説明

電源回路

【課題】 フォトカプラを使用せずに第2電源の正側電源電圧をスイッチングコントローラに帰還させる。
【解決手段】 カレントミラー回路7は、第2電源の基準電位に対する正側電源電圧を電流に変換して、電流電圧変換部8に供給する。電流電圧変換部8は、カレントミラー回路7からの電流を第1電源の基準電位に対する電圧に変換し、スイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bに供給する。従って、スイッチングコントローラ2に供給される第1電源の基準電位と、第2電源の基準電位とが異なっているにもかかわらず、カレントミラー回路7からの電流は基準電位の影響を受けないので、フォトカプラを使用することなく第2電源の基準電位に対する正側電源電圧を第1電源の基準電位に対する電圧としてスイッチングコントローラ2に帰還させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単電源である第1電源と、単電源である第2電源とを備える電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ機器等において、単電源である第1電源で動作する回路と、第1電源とは電圧が異なる単電源である第2電源で動作する回路とを備えるものがある。単電源は、正側の電源電圧と、接地電位等の基準電位とを含む。第2電源は、第1電源の正側電源電圧をスイッチ素子によってスイッチング動作させることによって生成される正側電源電圧と、第1電源の正側電源電圧を分圧することによって生成される基準電位とを含む。スイッチングコントローラとスイッチ素子とは、第1電源の正側電源電圧と基準電位とによって動作する。一方、第2電源の基準電位に対する正側電源電圧は、所定電圧(例えば5V)に維持されるように、スイッチングコントローラに第2の電源の正側電源電圧を帰還させる必要がある。しかし、第1電源と第2電源とは基準電位が異なるので、第2電源の正側電源電圧をそのままスイッチングコントローラに帰還させることができない。従来の電源回路では、フォトカプラを使用し、第2電源の正側電源電圧をスイッチングコントローラに帰還させている。しかし、フォトカプラは比較的コストが高いので、フォトカプラを使用せずに、第2電源の正側電源電圧をスイッチングコントローラに帰還させる電源回路が要望されている。
【0003】
下記特許文献1〜3には電源回路において帰還回路を備えるものが記載されているが、単電源である第1電源と、第1電源とは電圧が異なる単電源である第2電源とを備える電源回路において、第2電源の正側電源電圧をスイッチングコントローラに帰還させる電源回路については何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−16997号公報
【特許文献2】特開2009−194971号公報
【特許文献3】特開2009−303313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、フォトカプラを使用せずに、第2電源の正側電源電圧をスイッチングコントローラに帰還させる電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態による電源回路は、正側電源電圧と基準電位とを含む単電源である第1電源と、正側電源電圧と、前記第1電源の基準電位とは異なる基準電位とを含む単電源である第2電源とを備える電源回路であって、前記第1電源の正側電源電圧と基準電位とによって動作され、帰還入力端子に入力される電圧に応じて、スイッチ素子をオンオフ制御するスイッチングコントローラと、前記スイッチングコントローラによってオンオフ制御される前記スイッチ素子と、前記スイッチ素子が一次巻線に接続され、前記スイッチ素子のオンオフ動作によって二次巻線に電圧を生成するスイッチングトランスと、前記第1電源の正側電源電圧を分圧して前記第2電源の基準電位を生成する基準電位生成部と、前記スイッチングトランスの二次巻線の電圧を受けて、前記第2電源の正側電源電圧を生成する電圧生成部と、前記第2電源の基準電位に対する正側電源電圧を電流に変換して出力するカレントミラー回路と、前記カレントミラー回路からの電流を前記第1電源の基準電位に対する電圧に変換して前記スイッチングコントローラの前記帰還入力端子に供給する電流電圧変換部とを備える。
【0007】
カレントミラー回路は、第2電源の基準電位に対する正側電源電圧を電流に変換して、電流電圧変換部に供給する。電流電圧変換部は、カレントミラー回路からの電流を第1電源の基準電位に対する電圧に変換し、スイッチングコントローラの帰還入力端子に供給する。従って、スイッチングコントローラに供給される第1電源の基準電位と、電圧を安定化させる必要のある第2電源の基準電位とが異なっているにもかかわらず、カレントミラー回路からの電流は基準電位の影響を受けないので、フォトカプラを使用することなく、第2電源の基準電位に対する正側電源電圧を第1電源の基準電位に対する電圧としてスイッチングコントローラに帰還させることができる。
