説明

電源装置

【課題】電力ピークシフトの為の一般家庭用あるいはスモールオフィス用電源装置の実現。
【解決手段】夜間電力時間帯内に大容量二次電池への充電および負荷への給電を行い、その後の次の夜間電力時間帯までの間は前記大容量二次電池に充電された電力を容量下限値まで放電することによって負荷への給電を行う。負荷への給電中大容量二次電池残存充電量が容量下限値にまで低下した場合は、その時点から次の夜間電力時間帯開始時刻までの残時間負荷へ必要な給電を可能にするための必要最小限の補充充電を行い、負荷への給電の連続性を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般家庭あるいはスモールオフィスにおける電力使用のピークシフトを主目的とした電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力不足が叫ばれている中、電力のピークシフト(一日の内で電力需要の少ない時間帯の電力を蓄電して電力需要の多い時間帯の負荷駆動に使用することによって電力需要のピークを低減させる制御)による節電用としての電源装置の実用化が進んでいる。しかし現在実用化されているもの、あるいは実用化されようとしているものの殆どは一般家庭用あるいはスモールオフィス用としてはその蓄電量が過大であり、かつ夜間電力で蓄電した電力を昼間の電力ピーク時に商用AC電力と置き換えてAC駆動負荷に給電する方式(常用商用給電方式)のものが主体である(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−137652
【特許文献2】特開2000−029576
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明においては、電気自動車・電動バイク等に積載されている大容量二次電池の活用も含めて、一般家庭あるいはスモールオフィスにおける電力使用のピークシフトをAC駆動負荷及びDC駆動負荷に対して簡易にかつ合理的に行うことのできる電源装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電源運転方式として常時インバータ方式を基本とする。即ち、図1に示す如く、蓄電用大容量二次電池(以下特に断らない限り二次電池という)への充電は夜間電力時間帯に行い、負荷への給電は、夜間電力時間帯での二次電池充電中も含めて、インバータ経由で24時間継続的に行う。但し負荷がDC駆動機器である場合は二次電池あるいはコンバータ出力から直接(あるいはDC電圧変換機能を経由して)給電される。
【0006】
本電源装置において、図2に示す如く、夜間電力時間帯に充電された二次電池電力は、充電終了後から次の充電開始時刻までの間の負荷への給電によってすべて消費(放電)できるように商用AC電源のコンバータへの供給遮断時刻(図2に示すtsf)を以下の如く制御する。
【0007】
現時刻をtn 、単位時間当たりの負荷への平均給電量(平均消費電力)をWc 、二次電満充電量をWmax 、二次電池下限充電量をWmin 、とすると、
(数1)
Wmax−Wmin =Wc ・(t1n −tn)
を満足する時刻tn を二次電池充電停止時刻tsf とする。
【0008】
図1の如く構成した本発明における電源装置においては、ピークシフトの為夜間電力(深夜電力)時間中に充電を行う二次電池は、通常充電で夜間電力時間内での満充電が可能なものを想定する。
二次電池は上記消費電力量の少ない夜間電力時間帯内に蓄積した電力を、上記時刻tsfから時刻t1nまでの間、負荷がAC駆動機器の場合はインバータを介して、負荷がDC駆動機器の場合は二次電池から直接に(但し負荷駆動電圧如何によっては電圧調整機能を介する必要はある)、負荷に給電して電力のピークシフト、正確にいえば昼間電力時間帯電力量の削減、を行う。
【0009】
夜間電力時間帯に二次電池に充電した電力(二次電池電力)の昼間電力時間帯における負荷への給電に際し、図3に示す如く、次の充電開始時刻t1nまでの間に、負荷変動等によって、不足が生じた場合、即ち負荷への給電中時刻tn(但しtn <t1n )に二次電池残存容量が許容下限値Wmin まで低下してしまった場合、その後の二次電池への次の夜間電力時間帯開始時刻t1nまでの間(T=t1n −tn)に必要な最小電力量の充電(補充充電)を下記方法に基づいて行い、その充電電力で次の夜間電力時間帯開始時刻到達までの間の負荷駆動(負荷への給電)を継続する。
【0010】
(数2)
Wc・(t1n −tn)=Ws ・x
