説明

電源一体型医療用輸液システムおよびそのポンプ

液体(液状医療物質など)の、供給源(IVバッグなど(18))から患者への、電動部分(30)の操作を通した送達に使用されるラインセットを含む、医療用輸液システムが、開示される。好ましい輸液システム(10)は、少なくとも第一および第二の医療用部分に連結し得る第一および第二の端(16、17)を有する使い捨ての管(12)、ならびに管(12)に取り付けられる電源(14)(燃料電池、バッテリー、バッテリーパック、電力紙(power paper)またはこれらの組み合わせ)を含み、ここで、この電源(14)は、活性化され、電力を電動部分(30)に提供するように構成される。このような構成は、液体ポンプなどのような活性化部材の使用を、含み得る。好ましい電源(14)は、反応物質および反応物質と反応チャンバ(46)を隔てる障壁(54)を有する、燃料電池(32)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、液体供給源から、例えば患者への、液体の駆動式送達に関する。特に、本発明は、液体ポンプ(特に携帯型液体ポンプ)駆動のための、経済的かつ環境的な電源に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
一般に、医療の患者は、連続的な投薬または定められた周期的な間隔における投薬の正確な送達を必要とする。医療用ポンプは、ポンプを通した制御された薬物輸液を提供するために開発されている。ここで、薬物は、正確な(薬物濃度を療法限度内かつ特定薬物の有毒可能性範囲外に保つ)割合で投与され得る。医療用ポンプは、適切な薬物送達を、制御可能な割合で、患者に提供し、頻繁な医療的注意を必要としない。医療用ポンプはさらに、臨床的環境外での患者への静脈内療法の施行を容易にする。さらに、医者は、患者が薬物の周期的または連続的な静脈内投与を受け得る場合、多くの例において、患者が、実質的に通常の生活に復帰し得ることを見出す。療法のタイプの中で、このような投与を必要とする療法は、抗生療法、化学療法、疼痛制御療法、栄養療法、および当業者に公知である他の幾つかのタイプである。多くの場合において、患者は、毎日複数の療法を受け得る。特定の医療的条件は、比較的短い時間(例えば、30分から2時間まで)での溶液中の薬物の輸液を必要とする。これらの要素は、ますます軽量な、携帯型または移動可能な輸液ポンプの開発の促進と結びついている。このような輸液ポンプは、患者によって身に着けられ得、そして望ましい割合での連続的な供給の投薬、または予定された間隔での数回の用量の投薬の適用が可能である。
【0003】
先行技術における異なった型の輸液ポンプとしては、伸縮(elastomeric)ポンプが挙げられる。このポンプは、患者への送達のために、風船などのような柔軟なコンテナからIV管に溶液を搾り出す。伸縮ポンプは、電力を必要とせず、プログラミング能力を有さず、そして電気機械的ポンプと比較して、相対的に貧弱な正確性を有する。
【0004】
ばね充填(spring−loaded)ポンプもまた、溶液コンテナまたは溶液リザーバーの圧力を調整するために、提供されている。あるポンプ設計は、溶液の排出のために圧力ローラーによって絞られる柔軟な区画を含むカートリッジを利用する(米国特許第4,741,736号)。携帯型輸液ポンプを開示する他の参考文献としては、以下が挙げられる:米国特許第5,330,431号(標準的な既充填(pre−filled)一用量IVバッグが、ローラーによって絞られる、輸液ポンプを示す);同第5,348,539号(包装されたIVバッグが、風船(リザーバーからポンプで排出される液体によって作動する)によって絞られる、輸液ポンプを示す);同第5,429,602号(1つ以上の医学物質を個体に注入するための、プログラム可能な携帯型輸液ポンプシステムを示す);および同第5,554,123号(ぜん動性ポンプによって、液体がリザーバーから圧力室に移動させられる、輸液ポンプを示す)。代表的に、これらの移動可能な輸液ポンプは、ポンプ制御ユニット、使い捨てポンプ室部品を受容するのに適合した種々の操作制御を含む駆動メカニズム、およびポンプと制御を駆動するための電源を、含む。多くの場合、ポンプ室部品は、液体リザーバー(I.V.バッグなど)に接続される入口端(inlet end)、およびI.V.管(針、カテーテル、カニューレなどのアクセスデバイスによる、患者への静脈内投与のために接続される)に接続される出口端(outlet end)を有する。
【0005】
