説明

電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法

【課題】 セルアレイ状に複数配置形成され、所定の出力電流を生成するトランジスタの数を抑制しながら出力の高諧調精度化を達成する。
【解決手段】 有機EL表示装置1の電流出力型ソースドライバの出力部7には、基準電流源11、出力コントロール回路12、トランジスタセルアレイ部13、スイッチSW1乃至SW31、分配用ミラートランジスタNTK、及び出力端子OUTが設けられている。トランジスタセルアレイ部13には、諧調5bit(32階調)対応用として設けられ、Nch MOSトランジスタから構成され、所定の出力電流を生成する出力トランジスタNT1乃至NT31が並列して31個アレイ状に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPD(Flat Panel Display)などのソースドライバに適用される電流出力型集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
FPDには、液晶(LCD Liquid Crystal Display)、FED(Field Emission Display)、ELD(Electroluminescent Display)、或いはPDP(Plasma Display Panel)などがあり種々の分野に適用されている。その中で有機ELディスプレイ(OLED(Organic Electroluminescence Display)とも呼称される)は、低電圧領域であっても高い輝度が得られ、見やすく省電力であり、しかも発光材料が有機物であることから基板をプラスチックのように曲げられることが可能なディスプレイとして近年注目されている。
【0003】
表示装置であるアクティブマトリックス型有機EL表示装置は、電源回路、信号制御回路、有機EL駆動回路、表示画面などから構成されている。有機EL駆動回路は走査側の垂直ドライバ(以降ゲートドライバと呼称する)とデータ側の水平ドライバ(以降ソースドライバと呼称する)からなる。有機EL駆動回路としての電流出力型ソースドライバは、データ線に主として表示のためのデータ信号を出力する機能を有している。一方、有機EL駆動回路としてのゲートドライバは、走査線に走査信号を出力する機能を有している。電流出力型ソースドライバの出力部には、一定の出力電流を生成する出力MOSトランジスタが水平方向或いは垂直方向に沿って、セルアレイ状に複数配置形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
上記セルアレイ状に複数配置形成された出力MOSトランジスタでは、製造工程等によるプロセス変動により、一端の出力MOSトランジスタの出力電流と比較して他端の出力MOSトランジスタの出力電流の方が増大又は減少する、所謂一次関数変動が発生したり、或いは中央部分の出力MOSトランジスタの出力電流と比較して両端の出力MOSトランジスタの出力電流の方が増大又は減少する、所謂二次関数変動が発生したりすることにより出力の諧調性能の直線性が劣化するという可能性がある。
【0005】
また、製造工程等によるプロセス変動対策としてセルアレイ状の出力MOSトランジスタの数を増大したり、ダミートランジスタをセルアレイ状の出力MOSトランジスタの周辺に設けたり、或いはダミーパターンをセルアレイ状の出力MOSトランジスタの周辺に設けたりすると電流出力型ソースドライバの面積が大きくなり、OELD表示装置のコストが上昇するという問題点がある。
【特許文献1】特開2005−156966号公報(頁48、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、セルアレイ状に複数配置形成され、所定の出力電流を生成するトランジスタの数を抑制し、且つ出力を高諧調精度化できる電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の電流出力型集積回路及は、bitm(mは正の整数)の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第1の出力トランジスタと、前記第1の出力トランジスタの両側に配置され、前記bitmよりも下位の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第2及び第3の出力トランジスタとを有し、前記出力トランジスタはnbit(nはm以上で、且つnは2以上の整数)諧調表示に用いられ、ゲート間が接続されるトランジスタセルアレイ部と、ゲートが前記トランジスタセルアレイ部の前記出力トランジスタのゲートに接続され、基準電流を生成する分配用ミラートランジスタと、を具備することを特徴とする。
【0008】
更に、上記目的を達成するために、本発明の一態様の諧調データ信号供給方法は、nbit(nは2以上の正の整数)諧調表示に用いられ、ゲート間が接続される2−1個又は2個の出力トランジスタが並列或いは直列に配置され、bit情報がk分割(kは1以上の正の整数)されたトランジスタセルアレイ部の両端の第1及び第2の出力トランジスタに最下位bitの諧調データ信号を与えるステップと、前記トランジスタセルアレイ部の前記両端以外に設けられた第3及び第4の出力トランジスタにbitm(mはn以下で、且つmは正の整数)の諧調データ信号を与えるステップと、前記第3及び第4の出力トランジスタの間に設けられた第5の出力トランジスタにbitmよりも上位の諧調データ信号を与えるステップと、前記k分割された前記トランジスタセルアレイ部の中心に設けられた第6の出力トランジスタに最上位bitの諧調データ信号を与えるステップとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、セルアレイ状に複数配置形成され、所定の出力電流を生成するトランジスタの数を抑制し、且つ出力を高諧調精度化できる電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、本発明の実施例1に係る電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法について、図面を参照して説明する。図1は有機EL表示装置の構成を示す概略ブロック図、図2は電流出力型ソースドライバの出力部を示す回路図、図3はトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの配置を示す図である。本実施例では、分配電流としての基準電流を生成するためにカレントミラー回路を用いている。
【0012】
図1に示すように、有機EL表示装置1には、ディスプレイコントローラ2、DC−DCコンバータ3、表示パネル4、ゲートドライバ5、及びソースドライバ6が設けられている。そして、有機EL表示装置1は小型携帯情報端末などの表示用として用いられる。なお、ソースドライバはデータドライバ、データ線ドライバ、或いは水平ドライバとも呼称され、ゲートドライバは走査ドライバ、スキャンドライバ、或いは水平ドライバとも呼称される。
【0013】
ディスプレイコントローラ2は、クロック信号などの同期信号、及び赤(R)、緑(G)、青(B)の表示データ情報を入力し、有機EL表示装置1の実行演算を行うため、画像データ処理制御用データなどの信号をパラレルデータとしてゲートドライバ5及びソースドライバ6に出力する。DC−DCコンバータ3は、バッテリーなどの外部電源から、表示パネル4に映像を表示するために必要な種々の電圧を発生し、これらの電圧をゲートドライバ5及びソースドライバ6に供給する電源として機能する。
【0014】
ゲートドライバ5は、ディスプレイコントローラ2から出力された信号とDC−DCコンバータ3から出力された電源電圧を入力し、表示パネル4のMCH本数を有する走査線に映像を表示するための電圧を供給する。