【0008】
好ましい実施形態においては、前記カレントミラー回路が、第1トランジスタ、第2トランジスタおよび第1抵抗を含み、前記第1トランジスタの制御端子が、前記第2トランジスタの制御端子に接続され、前記第1トランジスタの第1端子が、前記第1抵抗を介して前記電圧生成部の出力に接続され、前記第1トランジスタの第2端子が、前記電流電圧変換部に接続され、前記第2トランジスタの第1端子が、前記第2電源の基準電位に接続され、前記第2トランジスタの第2端子が、前記第1電源の基準電位に接続されている。
【0009】
第1トランジスタと第2トランジスタとに同量の電流を流すことにより、第1トランジスタの第1端子−制御端子間の電圧と、第2トランジスタの第1端子−制御端子間の電圧とが等しくなる。そして、第1トランジスタの制御端子と第2トランジスタの制御端子とは相互に接続されているので、第1トランジスタの第1端子と第2トランジスタの第1端子とが同電位になる。第1トランジスタの第1端子と第2トランジスタの第1端子とが同電位であるので、第1抵抗に流れる電流が、第2電源の基準電位に対する正側電源電圧を電流に変換したものに相当する。そして、第1抵抗に流れる電流が第1トランジスタの第2端子から電流電圧変換部に供給される。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記電流電圧生成部が、前記第1電源の基準電位と前記第1トランジスタの第2端子との間に接続されている第2抵抗を含み、前記第1抵抗の抵抗値をR1、前記第2抵抗の抵抗値をR2、前記第2電源の基準電位に対する正側電源電圧をV2とすると、V2・R2/R1の電圧が前記スイッチングコントローラの前記帰還入力端子に供給され、前記スイッチングコントローラが、前記帰還入力端子に供給される電圧が所定電圧になるように前記スイッチ素子をオンオフ制御する。
【0011】
第1抵抗を流れる電流はV2/R1となり、この電流が抵抗R2によって電圧に変換されるので、スイッチングコントローラの帰還入力端子にはV2・R2/R1の電圧が供給される。V2・R2/R1の電圧が所定電圧よりも高い場合には、スイッチングコントローラが第2電源の正側電源電圧が減少するようにスイッチ素子をオンオフ制御し、V2・R2/R1の電圧が所定電圧よりも低い場合には、スイッチングコントローラが第2電源の正側電源電圧が増加するようにスイッチ素子をオンオフ制御する。
【0012】
好ましい実施形態においては、前記カレントミラー回路が、前記第1抵抗と前記第1トランジスタの第1端子との間に接続された定電圧素子をさらに含む。
【0013】
この場合、第2電源の正側電源電圧の変動の感度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
フォトカプラを使用せずに、第2電源の正側電源電圧をスイッチングコントローラに帰還させる電源回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい実施形態による電源回路100を示す回路ブロック図である。
【図2】本発明の別の好ましい実施形態による電源回路200を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態による電源回路100を示す回路ブロック図である。電源回路100は、第1電源1と、スイッチングコントローラ2と、スイッチ素子3と、スイッチングトランス4と、基準電位生成部5と、第2電源生成部6と、カレントミラー回路7と、電流電圧変換部8とを概略備える。
【0017】
基準電位生成部5と第2電源生成部6とは、第2電源を構成する。スイッチングコントローラ2とスイッチ素子3とスイッチングトランス4とは、スイッチング電源を構成する。カレントミラー回路7と電流電圧変換部8とは、帰還回路を構成する。
【0018】
第1電源1は、第1負荷(例えばアンプ回路等)101に電源電圧を供給する。第1電源1は単電源であり、正側電源電圧V1と、基準電位である接地電位GNDとを含む。第1電源1は、一般的なACアダプター等が採用され、入力される交流電源電圧を直流電源電圧である正側電源電圧V1と、接地電位GNDとに変換して、後段の各回路に出力する。
【0019】
スイッチングコントローラ2は、第1電源1の正側電源ラインV1と接地電位GNDとに接続され、第1電源によって動作する。つまり、スイッチングコントローラ2の基準電位は、第1電源1の接地電位GNDとなっている。スイッチングコントローラ2は、制御信号出力端子2aと、帰還入力端子2bとを含む。スイッチングコントローラ2は、帰還入力端子2bに入力される電圧に応じて、制御信号出力端子2aからスイッチ素子3に対して制御信号を出力し、スイッチ素子3をオンオフ制御する。
【0020】
スイッチ素子3は、スイッチングコントローラ2からの制御信号によってオンオフ制御される。スイッチ素子3は、特に限定されないが、例えばnチャネルMOSFET Q1が採用され得る。MOSFET Q1は、ゲートがスイッチングコントローラ2の制御信号出力端子2aに接続され、ソースが第1電源1の接地電位GNDに接続され、ドレインがスイッチングトランス4の一次側巻線の一端(図示下側の端)に接続されている。
