説明

電磁波遮蔽材及びその製造方法

【課題】 導電体層上の不要な透明被覆層は除去することで、接地電極を周縁部の所定の領域に容易に形成でき且つ連続生産性も良い、電磁波遮蔽材とその製造方法を提供する。
【解決手段】電磁波遮蔽材10は、先ず、A.準備工程で、透明基材層1上に、画像表示領域を含むパターン領域2Aとその周囲の接地領域2Bとを有する導電体層2、透明被覆層3が、この順に積層された導電体層積層体を準備し、次に、B.除去条件設定工程で、接地領域内の好適には接地電極とする部分以外で試験的に透明被覆層の除去加工を行って除去条件設定用露出部5を形成することで除去条件を設定し、次に、C.透明被覆層除去工程で、該除去条件により接地領域内の接地電極とする部分の透明被覆層を除去加工して接地用露出部4を形成することで、製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種の用途、中でも特にディスプレイの前面に配置するのに好適な、電磁波遮蔽材と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ディスプレイ(画像表示装置とも言う)として、旧来のブラウン管(CRT)ディスプレイ以外に、フラットパネルディスプレイ(FPD)となる、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(以後PDPとも言う)、電界発光(EL)ディスプレイ等の各種ディスプレイが実用されている。これらの中でも、特に、PDPは不要な電磁波放出が強いため、ディスプレイの前面に電磁波遮蔽材を配置している。
この様にディスプレイの前面に配置する用途の電磁波遮蔽材においては、金属層など不透明な導電体層を利用する場合、電磁波遮蔽性能と共に光透過性を実現するために、中央部の画像表示領域の導電体層には、多数の開口部をメッシュ状に形成したパターン領域を設けている。一方、電磁波遮蔽材の外縁部の導電体層では、電磁波シールド本来の目的の為にアース(接地)取りを行う必要があるため、例えば、導電体層には前記パターン領域の周縁部の四方全周囲に、開口部は設けない額縁形状(長方形の枠形状)の接地領域を設け、そこに導電体層を露出させた接地電極を設けている。
尚、本願明細書中に於いて、「電磁波」とは広義の電磁波のうちで、特に、kHz〜GHz前後の周波数帯域のものを呼称するものとし、可視光線(乃至光)、(近)赤外線、紫外線等の周波数帯域のものは、各々、「可視光線(乃至光)」、「(近)赤外線」、「紫外線」等と呼称する。
【0003】
また、電磁波遮蔽材は、本来の電磁波遮蔽機能以外に、更に近赤外線吸収、ネオン光吸収、反射防止等の光学フィルタ機能の付与、導電体層の傷付き防止などの為に、導電体層面に光学フィルムなど透明被覆シートを積層したり、樹脂層を塗布形成したりして、導電体層上を被覆することがあり、これらが透明被覆層となる。すると、透明被覆層は通常、樹脂層を含むので電気絶縁体であるために、導電体層の接地領域中に於いて、接地電極とする部分は、電気的導通を確保する為に、導電体層を露出させた露出構造が必要となる。
【0004】
このため、パターン領域及び接地領域を有する導電体層が透明基材層に積層された導電体層積層体に対して、大きさが一回り小さい透明被覆シートを導電体層積層体の中央部に貼付し積層することで、四辺全周囲に設けた接地領域中に四辺全周囲で導電体層を露出させて接地電極を形成する方法や、或いは接地領域も含めて全面に透明被覆シートを一旦貼付し積層した後に接地電極とする部分の透明被覆シートを剥がし除去することで、四辺全周囲に接地電極を形成する方法、などが提案されてきた(特許文献1、特許文献2)。
また、透明被覆シートを剥がすには、透明被覆シートに入れた切れ目部分で不要部分を剥がし除去したりする。
【0005】
この様に、透明被覆層に邪魔されずに導電体層が露出した接地電極を形成する方法には、大別すると、次の(a)法と(b)法とがあり、(a)法を部分積層法と呼び、(b)法を剥離法とも呼ぶことにする。