【0015】
ソースドライバ6は、電流出力型ドライバであり、ディスプレイコントローラ2から出力された信号とDC−DCコンバータ3から出力された電源電圧を入力し、表示パネル4のNCH×3(R、G、B)本数を有するデータ線に映像を表示するための出力電流Ioutを供給する。そして、出力電流Ioutは諧調能力表示に対応して電流レベルが変化する。
【0016】
表示パネル4は、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)からなり、図示しないMCH本数の走査線とNCH×3本数のデータ線を有し、走査線及びデータ線に囲まれた領域には画素部がそれぞれ設けられている。そして、表示パネル4は、電流を供給すると発光する性質を有する、例えば、ジアミン類などからなる有機物を用いたディスプレイからなり、素子に流れる電流値に応じて輝度が決定される。
【0017】
図2に示すように、電流出力型ソースドライバの出力部7には、基準電流源11、出力コントロール回路12、トランジスタセルアレイ部13、スイッチSW1乃至SW31、分配用ミラートランジスタNTK、及び出力端子OUTが設けられている。
【0018】
基準電流源11は、一端がアナログ高電位側電源AVddに接続され、他端が分配用ミラートランジスタNTKのドレインに接続され、赤(R)、緑(G)、青(B)の表示データ情報用として用いられる出力電流を出力する時に必要な基準電流Istdを生成する。なお、基準電流Istdは、図示しない、例えば、ラダー抵抗及びラダースイッチ、コンパレータ、トランジスタ等を用いて、その値を任意に多段階に設定できるようになっている。
【0019】
出力コントロール回路12は、映像信号データ及びプリチャージ情報信号データを入力し、トランジスタセルアレイ部13の出力トランジスタNT1乃至NT31のオン・オフ制御を行なうための諧調データ信号D1乃至D31を、それぞれスイッチSW1乃至SW31に出力する。ここで、プリチャージ情報である電圧プリチャージ情報、電流プリチャージ情報、及びプリチャージパルス幅情報の図示及び説明を省略し、電圧プリチャージ、電流プリチャージ、及びプリチャージパルス幅制御に関する図示及び説明を省略する。なお、プリチャージ電圧PVは、その値を任意に多段階に設定できるようになっている。
【0020】
スイッチSW1は、SPST(Single Pole Single Throw)からなり、一端がプリチャージ電圧側及び出力端子OUT側に接続され、他端がトランジスタセルアレイ部13の出力トランジスタNT1のドレインに接続され、出力コントロール回路12から出力される諧調データ信号D1が、例えば“High”レベルのときにオンして両端の間を接続する。
【0021】
スイッチSW2は、SPST(Single Pole Single Throw)からなり、一端がプリチャージ電圧側及び出力端子OUT側に接続され、他端がトランジスタセルアレイ部13の出力トランジスタNT2のドレインに接続され、出力コントロール回路12から出力される諧調データ信号D2が、例えば“High”レベルのときにオンして両端の間を接続する。
【0022】
スイッチSW3は、SPST(Single Pole Single Throw)からなり、一端がプリチャージ電圧側及び出力端子OUT側に接続され、他端がトランジスタセルアレイ部13の出力トランジスタNT3のドレインに接続され、出力コントロール回路12から出力される諧調データ信号D3が、例えば“High”レベルのときにオンして両端の間を接続する。なお、スイッチSW4乃至SW31は、スイッチSW1乃至SW3と同様な配置及び構成であり、その説明を省略する。
【0023】
ここで、カレントミラー定電流回路の代わりにウィルソン定電流回路を用いてもよい。また、スイッチの代わりにトランスファーゲートとインバータを用いて、出力トランジスタのオン・オフ制御を行なってもよい。
【0024】
分配用ミラートランジスタNTKは、Nch MOSトランジスタから構成され、ゲートがドレインに接続され、ソースが低電位側電源Vssに接続されている。そして、分配用ミラートランジスタNTKは、トランジスタセルアレイ部13の出力トランジスタとカレントミラー回路を構成し、トランジスタセルアレイ部13の出力トランジスタがオン時に、トランジスタセルアレイ部13の出力トランジスタにミラー比×基準電流Istdの電流を流す制御を行なう。なお、MOSトランジスタは、MOSFET( Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)とも呼称される。
【0025】
トランジスタセルアレイ部13には、諧調5bit(32階調)対応用として設けられ、Nch MOSトランジスタから構成される出力トランジスタNT1乃至NT31が並列して31個アレイ状に設けられている。
【0026】
ここで、出力トランジスタNT1乃至NT31は所定の出力電流を生成するために、それぞれ同一形状及び同一閾値電圧にするのが好ましく、更に、ゲートを等間隔に並列配置するのが好ましい。
【0027】
出力トランジスタNT1は、ゲートが分配用ミラートランジスタNTKのゲート及びドレインに接続され、ソースが低電位側電源Vssに接続されている。そして、出力トランジスタNT1は、スイッチSW1がオン時にミラー比×基準電流Istdの電流を低電位側電源Vss側に流す。
【0028】
出力トランジスタNT2は、ゲートが分配用ミラートランジスタNTKのゲート及びドレインに接続され、ソースが低電位側電源Vssに接続されている。そして、出力トランジスタNT2は、スイッチSW2がオン時にミラー比×基準電流Istdの電流を低電位側電源Vss側に流す。
【0029】
出力トランジスタNT3は、ゲートが分配用ミラートランジスタNTKのゲート及びドレインに接続され、ソースが低電位側電源Vssに接続されている。そして、出力トランジスタNT3は、スイッチSW3がオン時にミラー比×基準電流Istdの電流を低電位側電源Vss側に流す。なお、出力トランジスタNT4乃至NT31は、出力トランジスタNT1乃至NT3と同様な配置及び構成であり、その説明を省略する。
【0030】
出力端子OUTは、表示パネル4が発光表示するのに必要な出力電流Ioutを出力する端子である。そして、出力電流Ioutはトランジスタセルアレイ部13の出力トランジスタがオンする数により変化し、例えば、全ての出力トランジスタがオンするとミラー比×基準電流Istd×31の値となる。なお、出力電流Ioutの諧調数は、基準電流Istdの段階数及びプリチャージ電圧PVの段階数を変化させすることにより諧調5bit(32階調)よりも諧調数を増大させることができる。
【0031】
図3に示すように、トランジスタアレイ部13には縦方向に出力トランジスタNT1を最上段として、出力トランジスタNT1乃至NT31が31行×1列配置形成されている。諧調5bitの場合、bit1(最上位bit)が出力トランジスタ1個(2)、bit2が出力トランジスタ2個(2)、bit3が出力トランジスタ4個(2)、bit4(最下位bit)が出力トランジスタ8個(2)、bit5が出力トランジスタ16個(2)となる。
【0032】
ここで、セルアドレス情報とは出力トランジスタをオン・オフさせるための諧調データ信号の情報であり、セルアドレス表示(1又は0表示)は1桁目が“1”の情報を有するものをbit5とし、1桁目が“0”、2桁目が“1”の情報を有するものをbit4とし、1桁目及び2桁目が“0”、3桁目が“1”の情報を有するものをbit3とし、1桁目乃至3桁目が“0”、4桁目が“1”の情報を有するものをbit4とし、1桁目乃至4桁目が“0”の情報を有するものをbit5としている。
【0033】
