説明

電源装置、液晶駆動装置、液晶表示装置

【課題】電圧値の異なる2系統の出力電圧を生成する電源用ICで、ピンや外付け部品の増大を招くことなく、各出力電圧の起動/停止タイミングの不一致や電圧値の逆転を回避することが可能な電源装置、この電源装置を用いた液晶駆動装置及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】電源装置1は、入力電圧VIから出力電圧VO1を生成する昇圧回路10と、入力電圧VIから出力電圧VO1より低い出力電圧VO2を生成する降圧回路20とを有し、昇圧回路10は、出力電圧VO1に応じた帰還電圧Vfb1と所定の基準電圧Vrefを一致させるように出力電圧VO1の帰還制御を行い、降圧回路20は、出力電圧VO2に応じた帰還電圧Vfb2と帰還電圧Vfb1とを一致させるように出力電圧VO2の帰還制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧値の異なる2系統の出力電圧を生成する電源装置、並びに、これを用いた液晶駆動装置及び液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、液晶表示装置の一従来例を示すブロック図である。近年、本従来例の液晶表示装置で示すように、LCD[Liquid Crystal Display]パネル400にソース電圧を供給するソースドライバIC300の省エネ化や低発熱化を主目的として、電圧値の異なる2系統の電源電圧(昇圧電源IC100の出力電圧VO1(例えば15V)、及び、降圧電源IC200の出力電圧VO2(例えば7.5V))を用いて、ソースドライバIC300を駆動する方式が普及し始めている。
【0003】
例えば、ソースドライバIC300に含まれる駆動段(アンプ)のうち、半数については出力電圧VO1と出力電圧VO2との間で駆動され、残りの半数については出力電圧VO2とグランド電圧GNDとの間で駆動される。
【0004】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−171367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ソースドライバIC300は、これに入力される出力電圧VO1と出力電圧VO2との間で、各々の起動/停止タイミングの不一致(出力電圧VO1及びVO2のいずれか一方のみが出力されている状態など)や電圧値の逆転状態が一瞬でも発生すると、駆動段の耐圧が不足して破壊に至るおそれがあった。
【0007】
上記の課題について、図4を参照しながら具体的に説明する。図4は、従来課題を説明するためのタイムチャートであり、出力電圧VO1及びVO2の時間変化をグラフ化したものである。なお、出力電圧VO2については、異なる3種類の挙動として、実線(出力電圧VO1と完全にシンクロしている理想的な挙動)、一点鎖線(出力電圧VO1に比べて立ち上がりが鈍った場合の挙動)、及び、二点鎖線(出力電圧VO1よりも先に起動してしまった場合の挙動)が描写されている。
【0008】
昇圧電源IC100において、時刻t21以前には、入力電圧VI(例えば12V)が出力電圧VO1として出力されないように、ロードスイッチP1がオフされている。時刻t21において、ロードスイッチP1がオンされる際、ロードスイッチP1は、その導通度が徐々に大きくなるようにソフトオン制御される。その後、入力電圧VIの昇圧動作が開始されると、出力電圧VO1が入力電圧VIよりも高くなり、時刻t22において、出力電圧VO1はその目標値(例えば15V)に達する。
【0009】
一方、降圧電源IC200において、出力電圧VO2が実線の挙動を示す場合には、時刻t21において、出力電圧VO2の出力動作が開始され、時刻t22において、出力電圧VO2はその目標値(例えば7.5V)に達する。従って、出力電圧VO2が実線の挙動を示す限り、出力電圧VO1と出力電圧VO2との間で、各々の起動/停止タイミングの不一致や電圧値の逆転状態は生じず、延いては、ソースドライバIC300の耐圧不足が生じることもない。
【0010】
しかしながら、出力電圧VO2が一点鎖線の挙動を示した場合、すなわち、出力電圧VO2の立ち上がりが鈍り、出力電圧VO2が未だ目標値(7.5V)に達していない状態で、出力電圧VO1が先に目標値(15V)まで達した場合には、ソースドライバIC300に想定外の高電圧(例えば7.5V以上)が印加され、駆動段の耐圧が不足して破壊に至るおそれがあった。また、出力電圧VO2が二点鎖線の挙動を示した場合、つまり、出力電圧VO2が出力電圧VO1よりも先に起動してしまった場合には、ソースドライバIC300に想定外の逆流電流が流れて、過電流による破壊を生じるおそれがあった。
【0011】