【0021】
スイッチングトランス4は、一次巻線の他端(図示上側の端)が第1電源1の正側電源電圧ラインV1に接続され、二次巻線の一端(図示下側の端)が第2電源生成部6のコンデンサC1に接続され、二次巻線の他端(図示上側の端)が第2電源生成部6のダイオードD1のアノードに接続されている。すなわち、スイッチングトランス4の二次巻線の一端は第2電源の基準電位ラインに接続され、スイッチングトランス4の二次巻線の他端は第2電源の正側電源電圧ラインに接続されている。
【0022】
スイッチ素子3は、スイッチングコントローラ2からの制御信号が一方のレベル(例えばハイレベル)のときにオン状態となり、第1電源1の正側電源電圧ラインV1から、スイッチングトランス4の一次巻線、スイッチ素子3、第1電源1の接地電位GNDへと電流が流れ、スイッチングトランス4の一次巻線に電気エネルギーが蓄積される。一方、スイッチ素子3は、スイッチングコントローラ2からの制御信号が他方レベル(例えばローレベル)のときにオフ状態になり、スイッチ素子3がオン状態のときにスイッチングトランス4の一次巻線に蓄積された電気エネルギーに基づいて、スイッチングトランス4の二次巻線から第2電源電圧の正側電源電圧となる電圧が出力される。
【0023】
従って、スイッチングコントローラ2が、制御信号によってスイッチ素子3のオンオフ期間(デューティ比)を制御することによって、スイッチングトランス4の二次巻線から出力される電圧の大きさを調整することができる。
【0024】
基準電位生成部5は、第1電源1の正側電源電圧V1を分圧することによって、第2電源の基準電位を生成する回路である。基準電位生成部5は、例えば、抵抗R1、R2を含む。抵抗R1は、一端が第1電源1の正側電源電圧ラインV1に接続され、他端が抵抗R2の一端と、第2電源の基準電位ラインとに接続されている。抵抗R2の他端は、第1電源1の接地電位ラインGNDに接続されている。従って、第2電源の基準電位は、R2・V1/(R1+R2)となる。当該式において、R1は抵抗R1の抵抗値、R2は抵抗R2の抵抗値である。抵抗R1とR2との抵抗値の関係は、必要とされる基準電位に応じて適宜設定され得るが、一例として同じ抵抗値に設定されるとよい。
【0025】
第2電源生成部6は、第2電源の正側電源電圧V2を生成する回路である。第2電源生成部6は、ダイオードD1とコンデンサC1とを含む。ダイオードD1のアノードはスイッチングトランス4の二次巻線の他端に接続され、カソードはコンデンサC1の一端に接続されている。コンデンサC1の他端は第2電源の基準電位ラインに接続されている。第2電源生成部6は、スイッチ素子3がオフ状態の期間にスイッチングトランス4の二次巻線から出力される電圧を受け、コンデンサC1が充電され、コンデンサC1の充電電圧が第2電源の基準電位に対する正側電源電圧V2となる。
【0026】
カレントミラー回路7は、第2電源生成部6によって生成された電圧(つまり、第2電源の基準電位に対する正側電源電圧V2)を電流に変換し、スイッチングコントローラ2(詳細には電流電圧変換部8)に帰還させる回路である。つまり、カレントミラー回路7は、第2電源の正側電源電圧V2を第1所定電圧(例えば基準電位に対して5V)に維持および安定化させるために、第2電源の基準電位に対する正側電源電圧V2をスイッチングコントローラ2に通知する。
【0027】
カレントミラー回路7は、抵抗R3、R4と、トランジスタ(特に限定されないが例えばpnp型バイポーラトランジスタ)Q2、Q3とを含む。抵抗R3は、一端が第2電源の正側電源ラインV2に接続され、他端がトランジスタQ2のエミッタ(第1端子)に接続されている。トランジスタQ2は、ベース(制御端子)がトランジスタQ3のベースに接続され、コレクタ(第2端子)がスイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bと、電流電圧変換部8の抵抗R5とに接続されている。トランジスタQ3は、エミッタが第2電源の基準電位ラインに接続され、コレクタが抵抗R4を介して第1電源1の接地電位ラインGNDに接続されている。また、トランジスタQ3のベーストとコレクタとが接続されている。
【0028】
カレントミラー回路7においては、トランジスタQ2とQ3とのベース同士が接続されており、トランジスタQ3のコレクタ電圧(抵抗R4の電圧)が、トランジスタQ2、Q3のベースに供給されている。トランジスタQ2、Q3を流れる電流を同じにすることにより、トランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧と、トランジスタQ3のベース−エミッタ間電圧とが等しくなる。従って、トランジスタQ2とQ3とのベース同士が接続されているので、トランジスタQ2のエミッタ電位と、トランジスタQ3のエミッタ電位とが同じになる。従って、抵抗R3に流れる電流であるトランジスタQ2のコレクタ電流は、第2電源の正側電源ラインV2から、第2電源の基準電位ラインへと流れる電流に相当し、V2/R3で表される。当該式において、R3は抵抗R3の抵抗値であり、V2は第2電源の基準電位に対する正側電源電圧の電圧値である。つまり、トランジスタQ2のコレクタ電流は、第2電源の基準電位に対する正側電源電圧を電流に変換したものに相当する。
