説明

電源安定化装置

【課題】本発明は、二次電池の放電や釣り船の運転操作などの種々の原因により供給される電力が変動した場合であっても、電動リールの性能を発揮させかつ電動リールの駆動部品等の電気素子の破損を防ぐことを目的とする。
【解決手段】本発明に係る電源安定化装置91は、電源81からの電力を電動リール82に供給する電源安定化装置91であって、電源81からの電力を蓄電する電気二重層キャパシタ12を備えることを特徴とする。又、本発明に係る電源安定化装置91は、電源からの電力を蓄電する電気二重層キャパシタ12に加え、電源からの不安定な電力を一定電圧に変換するDC/DCコンバータ11をさらに備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣り用電動リールに供給される電力を安定させることにより、魚釣り用電動リールの操作性及び機動性を向上させる電動リール用の電源安定化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣り用電動リールに供給される電力は、鉛電池やリチウムイオン電池などの二次電池を使用したり、釣り船の電装用電源から供給を受けたりしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、二次電池の場合は、蓄電可能な容量に制限があり、また、放電に伴い電圧が低下する特性を有する。このため、二次電池を電源に用いて電動リールを使用する場合、電動リールの性能を最大限に発揮させることは難しかった。一方、釣り船に装備される電源から電力の供給を受けた場合、釣り船の運転操作や船装備の他の電気機器のスイッチ操作などに伴い電圧が変動するので、電動リールに適した電力が安定して供給されず、電動リールの性能が低下したり、電子制御部品等が損なわれる場合があった。さらに、時としては、過電圧により電動リールの駆動部品等の電気素子の破損を招くこともあった。又、配電経路が場所によってはかなり長くなり、配線のための電線長に比例した電気抵抗により電圧降下が生じ、十分な電圧が電動リールに供給されず、内蔵されたマイコンが機能しないこともある。
【特許文献1】特開平9−9839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池の放電や釣り船の運転操作などの種々の原因により供給される電力が変動した場合であっても、安定した電力の供給を可能として電動リールの性能を低下させることなく充分発揮させたり、電動リールの駆動部品等の電気素子の破損を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、外部電源からの電力を安定化して電動リールに供給する電源安定化装置であって、電源からの電力を蓄電する電気二重層キャパシタを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明により、電源から供給される電力が過剰であれば電気二重層キャパシタが蓄電し、電源から供給される電力が不足したときには電気二重層キャパシタが放電するので、電動リールの使用に適した電力を電動リールに安定して供給することができる。
【0007】
又、本発明に係る電源安定化装置は、電力供給側の出力用端子にアレスタを設けることが好ましい。船に装備される電源から発生する過電圧や電源サージ或いは雷サージによる、電動リールの駆動部品の破損を防ぐことができる。又、本発明に係る電源安定化装置は、入力用端子にアレスタを設けることが好ましい。船に装備される電源から発生する過電圧や電源サージ或いは雷サージによる、電源安定化装置及び電動リールの駆動部品の破損を防ぐことができる。
【0008】
又、本発明に係る電源安定化装置は、電源からの電力を蓄電する電気二重層キャパシタに加え、電源からの電力を一定電圧に変換するDC/DCコンバータをさらに備えることを特徴とする。DC/DCコンバータが一定電圧に変換するので、電動リールの使用に適した電圧で電動リールに電力供給することができる。又、DC/DCコンバータの変換する前記一定電圧を、電気二重層キャパシタの耐電圧未満とすることができる。又、電源よりも電気二重層キャパシタの電位が高くなった場合の、電気二重層キャパシタから電源への逆流を防ぐことができる。
