説明

電源装置

【課題】DC/DCコンバータの並列運転台数に応じて出力を平滑するリアクトルのインダクタンス値を切り換えることが可能な電源装置を提供する。
【解決手段】
N(Nは2以上の自然数)台のDC/DCコンバータを並列に接続して共通負荷に電力を供給する電源装置において、前記N台のDC/DCコンバータの各出力端と前記負荷との間にそれぞれM(Mは2以上、N以下の自然数)個のリアクトルを直列に接続したリアクトル直列回路を挿入し、前記各リアクトル直列回路はそれぞれを構成するM個のリアクトルのうち少なくともM−1個のリアクトルの両端に並列に接続されたスイッチを有し、前記各スイッチは前記DC/DCコンバータの数に応じて所定の開閉状態に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC/DCコンバータを複数台並列運転する電源装置に関し、詳しくはDC/DCコンバータが故障したときも電源装置から負荷に流れるリプル電流の増加を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電源の電圧を他の直流電圧に変換して負荷に供給するDC/DCコンバータの出力容量が不足するとき、複数のDC/DCコンバータを並列に接続して給電する電源装置が知られている。図6は、このような電源装置の一例を示す図であって、特許文献1に記載されている電源装置の構成を示す単線結線図である。図6において、1は直流電源、2は電源装置、3は負荷、10a、10bはDC/DCコンバータ、La,Lbはリアクトルである。
【0003】
DC/DCコンバータ10aと10bのそれぞれの入力端子は、直流電源1の出力端子に接続されている。DC/DCコンバータ10aの出力端子にはリアクトルLaの一端が接続され、DC/DCコンバータ10bの出力端子にはリアクトルLbの一端が接続されている。リアクトルLaとLbのそれぞれの他端は負荷3に接続されている。
【0004】
DC/DCコンバータ10aと10bに内蔵されている半導体スイッチング素子(不図示。)は、高い周波数でオン・オフの動作をしている。この半導体スイッチング素子のオン・オフ動作により、直流電源1の電圧は所定の直流電圧に変換される。DC/DCコンバータ10aと10bとから出力される直流電圧は、リアクトルLaとLbとを介して、共通の負荷3に並列に供給される。
【0005】
ところで、このように複数のDC/DCコンバータを並列運転する場合、周期を同一とした上で、各半導体スイッチング素子がオン・オフするタイミングをずらす制御が行われる。例えば、m(mは2以上の自然数)台のDC/DCコンバータを並列運転する場合、各DC/DCコンバータの半導体スイッチング素子は、360°/mまたは180°/mずつ位相がずれたタイミングでオン・オフ動作をするように制御される。
【0006】
複数のDC/DCコンバータをこのように制御することにより、負荷に流れるリプル電流を低減することができる。その結果、スイッチング位相をずらさない場合に比べて、リアクトルのインダクタンス値を低減することができ、リアクトルの小型化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−191963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来技術の電源装置では、並列運転をしている複数のDC/DCコンバータのうちの1台が故障により運転を停止したとき、負荷に流れるリプル電流の低減効果が損なわれるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、並列運転をしている複数のDC/DCコンバータのうちの1台が故障をした場合でも、負荷に流れるリプル電流の増加を抑制することができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明によって提供される電源装置は、複数のDC/DCコンバータを並列に接続して共通負荷に電力を供給する電源装置であって、前記複数のDC/DCコンバータの各出力端と前記負荷との間にリアクトルが接続されており、前記DC/DCコンバータの数に応じて前記各リアクトルのインダクタンス値が所定の値に切り換えられるようになされている。
【0011】
そして、前記DC/DCコンバータの数は、前記電源装置に装着されているDC/DCコンバータの数であることを特徴とする。
より好ましくは、前記DC/DCコンバータの数は、前記電源装置に装着されているDC/DCコンバータのうち、運転状態にあるDC/DCコンバータの数とするものである。
【0012】
電源装置をこのように構成することにより、並列運転をしている複数のDC/DCコンバータのうちの1台が故障をした場合でも、負荷に流れるリプル電流の増加を抑制することができる。
【0013】