(a)法:予め透明被覆層の接地電極と対峙する部分は除外して、積層する方法。
(b)法:先ず透明被覆層を導電体層上の全面に積層後に、接地電極とする部分を剥がす方法。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−126024号公報(0016、図1)
【特許文献2】特開2003−66854号公報(請求項1、0018、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、接地電極は接地性能の点から電磁波遮蔽材の周縁部の四方に設けるのが好ましいが、この様な四方に接地電極を形成する方法として、前記(a)法では、透明被覆シートの貼付加工をロールから巻き出して連続帯状でロール・ツー・ロール方式によって連続処理できず、一枚毎に透明被覆シートを貼付する枚葉処理となる為に加工速度の高速化が困難な上に、高い貼付け位置精度が要求される、という問題がある。
一方、前記(b)法では、貼付処理は連続処理が可能であるが、切れ目を透明被覆シートに入れる際に深くなり過ぎて導電体層を貫通してしまい導電体層を切断したり、被覆シートを剥がすときに導電体層との接着力が強すぎて導電体層も伴って剥がしたりする、問題がある。
【0008】
すなわち、本発明の課題は、プラズマディスプレイなど各種ディスプレイの前面に配置して電磁波を遮蔽する用途に好適な電磁波遮蔽材について、その接地電極する部分の導電体層上を被覆する透明被覆層が在っても、導電体層の切断や剥離などの問題を回避して、導電体層を露出させた接地電極を周縁部の所望の領域、特に四方に容易に設けることが可能で、なお且つロール・ツー・ロール方式による連続生産に適した、電磁波遮蔽材とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明の電磁波遮蔽材は、透明基材層上に、導電体層、及び電気絶縁体からなる透明被覆層をこの順に積層して成り、該導電体層は、中央部分に位置して開口部を有するパターン領域、及び該パターン領域と電気的に接続すると共に該パターン領域の周縁部の少なくとも一部に位置する接地領域、とから成る、電磁波遮蔽材であって、該透明被覆層は、該接地領域内の接地電極となる領域上に於いて、該透明被覆層が除去されて該導電体層が露出して成る、接地用露出部を有し、且つ、該透明被覆層は、該接地領域上の一部の領域に於いて、該透明被覆層が除去されて該導電体層が露出して成る、除去条件設定用露出部を有する、ことを特徴とする電磁波遮蔽材とした。
また、本発明の電磁波遮蔽材は、上記にて、除去条件設定用露出部を接地用露出部とは離れた独立した領域に有するものとできる。
【0010】
また、本発明の電磁波遮蔽材の製造方法は、上記電磁波遮蔽材を製造する方法であって、A.透明基材層上に、導電体層、及び電気絶縁体からなる透明被覆層をこの順に積層して成り、該導電体層は、中央部分に位置して開口部を有するパターン領域、及び該パターン領域と電気的に接続すると共に該パターン領域の周縁部の少なくとも一部に位置する接地領域とから成る、導電体層積層体を用意する積層体準備工程、B.該接地領域上の一部の領域に於いて、該透明被覆層を除去して直下の導電体層を露出させて除去条件設定用露出部を形成することで、該透明被覆層を除去加工する為の除去条件を設定する、除去条件設定工程、C.設定した除去条件に基づき、該接地領域内の接地電極とすべき領域上の該透明被覆層を除去して直下の導電体層を露出させて接地用露出部を形成する、透明被覆層除去工程、とをこの順に実施する電磁波遮蔽材の製造方法とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、透明被覆層が在っても、導電体層を露出させた接地電極を周縁部の所望の領域、特に四方にも容易に設けることが可能で、なお且つ、導電体層の切断や剥離などの問題がなく、また連続生産に適した、電磁波遮蔽材とその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による電磁波遮蔽材の一形態を示す平面図(A)と、そのA−A線での断面図(B)。