【0009】
又、本発明に係る電源安定化装置は、電源からの電力を蓄電する電気二重層キャパシタに加え、電源からの電力を一定電圧に昇圧変換するアップコンバータをさらに備えることを特徴とする。アップコンバータが一定電圧に昇圧変換するので、電動リールの性能を発揮させるために十分な電圧で安定して電力供給することができる。
【0010】
又、本発明に係る電源安定化装置は、電源からの電力を蓄電する電気二重層キャパシタ及び電源からの電力を一定電圧に昇圧変換するアップコンバータに加え、ダウンコンバータと、アップコンバータとダウンコンバータとを切り替えるスイッチと、スイッチを制御するコンバータ制御回路と、をさらに備えることが好ましい。電気二重層キャパシタの電圧が低いときはダウンコンバータのみが動作するので、電気二重層キャパシタが仮想ショート状態であっても、電気二重層キャパシタに効率的に蓄電させることができる。一方、アップコンバータから電気二重層キャパシタへの電力供給が可能な状態になれば、スイッチの切り替えによってアップコンバータが動作するので、電動リールの性能を発揮させるために十分な電圧で安定して電力供給することができる。
【0011】
又、本発明に係る電源安定化装置は、ダウンコンバータが、ダウンコンバータへの流入電流を制限する電流制限回路をさらに備えることが好ましい。電流制限回路がダウンコンバータへの流入電流を制限するので、電気二重層キャパシタが仮想ショート状態であっても、電気二重層キャパシタへの過電流を抑制しつつ電気二重層キャパシタに蓄電させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源から供給される電力が過剰であれば電気二重層キャパシタが蓄電し、電源から供給される電力が不足したときには電気二重層キャパシタが放電するので、電動リールの使用に適した電力を安定して電動リールに供給することができる。これにより、二次電池の放電や釣り船の運転操作などの種々の原因により供給される電圧が変動した場合であっても、電動リールの性能を低下させることなく充分発揮させたり、電動リールの駆動部品等の電気素子の破損を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る電源安定化装置の一例を示す回路図である。電源安定化装置91は、入力用端子21a、21bと、出力用端子22a、22bと、電気二重層キャパシタ12と、DC/DCコンバータ11と、を備える。電気二重層キャパシタ12は、DC/DCコンバータ11と並列に、出力用端子22a及び出力用端子22bに接続される。電源安定化装置91は、電源81と電動リール82の間に接続され、電源81からの電力を電動リール82に供給する。
【0014】
電源81は、船に装備される直流電源である。例えば、電源81は、船舶の推進用エンジンで駆動される船電源や、船上に持ち込まれた二次電池である。電源安定化装置91は安定した電力を電動リール82に供給するので、バッテリー切れとなる心配のない船電源を用いることが好ましい。船が船着場から漁場へ到着するまでは電動リール82は使用しないので、船着場から電気二重層キャパシタ12への電力供給を開始すれば、漁場の到着までには充電を完了させることができる。又、船電源はGPSや魚群探知機などの補機が常時接続されており、船電源から供給される電力は不安定である。船電源から供給される電力を電気二重層キャパシタ12が蓄電することで、船電源からの電力が変動したり、船電源からの電力供給が突然停止した場合でも、電動リール82を使用し続けることができる。
【0015】
入力用端子21a、21bは、電源81からの電力が入力される。船電源の電圧は、通常所定の範囲内で変動するが、サージ電圧が生じたり、動作を停止したりする場合がある。入力用端子21a、21bは、このような船電源の電圧の変動に耐えられるものが好ましい。例えば、入力用端子21a、21bは、15V以上の電圧に耐えられるものが好ましい。
【0016】