また、本発明によって提供される電源装置は、複数のDC/DCコンバータを並列に接続して共通負荷に電力を供給する電源装置であって、前記複数のDC/DCコンバータの各出力端と前記負荷との間には複数のリアクトルと複数のスイッチとからなるリアクトル回路網が挿入されており、前記複数のDC/DCコンバータの運転状態に応じて前記リアクトル回路網の各スイッチを所定の開閉状態に制御するようにしたものである。
【0014】
そして、前記複数のDC/DCコンバータの運転状態は、運転状態にある前記複数のDC/DCコンバータの組み合わせであることを特徴とする。
電源装置をこのように構成することにより、並列運転をしている複数のDC/DCコンバータのうちの1台が故障をした場合でも、負荷に流れるリプル電流の増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、並列運転をしている複数のDC/DCコンバータのうちの1台が故障をした場合でも、負荷に流れるリプル電流の増加を抑制可能な電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る電源装置の第1の実施の形態を説明するための図である。
【図2】本発明に係る電源装置の第2の実施の形態を説明するための図である。
【図3】図2の電源装置におけるDC/DCコンバータユニットの装着状態を説明するための図である。
【図4】本発明に係る電源装置の第3の実施の形態を説明するための図である。
【図5】本発明に係る電源装置の第4の実施の形態を説明するための図である。
【図6】従来の電源装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る電源装置の実施の形態について、図1〜図5を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る電源装置の第1の実施形態を説明するための図であり、2台のDC/DCコンバータにより共通の負荷に給電する電源装置の単線結線図である。
【0018】
図1において、1は直流電源、20は電源装置、3は負荷である。電源装置20は、DC/DCコンバータ10a,10b、リアクトルLa1,La2,Lb1,Lb2、スイッチ制御回路30およびスイッチSWa,SWbを有している。
【0019】
DC/DCコンバータ10aの入力端子は、直流電源1の出力端子に接続されている。DC/DCコンバータ10aの出力端子にはリアクトルLa1とLa2とが直列に接続された回路の一端が接続されている。リアクトルLa1とLa2の直列回路の他端は、負荷3に接続されている。リアクトルLa2の両端にはスイッチSWaが並列に接続されている。リアクトルLa1とLa2のインダクタンス値は同じ値である。
【0020】
同様に、DC/DCコンバータ10bの入力端子は、直流電源1の出力端子に接続されている。DC/DCコンバータ10bの出力端子にはリアクトルLb1とLb2とが直列に接続された回路の一端が接続されている。リアクトルLb1とLb2の直列回路の他端は、負荷3に接続されている。リアクトルLb2の両端にはスイッチSWbが並列に接続されている。リアクトルLb1とLb2のインダクタンス値は同じ値であるとともに、リアクトルLa1とLa2のインダクタンス値と同じ値である。
【0021】
スイッチ制御回路30には、DC/DCコンバータ10a,10bからそれぞれの状態を示す信号Sa,Sbが入力される。スイッチ制御回路30は、入力された信号Sa,Sbに基づいてスイッチSWa,SWbを開閉するための信号Sswa,Sswbを生成する。
スイッチSWaは、信号SswaがHighのとき閉状態となり、信号SswaがLowのとき開状態となる。同様に、スイッチSWbは、信号SswbがHighのとき閉状態となり、信号SswbがLowのとき開状態となる。
【0022】
ここで、信号Saは、電源装置20にDC/DCコンバータ10aが装着されているときHighとなり、電源装置20にDC/DCコンバータ10aが装着されていないときLowになるとする。同様に、信号Sbは、電源装置20にDC/DCコンバータ10bが装着されているときHighとなり、電源装置20にDC/DCコンバータ10bが装着されていないときLowになるとする。
【0023】
そして、スイッチ制御回路30から出力される信号Sswaは、信号SbがHighのときHighとなり、信号SbがLowのときLowとなるようにする。同様に、スイッチ制御回路30から出力される信号Sswbは、信号SaがHighのときHighとなり、信号SaがLowのときLowとなるようにする。
【0024】
このようにすると、DC/DCコンバータ10a,10bのいずれもが電源装置20に装着されているとき、DC/DCコンバータ10aはリアクトルLa1を介して負荷3と接続され、DC/DCコンバータ10bはリアクトルLb1を介して負荷3と接続される。