先行技術および他の設計は、歩行可能な患者または他の患者による移動用途のための、より小さくそしてより無駄のない輸液ポンプの必要性を議論しているが、どちらも、より適切な電源の必要性に取り組んでいない。当然、携帯型ポンプは、ポンプモーターを駆動させるための手段で、同じく携帯型の電源を供給されるべきである。先行技術のポンプにおいて、代表的に、ポンプ内の大型セルバッテリーまたはバッテリーパックが、必要な動力を提供するために使用されている。より大きく、またはより重いバッテリーサイズ(例えば、9ボルト、「D」および「C」サイズ)の使用に対して、いくつかの問題が存在し得るが、本発明の実施形態は、このような設計パラメータを組み入れることを思いつき得た。
【0006】
このような問題を認識する先行研究の特定の一例は、国際出願PCT/US84/00526号(1985年2月14日に、WO85/00523号の下で公開)によって説明される。この参考文献は、ポンプを制御するために使用される、柔軟な、折り畳み可能な溶液コンテナへの、バッテリーの取り付けを教示する。この新規の溶液コンテナは、しかし、溶液コンテナの挿入を許容する特定のポンプ型との同時の使用に限定される。本発明は、より広い適用を有する。
【0007】
他のデバイスにおいて、バッテリーおよびバッテリーパックは、大きくそしてかさ張り得、携帯型ポンプの重さを大いに増加させ得る。輸液ポンプの重さおよび大きさは、重要な考慮すべき問題である。何故なら、厳格な日常の予定を維持することを企図する患者によって持ち運ばれ得るからである。妨げられたポンプの操作が負の結果をもたらす場合、余分のバッテリーまたは余分のバッテリーパックが、輸液ポンプの運搬必需品に加えられ得る。いくつかの例において、2組目のバッテリーまたは予備のバッテリーパックは、電源の重さを二倍にし得る。
【0008】
さらに、このようなバッテリーまたはバッテリーパックが再充電可能である場合、ACの出口が、通常、必要である。当該分野で周知の独立型充電器もまた、通常、再充電のために必要とされる。不運なことに、これらの機器は、患者にとって常に容易に利用可能ではない。そして、通常のアダプタおよび延長コードに関して、これらは、輸液ポンプシステムのかさおよび重さを追加する。
【0009】
最後に、バッテリーが再充電され得ない場合、環境的な廃棄問題が存在する。これらの小さなエネルギー供給源は、環境にかなりの負荷をかけるからである。再充電不能バッテリーは、家庭ゴミにおける重金属汚染の主要な原因である。特別な回収努力と消費者認知キャンぺーンにもかかわらず、高い割合の売られたバッテリーが、未だ家庭ゴミ処理場に行き着く。ここで、これらが含む重金属は、最終的に土壌に漏れ出し、人の健康に悪い影響をおよぼすより大きな可能性を有する環境被害を引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、耐久携帯型ポンプに使用するための、携帯型の、好ましくは使い捨ての電源を、提供する。この電源は、これらの問題、および、先行技術設計では無視されていたかまたは当業者に理解されていなかった他の問題を、解決する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、供給源(IVバッグなど)から、液体(液体医療物質など)を患者に送達するため(電気化学的構成部品の操作を通して)に使用される、医療用輸液システムを提供する。ラインセットは、少なくとも第一および第二の医療用部分に取り付けられ得る第一および第二の端を有する管、ならびに電動部分以外(例えば、管)に取り付けられ、そして活性化部材の使用により、電力を電動部分に提供するために、活性化されるように構成される電源を含む。
【0012】
本発明の一実施形態において、電気機械部分は、液体ポンプである。
これは、当業者に公知の任意の型の液体ポンプであり得、このようなポンプとしては、プログラム可能な、携帯型の、そして多チャネルのポンプが、挙げられる。
【0013】
本発明の一局面は、電源として、反応物質供給源および反応物質供給源を反応チャンバから隔てる障壁を有する燃料電池を提供する。この障壁は、好ましくは破ることのできる膜、剥離シール、およびこれら2つの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
本発明の別の実施形態において、電源は、ラインセットの管に一体化される。本発明のさらなる局面において、電源を、液体ポンプ内に合うように構成する。これは、活性化部材が液体ポンプに一体化される(電源のポンプへの挿入により、障壁が破られ、そして電源は活性化され、動力を生み出すような形で)ことを必要とする。
【0015】
本発明は、液体ポンプを、独立の電源を用いて駆動する方法もまた、提供する。好ましい方法は、管を、これに取り付けられた電源(例えば、燃料電池)と共に提供する工程電源を液体ポンプに操作可能に連結する工程、および電源を活性化させ、電力を液体ポンプに提供する工程を、包含する。例えば、燃料電池は、適切な反応物質を燃料電池の反応チャンバに提供し、化学反応を引き起こすことにより、作用する。反応物質を燃料電池内の反応チャンバから隔てる障壁を破ることにより、反応は、起こされる。