電源安定化装置91は、図1に示すように、電気二重層キャパシタ12と入力用端子21a、21bとの間にDC/DCコンバータ11を備えることが好ましい。DC/DCコンバータ11は、入力用端子21a、21bに入力された電源81からの直流電圧を、予め定められた一定値の直流電圧に変換する。入力用端子21a、21bに入力された電源81からの過電圧はDC/DCコンバータ11が阻止するので、電動リール82への過電圧を防止することができる。又、電気二重層キャパシタ12よりも入力用端子21a、21bの電圧が下回った場合でも、出力用端子22a、22b側から入力用端子21a、21bへの電流の逆流を阻止するので、電源81の破損を防止することができる。
【0017】
DC/DCコンバータ11は、電動リール82に適した電圧に変換することが好ましい。又、電動リール82の性能を最大限に利用するため、DC/DCコンバータ11は、入力用端子21a、21bから入力された電圧を昇圧することが好ましい。例えば、入力用端子21a、21bから入力された8V以上15V以下の直流電圧を直流電圧16.6Vに変換することが好ましい。電動リール82のモーター効率を上げ、電動リール82を安定に高速かつ高トルクで駆動することができる。
【0018】
電気二重層キャパシタ12は、入力用端子21a、21bに入力された電力を蓄電する。図1に示すように、入力用端子21a、21bと電気二重層キャパシタ12との間にDC/DCコンバータ11が設けられる場合は、電気二重層キャパシタ12は、DC/DCコンバータ11の出力する電力を蓄電する。電気二重層キャパシタ12の電力供給側には出力用端子22a、22bが接続されており、出力用端子22a、22bから電動リール82に電力を供給する。このため、電気二重層キャパシタ12の蓄電容量は、電動リール82を駆動するための電力を供給可能であることが好ましい。電動リール82の使用電力がDC/DCコンバータ11の出力電力を上回る場合や、電源81の電源電圧の低下や短時間の接触不良などにより電源81からの電力供給が絶たれた場合であっても、電気二重層キャパシタ12に蓄電されている電力を電動リール82に供給することで、電動リール82を安定に動作させることができる。又、電源81からのサージ電圧が入力用端子21a、21bに入力されても電気二重層キャパシタ12がサージ電圧を吸収するので、電動リール82の故障を回避することができる。
【0019】
電気二重層キャパシタ12の耐圧は、出力用端子22a、22bに印加される電圧、例えば、DC/DCコンバータ11の定格出力電圧よりも高いことが好ましい。又、電気二重層キャパシタ12の耐圧が低い場合は、電気二重層キャパシタ12を直列に接続して耐圧を高めることが好ましい。出力用端子22a、22bに印加される電圧、例えば、DC/DCコンバータ11の定格出力電圧が16.6V以上であれば、電気二重層キャパシタ12の耐圧は16.6V以上であることが必要である。又、電動リール82の使用電力が電気二重層キャパシタ12の1個あたりの蓄電容量よりも大きい場合は、電気二重層キャパシタ12を並列に接続し、全体としての蓄電容量を大きくしておくことが好ましい。
【0020】
出力用端子22a、22bからは、安定した電圧の電力が電動リール82に出力される。入力用端子21a、21bに入力される電力が電動リール82の安定動作のために十分である場合には、DC/DCコンバータ11の出力する電力が出力用端子22a、22bから出力される。入力用端子21a、21bに入力される電力が電動リール82の安定動作のために必要な電力を下回る場合には、DC/DCコンバータ11の出力する電力及び電気二重層キャパシタ12の蓄電している電力が、出力用端子22a、22bから出力される。例えば、電源81の動作が停止した場合には、出力用端子22a、22bからは、電気二重層キャパシタ12に蓄電されている電力が電動リール82に出力される。本実施形態ではDC/DCコンバータ11を備えるので、出力用端子22a、22bから出力される電力を一定にすることができる。出力用端子22a、22bと電動リール82との接続は、電動リール82の可搬性を高めるため、コネクタ接続であることが好ましい。コネクタは、耐水性及び耐振動性のあるものが好ましい。例えば、出力用端子22a、22bには、コネクタの周囲を取り囲み、コネクタの接続部分の浸水を防ぐ防水カバーが設けられていることが好ましい。
【0021】
