電磁波遮断ネットおよび金属シールド・シートを用いたインナーウエア
【課題】 従来の導電性繊維でトリコット編みでネット状に編んだ素材から作られた医療用シールド・ウエアにさらに金属シールド・シート及び磁性材からなる電磁波吸収材シートを組み合わせた積層体シールド・シートを用い、より低周波電磁波遮断性能を向上させる。
【解決手段】 人体のペースメーカーの埋め込まれる付近のインナーウエア1のネット2の上または下に低周波電磁波に対してシールド効果のある導電素材と磁性素材の積層体からなるシールド・シート3をさらに設ける。前記導電素材がアルミ箔であり、前記磁性素材がμの大きい磁性素材であって、前記積層体シート3が前記導電素材と磁性素材を交互に重ねた3〜9層構造である。さらに、前記積層体には1cm2 あたり1個以上の通気・通湿用の孔を空けてある。
【解決手段】 人体のペースメーカーの埋め込まれる付近のインナーウエア1のネット2の上または下に低周波電磁波に対してシールド効果のある導電素材と磁性素材の積層体からなるシールド・シート3をさらに設ける。前記導電素材がアルミ箔であり、前記磁性素材がμの大きい磁性素材であって、前記積層体シート3が前記導電素材と磁性素材を交互に重ねた3〜9層構造である。さらに、前記積層体には1cm2 あたり1個以上の通気・通湿用の孔を空けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話やエンジン、モーター、電磁調理器、盗難防止装置、アーク溶接、スポット溶接等から発生する電磁波ノイズを有効にカットし、心臓ペースメーカーの誤動作を防止する医療用インナーウエアの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースメーカーを使用している心臓病の患者は全国に数十万人いるといわれ、最近特に携帯電話の至近距離における使用によりペースメーカーの誤動作が多く問題になっている。これに関し、厚生省は97年4月よりペースメーカーを使用している患者へ携帯電話を最低22cm以上離すよう指導している。
【0003】
しかし、隣の人が、ペースメーカーを使用しているかどうか直ぐには分からないため、他人が至近距離で携帯電話を使用する危険が常に存在する。また、ペースメーカーを使用している患者自体も携帯電話を使用したいというニーズもあるが、現実には上記誤動作の危険のため使用できないでいる。携帯電話以外にもハンディ無線機、車載無線機等から発生する高周波ノイズもペースメーカーを誤動作させる可能性があり、携帯芝刈り機等使用が制限されている機器が多くある。従来、このような高周波ノイズによるペースメーカーの誤動作を有効に防止する手段がなかった。
【0004】
同じ出願人は、このような問題点を解決するため、図15の41、図16の42に示すような「導電性を有する繊維が、編目の粗さが1.5mm以下のメッシュ状(図17の43)に編まれていることにより、トリコット編み機のような一般的な編み機で編むことが可能であって使用する繊維の分量も少なく、従って、着衣用シールド・ウエアのように電磁波を遮断する面積が広い場合でもコストが低く、また編み目の縦横の繊維が互いの動きを拘束することで目の粗さが一定に維持され、さらに編目の交差部分で絡み合った繊維同士の導電により電磁波の反射量・吸収量が大きくなり、電磁波の遮断効果が高い電磁波遮断ネットを用い、インナーウエアとして身体に密着して使用できる、安価で丈夫な医療用シールド・ウエア用やその他用途の電磁波防止兼静電防止ウエア」をすでに提案している(特開平11−235389号公報参照)。
【0005】
上記提案のものはまた、導電性を有する繊維が縒りをかけられ、メッシュ状に編まれた電磁波遮断ネット43を用いることにより、汚れがつきにくい上に汚れても汚れが目立ちにくく、柔軟性があり、しかも透明性があって中身が見え、さらには抗菌性も備え、静電気も防止する電磁波遮断ネットを用いたインナーウエアとして好適な前記シールド・ウエアである。
【0006】
しかし、上記シールド・ウエアは、低周波帯域の電磁波遮断性能を向上させるためにはさらなるシールド構造を採用することが好ましい。
【特許文献1】特開平11−235389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、前記従来の導電性繊維でトリコット編みでネット状に編んだ素材から作られた医療用シールド・ウエアにさらに金属シールド・シート及び磁性材からなる電磁波吸収材シートを組み合わせて、より電磁波遮断性能を向上させること、特に低周波電磁波に対してシールド効果のある医療用インアーウエアを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の医療用インナーウエアは、導電性を有する繊維が、トリコット編みで編目の粗さが1.5mm以下のメッシュ状に編まれ、編み目の縦横の繊維が互いの動きを拘束することで目の粗さが一定に維持されている電磁波遮断ネットから成り、心臓ペースメーカーを使用している患者が着用することにより高周波ノイズによりペースメーカーの誤動作を防止する医療用インナーウエアにおいて、人体の前記ペースメーカーの埋め込まれる付近の前記インナーウエアの前記ネットの上または下に低周波電磁波遮断用導電素材と磁性素材の積層体からなるシールド・シートをさらに設けたことを特徴とする。