上記破壊を回避するための最も単純な対策としては、ソースドライバIC300の駆動段を高耐圧化することが考えられる。しかし、このような回避策は、ソースドライバIC300のコストアップやチップサイズの大型化を招くため、最善の回避策とは言い難い。一方、昇圧電源IC100と降圧電源IC200との間で双方のソフトスタート挙動を完全にシンクロさせれば、ソースドライバIC300の駆動段を不要に高耐圧化することなく、上記破壊を回避することが可能となる。しかし、上記従来例の液晶表示装置では、出力電圧VO1及びVO2がそれぞれ別ICで生成されており、両電圧の起動シーケンスや停止シーケンスを高精度にマッチングさせるためには、各電源ICに外付けされているソフトスタート制御用のコンデンサCss1及びCss2を高精度化したり、或いは、これらのコンデンサを充電するためのチャージ電流を高精度化したりする必要があるため、各電源ICに余分なピンや外付け抵抗などの部品を追加しなければならなかった。
【0012】
本発明は、本願の発明者によって見い出された上記の問題点に鑑み、電圧値の異なる2系統の出力電圧を生成するに際して、ピンや外付け部品の増大を招くことなく、各出力電圧の起動/停止タイミングの不一致や電圧値の逆転を回避することが可能な電源装置、並びに、これを用いた液晶駆動装置及び液晶表示装置の提供を主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る電源装置は、入力電圧から第1出力電圧を生成する第1電源回路と;前記入力電圧から前記第1出力電圧より低い第2出力電圧を生成する第2電源回路と;を有し、前記第1電源回路は、前記第1出力電圧に応じた第1帰還電圧と所定の基準電圧とを一致させるように前記第1出力電圧の帰還制御を行い、前記第2電源回路は、前記第2出力電圧に応じた第2帰還電圧と前記第1帰還電圧とを一致させるように前記第2出力電圧の帰還制御を行う構成(第1の構成)とされている。
【0014】
なお、上記第1の構成から成る電源装置は、前記第1帰還電圧を増幅して前記第2電源回路に出力するゲインアンプを有する構成(第2の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第2の構成から成る電源装置において、前記ゲインアンプは、可変ゲインアンプである構成(第3の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る電源装置において、前記第1電源回路は第1出力トランジスタと;起動後緩やかに上昇するソフトスタート電圧を生成するソフトスタート電圧生成部と;前記基準電圧及び前記ソフトスタート電圧のいずれか低い方と前記第1帰還電圧から第1誤差電圧を生成する第1エラーアンプと;前記第1誤差電圧が小さくなるように前記第1出力トランジスタのオン/オフ制御を行う第1制御部と;を有する構成(第4の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第4の構成から成る電源装置において、前記第2電源回路は、第2出力トランジスタと;前記第1帰還電圧と前記第2帰還電圧から第2誤差電圧を生成するエラーアンプと;前記第2誤差電圧が小さくなるように前記第2出力トランジスタのオン/オフ制御を行う第2制御部と;を有する構成(第5の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第1〜第5いずれかの構成から成る電源装置において、前記第1電源回路は昇圧電源回路であり、前記第2電源回路は降圧電源回路である構成(第6の構成)にするとよい。
【0019】
また、本発明に係る液晶駆動装置は、上記第1〜第6いずれかの構成から成る電源装置と;前記第1出力電圧と前記第2出力電圧の供給を受けて液晶表示パネルのソース信号を生成するソースドライバ装置と;を有する構成(第7の構成)とされている。
【0020】
また、本発明に係る液晶表示装置は、上記第7の構成から成る液晶駆動装置と;前記液晶表示パネルと;を有する構成(第8の構成)とされている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電圧値の異なる2系統の出力電圧を生成するに際して、ピンや外付け部品の増大を招くことなく、各出力電圧の起動/停止タイミングの不一致や電圧値の逆転を回避することが可能な電源装置、並びに、これを用いた液晶駆動装置、及び、液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の一構成例を示すブロック図
【図2】出力電圧VO1及びVO2の起動シーケンスを示すタイムチャート
【図3】液晶表示装置の一従来例を示すブロック図
【図4】従来課題を説明するためのタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に係る液晶表示装置の一構成例を示すブロック図である。本構成例の液晶表示装置は、電源IC1と、ソースドライバIC2と、LCDパネル3と、を有するほか、電源IC1に外付けされるディスクリート部品として、インダクタL1及びL2と、ダイオードD1と、コンデンサC1、C2、及びCssと、抵抗R1及びR2と、Pチャネル型MOS[Metal Oxide Semiconductor]電界効果トランジスタP1と、を有する。
