説明

電源システム及び放電試験方法

【課題】一定の電流値による放電試験を行うことを課題とする。
【解決手段】放電試験モードの場合、組電池3は、負荷装置5に必要な電流値に満たない電流値を目標値とする放電電流を負荷装置5へ供給する。直流電源システムは、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧より低くなることにより負荷装置5への電流供給が組電池3側に切り替わる過程において、放電電流の電流値が、目標値に基づく第1電流閾値を上回る場合には、整流器1の出力電圧を、組電池3の出力電圧より高くなるまで上昇させる。また、直流電源システムは、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧より高くなることにより負荷装置5への電流供給が整流器1側に切り替わる過程において、放電電流の電流値が、目標値に基づく第2電流閾値を下回る場合には、整流器1の出力電圧を、組電池3の出力電圧より低くなるまで低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源システム及び放電試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、直流の負荷装置へ電力を供給する電源システム(以下、直流電源システム)は、整流器を備える。整流器は、交流電源から入力された交流電力を直流電力に変換し、直流電力を出力する。また、直流電源システムは、整流器の出力に蓄電池を備え、交流電源が停電した場合には、蓄電池が、負荷装置への電力の供給を継続する。なお、蓄電池を直流電源システムに適用する場合には、通常、組電池が用いられる。組電池は、単電池(又は単セル)と呼ばれる1個の蓄電池を複数個直列に接続し、これを1つ以上並列に接続したものである。
【0003】
図4は、整流器及び蓄電池を備えた直流電源システムを説明するための図である。図4に示すように、整流器1は、交流電源2から供給された交流電力を直流電力に変換し、負荷装置5へ供給する。組電池3は、単電池4を複数個直列に接続したものである。組電池3は、交流電源2が有効である場合には、整流器1から供給された電流を充電し、交流電源2が停電した場合には、負荷装置5へ放電電流を供給する。
【0004】
このように、直流電源システムにおいては、商用の交流電源が停電した場合、蓄電池が負荷装置への電力の供給を行う。このため、蓄電池の信頼性が、直流電源システムの信頼性に大きく影響する。この点、蓄電池は、充放電回数や経年により劣化し、充電容量が低下するので、従来、「蓄電池による放電が正常に行われるか」などを試験する放電試験が実施されている。
【0005】
放電試験には、例えば、整流器の出力電圧を低下させ、整流器の出力電圧を蓄電池の出力電圧より低くすることで、蓄電池から負荷装置への放電を開始する手法がある。この手法によれば、放電試験の対象として実際に運用している負荷装置(以下、実負荷装置)を用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-251833号公報
【特許文献2】特開平10-002943号公報
【特許文献3】特開2004-120856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の放電試験の手法では、蓄電池から放電される放電電流の電流値は、実負荷装置が必要とする電流値に依存する。この点、実負荷装置が必要とする電流値がどのような値となるかは、設備の増減、運用時期や時刻などにより変化する。このため、放電電流の電流値は試験毎に異なったものとなり、同じ条件で放電試験を行うことができない。すると、例えば過去の試験結果との比較ができず、蓄電池の正常性の判定が困難となり、結局、試験結果の利用価値は低下する。
【0008】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、実負荷装置が必要とする電流値に依存せずに、一定の電流値による放電試験を行うことが可能な電源システム及び放電試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る電源システムは、整流器と蓄電池とを備える。前記整流器は、交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換し、負荷装置へ電流を供給する。前記蓄電池は、前記整流器から供給された電流を蓄電し、前記負荷装置へ放電電流を供給するとともに、放電試験モードの場合に、該負荷装置に必要な電流値に満たない電流値を目標値とする放電電流を、該負荷装置へ供給する。前記電源システムは、前記放電試験モードの場合に、前記整流器の出力電圧が前記蓄電池の出力電圧より低くなることにより前記負荷装置への電流供給が前記蓄電池側に切り替わる過程において、前記放電電流の電流値が、前記目標値に基づく第1電流閾値を上回る場合には、該整流器の出力電圧を、該蓄電池の出力電圧より高くなるまで上昇させる制御を行う第1制御部を備える。また、前記電源システムは、前記放電試験モードの場合に、前記整流器の出力電圧が前記蓄電池の出力電圧より高くなることにより前記負荷装置への電流供給が前記整流器側に切り替わる過程において、前記放電電流の電流値が、前記目標値に基づく第2電流閾値を下回る場合には、該整流器の出力電圧を、該蓄電池の出力電圧より低くなるまで低下させる制御を行う第2制御部を備える。