【図2】接地用露出部と除去条件設定用露出部の形状及び位置関係を各種例示する平面図。
【図3】透明被覆層の除去を研磨加工で行い終点を電気的確認法などで検知プローブで行う方法の一例を概念的に示す説明図(側面図)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について、実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0014】
先ず、図1は本発明による電磁波遮蔽材10の一形態を例示する平面図(A)と、そのA−A線での断面図(B)である。平面図はXY平面のもの、断面図はXZ平面のものである。
同図の電磁波遮蔽材10は、層構成が、図1(B)で示す様に、透明基材層1上に、導電体層2のパターン領域2A及び接地領域2Bが透明接着剤層6を介して積層され、さらに該導電体層2のパターン領域2A及び接地領域2B上に透明被覆層3が積層されている構成である。
一方平面視は、図1(A)の様に、長方形形状とした電磁波遮蔽材10の中央部の導電体層2がパターン領域2Aで、その周縁部の導電体層2がパターン領域2Aと電気的に接続している接地領域2Bとなっている。そして、透明被覆層3は、導電体層2のパターン領域2Aの全面を被覆すると共に、導電体層2の接地領域2Bに於いては、除去条件設定用露出部5と接地電極である接地用露出部4の部分を除いて、接地領域2Bの導電体層2を被覆している。
【0015】
なお、図1(A)の平面図に於いては、導電体層2が露出している部分である、接地用露出部4及び除去条件設定用露出部5の各露出部は輪郭を実線で示す一方、これら露出部4及び5のパターン領域2Aとの平面視位置関係を示す為に、透明被覆層3が透明である故に透視できるが、導電体層2のパターン領域2Aと接地領域2Bとの境界線は破線で示し、また、該パターン領域2Aの領域内は薄めのハッチングで示してある。
そして、同図の形態例では、接地領域2Bは、パターン領域2Aの外側四方全周囲に電磁波遮蔽材10の外縁に至るまでの全ての領域としてある。
【0016】
また、同図の形態例では、接地用露出部4は、接地領域2Bの電磁波遮蔽材10の四辺に沿う部分に各々一箇所ずつの長方形の形状で各辺に沿って形成してある。一方、除去条件設定用露出部5は接地領域4B内で接地用露出部4とは離れた分離独立した位置に一箇所だけ、各接地用露出部4よりも小さい面積の長方形形状に形成してある。
【0017】
この様な電磁波遮蔽材10は、例えば、ポリエステルシートの透明基材1に透明接着剤層6で貼り合せた銅箔をエッチングしてメッシュ状のパターン領域2Aと接地領域2Bを設けた導電体層2を形成し、更にその上に光学フィルタなどを透明被覆シートの貼付けや透明被覆塗膜の塗布形成で透明被覆層3を形成して導電体層積層体を準備し(A.積層体準備工程)、次いで接地用露出部4を形成する前に、試験的に接地領域2Bの一部で、研磨加工やレーザ加工などの剥離法によらない除去加工法により透明被覆層3を試掘して除去条件設定用露出部5を形成することで透明被覆層3の除去条件を設定し(B.除去条件設定工程)、次いで、その除去条件(及び試掘時と同じ除去加工法)で、実際に接地電極とする部分の透明被覆層3を除去加工して接地用露出部4を形成する(C.透明被覆層除去工程)ことで製造する。試掘時に除去した痕跡が除去条件設定用露出部5である。したがつて、本発明では従来の剥離法による除去時の問題を回避できることになる。
【0018】
以下、本発明を更に詳述する。
【0019】
[接地用露出部]
接地電極となる接地用露出部4は、接地領域2Bに属する導電体層2が露出する様に設けられ、接地用露出部4とする部分に透明被覆層3が存在していた場合は、該透明被覆層3の除去加工によって直下の導電体層2を露出させた接地構造とする。