【0024】
電源IC1は、電圧値の異なる2系統の出力電圧VO1及びVO2を生成する半導体集積回路装置であり、昇圧回路10と、降圧回路20と、ゲインアンプ30と、を有する。また、電源IC1は、外部との電気的接続を確立するために、少なくともピンT1〜T7を有する。
【0025】
昇圧回路10は、入力電圧VI(例えば12V)を昇圧して出力電圧VO1(例えば15V)を生成する電源回路であり、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ11と、制御部12と、エラーアンプ13と、定電流源14と、直流電圧源15と、を有する。
【0026】
トランジスタ11は、制御部12によってオン/オフ制御される出力トランジスタである。トランジスタ11のドレインは、ピンT1に接続されている。トランジスタ11のソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタ11のゲートは、制御部12に接続されている。
【0027】
制御部12は、エラーアンプ13から出力される誤差電圧が小さくなるようにトランジスタ11のオン/オフ制御を行うロジック回路である。なお、制御部12の内部構成については、例えば、誤差電圧を三角波形状のスロープ電圧と比較することでPWM[Pulse Width Modulation]信号を生成し、このPWM信号を用いてトランジスタ11のゲート信号を生成する一般的な構成を採用すればよい。
【0028】
エラーアンプ13は、基準電圧Vref及びソフトスタート電圧Vssのいずれか低い方と帰還電圧Vfb1との差分を増幅することで誤差電圧を生成する。エラーアンプ13の第1非反転入力端(+)は、ピンT7に接続されている。エラーアンプ13の第2非反転入力端(+)は、直流電圧源15の正極端(基準電圧Vrefの印加端)に接続されている。直流電圧源15の負極端は、接地端に接続されている。エラーアンプ13の反転入力端(−)は、ピンT3に接続されている。
【0029】
定電流源14は、入力電圧VIの印加端とピンT7との間に接続され、ピンT7に外付けされるコンデンサCssの充電電流を生成する。従って、ピンT7には、電源IC1の起動後緩やかに上昇するソフトスタート電圧Vssが現れる。すなわち、定電流源14とコンデンサCssは、ソフトスタート電圧生成部として機能する。
【0030】
インダクタL1、ダイオードD1、及び、コンデンサC1は、昇圧回路10の出力段として機能する。インダクタL1の第1端は、入力電圧VIの印加端に接続されている。インダクタL1の第2端は、ピンT1に接続されている。ダイオードD1のアノードは、ピンT1に接続されている。ダイオードD1のカソードは、コンデンサC1の第1端に接続されている。コンデンサC1の第2端は、接地端に接続されている。
【0031】
トランジスタP1は、昇圧回路10の非駆動時において、入力電圧VIが出力電圧VO1として出力されないように、ソースドライバIC2への電力供給経路を導通/遮断するためのロードスイッチとして機能する。トランジスタP1のソース及びバックゲートは、コンデンサC1の第1端に接続されている。トランジスタP1のドレインは、ソースドライバIC2の第1電源入力端に接続されている。トランジスタP1のゲートは、ピンT2を介して制御部12に接続されている。
【0032】
抵抗R1及びR2は、出力電圧VO1を所定の分圧比(=R2/(R1+R2))で分圧することにより、出力電圧VO1に応じた帰還電圧Vfb1を生成する帰還電圧生成部として機能する。抵抗R1の第1端は、コンデンサC1の第1端に接続されている。抵抗R1の第2端は、ピンT3に接続されている。抵抗R2の第1端は、ピンT3に接続されている。抵抗R2の第2端は、接地端に接続されている。
【0033】
上記構成から成る昇圧回路10では、出力電圧VO1に応じた帰還電圧Vfb1と所定の基準電圧Vrefとを一致させるように、出力電圧VO1の帰還制御が行われる。
【0034】
降圧回路20は、入力電圧VIを降圧して出力電圧VO1より低い出力電圧VO2(例えば7.5V)を生成する電源回路であり、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ21及び22と、制御部23と、エラーアンプ24と、を有する。
【0035】
トランジスタ21は、制御部23によってオン/オフ制御される出力トランジスタである。トランジスタ21のドレインは、ピンT4に接続されている。トランジスタ21のソース及びバックゲートは、いずれもピンT5に接続されている。トランジスタ21のゲートは、制御部23に接続されている。
【0036】
トランジスタ22は、制御部23によってトランジスタ21とは相補的(排他的)にオン/オフ制御される同期整流トランジスタである。トランジスタ22のドレインは、ピンT5に接続されている。トランジスタ22のソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタ22のゲートは、制御部23に接続されている。なお、非同期整流方式を採用する場合、トランジスタ22に代えてダイオードを用いればよい。