【発明の効果】
【0010】
実施形態に係る電源システム及び放電試験方法によれば、実負荷装置が必要とする電流値に依存せずに、一定の電流値による放電試験を行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る直流電源システムを説明するための図である。
【図2】図2は、第1の実施形態における制御手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、第1の実施形態における整流器の出力電圧、組電池の電圧、及び組電池の充放電電流の推移を説明するための図である。
【図4】図4は、整流器及び蓄電池を備えた直流電源システムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る直流電源システムを説明する。なお、第1の実施形態においては「鉛蓄電池」を例に挙げて説明するが、実施形態はこれに限られるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る直流電源システムを説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る直流電源システムは、整流器1、交流電源2、組電池3、制御部6、及び電流計測部7を有する。また、負荷装置5は、直流電源システムから電流の供給を受ける。
【0014】
整流器1は、交流電源2から供給された交流電力を直流電力に変換し、直流に変換した電流を出力する。また、整流器1から出力された電流は、負荷装置5や組電池3に供給される。また、図示を省略するが、整流器1は、第1制御部、第2制御部、第3制御部、及び判定部を備える。第1制御部、第2制御部、第3制御部、及び判定部については、後に詳述する。なお、第1の実施形態に係る整流器4の最大出力は、150Aである。
【0015】
組電池3は、整流器1から供給された電流を充電する。また、組電池3は、放電電流を出力する。図1に示すように、組電池3は、単電池4を24個直列に接続したものである。なお、第1の実施形態に係る単電池4は、鉛蓄電池(定格容量200Ah、定格電圧2.0V、満充電電圧2.2V、放電終止電圧1.7V)である。
【0016】
負荷装置5は、整流器1から出力される電流や、組電池3から放電される電流の供給を受ける。なお、第1の実施形態に係る負荷装置5は、実負荷装置であり、負荷装置5に必要な電流値は、50A〜100Aの間で変動する。
【0017】
ここで、第1の実施形態に係る直流電源システムは、「通常モード」及び「放電試験モード」で動作する。「通常モード」とは、整流器1から出力される電流が、負荷装置5や組電池3に供給されるモードである。通常モードで動作中、組電池3は、放電を行わずに、整流器1から出力される電流の充電を行う。一方、「放電試験モード」とは、整流器1から出力される電流、及び、組電池3から放電される電流の双方が、負荷装置5に供給されるモードである。放電試験モードで動作中、組電池3は、充電を行わずに放電を行う。また、放電試験モードで動作中、組電池3は、負荷装置5に必要な電流値に満たない電流値を目標値とする放電電流を、負荷装置5へ供給する。目標値は、放電試験における放電電流を毎回一定の電流値とするために定められたものである。なお、「通常モード」及び「放電試験モード」については、後に詳述する。
【0018】
制御部6は、交流電源2とは異なる電源(図示を省略)から電力の供給を受け、直流電源システム全体の制御を行う。具体的には、制御部6は、図1に示すように、「放電試験モード」への移行を指示する信号を整流器1に送信する。例えば、制御部6は、放電試験を行うタイミング(例えば1年に1回など)をスケジュール管理し、タイミングに合わせてこの信号を整流器1に送信する。また、例えば、制御部6は、操作者など外部からの入力を受け付けたタイミングで、この信号を整流器1に送信する。
【0019】
また、制御部6は、図1に示すように、組電池3の電圧を組電池3から受信し、また、組電池3から放電された放電電流の電流値を電流計測部7から受信する。制御部6は、組電池3の電圧、組電池3から放電された放電電流の電流値、及び、放電試験モードの動作時間を記録する。なお、これらの情報は、例えば組電池3の充電容量を算出するために用いられる。また、放電試験モードの動作時間は、例えば制御部6内部のクロックによって計測される。
【0020】
電流計測部7は、組電池3から放電された放電電流を計測し、計測した電流値を整流器1及び制御部6に通知する。例えば、電流計測部7には、抵抗値が既知の抵抗を用いることができる。この場合、整流器1は、電流計測部7の両端の電位差を計測することにより電流値を換算する。
【0021】
次に、「通常モード」及び「放電試験モード」を順に詳述する。
【0022】
(通常モード)
通常モードとは、整流器1から出力される電流が、負荷装置5や組電池3に供給されるモードである。通常モードで動作中、組電池3は、放電を行わずに、整流器1から出力される電流の充電を行う。
【0023】
具体的に説明する。通常モードで動作中、整流器1は、52.8V(組電池3の満充電電圧(単電池4の満充電電圧2.2V×24)、以下、V1)を維持するように、出力電圧を制御する。まず、交流電源2が有効である場合、整流器1から出力された電流は、負荷装置5へ供給される。また、整流器1から出力された電流の余剰分は、組電池3へ供給され、組電池3に充電される。
【0024】