【0029】
電流電圧変換部8は、カレントミラー回路7から供給される電流を第1電源1の接地電位GNDに対する電圧に変換し、スイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bに供給する。つまり、電流電圧変換部8により、第2電源の基準電位に対する正側電源電圧は、第1電源の基準電位に対する電圧に変換される(基準電位の変換が行われる)。電流電圧変換部8は、抵抗R5を含む。抵抗R5は、一端が第1電源1の接地電位ラインGNDに接続され、他端がトランジスタQ2のコレクタと、スイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bとに接続されている。従って、電流電圧変換部8は、V2・R5/R3の電圧を生成し、スイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bに供給する。当該式においてR5は抵抗R5の抵抗値である。
【0030】
スイッチングコントローラ2は、帰還入力端子2bに供給される電圧に応じて、スイッチ素子3のオン期間(つまりデューティ比)を制御する。スイッチングコントローラ2は、第1電源1の接地電位GNDに対して、帰還入力端子2bに入力される電圧が第2所定電圧(例えば1.2V)となるように、スイッチ素子3に出力する制御信号を調整する。つまり、帰還入力端子2bに入力される電圧が第2所定電圧よりも低い場合、スイッチングコントローラ2は、第2電源の正側電源電圧が第1所定電圧よりも低いと判断し、第2電源の正側電源電圧を増加させるために、スイッチ素子3のオン期間を長くするように制御信号を調整する。一方、帰還入力端子2bに入力される電圧が第2所定電圧よりも高い場合、スイッチングコントローラ2は、第2電源の正側電源電圧が第1所定電圧よりも高いと判断し、第2電源の正側電源電圧を減少させるために、スイッチ素子3のオン期間が短くなるように制御信号を調整する。
【0031】
以下、実際の数値を用いて説明する。抵抗R3の抵抗値を5kΩ、抵抗R5の抵抗値を1.2kΩ、第2電源の基準電位に対する正側電源電圧V2の第1所定電圧を5Vと設定する。第1所定電圧が正常な電圧である5Vのとき、カレントミラー回路7から出力される電流の値は、5V/5kΩ=1mAであり、スイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bに供給される電圧は、1mA×1.2kΩ=1.2Vであり、第2所定電圧になっている。
【0032】
ここで、第2電源の正側電源電圧が6Vに上昇すると、カレントミラー回路7から出力される電流の値は、6V/5kΩ=1.2mAであり、スイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bに供給される電圧は、1.2mA×1.2kΩ=1.44Vであり、第2所定電圧である1.2Vよりも高くなる。従って、スイッチングコントローラ2は、スイッチ素子3のオン期間を短くすることにより、第2電源の正側電源電圧を第1所定電圧である5Vに近づけるように動作する。
【0033】
一方、第2電源の正側電源電圧が4Vに低下すると、カレントミラー回路7から出力される電流の値は、4V/5kΩ=0.8mAであり、スイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bに供給される電圧は、0.8mA×1.2kΩ=0.96Vであり、第2所定電圧である1.2Vよりも低くなる。従って、スイッチングコントローラ2は、スイッチ素子3のオン期間を長くすることにより、第2電源の正側電源電圧を第1所定電圧である5Vに近づけるように動作する。
【0034】
以上のように、本実施形態によると、第2電源の基準電位と、スイッチングコントローラ2に供給される第1電源の基準電位とが異なっているにもかかわらず、フォトカプラを使用することなく、第2電源の正側電源電圧をスイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bに帰還させ、第2電源の正側電源電圧を第1所定電圧に維持および安定化させることができる。これは、カレントミラー回路7によって、第2電源の正側電源電圧を一旦電流に変換することで基準電位の影響を無くし、電流電圧変換部8によって再度、第1電源電圧の基準電位に対する電圧に変換して、スイッチングコントローラ2に供給しているからである。
【0035】
