説明

電流センサの故障診断装置

【課題】電流センサの故障診断を常時且つ安価に実現する。
【解決手段】被計測電流Iが生じさせる磁界に対して逆磁界を生じさせる回路を有する電流センサ10の故障診断装置20であって、電源から電流センサ10への入力電流icを測定する入力電流測定回路25と、入力電流測定回路25により検出された入力電流の値ic及びその時点で測定された被計測電流の値iの関係を、それらの既知の相関関係と比較することに基づいて電流センサ10の故障を判別する故障検出手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサの故障診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばバッテリへの蓄電量を算出するために、バッテリに接続される電流経路にその電流を検出する電流センサが設けられている。特許文献1には、電流センサにより充放電電流を検出し、これを出力先の電子制御ユニットにおいて繰り返し積算することでバッテリへの蓄電量を算出する方法が開示されている。このような方法において、電流センサに故障が生じた場合には、バッテリへの蓄電量を算出できないこととなるため、当該故障を常時診断できるようにしておくことは製品としての信頼性を高めるために重要である。
【0003】
電流センサの故障診断の一例として、特許文献1にはバッテリの端子間電圧を検出する方法が記載されている。この方法は、検出された電流値を監視し、この電流値が0のときに、本来一定であるはずの電圧が上昇・下降変動をしている場合には故障と判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3757687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような方法では、診断可能な状態が、電流が検出されない「0」の状態となる特定の条件下に限られるから、故障を常時診断することはできない。その他、電流センサを複数搭載し、それぞれの計測結果を比較することにより故障診断を行うことも考えられる。この方法によれば、故障を常時診断することは可能だが、この故障診断のためだけに高価なセンサを複数搭載することはコストの増大に繋がり、好ましくない。このため、特定の条件下に限られず、電流センサの故障診断を常時、且つ安価に行える故障診断装置が求められている。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、故障診断を常時且つ安価に実現可能な電流センサの故障診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被計測電流が生じさせる磁界に対する逆磁界を生じさせる回路を有する電流センサの故障診断装置であって、電源から前記電流センサに流れ込む電流(消費電流)を測定する入力電流測定回路と、前記入力電流測定回路により検出された電流値及びその時点での前記電流センサにより計測された前記被計測電流の関係を、それらの既知の相関関係と比較することに基づいて前記電流センサの故障を判別する故障検出手段とを備えることに特徴を有する。
【0008】
被計測電流が生じさせる磁界に対する逆磁界を生じさせ、その逆磁界を作るための電流の大きさに基づいて被計測電流を計測するタイプの電流センサにおいては、被計測電流が大きいほど逆磁界を生じさせるための電流が大きくなる。このことは電源から電流センサに流れ込む電流(入力電流)の増加に繋がり、電流センサが正常に機能しているなら、両者には一定の相関関係があるはずである。本発明は、この事実に着目し、測定された被計測電流の値と、電流センサの入力電流との関係が、両者の既知の相関関係から外れた場合には、電流センサに異常があるとしてその故障診断を行うものである。このような構成によれば、電流センサの被計測電流が特定の値でなくても、故障診断を常時行うことが可能となる。
【0009】
また、本発明は、故障診断のために電源から電流センサへの入力電流を計測する回路を設定するだけでよく、例えば電流センサを複数搭載し、それぞれの計測結果を比較することにより故障診断を行う場合よりも、格段に安く故障診断を行うことができる。
【0010】
