説明

電源制御装置およびこれを用いたコントローラ

【課題】設置環境における電源設備事情によらずコントローラのI/Oモジュール数を変更可能とする電源制御装置およびこれを用いたコントローラを実現すること。
【解決手段】 第1の出力回路がコントローラのI/Oモジュールを駆動するために電源を供給し第2の出力回路が前記I/Oモジュールに接続されるフィールド機器を駆動するために当該I/Oモジュールに電源を供給する電源制御装置において、前記第2の出力回路から前記I/Oモジュールに電源を供給する定常状態と、外部の動作用電源から前記第2の出力回路と略等しい電圧値で供給される電源を前記I/Oモジュールに直接供給する非定常状態とを切り替え制御する切替制御手段を、備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の出力回路がコントローラが備えるI/Oモジュールを駆動するために電源を供給し、第2の出力回路がフィールド機器を駆動するために前記I/Oモジュールに電源を供給する電源制御装置およびこれを用いたコントローラに関し、特に設置環境における電源設備事情によらずコントローラのI/Oモジュール数を変更可能とする電源制御装置およびこれを用いたコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種センサで得られた測定データに基づきアクチュエータなどの各種フィールド機器を操作制御するコントローラが石油、ガス井戸等の各種生産設備のプロセスシステム、工業プラント内で用いられている。以下、各種センサ、アクチュエータなどをフィールド機器という。
【0003】
ここで従来のコントローラは、各種センサに接続する計測用モジュールや制御機器等に接続する入出力モジュール及び制御モジュール等の複数モジュールを組み合わせて構成されたユニット装置として実現されている。
【0004】
コントローラには、たとえば、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)があり、制御対象に応じて必要なモジュールを組み合わせて実装し、シーケンス制御を行う。
【0005】
図3は、従来のコントローラの一例を示すブロック図である。図3において、従来のコントローラは、電源モジュール1、制御用のCPUモジュール2、制御対象の機器に合わせたインターフェースを持つI/Oモジュール(入出力モジュール)3a、3b、図示しない各種センサモジュール群などで構成される。
【0006】
電源モジュール1は、図示しない電源コードを介してコンセントによるAC(Alternating Current)電源などの外部の動作用電源100と接続されている。
電源モジュール1は、動作用電源100から電源供給を受け、コントローラが必要とする電圧に変換し、コントローラを構成する電源モジュール1以外のモジュール、具体的にはCPUモジュール2、I/Oモジュール3a、3b、各種センサモジュールのそれぞれに電源供給する。
【0007】
CPUモジュール2は、コントローラ全体を制御する。具体的には、CPUモジュール2は、I/Oモジュール3a、3bから入力データ(フィールド機器からのデータ)を取り込み、取り込んだ入力データをもとに演算を行い、演算結果を出力データとしてI/Oモジュール3a、3bに出力する。なおI/Oモジュール3a、3bは、CPUモジュール2からの出力データを格納する。CPUモジュール2は、これらの処理を繰り返す。
【0008】
CPUモジュール2のデータエリアには、コントローラを構成するI/Oモジュール3a、3b、電源モジュール1の電流容量や占有スロット数、入出力点数などのほか、I/Oモジュールに対する情報の授受に関するプログラムデータが格納されている。
【0009】
I/Oモジュール3a、3bは、入力部、出力部、電源供給部とから構成され、たとえばフィールド機器4〜7制御対象の機器とデータの入出力を行なう。
たとえばI/Oモジュール3a、3bの入力部は、外部機器(フィールド機器4〜7)から電流値、温度、パルス数、接点信号等の入力データを取り込み、これらの処理を定周期で繰り返す。
またI/Oモジュール3a、3bの出力部は、格納されている電流値、温度、パルス数、接点信号等のCPUモジュール2からの出力データを取り込み、出力データを外部機器(フィールド機器4〜7)へ出力する。出力部は、これらの処理を定周期で繰り返す。
I/Oモジュール3a、3bの電源供給部は、接続されているフィールド機器に24V(ボルト)で電源を供給する。
【0010】
ここで電源モジュール1について詳細に説明する。電源モジュール1は、I/Oモジュール3a、3bの駆動用の5V出力回路11と、I/Oモジュール3a、3bに接続されるフィールド機器の駆動用の24V出力回路12とを備える。
【0011】
5V出力回路11は、動作用電源100から電源供給を受け、5V(ボルト)の電圧値に変圧し、I/Oモジュール3a、3bを駆動するためにI/Oモジュール3a、3bに電源供給する。24V出力回路12は、動作用電源100から電源供給を受け、24Vの電圧値に変圧し、フィールド機器4〜7を駆動するための電源をI/Oモジュール3a、3bに供給する。