【0025】
その結果、負荷3には、DC/DCコンバータ10aおよび10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流が合成された電流がリプル電流として流れる。この合成されたリプル電流は、負荷3との間にリアクトルLa1またはLb1を介してDC/DCコンバータ10aまたは10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流よりも小さい。
【0026】
一方、DC/DCコンバータ10bが電源装置20に装着されていないとき、DC/DCコンバータ10aはリアクトルLa1とLa2の直列回路を介して負荷3と接続される。また、DC/DCコンバータ10aが電源装置20に装着されていないとき、DC/DCコンバータ10bはリアクトルLb1とLb2の直列回路を介して負荷3と接続される。
【0027】
その結果、DC/DCコンバータ10a,10bと負荷との間に接続されるリアクトルのインダクタンス値が2倍になる。したがって、負荷3に流れるリプル電流は、負荷3との間にリアクトルLa1またはLb1を介してDC/DCコンバータ10aまたは10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流よりも小さい。
【0028】
このようにスイッチSwa,Swbを開閉することにより、並列運転をしているDC/DCコンバータ10a,10bのうちの1台が故障をした場合でも、負荷3に流れるリプル電流の増加を抑制することができる。
【0029】
また、信号Sa,Sbは、DC/DCコンバータ10a,10bが運転状態にあるときにHighとなり、運転を停止しているときにLowとなる信号としても良い。
図2は、本発明に係る電源装置の第2の実施形態を説明するための図であり、電源装置にDC/DCコンバータが装着されているか否かを判別する方法の一例を示す図である。図2において、図1に示した実施形態の構成要素と共通要素については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
電源装置21は、DC/DCコンバータユニット101a,101b、スイッチ制御回路30、コネクタCN2a,CN2bおよび抵抗Ra,Rbを備えている。コネクタCN2a,CN2bは、それぞれ電源端子と信号端子(第2の端子)とを有し、電源装置21の筐体に取り付けられている。
【0031】
コネクタCN2aの電源端子は、電源装置21の制御電源(不図示。)の正電位側端子Vpに接続され、信号端子は抵抗Raの一端とスイッチ制御回路30の第1の入力端子に接続されている。抵抗Raの他端は、制御電源の負電位側端子Vnに接続されている。同様に、コネクタCN2bの電源端子は、制御電源の正電位側端子Vpに接続され、信号端子は抵抗Rbの一端とスイッチ制御回路30の第2の入力端子に接続されている。抵抗Rbの他端は、制御電源の負電位側端子Vnに接続されている。
【0032】
DC/DCコンバータユニット101aは、図1に示した実施形態の構成要素のうちDC/DCコンバータ10a、リアクトルLa1,La2、スイッチSWaを備えている。さらに、電源端子と信号端子(第1の端子)を有するコネクタCN1aを備えている。コネクタCN1aの電源端子と信号端子とは、短絡回路11aで接続されている。
【0033】
同様に、DC/DCコンバータユニット101bは、DC/DCコンバータ10b、リアクトルLb1,Lb2、スイッチSWbを備えている。さらに、電源端子と信号端子(第1の端子)を有するコネクタCN1bを備えている。コネクタCN1bの電源端子と信号端子とは、短絡回路11bで接続されている。
【0034】
上記構成において、電源装置21にDC/DCコンバータユニット101aが装着されていないとき、スイッチ制御回路30の第1の入力端子に入力される信号SaはLow状態にある。一方、電源装置21にDC/DCコンバータユニット101aが装着されてコネクタCN1aとCN2aとが勘合すると、スイッチ制御回路30の第1の入力端子に入力される信号SaがHighとなる。
【0035】
同様に、電源装置21にDC/DCコンバータユニット101bが装着されていないとき、スイッチ制御回路30の第2の入力端子に入力される信号SbはLow状態にある。一方、電源装置21にDC/DCコンバータユニット101bが装着されてコネクタCN1bとCN2bとが勘合すると、スイッチ制御回路30の第2の入力端子に入力される信号SbがHighとなる。
【0036】
したがって、DC/DCコンバータユニット101a,101bのいずれもが電源装置21に装着されているとき、DC/DCコンバータ10aはリアクトルLa1を介して負荷3と接続され、DC/DCコンバータ10bはリアクトルLb1を介して負荷3と接続される。
【0037】