【0037】
制御部23は、エラーアンプ24から出力される誤差電圧が小さくなるようにトランジスタ21及び22のオン/オフ制御を行うロジック回路である。なお、制御部23の内部構成については、制御部12と同様、例えば、誤差電圧を三角波形状のスロープ電圧と比較することでPWM信号を生成し、このPWM信号を用いてトランジスタ21及び22のゲート信号を生成する一般的な構成を採用すればよい。
【0038】
エラーアンプ24は、ゲインアンプ30を介して入力される昇圧回路10の帰還電圧Vfb1と、出力電圧VO2に応じた帰還電圧Vfb2との差分を増幅することで誤差電圧を生成する。エラーアンプ24の非反転入力端(+)は、ゲインアンプ30の出力端に接続されている。エラーアンプ24の反転入力端(−)は、ピンT6に接続されている。
【0039】
インダクタL2、及び、コンデンサC2は、降圧回路20の出力段として機能する。ピンT4は、入力電圧VIの印加端に接続されている。インダクタL2の第1端は、ピンT5に接続されている。インダクタL2の第2端は、コンデンサC2の第1端に接続されるとともに、ソースドライバIC2の第2電源入力端に接続されている。コンデンサC2の第2端は、接地端に接続されている。
【0040】
抵抗R3及びR4は、出力電圧VO2を所定の分圧比(=R4/(R3+R4))で分圧することにより、出力電圧VO2に応じた帰還電圧Vfb2を生成する帰還電圧生成部として機能する。抵抗R3の第1端は、コンデンサC2の第1端に接続されている。抵抗R3の第2端は、ピンT6に接続されている。抵抗R4の第1端は、ピンT6に接続されている。抵抗R4の第2端は、接地端に接続されている。
【0041】
上記構成から成る降圧回路20では、出力電圧VO2に応じた帰還電圧Vfb2と、ゲインアンプ30を介して入力される昇圧回路10の帰還電圧Vfb1とを一致させるように、出力電圧VO2の帰還制御が行われる。
【0042】
ゲインアンプ30は、昇圧回路10の帰還電圧Vfb1を増幅して降圧回路20のエラーアンプ24に出力する。なお、ゲインアンプ30としては、そのゲインNを任意に可変制御することが可能な可変ゲインアンプを用いることが望ましい。ただし、ゲインアンプ30は、本発明の実現に必須の構成要素ではなく、昇圧回路10の帰還電圧Vfb1を直接降圧回路20のエラーアンプ24に入力しても構わない。
【0043】
ソースドライバIC2は、電圧値の異なる2系統の出力電圧VO1及びVO2の供給を受けて画像データに応じた電圧値のソース信号(映像信号)を生成し、これをLCDパネル2の各画素(より正確には、LCDパネル3の各画素に接続されたアクティブ素子のソース端子)する半導体集積回路装置である。例えば、ソースドライバIC2に含まれる駆動段(アンプ)のうち、半数については出力電圧VO1と出力電圧VO2との間で駆動され、残りの半数については出力電圧VO2とグランド電圧GNDとの間で駆動される。このような駆動方式を採用することにより、駆動段を出力電圧VO1とグランド電圧GNDとの間で駆動する場合に比べて、ソースドライバIC2の省エネ化や低発熱化を実現することが可能となる。
【0044】
LCDパネル3は、ソースドライバIC2から供給されるソース信号の電圧値に応じて光透過率が変化する液晶素子を画素として用いたTFT[Thin Film Transistor]方式の映像出力手段である。
【0045】
図2は、出力電圧VO1及びVO2の起動シーケンスを示すタイムチャートである。先にも述べたように、本構成例の電源IC1では、異なる電圧値を有する2系統の出力電圧VO1及びVO2のうち、より電圧値の高い出力電圧VO1を生成する昇圧回路10の帰還電圧Vfb1を、より電圧値の低い出力電圧VO2を生成する降圧回路20のエラーアンプの非反転入力端(+)に入力し、これを降圧回路20の帰還電圧Vfb2と比較参照される基準電圧とみなして、出力電圧VO2の帰還制御を行う構成とされている。
【0046】
このような構成とすることにより、昇圧回路10が起動されて、出力電圧VO1(延いては帰還電圧Vfb1)が緩やかに上昇し始めると、これを基準電圧とする降圧回路20も同一のタイミングで起動され、昇圧回路10と完全にシンクロした形でソフトスタート動作が行われるので、ピンや外付け部品の増大を招くことなく、出力電圧VO1及びVO2に関する起動/停止タイミングの不一致や電圧値の逆転を回避することが可能となる。従って、ソースドライバIC2の耐圧を下げることができるので、ソースドライバIC2の低コスト化や小型化を実現することが可能となる。
【0047】