【0009】
このことにより、高周波のみならず低周波電磁波に対してシールド効果のある医療用インナーウエアが実現できる。
また、前記積層体からなるシールド・シートの導電素材が金属箔であり、前記磁性素材がμの大きい磁性素材であって、前記積層体が前記導電素材と磁性素材を交互に重ねた3〜9層構造であることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記積層体からなるシールド・シートには、1cm2 あたり1個以上の通気・通湿用の孔を空けたことを特徴とする。
さらには、前記積層体からなるシールド・シートが人体の前後両側の前記ペースメーカーの埋め込まれる付近の前記インナーウエアの前記ネットの上または下に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の医療用インナーウエアは、前記従来の電磁波シールド・ネットに加えて、ペースメーカー本体のみならずペースメーカーのリード線全体の前面及び後面を本発明のアルミ箔と磁性素材からなる積層体からなるシールド・シートで覆うことによりリード線がアンテナとなってペースメーカーに進入する不要ノイズを効果的に遮断することができる。
【0012】
このことにより、ペースメーカー装着者の外出不安を解消して行動範囲を拡大し、また本人自身の安全な携帯電話の使用すらも可能にした。また、高周波電磁波のみならず、電磁調理器等の低周波電磁波への誤動作不安を解消する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の電磁波シールド医療用インナーウエア1の全体斜視図を示す。図1において、2は図15に示されるような導電性を有する繊維が、トリコット編みで編目の粗さが1.5mm以下のメッシュ状に編まれた素材(図17)により、編み目の縦横の繊維が互いの動きを拘束することで目の粗さが一定に維持されている電磁波遮断ネットから成り、心臓ペースメーカーを使用している患者が着用することにより高周波ノイズによりペースメーカーの誤動作を防止する前記従来の医療用インナーウエア(図15,図16)と同じである。上記従来の医療用インアーウエアも金属繊維を用いた電磁波遮断ネットがシールドの役目をなすので、不要電磁波をカットすることができる。
【0014】
この発明は、この従来の医療用インナーウエア(以下、MGベストという。)の改良に関し、さらにインナーウエアの胸部前面や胸部後面(図8参照)に後述する積層体構造の金属製シールド・シート3,4を取り付けたことを特徴とする。この金属製シールド・シート・シート部材を取り付けたことにより、ペースメーカーの設置されている胸部前面および/または後面を該シールド・シート部材で覆うことにより胸部前方とか、胸部後方からの携帯電話等の高周波電磁波だけでなく、電磁調理器等の低周波電磁波の浸入を効果的に遮断することができる。
【0015】
図9には、前記ペースメーカー本体のみならずペースメーカーのリード線全体の前面及び後面を覆う本発明のアルミ箔と磁性素材からなる積層体からなるシールド・シート(以下、単に「シールド・シート」という)の構造を示す。
【0016】
該積層体シールド・シートは、図9に示す如く、導電素材(50μmアルミ箔を使用)31,33,35とμの大きい磁性素材(日立金属の“ファインメット”(登録商標)を使用。図9の32,34)を積層したものである。該積層体のシールド・シートは、基本的には導電材シート(31,33,35)で電磁波を反射し、磁性材シート(32,34)で電磁波の吸収を繰り返すことにより、低周波電磁波を減衰させる構造になっている。
【0017】
図11に示すようにいろんなタイプの積層体シールド・シートで実験した結果、(導電材−粘着材)−(ポリカーボフィルム−磁性材−ポリカーボフィルム)−(粘着材−導電材−粘着材)−(ポリカーボフィルム−磁性材−ポリカーボフィルム)−(粘着材−導電材)といった構造からなる5層構造がもっとも効率よく低周波磁界(計測したデータは3kHz〜300kHz)を減衰(30〜60dB)させることが分かった。これ以上積層を増やしてもほとんどシールド性能は向上しなかった。各層は粘着材及びポリカフィルムで絶縁層があり、絶縁層は20〜200μm、素材の合計の厚みは300μm〜1500μmである。
【0018】
上記積層体シールド・シートの実施例を以下に示す。
(1)シールド構造
素 材 厚 み(ミクロン)
アルミ 50
粘着剤 45
ファインメット 120
粘着剤 45
アルミ 50
両面テープ 160
ファインメット 120
粘着剤 45
アルミ 50
シールド厚さ(合計) 685
(2)ファインメット構造
PETフィルム 25
粘着剤 25
ファインメット 18
(FT−3M薄帯)
粘着剤 25
PETフィルム 25
総厚 120
図2〜図4に示すように、上記シールド・シートは人体内に植え込まれているペースメーカー(PM)本体とリード線全体をカバーする形状とした。これは、図12の大きさ比較の図に示すように、試料のサイズを大きくし、本体とリード線をできるだけ広い面積で覆う方が、電磁波シールド性能が上がることを確認したからである。