図2は、本発明の別の好ましい実施形態による電源回路200を示す回路ブロック図である。電源回路200によると、カレントミラー回路7’は、抵抗R3とトランジスタQ2のエミッタとの間に定電圧素子であるツェナーダイオードD2をさらに含む。ツェナーダイオードD2を有することによって、第2電源の正側電源電圧をスイッチングコントローラ2に帰還させる際の感度を上昇させることができる。
【0036】
例えば、ツェナーダイオードD2のツェナー電圧が4.9Vであり、抵抗R3の抵抗値が100Ωであるとする。第2電源の正側電源電圧が5Vから5.1Vに増加すると、カレントミラー回路7’からの電流の値は、(5.1V−4.9V)/100Ω=2mAとなるので、スイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bに供給される電圧は、2mA×1.2kΩ=2.4Vとなる。このように、第2電源の正側電源電圧の微少な変動に対して、スイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bには大きな電圧の変化を与えることができる。一方、図1の電源回路では、第2電源の正側電源電圧が5Vから5.1Vに増加すると、カレントミラー回路7からの電流の値は、5.1V/5kΩ=1.02mAとなるので、スイッチングコントローラ2の帰還入力端子2bに供給される電圧は1.02mA×1.2kΩ=2.04Vとなる。以上のように、図2の電源回路200の方が、第2電源の正側電源電圧の微少な変動に応じて、スイッチングコントローラ2が即座にスイッチ素子のオン期間を制御することができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、例えばオーディオ用の電源回路に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0039】
1 第1電源
2 スイッチングコントローラ
3 スイッチ素子
4 スイッチングトランス
5 基準電位生成部
6 第2電源生成部
7 カレントミラー回路
8 電流電圧変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正側電源電圧と基準電位とを含む単電源である第1電源と、正側電源電圧と、前記第1電源の基準電位とは異なる基準電位とを含む単電源である第2電源とを備える電源回路であって、
前記第1電源の正側電源電圧と基準電位とによって動作され、帰還入力端子に入力される電圧に応じて、スイッチ素子をオンオフ制御するスイッチングコントローラと、
前記スイッチングコントローラによってオンオフ制御される前記スイッチ素子と、
前記スイッチ素子が一次巻線に接続され、前記スイッチ素子のオンオフ動作によって二次巻線に電圧を生成するスイッチングトランスと、
前記第1電源の正側電源電圧を分圧して前記第2電源の基準電位を生成する基準電位生成部と、
前記スイッチングトランスの二次巻線の電圧を受けて、前記第2電源の正側電源電圧を生成する電圧生成部と、
前記第2電源の基準電位に対する正側電源電圧を電流に変換して出力するカレントミラー回路と、
前記カレントミラー回路からの電流を前記第1電源の基準電位に対する電圧に変換して前記スイッチングコントローラの前記帰還入力端子に供給する電流電圧変換部とを備える、電源回路。
【請求項2】
前記カレントミラー回路が、第1トランジスタ、第2トランジスタおよび第1抵抗を含み、
前記第1トランジスタの制御端子が、前記第2トランジスタの制御端子に接続され、
前記第1トランジスタの第1端子が、前記第1抵抗を介して前記電圧生成部の出力に接続され、
前記第1トランジスタの第2端子が、前記電流電圧変換部に接続され、
前記第2トランジスタの第1端子が、前記第2電源の基準電位に接続され、
前記第2トランジスタの第2端子が、前記第1電源の基準電位に接続されている、請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記電流電圧生成部が、前記第1電源の基準電位と前記第1トランジスタの第2端子との間に接続されている第2抵抗を含み、
前記第1抵抗の抵抗値をR1、前記第2抵抗の抵抗値をR2、前記第2電源の基準電位に対する正側電源電圧をV2とすると、V2・R2/R1の電圧が前記スイッチングコントローラの前記帰還入力端子に供給され、
前記スイッチングコントローラが、前記帰還入力端子に供給される電圧が所定電圧になるように前記スイッチ素子をオンオフ制御する、請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記カレントミラー回路が、前記第1抵抗と前記第1トランジスタの第1端子との間に接続された定電圧素子をさらに含む、請求項2に記載の電源回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−228071(P2012−228071A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93583(P2011−93583)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】