なお、整流器1から組電池3へ供給される電流と、整流器1から負荷装置5へ供給される電流との合計が、整流器1の最大出力(150A)を超える場合、整流器1は、出力電圧の垂下制御を行うことにより、電流の出力を最大値(150A)に維持する。組電池3の充電が進み、整流器1から組電池3へ供給される電流が減少すると、整流器1は、垂下制御を停止する。整流器1から組電池3へ供給される電流がさらに減少し、組電池2が満充電となると、整流器1は、満充電の維持に必要な電流を出力し、出力電圧V1を維持するように制御しながら、負荷装置5へ電流を供給する。
【0025】
一方、交流電源2が有効でない場合、すなわち、交流電源2が停電した場合、整流器1は、電流の出力を停止する。このため、組電池3が、放電電流を出力し、組電池3から出力された放電電流は、負荷装置5に供給される。その後、交流電源5が復電した場合、整流器1は、電流の出力を再開し、整流器1から出力された電流は、再び、負荷装置5及び組電池3へ供給される。
【0026】
ここで、第1の実施形態において、整流器1は、第3制御部及び判定部を備える。判定部は、通常モードから放電試験モードに移行する前に、以下(1)、(2)、及び(3)の全ての条件が成立するか否かを判定する。そして、第3制御部は、判定部による判定の結果、全ての条件が成立した場合に、通常モードから放電試験モードに、整流器1の制御を切り替える。
(1)整流器1の出力電圧は、組電池3の満充電電圧V1である。
(2)組電池3は、満充電である。
(3)制御部3は、稼働中である(制御部6から信号を受信した)。
【0027】
整流器1は、(1)の条件から、例えば、交流電源2が停電した場合や、整流器1自身が故障により電流の出力を停止した場合には、通常モードから放電試験モードに移行しない。また、整流器1は、(2)の条件から、例えば、組電池6の充電が十分でない場合には、通常モードから放電試験モードに移行しない。また、整流器1は、(3)の条件から、例えば、交流電源2とは異なる電源が停電したことにより制御部6が稼動中でない場合には、通常モードから放電試験モードに移行しない。なお、(2)の条件すなわち組電池3が満充電であるか否かは、公知の技術を用いて判定すればよい。例えば、整流器1から組電池3へ供給される電流を監視し、その電流値から満充電を判定してもよい。また、例えば、組電池3の電圧を監視し、その電圧値から満充電を判定してもよい。
【0028】
放電試験モードに移行する前にこのような条件を判定する意味は、蓄電池の信頼性が、直流電源システムの信頼性に大きく影響することと関係する。すなわち、第1の実施形態に係る直流電源システムにおいては、商用の交流電源が停電した場合、蓄電池が負荷装置への電力の供給を行う。放電試験の実行中であっても、商用の交流電源が停電した場合には、蓄電池が負荷装置への電力の供給を全て賄わなければならない。このため、そもそも商用の交流電源が停電しているような場合や、整流器が故障しているような場合には、放電試験を開始するべきでない。従って、整流器1は、(1)の条件を判断することにより、商用の交流電源が停電しているか否か、整流器が故障しているか否かなどを判断している。また、放電試験の実行中に商用の交流電源が停電する可能性もあるため、蓄電池に十分な電力が蓄えられてない場合には、放電試験を開始するべきでない。このため、整流器1は、(2)の条件を判断している。また、放電試験の試験結果を記録する制御部が稼働中でない場合には、放電試験を開始するべきでないため、整流器1は、(3)の条件を判断している。
【0029】
(放電試験モード)
放電試験モードとは、整流器1から出力される電流、及び、組電池3から放電される電流の双方が、負荷装置5に供給されるモードである。また、放電試験モードで動作中、組電池3は、負荷装置5に必要な電流値に満たない電流値を目標値とする放電電流を、負荷装置5に供給する。目標値は、放電試験における放電電流を毎回一定値とするために定められたものである。第1の実施形態に係る直流電源システムは、この放電試験モードにおいて、負荷装置5が必要とする電流値に依存せずに、一定の電流値による放電試験を行うことが可能である。
【0030】
ここで、整流器1の第1制御部及び第2制御部が、放電電流を一定の電流値に維持する制御を行う。具体的には、第1制御部は、放電電流の電流値が第1電流閾値を上回る場合には、整流器1の出力電圧を、組電池3の出力電圧より高くなるまで上昇させる制御を行う。第2制御部は、放電電流の電流値が第2電流閾値を下回る場合には、整流器1の出力電圧を、組電池3の出力電圧より低くなるまで低下させる制御を行う。
【0031】
以下、整流器1から出力される電流、及び、組電池3から放電される電流の双方が、負荷装置5に供給される原理を説明するとともに、第1制御部及び第2制御部による制御を説明する。
【0032】
図1に示す構成において、一般的には、整流器1の出力電圧及び組電池3の出力電圧のうち、出力電圧が高い方の電流が、負荷装置5へ供給されると考えられる。例えば、通常モードで動作中、組電池3が放電を行わないのは、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧より高いからである。また、例えば、交流電源2が停電した場合に、組電池3が放電を行うのは、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧より低くなるからである。
【0033】
