説明

電源ユニット

【課題】ユーザの手を煩わせることなく自動的にコンピュータの状態を復旧させること。
【解決手段】要求信号生成部110と、要求信号生成部110が生成した要求信号を、コンピュータ200に送信する要求信号送信部120と、要求信号送信部120が送信した要求信号に対する応答信号をコンピュータ200から受信する応答信号受信部130と、要求信号送信部120が要求信号を送信してから所定時間以内に、応答信号受信部130が応答信号を受信することができない場合に、コンピュータ200への電力の供給を遮断するよう電力供給手段の動作を制御する電力供給遮断制御部140と、電力供給遮断部140が電力の供給を遮断するよう電力供給手段の動作を制御してから所定時間経過した後に、コンピュータ200への電力の供給を再開するよう電力供給手段の動作を制御する電力供給再開制御部150とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータに電力を供給する電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンやネットワーク機器等のコンピュータは、ソフトウェアやハードウェアにエラーが発生することによって無応答状態に陥ってしまうことがある。近年のコンピュータにおいては、プログラムを正常に実行することができなくなった場合に、自動的に再起動することができる、ウォッチドッグタイマ等と呼ばれる機能を持ったものがある。また、同様の技術としては、コンピュータの外部にあって、制御機器として使用するコンピュータの動作状態を判定し、動作停止状態を検知すると、自動的に電源を停止し再投入する装置等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−021673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ウォッチドッグタイマ等の機能を持った装置は、プログラムを正常に実行することができなくなった場合にしか正常に機能せず、例えば、装置が完全に無応答状態になってしまうと、結局、ユーザの手によって強制的にリセットしなければならない状況に陥ってしまう。また、コンピュータの外部においてコンピュータを再起動する装置の場合には、設置コストが余計にかかり、設置スペースも必要になるといった問題がある。
【0005】
そこで本発明は、上記課題を解決することができる電源ユニットを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の電源ユニットにおいては、コンピュータに電力を供給する電力供給手段を有する電源ユニットであって、コンピュータから応答信号を得るための所定の要求信号を生成する要求信号生成部と、要求信号生成部が生成した要求信号を、コンピュータに送信する要求信号送信部と、要求信号送信部が送信した要求信号に対する応答信号をコンピュータから受信する応答信号受信部と、要求信号送信部が要求信号を送信してから所定時間以内に、応答信号受信部が応答信号を受信することができない場合に、コンピュータへの電力の供給を遮断するよう電力供給手段の動作を制御する電力供給遮断制御部と、電力供給遮断部が電力の供給を遮断するよう電力供給手段の動作を制御してから所定時間経過した後に、コンピュータへの電力の供給を再開するよう電力供給手段の動作を制御する電力供給再開制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンピュータに元々必要となる電源ユニットに、コンピュータの状態を監視し、コンピュータが無応答状態となった場合にコンピュータを再起動させるための機能を持たせることによって、ユーザの手を煩わせることなく、自動的にコンピュータの状態を復旧させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る電源ユニット100の概要を示す図である。
【図2】本実施形態に係る電源ユニット100の機能構成の一例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る電源ユニット100における処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る電源ユニット100の概要を示す図である。
電源ユニット100は、コンピュータ200に電力を供給するユニットである。電源ユニット100は、外部の交流電源から受電し、直流に変換してコンピュータ200に電力を供給する電力供給手段を有する。本実施形態に係る電源ユニット100は、コンピュータ200の筐体内210に内蔵されるタイプのユニットを例にとって説明するが、コンピュータ200の外部に外付けされるタイプのユニットとすることもできる。
【0011】
電源ユニット100には、コンピュータ200の筐体210の外方に、メイン電源コネクタ101、及びLAN(Local Area Network)端子102が形成されており、筐体210の内方に、電力供給コネクタ103、及びIC(Inter‐Integrated Circuit)端子104が形成されている。ICは、低速な周辺機器をコンピュータ200のマザーボード220へ接続するためのシリアルバスである。
【0012】
メイン電源コネクタ101には、電源ケーブル300が接続される。そして、電源ユニット100は、電源ケーブル300を介して家庭用コンセントと接続される。電源ユニット100は、電源ケーブル300を介して家庭用コンセントから交流電力を受電する。そして、電源ユニット100は、マザーボード220や、マザーボード220に接続される各種パーツに電力を供給するために、受電した交流電力を直流に変換する。
