説明

電源プラグのコネクタ

【課題】簡易な構造によって、外部から電源とプラグイン電源方式によって電力を供給する対象との電気的な接続状態を視認によって検知可能な電源プラグのコネクタを提供する。
【解決手段】正論理回路または負論理回路を有する電源受給体に電源を供給するための電気的な接続を行う電源プラグのコネクタにおいて、前記コネクタは、電源用接続端子11、12と、接地用接続端子15と、前記正論理回路または前記負論路回路と接続される2つの論理回路用接続端子13、14と、その他の接続端子14とを有し、前記正論理回路または負論路回路と接続される2つの接続端子13、14とが、コネクタにおいて発光素子を介して接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源と、電力受給体とを、電気的に接続するための電源プラグのコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電源プラグのコネクタとしては、例えば、電力受給体が電気自動車(プラグインハイブリッド車を含む)である場合には、プラグイン電源方式で電力受給体である電気自動車に電力を供給するものがある。プラグイン電源方式による電力供給においては、プラグイン電源モジュールの誤実装によって発生する障害を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のものでは、接続される端子によって生じる信号の変化を利用して、電力を受給する指令信号を送出する制御を行っている。このような指令信号を得る方法としては、プルアップ回路(以下、負論理回路という)やプルダウン回路(以下、正論理回路という)といった回路構成がある。
【0004】
図5は、従来の電源プラグ1の構成を示す概略図である。電源プラグ1は、電源側コネクタ30と、リード部40と、受給側コネクタ10によって構成される。電源側コネクタ30には、電源用接続端子31および32と、接地用接続端子33が備わっている。受給側コネクタ10には、電源用接続端子11および12と、接地用接続端子15と、論理回路用接続端子13および14とが備わっている。電源側コネクタ30の電源用接続端子31は、受給側コネクタ10の電源用接続端子11と、リード線41によって電気的に接続されている。電源側コネクタ30の電源用接続端子32は、受給側コネクタ10の電源用接続端子12と、リード線42によって電気的に接続されている。電源側コネクタ30の接地用接続端子33は、受給側コネクタ10の接地用接続端子15と、リード線43によって電気的に接続されている。受給側コネクタ10の論理回路用接続端子13および14は、受給側コネクタ10において、リード線16によって、電気的に直接接続されている。なお、図5ではリード部40の長さを短く記載しているが、長さについては必要な程度でよく、特に制限はない。
【0005】
図6は、従来のプラグイン電源方式に用いるモジュールの、電源プラグ1の受給側コネクタ10と電力受給体20の接続部の電気回路図を示す。
電力受給体20の接続部には、電源用接続端子21および22と、接地用接続端子25と、論理回路用接続端子23および24とが備わっている。
電源用接続端子21および22は充電器20Aに接続される。接地用接続端子25は出電力需給体の接地回路に接続される。論理回路用接続端子23および24は、接続状態を判定する判定信号発生回路26に備わる正論理回路または負論路回路に接続される。
【0006】
また、電源プラグ1と電力受給体20とが接続される場合、電源用接続端子11と21が、また、電源用接続端子12と22が、接地用接続端子15と25が、論理回路用接続端子13と23が、論理回路用接続端子14と24がそれぞれ接続される。
【0007】
電力受給体20では、電源プラグ1との接続がなされると、判定信号発生回路26が接続状態である旨の信号を充電器制御回路27に出力する。充電器制御回路27は接続状態である旨の信号を充電器20Aに与え、その信号を得た充電器はバッテリー20Bに充電を開始する。
【0008】
図7および図8によって、接続状態を示す信号の生成方法について説明する。 図7は、負論理回路で構成された判定信号発生回路のHレベル信号を発生する場合の簡略した回路図である。また、図8は負論理回路で構成された判定信号発生回路のLレベル信号を発生する場合の簡略した回路図である。
【0009】
信号の生成を行う構成は、正論理回路によって構成する場合と、負論理回路によって構成する場合とがあるが、ここでは、接続されていない場合はHレベルの信号を、接続された時にはLレベルの信号を送出する負論理回路で説明する。
【0010】
図7および図8に示す負論理回路50は、回路を動作させるために外部から電圧Vccを与えられている電気的基準点51と、プルアップ抵抗52と、論理回路用接続端子23と電気的に接続されている端子53と、論理回路用接続端子24と電気的に接続されている端子54と、接地回路と接続されている接地用端子55と、信号送出端子56によって構成されている。
【0011】
図7は、電源プラグ1と電力受給体20とが接続されていない状態に相当する回路図である。すなわち、端子53と端子54とが電気的に解放された状態であるから、接地用端子55に向かって電流は流れず、かつ、信号送出端子56はプルアップ抵抗52を介して電圧Vccが与えられている基準点51と接続されているので、信号送出端子56は一定の電位を得る状態(Hレベルの信号を送出する状態)となる。