【0016】
多くの方法により、この障壁は破られ得るか、または壊され得る。これらの方法としては、剥離シールの除去もしくは破ることのできる膜の破壊、またはこれら2つの任意の組み合わせが、挙げられる。この方法は、好ましくは、燃料電池を液体ポンプ部分に置くことにより、燃料電池を液体ポンプに操作可能に連結する工程を、包含する。
【0017】
本発明は、液体を、ラインセットを通して送達する方法もまた、含む。この方法は、液体供給源との液体接続された第一端および送達デバイスとの液体接続された第二端を有する管を提供する工程、液体ポンプに操作可能に連結される電源を提供する工程、電源を活性化させて液体ポンプに動力を提供する工程、および液体供給源から管の第二端に向けて、管を通して液体をポンプ排出する工程を、包含する。
【0018】
これらの有利性および他の有利性は、以下の明細書および添付の図面によって記載されるように、本出願の本発明によって提供される。
【0019】
(詳細な説明)
本発明は、多くの異なった形態において可能な実施形態であるが、図面において示され、かつ本明細書中で詳細に記載される本発明の好ましい実施形態は、本開示が、本発明の原理の例示であると考えられるものであり、本発明の広範な局面を、説明される実施形態に限定することを意図しない。
【0020】
添付の図1〜図6を概ね参照することで、本発明を使用して、液体供給源から患者へ、液体を送達するための装置および方法は、より容易に理解され得る。開示される輸液システムは、以下の開示および図面における数字「10」により、概ね言及される。他の部分は、同様にかつ一貫して、明細書および図面を通して番号をつけられる。本発明は、携帯型輸液ポンプを用いる使用のために特に設計されるが、液体ポンプなどの他のポンプおよび電気的医療用デバイスもまた、本システムの機器に適合し得る。改変を必要とするこのようなポンプとして、例えば、COLLEAGUE(登録商標)溶液測定輸液ポンプ、FLO−GARD(登録商標)溶液測定輸液ポンプ、AUTOSYRINGE(登録商標)溶液測定輸液ポンプ、もしくはmaxx(登録商標)溶液測定輸液ポンプ、またはこれらの所産(Baxter International,Inc.,Deerfield,Illinoisにより設計および生産される)が挙げられる。
【0021】
図1に示されるように、本システム(10)は、概して、第一端(16)および第二端(17)を有する管(12)、ならびに、一実施形態においてはこの2端の間に取り付けられた電源(14)から構成される。管(12)の第一端(16)は、例えば、液体供給源(IVバッグ(18)など)に連結するように構成され、一方で、管(12)の第二端(17)は、例えば、注入ポート(示さない)に連結するように構成される。電源(14)は、好ましくはラインセット部分(22)(例えば、バルブ、流出センサー、ポンプ、圧力センサー、フィードバック制御入力、生物学的状態センサーまたは当業者に公知の他の閉環型センサーなど)の外表面(20)に取り付けられる。しかし、図1の破線で示されるように、電源(14)は、管(12)に、管の端(それぞれ、(16)および(17))の間の任意の場所で、直接接続させ得る。
【0022】
管(12)は、少なくとも1つの供給源部位から少なくとも1つの受容部位への液体の輸送に必要な過程で使用される、任意の適切な医療等級の管であり得る。管の例は、“Method of Using Medical Tubings in Fluid Administration Set”と題される米国特許出願第08/642,278号および“Heat Setting of Medical Tubing”と題される米国特許第6,129,876号(どちらも1996年5月3日に出願され、そして本出願の譲受人に譲渡された)に記載される。両文献は、本明細書で参考として援用される。
【0023】
この管(12)は、好ましい実施形態において、管(12)の、例えばIVバッグ(18)などの液体供給源(第一部分)への取り付けのための、スパイクコネクタなどのコネクタ(24)を有する、第一端(16)を有する。好ましい管(12)の第二端(17)は、コネクタ(24)を備え得、例えばカニューラ、カテーテル、シリンジ、IVライン、または任意の幾つかの公知の他の医療用器具または医療用デバイス(第二部分)に、取り付けられる。
【0024】
図1のシステム(10)は、単一のラインシステムを示すが、多数の液体ラインを包含することも、本発明の範囲内である。例えば、1つ以上の医療用物質が患者に注入される場合、このような構成は、必要であり得る。
【0025】