出力トランジスタへの諧調データ信号供給方法は、まず、最上部の出力トランジスタNT1乃至NT8、及び最下部の出力トランジスタNT24乃至NT31にbit5の諧調データ信号の情報を与える。次に、出力トランジスタNT8に隣接する出力トランジスタNT9乃至NT12、及び出力トランジスタNT24に隣接する出力トランジスタNT20乃至NT23にbit4の諧調データ信号の情報を与える。続いて、出力トランジスタNT12に隣接する出力トランジスタNT13と出力トランジスタNT14、及び出力トランジスタNT20に隣接する出力トランジスタNT18と出力トランジスタNT19にbit3の諧調データ信号の情報を与える。次に、出力トランジスタNT14に隣接する出力トランジスタNT15、及び出力トランジスタNT18に隣接する出力トランジスタNT17にbit2の諧調データ信号の情報を与える。続いて、出力トランジスタNT15とNT17との間の出力トランジスタNT16にbit1の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit情報は出力トランジスタNT16を中心として上下対称に配置されている。
【0034】
ここでは、1桁目をbit5、2桁目をbit4、3桁目をbit3、4桁目をbit2、bit1を(0000)として表示しているが、セルアドレス表示を5桁にして1桁目をbit1、2桁目をbit2、3桁目をbit3、4桁目をbit4、5桁目をbit5として表示しているもよい。
【0035】
次に、出力トランジスタのドライブ能力変動発生時での有機EL表示装置の諧調特性について図4及び図5を参照して説明する、図4は出力トランジスタのドライブ能力の一次関数変動を示す図、図5は出力トランジスタのドライブ能力の一次関数変動発生時での有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す特性図である。ここで、出力トランジスタのドライブ能力の一次関数変動とは、半導体集積回路から構成される電流出力型ソースドライバの製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって直線的に変化するものを言う。
【0036】
図4に示すように、トランジスタセルアレイ部の出力トランジスタNT1乃至NT31のオン時に流れる電流であるドライブ能力は、出力トランジスタNT1で最小値を示し、1%づつ直線的に増加し出力トランジスタNT31で最大値となる。ここで、トランジスタセルアレイ部13の中央部に配置される出力トランジスタNT16の値が設定された目標値であり、この値(1μA)はトランジスタの形状、閾値電圧、ゲート印加条件等を変化させ任意に変更させてもよい。
【0037】
図5に示すように、出力トランジスタのドライブ能力が一次関数変動(図4表示)しても諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とよく一致している。このため、変動誤差(微分変動誤差及び積分変動誤差)を小さく(±0.1LSB以下)でき、高諧調精度化を達成できる。なお、出力トランジスタNT1のドライブ能力が最大値で、出力トランジスタNT31が最小値の場合でも同様に高諧調精度化を達成することができる。
【0038】
上述したように、本実施例の電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法では、出力部にNch MOSトランジスタから構成される出力トランジスタNT1乃至NT31が並列して31個アレイ状に設けられている。出力トランジスタへの諧調データ信号供給方法は、まず、出力トランジスタNT1乃至NT8及び出力トランジスタNT24乃至NT31にbit5の諧調データ信号の情報を与える。次に、出力トランジスタNT9乃至NT12、及び出力トランジスタNT20乃至NT23にbit4の諧調データ信号の情報を与える。続いて、出力トランジスタNT13と出力トランジスタNT14、及び出力トランジスタNT18と出力トランジスタNT19にbit3の諧調データ信号の情報を与える。次に、出力トランジスタNT15及び出力トランジスタNT17にbit2の諧調データ信号の情報を与える。続いて、出力トランジスタNT16にbit1の諧調データ信号の情報を与える。
【0039】
このため、出力トランジスタのドライブ能力が製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって一次関数変動しても、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とよく一致する。したがって、微分変動誤差及び積分変動誤差を小さくでき、高諧調精度化を達成できる。
【0040】
なお、本実施例では、MOSトランジスタのゲート絶縁膜にシリコン酸化膜を用いているが、シリコン酸化膜を熱窒化したSiNxOy膜、シリコン窒化膜(Si)/シリコン酸化膜の積層膜、或いは高誘電体膜(High−Kゲート絶縁膜)等がゲート絶縁膜となるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor))を用いてもよい。
【実施例2】
【0041】
次に、本発明の実施例2に係る電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法について、図面を参照して説明する。図6はトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの配置を示す図である。本実施例では、トランジスタセルアレイ部の出力トランジスタのオン・オフを制御する諧調データ信号情報の供給方法を変更している。
【0042】
図6に示すように、トランジスタアレイ部13には縦方向に出力トランジスタNT1を最上段として、出力トランジスタNT1乃至NT31が31行×1列配置形成され、bit情報が出力トランジスタNT16を中心として上下に2分割(分割段数2)されている。
【0043】
出力トランジスタへの諧調データ信号供給方法は、まず、出力トランジスタNT1、NT3、NT5、NT7、NT9、NT11、NT13、NT15、NT17、NT19、NT21、NT23、NT25、NT27、NT29、及びNT31にbit5の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit5の情報を有する出力トランジスタNT1、NT3、NT5、NT7、NT9、NT11、NT13、及びNT15は出力トランジスタNT8を中心として上下対称に配置され、bit5の情報を有する出力トランジスタNT17、NT19、NT21、NT23、NT25、NT27、NT29、及びNT31は出力トランジスタNT24を中心として上下対称に配置されている。
【0044】
次に、出力トランジスタNT2、NT6、NT10、NT14、NT18、NT22、NT26、及びNT30にbit4の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit4の情報を有する出力トランジスタNT2、NT6、NT10、及びNT14は、出力トランジスタNT8を中心として上下対称に配置され、bit4の情報を有する出力トランジスタNT18、NT22、NT26、及びNT30は、出力トランジスタNT24を中心として上下対称に配置されている。
【0045】
続いて、出力トランジスタNT4、NT12、NT20、及びNT28にbit3の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit3の情報を有する出力トランジスタNT4及びNT12は、出力トランジスタNT8を中心として上下対称に配置され、bit3の情報を有する出力トランジスタNT20及びNT28は、出力トランジスタNT24を中心として上下対称に配置されている。
【0046】