尚、若し、導電体層2の透明被覆層3側の表面に、更に、電気絶縁体から成る黒化処理層、防錆層等が積層されている場合には、これら電気絶縁体の層も透明被覆層と共に除去すべき対象となる。若し、これら黒化処理層、防錆層等が導電体から成る場合は、本願明細書中で言う導電体層2の一部と見做し、除去の対象外とする。即ち、この場合は、接地用露出部4は、これら黒化処理層或は防錆層が最表面に露出した形態であっても良い。
接地用露出部4の位置、形状、大きさ、及び個数などは、要求される接地性能が得られるものであれば特に制限はない。ただ、接地用露出部4は、接地性能の点では、四角形の電磁波遮蔽材10の四辺各辺に沿ってなるべく全周囲に位置するのが好ましい。尚、ここで、四角形の接地用露出部4が四角形の電磁波遮蔽材10の四辺各辺に沿っているというのは、該接地用露出部4の輪郭線が、図1(A)電磁波遮蔽材の4辺と水平又は垂直となっていることを意味する。
【0020】
例えば、図1(A)は、長方形の電磁波遮蔽材10の周縁の四辺の各辺毎に各辺に沿った位置と形状となる長方形形状で、隣接する辺間では不連続に独立して各辺に一箇所ずつ形成した例である。
【0021】
また、図2(A)は、長方形の電磁波遮蔽材10の四辺全周囲に沿って連続した所謂額縁形状の接地用露出部4を形成した例である。
なお、図2(A)では、導電体層2は接地用露出部4を除いた部分以外は全面が透明被覆層3で覆われている場合であり、図面左右両辺に露出しているのは透明基材1である。
また、図2(A)に於いては、接地領域よりも一回り小さい透明被覆層3を部分的に積層することで導電体層2を露出させる従来の透明被覆層3Aの一例を、想像線の輪郭線で示してある。
なお、図2内の各図に於いては、透明被覆層とする連続帯状の透明被覆シートを連続処理する場合に、該シートの走行方向である流れ方向MD(Machine Direction)を図面上下方向としてある。
【0022】
図2(B)は、長方形の電磁波遮蔽材10の四辺に沿って各辺毎に隣接する辺間では不連続に独立して一個ずつの長方形の接地用露出部4を合計で4個設けた例である。
【0023】
図2(C)は、長方形の電磁波遮蔽材10の四辺に沿って各辺毎に隣接する辺間では不連続に独立して一個ずつの長方形の接地用露出部4及び4Aを合計で4個設けた例である。但し図2(C)の場合は、電磁波遮蔽材10の図面上下方向に対向する二辺に沿った一対の接地用露出部4は、今まで例示したのと同様に、その全周囲外縁が透明被覆層3に接している(囲われている)が、図面左右の対向する二辺に沿った一対の接地用露出部4Aは、その内側のパターン領域2A側の一辺のみの外縁が透明被覆層3に接する位置関係で設けたてある。この一対の接地用露出部4Aの方は、前述した(a)法の透明被覆層の部分積層法によって形成したものであり、例えば、図面左右方向に一回り幅狭で上下方向に帯状の透明被覆シートを積層することで連続生産に適した方法で容易に形成できる。
この為、接地領域4Aも接地領域4も導電体層2を露出させた接地電極である点では同じであるが、その形成過程が異なるので、図2(C)に於いては符号の添え字で区別してある。
【0024】
この様に、電磁波遮蔽材の各辺に沿った接地用露出部4(乃至は4A)を設ける際、(連続帯状の透明被覆シートを透明被覆層として積層する際にその帯状シートの幅方向の)対向する二辺の一対の接地用露出部4Aは部分積層法によるものとし、他のMD方向に対向する二辺の一対の接地領域についてのみ、除去条件設定用露出部5を利用して該接地用露出部4上の透明被覆層3を除去加工して接地用露出部4を形成するのが、連続生産性の点で好ましい。
この様に、本発明では、全ての接地用露出部4及び4Aの面積を合計した全面積でなければ、その一部については接地電極とする部分に最初から透明被覆層3が存在しない様に透明被覆層3を形成することで、透明被覆層3の除去加工によらない接地電極が存在しても良い。
【0025】
[除去条件設定用露出部]
