説明

電熱式ピザ用オーブン

【課題】 本発明は、投入口に遮蔽板を設けることで開閉扉を開いても温度が下がり難い電熱式ピサ用オーブンを提供することを目的とするものである。
【解決手段】 本発明は、焼成室3の上下部に上火用加熱部9および下火用加熱部10が配設され、ピザ生地投入用としての開口部4に開閉扉5が装着される電気式ピザ用オーブン1にあって、前記開口部4側の焼成室3上端より下方に延設される一定幅の熱風遮蔽板11を備えることにより焼成室3内の急激な温度低下を防ぐことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電熱式ピザ用オーブンに関する。詳しくは開閉扉を開く際に炉内の焼成温度が下がらないようにした電熱式ピザ用オーブンに係るものである。
【背景技術】
【0002】
ピザの仕上がり程度は、内部が十分に加熱され、かつ生地の下面に適当な焦げ目ができ、さらに上面周囲の生地にも薄い焦げ目ができることが好ましく、ピザ用オーブンとしては、ピザを高温で素早く焼ける機能を備えたものにする必要性がある。
【0003】
このようなピザ専用のオーブンとして例えば図5に示すものがある。このピザ用釜101は、天井壁102から側壁103にわたる部位を2重に構成してその間に排気空間104を画成し、該排気空間104の一方の側部下端に加熱室105に開口する排気吸入口106を形成するとともに、前記排気空間106の適宜箇所に外部に開口する排気出口107を形成するとともに、ガスバーナ108を前記加熱室105の他方の側部に設置した構成とする(特許文献1参照。)。
【0004】
すなわち、ガスバーナ108によって加熱された熱気は、加熱室105の他方の側部から加熱室105内を天井まで上昇し、該天井から天井壁102内面および側壁103内面に沿って下降し、加熱室105の一方の側部の排気吸入口106から排気空間に導入され、排気出口107から外部へ排出される。したがって、加熱室105内がほぼ均一に加熱され、炉床14付近の温度が十分な高さになり、かつ、燃焼ガスが常に加熱室内に供給されながら排気される機構であるために、ピザの投入口から熱気の一部が排出されても加熱室内の温度が降下することはない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−235436号(要約書、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら前記のようなガスバーナによるオーブンでは、屋外に燃焼ガスを排気させる排気筒や煙突などの配管工事が必要となり、また、店内での設置場所も壁際などに限られる問題があり、最近では電熱オーブンによってピザを焼くことが行われている。
【0007】
このように電熱式のオーブンによってピザを焼く場合には、内部が十分に加熱され、かつ生地の下面に適当な焦げ目ができる温度として350度前後の焼成温度が必要となり、電熱式の場合には焼成温度まで上昇させるまでの時間がガス式に比べて長くなる。
【0008】
したがって、加熱室の温度を設定温度まで上げた状態でピザ生地を投入する際に開閉扉を開いたときに、加熱室上部の加熱された空気が開閉扉による開口によって外気へ放出されると同時に外気は吸入される現象が生じて加熱室内の温度が降下する問題が生じる。
【0009】
また、焼けたピザを取り出す際にも同様な現象が生じ、設定温度まで上げるまで次のピザ生地を投入することができない問題が生じる。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、投入口に遮蔽板を設けることで開閉扉を開いても温度が下がり難い電熱式ピサ用オーブンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電熱式ピザ用オーブンは、焼成室の上下部に電熱ヒーターが配設され、ピザ生地投入用としての開口部に開閉扉が装着される電気式ピザ用オーブンにあって、前記開口部側の焼成室上端より下方に延設される一定幅の熱風遮蔽板を備える。
【0012】
ここで、開口部側の焼成室上端より下方に延設される一定幅の熱風遮蔽板を設けることによって開閉扉を開いた時に、開口部上部より排出される焼成室内の加熱空気が熱風遮蔽板によって阻止されることで焼成室内の温度の下降を防ぐことが可能となる。
【0013】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る電熱式ピザ用オーブンは、ピザ生地投入用としての両端開口状の焼成室の開口部に開閉扉が装着され、その焼成室の上下部に電熱ヒーターが配設される電気式ピザ用オーブンにあって、前記それぞれの開口部側の焼成室上端より下方に延設される一定幅の熱風遮蔽板を備える。
