)20bを、位置関連情報(住所・郵便番号等)20aと関連づけてデータベース20に登録する。位置検索部17は、監視対象2の位置関連情報20aを基にデータベース20を検索し、監視対象2の概略位置を特定する。最適センサ選択部18は、位置検索部17により特定された監視対象2の位置から各方位測定部(方位センサ)15までの距離を算出し、監視対象2からの距離が近い順に方位測定部15を2つ以上選択する。発射源位置推定部19では、選択された各方位測定部15により測定されたそれぞれの発射源方位の交点を求めることにより、監視対象2の位置を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広大な監視対象エリア(例えば、関東地方などの地域単位や、県単位等)内に存在する監視対象(無線局等の電波発射源)の位置を推定する、電波監視装置及び電波監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電波監視装置では、複数の方位センサを用いて監視対象(電波発射源)の方位測定を行い、その方位線の交点を求めることにより監視対象の位置を推定している。この方法においては、監視者(電波監視装置の運用者)が、異なる位置に設置された複数の方位センサの中から、最適と思われる2つ以上のセンサを選択し、この選択した方位センサを用いて監視対象の位置を推定している。
【0003】
なお、関連する測位システムがある(特許文献1を参照)。この特許文献1に記載の測位システムは、測位対象から最も近くに設置されている測位対象検知器(RFIDリーダ)の位置を示す情報を受信して、正確に測位対象の位置を補正することを目的としている。このために、自律測位装置(人間等が保持し、移動距離と方向とを自立的に測位する装置)が測位対象の位置を測位すると、測位対象の位置を示す位置情報をマーカ管理装置に送信し、マーカ管理装置が自律測位装置から送信された位置情報を参照して、屋内環境下に設置されている複数のRFIDリーダの中で、測位対象から最も近くに設置されているRFIDリーダを特定し、そのRFIDリーダの検知感度を高める。
【0004】
また、関連する測位システムがある(特許文献2を参照)。この特許文献2に記載の測位システムは、測位目標が放射する電波を複数の移動体で受信しこれらの間で生成される到来時間差、到来周波数差を用いて目標の位置を特定する測位精度のよい測位システムを得ることを目的としている。このために、位置が未知な電波放射源が放射する電波を受信して観測する受信手段を搭載した少なくとも2つの移動プラットフォームと、各移動プラットフォームからの観測情報の受信信号、移動ベクトル情報及び位置情報から受信信号の到来時間差及び到来周波数差を求め電波放射源の位置を標定する。
【0005】
また、関連する広域電波監視装置がある(特許文献3を参照)。この特許文献3に記載の広域電波監視装置は、地形や地物の影響を考慮し、監視対象の電波発射源の位置を精度良く推定するとともに、電波発射源での送信アンテナの指向性を推定し電波発射源からの電波の勢力分布を分かりやすく示すことを目的としている。このために、各センサ局において電波ホログラム観測を行って電波再生像を取得し、予め用意してある計算機シミュレーション結果と比較して電波発生源の候補位置(メッシュ交点位置)を求める。また、候補位置の近傍で電波発生源の位置を変化させながら計算機シミュレーションを繰り返して、電波発射源の位置を最終的に決定する。計算機シミュレーションでは、地図情報を利用し、地形や地物の影響を考慮した電波伝搬のシミュレーションを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−216196号公報
【特許文献2】特開2009−250865号公報
【特許文献3】特開平11−326482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように従来の電波監視装置では、異なる位置に設置された複数の方位センサを用いて発射源方位の測定を行い、それらの方位線の交点を求めることにより監視対象となる無線局等の電波発射源の位置を推定している。
しかしながら、この方法においては、監視対象地域が広域な場合に、土地勘(その地域の地理・地形などについての知識)のない監視者が、上記複数の方位センサのなかから最適な方位センサを選択することはなかなか困難であり、監視対象の位置を正確に推定できない恐れもある。
【0008】