【0013】
LAN端子102には、LANケーブル400が接続される。そして、電源ユニット100は、LANケーブル400を介して、マザーボード220に形成されているLAN端子221、又はマザーボード220に接続されるネットワークカードに形成されているLAN端子と接続される。電源ユニット100は、応答信号を得るための要求信号を、LANケーブル400を介してコンピュータ200に送信する。また、電源ユニット100は、LANケーブル400を介してコンピュータ200から応答信号を受信する。
【0014】
電力供給コネクタ103には、電源ケーブル500が接続される。そして、電源ユニット100は、電源ケーブル500を介して、マザーボード220に形成されている電源用コネクタ222と接続される。電源ユニット100は、直流に変換した電力を、電源ケーブル500を介して、マザーボード220や、マザーボード220に接続されている各種パーツに供給する。
【0015】
I2C端子104には、ICケーブル600が接続される。そして、電源ユニット100は、ICケーブル600を介して、マザーボード220に形成されているIC端子223と接続される。電源ユニット100は、応答信号を得るための要求信号を、ICケーブル600を介してコンピュータ200に送信する。また、電源ユニット100は、ICケーブル600を介してコンピュータ200から応答信号を受信する。
【0016】
図2は、本実施形態に係る電源ユニット100の機能構成の一例を示す図である。
電源ユニット100は、要求信号生成部110、要求信号送信部120、応答信号受信部130、電力供給遮断制御部140、及び電力供給再開制御部150を備える。
要求信号生成部110は、要求信号を生成する処理部である。要求信号生成部110は、要求信号を生成し、要求信号送信部120に送る。
【0017】
要求信号送信部120は、要求信号を送信する処理部である。要求信号送信部120は、要求信号生成部110から要求信号を受け取って、コンピュータ200に送信する。また、要求信号送信部120は、コンピュータ200に要求信号を送信すると、送信したことを通知するデータを電力供給遮断制御部140に送る。
応答信号受信部130は、応答信号を受信する処理部である。応答信号受信部130は、コンピュータ200から応答信号を受信すると、受信したことを通知するデータを電力供給遮断制御部140に送る。
【0018】
電力供給遮断制御部140は、コンピュータ200への電力の供給を遮断するよう電力供給手段の動作を制御する処理部である。電力供給遮断制御部140は、要求信号を送信したことを通知するデータを要求信号送信部120から受け取る。そして、電力供給遮断制御部140は、所定時間以内に、応答信号を受信したことを通知するデータを応答信号受信部130から受け取った場合、何ら制御処理を行わない。一方、電力供給制御部140は、所定時間以内に、応答信号を受信したことを通知するデータを応答信号受信部130から受け取ることができなかった場合、コンピュータ200への電力の供給を遮断するよう電力供給手段の動作を制御する。そして、電力供給遮断制御部140は、電力供給の遮断制御を行ったことを通知するデータを電力供給再開制御部150に送る。
【0019】
電力供給再開制御部150は、コンピュータ200への電力の供給を再開するよう電力供給手段の動作を制御する処理部である。電力供給再開制御部150は、電力供給の遮断制御を行ったことを通知するデータを電力供給遮断制御部140から受け取ると、所定時間経過した後に、コンピュータ200への電力の供給を再開するよう電力供給手段の動作を制御する。
【0020】
図3は、本実施形態に係る電源ユニット100における処理の流れの一例を示す図である。
まず、電源ユニット100の要求信号生成部110は、要求信号を生成する(S101)。要求信号生成部110が生成する要求信号は、この要求信号がコンピュータ200に送信されたときに、コンピュータ200から何らかの応答信号が得られる信号である。例えば、要求信号生成部110が生成する要求信号としては、pingを利用したコマンド等が考えられる。
【0021】
そして、電源ユニット100の要求信号送信部120は、要求信号生成部110が生成した要求信号をコンピュータ200に送信する(S102)。この場合、要求信号送信部120は、LANケーブル400やICケーブル600等の複数の伝送路を介して、コンピュータ200に要求信号を送信することが好ましい。なお、複数の伝送路を介して送信される要求信号は、同じコマンドを意味する信号であってもよいし、異なるコマンドを意味する信号であってもよい。そして、要求信号送信部120が送信した要求信号が正常にコンピュータ200に送信され、コンピュータ200が正常に動作していれば、電源ユニット100の応答信号受信部130は、要求信号に対する応答信号をコンピュータ200から受信することになる。
【0022】
そして、要求信号送信部120が要求信号を送信してから所定時間以内に、応答信号受信部130が応答信号を受信した場合(S103:Yes)、電源ユニット100の電力供給遮断制御部140は、何ら制御処理を行わない。具体的には、電力供給遮断制御部140は、要求信号送信部120が要求信号を送信すると、例えば、タイマ等によって要求信号が送信されてから経過した時間を計測する。そして、電力供給遮断制御部140は、予め設定された所定時間以内に応答信号受信部130が応答信号を受信すると、タイマをリセットし、何ら制御処理を行わない。予め設定される時間は、伝送路に問題がなく、コンピュータ200が正常に動作していれば、要求信号を送信してから応答信号を受信するのに十分といえる時間が設定される。すなわち、応答信号受信部130が所定時間以内に応答信号を受信することができれば、コンピュータ200は、正常に動作しているといえる。なお、要求信号生成部110が複数の伝送路を介して要求信号を送信した場合、電力供給遮断制御部140は、これら伝送路のうち、いずれか1つの伝送路を介して応答信号受信部130が応答信号を受信することができれば、何ら制御処理を行わない。