そうであるとすると、組電池3は、放電試験中、負荷装置5に必要な電流値を単独で供給しなければならないはずであり、負荷装置5に必要な電流値が変動する以上、一定の電流値による放電試験を行うことは困難なはずである。
【0034】
この点、第1の実施形態に係る直流電源システムは、整流器1の出力電圧と組電池3の出力電圧との高低関係が切り替わったときに、必ずしも直ちに一方の電流の出力が停止するわけではない性質を利用する。
【0035】
例えば、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧より高い状態から低い状態に切り替わる場合を考える。整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧より低くなる状態は、負荷装置5への電流供給が、整流器1側から組電池3側に切り替わる状態である。この過程において、それぞれの出力電流の電流値が例えば線形に変化すると考えると、ある瞬間において、整流器1から出力される電流、及び、組電池3から放電される電流の双方が、負荷装置5に供給される状態となる。
【0036】
例えば、負荷装置5に必要な電流値は100Aであり、放電電流の目標値I1は20Aであるとする。なお、目標値I1は、組電池3の放電電流として求められる一定の電流値であり、通常、負荷装置5に必要な電流値に満たない電流値である。
【0037】
通常モードから放電試験モードに移行すると、整流器1は、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧を下回るように、整流器1の出力電圧を低下させる。試験モード移行時の整流器1の出力電圧はV1であるため、最初は出力電圧の低下が続くが、放電電流が目標値I1に到達すると、その後、整流器1の出力電圧は、上昇及び低下を繰り返しながら、組電池3の出力電圧とともに徐々に低下していく。
【0038】
ここで、ある瞬間において組電池3の出力電圧が整流器1の出力電圧を上回り、負荷装置5への電流供給が組電池3側に切り替わることにより、組電池3の放電電流が負荷装置5へ供給され始めるが、この過程において、整流器1の出力電流が直ちに『0A』となり、組電池3の放電電流が直ちに『100A』となるわけではない。
【0039】
整流器1の出力電圧と同様、配線の電圧も昇圧しているので、この配線(抵抗)の電圧により、負荷装置5へ供給される整流器1の出力電流が依然として残ることになる。仮に整流器1の出力電流が『100A』から『0A』に向かって線形に減少すると考えると、その減少の過程において、整流器1の出力電流は、負荷装置5へ供給されることになる。一方、組電池3の放電電流も『0A』から『100A』に向かって線形に増加すると考えると、その増加の過程において、組電池3の放電電流は、負荷装置5へ供給されることになる。結局、負荷装置5は、整流器1から出力される電流、及び、組電池3から放電される電流の双方の供給を受ける。すると、ある瞬間において、例えば、整流器1から出力される電流が『80A』であり、組電池3の放電電流が『20A』であるという状況が創出される。
【0040】
この状況が継続すると、やがて、組電池3から放電された放電電流の電流値が目標値I1を上回る。例えば、組電池3の放電電流は目標値『20A』を上回り『25A』となる。このとき、整流器1は、整流器1の出力電圧を、組電池3の出力電圧より高くなるまで上昇させる。例えば、整流器1は、出力電圧を『0.1V』の幅で繰り返し上昇させる。
【0041】
すると、今度は反対に、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧を上回り、負荷装置5への電流供給が整流器1側に切り替わるが、この過程においても、整流器1の出力電流が直ちに『100A』となり、組電池3の放電電流が直ちに『0A』となるわけではない。
【0042】
組電池3の出力電圧と同様、配線の電圧も昇圧しているので、この配線(抵抗)の電圧により、負荷装置5へ供給される組電池3の放電電流が依然として残ることになる。仮に組電池3の放電電流が『25A』から『0A』に向かって線形に減少すると考えると、その減少の過程において、組電池3の放電電流は、負荷装置5へ供給されることになる。一方、整流器1の出力電流も『75A』から『100A』に向かって線形に増加すると考えると、その増加の過程において、整流器1の出力電流は、負荷装置5へ供給されることになる。結局、負荷装置5は、整流器1から出力される電流、及び、組電池3から放電される電流の双方の供給を受ける。すると、ある瞬間において、例えば、整流器1から出力される電流が『80A』であり、組電池3の放電電流が『20A』であるという状況が創出される。
【0043】
さらにこの状況が継続すると、やがて、組電池3から放電された放電電流の電流値が目標値I1を下回る。例えば、組電池3の放電電流は目標値『20A』を下回り『15A』となる。このとき、整流器1は、整流器1の出力電圧を、組電池3の出力電圧より低くなるまで低下させる。例えば、整流器1は、出力電圧を『0.1V』の幅で繰り返し低下させる。
【0044】
すると、今度は反対に、組電池3の出力電圧が整流器1の出力電圧を上回り、負荷装置5への電流供給が組電池3側に切り替わるが、この過程においても、整流器1の出力電流が直ちに『0A』となり、組電池3の放電電流が直ちに『100A』となるわけではない。ある瞬間において、例えば、整流器1から出力される電流が『80A』であり、組電池3の放電電流が『20A』であるという状況が創出される。