次に、出力トランジスタNT8及びNT24にbit2の情報を与える。ここで、出力トランジスタNT8及びNT24は、出力トランジスタNT16を中心として上下対称に配置されている。続いて、出力トランジスタNT16にbit1の情報を与える。
【0047】
次に、出力トランジスタのドライブ能力変動発生時での有機EL表示装置の諧調特性について図7乃至図9を参照して説明する、図7は二次関数変動発生時での出力トランジスタのドライブ能力変動を示す図、図8は有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す特性図、図8(a)は一次関数変動発生時での特性図、図8(b)は二次関数変動発生時での特性図、図9は二次関数変動発生時での有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す実施例1の特性図である。ここで、出力トランジスタのドライブ能力の二次関数変動とは、半導体集積回路から構成される電流出力型ソースドライバの製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって二次関数的に変化するものを言う。
【0048】
図7に示すように、トランジスタセルアレイ部の出力トランジスタNT1乃至NT31のオン時に流れる電流であるドライブ能力は、中央部の出力トランジスタNT16で最小値を示し、両端部に向かって二次関数的に増加して両端部の出力トランジスタNT1及びNT31で最大値となる。
【0049】
二次関数変動の発生原因としては、例えば、ゲートをRIE(Reactive Ion Etching)法を用いて加工した場合にローディング効果によって発生する、トランジスタセルアレイ部13の周辺部の出力トランジスタのゲート寸法(ゲート長)狭小化等がある。ゲート寸法(ゲート長)が所定の幅以下になると出力トランジスタの閾値電圧が低下してドライブ能力が大きくなる。
【0050】
図8(a)に示すように、出力トランジスタのドライブ能力が一次関数変動(図4表示)しても諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とよく一致している。このため、変動誤差(微分変動誤差及び積分変動誤差)を小さく(±0.1LSB以下)でき、高諧調精度化を達成することができる。
【0051】
図8(b)に示すように、出力トランジスタのドライブ能力が二次関数変動(図7表示)しても諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とほぼ一致している。このため、微分変動誤差を小さく(−0.19〜+0.31LSBの範囲内)、積分変動誤差も小さく(−0.28〜+0.12LSBの範囲内)でき、高諧調精度化を達成することができる。
【0052】
一方、図9に示すように、実施例1では出力トランジスタのドライブ能力が二次関数変動(図7表示)すると、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は不連続な変化をし、理想値曲線から大きくはずれ一致しない。このため、微分変動誤差が大きく(−0.02〜+3.72LSB)、積分変動誤差も大きく(−1.88〜+1.84LSB)なり、諧調精度を維持することができない。
【0053】
上述したように、本実施例の電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法では、出力部にNch MOSトランジスタから構成される出力トランジスタNT1乃至NT31が並列して31個アレイ状に設けられている。出力トランジスタへの諧調データ信号供給方法は、まず、出力トランジスタNT1、NT3、NT5、NT7、NT9、NT11、NT13、NT15、NT17、NT19、NT23、NT25、NT27、NT29、及びNT31にbit5の諧調データ信号の情報を与える。次に、出力トランジスタNT2、NT6、NT10、NT14、NT18、NT22、NT26、及びNT30にbit4の諧調データ信号の情報を与える。続いて、出力トランジスタNT4、NT12、NT20、及びNT28にbit3の諧調データ信号の情報を与える。次に、出力トランジスタNT8及びNT24にbit2の諧調データ信号の情報を与える。続いて、出力トランジスタNT16にbit1の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit情報は出力トランジスタを中心として上下に2分割されている。
【0054】
このため、出力トランジスタのドライブ能力が製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって一次関数変動しても、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とよく一致し、また、出力トランジスタのドライブ能力が製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって二次関数変動しても、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とほぼ一致する。したがって、微分変動誤差及び積分変動誤差を小さくでき、高諧調精度化を達成できる。
【実施例3】
【0055】
次に、本発明の実施例3に係る電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法について、図面を参照して説明する。図10はトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの配置を示す図である。本実施例では、トランジスタセルアレイ部にダミートランジスタを追加して出力トランジスタの数を32個にしている。なお、ダミートランジスタとは、出力トランジスタと同一形状を有し、諧調データ信号が供給されず出力電流を生成しないものである。
【0056】
図10に示すように、トランジスタアレイ部13aには縦方向に出力トランジスタNT1を最上段として、出力トランジスタNT1乃至NT32が32行×1列配置形成され、bit情報が4分割(分割段数4)され、ダミートランジスタがNT24に配置されている。ここでは、セルアドレス表示は1桁目、2桁目、及び3桁目のみ表示している。
【0057】
出力トランジスタへの諧調データ信号供給方法は、まず、出力トランジスタNT1、NT3、NT5、NT7、NT10、NT12、NT14、NT16、NT17、NT19、NT21、NT23、NT26、NT28、NT30、及びNT32にbit5の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit5の情報を有する出力トランジスタNT1、NT3、NT5、及びNT7は出力トランジスタNT4を中心として上下対称に配置され、bit5の情報を有する出力トランジスタNT10、NT12、NT14、及びNT16は出力トランジスタNT13を中心として上下対称に配置され、bit5の情報を有する出力トランジスタNT17、NT19、NT21、及びNT23は出力トランジスタNT20を中心として上下対称に配置され、bit5の情報を有する出力トランジスタNT26、NT28、NT30、及びNT32は出力トランジスタNT29を中心として上下対称に配置されている。
【0058】
次に、出力トランジスタNT2、NT6、NT11、NT15、NT18、NT22、NT27、及びNT31にbit4の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit4の情報を有する出力トランジスタNT2及びNT6は、出力トランジスタNT4を中心として上下対称に配置され、bit4の情報を有する出力トランジスタNT11及びNT15は、出力トランジスタNT13を中心として上下対称に配置され、bit4の情報を有する出力トランジスタNT18及びNT22は、出力トランジスタNT20を中心として上下対称に配置され、bit4の情報を有する出力トランジスタNT27及びNT31は、出力トランジスタNT29を中心として上下対称に配置されている。