本発明の主たる課題は、広域の監視対象エリアから監視対象(電波発射源)の位置を推定する際に、異なる位置に設置された複数の方位センサの中から最適な方位センサを自動で選択することができる、電波監視装置、及び電波監視方法を提供することにあり、さらには、移動する監視対象の位置を追尾する際に、複数の方位センサの中から最適な方位センサを自動で選択することができる、電波監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の電波監視装置は、広域の監視対象エリア内の監視対象から発射される電波を、異なる位置に設置された複数の方位センサの中から少なくとも2つ以上の方位センサを選択して受信し、この選択した方位センサにより前記電波の発射源方位の測定を行い、その方位線の交点を求めることにより前記監視対象の位置を推定する際に、前記広域監視対象エリア内における前記監視対象の概略位置を、所定の位置関連情報により予め特定し、この監視対象の特定された位置からの距離が近い順に、前記複数の方位センサの中から少なくとも2つ以上の方位センサを自動で選択することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電波監視方法は、広域の監視対象エリア内の監視対象から発射される電波を、異なる位置に設置された複数の方位センサの中から少なくとも2つ以上の方位センサを選択して受信し、この選択した方位センサにより前記電波の発射源方位の測定を行い、その方位線の交点を求めることにより前記監視対象の位置を推定する際に、前記広域監視対象エリア内における前記監視対象の概略位置を、所定の位置関連情報により予め特定し、この監視対象の特定された位置からの距離が近い順に、前記複数の方位センサの中から少なくとも2つ以上の方位センサを自動で選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電波監視装置では、広域な監視対象エリア内に存在する監視対象(無線局等の電波発射源)の位置を、位置関連情報(例えば、住所や郵便番号等)により予め特定し、この監視対象の特定された位置からの距離が近い順に、少なくとも2つ以上の方位センサ(方位測定部)を自動で選択するようにしたので、これにより、異なる位置に設置された複数の方位センサの中から最適な方位センサを自動で選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係わる電波監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す電波監視装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係わる電波監視装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の電波監視装置11は、A/D変換器14と、複数の方位測定部15からなる方位センサ3と、信頼度比較部16と、位置検索部17と、最適センサ選択部18と、発射源位置推定部19と、を有して構成される。
【0014】
上記構成において、アンテナ12で受信した監視対象(電波発射源)2の無線信号は、受信機13により中間周波数の信号に変換され、この中間周波数信号はA/D変換器14に向けて出力される。A/D変換器14は、受信機13から入力した中間周波数信号をデジタル複素包絡信号に変換して、方位測定部15に向けて出力する。
【0015】
方位測定部15は、アンテナ12により、監視対象2から送信される無線信号(電波)を受信する。この方位測定部15は、監視対象2からの送信される無線信号を受信すると、その無線信号(電波)の到来方位(「発射源方位」と称す)を測定する。本実施形態の電波監視装置11は、このアンテナ12、A/D変換器14、方位測定部15からなる方位センサ3を少なくとも2つ以上備えており、各方位センサ3はそれぞれ異なる位置(地理的に相互に離隔した位置)に設置される。これら複数の方位センサ3の設置位置の情報は、発射源位置推定部19内に方位センサ3の設置位置情報19aとして予め登録されている。
【0016】
この方位センサ3において方位測定部15は、A/D変換器14に方位測定を指示して、A/D変換器14から出力される信号を受信し、監視対象2から受信した電波の到来方位を推定して発射源方位の測定を行う。また、方位測定部15は、方位測定結果の信頼度を判定する。方位測定部15は、発射源方位の測定結果の情報と、信頼度の判定結果の情報とを信頼度比較部16に出力する。
【0017】