ここで、Wc は単位時間当たりの負荷への平均給電電力、t1n は次の夜間電力時間帯開始時刻、Ws単位時間当たりのコンバータ出力電力(大容量二次電池充電電力+負荷への給電電力)、である。
【0011】
即ち、図3に示す如く、夜間電力時間帯外において負荷への給電の結果二次電池残存容量が許容下限値Wmin まで低下してしまった時刻tnから(数2)を満足する時間x、二次電池への補充充電を行うことによって、その後の次の夜間電力時間帯開始時刻t1nまでの間、二次電池残存容量が許容下限値Wmin まで低下することなく、継続しての負荷駆動は可能になる。
ただし充電時間xは、コンバータ効率、蓄電効率、給電効率、インバータ効率、および負荷消費電力の時間変動等を考慮して余裕をもって設定する必要がある。
【0012】
但し、昼間電力時間帯中の特に電力消費の多い時間帯(ピーク電力時間帯)において上記充電を行うことによってピーク電力時間帯の商用AC電力消費量が一時的に増加してしまうこと、即ちピークシフトが効果的に行えなくなる問題の対策としては、時刻t3 〜時刻t4 のピーク電力時間帯に二次電池残存容量が許容下限値Wmin まで低下する場合は、その時点(時刻tn’)からピーク電力時間帯終了時刻t4までの間負荷への給電が可能となる最小限の(前記(数3)に示す時間x’ の)充電を行い、ピーク電力時間帯終了時刻t4に改めて次の夜間電力時間帯開始時刻t1nまでの間に負荷への給電に必要な(前記(数4)に示す時間xの)充電を行うように、充電制御することによって、二次電池に充電された電力は有効に下限値まで放電され、かつ電力に不足が起きた場合も必要最小限の補充充電によって負荷への給電は継続され、昼間電力時間帯でのピーク電力低減に貢献することができる。
【0013】
即ち、二次電池から負荷への給電中、時刻tn’(但しtn’ <t4 )に、充電量が下限値Wmin に達した場合は、
(数3)
Wc・(t4 −tn’)=Ws ・x’
を満足する時間x’二次電池への充電を行い、
その後の時刻tn (t4 <tn <t1n) に再度二次電池充電量が下限値Wmin に達した場合は、
(数4)
Wc・(t1n −tn)=Ws ・x
を満足する時間x二次電池への充電を行うこと、によって、上記問題の解決を図る。
ここで、Wc は単位時間当たりの負荷への平均給電量、t4 はピーク電力時間帯終了時刻、t1n は次の夜間電力時間帯開始時刻、Ws単位時間当たりのコンバータ出力電力(大容量二次電池充電電力+負荷への給電電力)、である。
【0014】
ここで、図1構成例においては、負荷がAC駆動機器(AC入力電源によって駆動される家電機器、オフィス機器等)の場合はインバータ15が必要であるが、負荷がDC駆動機器(DC電源によって駆動される機器、例えばDC駆動のLEDランプ等)の場合は、インバータを除去した構成となる。
【0015】
ピークシフト用に専用の二次電池を使わず、電気自動車あるいは電動バイクに積載されている二次電池を使用しようとする場合は、図1におけるコンバータ13および二次電池14、は車載されていることから、商用AC電源に接続されるスイッチ部11出力部が車両の充電端子、即ち図1におけるコンバータ13入力部に、またインバータ15入力部が車両の給電端子、即ち図1における二次電池14出力部に接続される。
二次電池14出力は、車外に設けられたインバータ15に接続されるとともに、スイッチ制御部12に送られて、二次電池出力電圧、二次電池出力の時間変化量あるいは二次電池の充放電電流特性から、二次電池充電量を判定して、スイッチ11をオフあるいはオン制御して充電器経由二次電池への充電制御を行う。
【発明の効果】
【0016】
上記の如く電源装置を構成・動作させることによって、負荷がAC駆動機器である場合は勿論、DC駆動機器の場合も、ピークシフト(厳密にいえば昼間消費電力の一部の夜間消費電力へのシフト)が効率的に行われるとともに、たとえ昼間での給電中負荷への電力供給が想定値より過大になって(二次電池として電気自動車あるいは電動バイクに積載している二次電池を用いた場合にこの怖れが大きい)二次電池残容量(蓄電量)が下限以下になる恐れのある場合も、蓄電量が下限に到達した時点から、前記の如く、昼間電力による最小限の補充充電を行うことによって負荷への給電は継続することができ給電停止等の不測の事態を防止することができる。
特に本発明によって、自動車あるいはバイク駆動用に積載されている二次電池をピークシフト用に効率的にかつ安全に活用することができることからその有効性は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による電源装置構成例、
【図2】本発明による電源装置の蓄/給電制御説明図その1、