【0059】
続いて、出力トランジスタNT4、NT13、NT20、及びNT29にbit3の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit3の情報を有する出力トランジスタNT4及びNT13は、出力トランジスタNT8とNT9の間を中心として上下対称に配置され、bit3の情報を有する出力トランジスタNT20及びNT29は、ダミートランジスタである出力トランジスタNT24と出力トランジスタNT25の間を中心として上下対称に配置されている。
【0060】
次に、出力トランジスタNT9及びNT25にbit2の諧調データ信号の情報を与える。続いて、出力トランジスタNT8にbit1の諧調データ信号の情報を与える。
【0061】
次に、出力トランジスタのドライブ能力変動発生時での有機EL表示装置の諧調特性について図11を参照して説明する、図11は二次関数変動発生時での有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す特性図である。
【0062】
図11に示すように、出力トランジスタのドライブ能力が図7表示と同様な二次関数変動しても諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とよく一致している。このため、微分変動誤差が小さく(−0.12〜+0.10LSBの範囲内)、積分変動誤差も小さく(−0.12〜+0.12LSBの範囲内)でき、実施例2よりも更に高諧調精度化を達成することができる。なお、出力トランジスタのドライブ能力が図4表示と同様な一次関数変動しても、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、図8(a)と同様に理想曲線とよく一致する。
【0063】
上述したように、本実施例の電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法では、出力部にNch MOSトランジスタから構成され、ダミートランジスタ1個を含む出力トランジスタNT1乃至NT32が並列して32個アレイ状に設けられている。出力トランジスタへの諧調データ信号供給方法は、まず、出力トランジスタNT1、NT3、NT5、NT7、NT10、NT12、NT14、NT16、NT17、NT19、NT21、NT23、NT26、NT28、NT30、及びNT32にbit5の諧調データ信号の情報を与える。次に、出力トランジスタNT2、NT6、NT11、NT15、NT18、NT22、NT27、及びNT31にbit4の諧調データ信号の情報を与える。続いて、出力トランジスタNT4、NT13、NT20、及びNT29にbit3の諧調データ信号の情報を与える。次に、出力トランジスタNT9及びNT25にbit2の諧調データ信号の情報を与える。続いて、出力トランジスタNT8にbit1の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit情報は4分割されている。
【0064】
このため、出力トランジスタのドライブ能力が製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって一次関数変動しても、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とよく一致し、また、出力トランジスタのドライブ能力が製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって二次関数変動しても、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、実施例2よりも理想値曲線とよく一致する。したがって、実施例2よりも微分変動誤差及び積分変動誤差を小さくでき、高諧調精度化を達成できる。
【0065】
なお、本実施例では、トランジスタセルアレイ部13aにダミートランジスタを1個設けているが、2個以上設けてもよい。
【実施例4】
【0066】
次に、本発明の実施例4に係る電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法について、図面を参照して説明する。図12はトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの配置を示す図である。本実施例では、トランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの数及び配置を変更し対応している。
【0067】
図12に示すように、トランジスタセルアレイ部13bには縦方向に出力トランジスタが32個、横方向に8個の32行×6列で総数256個配置形成され、bit情報が4分割(分割段数4)されている。なお、ダミートランジスタが24行E列に配置形成され、セルアドレス表示はBit1乃至Bit5までは1桁目、2桁目、及び3桁目を表示し、bit6乃至bit8までは1桁目及び2桁目のみ表示している。なお、諧調8bit(256階調)の場合、bit1が出力トランジスタ1個(2)、bit2が出力トランジスタ2個(2)、bit3が出力トランジスタ4個(2)、bit4が出力トランジスタ8個(2)、bit5が出力トランジスタ16個(2)、bit6が出力トランジスタ32個(2)、bit7が出力トランジスタ64個(2)、bit8が出力トランジスタ128個(2)となる。
【0068】
出力トランジスタへの諧調データ信号供給方法は、まず、A列、C列、F列、及びH列の出力トランジスタにbit8の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit8の情報を有するA列及びC列の出力トランジスタとF列及びH列の出力トランジスタとは、D列とE列の間を中心として左右対称に配置されている。
【0069】
次に、B列及びG列の出力トランジスタにbit7の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit7の情報を有するB列及びG列の出力トランジスタは、D列とE列の間を中心として左右対称に配置されている。
【0070】
続いて、D列の17行乃至32行の出力トランジスタ、E列1行乃至16行の出力トランジスタにbit6の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit6の情報を有するD列の17行乃至32行の出力トランジスタとE列1行乃至16行の出力トランジスタとは、16行と17行の間及びD列とE列の間を中心としての点対称に配置されている。
【0071】
次に、D列の1行、3行、5行、7行、10行、12行、14行、及び16行の出力トランジスタ、E列の17行、19行、21行、23行、26行、28行、30行、及び32行にbit5の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit5の情報を有するD列の1行、3行、5行、及び7行の出力トランジスタはD列4行の出力トランジスタを中心として上下対称に配置され、bit5の情報を有するD列の10行、12行、14行、及び16行の出力トランジスタはD列13行の出力トランジスタを中心として上下対称に配置され、bit5の情報を有するE列の17行、19行、21行、及び23行の出力トランジスタはE列20行のトランジスタを中心として上下対称に配置され、bit5の情報を有するE列の26行、28行、30行、及び32行の出力トランジスタはE列29行の出力トランジスタを中心として上下対称に配置されている。
【0072】