【0012】
図8は、電源プラグ1と電力受給体20とが接続された状態に相当する。すなわち、端子53は論理回路用接続端子23および13、リード線16,論理回路用接続端子14および24を介して端子54とが電気的に接続された状態となる。よって、基準点51は、プルアップ抵抗52を介して接地用端子55と接続されることになり、接地用端子55に向かって電流が流れる状態となり、かつ、信号送出端子56の電位は接地用端子55とほぼ同じGNDレベルとなる。よって、信号送出端子56の電位の絶対値は、接続されていない状態の信号レベル(Hレベル)と比べて小さい状態(L0レベルの信号を送出する状態)となる。
【0013】
これらの動作原理によって、電源プラグ1と、電力受給体2とが接続されると、電力受給体の判定信号発生回路の負論理回路では図7の状態から図8の状態となり、送出される信号の状態がHレベルからL0レベルへ変化するから、電力受給体では、この信号の変化を利用して、充電器はバッテリーに充電を開始する。
【0014】
なお、ここでは負論理回路50で構成された判定信号発生回路について説明をおこなったが、従来技術として正論理回路で構成された判定信号発生回路についても存在する(説明省略)。
【0015】
また、従来技術として、電源供給状態を知らせるために、コネクタにおいて発光素子を設ける装置が存在する。
【0016】
例えば、特許文献2や特許文献3では、電源或いは信号供給時に接続部が有する発光素子によって、コネクタの一部が発光することで、電源或いは信号の供給状態を視認によって検知できるコネクタが開示されている。
【0017】
【特許文献1】特開平5−236647号公報
【特許文献2】特開2006−24402号公報
【特許文献3】特開2004−185853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、従来における特許文献1に示された技術では、電源供給がなされうる状態、もしくは、電源供給がされている状態であるのかが、装置の外観上では分からないという問題がある。
【0019】
また、従来における特許文献2や特許文献3に示された技術では、発光素子が発光するための電力は、受給体に電力や信号を供給する側(供給側)から得ている。つまり、発光するための電源を、受給体への供給線(電源線)から直接得ている。このような場合、電源線の電圧が高かったり、電流が大きかったりすると、発光素子が壊れることがある。そこで発光素子が正常に動作できる程度の所望の値にまで、電圧を分圧したり、電流を分流する機能をコネクタに組み込む必要が生じ、分圧や分流のための回路が必要となるので、コネクタとして大きくなってしまうという問題があった。
【0020】
そこで、本発明は以上のような従来存在した諸事情に鑑み創出されたもので、電源線から直接電力を供給させることなく発光素子を発光させ、もって、電源と受給体との電気的な接続状態を視認によって検知することが可能となる、小型で簡素な構造の電源プラグのコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係るコネクタは、電源から、正論理回路または負論理回路を有する電力受給体に対して、電力を供給するための電気的な接続を行う電源プラグのコネクタにおいて、前記コネクタは、電源用接続端子と、接地用接続端子と、前記正論理回路または前記負論路回路と接続される2つの論理回路用接続端子とを有し、前記2つの論理回路用接続端子が、コネクタにおいて発光素子を介して接続されれて成る。これにより、前記発光素子が、電源受給体から供給される電力によって発光することを可能にすることで、上述した課題を解決した。
【0022】
また、発光素子を、発光ダイオードまたは有機電界発光素子とすることで、同じく上述した課題を解決した。
【0023】
さらに、コネクタ本体に光透過部を設けることで、同じく上述した課題を解決した。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電源線から直接電力を供給させることなく電源プラグのコネクタに設けた発光素子を発光させることができるので、当該コネクタの電気的な接続構造を簡素なものとすることが可能となり、もって、当該コネクタを小型化できるようになる。また、電源と受給体との接続状態を視認によって知覚できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
本発明に係るコネクタは、図1に示すように、論理回路用接続端子13と14とを接続するリード線16に、発光素子17を設けている。また、発光素子の発光を外部から視認できるように、図に示すように受給側コネクタ本体18に光透過部19を設けている。
【0027】
本実施の形態では、光透過部19は、図2のように、受給側コネクタ本体18の側面の一部に穴を開けて、発光素子17を差込み、受給側コネクタ本体18と、発光素子17とをハンダ19Aで固定することで、外部から視認できるように設置した。なお、固定法方法は接着剤によってもかまわない。
【0028】
このような構成において、電源プラグ1と電力受給体2とが接続されていない場合は、電力受給体2に備わる負論理回路50では、従来の状態と同じように、端子53と端子54とが電気的に切断された状態を示すHレベルの信号が信号送出端子56に発生する。