【0012】
5V出力回路11と24V出力回路12の出力電力容量は、電源モジュールの種類によってきまっており、コントローラに実装されるI/Oモジュールの実装可能枚数を制限する要因になっている。
【0013】
このように、従来のコントローラは、各種センサで得られた測定データに基づきアクチュエータなどの各種フィールド機器を操作制御し、石油、ガス井戸等の各種生産設備のプロセスシステム、工業プラントの最適運転に貢献している。
【0014】
このようなコントローラに関連する先行技術文献として下記の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−250520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ここで、従来のコントローラは、遠隔地にあり電力配線を敷設することが困難な電源設備事情の悪い、石油・ガス井戸に設置される場合には、コントローラやその周辺装置(フィールド機器)に供給可能な電力が制限されているので、コントローラのバックボードに多くのI/Oモジュールを実装する必要はない。
【0017】
しかし、コントローラが電力配線が可能で電源設備事情の良い、石油・ガス井戸に設置される場合には、供給可能な電力が制限されないので、1台のコントローラのバックボードに多くのI/Oモジュールを実装して、システムトータルコストの低減やエンジニアリング工数の削減を求められることが多かった。
この場合、特にコントローラの周辺のフィールド機器の使用台数が増加するため、電源モジュールの24V出力回路の出力容量の増加が求められることになる。
【0018】
このような要望に応えるために、従来のコントローラでは、電源モジュール内部の24V出力回路の出力容量を可変に設計することや、あらかじめ出力容量を大きく取れるように設計することが考えられる。
しかしながら、このような手法では、設置環境における電源設備事情によっては電源効率を高めることやコスト的に不利であるという問題点があった。
【0019】
本発明は上述の問題点を解決するものであり、その目的は、設置環境における電源設備事情によらずコントローラのI/Oモジュール数を変更可能とする電源制御装置およびこれを用いたコントローラを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このような課題を解決するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
第1の出力回路がコントローラが備えるI/Oモジュールを駆動するために電源を供給し、第2の出力回路がフィールド機器を駆動するために前記I/Oモジュールに電源を供給する電源制御装置において、
前記第2の出力回路からフィールド機器駆動用の電源をI/Oモジュールに供給する定常状態と、外部の動作用電源から前記第2の出力回路と略等しい電圧値で供給される電源をフィールド機器駆動用の電源として前記I/Oモジュールに直接供給する非定常状態とを切り替え制御する切替制御手段を、備えたことを特徴とする電源制御装置である。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電源制御装置において、
前記動作用電源と前記I/Oモジュールに電源を供給するための出力端とに相互接続された電源ライン上に設置され、前記切替制御手段が定常状態に切り替えるときは前記動作用電源から前記I/Oモジュールに直接供給するオン状態とし、前記切替制御手段が非定常状態に切り替えるときは前記動作用電源から前記I/Oモジュールへ電源の直接供給を止めるオフ状態とする直接供給制御スイッチを、備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の電源制御装置において、
前記切替制御手段が定常状態に切り替えるときは前記第2の出力回路を駆動し、前記切替制御手段が非定常状態に切り替えるときは前記第2の出力回路を停止する駆動制御手段を、備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のいずれかに記載の電源制御装置において、
前記切替制御手段は、
前記定常状態と前記非定常状態のいずれかの状態に切り替えるための切換命令が入力される入力手段と、
前記切替命令に基づき前記直接供給制御スイッチにオン信号またはオフ信号を出力し前記駆動制御手段にオフ信号またはオン信号を出力するオンオフ制御手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の電源制御装置において、
オンオフ制御手段は、前記定常状態とする切替命令に基づいて前記直接供給制御スイッチにオフ信号を出力するとともに前記駆動制御手段にオン信号を出力し、前記非定常状態とする切替命令に基づいて前記直接供給制御スイッチにオン信号を出力するとともに前記駆動制御手段にオフ信号を出力することを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の電源制御装置において、