【0045】
このように、第1の実施形態に係る直流電源システムにおいては、整流器1の第1制御部及び第2制御部が、組電池3から放電される放電電流の電流値と目標値とを比較しながら整流器1の出力電圧を上昇又は低下させる微調整を繰り返し行うことで、整流器1の出力電圧と組電池3の出力電圧との高低関係を繰り返し切り替え、組電池3の放電電流を目標値に維持する。
【0046】
なお、第1の実施形態において、整流器1の判定部は、以下(1)又は(2)のいずれかの条件が成立するか否かを判定する。そして、整流器1の第3制御部は、判定部による判定の結果、いずれかの条件が成立した場合に、放電試験モードから通常モードに、整流器1の制御を切り替える。
(1)整流器1の出力が停止した(交流電源2の停電など)。
(2)組電池3の出力電圧が、放電終止電圧に達した。
【0047】
(制御手順)
図2は、第1の実施形態における制御手順を示すフローチャートである。第1の実施形態において、直流電源システムは、通常モード及び放電試験モードで動作する。通常モードで動作中、整流器1は、整流器1の出力電圧をV1(組電池3の満充電電圧)に設定する(ステップS101)。すると、整流器1の出力電圧は、V1を目標電圧として徐々に上昇する。
【0048】
次に、整流器1は、整流器1の出力電圧がV1であるか否かを判定する(ステップS102)。整流器1の出力電圧がV1でない場合(ステップS102否定)、整流器1は、整流器1の出力電圧がV1であるか否かを判定する処理に戻る。
【0049】
一方、整流器1の出力電圧がV1である場合(ステップS102肯定)、整流器1は、組電池3が満充電であるか否かを判定する(ステップS103)。組電池3が満充電でない場合(ステップS103否定)、整流器1は、再び、整流器1の出力電圧がV1であるか否かを判定する処理に戻る。
【0050】
一方、組電池3が満充電である場合(ステップS103肯定)、整流器1は、制御部6から信号(「放電試験モード」への移行を指示する信号)を受信したか否かを判定する(ステップS104)。信号を受信していない場合(ステップS104否定)、整流器1は、再び、整流器1の出力電圧がV1であるか否かを判定する処理に戻る。
【0051】
一方、信号を受信した場合(ステップS104肯定)、整流器1は、放電試験モードに移行する。なお、整流器1は、この信号を受信することで放電試験モードに移行するとともに、制御部6が稼働中であることを合わせて確認する。なお、制御部6からの信号は、放電試験モードに移行後、繰り返し送信される。制御部6が稼働中であることを確認するためである。
【0052】
放電試験モードで動作中、組電池3は、負荷装置5に必要な電流値に満たない電流値を目標値とする放電電流を負荷装置5に供給する。ここでは、負荷装置5に必要な電流値を『100A』とし、目標値を『20A』とする。
【0053】
通常モードから放電試験モードに移行した時点で、整流器1の出力電圧はV1であるので、放電試験モードに移行すると、整流器1は、組電池3の出力電圧が整流器1の出力電圧より高くなるように、整流器1の出力電圧を低下させる。
【0054】
すなわち、整流器1は、組電池3の放電電流を電流計測部7から取得し、組電池3の放電電流の電流値と『I1+α』(第1電流閾値)とを比較し、組電池3の放電電流の電流値が『I1+α』を上回るか否かを判定する(ステップS105)。ここで、『α』は、目標値に対する許容値であり、ここでは『1A』とする。
【0055】
組電池3の放電電流の電流値が『I1+α』を上回る場合には(ステップS105肯定)、整流器1は、整流器1の出力電圧を『ΔV』上昇させる制御を行う(ステップS106)。ここで、『ΔV』は、例えば0.1Vである。
【0056】
一方、組電池3の放電電流の電流値が『I1+α』を上回らない場合(ステップS105否定)、整流器1は、次に、組電池3の放電電流の電流値と『I1−α』(第2電流閾値)とを比較し、組電池3の放電電流の電流値が『I1−α』を下回るか否かを判定する(ステップS107)。放電試験モード移行直後は、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧より高いので、ステップS105は否定となり、ステップS107は肯定となると考えられる。
【0057】
組電池3の放電電流の電流値が『I1−α』を下回る場合(ステップS107肯定)、整流器1は、整流器1の出力電圧を『ΔV』低下させる制御を行う(ステップS108)。ここで、『ΔV』は、例えば0.1Vである。
【0058】
そして、整流器1は、整流器1の出力が有効であるか否かを判定し(ステップS109)、整流器1の出力が有効でない場合には(ステップS109否定)、通常モードに移行する。一方、整流器1の出力が有効である場合(ステップS109肯定)、整流器1は、組電池3の電圧が放電終止電圧V2に達したか否かを判定し(ステップS110)、放電終止電圧V2に達した場合(放電終止電圧V2以下である場合)には(ステップS110否定)、通常モードに移行する。一方、放電終止電圧V2に達していない場合(放電終止電圧V2よりも高い場合)には(ステップS110肯定)、整流器1は、制御部6から信号(制御部6が稼働中であるか否かを確認する信号)を受信したか否かを判定する(ステップS111)。信号を受信していない場合(ステップS111否定)、整流器1は、制御部6からの信号がリセットされたとして、通常モードに移行する。一方、信号を受信した場合(ステップS111肯定)、整流器1は、ステップS105に戻る。