【図3】本発明による電源装置の蓄/給電制御説明図その2、である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
商用AC電源とコンバータの間にスイッチ部を設け、前記スイッチは原則として夜間電力時間帯開始時刻において導通開始、夜間電力時間帯終了後の前記(数1)で決まる時刻tsfにおいて遮断されるように、スイッチ制御部によって制御される。またスイッチ制御部における導通/遮断時刻は外部より設定可能であり、特に給電負荷等に変更のない場合は、上記導通あるいは遮断時刻は日々(24時間毎に電力会社と契約している夜間電力時間帯に対応した)同一時刻で繰り返されるものとする。
前記スイッチ出力である商用AC電力は、コンバータでAC−DC変換されて二次電池を充電すると同時にインバータに供給され負荷に給電される。
【0019】
前記二次電池への充電は、夜間電力時間帯中での満充電が達成されたのちの夜間電力時間帯終了時刻以降の前記(数1)で決まる時刻tsfに(スイッチ制御部によるスイッチの遮断制御によって)停止する。上記充電遮断制御によって以降の二次電池への電力の充電は停止し、商用AC電力のピークシフトが行われることになる。
【0020】
二次電池充電電力の負荷への給電は充電中も継続する。
給電中、二次電池蓄電量が下限値Wmin にまで低減した場合は、その時点(時刻tn )
から次の夜間電力時間帯開始時刻t1nまでの間、単位時間当たりの負荷への平均給電量(単位時間当たりの負荷消費電力)Wc、および単位時間当たりのコンバータ出力電力(大容量二次電池充電電力+負荷への給電電力)Ws、から、前記(数2)式で算出される時間xスイッチ部が商用AC電源をコンバータへ導通させることによって二次電池への補充充電が行われ、この補充充電電力によって次の夜間電力時間帯開始時点t1nまでの間の負荷への給電は継続される。
【0021】
また、使用する二次電池の特性(容量)を最大限ピークシフトに活用するためには、二次電池の満充電時蓄電量(正確には(満充電時蓄電量Wmax −残蓄電量下限値Wmin):Wst )と、二次電池への充電停止後負荷への給電によって消費される全消費電力量Wct の関係が(数5)を満足する様負荷量を適切に設定することが必要である。
言い換えれば、夜間電力時間帯に二次電池に蓄電した全蓄電量をその後の次の夜間電力時間帯までの間に負荷への給電によって使いきることが効率的ピークシフトの条件となると言える。
【0022】
(数5)
Wst ≦ Wct
【0023】
給電負荷は、AC駆動機器とDC駆動機器に対してそれぞれ固定の屋内配線を施し、各配線に対して固定負荷を設定・接続する。
例えば、AC駆動機器としては、エアコン、冷蔵庫、デスクトップパソコン、TV受信機等、DC駆動機器としては、DC駆動タイプのLEDランプ等、を各々接続して(但しトータルの負荷量は前記負荷量の条件を満足するように設定・接続する)本電源装置の固定負荷とする。
【0024】
例えば、家庭内の照明すべてをDC駆動のLEDランプ化して、本電源装置を家庭内の照明すべての駆動専用とすること、言い換えれば、本電源装置と、家庭内すべての照明用LEDランプ群と、前記LEDランプ群用屋内配線、をセットとして事業化すること等は、本電源装置の一つの有効な事業化方策であろうと思われる。
【実施例1】
【0025】
図1に本発明の実施例1(電源装置本体の構成例)を、図2、図3に図1構成例の蓄/給電制御動作例を示す。
図1、図2、図3において、
10は、本発明による電源装置、
11は、後述のスイッチ制御部12によって商用AC電源の充電部13への入力の可/否(導通/遮断)が制御されるスイッチ部、
12は、時計機能(24時間計機能)を有し外部から設定されるオン時刻(夜間電力時間帯開始時刻t1 )に対応してスイッチ部をオンし、オフ時刻((数1)、図2に示す時刻tsf)にスイッチ部11のオフ制御をする、またスイッチ部がオフ中二次電池14の残存容量(残充電量)が下限量Wminに達した時点(時刻tn )から次の夜間電力時間帯開始時刻t1nに達するまでの間の(数2)で決まる時間x(図3参照)スイッチ部11をオン制御するスイッチ制御部、
【0026】
13は、スイッチ部11出力である商用AC電源からのAC電力を直流化(DC化)して二次電池14への充電を行うとともに後述のインバータに供給するコンバータ、
14は、充電部13出力電力を充電して蓄電すると同時に、前記蓄電電力を後段のインバータ15に向けて出力する二次電池、
15は、二次電池14出力を交流化(AC化)して、電源装置10の負荷であるAC駆動機器(AC駆動される家電機器、オフィス機器)を駆動するインバータ、