図1に示されるシステム(10)は、独自に構成された電源(14)もまた、備える。この電源(14)は、コネクタ(34)(破線の電源(14))経由で、管表面に直接取り付けられ得るか、もしくは管表面に間接的に取り付けられ得、またはシステム(10)の別の部分に取り付けられ得る。電源(14)は、種々の形態(例えば、種々のバッテリーサイズ(例えば、D,C,AA,AAA,または9ボルトのサイズ))であり得るが、好ましくは燃料電池であるか、または代わりに、可撓性の薄層電気化学的オープンセルである(後者は、米国特許第5,897,522号に記載され、その文献は、本明細書中で参考として援用される)。
【0026】
さらなる代替品として、電源(14)は、ポンプ部分へのAC電源入力手段であり得る。これは、ラインセットに取り付けられた誘導器、または当業者に公知の任意の他の受容可能な手段を含み得る。コイン電池(またはボタン)バッテリーなどのようなさらなるバッテリーの使用は、本発明の耐久ポンプ部分への包含を企図される。この電源(示さない)は、ポンプまたは耐久部分の記憶機能を動かし、そして維持するために使用され得る。
【0027】
電源を収納するための適切なケース(26)は、幾つかの適用に望ましいことがある。このような場合、適切なコネクタ(例えば電導線(electric lead)(28)など)は、例えば、電源(14)(すなわち、収納された電源)を、耐久ポンプ(30)に、操作可能に連結するために使用され得る。この教示から見て、このような収納ケースおよびコネクタは、当業者に用意に理解される。
【0028】
さらに他の代替の実施形態において、図5に示されるように、燃料電池(32)の使用は、上述のようにポンプ(30)を駆動するため、または電源(14)(例えば、再充電可能バッテリー)を充電する(次にポンプ(30)を駆動する)ための両方であり得る。再充電可能な燃料電池(38)は、電源(14)に操作可能に連結する独立した部分であり得るか、または耐久ポンプ(30)に、接続され得るかもしくは一体型であり得る。再充電可能燃料電池は、電気的コネクタ(39)経由で、連続的または周期的に、または必要に応じて(すなわち、電源(14)のエネルギーが、最小閾値レベルに達する場合)、電源(14)に連結される。再充電燃料電気(38)の活性化は、当業者に公知である従来方法、または以下で記載される手段によって、成され得る。
【0029】
燃料電池を利用する一実施形態において、燃料電池(32)は、管(14)の外表面に一体化されている部分として提供される。「一体化されている」により、燃料電池(32)が、任意の適切な手段により、管の表面に永久的に取り付けられていることが、意味される。本図面および記載は、ポリマー電解質膜燃料電池(PEM−FC)について言及するが、他の型の燃料電池は、適切であり得る(好ましくは、低温度燃料電池)。しかし、リン酸、固体酸化物、アルカリ、ダイレクトメタノール、および再生産型燃料電池を含むこのような他の型の燃料電池は、受容し得る。電源の管への永久的な取り付けは、電力の供給可能性および寿命に関する確実性を提供する。すなわち、輸液システム(10)の使い捨て部分の電源(14)を作製することによって、医師は、耐久ポンプバッテリー使用法を追跡する必要がなく、種々のサイズのバッテリーを備蓄しておく必要がなく、または輸液レジメンの間にバッテリーを交換する必要がない。
【0030】
燃料電池(32)は、入手可能かつこのような使用に適切な、任意の多くの燃料電池設計であり得る。燃料電池設計の例は、“Fuel Cell System,Fuel Feed System For Fuel Cell And Portable Electric Appliance”と題された米国特許第5,976,725号(1999年11月2日公開)および“Portable Fuel Cell Device Including A Water Trap”と題された米国特許第5,723,229号(1998年3月3日公開)において、開示される。
【0031】
燃料電池に替わる電源として、可撓性の薄層電気化学的オープンセルが、使用され得る。これらの「バッテリー」(「電力紙(power paper)」として知られる)は、Nitzanに対する米国特許第5,897,522号(1999年4月27日公開)(Power Paper Ltd.of Kibbutz Einat,Israelに譲渡された)において記載される。電力紙は、紙、プラスチックおよび他の媒体上に、印刷、貼付、層状化することが可能である。これは、ほぼ任意の形および大きさにすることができ、また、柔軟で、廉価で、安全で、非毒性で、かつ生産が単純である。
【0032】