電源安定化装置91は、アレスタ(不図示)をさらに備えることが好ましい。出力用端子22a、22bにアレスタが設けられていれば、船の装備の直流電源81に繋がる電気系統の中で発生する過渡現象による過電圧を、出力用端子22a、22bから電動リール82へ出力させない。これにより、電動リール82の駆動部品等の電動リール82に搭載される電気素子が、船に装備される電源81から発生する過電圧や電源サージ或いは雷サージによって破損することを防ぐことができる。又、アレスタは、入力用端子21a、21bに設けられていることが好ましい。アレスタがDC/DCコンバータ11や電気二重層キャパシタ12などの電源安定化装置91に含まれる素子のインパルス性耐電圧よりも高い電圧を制限することで、船に装備される電源81から発生する過電圧や電源サージ或いは雷サージによる電源安定化装置91及び電動リール82の駆動部品等の電気素子の破損を防ぐことができる。
【0022】
なお、電源安定化装置91は、船上で利用されるため、揺れても安定な横型の箱形状のものが好ましい。また、電源安定化装置91の筺体は、落下時の衝撃を吸収することが好ましい。また、船上での設置場所から滑らないよう、表面には滑りにくい処理が施されていることが好ましい。例えば、電源安定化装置91の筺体は、エラストマ樹脂で形成されていることが好ましい。また、電源安定化装置91の筺体は水洗い可能であることが好ましい。また、電源安定化装置91は、水中に落下した場合でも回収可能であるよう水に浮くことが好ましく、電源安定化装置91の比重は1以下であることが好ましい。
【0023】
電源安定化装置91の動作について、図1を用いて説明する。船着場からの出港時に、入力用端子21a、21bが船に装備される電源81に接続され、電気二重層キャパシタ12への蓄電が開始される。漁場に着くまでは電動リール82を使用しないので、出港時に入力用端子21a、21bを電源81に接続しておけば、漁場に着くまでの間に電気二重層キャパシタ12への充電を完了することができる。
【0024】
船が漁場へ到着し、電動リール82を使用する際には、出力用端子22a、22bから電圧の安定化した電力を電動リール82に供給する。電動リール82の使用時には、電気二重層キャパシタ12に十分な電力が蓄電されているので、DC/DCコンバータ11及び電気二重層キャパシタ12が電源81から供給される電圧を安定化させ、電動リール82の使用に適した電圧の十分な電力を電動リール82に供給することができる。例えば、船電源が不安定になった場合のように、漁場に到着して電動リール82を使用しているときに電源81からの供給電力が不足した場合でも、電気二重層キャパシタ12が蓄電している電力を放電して、電動リール82に電力を供給する。電動リール82への供給電圧が安定しているので、船電源を電源81に用いた場合であっても、電動リール82の性能を最大限に発揮しながら安定して使用することができる。又、電源81が二次電池の場合でも、二次電池からの電力を電気二重層キャパシタ12に蓄電して電動リール82に供給することができるので、二次電池の容量の低下による電動リール82への出力電圧の低下を防ぐことができる。特に、リールを巻き上げる際の電動リール82の初動時には、電源安定化装置91の供給すべき電力がゼロから一気に上昇する。このとき、電気二重層キャパシタ12に蓄電してある電力を一気に放電させることができるので、リールの巻き上げのタイミングを逃すことなくリールを巻上げることができる。
【0025】
(実施形態2)
図2は、本実施形態に係る電源安定化装置の一例を示す回路図である。図2に示す電源安定化装置92は、図1で説明したDC/DCコンバータ11に代えて、アップコンバータ13と、ダウンコンバータ14と、スイッチ15と、コンバータ制御回路16と、を備える。又、電源安定化装置92は、電源安定化装置91と同様、入力用端子21a、21b又は出力用端子22a、22bに、アレスタ(不図示)を設けることが好ましい。
【0026】
アップコンバータ13は、入力用端子21a、21bから入力された電源81からの直流電圧を予め定められた一定値の直流電圧に昇圧変換する。アップコンバータ13は、昇圧変換した電源81の電力を、電力供給側の出力用端子22a、22bから電動リール82に供給する。アップコンバータ13は、電源81からの直流電圧を昇圧変換するので、電動リール82のモーター効率を上げることができる。又、電源81から電動リール82への供給が過電圧となる場合であっても、アップコンバータ13が一定値の直流電圧に変換するので、電動リール82への過電圧を防止することができる。アップコンバータ13は、入力用端子21a、21bから入力された直流電圧8V以上15V以下を、直流電圧16.6Vに変換することが好ましい。