【0019】
すなわち、図5(a)、図6(a)に示すように、ペースメーカー(PM)本体5は、左右の鎖骨下の皮下に植え込むのが基本で右と左とでは図5(a)、図6(a)に示すように血管を通るリード線6の配置が大きく違う。なお、リード線6は静脈内に挿入され、心臓内の壁にリード先端の鉤型を引っ掛ける形で装着される。
【0020】
従って、ペースメーカー(PM)本体とリード線全体をカバーする前記積層体シールド・シート8,9の形状としては、図5(b)、図6(b)となり、この形状が図2,図3に示されている。図10には、図2の8の拡大図を示す。なお、まれに幼児にペースメーカー(PM)を植え込むときは、図7(a)に示すようにみぞおちあたりの腹部に配置する。その際の上記積層体シールド・シートの形状は図7(b)に示すように本体とリード線をカバーする楕円形状10となる。この形状が図4に示される。
【0021】
図5,図6に示すように、上記積層体シールド・シートを使用することで左または右のリード線もカバーできるようにしている。また、ペースメーカー(PM)を装着する際、リード線が長すぎた場合はペースメーカー(PM)本体の周りにリード線を配置する場合があり、本体周辺もカバーする必要がある。
【0022】
このように、ペースメーカー(PM)が左右鎖骨下に植え込まれている場合(図5,図6)は、ベスト形状で、鎖骨下周辺と胸部を覆うとPM本体とリード線がカバーされる。また、腹部にペースメーカー(PM)が埋め込まれている場合(図7)はタンクトップ形状で、腹部と心臓部分を覆うとPM本体とリード線はカバーされる。前述の如く、生地は高周波電磁シールドに効果のある導電性繊維でできたトリコット編みの従来提案のMGネットを使用する。衣服の脱着には導電ファスナーを使用し、衣服全体の電磁防護性能を損なわないようにする。導電ファスナーの取り付け位置は左右いずれかの側面とし、ペースメーカー(PM)本体とリード線への電磁シールド性能を高める。導電性ファスナーでない場合、ウエア側面には縦型の電磁波シールドのない空隙が生じ、該空隙から不要電波(例えば、垂直偏波のもの)が浸入するので好ましくない。
【0023】
衣服の裏地に先の電磁シールド・シートを格納するポケットを作ることが好ましい。また、取り付け位置がずれないようにシートの形状にフィットしたポケットを作ることが好ましい。ストレッチ性のある裏地を使用し、ポケット口をシートより小さくすることでシートを挿入後、固定することができる。シートの取り付け位置は安定した電磁シールドをするのには重要な要件であるが、このポケットを作る仕様であれば誰でも簡単に適正な位置にシートを装着する事ができる。
【0024】
上記シールド・シートには、人が常時使用するためにシートに1cm2 あたり一個以上の通気・通湿孔を開けた。図13に示すように、同一合計面積で穴の大きさと低周波磁気シールドの性能を比較したところ、直径10mmを超えると磁気シールド性能が大きく落ちることが確認できた。よって穴の大きさは10mm以下とする。なお、図11,図12,図13の実験は電波暗室内で図14の装置により測定された。
【0025】
また、人体ダミーにペースメーカー(PM)を装着し、低周波電磁波を発生するIH電磁調理卓上コンロ(20kHz〜50kHz)を接近させ該PMを誤動作させる実験も行った。この実験では、磁気シールド・シートをその間に装着し、シートの形状によるPM誤動作距離を比較した。
【0026】
人体ファントムに内蔵したPMの誤動作実験の概要は以下のとおりである。
図18に示すように、実寸の中空人体モデルに人体等価物質(電気定数が人体組織と等価な水溶液−実験では0.85%の生理食塩水を使用)を満たして人体ファントムとする。人体ファントム内部にPMとリード線、さらにリード線の先端の電極に外部より擬似心拍を送信並びにPMの動作を確認するための導線を配置する。
【0027】
その外部に出力1500W、エネルギーの強い周波数帯域30kHz〜50kHzの卓上型IHコンロ(以下コンロという)の電磁コイル面の中心をPMのリード線が作るループ面の中心に正対するように設置する。コイルとループが正対したときに最も磁束結合が起きやすく、よって最もPMが誤動作する環境になる。
【0028】
まず、コンロの上に水を満たした6cmの厚みのあるブリキ缶を固定し、コンロを動作させ、コンロから発せられる電磁波を人体ファントムに照射して、PMが誤動作を起こす距離を試験した。次に、図19に示すように、誤動作が発生した条件下で人体ファントムに電磁シールド・シートを装着し、PMの誤動作を抑制できるかについて試験した。この結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
なお、表1における各符号は以下のとおりである。
《1》 メーカー名はメーカー別にアルファベットで表した。
《2》 型名は型別に数字で表した。
《3》 AAI、VVI、SSI・・・;PMのペーシングモードの種類でこの3つは抑制型ディマンド方式と呼ばれる。A=心房、V=心室、S=心房または心室、I=抑制機能を言う。一般的にこれらの型が電磁波の影響を受けやすいと考えられている。