前記故障検出手段は、正常な前記電流センサにより計測された前記被計測電流の値とその時点での前記入力電流の値との既知の相関関係を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記既知の相関関係に基づいて前記入力電流測定回路より測定された入力電流の値からそれに対応する被計測電流の値(以下「正常計測電流値」ということがある)を読み出し、実際に電流センサによって測定された被計測電流の値(以下「計測電流値」ということがある)が前記正常計測電流値の上下所定の範囲を超える場合に故障と判定する比較手段とを備えていることが望ましい。
【0011】
予め、正常計測電流値と入力電流の値との相関関係を記憶装置に記憶しておき、入力電流から正常計測電流を読み出して計測電流値と比較するから、迅速な故障診断が可能になる。
【0012】
前記故障検出手段は、前記電流センサが設置された環境の環境温度を検出する温度センサを備え、前記既知の相関関係、又は前記計測電流値及び入力電流値のいずれか一方を前記温度センサにより検出された前記環境温度に基づいて補正するものであってもよい。このような構成によれば、電流センサの温度特性を考慮した上で、故障診断を行うことができるから、診断精度の向上を図ることができる。
【0013】
前記故障検出手段は、前記電流センサの電源電圧を測定する電源電圧測定手段を備え、その電圧値に基づいて、前記既知の相関関係、又は前記計測電流値及び入力電流値のいずれか一方を補正するものであってもよい。このような構成によれば、電流センサの電源電圧の変化による消費電流の変動を加味して、故障診断を行うことができ、更なる診断精度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、故障診断を常時且つ安価に実現可能な電流センサの故障診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係る電流センサの基本構成を示した概略回路図
【図2】電流センサの故障診断装置のブロック図
【図3】正常な電流センサによって測定された計測電流値と、その時点での電流センサへの入力電流との既知の相関関係を示したグラフ
【図4】実施形態2に係る入力電流の電源電圧依存性を示したグラフ
【図5】実施形態3に係る入力電流と環境温度との相関関係を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図3によって説明する。
本実施形態の電流センサ10は、例えば電気自動車やハイブリット自動車等の車両に搭載され、バッテリやインバータに供給される被計測電流Iの測定等に用いられる。
【0017】
電流センサ10は、図1に示すように、磁気検出素子12としてホール素子を利用した磁気平衡式であって、被計測電流Iが流れる測定導体50が貫通するリング状の磁性体コア11と、磁性体コア11のギャップに配置される磁気検出素子12と、磁気検出素子12の出力電圧を増幅する増幅回路13、及び増幅回路13に直列に接続され磁性体コア11に巻回した帰還コイル14と、を備える。
【0018】
帰還コイル14には、測定導体50に流れる電流によって磁性体コア11内に生ずる磁束を打ち消すようにフィードバック電流iが供給されるから、このフィードバック電流iに基づいて被計測電流Iを知ることができる。フィードバック電流iは被計測電流Iにほぼ比例するから、電流センサ10にその電源端子10Aから流れ込む入力電流icは、被計測電流Iが大きくなるほど大きくなり、電流センサ10が正常に機能している時には被計測電流Iと電流センサ10への入力電流icとの間には一定の相関関係があり、これを予め測定することにより例えば図3に示すような既知の相関関係が得られる。
【0019】
この電流センサ10は電流出力型であり、出力端子10Bを通って被計測電流Iの大きさに対応したフィードバック電流iが流れ、出力端子10Bに接続した検出抵抗31及び増幅回路32により、被測定電流Iに比例しフィードバック電流iに対応する電圧vが得られる。この電圧vはA/D変換回路41を備えたマイクロコンピュータ40に入力され、次述する故障診断装置20及びその他制御装置において、計測電流iに相当する値として用いられる。
【0020】
さて、電流センサ10のための故障診断装置20は、図2に示すように、電源回路21から電流センサ10に流れ込む入力電流icを測定する入力電流測定回路25、及びマイクロコンピュータ40内の比較手段42、ROM43(記憶装置に相当する)からなる故障検出手段を備える。
【0021】
入力電流測定回路25は、電源回路21と電流センサ10の電源端子10Aとの間に直列に挿入されたシャント抵抗26、及びその両端の電位差を検出し増幅するオペアンプを用いた電流・電圧変換回路27により構成され、電流・電圧変換回路27から出力される電圧vcは、マイクロコンピュータ40のA/D変換回路41へと入力される。