【0027】
又、アップコンバータ13は、図2に示すように、電気二重層キャパシタ12と入力用端子21a、21bとの間に接続されていることが好ましい。入力用端子21a、21bの電圧が電気二重層キャパシタ12よりも負圧になった場合でも、出力用端子22a、22b側から入力用端子21a、21bへの電流の逆流を阻止し、電気二重層キャパシタ12の蓄電している電力の電源81への逆流を防止することができる。
【0028】
図3は、アップコンバータの基本構成を示す等価回路図である。アップコンバータ13は、コイル33と、スイッチ34と、ダイオード35と、を備える。スイッチ34がオンの状態では、コイル33に電力が蓄えられる。この状態では、コイル33の入力側がプラスの電位、コイル33の出力側がマイナスの電位となる。スイッチ34がオフの状態では、コイル33は蓄えた電力を放出する。この状態では、コイル33の出力側がプラスの電位、コイル33の入力側がマイナスの電位になる。スイッチ34はオフなので電流はダイオード35を通して、コイル33の電力は電気二重層キャパシタ12に供給される。このとき、電動リール82がオンの状態であれば、コイル33の電力は電動リール82にも供給される。スイッチ34が再びオンの状態になると、コイル33に電力が蓄えられる。このとき、電動リール82がオンの状態であれば、電気二重層キャパシタ12に蓄えられた電力が電動リール82に電力が供給される。電気二重層キャパシタ12に蓄えられた電力は、ダイオード35によって、スイッチ34には流れない。
【0029】
図2に示すダウンコンバータ14は、入力用端子21a、21bに入力された電源81からの直流電圧を、予め定められた一定値の直流電圧に降圧変換する。一定値は入力用端子21a、21bに入力される電圧よりも低いか、同程度である。ダウンコンバータ14が降圧変換することで、電気二重層キャパシタ12に蓄電されていない状態であっても、電気二重層キャパシタ12への過電流を抑制しつつ電気二重層キャパシタ12に蓄電させることができる。
【0030】
又、ダウンコンバータ14は、図2に示すように、入力用端子21a、21bと電力供給側との間を接続していることが好ましい。これにより、入力用端子21a、21bの電圧が電気二重層キャパシタ12よりも負圧になった場合でも、出力用端子22a、22b側から入力用端子21a、21bへの電流の逆流を阻止し、電気二重層キャパシタ12の蓄電している電力の電源81への逆流を防止することができる。
【0031】
図4は、ダウンコンバータの基本構成を示す等価回路図である。ダウンコンバータ14は、コイル33と、ダイオード35と、スイッチ38と、を備える。スイッチ38がオンの状態では、入力用端子21a、21bからの入力電力は、コイル33を通して、電気二重層キャパシタ12に供給される。通常、ダウンコンバータ14の動作時にはまだ漁場に到着していないので、電動リール82はオフの状態にあり、電力は供給されない。このため、コイル33および電気二重層キャパシタ12に電力が蓄えられる。この状態では、コイル33の入力側がプラス、コイル33の出力側がマイナスの電位になる。スイッチ38がオフになると、コイル33は蓄えた電力を放出する。この状態では、コイル33の出力側がプラスの電位、コイル33の入力側がマイナスの電位になる。このとき、コイル33に蓄えられた電力は、電気二重層キャパシタ12に電力を供給される。再び、スイッチ38がオンの状態になると、コイル33および電気二重層キャパシタ12に電力が蓄えられる。
【0032】
