説明

電源装置

【課題】電源入力がオフした後、一定時間必要な電源出力を維持できる電源装置を提供することである。
【解決手段】入力電圧から第1の電圧へ変換する第1のコンバータ3と、該第1のコンバータからの第1の電圧を第2の電圧へ変換する第2のコンバータ4と、第1のコンバータから出力される第1の電圧と所定の基準電圧とを比較する電圧比較部46と、該電圧比較部により第1の電圧が所定の基準電圧より大きいとされるまでは第1の信号を出力し、第1の電圧が所定の基準電圧より大きいとされた後は第2の信号の出力を保持する電圧比較結果出力部47と、該電圧比較結果出力部から第1の信号が出力されている時、第2のコンバータを停止するよう制御し、電圧比較結果出力部から第2の信号が出力されている時、第2のコンバータを動作させるよう制御するコンバータ制御部48とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源入力がオフした後も一定時間、電源出力を維持することを可能にした電源装置に関する
【背景技術】
【0002】
現在の一般的なスイッチング電源の構成は、入力段にPFC(力率改善コンバータ:Power Factor Controller)、その後段にDC−DCコンバータを接続する構成で直流出力電圧を得る2コンバータ方式が主流となっている。この2つのコンバータはそれぞれ独立して起動・停止を行っている。
【0003】
しかし、例えば何らかの理由でPFCが停止した場合、このスイッチング電源は、PFC出力部に平滑コンデンサを用いているために、後段のDC−DCコンバータに対してはいわゆるコンデンサインプット型の入力電圧となる。この入力状態で後段のDC−DCコンバータが動作し続けると、力率改善が行われないまま動作しつづけることになるため、DC−DCコンバータは、高調波電流の増大、入力コンデンサの負担の増大が発生する事態となる。その結果、入力コンデンサの破損や、同じAC電源に接続される他の機器への悪影響を引き起こす可能性がある。
【0004】
この問題を解決するために、PFCのオン及びオフ動作の検知を行い、このPFCのオン及びオフ動作の検知結果に対応して後段のDC−DCコンバータの起動及び停止を制御する方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方で、医療用の機器のプロセッサ用電源のように、電源オフ後にデータを保存するため、「電源入力のオフ後、一定時間、電源出力を維持する機能」を要求されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−319655号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の方式では、例えば、電源スイッチをオフするとPFCの動作が停止(オフ)し、PFCのオフ動作に対応して後段のDC−DCコンバータも停止するため、「電源入力がオフした後、一定時間電源出力を維持する」要求を実現できないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記の問題に鑑み、医療用等の機器に用いられる2コンバータ方式の電源装置において、電源入力が停止した後、一定時間必要な電源出力を保持し続けることが可能な電源装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による電源装置は、入力される電圧から、第1の電圧へ変換して出力する第1のコンバータと、前記第1のコンバータから出力される前記第1の電圧を、第2の電圧へ変換して出力する第2のコンバータと、前記第1のコンバータから出力される前記第1の電圧と、所定の基準電圧を比較する電圧比較部と、前記電圧比較部により、前記第1の電圧が前記所定の基準電圧より大きいと判断されるまでは、第1の信号を出力し、前記第1の電圧が前記所定の基準電圧より大きいと判断された後は、第2の信号の出力を保持する電圧比較結果出力部と、前記電圧比較結果出力部から前記第1の信号が出力されている時、前記第2のコンバータを停止するように制御し、前記電圧比較結果出力部から前記第2の信号が出力されている時、前記第2のコンバータを動作させるように制御するコンバータ制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、医療用の機器等に用いられる2コンバータ方式の電源装置において、電源入力が停止した後、一定時間必要な電源出力を保持し続けることが可能な電源装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の電源装置の構成を示す回路図。