【0022】
マイクロコンピュータ40は、A/D変換回路41を備えると共に、記憶装置としての例えばROM43を備える。ROM43には、前述した電流センサ10が正常に機能している場合の、入力電流icとそのときの正常計測電流Imとの相関関係(図3参照)を表した参照テーブルが記憶されている。
【0023】
A/D変換回路41に連なる比較手段42では、例えば所定のサンプリングタイム毎に各電流値ic、iに対応するデジタル値が入力されると、ROM43に記憶された参照テーブルから入力電流icに対応する正常計測電流値Imが読み出される。そして、正常計測電流値Im±所定値の範囲(例えば誤差5%の範囲)に、計測電流値iが含まれているか否かを判定し、含まれていない場合には、マイクロコンピュータ40内、又は別途設けられた図示しない制御装置へ故障検出信号が出力され、ユーザに報知される。
【0024】
この制御装置では、故障診断装置20とは別に計測電流値iに対応する電圧vが入力されており、故障検出信号が入力されない場合には、当該計測電流値iを正常値と判断してこの値に基づいて、例えばバッテリの充電量を把握し、又は充電量を制御してバッテリの充電不足や過充電を抑制している。また、電流センサ10をインバータの駆動電流を検出するために用いる場合には、正常値と判断された計測電流値iに基づいて、モータを制御して、不安定化等を抑制している。
【0025】
以上説明したように、本実施形態は、被計測電流Iが生じさせる磁界に対する逆磁界をフィードバック電流iによって生じさせ、その電流iの大きさに基づいて被計測電流Iを計測する電流センサ10において、そのセンサ10に電源から流れ込む入力電流icと計測電流iとには相関関係があることから、この相関関係を利用して電流センサ10の故障診断を行うものである。このような構成によれば、測定導体50に流れる電流Iの値が一定値でなくても、電流センサ10の故障を発見することができるので、電流センサ10の故障診断を常時行うことが可能となる。
【0026】
また、故障診断のために電流センサ10の入力電流icを計測する入力電流測定回路25を設定して既存のマイコンを利用すればよく、例えば電流センサを複数搭載し、それぞれの計測結果を比較することにより故障診断を行う場合よりも、格段に安く故障診断を行うことができる。
【0027】
また、予め、図3に示すような正常時の入力電流値icと正常計測電流値Imの相関関係を参照テーブルとしてROM43に記憶しておき、比較回路42において、実際に計測された入力電流ic及び計測電流iの関係が、上記相関関係に基づいて所定の計測レンジ内か否かを判定することで、故障診断を行うことができる。即ち、所定の計測レンジを超える場合には、電流センサ10に何らかの異常が発生していると判断して、その電流センサ10を故障と判定する信号を出力する。このように、簡易な回路構成とすることで、故障診断を安価に実現可能である。
【0028】
また、簡易な電流・電圧変換回路27を既存の電源回路21に直列に挿入する本構成によれば、例えば電流センサ内に回路を二重化して故障診断を行うよりも、簡易な回路構成で済み、故障診断を安価に実現可能である。また、故障診断装置20を電流センサ10に組み込めば、電流センサ10から独立した故障診断装置を別途搭載する必要がなく、電流センサ10を搭載する各種製品の組付けにおいて、取扱性に優れる。
【0029】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図4を用いて説明する。
本実施形態は、実施形態1とは、ROM43に記憶された正常時の入力電流値icと正常計測電流値Imを対照させた参照テーブルを電源電圧に応じて補正するところが相違する。他の構成については、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0030】
ROM43には、実施形態1と同様の正常時の入力電流値icと正常計測電流値Imとを対照させた参照テーブルを補正するための補正情報が記憶されている。この補正情報は、図4に示すような電流センサ10の入力電流の電源電圧依存性に応じて、予め入力電流値icと正常計測電流値Imの関係を一定となるように補正するための情報であり、各電源電圧値に対する入力電流値icと正常計測電流値Imとを対応付けるテーブル或いは、電源電圧値に基づいて正常計測電流値Imを算出しうる近似式によって構成されている。
【0031】