【0059】
すると再びステップS105からの制御が開始され、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧より高い間、ステップS105は否定となり、ステップS107は肯定となるので、整流器1は、整流器1の出力電圧を『ΔV』低下させる制御を繰り返し行う。
【0060】
やがて、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧より低くなることにより、負荷装置5への電流供給が組電池3側に切り替わる過程となる。ステップS105もステップS107も否定となる過程をさらに過ぎると、組電池3の放電電流の電流値が『I1+α』を上回り、ステップS105は肯定となる。すると、整流器1は、整流器1の出力電圧を『ΔV』上昇させる制御を行う(ステップS106)。そして、整流器1は、上述と同様、ステップS109〜S111の判定を行い、再び、ステップS105の制御に戻る。
【0061】
依然として組電池3の放電電流の電流値が『I1+α』を上回り、ステップS105が肯定となる場合には、整流器1は、整流器1の出力電圧を『ΔV』上昇させる制御を繰り返し行う。
【0062】
やがて、整流器1の出力電圧が組電池3の出力電圧より高くなることにより、負荷装置5への電流供給が整流器1側に切り替わる過程となる。ステップS105もステップS107も否定となる過程をさらに過ぎると、組電池3の放電電流の電流値が『I1−α』を下回り、ステップS107は肯定となる。すると、整流器1は、整流器1の出力電圧を『ΔV』低下させる制御を行う(ステップS108)。そして、整流器1は、上述と同様、ステップS109〜S111の判定を行い、再び、ステップS105の制御に戻る。
【0063】
依然として組電池3の放電電流の電流値が『I1−α』を下回り、ステップS107が肯定となる場合には、整流器1は、整流器1の出力電圧を『ΔV』低下させる制御を繰り返し行う。
【0064】
このように、第1の実施形態に係る直流電源システムにおいては、整流器1の第1制御部及び第2制御部が、組電池3から放電される放電電流の電流値と目標値とを比較しながら整流器1の出力電圧を上昇又は低下させる微調整を繰り返し行うことで、整流器1の出力電圧と組電池3の出力電圧との高低関係を繰り返し切り替え、組電池3の放電電流を目標値に維持する。
【0065】
なお、上述した制御手順は一例に過ぎず、運用の形態に応じて任意に変更することができる。例えば、ステップS105及びステップS106の処理と、ステップS107及びステップS108の処理とが反対の順番で行われてもよい。また、通常モードから放電試験モードに移行する際の判定条件(ステップS102〜S104)も、必ずしも必須なものではなく、また、判定条件のうちのいくつかを組み合わせてもよい。また、放電試験モードから通電モードに移行する際の判定条件(ステップS109〜S111)も、必ずしも必須なものではなく、また、判定条件のうちのいくつかを組み合わせてもよい。
【0066】
(各種値の推移)
図3は、第1の実施形態における整流器1の出力電圧、組電池3の電圧、及び組電池3の充放電電流の推移を説明するための図である。負荷装置5に必要とされる電流値を『100A』と想定する。
【0067】
図3に示すように、直流電源システムは、まず、通常モードで動作する。通常モードで動作中、整流器1は、出力電圧がV1(組電池3の満充電電圧)に設定される。このため、図3に示すように、整流器1の出力電圧は、V1を目標電圧として徐々に上昇する。整流器1から出力された電流は、負荷装置5へ供給されるとともに、組電池3へ供給され、組電池3に充電される。そして、図3に示すように、整流器1の垂下制御により、充電電流は一定値(50A)となる。充電が進み、整流器1の出力電圧がV1に到達し、充電電流が減少して十分小さくなったときに、組電池3は満充電となる。
【0068】
次に、時刻t1において、整流器1は、制御部6から信号を受けて放電試験モードに移行する。上述したように、整流器1の出力電圧制御により、放電電流は20Aに維持される。また、整流器1の出力電圧は、上昇及び低下を繰り返しながらも、全体としては、図3に示すように、組電池3の電圧とともに低下する。時刻t2において、整流器1は、制御部6からの信号がリセットされると通常モードに移行する。整流器1は、再び出力電圧がV1に設定され、整流器1から出力された電流は、組電池3に充電される。
【0069】
なお、図3においては、制御部6からの信号のリセットにより放電試験モードが終了するものとしたが、実施形態はこれに限られるものではない。制御部6からの信号の有無にかかわらず、組電池2の出力電圧が放電終止電圧(例えば40.8V)に到達するまで放電試験モードを続ける運用も可能である。この運用によれば、制御部6は、放電試験モードの開始から終了(組電池2の放電終止電圧による)まで、組電池3の電圧、組電池3から放電された放電電流の電流値、及び、放電試験モードの動作時間を記録する。そして、制御部6は、満充電電圧から放電終止電圧に到達するまでの間について、その電流値と動作時間とを積算することで、組電池3の容量を計算することができる。第1の実施形態に係る直流電源システムによれば、負荷装置5に必要な電流値に増減があっても、放電電流の目標値を同じにすることにより、毎回一定の電流値による試験とすることが可能である。