【図2】図1に補助巻線を追加した構成を示す回路図。
【図3】第1の実施形態の電源装置における電圧比較結果出力部の別の例を示す回路図。
【図4】第1の実施形態の電源装置における電圧比較結果出力部のもう1つの別の例を示す回路図。
【図5】本発明の第2の実施形態の電源装置の構成を示す回路図。
【図6】第2の実施形態の電源装置におけるDC−DCコンバータの別の例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態の電源装置の構成を示している。
図1において、電源装置10は、商用交流電源(以下、AC電源)1と、ダイオードブリッジ等の全波整流回路2と、コンデンサ21と、第1のコンバータとしてのPFC3と、第2のコンバータとしてのDC−DCコンバータ4と、プロセッサ等の負荷回路5とを有する。
【0013】
このような2コンバータ式の電源装置は、PFCとDC−DCコンバータを有したスイッチング電源装置を構成している。
【0014】
PFC3は、非絶縁型の昇圧チョッパ式スイッチング電源であって、力率改善用として用いられる。
PFC3は、全波整流回路2及びコンデンサ21から入力される電圧より、第1の電圧へ変換して出力する。
【0015】
PFC3は、昇圧チョークコイル31と、昇圧チョークコイル用補助巻線31aと、スイッチング素子としてのFET32と、PFC制御IC33と、転流ダイオード34と、出力用の平滑コンデンサ(以下、出力コンデンサ)35とを有する。
PFC制御IC33は、スイッチング用FET32のゲートにスイッチングパルスを供給して、AC電源1からの交流入力電圧を、この交流入力電圧の最大波高値より高い電圧(設定電圧)まで昇圧して、出力コンデンサ35に直流出力電圧を生成するための制御を行う。
【0016】
FET32がオンしているときに昇圧チョークコイル31にエネルギーを蓄え、FET32がオフ時に、ダイオード34が導通し、コイル31に蓄えたエネルギーを出力コンデンサ35に向けて放出する。この時、昇圧チョークコイル31に発生する電圧は全波整流後のコンデンサ21の出力電圧(言い換えれば、第1のコンバータの入力電圧)に直列に加算されるので、出力コンデンサ35の出力電圧は入力電圧より高い電圧となる。
【0017】
DC−DCコンバータ4は、PFC3から出力される第1の電圧を、第2の電圧へ変換して出力する。
DC−DCコンバータ4は、1次側のスイッチング動作に応じて2次側に電圧変換された2次電圧を出力するトランス41と、トランス41の1次側に設けられるスイッチング素子としてのFET42と、電圧比較部46と、電圧比較結果出力部47と、DC−DC部制御部IC43を含むコンバータ制御部48と、2次側整流用ダイオード44と、2次側出力用平滑コンデンサ45とを有する。
【0018】
電圧比較部46は、第1のコンバータであるPFC3から出力される電圧と、ツェナーダイオードZDに基づく所定の基準電圧(ツェナー電圧)を比較する。
電圧比較部46は、DC−DCコンバータ4の動作(オン)を検知するツェナーダイオードZD1と、抵抗R11及び抵抗R12とを直列接続して構成され、この直列回路はPFC側の出力コンデンサ35に対して並列接続される。
【0019】
電圧比較結果出力部47は、電圧比較部46により、PFC3から出力される前記第1の電圧が前記所定の基準電圧より大きいと判断されるまでは、第1の信号(例えばLレベル)を出力し、前記第1の電圧が前記所定の基準電圧より大きいと判断された後は、第2の信号(例えばHレベル)の出力を保持する。
【0020】
電圧比較結果出力部47は、電圧比較部46の抵抗R11と抵抗R12との接続点に得られる電圧をコンパレータCP1の+入力端に入力し、その−入力端は基準電圧を与えるツェナーダイオードZD0を介してグランドGNDに接続している。コンパレータCP1の出力端は抵抗R5を介してグランドGNDに接続されており、その出力端の比較出力を、次段のコンバータ制御部48のトランジスタTr1のベースに入力する一方ダイオードD1を介してコンパレータCP1の+入力端にフィードバックしている。このフィードバック用ダイオードD11によりコンパレータCP1にラッチ機能を持たせている。