電源電圧は、例えば電源回路22の出力又は電流センサ10の電源端子10AをA/D変換回路41に入力させて検出することができる。比較手段42において、入力された電源電圧値に基づいて補正情報により補正された参照テーブルを参照して、入力電流値icから対応する正常計測電流値Imが読み出される。そして、正常計測電流値Im±所定の計測レンジに、実際に計測された計測電流値iが含まれているか否かを判別することにより、故障診断が行われる。
【0032】
この実施形態2によれば、電流センサ10の電源電圧値に基づいて、入力電流値icと正常計測電流値Imの既知の相関関係を補正することで、電流センサ10の電源電圧の変化による入力電流icの変動を加味して、故障診断を行うことができ、更なる診断精度の向上を図ることができる。
【0033】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を、図5を用いて説明する。
本実施形態は、実施形態1、2とは、ROM43に記憶された正常時の入力電流値icと正常計測電流値Imを対照させた参照テーブルを、電流センサ10が設置される周囲の環境温度tに応じて補正するところが相違する。他の構成については、実施形態1、2と同様であるため、説明を省略する。
【0034】
記憶装置43には、実施形態1と同様の正常時の入力電流値icと対応する正常計測電流値Imを対照させた参照テーブルを環境温度に応じて補正するための補正情報が記憶されている。この補正情報は、図5に示すように、電流センサ10の温度特性に応じて、予め入力電流値icと正常計測電流値Imの関係を対応付けておく情報であり、各環境温度tに対する入力電流値icと正常計測電流値Imを対応付けるテーブル或いは、環境温度tに基づいて正常計測電流値Imを算出しうる近似式によって構成されている。
【0035】
環境温度tは、例えば電流センサ10の近くに温度センサ(図示せず)を設置することで計測可能であり、出力される環境温度tに対応する電圧信号はA/D変換回路41に入力される。比較手段42において、入力された環境温度tに基づいて補正情報により補正された参照テーブルを参照して、入力電流値icから正常計測電流値Imが読み出される。そして、正常計測電流値Im±所定の計測レンジに、実際に計測された計測電流値iが含まれているか否かを判別することにより、故障診断が行われる。
【0036】
この実施形態3によれば、電流センサ10が設置された環境の環境温度tを検出する温度センサを備え、入力電流値icと正常計測電流値Imの既知の相関関係は温度センサにより検出された環境温度tに基づいて補正される。よって、電流センサ10の温度特性を考慮した上で、故障診断を行うことができるから、診断精度の向上を図ることができる。なお、本実施形態では、環境温度tのみにより参照テーブルの補正を行う場合を例示したが、環境温度tだけでなく、実施形態2と同様、電源電圧値により更に補正を行ってもよい。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0038】
(1)上記した各実施形態では、入力電流値icにより正常計測電流Imを参照テーブルから読み出し、これを計測電流値iと比較して故障診断を行うこととしたが、これに限られず、例えば計測電流値により正常入力電流値を読み出し、これを計測された入力電流値と比較し故障診断を行うものであってもよい。
【0039】
(2)上記した各実施形態では、入力電流測定回路25は、電源回路21と電流センサ10の電源端子10Aとの間に直列に挿入されたシャント抵抗26、及びその両端の電位差を検出し増幅するオペアンプを用いた電流・電圧変換回路27により構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、入力回路のパターン上部に磁気検出素子を内蔵した(本発明とは別の)電流センサICを設置し、その電流センサの出力をモニタリングすることで入力電流(消費電流)を測定してもよいし、その他本発明の電流センサの入力電流を検出できる手段は限定されない。
【0040】
(3)上記した各実施形態では、磁気検出素子12として、ホール素子を例示したが、これに限られず、例えば、磁気検出素子12としてMR素子やMI素子を用いる、又はフラックスゲート方式により、磁性体コアのギャップに発生した磁界を検出するものであってもよい。
【0041】