なお、方位測定部15における発射源方位の測定方法、及び発射源位置推定部19における複数の発射源方位を用いた発射源位置の推定方法については、周知の技術を用いればよい。例えば、特開平9−97391号公報には、複数の方探局を用いて送信波の到来方位を測定し、それらの測定結果を基に各送信波の到来方位の交点を求めることで該送信波の発射源である無線送信器の位置を推定する技術が記載されている。
【0018】
信頼度比較部16は、複数の方位センサ3における各方位測定部15から、それぞれの発射源方位の測定結果、および信頼度の判定結果の情報を通信ネットワーク等を介して入力し、この信頼度が所定の基準値を満たすか否かを判定することにより、方位測定結果の信頼度の高低を判定している。例えば、方位測定部15において方位測定結果の信頼度を判定する際には、ITUが発行しているHandbook Spectrum Monitoringに記載される信頼度が所定の閾値以上であるか否かにより、方位測定結果の信頼度の高低を判定する。そして、信頼度が低い場合(信頼度が閾値以下の場合)は、その旨の情報を最適センサ選択部18に出力する。
【0019】
位置検索部17は、広域の監視対象エリア1から住所、緯度経度、郵便番号などの位置関連情報20aを基にデータベース20を検索し、データベース20内に登録された位置特定情報20bを抽出して、監視対象2の位置(概略の位置)を特定する。位置検索部17は、求めた監視対象2の位置情報を最適センサ選択部18に出力する。
【0020】
最適センサ選択部18は、位置検索部17により特定された監視対象2の位置と、発射源位置推定部19から入力される方位測定部15の設置位置情報19aとを基に、監視対象2の位置から各方位測定部15までの距離を算出する。そして、最適センサ選択部18は、監視対象2からの距離が近い順に、最適な方位センサ3を2つ以上選択し、このセンサ選択情報を該当する方位センサ3の方位測定部15に出力する。最適センサ選択部18により選択された方位センサ3の方位測定部15では、監視対象2から到来する無線信号を受信して発射源方位の測定を行う。
【0021】
このように、最適センサ選択部18により最適な方位センサ3を選択する際には、監視対象2の位置からの距離が近い順に方位センサ3を選択することを基本としている。但し、前述したように、最適センサ選択部18では、距離が近い順に選択した方位センサ3の中に信頼度(方位測定結果の信頼度)の低いものがある旨の情報を、信頼度比較部16入力した場合は、この信頼度の低い方位センサ3を除外し、次に距離が近い方位センサ3を再度選択する。
【0022】
なお、監視対象2の位置からの距離が近い順に方位センサ3を選択する際には、監視対象2と方位センサ3との間の距離を算出して遠近を判定するのに代えて、方位センサ3の方位測定部15で受信した受信信号のレベル(電界強度、受信機入力端電圧等)により距離の遠近を判定するようにしてもよい。
【0023】
発射源位置推定部19は、信頼度比較部16により方位測定結果に信頼度があると判定され、かつ監視対象2からの距離が近いと判定された2つ以上の方位センサ3のそれぞれにおいて測定された発射源方位の情報を、信頼度比較部16を介して入力する。そして、発射源位置推定部19では、予め登録されている方位センサ3の設置位置情報19aと、発射源方位の情報とを用いて、発射源方位の交点を求め、その結果を発射源位置(監視対象2の位置)として推定する。
【0024】
また、データベース20には、監視対象2の位置に関連する位置関連情報(例えば、住所、郵便番号、電話番号等)20aと、監視対象2の位置(概略の位置)を特定する位置特定情報(例えば、緯度・経度)20bと、が関連づけて登録されている。なお、位置関連情報20aが、緯度・経度の情報であってもよい。
【0025】
次に、図1に示す電波監視装置11の動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。なお、図2に示すフローチャートにおいては、電波監視装置11が、監視対象2の位置の推定動作を開始する前に、監視者(電波監視装置11の運用者)等により、監視対象2の位置関連情報(住所、緯度経度、郵便番号等)20aが予め入力されているものとする。
【0026】
図2のフローチャートを参照して、監視対象2の位置の推定動作が開始されると、位置検索部17は、監視者等が入力した住所、緯度経度、郵便番号などの位置関連情報20aを基にデータベース20を検索し、入力された位置関連情報20aに対応する位置特定情報20bを抽出する。この抽出した位置特定情報20bにより、広域な監視対象エリア(例えば、関東地方などの地域単位等)1における監視対象2の位置を特定する(ステップS1)。
【0027】