図4に示すように、ダウンコンバータ14は、ダウンコンバータ14への流入電流を測定し、前記流入電流が予め定められた一定値を超えたときに前記流入電流を制限する電流制限回路18を備えることが好ましい。電流制限回路18は、ダウンコンバータ14の入力側に接続され、ダウンコンバータ14へ流入する電流を測定する。そして、電流制限回路18は、測定した電流が予め定められた一定値を超えたときに、スイッチ38をオフにして、ダウンコンバータ14へ流入させる電流を制限する。図4では、ダウンコンバータ14の入力側に直列に接続されている抵抗41での電圧降下を検出することで、電流制限回路18がダウンコンバータ14への流入電流を測定する例を示した。電気二重層キャパシタ12が蓄電されていない初期状態では、電気二重層キャパシタ12が仮想ショート状態であり、電気二重層キャパシタ12への電流が過電流となりやすい。このため、電流制限回路18がダウンコンバータ14への電流流入を制限することで、電気二重層キャパシタ12の電圧が低い場合でも、直流電圧を降圧変換して電気二重層キャパシタ12に蓄電させることができる。ここで、一定値は、例えば、電気二重層キャパシタ12又は電源81が過電流で破壊されないような電流値である。又、一定値は、入力用端子21a、21bに入力された電圧と電気二重層キャパシタ12の電圧とが等しくなる値である。又、一定値は、釣りの準備をする時間内に電気二重層キャパシタ12が蓄電される電流量以上であることが好ましい。釣りの準備は、例えば、船が船着場を出てから漁場へつくまでの時間である。
【0033】
図2に示すスイッチ15は、電源81とアップコンバータ13との接続をオン又はオフする。スイッチ15がオンの状態では、入力用端子21a、21bがアップコンバータ13及びダウンコンバータ14と接続される。スイッチ15がオフの状態では、入力用端子21a、21bとアップコンバータ13との接続はオフであり、入力用端子21a、21bはダウンコンバータ14のみと接続される。
【0034】
コンバータ制御回路16は、ダウンコンバータ14の入出力間の電圧を測定し、入出力間の電圧が一定値を下回ったときにスイッチ15をオンにし、入出力間の電圧が一定値以上であるとスイッチ15をオフにする。入出力間の電圧は、例えば、電源81の定格出力電圧とダウンコンバータ14の定格出力電圧の差分である。一定電圧は、予め定められた電圧である。一定電圧は、例えば、ダイオード1個分の電圧、又は、ゼロである。
【0035】
電源安定化装置92の動作について、図2を用いて説明する。電源安定化装置92の動作は前述の電源安定化装置91と同様であるが、電源安定化装置91におけるDC/DCコンバータ11が、電源安定化装置92ではアップコンバータ13又はダウンコンバータ14である点で相違する。以下、アップコンバータ13及びダウンコンバータ14を中心に、図2及び図4を用いて説明する。
【0036】
電気二重層キャパシタ12への蓄電が開始されるときに、電気二重層キャパシタ12の電圧がゼロの場合、図2に示すコンバータ制御回路16はスイッチ15をオフにする。この状態では、入力用端子21a、21bからの電流はダウンコンバータ14へ流れる。入力用端子21a、21bから入力された電力は、ダウンコンバータ14で降圧変換され、電気二重層キャパシタ12に蓄電される。電気二重層キャパシタ12の電圧がゼロの場合は、電気二重層キャパシタ12への流入電流が過電流となりやすい。しかし、図4に示す電流制限回路18がダウンコンバータ14への流入電流を制限するので、電気二重層キャパシタ12が仮想ショート状態であっても、過電流を抑制することができる。漁場に着くまでは電動リール82を使用しないので、電気二重層キャパシタ12の電圧がゼロの場合であっても、出港時に入力用端子21a、21bを電源81に接続し、ダウンコンバータ14を用いて電気二重層キャパシタ12への蓄電を開始し、漁場に着くまでの間に電気二重層キャパシタ12への充電することができる。
【0037】
図2に示すコンバータ制御回路16は、ダウンコンバータ14への入力電圧とダウンコンバータ14からの出力電圧との電位差を測定し、電位差が一定値を下回る一定範囲内になったことを判定する。そして、ダウンコンバータ14の入出力間の電圧が一定値を下回ったときにスイッチ15をオンにする。ダウンコンバータ14の入出力間の電圧が一定値を下回ったときとは、ダウンコンバータ14が電流を出力しなくなるときである。この状態では、入力用端子21a、21bからの電流は、ダウンコンバータ14へは流れずにアップコンバータ13へ流れる。入力用端子21a、21bから入力された電力は、アップコンバータ13で昇圧変換され、電気二重層キャパシタ12に蓄電される。