続いて、D列の2行、6行、11行、及び15行、E列の18行、22行、27行、及び31行の出力トランジスタにbit4の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit4の情報を有するD列の2行及び6行の出力トランジスタはD列4行の出力トランジスタを中心として上下対称に配置され、bit4の情報を有するD列の11行及び15行の出力トランジスタはD列13行の出力トランジスタを中心として上下対称に配置され、bit4の情報を有するE列の18行及び22行の出力トランジスタはE列20行のトランジスタを中心として上下対称に配置され、bit4の情報を有するE列の27行及び31行の出力トランジスタはE列29行の出力トランジスタを中心として上下対称に配置されている。
【0073】
次に、D列の4行及び13行、E列の20行及び29行の出力トランジスタにbit3の諧調データ信号の情報を与える。続いて、D列9行及びE列25行の出力トランジスタにbit2の諧調データ信号の情報を与える。次に、D列8行の出力トランジスタにbit1の諧調データ信号の情報を与える。
【0074】
次に、出力トランジスタのドライブ能力変動発生時での有機EL表示装置の諧調特性について図13及び図14を参照して説明する、図13は一次関数変動発生時での有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す特性図、図14は二次関数変動発生時での有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す特性図である。ここで、出力トランジスタのドライブ能力の一次関数変動とは、トランジスタセルアレイ部13bの出力トランジスタが行方向及び列方向に製造バラツキ(プロセス変動)によって、図4表示のように変化するものを言う。出力トランジスタのドライブ能力の二次関数変動とは、トランジスタセルアレイ部13bの出力トランジスタが行方向及び列方向に製造バラツキ(プロセス変動)によって、図7表示のように二次関数的に変化するものを言う。
【0075】
図13に示すように、出力トランジスタのドライブ能力が一次関数変動しても諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とよく一致している。このため、微分変動誤差及び積分変動誤差を小さく(±0.2LSB以下)でき、高諧調精度化を達成することができる。
【0076】
図14に示すように、出力トランジスタのドライブ能力が二次関数変動しても諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とほぼ一致している。このため、微分変動誤差を小さく(−0.1お〜+0.19LSBの範囲内)、積分変動誤差も小さく(−0.19〜+0.15LSBの範囲内)でき、高諧調精度化を達成することができる。
【0077】
上述したように、本実施例の電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法では、出力部にNch MOSトランジスタから構成され、ダミートランジスタ1個を含む出力トランジスタが縦方向に32個、横方向に8個の32行×8列で総数256個アレイ状に設けられている。出力トランジスタへの諧調データ信号供給方法は、まず、A列、C列、F列、及びH列の出力トランジスタにbit8の諧調データ信号の情報を与える。次に、B列及びG列の出力トランジスタにbit7の諧調データ信号の情報を与える。続いて、D列の17行乃至32行の出力トランジスタ、E列1行乃至16行の出力トランジスタにbit6の諧調データ信号の情報を与える。次に、D列の1行、3行、5行、7行、10行、12行、14行、及び16行の出力トランジスタ、E列の17行、19行、21行、23行、26行、28行、30行、及び32行にbit5の諧調データ信号の情報を与える。続いて、D列の2行、6行、11行、及び15行、E列の18行、22行、27行、及び31行の出力トランジスタにbit4の諧調データ信号の情報を与える。次に、D列の4行及び13行、E列の20行及び29行の出力トランジスタにbit3の諧調データ信号の情報を与える。続いて、D列9行及びE列25行の出力トランジスタにbit2の諧調データ信号の情報を与える。次に、D列8行の出力トランジスタにbit1の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit情報は4分割されている。
【0078】
このため、出力トランジスタのドライブ能力が製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって一次関数変動しても、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とよく一致し、また、出力トランジスタのドライブ能力が製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって二次関数変動しても、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とほぼ一致する。したがって、微分変動誤差及び積分変動誤差を小さくでき、高諧調精度化を達成できる。
【実施例5】
【0079】
次に、本発明の実施例5に係る電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法について、図面を参照して説明する。図15はトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの配置を示す図である。本実施例では、実施例4のトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの数及び配置と同一であるが、出力トランジスタのオン・オフを制御する諧調データ信号の情報の供給方法を変更している。
【0080】
図15に示すように、トランジスタセルアレイ部13cには、縦方向に出力トランジスタが32個、横方向に8個の32行×6列で総数256個配置形成され、bit情報が4分割されている。なお、ダミートランジスタが24行E列に配置形成され、セルアレイ表示は1行目、2行目、及び3行目を表示している。
【0081】
出力トランジスタへの諧調データ信号供給方法は、まず、A列の奇数行、B列の偶数行、C列の1行乃至15行までの奇数行、C列の17行乃至32行、D列の17行乃至31行までの奇数行、E列の2行乃至16行までの偶数行、F列の1行乃至16行、F列の18行乃至32行までの偶数行、G列の17行乃至32行、H列の1行乃至16行の出力トランジスタに8bitの諧調データ信号の情報を与える。
【0082】
次に、A列の偶数行、B列の奇数行、G列の1行乃至16行、H列の17行乃至32行の出力トランジスタにbit7の諧調データ信号の情報を与える。続いて、C列の2行乃至16行の偶数行、D列の17行乃至31行の奇数行、E列の1行乃至15行の奇数行、F列の17行乃至31行の出力トランジスタにbit6の諧調データ信号の情報を与える。なお、bit5以下については実施霊4と同一なので説明を省略する。
【0083】