最適センサ選択部18は、位置検索部17により得られる監視対象2の特定された位置の情報と、発射源位置推定部19から入力した方位センサ3の設置位置情報19aとを基に、監視対象2の位置から各方位センサ3までの距離を算出し、監視対象2からの距離が近い順に最適な方位センサ3を2つ以上選択し、この選択した方位センサ3の方位測定部15に対して方位測定を行うように指示する(ステップS2)。
【0028】
最適センサ選択部18により選択された方位センサ3の方位測定部15は、受信した電波の到来方位をある時間間隔で測定することにより発射源方位を測定する。また、方位測定部15は、方位測定結果の信頼度を判定し、この方位測定結果の信頼度の情報を信頼度比較部16に出力する(ステップS3)。
信頼度比較部16は、方位測定部15で測定した方位測定結果の信頼度が所定の基準値を満たしているか否かを判定する(ステップS4)。例えば、ITUが発行しているHandbook Spectrum Monitoringに記載される信頼度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。この信頼度が上記所定の閾値以下の場合は、方位測定結果の信頼度が低いと判定し、信頼度が所定の閾値(基準値)以上の場合は、方位測定結果の信頼度が高いと判定する。
【0029】
そして、信頼度比較部16において、方位測定結果の信頼度が低いと判定された場合は(ステップS4:No)、ステップS2に戻り、最適センサ選択部18では、方位測定結果の信頼度が低いと判定された方位センサ3の方位測定部15を除外し、先に選択していた方位センサ3の方位測定部15の次に距離(監視対象2からの距離)が近い方位測定部15を再度選択する。
【0030】
一方、方位測定結果の信頼度が高いと判定された場合は(ステップS4:Yes)、ステップS5に移行し、発射源位置推定部19では、選択されたそれぞれの方位センサ3の方位測定部15で測定された発射源方位と、方位測定を行ったそれぞれの方位測定部15の設置位置情報19aとを基に発射源方位の交点を求め、これを監視対象2(電波発射源位置)として推定する(ステップS5)。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の電波監視装置11によれば、監視者による方位センサ3を選択するスキル(土地勘や熟練度)に依存することなく、最適な方位センサ3を自動で選択できる。すなわち、位置関連情報(郵便番号等)20aと位置特定情報20bとにより監視対象2の位置(概略の位置)を特定し、この監視対象2の位置から方位センサ3までの距離を算出して、距離が近い順に方位センサ3を選択することができる。また、選択した方位センサ3で得られた方位測定結果の信頼度を判定し、信頼度が低い方位センサ3がある場合は、この信頼度が低い方位センサ3を除外し、先に選択した方位センサ3の次に距離(監視対象2からの距離)が近い方位センサ3を再度選択する。これにより、方位測定結果の信頼度の高い方位センサ3を、最適な方位センサ3として選択することができる。
【0032】
さらに監視対象2が移動する場合においても、同様に、監視対象2の位置から方位センサ3(方位測定部15)までの距離を算出して、距離が近い順に方位センサ3を選択することができる。
【0033】
この監視対象2を追尾する場合、最初は、位置関連情報20aにより監視対象2の位置を特定し、この監視対象2の特定された位置からの距離が近い順に、少なくとも2以上の方位センサ3を選択して、方位測定により監視対象2の位置を推定する。これ以降は、監視対象2の方位測定により推定された位置に応じて、この監視対象2からの距離が近い順に、方位センサ3を自動で選択して監視対象2の位置を追尾する。
これにより、移動する監視対象2の位置を追尾する際にも、異なる位置に設置された複数の方位センサ3の中から最適な方位センサ3を自動で選択することができる。また、この監視対象2を追尾する場合においても、方位センサ3で得られた方位測定結果の信頼度を判定し、先に選択した方位センサ3の中に信頼度が低い方位センサ3がある場合はこれを除外し、次に監視対象2からの距離が近い方位センサ3を再選択することができる。
【0034】
なお、ここで本発明と上記実施形態の対応関係について補足して説明しておく。上記実施形態において、本発明における広域の監視対象エリアは、監視対象エリア1が対応し、本発明における監視対象は、無線局等の電波発射源である監視対象2が対応し、本発明における電波監視装置は、電波監視装置11が対応する。また、本発明における方位センサ3は、方位測定部15が対応する。本発明における信頼度比較部は、信頼度比較部16が対応し、本発明における位置検索部は、位置検索部17が対応する。