また、ゲインアンプ30を介して昇圧回路10の帰還電圧Vfb1を降圧回路20に出力する構成であれば、ゲインアンプ30のゲインNを可変制御することにより、出力電圧VO1の起動波形の傾きに対して、出力電圧VO2の起動波形の傾きを任意に調整することが可能となる。例えば、ソースドライバIC2の仕様やロードスイッチP1のタイミング制御に依ることなく、常に出力電圧VO2の方が出力電圧VO1よりも先に目標値に達するように、ゲインアンプ30のゲインNを調整しておけば、ソースドライバIC2に想定外の高電圧(例えば7.5V以上)が印加されることを未然に防止することができるので、ソースドライバIC2の耐圧を下げることが可能となる。
【0048】
なお、上記の実施形態では、TFT型液晶表示装置に搭載されるソースドライバIC2用の出力電圧VO1及びVO2を生成するための電源IC1に本発明を適用した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、2系統の出力電圧を生成するに際して、各々の起動/停止タイミングの不一致や電圧値の逆転を回避しなければならない電源装置全般に広く適用することが可能である。
【0049】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば、TFT型液晶表示装置に搭載されるソースドライバ用電源装置の信頼性を高める上で有用な技術である。
【符号の説明】
【0051】
1 電源IC
2 ソースドライバIC
3 LCDパネル
10 昇圧回路
11 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
12 制御部
13 エラーアンプ
14 定電流源
15 直流電圧源
20 降圧回路
21、22 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
23 制御部
24 エラーアンプ
30 ゲインアンプ
T1〜T7 ピン
L1、L2 インダクタ
C1、C2 コンデンサ
D1 ダイオード
R1〜R4 抵抗
P1 Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ(ロードスイッチ)
Css コンデンサ(ソフトスタート調整用)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧から第1出力電圧を生成する第1電源回路と;
前記入力電圧から前記第1出力電圧より低い第2出力電圧を生成する第2電源回路と;
を有し、
前記第1電源回路は、前記第1出力電圧に応じた第1帰還電圧と所定の基準電圧とを一致させるように前記第1出力電圧の帰還制御を行い、
前記第2電源回路は、前記第2出力電圧に応じた第2帰還電圧と前記第1帰還電圧とを一致させるように前記第2出力電圧の帰還制御を行うことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第1帰還電圧を増幅して前記第2電源回路に出力するゲインアンプを有することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記ゲインアンプは、可変ゲインアンプであることを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第1電源回路は、
第1出力トランジスタと;
起動後緩やかに上昇するソフトスタート電圧を生成するソフトスタート電圧生成部と;
前記基準電圧及び前記ソフトスタート電圧のいずれか低い方と前記第1帰還電圧から第1誤差電圧を生成する第1エラーアンプと;
前記第1誤差電圧が小さくなるように前記第1出力トランジスタのオン/オフ制御を行う第1制御部と;
を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項5】
前記第2電源回路は、
第2出力トランジスタと;
前記第1帰還電圧と前記第2帰還電圧から第2誤差電圧を生成するエラーアンプと;
前記第2誤差電圧が小さくなるように前記第2出力トランジスタのオン/オフ制御を行う第2制御部と;
を有することを特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第1電源回路は昇圧電源回路であり、前記第2電源回路は降圧電源回路であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電源装置と;
前記第1出力電圧と前記第2出力電圧の供給を受けて液晶表示パネルのソース信号を生成するソースドライバ装置と;
を有することを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液晶駆動装置と;
前記液晶表示パネルと;
を有することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−114977(P2012−114977A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259290(P2010−259290)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】