上述したように、本実施例の電流出力型集積回路及び諧調データ信号供給方法では、出力部にNch MOSトランジスタから構成され、ダミートランジスタ1個を含む出力トランジスタが縦方向に32個、横方向に8個の32行×8列で総数256個アレイ状に設けられている。出力トランジスタへの諧調データ信号供給方法は、まず、A列の奇数行、B列の偶数行、C列の1行乃至15行までの奇数行、C列の17行乃至32行、D列の17行乃至31行までの奇数行、E列の2行乃至16行までの偶数行、F列の1行乃至16行、F列の18行乃至32行までの偶数行、G列の17行乃至32行、H列の1行乃至16行の出力トランジスタに8bitの諧調データ信号の情報を与える。次に、A列の偶数行、B列の奇数行、G列の1行乃至16行、H列の17行乃至32行の出力トランジスタにbit7の諧調データ信号の情報を与える。続いて、C列の2行乃至16行の偶数行、D列の17行乃至31行の奇数行、E列の1行乃至15行の奇数行、F列の17行乃至31行の出力トランジスタにbit6の諧調データ信号の情報を与える。次に、D列の1行、3行、5行、7行、10行、12行、14行、及び16行の出力トランジスタ、E列の17行、19行、21行、23行、26行、28行、30行、及び32行にbit5の諧調データ信号の情報を与える。続いて、D列の2行、6行、11行、及び15行、E列の18行、22行、27行、及び31行の出力トランジスタにbit4の諧調データ信号の情報を与える。次に、D列の4行及び13行、E列の20行及び29行の出力トランジスタにbit3の諧調データ信号の情報を与える。続いて、D列9行及びE列25行の出力トランジスタにbit2の諧調データ信号の情報を与える。次に、D列8行の出力トランジスタにbit1の諧調データ信号の情報を与える。ここで、bit情報は4分割されている。
【0084】
このため、出力トランジスタのドライブ能力が製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって一次関数変動しても、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とよく一致し、また、出力トランジスタのドライブ能力が製造工程で発生する製造バラツキ(プロセス変動)によって二次関数変動しても、諧調変化に対して出力トランジスタの出力電流は直線的に増加し、理想値曲線とほぼ一致する。したがって、実施例4と同様に微分変動誤差及び積分変動誤差を小さくでき、高諧調精度化を達成できる。
【0085】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々、変更してもよい。
【0086】
例えば、実施例では、有機EL表示装置の電流出力型ソースドライバに適用したが、電流出力型LEDドライバなどにも適用できる。また、実施例1乃至3で5bit諧調(32階調)、実施例4、5で8bit諧調(256階調)の場合を説明したが、他のbit諧調にも適用することができる。
【0087】
本発明は、以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
(付記1) bitm(mは正の整数)の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第1の出力トランジスタと、前記第1の出力トランジスタの両側に配置され、前記bitmよりも下位の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第2及び第3の出力トランジスタとを有し、前記出力トランジスタはnbit(nはm以上で、且つnは2以上の整数)諧調表示に用いられ、総数2個で、ゲート間が接続され、並列或いは直列に配置され、前記出力トランジスタの代わりにダミートランジスタが1個設けられるトランジスタセルアレイ部と、ゲートが前記トランジスタセルアレイ部の前記出力トランジスタのゲートに接続され、基準電流を生成する分配用ミラートランジスタとを具備する電流出力型集積回路。
【0088】
(付記2) bitm(mは正の整数)の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第1の出力トランジスタと、前記第1の出力トランジスタの両側に配置され、前記bitmよりも下位の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第2及び第3の出力トランジスタとを有し、前記出力トランジスタはnbit(nはm以上で、且つnは2以上の整数)諧調表示に用いられ、総数2個で、ゲート間が接続され、複数段×複数列構成に配置され、前記出力トランジスタの代わりにダミートランジスタが1個設けられるトランジスタセルアレイ部と、ゲートが前記トランジスタセルアレイ部の前記出力トランジスタのゲートに接続され、基準電流を生成する分配用ミラートランジスタとを具備することを特徴とする電流出力型集積回路。
【0089】
(付記3) nbit(nは2以上の正の整数)諧調表示に用いられ、ゲート間が接続され、2個の出力トランジスタが複数段×複数列構成に配置され、bit情報がk分割(kは1以上の正の整数)されたトランジスタセルアレイ部の両端の第1及び第2の出力トランジスタに最下位bitの諧調データ信号を与えるステップと、前記トランジスタセルアレイ部の前記両端以外に設けられた第3及び第4の出力トランジスタにbitm(mはn以下で、且つmは正の整数)の諧調データ信号を与えるステップと、前記第3及び第4の出力トランジスタの間に設けられた第5の出力トランジスタにbitmよりも上位の諧調データ信号を与えるステップと、前記k分割された前記トランジスタセルアレイ部の中心に設けられた第6の出力トランジスタに最上位bitの諧調データ信号を与えるステップとを具備する諧調データ信号供給方法。
【0090】
(付記4) nbit(nは2以上の正の整数)諧調表示に用いられ、ゲート間が接続される2個の出力トランジスタが並列或いは直列に配置され、bit情報がk分割(kは1以上の正の整数)され、前記出力トランジスタの1個がダミートランジスタに置き換えられたトランジスタセルアレイ部の両端の第1及び第2の出力トランジスタに最下位bitの諧調データ信号を与えるステップと、前記トランジスタセルアレイ部の前記両端以外に設けられた第3及び第4の出力トランジスタにbitm(mはn以下で、且つmは正の整数)の諧調データ信号を与えるステップと、前記第3及び第4の出力トランジスタの間に設けられた第5の出力トランジスタにbitmよりも上位の諧調データ信号を与えるステップと、前記k分割された前記トランジスタセルアレイ部の中心に設けられた第6の出力トランジスタに最上位bitの諧調データ信号を与えるステップと、前記第6の出力トランジスタに隣接して前記ダミートランジスタを設けるステップとを具備する諧調データ信号供給方法。
【0091】
(付記5) nbit(nは2以上の正の整数)諧調表示に用いられ、ゲート間が接続される2個の出力トランジスタが複数段×複数列構成に配置され、bit情報がk分割(kは1以上の正の整数)され、前記出力トランジスタの1個がダミートランジスタに置き換えられたトランジスタセルアレイ部の両端の第1及び第2の出力トランジスタに最下位bitの諧調データ信号を与えるステップと、前記トランジスタセルアレイ部の前記両端以外に設けられた第3及び第4の出力トランジスタにbitm(mはn以下で、且つmは正の整数)の諧調データ信号を与えるステップと、前記第3及び第4の出力トランジスタの間に設けられた第5の出力トランジスタにbitmよりも上位の諧調データ信号を与えるステップと、前記k分割された前記トランジスタセルアレイ部の中心に設けられた第6の出力トランジスタに最上位bitの諧調データ信号を与えるステップと、前記第6の出力トランジスタに隣接して前記ダミートランジスタを設けるステップとを具備する諧調データ信号供給方法。
【0092】
(付記6) 前記出力トランジスタはNch MOSトランジスタである付記1及び2のいずれか記載の電流出力型集積回路。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施例1に係る有機EL表示装置の構成を示す概略ブロック図。
【図2】本発明の実施例1に係る電流出力型ソースドライバの出力部を示す回路図。
【図3】本発明の実施例1に係るトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの配置を示す図。