【0014】
ここで、両側の開口部側の焼成室上端より下方に延設される一定幅の熱風遮蔽板をそれぞれ設けることによって開閉扉を開いた時に、開口部上部より排出される焼成室内の加熱空気が熱風遮蔽板によって阻止されることで厨房側からピザ生地を投入し、店舗側より焼けたピザを取り出すことが可能となる。
【0015】
また、前記熱風遮蔽板以外に少なくとも1以上の補助熱風遮蔽板を焼成室上端より下方に設けることにより開閉扉を開いた時に焼成室内の加熱空気の移動を阻止することができる。
【0016】
また、前記熱風遮蔽板の中央下端に、ピザピールの柄が挿入可能な大きさを有する溝部が形成されることによりシャベル形状のピザピールによってピザの出し入れを行う場合に、ピザピールの柄が溝部内に挿入されることで熱風遮蔽板により支障されることなくピザの出し入れを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電熱式ピザ用オーブンによれば、開口部側の焼成室上端に熱風遮蔽板を設けることによってピザの出し入れの際の加熱空気が上部開口部より排出される阻止して加熱温度の降下を防ぐことが可能となり、その結果一度設定温度に達した後には、連続したピザ生地の投入が行えることで作業効率が高くなる。
【0018】
また、熱風遮蔽板の中央下端に、ピザピールの柄が挿入可能な大きさを有する溝部が形成することによって、熱風遮蔽板によって上部開口端が塞がれた状態となった場合でも、ピザピールの柄が溝部内に嵌り込むことによって支障なくピザの出し入れを行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1に、本発明を適用した電熱式ピザ用オーブンの一例を説明するための正面図、図2に、図1における側面断面説明図、図3に、開閉扉を開いた状態の正面図を示す。
【0020】
ここで示すオーブン本体1は、基台フレーム2上に焼成室3が設置され、この焼成室3の開口部4に開閉扉5が装着される。
【0021】
そこで開閉扉5は、その下端が開口部4の下端縁部に連結枢支され、取っ手部6によって開口部4を密閉状に開閉自在とするものである。
また、開閉扉5には覗き窓7が設けられ、この覗き窓7は耐熱強化ガラスによって形成され二重構造とすることにより断熱構造とするものである。
【0022】
さらに、開閉扉4の横側のオーブン本体1面にはコントロールパネル8が配置されるものであり、このコントロールパネル8によって焼成時間および焼成温度などの制御操作を行う構成とするものである。
【0023】
ここで、焼成室3の上下部には上火用加熱部9および下火用加熱部10が配置されるものであり、この上火用加熱部9および下火用加熱部10はニクロム配線による電熱ヒーターを設け、温度センサーによって温度を感知して焼成室3内の温度が400度前後の範囲内での電熱ヒーターの温度制御を行う構成とする。
【0024】
そこで開口部4側の焼成室3の上端に、下方に向けて一定幅を有する熱風遮蔽板11を設けるものである。この熱風遮蔽板11は、耐熱強化性を有するステンレス板などによって形成され、開口部4の上部分を遮蔽するように取り付けるものである。
【0025】
そして熱風遮蔽板11の下端中央には、四角形状の溝部12が開設される。この溝部12は、ピザ生地をシャベル形状のピザピール(図示せず。)に載せて焼成室3内への出し入れを行う際に、柄の部分を溝部12内に挿入することでピザピールによるピザ生地の出し入れをスムーズに行うためのものである。
【0026】
また、焼成室3内の略中央上端には熱風遮蔽板11と略同幅を有する補助熱風遮蔽板13を前記熱風遮蔽板11と平行状に配置するものである。
【0027】
次に、図4に示すのは本発明を適用した電熱式ピザ用オーブンの他の例を説明するための側面断面説明図である。
ここで示すオーブン本体1は、基台フレーム2上に両端開口状の焼成室3が設置され、この焼成室3のそれぞれの開口部4に開閉扉5が装着される。
【0028】
それぞれの開閉扉5は、その下端が開口部4の下端縁部に連結枢支され、取っ手部6によって開口部4を密閉状に開閉自在とし、さらに開閉扉5には覗き窓7が設けられ、この覗き窓7は耐熱強化ガラスによって形成され二重構造とすることにより断熱構造とするものである。
【0029】
また、開閉扉4の横側のオーブン本体1面にはコントロールパネル8が配置されるものであり、このコントロールパネル8によって焼成時間および焼成温度などの制御操作を行う構成とするものである。
【0030】
焼成室3の上下部には上火用加熱部9および下火用加熱部10が配置されるものであり、この上火用加熱部9および下火用加熱部10はニクロム配線による電熱ヒーターを設け、温度センサーによって温度を感知して焼成室3内の温度が300度から350度範囲内での電熱ヒーターの温度制御を行う構成とする。