《4》 感度設定;心電位感度。電圧設定が低いほど感度が上がる。
《5》 不応期;電磁ノイズの影響があっても、PM反応しない時間の長さを表す。
《6》 不要抑制開始距離;自己脈がない場合、PMは電気刺激を心臓に与える。その状態において、電磁ノイズによりPMが電気刺激の不要な抑制(PM停止)を開始する距離を表す。X=8cm以下(接近限界距離)である。
《7》 上記《6》 と同じ状況で、電磁波シールド・シートで防護した際にPMが停止を開始する距離を表す。X=8cm以下。
《8》 不要刺激開始距離;自己脈がある場合、PMは電気刺激を停止する。その状態において、電磁ノイズによりPMが不要な電気刺激を開始する距離を表す。X=8cm以下。
《9》 上記《8》 と同じ状況で、電磁波シールド・シートで防護した際にPMが不要な電気刺激を開始する距離を表す。X=8cm以下。
【0030】
PMの誤動作は主にリード線が作るループがアンテナになり、低周波の磁界の影響を受けて電流が発生し、それがPM内部にノイズとなって進入した結果発生する。本電磁シールド・シートはPM本体とリード線が作るループ面をカバーすることにより、磁束結合による電流発生を防ぐことにある。磁束結合はループの正面がもっとも影響を受けやすいので、正面方向をシールドすることで大きなシールド効果を得ることができる。そのことは試験結果からでも明らかである。図8に示すように、電磁シールド・シートは人体の前後に装着する必要がある。PMは前方のほうが電磁波の影響を受けやすいが、それは、PM本体が胸部前方の皮下に植え込まれるので、よりノイズ発生源に近くなってしまう為である。磁界エネルギーは距離の二乗に比例して変化するので、後方の方が影響を受けにくい。しかし、前方のみシールド・シートを用いた場合、後方から電磁波を受けると、前方のシールド・シートに反射してより電磁波の影響を受けやすくなることが分かっており、前後にシールド・シートを配置すると後方からの電磁波の影響も減少する。従って、PMの有効な低周波電磁界のシールド方法はPM本体とリード線が作るループ面の前後をカバーすることである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の医療用インナーウエアの全体斜視図である。
【図2】本発明の医療用インナーウエアの装着説明図である。
【図3】本発明の他の医療用インナーウエアの装着説明図である。
【図4】本発明のさらに他の医療用インナーウエアの装着説明図である。
【図5】図2の動作説明図である。
【図6】図3の動作説明図である。
【図7】図4の動作説明図である。
【図8】人体横方向から見た本発明の動作説明図である。
【図9】本発明の積層体シールド・シートの説明図である。
【図10】図2の8の拡大図である。
【図11】種々のシールド・シートを用いた電磁波遮断性能の比較実験結果を示す図である。
【図12】積層体シールド・シートへの大きさの影響の実験結果を示す図である。
【図13】積層体シールド・シートへの通気孔の影響の実験結果を示す図である。
【図14】本発明の電磁波遮断性能の測定装置を示す図である。
【図15】従来提案の医療用インナーウエアを示す図である。
【図16】従来提案の医療用インナーウエアの装着例を示す図である。
【図17】本発明の基本となる従来提案の医療用インナーウエアの金属繊維を用いたネット素材(MGネット)を示す図である。
【図18】本発明のシールド・シート無しの場合の人体ファントムによる電磁波遮断性能の測定方法を示す図である。
【図19】本発明のシールド・シート有りの場合の人体ファントムによる電磁波遮断性能の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 医療用インナーウエア
2 MGネット
3 積層体シールド・シート
4 積層体シールド・シート
5 ペースメーカー(PM)
6 リード線
7 心臓
8 積層体シールド・シート
9 積層体シールド・シート
10 積層体シールド・シート
31,33,35 導電材
32,34 磁性材
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話やエンジン、モーター、電磁調理器、盗難防止装置、アーク溶接、スポット溶接等から発生する電磁波ノイズを有効にカットし、心臓ペースメーカーの誤動作を防止する医療用インナーウエアの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースメーカーを使用している心臓病の患者は全国に数十万人いるといわれ、最近特に携帯電話の至近距離における使用によりペースメーカーの誤動作が多く問題になっている。これに関し、厚生省は97年4月よりペースメーカーを使用している患者へ携帯電話を最低22cm以上離すよう指導している。
【0003】
しかし、隣の人が、ペースメーカーを使用しているかどうか直ぐには分からないため、他人が至近距離で携帯電話を使用する危険が常に存在する。また、ペースメーカーを使用している患者自体も携帯電話を使用したいというニーズもあるが、現実には上記誤動作の危険のため使用できないでいる。携帯電話以外にもハンディ無線機、車載無線機等から発生する高周波ノイズもペースメーカーを誤動作させる可能性があり、携帯芝刈り機等使用が制限されている機器が多くある。従来、このような高周波ノイズによるペースメーカーの誤動作を有効に防止する手段がなかった。