【図4】本発明の実施例1に係る出力トランジスタのドライブ能力の一次関数変動を示す図。
【図5】本発明の実施例1に係る出力トランジスタのドライブ能力の一次関数変動発生時での有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す特性図。
【図6】本発明の実施例2に係るトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの配置を示す図。
【図7】本発明の実施例2に係る出力トランジスタのドライブ能力の二次関数変動を示す図。
【図8】本発明の実施例2に係る有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す特性図、図8(a)は一次関数変動発生時での特性図、図8(b)は二次関数変動発生時での特性図。
【図9】本発明の実施例2に係る二次関数変動発生時での有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す実施例1の特性図。
【図10】本発明の実施例3に係るトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの配置を示す図。
【図11】本発明の実施例3に係る有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す特性図。
【図12】本発明の実施例4に係るトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの配置を示す図。
【図13】本発明の実施例4に係る一次関数変動発生時での有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す特性図。
【図14】本発明の実施例4に係る二次関数変動発生時での有機EL表示装置の諧調と出力電流との関係を示す特性図。
【図15】本発明の実施例5に係るトランジスタセルアレイ部の出力トランジスタの配置を示す図。
【符号の説明】
【0094】
1 有機EL表示装置
2 ディスプレイコントローラ
3 DC−DCコンバータ
4 表示パネル(OELD)
5 ゲートドライバ
6 ソースドライバ
7 出力部
11 基準電流源
12 出力コントロール回路
13、13a、13b、13c トランジスタセルアレイ部
AVdd アナログ高電位側電源
D1〜D31 諧調データ信号
Istd 基準電流
Iout 出力電流
NT1〜NT31 出力トランジスタ
NTK 分配用ミラートランジスタ
OUT 出力端子
PV プリチャージ電圧
SW1〜SW31 スイッチ
Vss 低電位側電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
bitm(mは正の整数)の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第1の出力トランジスタと、前記第1の出力トランジスタの両側に配置され、前記bitmよりも下位の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第2及び第3の出力トランジスタとを有し、前記出力トランジスタはnbit(nはm以上で、且つnは2以上の整数)諧調表示に用いられ、ゲート間が接続されるトランジスタセルアレイ部と、
ゲートが前記トランジスタセルアレイ部の前記出力トランジスタのゲートに接続され、基準電流を生成する分配用ミラートランジスタと、
を具備することを特徴とする電流出力型集積回路。
【請求項2】
bitm(mは正の整数)の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第1の出力トランジスタと、前記第1の出力トランジスタの両側に配置され、前記bitmよりも下位の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第2及び第3の出力トランジスタとを有し、前記出力トランジスタはnbit(nはm以上で、且つnは2以上の整数)諧調表示に用いられ、総数2−1個又は2個で、ゲート間が接続され、並列或いは直列に配置されるトランジスタセルアレイ部と、
ゲートが前記トランジスタセルアレイ部の前記出力トランジスタのゲートに接続され、基準電流を生成する分配用ミラートランジスタと、
を具備することを特徴とする電流出力型集積回路。
【請求項3】
bitm(mは正の整数)の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第1の出力トランジスタと、前記第1の出力トランジスタの両側に配置され、前記bitmよりも下位の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第2及び第3の出力トランジスタとを有し、前記出力トランジスタはnbit(nはm以上で、且つnは2以上の整数)諧調表示に用いられ、総数2個で、ゲート間が接続され、複数段×複数列構成に配置されるトランジスタセルアレイ部と、
ゲートが前記トランジスタセルアレイ部の前記出力トランジスタのゲートに接続され、基準電流を生成する分配用ミラートランジスタと、
を具備することを特徴とする電流出力型集積回路。
【請求項4】
bitm(mは正の整数)の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第1の出力トランジスタと、前記第1の出力トランジスタの両側に配置され、前記bitmよりも下位の諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第2及び第3の出力トランジスタと、最上位bitの諧調データ信号にもとづいて出力電流を生成する第4の出力トランジスタとを有し、前記出力トランジスタはnbit(nはm以上で、且つnは2以上の整数)諧調表示に用いられ、総数2個で、bit情報がk分割(kは1以上の正の整数)され、ゲート間が接続され、並列或いは直列に配置され、前記第4のトランジスタは前記k分割された前記トランジスタセルアレイ部のいずれかの中心に配置されるトランジスタセルアレイ部と、
ゲートが前記トランジスタセルアレイ部の前記出力トランジスタのゲートに接続され、基準電流を生成する分配用ミラートランジスタと、
を具備することを特徴とする電流出力型集積回路。
【請求項5】
nbit(nは2以上の正の整数)諧調表示に用いられ、ゲート間が接続される2−1個又は2個の出力トランジスタが並列或いは直列に配置され、bit情報がk分割(kは1以上の正の整数)されたトランジスタセルアレイ部の両端の第1及び第2の出力トランジスタに最下位bitの諧調データ信号を与えるステップと、
前記トランジスタセルアレイ部の前記両端以外に設けられた第3及び第4の出力トランジスタにbitm(mはn以下で、且つmは正の整数)の諧調データ信号を与えるステップと、
前記第3及び第4の出力トランジスタの間に設けられた第5の出力トランジスタにbitmよりも上位の諧調データ信号を与えるステップと、
前記k分割された前記トランジスタセルアレイ部の中心に設けられた第6の出力トランジスタに最上位bitの諧調データ信号を与えるステップと、
を具備することを特徴とする諧調データ信号供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−71944(P2007−71944A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256036(P2005−256036)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000221199)東芝マイクロエレクトロニクス株式会社 (376)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】