その結果、負荷3には、DC/DCコンバータ10aおよび10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流が合成された電流がリプル電流として流れる。この合成されたリプル電流は、負荷3との間にリアクトルLa1またはLb1を介してDC/DCコンバータ10aまたは10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流よりも小さい。
【0038】
一方、DC/DCコンバータユニット101bが電源装置21に装着されていないとき、DC/DCコンバータ10aはリアクトルLa1とLa2の直列回路を介して負荷3と接続される。また、DC/DCコンバータユニット101aが電源装置21に装着されていないとき、DC/DCコンバータ10bはリアクトルLb1とLb2の直列回路を介して負荷3と接続される。
【0039】
その結果、DC/DCコンバータ10a,10bと負荷との間に接続されるリアクトルのインダクタンス値が2倍になる。したがって、負荷3に流れるリプル電流は、負荷3との間にリアクトルLa1またはLb1を介してDC/DCコンバータ10aまたは10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流よりも小さい。
【0040】
このようにスイッチSwa,Swbを開閉することにより、並列運転をしているDC/DCコンバータ10a,10bのうちの1台が故障をした場合でも、負荷3に流れるリプル電流の増加を抑制することができる。
【0041】
図3は、図2に示した電源装置21におけるDC/DCコンバータユニット101a,101bの装着状態を説明するための図である。
DC/DCコンバータユニット101aは、電源装置21の筐体に装着されている状態である。この状態で、コネクタCN1aとCN2aとが勘合する。一方、DC/DCコンバータユニット101bは、電源装置21の筐体に装着される前の状態である。DC/DCコンバータユニット101bは、この状態から右方向に押し込まれて電源装置21の筐体に装着される。電源装置21の筐体にDC/DCコンバータユニット101bが装着されると、コネクタCN1bとCN2bとが勘合する。
【0042】
図4は、本発明に係る電源装置の第3の実施形態を説明するための図である。本実施形態におけるDC/DCコンバータユニット102a,102bは、図2に示したDC/DCコンバータユニット101a,101bの短絡回路11a,11bと直列にスイッチSWsa,SWsbが設けられているところに特徴がある。他の構成要素は図2に示した実施形態の構成要素と同じであるため、同符号を付しその説明を省略する。
【0043】
本実施形態では、DC/DCコンバータの運転状態に基づいて、DC/DCコンバータと負荷3とを接続するリアクトルのインダクタンス値が決定される。
具体的には、スイッチSWsa,SWsbは、DC/DCコンバータ10a、10bから出力される運転信号S10a,S10bがHighのとき閉状態に制御され、運転信号S10a,S10bがLowのとき開状態に制御される。したがって、DC/DCコンバータ10a、10bがそれぞれ運転状態にあるとき、スイッチSWsa,SWsbが閉となり、コネクタCN2a,CN2bの短絡回路12a,12bが構成される。これにより、コネクタCN2a,CN2bの第2の端子からHighの信号Sa,Sbが出力される。一方、DC/DCコンバータ10a、10bがそれぞれ停止状態にあるとき、コネクタCN2a,CN2bの第2の端子からはLowの信号Sa,Sbが出力される。
【0044】
信号Sa,Sbに基づくスイッチ制御回路30の動作およびスイッチSWa,SWbの動作は、図2に示した実施形態と同じである。
したがって、本実施形態においても、DC/DCコンバータユニット102a,102bのいずれもが電源装置22に装着されているとき、DC/DCコンバータ10aはリアクトルLa1を介して負荷3と接続され、DC/DCコンバータ10bはリアクトルLb1を介して負荷3と接続される。
【0045】
その結果、負荷3には、DC/DCコンバータ10aおよび10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流が合成された電流がリプル電流として流れる。この合成されたリプル電流は、負荷3との間にリアクトルLa1またはLb1を介してDC/DCコンバータ10aまたは10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流よりも小さい。
【0046】
一方、DC/DCコンバータユニット102bが電源装置22に装着されていないとき、DC/DCコンバータ10aはリアクトルLa1とLa2の直列回路を介して負荷3と接続される。また、DC/DCコンバータユニット102aが電源装置22に装着されていないとき、DC/DCコンバータ10bはリアクトルLb1とLb2の直列回路を介して負荷3と接続される。
