説明

電流検知部材

【課題】落雷事故、短絡事故、地絡事故のいずれかの事故があった場合、確実に変色して、いずれかの事故があった個所を特定できるようにする。
【解決手段】落雷事故、短絡事故、地絡事故のいずれかの事故があった場合に、被接着部材Bに流れる事故電流を検知すべく、該被接着部材Bに接着される電流検知部材において、所定形状に切断加工されるシート状の基材1と、基材1の一面に形成され、前記事故電流が被接着部材Bに流れた際に生じる熱量を伝達する熱伝達層2と、熱伝達層2に前記事故電流の導通路を形成すべく配置される電極5と、被接着部材Bに接着できるように、熱伝達層2および電極5の少なくともいずれか一方に形成される接着層3と、基材1の他面に形成され、熱伝達層2、基材1を介して伝達される前記事故電流導通時の熱量によって変色する変色層6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、落雷事故、短絡事故、地絡事故のいずれかの事故があった箇所を目視によって特定できるように、被接着部材、例えば配電線を支持する配電線の支持構造に接着される電流検知部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電流検知部材としては、例えば、碍子の外周面の所定箇所に塗布される温度不可逆性の変色部材が知られている(特許文献1参照)。該変色部材は、碍子の外周面の所定箇所に塗布され、その後、碍子の外周面の全体に上薬が塗布されて焼結される。そして、落雷があって、碍子にひび割れが生じて、そのひび割れした部位に雨水などの水分が侵入し、絶縁不良が生じた碍子に、配電線からの電流が碍子にリークし、その通電による熱によって、温度不可逆性の変色部材が変色することになる。すなわち、元の色に戻ることなく変色した状態が保持されている変色部材を目視することによって、ひび割れが生じている碍子(絶縁不良が生じている碍子)を目視できるようにしている。また、特許文献1には、帯状の基材の一面に変色層が形成されるとともに、他面に粘着層が形成される変色部材を、碍子の所望の位置に接着することも記載されている。
【0003】
また、他の電流検知部材としては、例えば、各鉄塔の頂部に架設された架空地線に巻着されるサーモテープが公知になっている(特許文献2参照)。かかる電流検知部材は、架空地線に巻着され、架空地線に雷撃電流が流れた際、そのジュール熱によってサーモテープが変色する。変色したサーモテープを人工衛星によって撮影して、落雷した架空地線の位置を特定している。
【0004】
また、従来の他の電流検知部材は、例えば、送電用避雷装置の非直線抵抗体の外周面に固着される報知部が知られている(特許文献3参照)。該報知部は、シリコーン系ゴムのように温度に応じて変色する有機絶縁材料や示温材により構成されている。そして、過大な異常電圧を受けると非直線抵抗体の温度が上昇して、報知部が異常温度に感応して変色することになり、報知部の変色を視認することで、異常電圧が生じた送電用避雷装置を特定できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−4801号公報
【特許文献2】特開2009−8448号公報
【特許文献3】特開2009−266834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の電流検知部材の場合、碍子の外周面に上薬を塗布する前に、変色部材を塗布する工程が必要となり、その分、製造工程数が多くなり、コスト高になるという問題がある。一方、変色部材を架空地線などに直接塗布することも考えられるが、日射や雨風などによって劣化する可能性が高く、落雷事故、短絡事故、地絡事故のいずれかの事故があった箇所を目視するための電流検知部材としては、不向きであると考察される。
【0007】
また、前記特許文献2の電流検知部材の場合、電流が流れた際に発生するジュール熱を利用して変色するサーモテープを、架空地線の外周面に巻着しているが、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流が架空地線に流れたとしても、熱伝達が不十分であれば、サーモテープの変色部材が変色するのに必要とされる温度上昇(熱量)に達しない場合があり、変色が少ない場合も有り得る。
【0008】
また、前記特許文献3の電流検知部材の場合、シリコーン系ゴムのように温度に応じて変色する有機絶縁材料や示温材により構成されているだけでは、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流が流れた際の熱伝達が不十分であれば、電流検知部材の変色が小さい場合も有り得る。
【0009】
そこで、本発明は、前記問題を鑑み、簡単な構成で、かつ、安価に作製できて、地絡、閃絡に関わらず、落雷事故、短絡事故、地絡事故のいずれかの事故があった場合、確実に変色して、前記いずれかの事故があった個所を特定することができる電流検知部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電流検知部材は、落雷事故、短絡事故、地絡事故のいずれかの事故によって、被接着部材Bに流れる事故電流を検知すべく、該被接着部材Bに接着される電流検知部材において、所定形状に切断加工されるシート状の基材1と、該基材1の一面に形成され、前記事故電流が被接着部材Bに流れた際に生じる熱量を伝達する熱伝達層2と、該熱伝達層2に、前記事故電流の導通路を形成すべく配置される電極5,5と、被接着部材Bに接着できるように、熱伝達層2および電極5,5の少なくともいずれか一方に形成される接着層3と、基材1の他面に形成され、熱伝達層2、基材1を介して伝達される前記事故電流導通時の熱量によって変色する変色層6とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この場合、例えば、雷が被接着部材Bに落ちた際、被接着部材Bに接着された電極5,5から熱伝達層2を通って、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流が流れることになり、この際に生じるジュール熱が熱伝達層2、基材1を介して変色層6に熱伝達されるので、閃絡、短絡、地絡にかかわらず、変色層6を十分に変色させるだけの熱量が確実に伝達されるようになり、変色層6がきれいに変色して、落雷個所を特定できる。