前記直接供給制御スイッチからの電流を一定方向に流す第1のダイオードと、
前記前記第2の出力回路からの電流を一定方向に流し、カソードが前記第1のダイオードのカソードと接続される第2のダイオードを、備え、
前記第1および第2のダイオードからの電流が前記I/Oモジュールに供給されることを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の発明は、
外部入力信号又は操作手段から入力される操作信号に基づいて制御対象を制御するコントローラにおいて、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電源制御装置を備えることを特徴とするコントローラである。
【発明の効果】
【0027】
本発明であれば、第2の出力回路からフィールド機器駆動用の電源をI/Oモジュールに供給する定常状態と、外部の動作用電源から第2の出力回路と略等しい電圧値で供給される電源をフィールド機器駆動用の電源としてI/Oモジュールに直接供給する非定常状態とを切り替え制御する切替制御手段を、備えたことにより、設置環境における電源設備事情によらずコントローラのI/Oモジュール数を変更可能とすることができる。
【0028】
また本発明であれば、直接供給制御スイッチの電源ラインと、第2の出力回路の出力をダイオードで付き合わせる構成とし、直接供給制御スイッチが切替制御手段による切替制御に基づき動作用電源からI/Oモジュールへの直接的な電源供給のオンオフ制御をすることにより、電源制御装置の出力側24Vの電力を増加させたい時にのみ、その機能を働かせるようにできる点で有効である。
すなわち、I/Oモジュールへの直接的な電源供給が行なわれるときでも第2の出力回路が停止することなく、電源モジュールの第2の出力端を介してI/Oモジュールに出力でき、第2の出力回路の電源供給と動作用電源からの電源供給を併用することができることになる。このため電源制御装置の出力側24Vの電力を増加させたい時にのみ、その機能を働かせるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る電源制御装置およびこれを用いたコントローラの一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明に係る電電源制御装置およびこれを用いたコントローラの他の実施例を示す構成図である。
【図3】従来のコントローラの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1の実施例>
(構成の説明)
図1は、本発明に係る電源制御装置およびこれを用いたコントローラの一実施例を示す構成図であり図3と共通する部分には同一の符号を付けて適宜説明を省略する。
図3との相違点は、主に、第2の出力回路(24V出力回路)からフィールド機器駆動用の電源をI/Oモジュールに供給する定常状態と、外部の動作用電源から第2の出力回路と略等しい電圧値で供給される電源をフィールド機器駆動用の電源としてI/Oモジュールに直接供給する非定常状態とを切り替え制御する切替制御手段を、備えたことにより、設置環境における電源設備事情によらずコントローラのI/Oモジュール数を変更可能とする点が相違する。
【0031】
図1において、本発明のコントローラは、電源制御装置の一例である電源モジュール5、制御用のCPUモジュール2、制御対象の機器に合わせたインターフェースを持つI/Oモジュール(入出力モジュール)3a、3b、図示しない各種センサモジュール群などで構成される。
なお、I/Oモジュール3a、3bの電源供給部は、接続されているフィールド機器4〜7に24Vで電源を供給する。
【0032】
電源制御装置の一例である電源モジュール5は、I/Oモジュール3a、3bの駆動用の出力回路であって5V(ボルト)の電圧値で電源を供給する5V出力回路51と、I/Oモジュール3a、3bに接続されるフィールド機器の駆動用であって24V(ボルト)の電圧値で電源を供給する24V出力回路52と、切替制御手段53と、直接供給制御スイッチ54と、24V出力回路駆動制御手段5(以下、駆動制御手段という)を備える。
5V出力回路51は第1の出力回路の一例であり、24V出力回路52は第2の出力回路の一例である。
【0033】
(主な構成要素の説明)
【0034】
電源モジュール5は、図示しない電源コードを介してコンセントによるAC(Alternating Current)電源などの外部の動作用電源500と接続されている。動作用電源500は、24V出力回路と略等しい電圧値(24V)で電源を供給する。
電源モジュール5は、動作用電源500から電源供給を受け、コントローラが必要とする電圧に変換し、コントローラを構成する電源モジュール5以外のモジュール、具体的にはCPUモジュール2、I/Oモジュール3a、3b、各種センサモジュールのそれぞれに電源供給する。
【0035】