【0021】
コンバータ制御部48は、PFC3の出力コンデンサ35に対して並列に、抵抗R3と抵抗R4の直列回路を接続している。そして、コンパレータCP1の出力端をトランジスタTr1のベースに接続し、Tr1のエミッタをグランド(基準電位点)GNDに接続し、Tr1のコレクタを抵抗R3と抵抗R4の接続点に接続している。更に、抵抗R3と抵抗R4の接続点にトランジスタTr2のベースを接続し、Tr2のエミッタをグランドGNDに接続し、Tr2のコレクタをDC−DC部制御部IC43の出力点に接続しかつ該コレクタをスイッチング用FET42のゲートに接続した構成となっている。
【0022】
上記の構成において、電圧比較部46を用いて、電源スイッチ(図示略)のオン時にPFC動作をZD1に基づく基準電圧にて検知し、DC−DCコンバータを起動する機能と、電圧比較結果出力部47を用いて、電源スイッチのオフ後又はACコード外れ後も一定時間出力を維持する機能とを実現できる。電圧比較結果出力部47により、電源スイッチのオン時に、電圧比較部46によってPFC3が起動したことを検出した以降の動作検出機能を止める、即ち電圧比較部46による動作検知をキャンセルする。なお、電源スイッチはAC電源1と全波整流回路2との間の電源ライン上に配置されている。
【0023】
(1)電源スイッチのオン時は、ツェナーダイオードZD1にてDC−DCコンバータ4の入力電圧を検知し、DC−DCコンバータ4の入力電圧が一定値以上になった時、コンパレータCP1の+入力がHレベルとなり、コンパレータCP1の出力がHレベルに切り替わる。
【0024】
(2)その結果、トランジスタTr1がオン、Tr2がオフするので、DC−DC部制御部IC43からのスイッチングパルスがスイッチング用FET42に供給され、FET42のスイッチング動作を開始する。
【0025】
(3)一方、コンパレータCP1の出力はダイオードD1を介し、コンパレータの+入力端にフィードバックされる。この配線により、一度コンパレータCP1の出力がHレベルになると、コンパレータCP1の電源が無くならない限りはその状態を維持する。
【0026】
上記動作により、電源スイッチのオフ後又はACコード外れ後、PFC3の動作が停止した後も、PFC3の出力コンデンサ35に蓄えられた電荷(電圧)を利用しDC−DCコンバータ4は動作し統けることが可能となる。その結果、電源スイッチのオフ後又はACコード外れ後も一定時間、電源出力を維持する機能を実現できる。
【0027】
なお、電源スイッチのオフ後又はACコード外れ後のように、電源入力が完全に停止した後、すなわちPFC3の動作が停止した後には、PFC3の出力コンデンサ35の充電された平滑電圧のみで後段のDC−DCコンバータが動作するので、一定時間維持される電源出力に力率の悪化を生じない。
【0028】
図2は図1に補助巻線を追加した構成を示している。
図2では、図1の回路図に対して、スイッチング用トランス41に同芯的に形成された補助巻線61を用いた内部電源6を明記したものである。
【0029】
内部電源6は、補助巻線61と、その補助巻線61に並列に接続された、整流用ダイオード62と平滑用コンデンサ63で構成される整流回路とを備え、ダイオード62とコンデンサ63の接続点に接続した出力端子64より、前記PFC3及び前記DC−DCコンバータ4の回路各部に必要な回路電源を生成して出力する。具体的には、PFC制御IC33、DC−DC部制御部IC43、及びコンパレータCP1へ15V程度の直流電圧を供給する機能を有する。
【0030】
図1の構成では、AC電源が投入されたとき、PFC3の出力コンデンサ35に充電された出力電圧(以下、PFC出力電圧)が電圧比較部46の所定の基準電圧(例えば390V)を超えるとツェナーダイオードZD1がオンし、結果としてコンパレータCP1の出力はHレベルとなり、そのHレベル状態はフィードバック用ダイオードD1により維持される。即ち、電圧比較結果出力部47のラッチ機能により維持されたHレベル状態は、図示しない電源スイッチがオフされたり或いはACコード外れたりして、PFC出力電圧が徐々に下降し、前記所定の基準電圧を下回ったときにも、ある時間は維持される。しかしながら、その後PFC出力電圧がさらに下がって例えば100乃至80V以下に下降してくると、補助巻線61を含む内部電源6の出力電圧は0V近くにまで下降することによって、PFC3及びDC−DCコンバータ4の内部回路に必要な電源が供給されなくなり、その時点で電源装置10の動作は完全に停止することになる。