【0004】
同じ出願人は、このような問題点を解決するため、図15の41、図16の42に示すような「導電性を有する繊維が、編目の粗さが1.5mm以下のメッシュ状(図17の43)に編まれていることにより、トリコット編み機のような一般的な編み機で編むことが可能であって使用する繊維の分量も少なく、従って、着衣用シールド・ウエアのように電磁波を遮断する面積が広い場合でもコストが低く、また編み目の縦横の繊維が互いの動きを拘束することで目の粗さが一定に維持され、さらに編目の交差部分で絡み合った繊維同士の導電により電磁波の反射量・吸収量が大きくなり、電磁波の遮断効果が高い電磁波遮断ネットを用い、インナーウエアとして身体に密着して使用できる、安価で丈夫な医療用シールド・ウエア用やその他用途の電磁波防止兼静電防止ウエア」をすでに提案している(特開平11−235389号公報参照)。
【0005】
上記提案のものはまた、導電性を有する繊維が縒りをかけられ、メッシュ状に編まれた電磁波遮断ネット43を用いることにより、汚れがつきにくい上に汚れても汚れが目立ちにくく、柔軟性があり、しかも透明性があって中身が見え、さらには抗菌性も備え、静電気も防止する電磁波遮断ネットを用いたインナーウエアとして好適な前記シールド・ウエアである。
【0006】
しかし、上記シールド・ウエアは、低周波帯域の電磁波遮断性能を向上させるためにはさらなるシールド構造を採用することが好ましい。
【特許文献1】特開平11−235389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、前記従来の導電性繊維でトリコット編みでネット状に編んだ素材から作られた医療用シールド・ウエアにさらに金属シールド・シート及び磁性材からなる電磁波吸収材シートを組み合わせて、より電磁波遮断性能を向上させること、特に低周波電磁波に対してシールド効果のある医療用インアーウエアを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の医療用インナーウエアは、導電性を有する繊維が、トリコット編みで編目の粗さが1.5mm以下のメッシュ状に編まれ、編み目の縦横の繊維が互いの動きを拘束することで目の粗さが一定に維持されている電磁波遮断ネットから成り、心臓ペースメーカーを使用している患者が着用することにより高周波ノイズによりペースメーカーの誤動作を防止する医療用インナーウエアにおいて、人体の前記ペースメーカーの埋め込まれる付近の前記インナーウエアの前記ネットの上または下に低周波電磁波遮断用導電素材と磁性素材の積層体からなるシールド・シートをさらに設けたことを特徴とする。
【0009】
このことにより、高周波のみならず低周波電磁波に対してシールド効果のある医療用インナーウエアが実現できる。
また、前記積層体からなるシールド・シートの導電素材が金属箔であり、前記磁性素材がμの大きい磁性素材であって、前記積層体が前記導電素材と磁性素材を交互に重ねた3〜9層構造であることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記積層体からなるシールド・シートには、1cm2 あたり1個以上の通気・通湿用の孔を空けたことを特徴とする。
さらには、前記積層体からなるシールド・シートが人体の前後両側の前記ペースメーカーの埋め込まれる付近の前記インナーウエアの前記ネットの上または下に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の医療用インナーウエアは、前記従来の電磁波シールド・ネットに加えて、ペースメーカー本体のみならずペースメーカーのリード線全体の前面及び後面を本発明のアルミ箔と磁性素材からなる積層体からなるシールド・シートで覆うことによりリード線がアンテナとなってペースメーカーに進入する不要ノイズを効果的に遮断することができる。
【0012】
このことにより、ペースメーカー装着者の外出不安を解消して行動範囲を拡大し、また本人自身の安全な携帯電話の使用すらも可能にした。また、高周波電磁波のみならず、電磁調理器等の低周波電磁波への誤動作不安を解消する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の電磁波シールド医療用インナーウエア1の全体斜視図を示す。図1において、2は図15に示されるような導電性を有する繊維が、トリコット編みで編目の粗さが1.5mm以下のメッシュ状に編まれた素材(図17)により、編み目の縦横の繊維が互いの動きを拘束することで目の粗さが一定に維持されている電磁波遮断ネットから成り、心臓ペースメーカーを使用している患者が着用することにより高周波ノイズによりペースメーカーの誤動作を防止する前記従来の医療用インナーウエア(図15,図16)と同じである。上記従来の医療用インアーウエアも金属繊維を用いた電磁波遮断ネットがシールドの役目をなすので、不要電磁波をカットすることができる。
【0014】