【0070】
(第1の実施形態の効果)
上述したように、第1の実施形態によれば、実負荷装置が必要とする電流値に依存せずに、一定の電流値による放電試験を行うことが可能になる。
【0071】
すなわち、負荷装置5への電流供給が組電池3側に切り替わる過程においては、整流器1から出力される電流、及び、組電池3から放電される電流の双方が、負荷装置5に供給されるが、組電池3から放電される放電電流の電流値は、やがて(目標値+許容値)を上回ってしまう。このとき、整流器1が、整流器1の出力電圧を組電池3の出力電圧より高くなるまで上昇させるので、放電電流の電流値の上昇を抑えることができる。
【0072】
反対に、負荷装置5への電流供給が整流器1側に切り替わる過程においては、組電池3から放電される放電電流の電流値は、やがて(目標値−許容値)を下回ってしまう。このとき、整流器1が、整流器1の出力電圧を組電池3の出力電圧より低くなるまで低下させるので、放電電流の電流値の低下を抑えることができる。
【0073】
このような制御を繰り返し行うことで、結果として、放電電流の電流値は、目標値(あるいは目標値近傍)を維持することになる。以上のような直流電源システムによれば、試験用負荷装置を用いずに実負荷装置へ放電させる放電試験においても、毎回の試験条件を同一とし、試験結果の利用価値を高めることが可能になる。
【0074】
なお、第1の実施形態においては、目標値そのものを閾値とするのではなく、目標値に一定値を加算・減算した許容値を閾値とする。このようなことから、整流器1による制御が過度に頻繁に行われることを防止することが可能になる。
【0075】
(第2の実施形態)
以上、第1の実施形態においては、蓄電池が鉛蓄電池である直流電源システムを例として、説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、蓄電池は、鉛蓄電池の他、ニッケル水素蓄電池やリチウムイオン蓄電池などであってもよく、また、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0076】
また、第1の実施形態においては、整流器1が電流計測部7から放電電流の電流値を取得し、目標値との比較をその都度判定しながら制御を行う例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、負荷装置5に必要とされる電流値を変更しながら実験を行い、整流器1の出力電圧について、適切な上昇又は低下の値や制御タイミングを、予めテーブルなどで保持してもよい。この場合、整流器1は、このテーブルを参照しながら制御を行う。
【0077】
また、第1の実施形態においては、第1制御部、第2制御部、第3制御部、及び判定部は、整流器1に備えられたが、これに限られるものではない。第1制御部、第2制御部、第3制御部、及び判定部のうち、いずれか一つ又は複数が、整流器1以外の他の部として備えられてもよい。
【0078】
また、第1の実施形態においては、第1電流閾値として(目標値+許容値)を用い、第2電流閾値として(目標値−許容値)を用いたが、これに限られるものではない。例えば、第1電流閾値及び第2電流閾値は、目標値そのものであってもよい。また、第1電流閾値の「許容値」と、第2電流閾値の「許容値」とは、異なる値であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 単電池
2 組電池
3 電流計測手段
4 整流器
5 交流電源
6 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換し、負荷装置へ電流を供給する整流器と、
前記整流器から供給された電流を蓄電し、前記負荷装置へ放電電流を供給するとともに、放電試験モードの場合に、該負荷装置に必要な電流値に満たない電流値を目標値とする放電電流を、該負荷装置へ供給する蓄電池とを備え、
前記放電試験モードの場合に、前記整流器の出力電圧が前記蓄電池の出力電圧より低くなることにより前記負荷装置への電流供給が前記蓄電池側に切り替わる過程において、前記放電電流の電流値が、前記目標値に基づく第1電流閾値を上回る場合には、該整流器の出力電圧を、該蓄電池の出力電圧より高くなるまで上昇させる制御を行う第1制御部と、
前記放電試験モードの場合に、前記整流器の出力電圧が前記蓄電池の出力電圧より高くなることにより前記負荷装置への電流供給が前記整流器側に切り替わる過程において、前記放電電流の電流値が、前記目標値に基づく第2電流閾値を下回る場合には、該整流器の出力電圧を、該蓄電池の出力電圧より低くなるまで低下させる制御を行う第2制御部と
を備えることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記放電電流の電流値が、前記第1電流閾値であって前記目標値に第1許容値を加算した値を上回る場合に、前記整流器の出力電圧を上昇させる制御を行い、
前記第2制御部は、前記放電電流の電流値が、前記第2電流閾値であって前記目標値より第2許容値を減算した値を下回る場合に、前記整流器の出力電圧を低下させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記整流器の出力電圧が前記蓄電池の満充電電圧に維持され、前記整流器から供給される電流が前記負荷装置及び前記蓄電池に供給される通常モードと、前記放電試験モードとを切り替える第3制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記電源システムは、