【0031】
従って、電源スイッチがオフしたり或いはACコードが外れたりした場合、その時点からの電源装置10の出力維持時間は、PFC出力電圧即ちコンデンサ35の充電電荷の放電時間に基づいて決まる時間となる。つまり、PFC3の出力コンデンサ35の容量によって出力維持時間の長短を設定できることになる。
【0032】
図3は図1の電源装置における電圧比較結果出力部及びコンバータ制御部の別の実施例を示している。
図3に示す電源装置10Aは、図1の電源装置10とは異なった電圧比較結果出力部47A及びコンバータ制御部48Aを備えている。その他の構成は、図1と同様である。
図3において、電圧比較結果出力部47Aは、サイリスタSCR1を用いた回路となっている。
電圧比較結果出力部47Aは、サイリスタSCR1のゲートを前記電圧比較部46における抵抗R11と抵抗R12との接続点に接続し、SCR1のカソードをグランドGNDに接続し、SCR1のアノードをコンバータ制御部48Aにおける抵抗R3と抵抗R4との接続点に接続した構成となっている。
【0033】
コンバータ制御部48Aは、PFC3における出力コンデンサ35に対して並列に接続された、抵抗R3と抵抗R4の直列回路を備えている。そして、前記サイリスタSCR1のアノードを抵抗R3と抵抗R4の接続点に接続し、該抵抗R3と抵抗R4の接続点にトランジスタTr2のベースを接続し、Tr2のエミッタをグランドGNDに接続し、Tr2のコレクタをDC−DC部制御部IC43の出力点に接続しかつ該コレクタをスイッチング用FET42のゲートに接続した構成となっている。
【0034】
サイリスタSCR1は、そのゲートがHレベルになると、アノード・カソード間が導通(オン)になり、その後ゲートがLレベルになっても、アノード・カソードンの電流が0になるまでオン状態を保ち続ける素子である。
【0035】
次に動作を説明する。
電源スイッチのオン後、PFC出力電圧が電圧比較部46におけるZD1の所定の基準電圧を超えると、ツェナーダイオードZD1がオンし、抵抗R11と抵抗R12との接続点の電位即ちSCR1のゲート電位がHレベルになり、SCR1がオン、Tr2がオフし、DC−DCコンバータ4Aのスイッチング動作を開始する。
【0036】
また、電源スイッチのオフ後、PFC出力電圧が下がり始め、前記所定の基準電圧を下回ると、ZD1がオフしてSCR1のゲート電位は0となるが、SCR1はオン状態を維持し、Tr2がオフを維持して、DC−DCコンバータ4Aの出力が維持される。
【0037】
そして、PFC出力電圧がが更に下降し、コンバータ制御部48Aの抵抗R3と抵抗R4の接続点の電位が0に近くなると、SCR1のアノード・カソード間の電流は0となり、DC−DC部制御部IC43への電源供給も無くなり、DC−DCコンバータ4Aのスイッチング動作を停止する。
【0038】
図4は図1の電源装置における電圧比較結果出力部のもう1つの別の実施例を示している。
図4に示す電源装置10Bは、図1の電源装置10とは異なった電圧比較結果出力部47Bを備えている。その他の構成は、図1と同様である。
図4において、電圧比較結果出力部47Bは、RSフリップフロップFF1を用いた回路となっている。
電圧比較結果出力部47Bは、前記電圧比較部46における抵抗R11と抵抗R12との接続点をバッファアンプBFを介してRSフリップフロップFF1のセット入力端Sに接続し、RSフリップフロップFF1のリセット入力端Rを抵抗R21を介してグランドGNDに接続し、RSフリップフロップFF1の出力端Qを前記コンバータ制御部48におけるTr1のベースに接続した構成となっている。なお、コンバータ制御部48は図1と同様の構成になっている。
【0039】
RSフリップフロップFF1は、そのR入力はLレベルに固定されているので、S入力がHレベルになると、出力QはHレベルとなる。R入力はLレベル固定なので、図示しない内部電源6(図2参照)の電源電圧が0即ちRSフリップフロップFF1の電源が無くなるまで出力QはHレベルの状態に維持される。