この発明は、この従来の医療用インナーウエア(以下、MGベストという。)の改良に関し、さらにインナーウエアの胸部前面や胸部後面(図8参照)に後述する積層体構造の金属製シールド・シート3,4を取り付けたことを特徴とする。この金属製シールド・シート・シート部材を取り付けたことにより、ペースメーカーの設置されている胸部前面および/または後面を該シールド・シート部材で覆うことにより胸部前方とか、胸部後方からの携帯電話等の高周波電磁波だけでなく、電磁調理器等の低周波電磁波の浸入を効果的に遮断することができる。
【0015】
図9には、前記ペースメーカー本体のみならずペースメーカーのリード線全体の前面及び後面を覆う本発明のアルミ箔と磁性素材からなる積層体からなるシールド・シート(以下、単に「シールド・シート」という)の構造を示す。
【0016】
該積層体シールド・シートは、図9に示す如く、導電素材(50μmアルミ箔を使用)31,33,35とμの大きい磁性素材(日立金属の“ファインメット”(登録商標)を使用。図9の32,34)を積層したものである。該積層体のシールド・シートは、基本的には導電材シート(31,33,35)で電磁波を反射し、磁性材シート(32,34)で電磁波の吸収を繰り返すことにより、低周波電磁波を減衰させる構造になっている。
【0017】
図11に示すようにいろんなタイプの積層体シールド・シートで実験した結果、(導電材−粘着材)−(ポリカーボフィルム−磁性材−ポリカーボフィルム)−(粘着材−導電材−粘着材)−(ポリカーボフィルム−磁性材−ポリカーボフィルム)−(粘着材−導電材)といった構造からなる5層構造がもっとも効率よく低周波磁界(計測したデータは3kHz〜300kHz)を減衰(30〜60dB)させることが分かった。これ以上積層を増やしてもほとんどシールド性能は向上しなかった。各層は粘着材及びポリカフィルムで絶縁層があり、絶縁層は20〜200μm、素材の合計の厚みは300μm〜1500μmである。
【0018】
上記積層体シールド・シートの実施例を以下に示す。
(1)シールド構造
素 材 厚 み(ミクロン)
アルミ 50
粘着剤 45
ファインメット 120
粘着剤 45
アルミ 50
両面テープ 160
ファインメット 120
粘着剤 45
アルミ 50
シールド厚さ(合計) 685
(2)ファインメット構造
PETフィルム 25
粘着剤 25
ファインメット 18
(FT−3M薄帯)
粘着剤 25
PETフィルム 25
総厚 120
図2〜図4に示すように、上記シールド・シートは人体内に植え込まれているペースメーカー(PM)本体とリード線全体をカバーする形状とした。これは、図12の大きさ比較の図に示すように、試料のサイズを大きくし、本体とリード線をできるだけ広い面積で覆う方が、電磁波シールド性能が上がることを確認したからである。
【0019】
すなわち、図5(a)、図6(a)に示すように、ペースメーカー(PM)本体5は、左右の鎖骨下の皮下に植え込むのが基本で右と左とでは図5(a)、図6(a)に示すように血管を通るリード線6の配置が大きく違う。なお、リード線6は静脈内に挿入され、心臓内の壁にリード先端の鉤型を引っ掛ける形で装着される。
【0020】
従って、ペースメーカー(PM)本体とリード線全体をカバーする前記積層体シールド・シート8,9の形状としては、図5(b)、図6(b)となり、この形状が図2,図3に示されている。図10には、図2の8の拡大図を示す。なお、まれに幼児にペースメーカー(PM)を植え込むときは、図7(a)に示すようにみぞおちあたりの腹部に配置する。その際の上記積層体シールド・シートの形状は図7(b)に示すように本体とリード線をカバーする楕円形状10となる。この形状が図4に示される。
【0021】
図5,図6に示すように、上記積層体シールド・シートを使用することで左または右のリード線もカバーできるようにしている。また、ペースメーカー(PM)を装着する際、リード線が長すぎた場合はペースメーカー(PM)本体の周りにリード線を配置する場合があり、本体周辺もカバーする必要がある。
【0022】
このように、ペースメーカー(PM)が左右鎖骨下に植え込まれている場合(図5,図6)は、ベスト形状で、鎖骨下周辺と胸部を覆うとPM本体とリード線がカバーされる。また、腹部にペースメーカー(PM)が埋め込まれている場合(図7)はタンクトップ形状で、腹部と心臓部分を覆うとPM本体とリード線はカバーされる。前述の如く、生地は高周波電磁シールドに効果のある導電性繊維でできたトリコット編みの従来提案のMGネットを使用する。衣服の脱着には導電ファスナーを使用し、衣服全体の電磁防護性能を損なわないようにする。導電ファスナーの取り付け位置は左右いずれかの側面とし、ペースメーカー(PM)本体とリード線への電磁シールド性能を高める。導電性ファスナーでない場合、ウエア側面には縦型の電磁波シールドのない空隙が生じ、該空隙から不要電波(例えば、垂直偏波のもの)が浸入するので好ましくない。
【0023】
衣服の裏地に先の電磁シールド・シートを格納するポケットを作ることが好ましい。また、取り付け位置がずれないようにシートの形状にフィットしたポケットを作ることが好ましい。ストレッチ性のある裏地を使用し、ポケット口をシートより小さくすることでシートを挿入後、固定することができる。シートの取り付け位置は安定した電磁シールドをするのには重要な要件であるが、このポケットを作る仕様であれば誰でも簡単に適正な位置にシートを装着する事ができる。