【0012】
また、本発明によれば、前記電極5,5を、リード線4,4を介して熱伝達層2に接続するような構成を採用することもできる。
【0013】
この場合、リード線4,4によって、電極5,5を所望の位置に配置することができ、所望の位置に、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流の導通路を形成できるとともに、熱伝達層2に対する熱伝達路を形成できる。すなわち、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流を検知しやすくなる。
【0014】
また、本発明によれば、前記電極5,5を、一面が熱伝達層2の他面に接触するように、かつ、他面が熱伝達層2の他面に形成される接着層3の接着面と面一になるように、該接着層3に配置するような構成を選択することもできる。
【0015】
この場合、接着層3の接着面と面一の電極5,5の他面を、被接着部材Bに接触させた状態で接着することができる。すなわち、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流の導通路、および、前記いずれかの事故電流導通時の熱伝達路が、熱伝達層2の直下に形成することができる。つまり、前記いずれかの事故電流をより一層検知しやすくなる。
【0016】
また、本発明によれば、前記変色層6を、段階的に変色するように構成するようにしてもよい。
【0017】
この場合、変色層6を、例えば薄い色から濃い色に段階的に変色することで、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流の大きさの程度を知ることができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記熱伝達層2に、導電性を有する粉体や細片を含むような構成を採用することもできる。
【0019】
この場合、熱伝達層2に雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流が通りやすくなり、熱伝達層2に前記いずれかの事故電流が直接流れることによって、より大きな熱量を変色層に伝達できるようになり、変色層6を確実に変色させることができ、落雷事故、短絡事故、地絡事故のいずれかの事故があった箇所を精度よく特定できるようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流が電極から熱伝達層に流れた際、該熱伝達層に生じる熱量が、熱伝達層によって変色層に確実に伝達されるようになるので、変色層を十分に変色させることができる。すなわち、落雷事故、短絡事故、地絡事故のいずれかの事故があった個所を目視によって特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る電流検知部材を示す斜視図、(b)は、腕金の底面に電流検知部材が接着された状態を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る電流検知部材が接着される配電線の支持構造を示す斜視図。
【図3】(a)は、本発明の一実施形態に係る電流検知部材の変形例を示す斜視図、(b)は、腕金の底面に電流検知部材が接着された状態を示す断面図。
【図4】鉄塔の架空地線に、電流検知部材を接着した状態を示す概略図。
【図5】(a)は、架空地線の外周面に、図2に示す電流検知部材が接着された状態を示す断面図、(b)は、架空地線の外周面に、図3に示す電流検知部材が接着された状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る電流検知部材について図1を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、本発明の一実施形態に係る電流検知部材が接着される被接着部材として、配電線を支持する部材などで構成される配電線の支持構造を例にとって説明する。
【0023】
まず、電流検知部材Aの構成について図1を参照して説明する。所定形状に切断加工されたシート状の基材1と、該基材1の一面に形成され、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流が、後述する配電線の支持構造Bに流れた際に生じる熱量を伝達する熱伝達層2と、該熱伝達層2の下面に形成され、基材1を、配電線の支持構造Bに接着するための接着層3と、熱伝達層2にリード線4,4を介して雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流の通路を形成すべく配置される一対の電極5,5と、基材1の他面に形成され、熱伝達層2、基材1を介して伝達される熱量によって変色する変色層6とを備えている。
【0024】
基材1は、平面視四角形状に切断加工されており、伸縮性および可撓性を有するとともに、紫外線、雨水、高温、低温に耐え得る性質を有している。
【0025】