図2および図3を参照して、電源(14)は、液体ポンプデバイス(38)の電源部分(36)に挿入されることが示される。電源(14)が、ラインセットの独立のラインセット部分(22)に取り付けられる場合、この取り付けは、この部分(22)に操作可能であり得る。すなわち、電導線(28)経由の電源連結は、例えば、ポンプ(30)を活性化し得、そして、耐久ポンプ(30)と部分(22)との間の連結を提供する。さらなる接触が、ポンプ(30)と管(12)との間に、液体の流れに影響するために、必要であり得る可能性がある。当業者は、このような連結が作られ得る様式を理解する。
【0033】
図4に示されるように、電源(14)は、あるいは管12(または、ポンプ(30)以外の任意の部分)に、コネクタ(34)を経由して、連結し得る。このような場合、管(12)は、液体をポンプ排出させるために、ポンプ(30)自体の内部に、置かれる必要があることがある。
【0034】
再び図1を参照して、燃料電池の使用に関して、ポンプ電源部分(36)は、(液体ポンプ(30)の部分として)活性化メカニズムまたは活性化部材(40)を、含み得る。この活性化メカニズムまたは活性化部材(40)は、燃料電池(32)を活性化し、電力の産生を開始する。活性化部材(40)(電源(14)の部分として示されるが、雄部分および雌部分の逆転が企図される)は、好ましくは、ポンプモーター(示さない)に関連する少なくとも1つの電気的接触から構成され、燃料電池への操作可能な連結を可能にする。電導線(28)は、示されるように、互いに連結した場合、燃料電池(または一般的に電源)の活性化を提供するために適切であり得る無数の電気的接触設計の1つである。当業者は、このような代替品およびこのような代替品の使用が、本出願に与えられる保護の範囲から逸脱すると考えられるべきではないことを認識する。
【0035】
図6に示されるように、好ましい低温度燃料電池(32)は、一般に、燃料(H)リザーバー(42)、酸素(O)リザーバー(44)、電気的接触(48)(図1を参照)、および排気ライン(50)を含み、ここで燃料(H)リザーバー(42)および酸素(O)リザーバー(44)は、反応チャンバ(46)に接続された、それぞれのフィードラインを含む。操作において、一般に、燃料および酸素は、それぞれのリザーバー(42および44)のフィードラインを通して反応チャンバ(46)へ運ばれ、結合して反応物混合物を形成する。反応チャンバ内において、燃料−酸素(反応物)混合物は、公知の様式で反応させられ、電気を生成する。生じる電気は、例えば、接触(48)を通して、ポンプ(30)まで伝達される。排気ガスは、環境または別のデバイスに、排出ライン(50)を通して排出され得る。
【0036】
好ましい燃料電池設計の特徴もまた、図6に示される。障壁(54)は、必要な電気生成化学反応を妨げるために利用される。反応物(すなわち、燃料および酸素)と反応チャンバ(46)との間の分離を維持するための、種々の方法が、存在する。障壁(54)は、燃料反応物の流れを(54aの障壁を用いて)妨げ得、酸素反応物の流れを(54bの障壁を用いて)妨げ得、または障壁は、電気産生を妨げる一般的意図を有する幾つかの他の様式において立てられ得る。一方、ラインセット(10)は、液体ポンプ(30)に、操作可能に連結されていない。
【0037】
関連当業者に公知であるように、1つの可能な障壁設計は、剥離シール(示さない)である。剥離シールは、手により、燃料電池(32)の液体ポンプ(30)への挿入の前、または燃料電池(32)が定位置に収まった後で、除去されるよう設計され得る(障壁を破るとも言われる)。剥離シール障壁の除去、および燃料ポンプ(30)への挿入の後、接触(48)が、液体ポンプの活性化部材と結合する。
【0038】
同様に、破ることのできる膜も、必要な障壁を提供し得る。この膜もまた、電源部分(36)への挿入の前または後に、破られるように設計される。活性化部材(40)は、障壁破壊デバイス(barrier defeating device)および燃料電池(32)のポンプ(30)への接触(48)を通した作動連結を、提供し得る。燃料電池(32)の接触(48)からの電気の引き出しは、代表的には、反応物質の反応チャンバ(46)への流れを駆動するため使用される。すなわち、燃料電池(32)が、命令ベースで操作している。
【0039】
液体ポンプ(30)に関して、本発明は、任意の幾つかの公知のポンプ設計を、利用し得る。携帯型輸液ポンプが、本技術の有利性に対し、特に適切であり得るが、より大型の、非携帯型ポンプもまた、特別な有利性を認識し得る。例えば、燃料電池(32)の使用は、環境的である。生じる排気ガスは、ほぼ無害であり、多くの乾電池の重金属とは対照的である。好ましい燃料電池は、環境問題を引き起こす重金属を、含まない。
【0040】
