説明

電磁波ノイズ防止板

【課題】現場設置型物理量計測装置などの電磁界ノイズの侵入を防止して、風雨や日照にさらされる環境下にあって、電磁ノイズ遮蔽の効果が必要かつ十分な長期的に安定な計量を行なうとともに長期間計量データを確実に維持する構造に関する。
【解決手段】形状が複雑な物理量計測装置等において当該装置が金属ケース2に覆われていても、配管との接続部には非金属のガスケット9が使われる。当該ガスケット9部は電磁波の侵入路となる。防止電磁界ノイズの侵入の防止を単純な形状の金属カバー1a、1bで容易かつ確実に行なうものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バルブや現場設置計測器等の電磁波ノイズの機器内部への侵入を防止するための防止板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラントの計測器においても、電子機器が装着されるようになっており、ことに最近は、精密なMEMS技術等を駆使したセンサが用いられている。これらセンサ類は微少な出力電圧/電流をセンサ駆動装置に出力し、現場機器内でセンサ出力信号は増幅されるが、設置環境によっては、数十倍、数百倍などの苛酷なノイズ環境にさらされる。特にさまざまな物理量たとえば、温度、流量、流体の性状などを計量する装置においては、設置後計量開始からのデータを維持し、積算するなど、長期にわたり、信頼性を維持しなければならない。高精度・高信頼の計測が出来ることは勿論、積算データを長期に記憶、維持しなければならないからである。電子回路においては、ノイズフィルタなどによりノイズ信号の侵入を防止できるが、電磁波の影響に対しては電磁波をシールドするなどの対策が必要となる。電磁波は微細構造のセンサや回路に回路上のノイズフィルタを超えた空間を伝播して、直接センサ等の回路要素に影響を与えるからである。
【0003】
従来より、装置全体を金属板で覆うなど、大規模な電磁波対策が行われていた(例えば特開平8−298391)が、複雑な現場計器において確実にシールドできるように全体をシールドカバーで覆うのは、コストの上昇や、設置場所の小型化の要請に応えられていなかった。
一方で、金属筐体を利用して、シールドを兼ねるガスケットを利用する方法も提案されている(例えば特開平9−321479)。
また、電磁波シールド特性および耐食性に優れた電磁防止厚膜で被覆したプラスチック成形体により電磁波シールドを提供する方法も提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平10-102240
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複雑な形状を持つバルブや現場計器などにおいて、電磁波シールドを行なうため、機器全体を覆うことは形状が複雑なため困難であり、堅牢なケースであることが求められる機器においては、合成樹脂製のケースでは対応が出来なかった。
【0005】
この複雑な形状を有し、堅牢なケースを要求される現場設置計器等において、かつ、厳しい現場環境条件下においても、長期間シール性を損なうことがなく、一定の寿命を有していることを前提として、さらに、電磁波シールド機能を有することを求められる。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、
現場設置計器等において、長寿命であって、堅牢な電磁波シールド手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために本発明は、現場設置型機器等のケースや、ガスケット類において、電磁波シールド機能を持たせるよう加工したり、材料を変更したりする必要がなく、簡単な部品を取り付けることで、所期の電磁波シールドを行い、かつ、長寿命であって、堅牢な現場設置型機器等における要求を満たすようにしたものである。
【0008】
すなわち、現場設置型機器等において、電磁波ノイズが侵入する経路から、内部の制御基板等の、微少エネルギで作動させている電子部品類に、電磁波ノイズが侵入して放射されないようにする。通常の電磁波ノイズ対策としては、ポインティングベクトルが侵入しないように、あらゆる隙間を潰すべく、シールド材を取り付けることが行なわれる。しかし、電磁波ノイズに弱いとされる電気機器は、現場設置型機器内の所定の位置に配設される。すなわち、当該一定の形状を有する現場設置型機器内の所定の位置に配設されるため、たとえ、電磁波ノイズが侵入しても、電磁波ノイズに弱いとされる電気機器がある内部の制御基板等には、到達出来ないか、減衰してしまう場合があり、必ずしも厳密に、一切のポインティングベクトルが、侵入しないように、電磁波ノイズのシールドをしなければならないということではない。
【0009】