【0029】
次に、電源プラグ1と電力受給体20とが接続された状態では、端子53は論理回路用接続端子23および13、リード線16,発光素子17、論理回路用接続端子14および24を介して端子54とが電気的に接続された状態となる。よって、基準点51は、プルアップ抵抗52、発光素子17を介して接地用端子55と接続されることになるため、接地用端子55に向かって電気が流れ、発光素子17が発光する。
【0030】
一方、信号送出端子56の電位の絶対値は、接続されていない状態の信号レベル(Hレベル)と比べて小さい状態(L1レベルの信号を送出する状態)に変化する。電力受給体2では、この信号の変化を利用して、接続状態を把握し、バッテリーに充電を開始する。
【0031】
なお、L1レベルをL0レベルに近づけるようにすると、電源プラグ1と電力受給体2との接続の有無による信号レベルの差が大きくなり、接続状態を判定しやすくなるのでより好ましい。ここで、L1レベルをL0レベルに近づけるには、発光素子17の内部抵抗をより小さいものを選択すればよい。
【0032】
なお、説明では負論理回路50によって説明したが、正論理回路でも同様に信号の変化(L1レベルからHレベルへ)が発生するので、この信号の変化を利用すれば接続状態が把握できる。
【0033】
このようにして、電源プラグ1と、電力受給体2とが接続されると、電源側の供給線から直接電力を供給させるのではなく、電力受給体2の内部にある負論理回路50に与えた電圧Vccにより、電源プラグ1の受給側コネクタ10に内蔵された発光素子17が発光するとともに、発光によって接続状態であることを視認できるようになる。
【0034】
光透過部19の構成について、他の態様としては、図3のように、発光素子17を受給側コネクタ本体18の内部に設置し、受給側コネクタ本体18の側面の一部に視認用の窓(本実施例では受給側コネクタ本体18の側面の長手方向を長軸側とした楕円形の窓としているが形状にはこだわらない)を設けるようにしてもよい。
【0035】
更に他の態様としては、図4のように、受給側コネクタ本体18の一部を外周方向全てにわたって光透過性のある素材19Bとする構成としても、組み立てや加工がしやすいので好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る接続コネクタは、例えば、電源と電気自動車へのプラグインハイブリッド車への電力供給において、接続状態を視認するために幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係わる電源プラグの受給側コネクタと電力受給体の接続部の電気回路図である。
【図2】本発明に係わる光透過部の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係わる光透過部の別の構成を示す平面図である。
【図4】本発明に係わる光透過部の別の構成を示す平面図である。
【図5】従来の電源プラグの構成を示す概略図である。
【図6】従来の電源プラグの受給側コネクタと電力受給体の接続部の電気回路図である。
【図7】Hレベル信号を発生する場合の簡略した負論理回路図である。
【図8】Lレベル信号を発生する場合の簡略した負論理回路図である。
【符号の説明】
【0038】
1…電源プラグ
10…受給側コネクタ
11、12…電源用接続端子
13、14…論理回路用接続端子
15…接地用接続端子
16…リード線
17…発光素子
18…受給側コネクタ本体
19…光透過部
20…電力受給体
21、22…電源用接続端子
23、24…論理回路用接続端子
25…接地用接続端子
30…電源側コネクタ
31、32…電源用接続端子
33…接地用接続端子
40…リード部
41,42,42…リード線
50…負論理回路
51…電気的基準点
52…プルアップ抵抗
53,54…端子
55…接地用端子
56…信号送出端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から、正論理回路または負論理回路を有する電力受給体に対して、電力を供給するための電気的な接続を行う電源プラグのコネクタにおいて、
前記コネクタは、電源用接続端子と、
接地用接続端子と、
前記正論理回路または前記負論路回路と接続される2つの論理回路用接続端子と、
を有し、
前記2つの論理回路用接続端子が、コネクタにおいて発光素子を介して接続されること
を特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記発光素子は、発光ダイオードまたは有機電界発光素子であること
を特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
コネクタ本体に光透過部を設けること
を特徴とした、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−16241(P2009−16241A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178245(P2007−178245)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】