さらに、燃料電池の燃料リザーバー(42)および酸素リザーバー(44)は、容易かつ迅速に充填され得る。これは、例えば輸液ポンプデバイスを駆動するために現在使用される、先行技術バッテリーを超える、少なからぬ有利性を提供する。
【0041】
液体ポンプ(30)を、燃料電池(32)を用いて駆動する方法は、取り付けられた燃料電池(32)を有する(図1に示したような)管(12)の提供により、開始する。次いで、燃料電池(32)は、液体ポンプ(30)に操作可能に連結し、燃料電池を活性化させる。連結は、好ましくは燃料電池(32)のポンプ(30)の区画(36)への挿入により、達成される。この時点において、燃料電池(32)は、電力の液体ポンプへの提供を始めるはずである。
【0042】
燃料電池を活性化する工程は、適切な反応物を燃料電池反応チャンバ(46)に提供し、化学反応を起こす工程を含む。より後の工程において、燃料電池内(32)の反応チャンバ(46)から反応混合物を隔てる障壁(54)を、破る必要がある。これまで議論したように、この障壁破壊工程は、多くの方法(剥離シールの除去、破ることのできる膜の破壊、またはこれら2つの任意の組み合わせ)において達成され得、燃料電池(32)を活性化する。
【0043】
最後に、電力がポンプ(30)に提供される時に、液体が、管(12)を通し、液体供給源(IVバッグ(18)のような)から管(12)の第二端(17)に向かって(図3に示したように)ポンプ排出され得る。
【0044】
特定の実施形態が説明および記載されているが、記載されるように、本発明に対し、本発明の精神から有意に逸脱することなく、当業者により多くの改変がなされ得る。本発明に与えられる保護の範囲は、添付の請求項の範囲によってのみ、限定されると考えられるべきである。
【0045】
本発明を理解するため、以下の添付の図に関し、ここで例として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本医療用輸液システムの一実施形態を図示する。この医療用輸液システムは、ラインセット部分(バルブまたはセンサー、あるいは医療用管に直接接続する)に接続される、一体型電源を有する。
【図2】図2は、電力供給源がポンプに操作可能に連結するような図1の実施形態を図示する。
【図3】図3は、図2の実施形態の操作可能な連結を、図示する。
【図4】図4は、本発明の代替の実施形態(すなわち、破線で示される図1の実施形態)の、操作可能な連結を図示する。
【図5】図5は、ポンプを駆動するために電源を再充電するための燃料電池の使用を図示する。
【図6】図6は、概ね、PEM燃料電池電源部分を図示し、そして活性化部材の2つの取り得る配置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用輸液システムであって、リザーバーに取り付け得る第一端および別の構成部分に取り付け得る第二端を有するラインセット、該ラインセットに契合し、該ラインセットを通る液体の流れを制御するための耐久ポンプ部分、ならびに該耐久ポンプ以外の構成部分に接続され、該耐久ポンプ部分と操作可能に連結し得る電源を有する、医療用輸液システム。
【請求項2】
前記電源が前記ラインセットに接続される、請求項1に記載の医療用輸液システム。
【請求項3】
前記ラインセットおよび前記電源が使い捨てである、請求項2に記載の医療用輸液システム。
【請求項4】
前記ラインセットに取り付けられる補助部分をさらに備える、請求項1に記載の医療用輸液システムであって、該補助部分が、バルブ、流出センサー、ポンプ、圧力センサー、フィードバック制御入力、生物学的状態センサー、他の閉環型センサー、および該構成部分の任意の組み合わせからなる群から選択される、医療用輸液システム。
【請求項5】
前記電源が前記補助部分に接続される、請求項4に記載の医療用輸液システム。
【請求項6】
前記電源が燃料電池を含む、請求項1に記載の医療用輸液システム。
【請求項7】
前記電源がAC力の入力に適切な手段を備える、請求項1に記載の医療用輸液システム。
【請求項8】
前記電源がバッテリーを含む、請求項1に記載の医療用輸液システム。
【請求項9】
前記バッテリーが、可撓性の薄層電気化学的オープンセルを備える、請求項8に記載の医療用輸液システム。
【請求項10】
前記電源が活性化部材により活性化され、電力を提供するように構成される、請求項1に記載の医療用輸液システム。
【請求項11】
前記活性化部材が、前記電源と操作可能に連結する前記耐久ポンプの構成部分である、請求項10に記載の医療用輸液システム。
【請求項12】
前記燃料電池が、反応物質供給源および該反応物質供給源を反応チャンバから隔てる障壁を含む、請求項6に記載の医療用輸液システム。
【請求項13】
前記障壁が、破ることのできる膜、剥離シール、および該2つの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の医療用輸液システム。