前記交流電源とは異なる電源から電力の供給を受ける制御部と、
前記通常モードから前記放電試験モードに移行する前に、該整流器の出力電圧が前記蓄電池の満充電電圧であるか否か、及び、該蓄電池が満充電であるか否か、及び、前記制御部が稼動中であるか否かを判定する判定部とをさらに備え、
前記整流器は、前記判定部による判定の結果、該整流器の出力電圧が前記蓄電池の満充電電圧であり、かつ、該蓄電池が満充電であり、かつ、該制御部が稼動中である場合に、前記放電試験モードに移行し、
前記判定部は、さらに、前記放電試験モードに移行後、前記整流器からの電流の出力が停止したか否か、又は、前記蓄電池の出力電圧が放電終止電圧に到達したか否かを判定し、
前記整流器は、前記判定部による判定の結果、該整流器からの電流の出力が停止した場合、又は、前記蓄電池の出力電圧が放電終止電圧に到達した場合に、前記通常モードに移行することを特徴とする請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記電源システムは、
前記交流電源とは異なる電源から電力の供給を受ける制御部をさらに備え、
前記制御部は、
前記放電試験モードの場合に、前記蓄電池の電圧、該蓄電池から放電された放電電流の電流値、及び、該放電試験モードの動作時間を記録することを特徴とする請求項3に記載の電源システム。
【請求項6】
電源システムで実行される放電試験方法であって、
前記電源システムは、
交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換し、負荷装置へ電流を供給する整流器と、
前記整流器から供給された電流を蓄電し、前記負荷装置へ放電電流を供給するとともに、放電試験モードの場合に、該負荷装置に必要な電流値に満たない電流値を目標値とする放電電流を、該負荷装置へ供給する蓄電池とを備え、
前記放電試験方法は、
前記放電試験モードの場合に、前記整流器の出力電圧が前記蓄電池の出力電圧より低くなることにより前記負荷装置への電流供給が前記蓄電池側に切り替わる過程において、前記放電電流の電流値が、前記目標値に基づく第1電流閾値を上回る場合には、該整流器の出力電圧を、該蓄電池の出力電圧より高くなるまで上昇させる制御を行う第1制御工程と、
前記放電試験モードの場合に、前記整流器の出力電圧が前記蓄電池の出力電圧より高くなることにより前記負荷装置への電流供給が前記整流器側に切り替わる過程において、前記放電電流の電流値が、前記目標値に基づく第2電流閾値を下回る場合には、該整流器の出力電圧を、該蓄電池の出力電圧より低くなるまで低下させる制御を行う第2制御工程と
を含んだことを特徴とする放電試験方法。
【請求項7】
前記第1制御工程は、前記放電電流の電流値が、前記第1電流閾値であって前記目標値に第1許容値を加算した値を上回る場合に、前記整流器の出力電圧を上昇させる制御を行い、
前記第2制御工程は、前記放電電流の電流値が、前記第2電流閾値であって前記目標値より第2許容値を減算した値を下回る場合に、前記整流器の出力電圧を低下させる制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の放電試験方法。
【請求項8】
前記整流器の出力電圧が前記蓄電池の満充電電圧に維持され、前記整流器から供給される電流が前記負荷装置及び前記蓄電池に供給される通常モードと、前記放電試験モードとを切り替える第3制御工程をさらに含んだことを特徴とする請求項6又は7に記載の放電試験方法。
【請求項9】
前記電源システムは、
前記交流電源とは異なる電源から電力の供給を受ける制御部をさらに備え、
前記放電試験方法は、
前記通常モードから前記放電試験モードに移行する前に、該整流器の出力電圧が前記蓄電池の満充電電圧であるか否か、及び、該蓄電池が満充電であるか否か、及び、前記制御部が稼動中であるか否かを判定する判定工程をさらに含み、
前記整流器は、前記判定工程による判定の結果、該整流器の出力電圧が前記蓄電池の満充電電圧であり、かつ、該蓄電池が満充電であり、かつ、該制御部が稼動中である場合に、前記放電試験モードに移行し、
前記判定工程は、さらに、前記放電試験モードに移行後、前記整流器からの電流の出力が停止したか否か、又は、前記蓄電池の出力電圧が放電終止電圧に到達したか否かを判定し、
前記整流器は、前記判定工程による判定の結果、該整流器からの電流の出力が停止した場合、又は、前記蓄電池の出力電圧が放電終止電圧に到達した場合に、前記通常モードに移行することを特徴とする請求項8に記載の放電試験方法。
【請求項10】
前記電源システムは、
前記交流電源とは異なる電源から電力の供給を受ける制御部をさらに備え、
前記放電試験方法は、
前記制御部が、前記放電試験モードの場合に、前記蓄電池の電圧、該蓄電池から放電された放電電流の電流値、及び、該放電試験モードの動作時間を記録する記録工程をさらに含んだことを特徴とする請求項8に記載の放電試験方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−186951(P2012−186951A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49289(P2011−49289)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】