【0024】
上記シールド・シートには、人が常時使用するためにシートに1cm2 あたり一個以上の通気・通湿孔を開けた。図13に示すように、同一合計面積で穴の大きさと低周波磁気シールドの性能を比較したところ、直径10mmを超えると磁気シールド性能が大きく落ちることが確認できた。よって穴の大きさは10mm以下とする。なお、図11,図12,図13の実験は電波暗室内で図14の装置により測定された。
【0025】
また、人体ダミーにペースメーカー(PM)を装着し、低周波電磁波を発生するIH電磁調理卓上コンロ(20kHz〜50kHz)を接近させ該PMを誤動作させる実験も行った。この実験では、磁気シールド・シートをその間に装着し、シートの形状によるPM誤動作距離を比較した。
【0026】
人体ファントムに内蔵したPMの誤動作実験の概要は以下のとおりである。
図18に示すように、実寸の中空人体モデルに人体等価物質(電気定数が人体組織と等価な水溶液−実験では0.85%の生理食塩水を使用)を満たして人体ファントムとする。人体ファントム内部にPMとリード線、さらにリード線の先端の電極に外部より擬似心拍を送信並びにPMの動作を確認するための導線を配置する。
【0027】
その外部に出力1500W、エネルギーの強い周波数帯域30kHz〜50kHzの卓上型IHコンロ(以下コンロという)の電磁コイル面の中心をPMのリード線が作るループ面の中心に正対するように設置する。コイルとループが正対したときに最も磁束結合が起きやすく、よって最もPMが誤動作する環境になる。
【0028】
まず、コンロの上に水を満たした6cmの厚みのあるブリキ缶を固定し、コンロを動作させ、コンロから発せられる電磁波を人体ファントムに照射して、PMが誤動作を起こす距離を試験した。次に、図19に示すように、誤動作が発生した条件下で人体ファントムに電磁シールド・シートを装着し、PMの誤動作を抑制できるかについて試験した。この結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
なお、表1における各符号は以下のとおりである。
《1》 メーカー名はメーカー別にアルファベットで表した。
《2》 型名は型別に数字で表した。
《3》 AAI、VVI、SSI・・・;PMのペーシングモードの種類でこの3つは抑制型ディマンド方式と呼ばれる。A=心房、V=心室、S=心房または心室、I=抑制機能を言う。一般的にこれらの型が電磁波の影響を受けやすいと考えられている。
《4》 感度設定;心電位感度。電圧設定が低いほど感度が上がる。
《5》 不応期;電磁ノイズの影響があっても、PM反応しない時間の長さを表す。
《6》 不要抑制開始距離;自己脈がない場合、PMは電気刺激を心臓に与える。その状態において、電磁ノイズによりPMが電気刺激の不要な抑制(PM停止)を開始する距離を表す。X=8cm以下(接近限界距離)である。
《7》 上記《6》 と同じ状況で、電磁波シールド・シートで防護した際にPMが停止を開始する距離を表す。X=8cm以下。
《8》 不要刺激開始距離;自己脈がある場合、PMは電気刺激を停止する。その状態において、電磁ノイズによりPMが不要な電気刺激を開始する距離を表す。X=8cm以下。
《9》 上記《8》 と同じ状況で、電磁波シールド・シートで防護した際にPMが不要な電気刺激を開始する距離を表す。X=8cm以下。
【0030】
PMの誤動作は主にリード線が作るループがアンテナになり、低周波の磁界の影響を受けて電流が発生し、それがPM内部にノイズとなって進入した結果発生する。本電磁シールド・シートはPM本体とリード線が作るループ面をカバーすることにより、磁束結合による電流発生を防ぐことにある。磁束結合はループの正面がもっとも影響を受けやすいので、正面方向をシールドすることで大きなシールド効果を得ることができる。そのことは試験結果からでも明らかである。図8に示すように、電磁シールド・シートは人体の前後に装着する必要がある。PMは前方のほうが電磁波の影響を受けやすいが、それは、PM本体が胸部前方の皮下に植え込まれるので、よりノイズ発生源に近くなってしまう為である。磁界エネルギーは距離の二乗に比例して変化するので、後方の方が影響を受けにくい。しかし、前方のみシールド・シートを用いた場合、後方から電磁波を受けると、前方のシールド・シートに反射してより電磁波の影響を受けやすくなることが分かっており、前後にシールド・シートを配置すると後方からの電磁波の影響も減少する。従って、PMの有効な低周波電磁界のシールド方法はPM本体とリード線が作るループ面の前後をカバーすることである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の医療用インナーウエアの全体斜視図である。
【図2】本発明の医療用インナーウエアの装着説明図である。
【図3】本発明の他の医療用インナーウエアの装着説明図である。
【図4】本発明のさらに他の医療用インナーウエアの装着説明図である。
【図5】図2の動作説明図である。