【0040】
次に動作を説明する。
電源スイッチのオン後、PFC出力電圧が電圧比較部46におけるZD1の所定の基準電圧を超えると、ツェナーダイオードZD1がオンし、RSフリップフロップFF1のS入力がHレベルになり出力QもHレベルとなる。その結果、Tr1がオン、Tr2がオフし、DC−DCコンバータ4Bのスイッチング動作を開始する。
【0041】
電源スイッチのオフ後、PFC出力電圧が下がり始め、前記所定の基準電圧を下回ると、ZD1がオフするが、R入力はLレベルに固定されているので、RSフリップフロップFF1の出力QはHレベル状態を維持し、Tr1はオン、Tr2はオフを維持してDC−DCコンバータ4Bの出力が維持される。
そして、PFC出力電圧が更に下降し、RSフリップフロップFF1の電源が無くなると、DC−DCコンバータ4Bのスイッチング動作を停止する。
【0042】
第1の実施形態によれば、電源入力のオン時は、PFCの起動を検知して、後段のDC−DCコンバータを起動し、電源スイッチのオフ時やACコードの外れ時は、一定時間、電源出力を維持する機能を持たせることができる。
【0043】
従って、医療用等の機器に用いられる2コンバータ方式の電源装置において、電源入力が停止した後、一定時間必要な電源出力を保持し続けることが可能な電源装置を実現することが可能となる。
【0044】
[第2の実施形態]
図5は本発明の第2の実施形態の電源装置の構成を示している。
図5に示す電源装置10Cは、図1の電源装置10におけるDC−DCコンバータ4に対して、電圧比較部46とは別のもう1つの電圧比較部50を追加した構成となっている。その他の構成は、図1と同様である。
【0045】
別の電圧比較部50は、PFC3の出力コンデンサ35に並列に、ツェナーダイオードZD2と抵抗R31と抵抗R32との直列回路を接続し、かつPFC3の出力コンデンサ35に並列に、抵抗R34と抵抗R35の直列回路を接続する。そして、抵抗R31と抵抗R32との接続点にトランジスタTr3のベースを接続し、Tr3のエミッタをグランドGNDに接続し、Tr3のコレクタを抵抗R34と抵抗R35の接続点に接続し、該抵抗R34と抵抗R35の接続点にトランジスタTr4のベースを接続し、Tr4のエミッタをグランドGNDに接続し、Tr4のコレクタをダイオードD2のカソードに接続し、該ダイオードD2のアノードを前記電圧比較部46における抵抗R11と抵抗R12との接続点に接続した構成となっている。なお、ツェナーダイオードZD1及びツェナーダイオードZD2の動作電圧間には、それぞれのツェナー電圧をZD1及びZD2と表記したとき、ZD1>ZD2 となるように設定されている。
【0046】
図1乃至図4に示した第1の実施形態では、ツェナーダイオードZD1は電源スイッチのオン時のDC−DCコンバータ4,4A又は4Bをオンさせるタイミングだけを規定しているのに対して、図5に示す第2の実施形態では、ツェナーダイオードZD2を用いて、電源スイッチのオフ時のDC−DCコンバータ4Cをオフさせるタイミングも規定している。
【0047】
次に動作を説明する。
電源スイッチのオン時の動作は、第1の実施形態と同様である。ただ、2つのツェナーダイオードZD1及びZD2の動作電圧(=ツェナー電圧)間に、ZD1>ZD2 の関係があるので、電源スイッチのオン後に前段のPFC出力電圧が上昇していく過程でツェナー電圧ZD1を超える前にツェナー電圧ZD2に達する(例えば200V)。このため、PFC出力電圧の上昇過程で、新たな別の電圧比較部50のツェナーダイオードZD2が先ずオンすることになるが、このZD2のオンに基づき、Tr3がオン、Tr4がオフし、ダイオードD2は非導通(オフ)となる。このため、新たに追加した別の電圧比較部50はも後段の回路部とは切断された状態に置かれる。その結果、新たな別の電圧比較部50は、電圧比較部46以降の回路部には何ら影響を与えることがない。
【0048】
そして、電源スイッチがオンした時に、PFC出力電圧がツェナー電圧ZD2を超えて上昇し、更にツェナー電圧ZD1を超えるまでに上昇した(例えば390V)後の動作は、ZD1がオンして図1での動作と全く同様となる。
【0049】
次に電源スイッチのオフ時の動作の流れを以下に示す。