【0031】
ここで、それぞれの開口部4側の焼成室3の上端に、下方に向けて一定幅を有する熱風遮蔽板11を設けるものである。そして熱風遮蔽板11の下端中央には、四角形状の溝部12が開設される。
【0032】
また、焼成室3内の略中央上端には熱風遮蔽板11と略同幅を有する補助熱風遮蔽板13を前記熱風遮蔽板11と平行状に配置するものである。
【0033】
なお、本実施例で示す焼成室は必ずしも1個である必要性はなく、2個、あるいは3個などの複数による縦列形式であっても構わない。
【0034】
また、補助熱風遮蔽板は必ずしも1枚である必要性はなく、焼成室の奥行きに応じて複数枚配置する場合もある。
【0035】
以上の構成よりなる本発明の電熱式ピザ用オーブンでは、図5(イ)、(ロ)で示すように、焼成室3の上火用加熱部9および下火用加熱部10によって焼成室3内の温度を400度前後に設定する。この場合には焼成室3内の加熱された空気は膨張した状態であり、開閉扉4を開いた際には開口部4上端付近より外部に排出されるような空気の流れが生ずる。
【0036】
このような空気の流れを熱風遮蔽板11によって阻止することにより、熱風が開閉扉4を開くことにより流出されるのを低減させることで焼成室3内の急激な温度低下を防ぐことが可能となる。
【0037】
また、補助熱風遮蔽板13を焼成室3内に配置することにより、開閉扉4を開くことにより生じる空気の流れを阻止することにより開口部4側への空気の流れを弱めた状態で熱風遮蔽板11によって阻止することによる相乗効果によって熱風の流出を低減させることが可能となる。
【0038】
したがって、開閉扉4を開いてピザピールAによってピザ生地Bを載せて焼成室3内に押し入れる間に、焼成室3内の加熱空気の流出を補助熱風遮蔽板13および熱風遮蔽板11によって阻止することにより焼成室3内の急激な温度低下を防ぐことが可能となり、ガスオーブンと変わらないピザの焼成が可能となる。
【0039】
また、ピザピールAによるピザの出し入れの際には熱風遮蔽板11の下端中央の溝部12によってピザピールAの操作が支障なく行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用した電熱式ピザ用オーブンの一例を説明するための正面図である。
【図2】図1における側面断面説明図である。
【図3】図1における開閉扉を開いた状態の説明図である。
【図4】本発明を適用した電熱式ピザ用オーブンの他の例を説明するための正面図である。
【図5】本発明を適用した電熱式ピザ用オーブンの作用説明図である。
【図6】従来のピザ用釜の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 オーブン本体
2 基台フレーム
3 焼成室
4 開口部
5 開閉扉
6 取っ手部
7 覗き窓
8 コントロールパネル
9 上火用加熱部
10 下火用加熱部
11 熱風遮蔽板
12 溝部
13 補助熱風遮蔽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成室の上下部に電熱ヒーターが配設され、ピザ生地投入用としての開口部に開閉扉が装着される電気式ピザ用オーブンにあって、
前記開口部側の焼成室上端より下方に延設される一定幅の熱風遮蔽板を備える
ことを特徴とする電熱式ピザ用オーブン。
【請求項2】
ピザ生地投入用としての両端開口状の焼成室の開口部に開閉扉が装着され、その焼成室の上下部に電熱ヒーターが配設される電気式ピザ用オーブンにあって、
前記それぞれの開口部側の焼成室上端より下方に延設される一定幅の熱風遮蔽板を備える
ことを特徴とする電熱式ピザ用オーブン。
【請求項3】
前記熱風遮蔽板以外に少なくとも1以上の補助熱風遮蔽板を焼成室上端より下方に延設される
ことを特徴とする請求項1または2記載の電熱式ピザ用オーブン。
【請求項4】
前記熱風遮蔽板の中央下端に、ピザピールの柄が挿入可能な大きさを有する溝部が形成される
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の電熱式ピザ用オーブン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−296237(P2006−296237A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119882(P2005−119882)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(595099225)株式会社七洋製作所 (10)
【Fターム(参考)】