【請求項14】
前記燃料電池が、低温度燃料電池である、請求項6に記載の医療用輸液システム。
【請求項15】
前記電源が、前記ラインセットの表面に一体化されている、請求項1に記載の医療用輸液システム。
【請求項16】
前記電源が、前記耐久ポンプ部分内部に合うように構成される、請求項1に記載の医療用輸液システム。
【請求項17】
前記電源を再充電するための充電器を備える、請求項1に記載の医療用輸液システム。
【請求項18】
前記充電器が燃料電池を含む、請求項17に記載の医療用輸液システム。
【請求項19】
医療用ラインセットであって、以下:
少なくとも第一および第二の医療用部分に取り付けられ得る第一および第二の端をする管;
該管に取り付けられる電源;および
該電源を電動部分に操作可能に連結するための活性化部材
を、有する医療用ラインセット。
【請求項20】
前記活性化部材が、前記電動部分のコネクタである、請求項19に記載される医療用ラインセット。
【請求項21】
前記電源が、燃料電池を含む、請求項19に記載される医療用ラインセット。
【請求項22】
前記燃料電池が、反応物質供給源および該反応物質供給源を反応チャンバから隔てる障壁を含む、請求項21に記載される医療用ラインセット。
【請求項23】
前記障壁が、破ることのできる膜、剥離シール、および該2つの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載される医療用ラインセット。
【請求項24】
前記燃料電池が、低温度燃料電池である、請求項21に記載される医療用ラインセット。
【請求項25】
前記電源が、前記管の表面に一体化されている、請求項19に記載される医療用ラインセット。
【請求項26】
前記燃料電池が、低温度燃料電池である、請求項25に記載される医療用ラインセット。
【請求項27】
前記電源が、前記耐久ポンプ部分内部に合うように構成される、請求項20に記載される医療用ラインセット。
【請求項28】
前記障壁が、前記電動部分のメカニズムによって破られるように構成される、請求項22に記載される医療用ラインセット。
【請求項29】
請求項27に記載される医療用ラインセットであって、前記燃料電池が、反応物質供給源および該反応物質供給源を反応チャンバから隔てる障壁を含み、該障壁が、前記液体ポンプの内部のメカニズムによって破られるように構成される、医療用ラインセット。
【請求項30】
液体ポンプを駆動するための方法であって、該方法は、以下:
電源が取り付けられた管を提供する工程;
該電源を該液体ポンプに操作可能に連結する工程;および
該電源を活性化し、該液体ポンプに電力を提供する工程、
を、包含する、方法。
【請求項31】
前記電源が燃料電池を含み、そして該電源を活性化する前記工程が、適切な反応物質を該燃料電池の反応チャンバに提供し、化学反応を引き起こす工程を包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
適切な反応物質を前記燃料電池の前記反応チャンバに提供する前記工程が、該燃料電池内で該反応物質を該反応チャンバから隔てる障壁を破る工程を包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記障壁を破る前記工程が、剥離シールを除去する工程を包含する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記障壁を破る前記工程が、破ることのできる膜を破壊する工程を包含する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記障壁が、破ることのできる膜、剥離シール、および該2つの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記電源を前記液体ポンプに操作可能に連結する前記工程が、該電源を該液体ポンプに挿入する工程を包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記燃料電池が、低温度燃料電池である、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記管が医療用管であり、そして前記電源が、該医療用管の表面に一体化されている、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
ラインセットを通して液体を送達するための方法であって、該方法は、以下:
液体ポンプおよび管を備える輸液システムを提供する工程であって、該管が、液体供給源と液体接続された第一端および送達デバイスと液体接続された第二端を有する、工程;
該液体ポンプ以外の該輸液システムの部分に取り付けられた電力供給源を提供する工程;