【0047】
その結果、DC/DCコンバータ10a,10bと負荷との間に接続されるリアクトルのインダクタンス値が2倍になる。したがって、負荷3に流れるリプル電流は、負荷3との間にリアクトルLa1またはLb1を介してDC/DCコンバータ10aまたは10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流よりも小さい。
【0048】
なお、図1から図4に示した実施形態では、リアクトルLa1とLa2のインダクタンス値とリアクトルLb1とLb2のインダクタンス値とを同じ値としている。しかし、リアクトルLa1とLa2のインダクタンス値とリアクトルLb1とLb2のインダクタンス値とは、電源装置20〜22の特性または負荷3の特性に合わせて、異なる値になるように設定しても良い。
【0049】
図5は、本発明に係る電源装置の第4の実施形態を説明するための図である。本実施形態では、2台のDC/DCコンバータ10a,10bと負荷3との間にリアクトルLa,LbとスイッチSWa,SWb,SWcとからなる共通の回路網が設けられているところに特徴がある。
【0050】
すなわち、DC/DCコンバータ103aと103bの出力端の間にリアクトルLa,Lbが直列に接続されたリアクトル直列回路が接続されている。リアクトル直列回路の両端および接続中点にはスイッチSWa,SWb,SWcのそれぞれの一端が接続され、スイッチSWa,SWb,SWcのそれぞれの他端は一括して負荷3に接続されている。
【0051】
本実施形態において、DC/DCコンバータユニット103a,103bはDC/DCコンバータ10a,10b、コネクタCN1a,CN1b、短絡回路11a,11bを有している。信号Sa,Sbは、図2の実施形態と同様、電源装置23にDC/DCコンバータ10a,10bに装着されているか否かにより、HighまたはLowのいずれかとなる。
【0052】
スイッチ制御回路40は、信号SaとSbのいずれもがHighのとき信号SswaがHighとなる論理積回路41aと、信号SaがHighかつ信号SbがLowのとき信号SswbがHighとなる論理積回路41bと、信号SaがLowかつ信号SbがHighのとき信号SswcがHighとなる論理積回路41cとを有する。
【0053】
上記構成において、スイッチSWaは信号SswaがHighのとき閉となり、信号SswaがLowのとき開となる。スイッチSWbは信号SswbがHighのとき閉となり、信号SswbがLowのとき開となる。スイッチSWcは信号SswcがHighのとき閉となり、信号SswcがLowのとき開となる。
【0054】
したがって、DC/DCコンバータユニット103aと103bの何れもが電源装置23に装着されているとき、スイッチSWaが閉、スイッチSWbとSWcが開となる。この場合、DC/DCコンバータ10aはリアクトルLaを介して負荷3に接続され、DC/DCコンバータ10bはリアクトルLbを介して負荷3に接続される。
【0055】
その結果、負荷3には、DC/DCコンバータ10aおよび10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流が合成された電流がリプル電流として流れる。この合成されたリプル電流は、負荷3との間にリアクトルLaまたはLbを介してDC/DCコンバータ10aまたは10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流よりも小さい。
【0056】
一方、DC/DCコンバータユニット103aが電源装置23に装着され、DC/DCコンバータユニット103bが電源装置23に装着されていないとき、スイッチSWbが閉、スイッチSWaとSWcが開となる。この場合、DC/DCコンバータ10aはリアクトルLaとLbの直列回路を介して負荷3に接続される。
【0057】
また、DC/DCコンバータユニット103bが電源装置23に装着され、DC/DCコンバータユニット103aが電源装置23に装着されていないとき、スイッチSWcが閉、スイッチSWaとSWbが開となる。この場合、DC/DCコンバータ10bはリアクトルLaとLbの直列回路を介して負荷3に接続される。
【0058】
その結果、DC/DCコンバータ10a,10bと負荷との間に接続されるリアクトルのインダクタンス値が2倍になる。したがって、負荷3に流れるリプル電流は、負荷3との間にリアクトルLaまたはLbを介してDC/DCコンバータ10aまたは10bが単独で運転しているときのそれぞれのリプル電流よりも小さい。
【0059】
なお、上記実施形態では、短絡回路11a,11bに代えて図4に示した実施形態の短絡回路12a,12bとスイッチSWsa,SWsbとすることができる。このようにすると、DC/DCコンバータ10a,10bの運転状態に基づいて、信号Sa,SbがHighまたはLowのいずれかとなるようにすることができる。