【0035】
また、本発明における最適センサ選択部は、最適センサ選択部18が対応し、本発明における発射源位置推定部は、発射源位置推定部19が対応し、本発明におけるデータベースは、データベース20が対応する。また、本発明における監視対象の位置に関連する情報は、住所や郵便番号等の位置関連情報20aが対応し、本発明における位置特定情報は、緯度及び経度等の位置特定情報20bが対応する。また、本発明における方位センサ3の設置位置情報は、発射源位置推定部19内の方位センサ3の設置位置情報19aが対応する。
【0036】
(1)そして、上記実施形態において、電波監視装置11は、広域の監視対象エリア1内の監視対象2から発射される電波を、異なる位置に設置された複数の方位センサ3(方位測定部15)の中から少なくとも2つ以上の方位センサ3(方位測定部15)を選択して受信し、この選択した方位センサ3(方位測定部15)により上記電波の発射源方位の測定を行い、その方位線の交点を求めることにより監視対象2の位置を推定する際に、広域監視対象エリア1内における監視対象2の概略位置を、所定の位置関連情報20aにより予め特定し、この監視対象2の特定された位置からの距離が近い順に、複数の方位センサ3(方位測定部15)の中から少なくとも2つ以上の方位センサ3(方位測定部15)を自動で選択する。
このような構成の電波監視装置11では、予め指定される位置関連情報(例えば、住所・郵便番号等)20aを基に、広域の監視対象エリア1における監視対象2の概略位置を特定し、この監視対象2の特定された位置からの距離が近い順に、複数の方位センサ3(方位測定部15)の中から2つ以上の方位センサ3(方位測定部15)を自動で選択する。
これにより、広域の監視対象エリア1から監視対象(電波発射源)2の位置を推定する際に、異なる位置に設置された複数の方位センサ3(方位測定部15)の中から最適な方位センサ3(方位測定部15)を自動で選択することができる。
【0037】
(2)また、上記実施形態において、監視対象2は移動体であり、監視対象2の位置が移動する際に、上記監視対象2の推定された位置に応じて、この監視対象2からの距離が近い順に、複数の方位センサ3(方位測定部15)の中から少なくとも2つ以上の方位センサ3(方位測定部15)を自動で選択して監視対象2の位置を追尾する。
このような構成の電波監視装置11では、監視対象(電波発射源)2の位置が移動する場合においても、移動した監視対象2の推定された位置からの距離が近い順に、少なくとも2つ以上の方位センサ3(方位測定部15)を自動で選択する。
これにより、移動する監視対象2の位置を追尾する際にも、異なる位置に設置された複数の方位センサ3(方位測定部15)の中から最適な方位センサ3(方位測定部15)を自動で選択することができる。
【0038】
(3)また、上記実施形態において、電波監視装置11は、監視対象2から発射される電波を受信して発射源方位の測定を行う方位センサ3として機能し、それぞれが異なる位置に設置される複数の方位測定部15と、広域の監視対象エリア1における監視対象2の位置を特定するために、位置に関連する情報である所定の位置関連情報20aと、監視対象の位置を特定する情報である位置特定情報20bと、を関連付けて登録するデータベース20と、監視対象2の位置関連情報20aを基にデータベース20を検索して監視対象2の概略位置を特定する位置検索部17と、方位測定部15で測定された方位測定結果の信頼度が所定の基準値を満たすか否かを判定する信頼度比較部16と、複数の方位測定部15の中から、監視対象2の特定された概略位置からの距離が近い順であり、かつ信頼度比較部16により方位測定結果に信頼度があると判定される方位測定部15を、少なくとも2つ以上選択する最適センサ選択部18と、最適センサ選択部18により選択された方位測定部15のそれぞれから方位測定結果の情報を受信し、この方位測定結果の情報と、予め登録されている方位測定部15の設置位置情報19aとを基に発射源方位の交点を求め、その結果を監視対象2の位置として推定する発射源位置推定部19と、を備える
【0039】
このような構成の電波監視装置11では、最適センサ選択部18では、複数の方位測定部15の中から、監視対象2の位置からの距離が近い順であり、かつ信頼度比較部16により方位測定結果に信頼度あると判定される方位測定部を、少なくとも2つ以上選択する。そして、発射源位置推定部19は、最適センサ選択部18により選択された方位測定部15のそれぞれから方位測定結果の情報を受け取り、この方位測定結果の情報と、予め登録されている方位測定部15の設置位置情報19aとを用いて発射源方位の交点を求め、その結果を監視対象2の位置として推定する。