(1)電源スイッチのオフ時又はACコード外れ時は、PFC出力電圧が放電して徐々に電圧低下していくが、PFC出力電圧がツェナーダイオードZD2の所定の基準電圧(例えば200V)よりも低下すると、ZD2はオフ(即ちDC−DCコンバータの入力電圧低下を検知)する。(PFC出力電圧が電圧比較部46におけるツェナーダイオードZD1に基づく所定の基準電圧より下降した場合は、第1の実施形態で説明したようにツェナーダイオードZD1による検知動作はコンパレータCP1のラッチ機能により、キャンセルされている。)
(2)DC−DCコンバータ4Cの入力電圧が一定値以下になった時、トランジスタTr3をオフ、Tr4をオンする。
【0050】
(3)その結果、ダイオードD2が導通(オン)し、ダイオードD2を介してコンパレータCP1の+入力をLレベルにする。
(4)コンパレータCP1の出力がLレベルとなり、トランジスタTr1がオフ、Tr2がオンし、DC−DCコンバータ4CのFET42のスイッチング動作を停止する。
【0051】
上記動作により、ツェナーダイオードZD2の動作電圧を適宜に選択(規定)することで、DC−DCコンバータ4Cの動作をオフさせるタイミングを制御できる。この機構により、電源スイッチのオフ後又はACコード外れ後における、出力維持時間を任意に設定できる。
【0052】
更に、例えば390Vでスイッチング電源のオン動作を規定し、また例えば200Vでスイッチング電源のオフ動作を規定することによって、前段のPFCが故障したときのPFC出力電圧の低下をも検知できるようになるので、PFCの力率改善動作が悪い状態で動作し続けるのを防止することも可能となる。
【0053】
図6は第2の実施形態の電源装置におけるDC−DCコンバータの別の実施例を示している。
図6に示す電源装置10Dは、概略的には、図4の電源装置10BにおけるDC−DCコンバータ4Bに対して、電圧比較部46とは別のもう1つの電圧比較部51を追加した構成となっている。これに伴い、電圧比較結果出力部47Cの配線が図4と若干異なっている。その他の構成は、図4と同様である。
【0054】
別の電圧比較部50は、PFC3の出力コンデンサ35に並列に、ツェナーダイオードZD2と抵抗R31と抵抗R32との直列回路を接続し、抵抗R31と抵抗R32の接続点をインバータ(反転回路)INVを介して電圧比較結果出力部47CのRSフリップフロップFF1のリセット入力端Rに接続した構成となっている。なお、ツェナーダイオードZD1及びツェナーダイオードZD2の動作電圧間には、それぞれのツェナー電圧をZD1及びZD2と表記したとき、ZD1>ZD2 となるように設定されている。
【0055】
図6に示す構成では、電源入力が投入された後、PFC出力電圧がある電圧まで達するとツェナーダイオードZD1がオンとなり、そしてRSフリップフロップFF1のS入力がHレベルになると、出力QもHレベルとなり、Tr1がオン、Tr2がオフし、DC−DCコンバータ4Dのスイッチング動作を開始する。
【0056】
また、電源入力がオフとなり、PFC出力電圧がある電圧まで低下すると、ツェナーダイオードZD2がオフとなり、R入力がHレベルとなる。このときZD1>ZD2なので、S入力はすでにLレベルとなっているため、出力QはLレベルとなり、Tr1がオフ、Tr2がオンし、DC−DCコンバータ4Dのスイッチング動作を停止する。
【0057】
図6の構成においても、図5と同様な動作を実現することができる。
つまり、ツェナーダイオードZD2の動作電圧を適宜に選択(規定)することで、DC−DCコンバータ4Dの動作をオフさせるタイミングを制御できる。この機構により、電源スイッチのオフ後又はACコード外れ後における、出力維持時間を任意に設定できる。
【0058】
第2の実施形態によれば、電源スイッチのオフ時に、電源スイッチのオン時と異なる基準電圧にて、DC−DCコンバータの動作を制御する機構を有することで、予め決めた任意の時間、出力を維持する機能を実現することができる。
【0059】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記の実施形態やその変形は、本発明の範囲や要旨に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