熱伝達層2は、平面視正方形状を呈しており、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流が配電線の支持構造Bを流れた際に、前記いずれかの事故電流による熱を変色層6に熱伝達するように構成されている。そして、前記いずれかの事故電流の導通路、および、前記いずれかの事故電流導通時の熱伝達路を形成すべく、導電性を有する金属片や金属粉が混入されている(図示せず)。
【0026】
電極5,5は、熱伝達層2に雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流の通路を形成すべく、リード線4,4を介して熱伝達層2の平行する一対の側面に接続される。そして、電極5,5の材質としては、例えば銅材、ステンレス鋼材からなる平板状のものが好ましく、配電線の支持構造Bに接触する接触面には、配電線の支持構造Bに対して着脱できるように、接着層が形成されている(図示せず)。
【0027】
変色層6は、示温材としての感熱型蛍光塗料が基材1の他面全体に塗布されて構成されている。該塗料は、例えばモータや電熱器などの過熱防止、温度変化などにも利用される不可逆性示温材が使用されている。また、変色する色としては、例えば、無色透明から黄色、白色から赤色に変色するような構成が考えられる。
【0028】
そして、配電線の支持構造Bに、落雷、短絡、地絡のいずれかの事故があった場合、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流が、いずれか一方の電極5からリード線4、熱伝達層2を通って他方の電極5へ流れて、この際に生じる熱量が、熱伝達層2、基材1を介して変色層6に伝達されて、該変色層6の全体がきれいに変色することになる。
【0029】
ここで、配電線の支持構造Bについて図2を参照して説明する。路面に立設された複数のうちの一の電柱10と、各電柱10,10間に架設される3相の高圧配電線11,…と、電柱10の上端部に装着された一対の腕金12,12と、各高圧配電線11,…に分岐接続された3相の分岐線13,…と、該各分岐線13,…を支持する碍子15,…が取り付けられ、腕金12,12の下方に装柱された第1突出金物20と、該第1突出金物20の下方(電柱10の中途部)に装柱された第2突出金物25と、両側部に変圧器31,31が支持され、第2突出金物25と同じ位置に装着された支持部材30とを備えている。
【0030】
電柱10は、上端部が、各高圧配電線11,…の側方に位置するように、路面に立設されている。但し、図1では、複数の電柱10,…のうち、変圧器31が並列支持されている電柱10のみを図示している。
【0031】
高圧配電線11,…は、平行する各腕金12,12に取り付けられた碍子15,…および引留クランプ16,…によって、各腕金12,12を跨ぐように直交方向に架設されている。
【0032】
一対の腕金12,12は、電柱10の上端部に水平方向に、かつ、高圧配電線11,…に対して直交方向に配置されている。また、各腕金12,12の先端部に、分岐線13,…を支持する碍子15,…が取り付けられている。
【0033】
第1突出金物20は、腕金12,12の下方に、該腕金12,12に対して交差し、かつ、電柱10に対して径外方向に突出する支持部201、および、該支持部201の基端部が固着されるとともに、電柱10の上部の外周面に装着される円環状の取付部202を有している。そして、支持部201の先端部に取り付けられた碍子15,…によって、高圧配電線11,…から分岐された分岐線13,…が斜め方向から引き込まれて支持されている。
【0034】
第2突出金物25は、第1突出金物20の支持部201と同一方向に位置するように、かつ、電柱10に対して径外方向に突出するように支持される第1支持部250と、該第1支持部250の先端部に、該先端部に対して直交方向に取り付けられた第2支持部251と、第1支持部250の基端部が固着されるとともに、電柱10の中途部の外周面に装着される取付部252とを有している。そして、第1支持部250の先端部に取り付けられた碍子35,…によって、第1突出金物20の碍子35,…から引き下ろされた各分岐線253,…が支持されている。また、第2支持部251の両側部に取り付けられた高圧カットアウト254,…を介して、引き下ろされた各分岐線253,…が変圧器31の一次側端子310,…に接続されている。
【0035】
支持部材30は、各変圧器31,31の軸線が電柱10の軸線に対して平行するように、かつ、第2突出金物25の第1支持部250が間に位置するように配置された一対の支持部300と、該支持部300の基端部が固着されるとともに、第2突出金物25と同じ位置に装柱される取付部301とを有している。そして、支持部材30の支持部300によって、各変圧器31,31は、各変圧器31,31の中心と電柱10の中心とを結ぶ2つの直線のなす角度が略60度になるように配置されている。なお、図2においては、変圧器31,31の二次側端子および該二次側端子から配線される3相の低圧配電線は省略している。
【0036】
つぎに本実施形態に係る電流検知部材の使用態様について図1および図2を参照して説明する。図1に示す電流検知部材Aの接着層3を、図2に示す配電線の支持構造Bの腕金12,12の下面、各変圧器31,31の底面、第1突出金物20の支持部201および第2突出金物25の支持部250にそれぞれ接着する。そうすることで、基材1の変色層6が作業者の立ち位置から目視できるようになる。この状態において、例えば、腕金12,12に落雷、短絡、地絡のいずれかの事故があった場合、雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流が、腕金12,12、一方の電極5、熱伝達層2、他方の電極5を通った際に、熱伝達層2、基材1を介して前記いずれかの事故電流の熱量が変色層6に伝達されて、変色層6が変色することになる。これによって、落雷、短絡、地絡のいずれかの事故があった箇所を作業者の立ち位置から目視できるようになる。すなわち、事故があった個所を特定することができる。