これにより、広域の監視対象エリア1から監視対象(電波発射源)2の位置を推定する際に、異なる位置に設置された複数の方位センサ3の中から最適な方位センサ3を自動で選択することができる。
【0040】
(4)また、上記実施形態において、最適センサ選択部18では、最初に監視対象2の位置からの距離が近い順に、少なくとも2つ以上の方位測定部15を選択し、信頼度比較部16により、先に選択した方位測定部15の中に方位測定結果の信頼度が低いものがあると判定された場合は、当該信頼度の低い方位測定部15を先に選択した方位測定部15から除外し、次に監視対象2からの距離が近い方位測定部15を再度選択する。
このような構成の電波監視装置11では、先に選択した方位測定部15の中で信頼値(方位測定結果の信頼度)が低いものがある場合は、この信頼度が低い方位測定部15を除外し、次に監視対象2からの距離が近い方位測定部15を再度選択する。
これにより、方位測定結果の信頼度の高い方位センサ3を、最適な方位測定部15として選択することができる。このため、監視対象2の位置をより正確に推定することができる。
【0041】
(5)また、上記実施形態において、信頼度比較部16では、方位測定部15で測定された方位測定結果の信頼度が所定の基準値を満たすか否かを判定する際には、国際電気通信連合(ITU)発行のHandbook Spectrum Monitoringに記載される信頼度が所定の閾値以上であるか否かを判定することにより、方位測定結果に信頼度があるか否かを判定する。
これにより、方位測定結果が、国際電気通信連合(ITU)のHandbook Spectrum Monitoringに記載される信頼度を満たす方位測定部15を最適な方位センサ3として選択することができる。このため、方位測定結果の信頼度が高い方位測定部15を選択して、監視対象2の位置を推定することができる。
【0042】
(6)また、上記実施形態において、最適センサ選択部18では、監視対象2の位置からの距離が近い順に方位測定部15を選択することに代えて、監視対象2から受信した信号レベルの高い順に少なくとも2つ以上の方位測定部15を選択する。
これにより、監視対象2から受信した信号レベルの高い順に方位センサ3を選択することができる。このため、監視対象2と方位測定部15との距離を算出することなく、最適な方位測定部15を容易に選択することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、図1に示す電波監視装置11は、内部に、CPU、ROM、及びRAM等を有するコンピュータシステムを有している。そして、電波監視装置11を構成する各処理部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、各処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0044】
例えば、図1に示す電波監視装置11内の方位測定部15、信頼度比較部16、位置検索部17、最適センサ選択部18、及び発射源位置推定部19等における上述した処理に関する一連の処理の過程を、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶しておき、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理を行うようにしてもよい。
【0045】
また、図1に示す電波監視装置11は、周辺機器として入力装置、表示装置等(いずれも図示せず)が接続されているものとする。ここで、入力装置としては、キーボード、マウス等の入力デバイスのことをいう。表示装置とは、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等のことをいう。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の電波監視装置11は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 広域の監視対象エリア
2 監視対象(電波発射源)
3 方位センサ
11 電波監視装置
12 アンテナ
13 受信機
14 A/D変換器
15 方位測定部
16 信頼度比較部
17 位置検索部
18 最適センサ選択部
19 発射源位置推定部
19a 方位センサの設置位置情報
20 データベース