1…商用交流電源(AC電源)、2…全波整流回路、3…PFC(第1のコンバータ)、4…DC−DCコンバータ(第2のコンバータ)、46…電圧比較部、47…電圧比較結果出力部、48…コンバータ制御部、50,51…別の電圧比較部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される電圧から、第1の電圧へ変換して出力する第1のコンバータと、
前記第1のコンバータから出力される前記第1の電圧を、第2の電圧へ変換して出力する第2のコンバータと、
前記第1のコンバータから出力される前記第1の電圧と、所定の基準電圧を比較する電圧比較部と、
前記電圧比較部により、前記第1の電圧が前記所定の基準電圧より大きいと判断されるまでは、第1の信号を出力し、前記第1の電圧が前記所定の基準電圧より大きいと判断された後は、第2の信号の出力を保持する電圧比較結果出力部と、
前記電圧比較結果出力部から前記第1の信号が出力されている時、前記第2のコンバータを停止するように制御し、前記電圧比較結果出力部から前記第2の信号が出力されている時、前記第2のコンバータを動作させるように制御するコンバータ制御部と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
更に、前記第1の電圧を、前記所定の基準電圧より低い、別の基準電圧と比較する別の電圧比較部を備え、
前記電圧比較結果出力部は、前記第2の信号の出力を保持している時、前記別の電圧比較部により、前記第1の電圧が前記別の基準電圧より低いと判断された時、前記第1の信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電圧比較結果出力部は、コンパレータと、該コンパレータの一方の入力端に該コンパレータの出力をフィードバックするダイオードとを備えた回路で構成され、
前記一方の入力端に前記電圧比較部からの出力を入力し、もう一方の入力端に基準となる電圧を入力し、前記コンパレータの出力端から電圧比較結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電圧比較結果出力部は、サイリスタを用いた回路で構成され、
該サイリスタのゲートに前記電圧比較部からの出力を入力し、カソードをグランドに接続し、アノードから電圧比較結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
前記電圧比較結果出力部は、RSフリップフロップを用いた回路で構成され、
S入力として前記電圧比較部からの出力を入力し、R入力をグランドレベルに固定し、Q出力として電圧比較結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記電圧比較結果出力部は、コンパレータと、該コンパレータの一方の入力端に該コンパレータの出力をフィードバックするダイオードとを備えた回路で構成され、
前記一方の入力端に前記電圧比較部からの出力を入力し、もう一方の入力端に基準となる電圧を入力し、前記コンパレータの出力端から電圧比較結果を出力し、
前記別の電圧比較部は、前記第1のコンバータの出力が前記別の基準電圧より高いときは該別の電圧比較部の出力として前記第2の信号を出力して前記電圧比較部の出力点に与え、前記第1のコンバータの出力が前記別の基準電圧より低いときは該別の電圧比較部の出力として前記第1の信号を出力して前記電圧比較部の出力点に与えることを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項7】
前記電圧比較結果出力部は、RSフリップフロップを用いた回路で構成され、
S入力として前記電圧比較部からの出力を入力し、R入力として前記別の電圧比較部からの出力を反転して入力し、Q出力として電圧比較結果を出力することを特徴とする請求項2に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−152066(P2012−152066A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10129(P2011−10129)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】