説明

電源切替システム

【課題】商用電源と発電機電源を電圧波形の位相を合わせ、電源切替器により瞬時の停電で電源を切替えるシステムにおいて、切替時に発生するアークにより両電源が短絡状態になることを防ぐ。
【解決手段】先に給電している電源の周波数を切替後給電する電源の周波数より低くなるよう、発電機の出力周波数を制御することにより、短絡状態となった時、電源切替時に発生するアークと逆方向となる電流が流れようとするため、アークは瞬時に消弧され、短絡状態となることを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源と発電機電源を電源切替器により瞬時に切換えるシステムにおいて、発生するアークにより両電源が短絡状態になることを防止することに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源切替器は、電源切替に数10msecの時間を要し、この間負荷への給電が出来ない停電が生じていたため、無停電電源装置が無ければ負荷の連続運転が出来ない問題があった。近年、電源切替器が高速化し、10msec以下での電源切替が可能となったため、発電機の周波数を制御し両電源の電圧波形の位相が等しい点(以降同期点と呼ぶ)にて電源切替を行うことで、無停電電源装置を用いずに負荷の運転継続が可能となってきた。
【0003】
一方、高速で電源を切り替えるため、電源切替時に発生するアークが問題となっている。アークの消弧方法については、消弧用高圧空気を用いる方法や電源切替器の接触子の形状改善などが従来技術として知られている。
【0004】
しかしながら、アーク消弧の従来技術は複雑な装置を備えた、特殊な電源切替器を用いなければならない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−161265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記を考慮して、電源切替時に発生するアークにより両電源が短絡状態になることを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、2種の電源の電圧波形の位相を合わせて電源切替を行う電源切替システムにおいて、先に給電している電源の周波数を切替後給電する電源の周波数よりも低く制御することで、電源切替時に発生するアークを消弧することを特徴とする電源切替システム。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、発電機電源の周波数を制御して両電源を同期点で切替る時に、先に給電している電源の周波数を切替後に給電する電源の周波数より低く制御することで、電源切替時に発生するアークを消弧させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、特殊な電源切替器を用いることなく電源切替時に発生するアークを消弧することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、電源切替器で発生するアークの消弧を、先に給電している電源の周波数を切替後給電する電源の周波数より、低く制御することで実現した。
【0012】
電源より負荷へ電流を流している相において、電源切替時発生するアークは、電源より負荷に向かって発生する。
【0013】
2種の電源が同期点で短絡状態となった場合、周波数の高い電源より低い電源へ有効電力が流れようとするが、先に給電している電源の周波数を低く制御していれば、上述の相において、この有効電力の授受によって生じる電流の方向は、切替後給電する電源より先に給電している電源へ流れることとなる。
【0014】
この電流の方向は切替時発生するアークの方向と逆向きとなるため、2種の電源間で有効電力の授受が行われることなくアークは消弧され、短絡状態が開放される。
【0015】
負荷より電源へ電流を流している相についても、2種の電源間で有効電力の授受により流れる電流と、電源切替時発生するアークの方向が逆向きとなるため、アークは消弧される。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明装置の1実施例の説明図である。商用電源1と発電機電源2が電源切替器3の両端に接続され、いずれか一方の電源が負荷9へ給電される単相交流回路において、電源切替時、商用電源1と発電機電源2に電源切替器3と並列に接続した自動同期投入装置8で、発電機電源2の周波数を制御することで、両電源の電圧波形の位相を合わせる。なお、自動同期投入装置の制御方法については周知されているため説明は省略する。
【0017】
発電機電源2より商用電源1へ電源切替を行う場合、商用電源1の周波数より発電機電源2の周波数が低くなるよう制御する。
【0018】
電源切替器3の発電機側接触子5が開放し始めると、切替時に電源より負荷へ電流が流れている相6では発電機電源2より負荷9の方向へアークが発生する。その後、電源切替器3の商用側接触子4が接続状態になると商用電源1と発電機電源2がアークを介し短絡状態となるが、周波数の高い商用電源1より周波数の低い発電機電源2へアークと逆方向の電流が流れようとするため、アークは瞬時に消弧し短絡状態になることは無い。
【0019】
切替時に負荷より電源へ電流が流れている相7では、負荷9より発電機電源2の方向へアークが発生すが、アークにより2種の電源が短絡状態になると、発電機電源2より負荷9へアークと逆方向に電流が流れようとするため、アークは消弧される。
【0020】
商用電源1より発電機電源2へ電源を切り替える場合は、発電機電源2より商用電源1の周波数を低くなるよう制御すれば、上述と同様にアークは消弧し短絡状態にならない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、商用電源と発電機電源を同期点で短時間に切替えるシステムにおいて利用することが出来、安価なシステムを提供することが出来る。また、3相電源切替においても単相電源と同様にアークを消弧することが出来る。
【符号の説明】
【0022】
1 商用電源
2 発電機電源
3 電源切替器
4 商用側接触子
5 発電機側接触子
6 切替時に電源より負荷へ電流が流れている相
7 切替時に負荷より電源へ電流が流れている相
8 自動同期検出器
9 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種の電源の電圧波形の位相を合わせて電源切替を行う電源切替システムにおいて、先に給電している電源の周波数を切替後給電する電源の周波数よりも低く制御することで、電源切替時に発生するアークを消弧することを特徴とする電源切替システム。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−55743(P2013−55743A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190796(P2011−190796)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】