20a 監視対象の位置関連情報
20b 監視対象の位置特定情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域の監視対象エリア内の監視対象から発射される電波を、異なる位置に設置された複数の方位センサの中から少なくとも2つ以上の方位センサを選択して受信し、この選択した方位センサにより前記電波の発射源方位の測定を行い、その方位線の交点を求めることにより前記監視対象の位置を推定する際に、前記広域監視対象エリア内における前記監視対象の概略位置を、所定の位置関連情報により予め特定し、この監視対象の特定された位置からの距離が近い順に、前記複数の方位センサの中から少なくとも2つ以上の方位センサを自動で選択することを特徴とする電波監視装置。
【請求項2】
前記監視対象は移動体であり、
前記監視対象の位置が移動する際に、前記監視対象の推定された位置に応じて、この監視対象からの距離が近い順に、前記複数の方位センサの中から少なくとも2つ以上の方位センサを自動で選択して前記監視対象の位置を追尾する
ことを特徴とする請求項1に記載の電波監視装置。
【請求項3】
前記監視対象から発射される電波を受信して発射源方位の測定を行う方位センサとして機能し、それぞれが異なる位置に設置される複数の方位測定部と、
前記広域の監視対象エリアにおける監視対象の位置を特定するために、位置に関連する情報である所定の位置関連情報と、前記監視対象の位置を特定する情報である位置特定情報と、を関連付けて登録するデータベースと、
前記監視対象の位置関連情報を基に前記データベースを検索して前記監視対象の概略位置を特定する位置検索部と、
前記方位測定部で測定された方位測定結果の信頼度が所定の基準値を満たすか否かを判定する信頼度比較部と、
前記複数の方位測定部の中から、前記監視対象の特定された概略位置からの距離が近い順であり、かつ前記信頼度比較部により方位測定結果に信頼度があると判定される方位測定部を少なくとも2つ以上選択する最適センサ選択部と、
前記最適センサ選択部により選択された方位測定部のそれぞれから方位測定結果の情報を受信し、この方位測定結果の情報と、予め登録されている方位測定部の設置位置情報とを基に発射源方位の交点を求め、その結果を監視対象の位置として推定する発射源位置推定部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電波監視装置。
【請求項4】
前記最適センサ選択部では、
最初に前記監視対象の位置からの距離が近い順に、少なくとも2つ以上の方位測定部を選択し、
前記信頼度比較部により、先に選択した方位測定部の中に方位測定結果の信頼度が低いものがあると判定された場合は、当該信頼度の低い方位測定部を前記先に選択した方位測定部から除外し、次に前記監視対象からの距離が近い方位測定部を再度選択する
ことを特徴とする請求項3に記載の電波監視装置。
【請求項5】
前記信頼度比較部では、
前記方位測定部で測定された方位測定結果の信頼度が所定の基準値を満たすか否かを判定する際には、
国際電気通信連合(ITU)発行のHandbook Spectrum Monitoringに記載される信頼度が所定の閾値以上であるか否かを判定することにより、前記方位測定結果に信頼度があるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電波監視装置。
【請求項6】
前記最適センサ選択部では、
前記監視対象の位置からの距離が近い順に方位測定部を選択することに代えて、
前記監視対象から受信した信号レベルの高い順に少なくとも2つ以上の方位測定部を選択する
ことを特徴とする請求項3から請求項5の何れか一項に記載の電波監視装置。
【請求項7】
広域の監視対象エリア内の監視対象から発射される電波を、異なる位置に設置された複数の方位センサの中から少なくとも2つ以上の方位センサを選択して受信し、この選択した方位センサにより前記電波の発射源方位の測定を行い、その方位線の交点を求めることにより前記監視対象の位置を推定する際に、前記広域監視対象エリア内における前記監視対象の概略位置を、所定の位置関連情報により予め特定し、この監視対象の特定された位置からの距離が近い順に、前記複数の方位センサの中から少なくとも2つ以上の方位センサを自動で選択する
ことを特徴とする電波監視方法。

【図1】
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【図2】
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