【0023】
一方、要求信号送信部120が要求信号を送信してから所定時間以内に、応答信号受信部130が応答信号を受信することができなかった場合(S103:No)、電源ユニット100の電力供給遮断制御部140は、コンピュータ200への電力の供給を遮断するよう電源ユニット100の電力供給手段の動作を制御する(S104)。上記のように、予め設定される時間は、要求信号を送信してから応答信号を受信するのに十分といえる時間である。したがって、この時間以内に応答信号受信部130が応答信号を受信することができない場合、コンピュータ200は、正常に動作していないといえる。なお、要求信号生成部110が複数の伝送路を介して要求信号を送信した場合、電力供給遮断制御部140は、これら伝送路のうち、いずれか伝送路からも応答信号受信部130が応答信号を受信することができなければ、電力供給の遮断制御を行う。このようにして、電力供給が遮断されることによって、コンピュータ200は、強制的に電源がオフにされる。
【0024】
そして、電源ユニット100の電力供給再開制御部150は、電力供給遮断制御部140が電力供給の遮断制御を行ってから所定時間経過した後に、コンピュータ200への電力の供給を再開するよう電力供給手段の動作を制御する(S105)。電力供給再開制御部150が所定時間経過した後に電力供給の再開制御を行うこととしたのは、マザーボード220等の回路に溜まった異常電気の解消を狙うためである。但し、コンピュータ200の利用形態によっては、すぐに再起動を求められることもあるので、この時間は、コンピュータの利用形態に合わせて設定すればよい。このようにして、電力供給が再開されることによって、コンピュータ200は、強制的に再起動される。
【0025】
このように、電源ユニット100は、コンピュータ200が応答信号を返してくるようなping等の要求信号を送信することによって、コンピュータ200が正常に動作しているか否かを判定する。そして、電源ユニット100は、応答信号が得られなければ、コンピュータ200への電力の供給を遮断して、所定時間経過した後に電力供給を再開することによって、コンピュータ200を自動的に再起動させることができる。また、電源ユニット100は、元々コンピュータ200の筐体210の内部に収容されるべき、あるいは、コンピュータ200の外部に外付けされていたとしても、コンピュータ200を構成するパーツの一部であるので、余計なコストや設置場所を取られることもない。
【0026】
なお、電源ユニット100は、コンピュータ200が起動している間、定期的に要求信号を送信することによって、コンピュータ200を常時監視するようにすることが好ましい。
【0027】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0028】
100 電源ユニット
101 メイン電源コネクタ
102 LAN端子
103 電力供給コネクタ
104 IC端子
110 要求信号生成部
120 要求信号送信部
130 応答信号受信部
140 電力供給遮断制御部
150 電力供給再開制御部
200 コンピュータ
210 筐体
220 マザーボード
221 LAN端子
222 電源用コネクタ
223 IC端子
300 電源ケーブル
400 LANケーブル
500 電源ケーブル
600 ICケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに電力を供給する電力供給手段を有する電源ユニットであって、
前記コンピュータから応答信号を得るための所定の要求信号を生成する要求信号生成部と、
前記要求信号生成部が生成した要求信号を、前記コンピュータに送信する要求信号送信部と、
前記要求信号送信部が送信した要求信号に対する応答信号を前記コンピュータから受信する応答信号受信部と、
前記要求信号送信部が要求信号を送信してから所定時間以内に、前記応答信号受信部が応答信号を受信することができない場合に、前記コンピュータへの電力の供給を遮断するよう前記電力供給手段の動作を制御する電力供給遮断制御部と、
前記電力供給遮断部が電力の供給を遮断するよう前記電力供給手段の動作を制御してから所定時間経過した後に、前記コンピュータへの電力の供給を再開するよう前記電力供給手段の動作を制御する電力供給再開制御部と
を備える電源ユニット。
【請求項2】
前記要求信号送信部は、複数の伝送路を介して要求信号を送信し、
前記応答信号受信部は、前記要求信号送信部が要求信号を送信するのに利用された複数の伝送路を介して応答信号を受信し、
前記電力供給遮断部は、前記応答信号送信部が複数の伝送路を介して要求信号を送信してから所定時間以内に、前記応答信号受信部が前記全ての伝送路を介して応答信号を受信することができない場合に、前記コンピュータへの電力の供給を遮断するよう前記電力供給手段の動作を制御する請求項1に記載の電源ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−59930(P2011−59930A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208170(P2009−208170)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】