切替制御手段53は、24V出力回路52からフィールド機器駆動用の電源をI/Oモジュール3a、3bに供給する定常状態と、外部の動作用電源から24V出力回路52と略等しい電圧値で供給される電源をフィールド機器駆動用の電源としてI/Oモジュール3a、3bに直接供給する非定常状態とを切り替え制御する。
【0036】
また、切替制御手段53は、定常状態と非定常状態のいずれかの状態に切り替えるための切換命令が入力される入力手段の一例である24V出力回路設定スイッチ53aと、切替命令に基づき直接供給制御スイッチ54にオン信号またはオフ信号を出力し駆動制御手段55にオフ信号またはオン信号を出力するオンオフ制御手段53bとを備える。
【0037】
24V出力回路設定スイッチ53aは、外部からの入力によりスイッチがオフとなると電源制御装置を定常状態とする電気信号である切替命令をオンオフ制御手段53bに出力する。また24V出力回路設定スイッチ53aは、外部からの入力によりスイッチがオンとなると電源制御装置を非定常状態とする電気信号である切替命令をオンオフ制御手段53bに出力する。
【0038】
オンオフ制御手段53bは、24V出力回路設定スイッチ53aからの定常状態とする切替命令に基づいて直接供給制御スイッチ54にオフ信号を出力するとともに駆動制御手段55にオン信号を出力し、非定常状態とする切替命令に基づいて直接供給制御スイッチ54にオン信号を出力するとともに駆動制御手段55にオフ信号を出力する。
【0039】
直接供給制御スイッチ54は、動作用電源500と電源をI/Oモジュール3a、3bに供給するための出力端とに相互接続された電源ライン120a上に設置される。
また直接供給制御スイッチ54は、切替制御手段53が定常状態に切り替えるときは動作用電源500からフィールド機器駆動用の電源としてI/Oモジュール3a、3bに直接供給するオン状態とし、切替制御手段53が非定常状態に切り替えるときは動作用電源500からI/Oモジュール3a、3bへ電源の直接供給を止めるオフ状態とする。
【0040】
駆動制御手段55は、たとえば24V出力回路52内のスイッチなどであって、切替制御手段53が定常状態に切り替えるときは24V出力回路52を駆動し、切替制御手段53が非定常状態に切り替えるときは24V出力回路52の動作を停止させる。
【0041】
(接続・配置関係の説明)
動作用電源500は、電源ライン100aおよび100bを介して5V出力回路51と相互に接続され、電源の供給を行なう。
動作用電源500は、電源ライン110aおよび110bを介して24V出力回路52と相互に接続され、電源の供給を行なう。
【0042】
5V出力回路51は、電源ライン100cを介して電源制御装置の第1の出力端と接続され、第1の出力端から5Vの電圧値で電源の供給を行なう。
24V出力回路52は、電源ライン110cを介して電源制御装置の第2の出力端と接続され、第2の出力端から24Vの電圧値で電源の供給を行なう。
【0043】
4V出力回路設定スイッチ53aは、電源ライン100aおよび電源ライン110aと相互に接続され、直接供給制御スイッチ54及び駆動制御手段55と接続される。
【0044】
直接供給制御スイッチ54は、電源ライン100bを介して動作用電源500と接続され、電源ライン120aを介して電源制御装置の第2の出力端と接続される。
すなわち、直接供給制御スイッチ54がオン状態となると、動作用電源500から電源ライン100b、120aを介して第2の出力端から24Vの電圧値で電源が直接供給されることになる。
【0045】
(動作の説明)
このような構成により、本発明の電源制御装置およびこれを用いたコントローラは次の動作を行なう。以下、(A)24V出力回路設定スイッチ53aがオフのとき(定常状態)の動作と、(B)24V出力回路設定スイッチ53aがオンのとき(非定常状態)の動作とに分けて説明する。
【0046】
(A)24V出力回路設定スイッチ53aがオフのとき(定常状態)
動作用電源500は、24Vの電圧値で5V出力回路51および24V出力回路52に電源を供給する。
24V出力回路設定スイッチ53aが外部からの入力によりオフ状態となる(定常状態となる)と、オンオフ制御手段53bは、24V出力回路設定スイッチ53からの電気信号に基づいて直接供給制御スイッチ54にオフ信号を出力する。さらにオンオフ制御手段53bは、駆動制御手段55にオン信号を出力する。
【0047】
駆動制御手段55は24V出力回路設定スイッチ53aから入力されるオン信号に基づき、24V出力回路52を駆動させる。すなわち駆動制御手段55は切替制御手段53が定常状態に切り替えるときは24V出力回路52を駆動することになる。
【0048】
24V出力回路52は、動作用電源500からの供給電源に基づき24Vで第2の出力端を介してI/Oモジュール3a、3b(を介してフィールド機器4〜7)に電源を供給する。
【0049】
直接供給制御スイッチ54は、オンオフ制御手段53bからオフ信号が入力されるとスイッチをオフ状態として、動作用電源500と第2の出力端の電気的接続を遮断する。
