説明

電磁波シールド材およびそれを装着してなるプラズマディスプレイパネル

【課題】パネルの前面に貼り合わせ、電磁波シールドメッシュ層と異方性導電剤を介して接続されたコネクターにアース線を接続するだけでよい電磁波シールド材を提供する。
【解決手段】
電磁波シールド材は、その一方の面上に、電磁波シールドメッシュ層と粘着剤層が設けられ、その他方の面上に赤外線カット層と反射防止層が形成された透明基材層と、前記電磁波シールドメッシュ層と異方性導電剤を介して接続されたコネクターにより構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に電磁波シールド材に関するものであり、より特定的には、アースが効率良く行われるように改良された電磁波シールド材に関する。この発明はまたそのような電磁波シールド材を装着してなるプラズマディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来のプラズマディスプレイパネルの概念図である。図4は、図3におけるVI−VI線に沿う断面図である(例えば特許文献1参照)。これらの図を参照して、プラズマディスプレイパネル1の表示部2の前面側に、フィルタ3が配置されている。
【0003】
フィルタ3は、ガラス基材層4と、反射防止フィルム5と、メッシュフィルム6と保護膜7を含む。反射防止フィルム5は、PETフィルムに反射防止膜5aがコーティングされてなる。メッシュフィルム6は、PETフィルムに導電性メッシュ6aが形成されてなる。保護膜7はPETフィルムで形成されている。ガラス基材層4と反射防止フィルム5とメッシュフィルム6と保護膜7は、それぞれ粘着層8a、8b、8cで貼り合わされる。導電性メッシュ6aは、例えば銀ペーストを用いてスクリーン印刷により、格子状に形成される。導電性ガスケット9に接続される、格子と一体的に形成された接続用パッド6bもスクリーン印刷により、導電性メッシュ6aと同時に形成される。
【0004】
フィルタ3は、図3と図4を参照して、導電性ガスケット9と接続用パッド6bが接触するように、プラズマディスプレイパネル1の前面に押圧して固定される。
【0005】
プラズマディスプレイパネル1から出た、有害な電磁波は、導電性メッシュ6aに捕らえられ、接続用パッド6b、導電性ガスケット9、アースを通って、大地に逃がされる。
【特許文献1】特開2004−95829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の方法では、以上のように、メッシュフィルム6と保護膜7を粘着テープで貼り合わせた上で、これをガラス基材層に貼着した後、パネル本体に装着していた。近年では、50インチサイズを超える大型ディスプレイが続々と上市されてきているが、このような大きなサイズでの粘着テープの貼り付けは極めて難しい工程であり、しばしば貼り付け不良が発生していた。さらに、図3に示すプラズマディスプレイ装置では、粘着層が3層あることから、貼り合わせ不良の発生が製造上の深刻な問題となっていた。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、製造方法が容易で、不良品の発生率を激減させる電磁波シールド材を提供することを目的とする。
【0008】
この発明の他の目的は、そのような電磁波シールド材を装着してなるプラズマディスプレイパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電磁波シールド材は、その一方の面上に、電磁波シールドメッシュ層と粘着剤層が設けられ、その他方の面上に赤外線カット層と反射防止層が形成された透明基材層と、前記電磁波シールドメッシュ層と異方性導電剤を介して接続されたコネクターとを備えた電磁波シールド材である。
【0010】
上記透明基材層に例えば上記ガラス基板を重ねた状態で、該ガラス基板に対して垂直方向への投影において、上記電磁波シールドメッシュ層に電気的に接続されたコネクターが食み出しているので、この部分にアース線を容易に接続することができる。
【0011】
上記コネクターとしては、厚さ30μm〜100μmのポリイミドシート又はポリエチレンテレフタレートシート等を基材とするフレキシブルコネクターが好適である。
【0012】
上記透明基材層はポリエチレンテレフタレートで形成されているのが好ましい。その膜厚を調節することにより、例えばガラスに貼り合わせる前の、電磁波シールドメッシュ層が形成された状態の透明基材層をロール状に巻き取ることができるからである。
【0013】
上記ガラス基板及び上記透明基材層はともに矩形である。汎用のディスプレイパネルの形状に合わせたものである。
【0014】
本発明の他の局面に係るプラズマディスプレイパネルは、上記電磁波シールド材を装着してなり、外方向に食み出している上記コネクターにアース線が接続されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電磁波シールド材を用いると、パネルの前面に貼り合わせ、コネクターにアース線を接続するだけでよいので、製造方法が容易で、不良品の発生率を激減させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る電磁波シールド材10の断面図である。図2は製造工程を平面図で示したものである。
【0018】
図1又は図2を参照して、透明基材層であるポリエステルフィルム11の一方の面上に、電磁波シールドメッシュ層12が設けられ、その他方の面上に、赤外線(NIR)カット層13と反射防止層14が形成されている。電磁波シールドメッシュ層12は、ポリエステルフィルム11上の図示しないインキ受容層の上に、導電性ペーストインキをスクリーン印刷して形成される。導電性ペーストインキは、導電性粉末とバインダーとからなる。例えば銀ペーストを用いてスクリーン印刷により、格子状に形成される。導電性ペーストインキを焼成し、電磁波シールドメッシュ層12を形成する。
【0019】
図1又は図2を参照して、ポリエステルフィルム11の一方の面に設けられた電磁波シールドメッシュ層12に異方性導電剤16を介してコネクター18を電気的に接続する。次いで、ポリエステルフィルム11の一方の面に設けられた電磁波シールドメッシュ層12とガラス基板15の一方の面とを接触面で、粘着剤層17により接着する。食み出したコネクター18にアース線を接続すると、プラズマディスプレイパネルが完成する。
【0020】
実施例のように、透明基材層をポリエチレンテレフタレートで形成すると、その膜厚を調節することにより、例えばガラスに貼り合わせる前の、電磁波シールドメッシュ層が形成された状態の透明基材層をロール状に巻き取ることができる。
【0021】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、製造方法が容易で、不良品の発生率を激減させるように改良された電磁波シールド材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る電磁波シールド材の断面図である。
【図2】本発明に係る電磁波シールド材の製造工程を示す模式図である。
【図3】従来のプラズマディスプレイパネルに装着する機能フィルムの分解斜視図である。
【図4】図3におけるVI−VI線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 プラズマディスプレイパネル
2 表示部
3 フィルタ
4 ガラス基材層
5 反射防止フィルム
5a 反射防止膜
6 メッシュフィルム
6a 導電性メッシュ
6b 接続用パッド
7 保護膜
8a 粘着層
9 導電性ガスケット
10 電磁波シールド材
11 透明基材層(ポリエステルフィルム)
12 電磁波シールドメッシュ層
13 赤外線カット層
14 反射防止層
15 ガラス基板
16 異方性導電剤
17 粘着剤層
18 コネクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その一方の面上に、電磁波シールドメッシュ層と粘着剤層が設けられ、その他方の面上に赤外線カット層と反射防止層が形成された透明基材層と、前記電磁波シールドメッシュ層と異方性導電剤を介して接続されたコネクターとを備えた電磁波シールド材。
【請求項2】
前記透明基材層はポリエチレンテレフタレートで形成されている請求項1に記載の電磁波シールド材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電磁波シールド材を装着してなり、コネクターにアース線が接続されているプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−199226(P2011−199226A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67396(P2010−67396)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】