【図6】図3の動作説明図である。
【図7】図4の動作説明図である。
【図8】人体横方向から見た本発明の動作説明図である。
【図9】本発明の積層体シールド・シートの説明図である。
【図10】図2の8の拡大図である。
【図11】種々のシールド・シートを用いた電磁波遮断性能の比較実験結果を示す図である。
【図12】積層体シールド・シートへの大きさの影響の実験結果を示す図である。
【図13】積層体シールド・シートへの通気孔の影響の実験結果を示す図である。
【図14】本発明の電磁波遮断性能の測定装置を示す図である。
【図15】従来提案の医療用インナーウエアを示す図である。
【図16】従来提案の医療用インナーウエアの装着例を示す図である。
【図17】本発明の基本となる従来提案の医療用インナーウエアの金属繊維を用いたネット素材(MGネット)を示す図である。
【図18】本発明のシールド・シート無しの場合の人体ファントムによる電磁波遮断性能の測定方法を示す図である。
【図19】本発明のシールド・シート有りの場合の人体ファントムによる電磁波遮断性能の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 医療用インナーウエア
2 MGネット
3 積層体シールド・シート
4 積層体シールド・シート
5 ペースメーカー(PM)
6 リード線
7 心臓
8 積層体シールド・シート
9 積層体シールド・シート
10 積層体シールド・シート
31,33,35 導電材
32,34 磁性材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する繊維が、トリコット編みで編目の粗さが1.5mm以下のメッシュ状に編まれ、編み目の縦横の繊維が互いの動きを拘束することで目の粗さが一定に維持されている電磁波遮断ネットから成り、心臓ペースメーカーを使用している患者が着用することにより高周波ノイズによりペースメーカーの誤動作を防止する医療用インナーウエアにおいて、
人体の前記ペースメーカーの埋め込まれる付近の前記インナーウエアの前記ネットの上または下に導電素材と磁性素材の積層体からなるシールド・シートをさらに設けたことを特徴とする医療用インナーウエア。
【請求項2】
前記導電素材が金属箔であり、前記磁性素材がμの大きい磁性素材であって、前記積層体からなるシールド・シートが前記導電素材と磁性素材を交互に重ねた3〜9層構造であることを特徴とする前記請求項1記載の医療用インナーウエア。
【請求項3】
前記積層体からなるシールド・シートには1cm2 あたり1個以上の通気・通湿用の孔を空けたことを特徴とする前記請求項1または2記載の医療用インナーウエア。
【請求項4】
前記積層体からなるシールド・シートが人体の前後両側の前記ペースメーカーの埋め込まれる付近の前記インナーウエアの前記ネットの上または下に設けられていることを特徴とする前記請求項1〜3の内、いずれか1項記載の医療用インナーウエア。
【請求項1】
導電性を有する繊維が、トリコット編みで編目の粗さが1.5mm以下のメッシュ状に編まれ、編み目の縦横の繊維が互いの動きを拘束することで目の粗さが一定に維持されている電磁波遮断ネットから成り、心臓ペースメーカーを使用している患者が着用することにより高周波ノイズによりペースメーカーの誤動作を防止する医療用インナーウエアにおいて、
人体の前記ペースメーカーの埋め込まれる付近の前記インナーウエアの前記ネットの上または下に導電素材と磁性素材の積層体からなるシールド・シートをさらに設けたことを特徴とする医療用インナーウエア。
【請求項2】
前記導電素材が金属箔であり、前記磁性素材がμの大きい磁性素材であって、前記積層体からなるシールド・シートが前記導電素材と磁性素材を交互に重ねた3〜9層構造であることを特徴とする前記請求項1記載の医療用インナーウエア。
【請求項3】
前記積層体からなるシールド・シートには1cm2 あたり1個以上の通気・通湿用の孔を空けたことを特徴とする前記請求項1または2記載の医療用インナーウエア。
【請求項4】
前記積層体からなるシールド・シートが人体の前後両側の前記ペースメーカーの埋め込まれる付近の前記インナーウエアの前記ネットの上または下に設けられていることを特徴とする前記請求項1〜3の内、いずれか1項記載の医療用インナーウエア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−55289(P2006−55289A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238716(P2004−238716)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(504108772)メディカル・エイド株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(504108772)メディカル・エイド株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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