すなわち、この状態であれば、動作用電源500からは電源ライン100b、120a、第2の出力端を介してI/Oモジュールへの直接的な電源の供給なくなり、24V出力回路52からのみの電源供給となることになる。
【0050】
これにより、切替制御手段は、第2の出力回路からフィールド機器駆動用の電源をI/Oモジュールに供給する定常状態に切替制御することができる。
【0051】
(B)24V出力回路設定スイッチ53aがオンのとき(非定常状態)
一方、24V出力回路設定スイッチ53aが外部からの入力によりオン状態となる(非定常状態となる)と、オンオフ制御手段53bは、24V出力回路設定スイッチ53からの電気信号に基づいて直接供給制御スイッチ54にオン信号を出力する。さらにオンオフ制御手段53bは、駆動制御手段55にオフ信号を出力する。
【0052】
駆動制御手段55は24V出力回路設定スイッチ53aから入力されるオフ信号に基づき、24V出力回路52の動作を停止させる。すなわち駆動制御手段55は切替制御手段53が定常状態に切り替えるときは24V出力回路52の動作を停止することになる。
【0053】
直接供給制御スイッチ54は、オンオフ制御手段53bからオン信号が入力されるとスイッチをオン状態として、動作用電源500と第2の出力端を電気的に接続させる。
この状態であれば、動作用電源500は、電源ライン100b、120a、第2の出力端を介してI/Oモジュールへ直接的に、そのまま電源を供給することができる。
【0054】
これにより、切替制御手段は、外部の動作用電源から第2の出力回路と略等しい電圧値で供給される電源をフィールド機器駆動用の電源としてI/Oモジュールに直接供給する非定常状態に切替制御することができる。
【0055】
この結果、本発明の電源制御装置およびこれを用いたコントローラは、第2の出力回路からフィールド機器駆動用の電源をI/Oモジュールに供給する定常状態と、外部の動作用電源から第2の出力回路と略等しい電圧値で供給される電源をフィールド機器駆動用の電源としてI/Oモジュールに直接供給する非定常状態とを切り替え制御する切替制御手段を、備えたことにより、設置環境における電源設備事情によらずコントローラのI/Oモジュール数を変更可能とすることができる。
【0056】
なお(A)、(B)いずれのときも、5V出力回路51(第1の出力回路)は、動作用電源500から供給された電源を5Vに変圧して、第1の出力端を介してI/Oモジュール3a、3bに電源を供給する。
【0057】
<第2の実施例>
なお本発明の電源制御装置およびこれを用いたコントローラは、第1の実施例の構成の他に、直接供給制御スイッチ54と第2の出力端を接続する電源ライン120aと、24V出力回路52の出力をダイオードでカソードを付き合わせる構成とするものでもよい。
【0058】
いいかえれば、直接供給制御スイッチ54からの電流を一定方向に流す第1のダイオードと、24V出力回路52からの電流を一定方向に流し、カソードが第1のダイオードのカソードと接続される第2のダイオードを備え、第1および第2のダイオードからの電流がI/Oモジュールに供給されるような構成とするものでもよい。
【0059】
図2は本発明の電源制御装置およびこれを用いたコントローラの他の実施例を示す構成図である。図2において、本実施例の電源制御装置は、5V出力回路51、24V出力回路52、切替制御手段53と直接供給制御スイッチ54、ダイオード600、ダイオード700を備える。なお図1と共通する部分には同一の符号を付けて適宜説明を省略する。
【0060】
ダイオード600は、直接供給制御スイッチ54と接続されていない端部とアノードとが接続され、カソードが第2の出力端と接続され、一定方向にのみ電流を流す。
【0061】
ダイオード700は、24V出力回路52の出力端とアノードとが接続され、カソードが第2の出力端と接続される形で配置され、一定方向にのみ電流を流す。
ダイオード600のカソードとダイオード700のカソードとは相互に接続されて、付き合わせた形に配置される。
【0062】
切替制御手段53は、24V出力回路52からフィールド機器駆動用の電源をI/Oモジュールに供給する定常状態と、外部の動作用電源から24V出力回路52と略等しい電圧値で供給される電源をフィールド機器駆動用の電源としてI/Oモジュールに直接供給する非定常状態とを切り替え制御する。
【0063】
直接供給制御スイッチ54は、切替制御手段53が定常状態に切り替えるときは動作用電源500からI/Oモジュールに直接供給するオン状態とし、切替制御手段53が非定常状態に切り替えるときは動作用電源500からI/Oモジュールへ電源の直接供給を止めるオフ状態とする。
【0064】
この結果、本実施例の電源制御装置およびこれを用いたコントローラは、直接供給制御スイッチ54の電源ライン120aと、24V出力回路52の出力をダイオードで付き合わせる構成とし、直接供給制御スイッチ54が切替制御手段53による切替制御に基づき動作用電源500からI/Oモジュールへの直接的な電源供給のオンオフ制御をすることにより、電源制御装置の出力側24Vの電力を増加させたい時にのみ、その機能を働かせるようにできる点で有効である。