【0060】
上述の第1から第4の実施形態では、2台のDC/DCコンバータを並列運転する場合について説明してきた。しかし、本発明は、2台のDC/DCコンバータを並列運転する場合に限られず、2台以上の複数台のDC/DCコンバータを並列運転する電源装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1・・・直流電源、2・・・電源装置、3・・・負荷、10a,10b・・・DC/DCコンバータ、11a,11b,12a,12b・・・短絡回路、20,21,22,23・・・電源装置、30,40・・・スイッチ制御回路、41a,41b,41c・・・論理積演算子、101a,101b,102a,102b,103a,103b・・・DC/DCコンバータユニット、CN1a,CN1b,CN2a,CN2b・・・コネクタ、La,Lb,La1,Lb1,La2,Lb2・・・リアクトル、Ra,Rb・・・抵抗、SWa,SWb,SWc,SWsa,SWsb・・・スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のDC/DCコンバータを並列に接続して共通負荷に電力を供給する電源装置において、
前記複数のDC/DCコンバータの各出力端と前記負荷との間にリアクトルが接続されており、
前記DC/DCコンバータの数に応じて前記各リアクトルのインダクタンス値が所定の値に切り換えられることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記DC/DCコンバータの数は、前記電源装置に装着されているDC/DCコンバータの数であることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電源装置において、
前記DC/DCコンバータの数は、前記電源装置に装着されているDC/DCコンバータのうち、運転状態にあるDC/DCコンバータの数であることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
N(Nは2以上の自然数)台のDC/DCコンバータを並列に接続して共通負荷に電力を供給する電源装置において、
前記N台のDC/DCコンバータの各出力端と前記負荷との間にそれぞれM(Mは2以上、N以下の自然数)個のリアクトルを直列に接続したリアクトル直列回路が挿入されており、
前記各リアクトル直列回路はそれぞれを構成するM個のリアクトルのうち少なくともM−1個のリアクトルの両端に並列に接続されたスイッチを有し、
前記各スイッチは前記DC/DCコンバータの数に応じて所定の開閉状態に制御されることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置において、
前記N(Nは2以上の自然数)台のDC/DCコンバータはその筐体に第1の端子を備え、
前記電源装置は、
前記DC/DCコンバータが装着されたとき前記第1の端子に勘合するN個の第2の端子と、
前記DC/DCコンバータの第1の端子が前記制御電源の第2の端子に勘合したとき信号を出力する信号回路と、
前記信号回路が出力する信号を検出して前記各スイッチを所定の開閉状態に操作するスイッチ制御回路と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
複数のDC/DCコンバータを並列に接続して共通負荷に電力を供給する電源装置において、
前記複数のDC/DCコンバータの各出力端と前記負荷との間には複数のリアクトルと複数のスイッチとからなるリアクトル回路網が挿入されており、
前記複数のDC/DCコンバータの運転状態に応じて前記リアクトル回路網の各スイッチを所定の開閉状態に制御することを特徴とする電源装置。
【請求項7】
前記複数のDC/DCコンバータの運転状態は、運転状態にある前記複数のDC/DCコンバータの組み合わせであることを特徴とする請求項7に記載の電源装置。
【請求項8】
請求項6または請求項9のいずれかに記載の電源装置において、
前記DC/DCコンバータが備えるコネクタは第1の端子と第2の端子との間に運転判別スイッチを有し、
前記DC/DCコンバータが運転を停止しているときは前記運転判別スイッチが開となることを特徴とする電源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−186942(P2012−186942A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49078(P2011−49078)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】