ダウンコンバータ14からアップコンバータ13に切り替わった後は、電源安定化装置91と同様であるが、アップコンバータ13が昇圧変換した電力を電気二重層キャパシタ12及び電動リール82に供給するので、電動リール82の性能を発揮させるのに十分な電圧の電力を、電動リール82に安定して供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、船に装備される電源からの電力を安定化して電動リールに供給するので、釣具用の電源として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施形態1に係る電源安定化装置の一例を示す回路図である。
【図2】実施形態2に係る電源安定化装置の一例を示す回路図である。
【図3】アップコンバータの基本構成を示す等価回路図である。
【図4】ダウンコンバータの基本構成を示す等価回路図である。
【符号の説明】
【0040】
11 DC/DCコンバータ
12 電気二重層キャパシタ
13 アップコンバータ
14 ダウンコンバータ
15、34、38 スイッチ
16 コンバータ制御回路
18 電流制限回路
21a、21b 入力用端子
22a、22b 出力用端子
33 コイル
35 ダイオード
41 抵抗
81 電源
82 電動リール
91、92 電源安定化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船に装備される直流電源出力部からの電力が入力される入力用端子と、
前記入力用端子に入力される電力を蓄電する電気二重層キャパシタと、
前記入力用端子に入力される電力及び前記電気二重層キャパシタの蓄電する電力を、安定した電圧で電動リールに出力する出力用端子と、を備える電源安定化装置。
【請求項2】
前記入力用端子又は前記出力用端子にアレスタが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電源安定化装置。
【請求項3】
直流電源からの直流電圧を予め定められた一定値の直流電圧に変換して電力供給側から電動リールに電力を供給するDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータの前記電力供給側に前記DC/DCコンバータと並列に接続され、前記DC/DCコンバータから供給される電力を蓄電し、前記電動リールに電力を供給する電気二重層キャパシタと、
を備えることを特徴とする電源安定化装置。
【請求項4】
直流電源からの直流電圧を予め定められた一定値の直流電圧に昇圧変換して電力供給側から電動リールに電力を供給するアップコンバータと、
前記アップコンバータの前記電力供給側に前記アップコンバータと並列に接続され、前記アップコンバータから供給される電力を蓄電し、前記電動リールに電力を供給する電気二重層キャパシタと、
を備えることを特徴とする電源安定化装置。
【請求項5】
前記直流電源と前記アップコンバータとの接続をオン又はオフするスイッチと、
前記直流電源と前記電力供給側との間を接続し、前記直流電源からの直流電圧を降圧変換して前記電気二重層キャパシタに電力を供給するダウンコンバータと、
前記ダウンコンバータの入出力間の電圧を測定し、前記入出力間の電圧が一定値を下回ったときに前記スイッチをオンにし、前記入出力間の電圧が前記一定値以上であると前記スイッチをオフにするコンバータ制御回路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の電源安定化装置。
【請求項6】
前記ダウンコンバータは、前記ダウンコンバータへの流入電流を測定し、前記流入電流が予め定められた一定値を超えたときに前記流入電流を制限する電流制限回路をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の電源安定化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−54598(P2008−54598A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236423(P2006−236423)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】