である。
但し、負荷がDC駆動機器である場合は、当然のことながら本インバータは不要となり、前記二次電池14出力が直流のまま(但し必要に応じて出力電圧調整を行った後)負荷に供給される。
【0027】
上記の如く構成され動作する電源装置によって、二次電池は日々自動的に夜間電力によって充電され、前記充電された電力は昼間電力時間帯に負荷に対して給電される。
給電に際して二次電池残容量に不足が生じる恐れが発生した場合は、必要最小限の電力を(昼間電力から)補充充電し、不足が生じるおそれありとした時点(時刻tn )から次の夜間電力時間帯開始時刻t1nまでの間、即ち改めてピークシフトの為の夜間電力による充電が開始されるまでの間、負荷への給電は途切れることなく継続される。
即ち、ピークシフト動作は効率的・効果的に実施されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
上記の如く本発明による電源装置は、夜間電力時間帯に蓄電され、前記夜間電力時間帯における蓄電中も含めて24時間連続して負荷への給電が可能であり、蓄電用に専用の二次電池を使用する場合は勿論、電気自動車あるいは電バイク等に積載され自動車、バイク等の駆動を主目的とした二次電池を用いる場合においても、家庭用・オフィス用AC駆動機器・DC駆動機器の並行駆動可能な電力ピークシフト装置として有効である。
【符号の説明】
【0029】
図1において、
10:電源装置、
11:スイッチ制御部12、によって導通/遮断制御されるスイッチ部、
12:スイッチ制御部、
13:コンバータ
14:大容量二次電池、
15:インバータ、
である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用AC電源用スイッチ、スイッチ制御部、コンバータ、大容量二次電池、およびインバータから構成され、夜間電力時間帯開始時刻t1から商用AC電源のコンバータへの供給、即ち商用AC電源による大容量二次電池への充電および負荷への給電、を開始し、大容量二次電池が満充電に達したのち
Wc・(t1n −tsf)=Wmax −Wmin
を満足する時刻tsfに商用AC電源のコンバータへの供給を停止、即ち商用AC電源の大容量二次電池への充電を停止、することを特徴とする電源装置。
ここで、Wc は単位時間当たりの負荷への平均給電電力、t1n は次の夜間電力時間帯開始時刻、Wmax は大容量二次電池の満充電量、Wminは大容量二次電池の残充電量下限値、である。
【請求項2】
負荷への給電中、時刻tn(但しtsf <tn <t1n )に大容量二次電池残充電量が下限値Wmin に達した場合は、
Wc・(t1n −tn)=Ws ・x
を満足する時間x商用AC電源のコンバータへの供給、即ち商用AC電源による大容量二次電池への充電および負荷への給電、を行うことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
ここで、Wc は単位時間当たりの負荷への平均給電電力、t1n は次の夜間電力時間帯開始時刻、Ws単位時間当たりのコンバータ出力電力(大容量二次電池への充電電力+負荷への給電電力)、である。
【請求項3】
負荷への給電中、時刻tn’(但しtn’ <t4 <t1n )に、大容量二次電池残充電量が下限値Wmin に達した場合は、
Wc・(t4 −tn’)=Ws ・x’
を満足する時間x’ 商用AC電源のコンバータへの供給、即ち商用AC電源による大容量二次電池への充電および負荷への給電、を行い、
その後の時刻tn (t4 ≦tn <t1n) に再度大容量二次電池残充電量が下限値Wmin
に達した場合は、あらためて
Wc・(t1n −tn)=Ws ・x
を満足する時間x商用AC電源のコンバータへの供給、即ち商用AC電源による大容量二次電池への充電および負荷への給電、を行うこと、
を特徴とする請求項1記載の電源装置。
ここで、Wc は単位時間当たりの負荷への平均給電電力、t4 はピーク電力時間帯終了時刻、t1n は次の夜間電力時間帯開始時刻、Ws単位時間当たりのコンバータ出力電力(大容量二次電池への充電電力+負荷への給電電力)、である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−21741(P2013−21741A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150519(P2011−150519)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(301001199)
【Fターム(参考)】