(4)上記した各実施形態では、正常時の入力電流値icに対応する正常計測電流値Imの相関関係を参照テーブルとしてROM43に記憶するものとしたが、これに限られず、例えば入力電流値icと対応する正常計測電流値Imとの関係を近似した関数で表し、それを記憶装置に記憶するものであってもよい。また、必ずしも記憶装置に記憶しておくに限らず、入力電流値icを入力とするアナログ演算回路によって正常計測電流値Imに対応する値を出力させ、それと計測電流値iに対応する値とを比較する構成であってもよい。比較手段は、記憶装置の利用の有無にかかわらず、アナログ回路によって構成しても良いことは勿論である。
【0042】
(5)上記した各実施形態において、入力電流icは電流センサ10の電源端子10Aに流れ込む電流を測定する構成を例示したが、これに限られず、例えば帰還コイル14にのみ流れる電流のみを検出してそれを入力電流として扱ってもよい。
【0043】
(6)上記した実施形態2又は3において、電源電圧又は環境温度tに応じて、既知の入力電流値icと正常計測電流値Imとの相関関係を表した参照テーブルを補正するものを例示したが、これに限られず、例えば参照テーブルを補正せず、計測された入力電流値ic又は計測電流値iのいずれか一方を補正するものであってもよい。
【0044】
(7)上記した各実施形態では、記憶装置としてROM43を用いることを例示したが、これに限られず、その他RAM等の記憶装置全般を用いることができる。
【0045】
(8)上記した各実施形態において、上述の利点や効果の各々の全てが本願発明の必須の構成要件につながるものではなく、本願発明は、上述の利点や効果の各々を簡易に実現させる設計自由度を与えるものであって、少なくとも一つの利点あるいは効果を実現させるものであれば良い。
【符号の説明】
【0046】
10:電流センサ、11:磁性体コア、12:磁気検出素子、13、32:増幅回路、14:帰還コイル、20:故障診断装置、21:電源回路、22:直流電源、25:入力電流測定回路、26:シャント抵抗、27:電源・電圧変換回路、30:計測電流検出回路、31:検出抵抗、40:マイクロコンピュータ、41:A/D変換回路、42:比較手段、43:ROM(記憶装置)、50:測定導体、I:被測定電流、i:フィードバック電流(計測電流)、ic:入力電流、Im:正常計測電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計測電流が生じさせる磁界に対する逆磁界を生じさせる回路を有する電流センサの故障診断装置であって、
電源から前記電流センサへの入力電流を測定する入力電流測定回路と、
前記入力電流測定回路により検出された入力電流値及びその時点での前記電流センサにより計測された前記被計測電流の電流値の関係を、それらの既知の相関関係と比較することに基づいて前記電流センサの故障を判別する故障検出手段とを備える電流センサの故障診断装置。
【請求項2】
前記故障検出手段は、正常な前記電流センサにより計測された前記被計測電流の値とその時点での前記入力電流の値との既知の相関関係を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記既知の相関関係に基づいて前記入力電流測定回路よって測定された入力電流の値に対応する前記被計測電流の値を読み出し、実際に測定された前記被計測電流の値が前記装置から読み出した値の上下所定の範囲を超える場合に故障と判定する比較手段とを備える請求項1に記載の電流センサの故障診断装置。
【請求項3】
前記故障検出手段は、前記電流センサが設置された環境の環境温度を検出する温度センサを備え、前記既知の相関関係、又は前記計測電流値及び前記入力電流値のいずれか一方を前記温度センサにより検出された前記環境温度に基づいて補正する請求項1又は請求項2に記載の電流センサの故障診断装置。
【請求項4】
前記故障検出手段は、前記電流センサの電源電圧を測定する電源電圧測定手段を備え、その電圧値に基づいて、前記既知の相関関係、又は前記計測電流値及び入力電流値のいずれか一方を補正する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電流センサの故障診断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−68452(P2013−68452A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205753(P2011−205753)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】