該電源を該液体ポンプに操作可能に連結する工程;
該電源を活性化し、該液体ポンプに電力を提供する工程;および
該管を通して液体を該液体供給源から該管の該第二端に向けてポンプ排出する工程、
を、包含する、方法。
【請求項40】
前記電源が燃料電池を含み、そして該電源を活性化する前記工程が、適切な反応物質を該燃料電池の反応チャンバに提供し、化学反応を引き起こす工程を包含する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
適切な反応物質を提供する前記工程が、該適切な反応物質を該反応チャンバから隔てる障壁を破る工程を包含する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記障壁が、破ることのできる膜、剥離シール、および該2つの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記電源が、前記管の表面に取り付けられる、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記電源が、前記管の外表面に一体化されている、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記電源を操作可能に連結する前記工程が、前記燃料電池を前記液体ポンプの中に置く工程を包含する、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記燃料電池が、低温度燃料電池である、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
医療用輸液システムであって、該システムはラインセットを備え、該ラインセットは、第一端をリザーバーに取り付ける手段および第二端を別の部分に取り付ける手段、耐久ポンプをラインセットに合体させる手段およびラインセットを通る液体の流れを制御する手段、ならびに耐久ポンプ以外に取り付けられた動力供給手段を操作可能に該耐久ポンプに連結する手段を有する、医療用輸液システム。
【請求項48】
前記動力供給手段が、前記ラインセットに取り付けられる、請求項47に記載の医療用輸液システム。
【請求項49】
前記ラインセットおよび動力供給手段が、使い捨てである、請求項48に記載の医療用輸液システム。
【請求項50】
前記ラインセットに取り付けられる補助部分をさらに備える、請求項1に記載の医療用輸液システムであって、該補助部分が、バルブ、流出センサー、ポンプ、圧力センサー、フィードバック制御入力、生物学的状態センサー、他の閉環型センサー、および該構成部分の任意の組み合わせからなる群から選択される、医療用輸液システム。
【請求項51】
前記動力供給手段が、前記補助部分に取り付けられる、請求項50に記載の医療用輸液システム。
【請求項52】
前記動力供給手段が、燃料電池を含む、請求項1に記載の医療用輸液システム。
【請求項53】
医療用ラインセットであって、以下:
第1端、第2端、およびそれぞれの端を、少なくとも第一および第二の医療部分に連結する手段を有する管;
該管に連結された動力供給手段;および
電動部分と操作可能に連結された該動力供給手段を、活性化させる手段
を、備えた医療用ラインセット。
【請求項54】
前記活性化手段が、前記電動部分のコネクタを含む、請求項53に記載の医療用ラインセット。
【請求項55】
前記動力供給手段が、燃料電池を含む、請求項53に記載の医療用ラインセット。
【請求項56】
前記燃料電池が、反応物質供給源および該反応物質を反応チャンバから隔てるための手段を含む、請求項55に記載の医療用輸液システム。
【請求項57】
前記隔てるための手段が、破ることのできる膜、剥離シール、および該2つの任意の組み合わせからなる群から選択される障壁である、請求項56に記載の医療用ラインセット。
【請求項58】
前記燃料電池が、低温度燃料電池である、請求項55に記載の医療用ラインセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−501872(P2006−501872A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−559579(P2003−559579)
【出願日】平成14年12月5日(2002.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2002/038905
【国際公開番号】WO2003/059419
【国際公開日】平成15年7月24日(2003.7.24)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】