【0065】
すなわち、I/Oモジュールへの直接的な電源供給が行なわれるときでも24V出力回路52が停止することなく、電源モジュールの第2の出力端を介してI/Oモジュール3a、3bに出力でき、24V出力回路52の電源供給と動作用電源500からの電源供給を併用することができることになる。このため電源制御装置の出力側24Vの電力を増加させたい時にのみ、その機能を働かせるようにできる。
【0066】
<その他の実施例>
なお、第1の実施例の構成に、第2の実施例で示した直接供給制御スイッチ54の電源ライン120aと、24V出力回路52の出力をダイオード600、700で付き合わせる構成を加えるものであってもよい。この場合、切替制御手段54が、24V出力回路52の電源供給または動作用電源500からの電源供給のいずれかを選択するか、24V出力回路52の電源供給と動作用電源500からの電源供給を併用するか、を切替制御するものでもよい。
【0067】
この場合であれば、電源制御装置の出力側24Vの電力を増加させたい時にのみ併用し、電力の増加が不要となれば択一的に選択することが可能となり省エネルギーに貢献することができる点で有効である。
【符号の説明】
【0068】
5 電源モジュール
51 5V出力回路
52 24V出力回路
53 切替制御手段
53a 24V出力回路設定スイッチ
53b オンオフ制御手段
54 直接供給制御スイッチ
55 駆動制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の出力回路がコントローラが備えるI/Oモジュールを駆動するために電源を供給し、第2の出力回路がフィールド機器を駆動するために前記I/Oモジュールに電源を供給する電源制御装置において、
前記第2の出力回路からフィールド機器駆動用の電源をI/Oモジュールに供給する定常状態と、外部の動作用電源から前記第2の出力回路と略等しい電圧値で供給される電源をフィールド機器駆動用の電源として前記I/Oモジュールに直接供給する非定常状態とを切り替え制御する切替制御手段を、備えたことを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記動作用電源と前記I/Oモジュールに電源を供給するための出力端とに相互接続された電源ライン上に設置され、前記切替制御手段が非定常状態に切り替えるときは前記動作用電源から前記I/Oモジュールに直接供給するオン状態とし、前記切替制御手段が定常状態に切り替えるときは前記動作用電源から前記I/Oモジュールへ電源の直接供給を止めるオフ状態とする直接供給制御スイッチを、備えたことを特徴とする請求項1記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記切替制御手段が定常状態に切り替えるときは前記第2の出力回路を駆動し、前記切替制御手段が非定常状態に切り替えるときは前記第2の出力回路を停止する駆動制御手段を、備えたことを特徴とする請求項1または2記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記切替制御手段は、
前記定常状態と前記非定常状態のいずれかの状態に切り替えるための切換命令が入力される入力手段と、
前記切替命令に基づき前記直接供給制御スイッチにオン信号またはオフ信号を出力し前記駆動制御手段にオフ信号またはオン信号を出力するオンオフ制御手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の電源制御装置。
【請求項5】
オンオフ制御手段は、
前記定常状態とする切替命令に基づいて前記直接供給制御スイッチにオフ信号を出力するとともに前記駆動制御手段にオン信号を出力し、前記非定常状態とする切替命令に基づいて前記直接供給制御スイッチにオン信号を出力するとともに前記駆動制御手段にオフ信号を出力することを特徴とする請求項4記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記直接供給制御スイッチからの電流を一定方向に流す第1のダイオードと、
前記前記第2の出力回路からの電流を一定方向に流し、カソードが前記第1のダイオードのカソードと接続される第2のダイオードを、備え、
前記第1および第2のダイオードからの電流が前記I/Oモジュールに供給されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電源制御装置。
【請求項7】
外部入力信号又は操作手段から入力される操作信号に基づいて制御対象を制御するコントローラにおいて、
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電源制御装置を備えることを特徴とするコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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