【0037】
このように、本実施形態に係る電流検知部材Aは、電極5,5から熱伝達層2に流れる電流の熱量が熱伝達層2において確実に変色層6に伝達されるので、変色層6全体を十分に変色させることができる。したがって、雷撃による閃絡によって、配電線の支持構造Bに雷撃電流が流れたり、配電線11,…の線間に短絡電流が流れたり、あるいは、配電線と接地との間に地絡電流が流れたりしても、これらの被接着部材(配電線や腕金)11,12に電流検知部材Aを接着しておけば、電流検知部材Aによって落雷、短絡、地絡のいずれかの事故があった箇所を特定することができる。
【0038】
なお、本発明に係る電流検知部材Aは、前記実施の形態に限定することなく種々変更することができる。
【0039】
例えば、前記実施形態の場合、一対の電極5,5を、リード線4,4を介して熱伝達層2に接続するようにしたが、図3(a)に示すように、熱伝達層2の他面の両側部に平行するように配置してもよい。詳細には、各電極5,5が、絶縁距離を保った状態で、熱伝達層2の左右の両側端部に沿うように配置され、しかも、配電線の支持構造Bに接触する電極5,5の一面が、接着層3の接着面と面一であるとともに、電極5,5の他面が、熱伝達層2の下面に接触し、さらに、各電極5,5の一端部および他端部が、熱伝達層2の上下の両側端部に位置して、各電極5,5の一端部および他端部の端面が外部に臨出している。そして、図3(b)に示すように、例えば、腕金12,12の下面に、接着層3を貼り付けて、電極5,5の接触面を腕金12,12の下面に接触させて、変色層6を作業者の立ち位置から目視できるようにする。また、接着層3を熱伝達層2の下面に形成せずに、各電極5,5の接触面のみに形成してもよい。
【0040】
また、前記実施形態の場合、変色する色を一つの色としたが、温度によって段階的に変化させて、雷撃電流の大きさの程度を知るようにしてもよい。
【0041】
また、前記実施形態の場合、配電設備の支持構造Bを例にとって説明したが、図4に示すように、鉄塔Tの骨組みおよび鉄塔T,T間に架設されている架空地線Kに貼り付けてもよい。この場合、図5(a),(b)に示すように、架空地線Kの外周面の下側に接着する。また、鉄塔Tに取り付けられている避雷針や避雷装置(図示せず)などに貼り付けてもよい。
【0042】
また、前記実施形態の場合、一対の電極5,5を配置するようにしたが、1つであってもよい。1つの電極5を通って、熱伝達層2に事故電流、すなわち雷撃電流、短絡電流、地絡電流のいずれかの事故電流が流れるようになればよい。要は、電極5によって、前記事故電流の導通路、および、変色層6に対する前記事故電流導通時の熱伝達路を形成できればよい。
【0043】
また、前記実施形態の場合、配電設備の支持構造Bを例にとって説明したが、鉄塔Tや避雷針の近傍に設置されている磁鋼材と併用してもよく、この場合、電流検知部材Aによって、落雷事故があった箇所を特定できるとともに、磁鋼材によって雷撃電流の大きさを実測することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…基材、2…熱伝達層、3…接着層、4…リード線、5…電極、6…変色層、A…電流検知部材、B…被接着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
落雷事故、短絡事故、地絡事故のいずれかの事故があった場合に、被接着部材(B)に流れる事故電流を検知すべく、該被接着部材(B)に接着される電流検知部材において、
所定形状に切断加工されるシート状の基材(1)と、
該基材(1)の一面に形成され、前記事故電流が被接着部材(B)に流れた際に生じる熱量を伝達する熱伝達層(2)と、
該熱伝達層(2)に前記事故電流の導通路を形成すべく配置される電極(5,5)と、
被接着部材(B)に接着できるように、熱伝達層(2)および電極(5,5)の少なくともいずれか一方に形成される接着層(3)と、
基材(1)の他面に形成され、熱伝達層(2)、基材(1)を介して伝達される前記事故電流導通時の熱量によって変色する変色層(6)とを備えたことを特徴とする電流検知部材。
【請求項2】
前記電極(5,5)は、リード線(4,4)を介して熱伝達層(2)に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電流検知部材。
【請求項3】
前記電極(5,5)は、一面が熱伝達層(2)の他面に接触するように、かつ、他面が熱伝達層(2)の他面に形成される接着層(3)の接着面と面一になるように、該接着層(3)に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電流検知部材。
【請求項4】
前記変色層(6)は、段階的に変色するように構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電流検知部材。
【請求項5】
前記熱伝達層(2)は、導電性を有する粉体や細片が含まれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に掲載の電流検知部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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