したがって、現場設置型機器の電磁波ノイズ侵入を防止しなければならない特定の侵入路のみにおいて、電磁波ノイズのシールドを配設して、かつ、シールドにより厳密に密閉せず、電磁波ノイズ対策とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複雑な外形形状を有する現場設置型機器等において、電磁波ノイズのシールドを簡単な形状の板状の部材で行なえるので、厳しい周囲環境にさらされてもシールド効果が減じられることもなく、また、簡単な構造の部材にて、電磁波ノイズのシールドが可能になるので、経済的効果が大きいばかりでなく、廃棄時に置いて、特殊な材料を使っていないので、分別廃棄や部材の再利用が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態〕
図1はこの発明の一実施の形態を示す現場設置型機器全体の構成図である。
判りやすいように、電磁波ノイズのシールドをする板状の部材は装着直前の状態としている。一例として、流量計や圧力計の例を示す。
同図において、電磁波ノイズのシールドをする板状の部材は、1aと1bであり、数本のねじ8で固定される。2は現場設置型機器の本体であり、3は、表示器であり、4は接続端子ボックスである。また、流量計または圧力計であるので、流体が流れる流路7aと7bを有し、左右で接続される配管(図示せず)と、フランジ5a及び5bで接続される。
流量計または圧力計の本体計測部2は流路の径よりも大きくなっていて、その部分に、流量や圧力を検知するセンサや計測回路基板(図示せず)が配設されている。
【0012】
本例においては、7a、5aの配管部分を流量計または圧力計の本体計測部2に差し込んで、一体化させる構造となっている。本体計測部2と流路7aの接続部分に生じる隙間部分9ができるが、本例では、電磁波ノイズのシールド効果を有するガスケットは使用していない。さらに、電磁波ノイズのシールドをする板状の部材は、1aと1bをねじ8などにより、7a部に固定している。
【0013】
電磁波ノイズのシールドをする板状の部材1a、1bは配管部7a及び流量計または圧力計の本体計測部2と密接に取り付くように取り付けられる。多少の隙間があっても電磁波ノイズのシールド効果は失われないことは確認されている。
流量計または圧力計の本体計測部2の内部に侵入する電磁波は直進で侵入できず、反射の度に渦電流損で減衰するためである。
【0014】
図2は、流量計に電磁波ノイズのシールドをする板状の部材を取り付けた図である。配管部及び計測部は金属のケースで囲われている。配管と計測部は、金属であるが、溶接で密閉されていない。パッキンで流体の漏洩を防止しているが、電磁波ノイズから計測回路部を電磁気的に遮蔽されていない。本発明の電磁波ノイズのシールドをする板状の部材により、電磁波ノイズの侵入を防止し、高精度の計測を可能とし、かつ、軽量データを長期に亘り、正確に記憶する。
【0015】
また、上述した実施の形態では、フランジと別に電磁波ノイズのシールドをする板状の部材1a、1bを取り付けるようにしたが、フランジ部7aと電磁波ノイズのシールドをする板状の部材1a、1bを一体化できるような場合にも適用することが可能である。すなわち、本発明において、電磁波ノイズのシールドをする板状の部材1a、1bを別途取り付ける場合に限られるものではなく、電磁波ノイズのシールドをする板状の部材に相当する形状を配管部材と一体にして使用するようにしてもよい。
なお、電磁波ノイズのシールドをする板状の部材1a、1bは2つに限定するものではない。フランジ等の設置の障害になるものを回避できれば1つの部材でもよく、また、3つ以上の部材でもよい。さらに、形状はL字状の形状でなくても電磁波等の侵入を防止する隙間を塞ぐものであれば形状を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態(実施の形態)を示す構成図である。
【図2】図1における電磁波ノイズのシールドをする板状の部材を取り付ける直前の図である。
【符号の説明】
【0017】
1a、1b…電磁波ノイズのシールドをする板状の部材、2…流量測定部、3…流量計測制御部、4…端子箱、5a、5b…配管接続フランジ、7a、7b…流路、8…取り付けねじ、9…ガスケット(勘合隙間部)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路中に流れる流体の物理量を測定するために、流体に接触または流体の近傍に配設された物理量測定センサおよび物理量測定センサを駆動またはセンサの信号を処理する装置部を収納する筐体を有する流体の物理量測定装置において、
前記物理量測定装置の金属製筐体2と金属製流路との勘合部に生じる隙間部9を覆うL字状金属製目くら板1a、1bで電磁波等の侵入防止を行うことを特徴とする前記物理量測定装置の電磁波等ノイズ防止プレート。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−103675(P2007−103675A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291586(P2005−291586)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】