除去条件設定用露出部5は導電体層2上の不要な透明被覆層3を除去加工して、接地電極となる接地用露出部4を形成する為の加工条件を設定する為に形成された痕跡である。除去条件設定用露出部5を形成せずに、いきなり接地用露出部4を導電体層2上の不要な透明被覆層3を除去加工して形成すると、導電体層2までも不必要に除去し過ぎて導電体層2を全厚みで除去してしまったり、或いは逆に透明被覆層3が残留して接地不良になったりするおそれがある。特に、導電体層2の厚みが数μm〜10μm程度と薄いと、研磨などでの一回の除去加工で導電体層2も大きく除去するおそれがあり、丁度よい必要十分な除去量の設定が難しい場合がある。
ところが、本発明では除去条件設定用露出部5を設けているので、ここで試し掘りをして適切な必要十分な除去量となる除去条件を確認し設定してから、該条件で接地用露出部4を形成できる。したがって、上記のような除去量の過不足に起因する問題は回避できる。
【0026】
除去条件設定用露出部5の位置、形状、大きさ、及び個数などは、図1(A)、図2で例示のもの以外に、要求される接地性能を満たす除去条件を設定できるものであれば特に制限はない。例えば、位置は、図1(A)、図2(B)、図2(C)では、電磁波遮蔽材10の各辺の中央部を外して角に近い場所である。
また、除去条件設定用露出部5の形状は、四角形(長方形、正方形など)、三角形、五角形、六角形などの多角形、円、楕円などでもよい。また、大きさ(一個当たりの面積)は、除去条件の設定に必要十分な大きさであれば良い。例えば、正方形の一辺、或いは円の直径で5〜20mmである。
また、個数はこれらでは1個だが、2個以上でも良い。2個以上の場合は、導電体層2まで試掘し過ぎたときに、試掘し過ぎた除去条件設定用露出部5とは異なる別の場所で適切な除去条件を再設定することもできる。もちろん、一個の除去条件設定用露出部5の中で試掘量の異なる部分があっても良い。
【0027】
なお、除去条件設定用露出部5が接地電極としての接地性能を満たすならば、接地電極として使用しても良い。また、この場合、除去条件設定用露出部5を接地用露出部4内に設けても良い。図2(A)で例示した電磁波遮蔽材10は、これに該当する。
【0028】
図2(A)では除去条件設定用露出部5は明示されていないが、接地用露出部4の内部、例えば額縁形状とした接地用露出部4の四隅のうち一箇所など、なるべくならば接地処理への影響が少ない部分で除去条件の試し掘りを行った場合であり、除去条件設定用露出部5が接地用露出部4内に存在する場合である。
【0029】
但し、除去条件設定用露出部5は、元来、接地電極(接地用露出部4)にすることが目的ではないので、好ましくは、接地領域2B内での接地用露出部4の形成に支障のない部分で、接地用露出部4以外の部分に分離独立して形成するのが最適である。それは、万が一、試し掘りして除去量を決定する除去条件設定工程中に、透明被覆層3を除去しすぎた場合でも、実際に接地電極に使用する接地用露出部4内では接地性能が保障され接地抵抗には影響がない様にする為である。また、接地電極にした試掘部分の接地性能の品質を全く気にする必要がないためである。もちろん、除去条件設定用露出部5を接地用露出部4を形成する部分以外に分離独立して設けるとは言っても、接地領域2B内であるから画像表示領域を含むパターン領域2A以外の領域である。
【0030】
また、図2(B)は、除去条件設定用露出部5が接地用露出部4とは離れて分離独立した位置で接地用露出部4の外側で電磁波遮蔽材10の角部近くに設けた形態である。導電体層2は接地用露出部4及び除去条件設定用露出部5を除いた部分の全てに於いて透明被覆層3で覆われていても良いが、同図の場合では、除去条件設定用露出部5にて除去条件設定を電気的導通によって行う場合の導通用の取出し電極部7を、透明被覆層3の図面左右方向で右側に透明被覆層3よりも張り出させて接地領域2Bに接続して設けた例を示しす。
【0031】
また、図2(C)で例示した電磁波遮蔽材10は、図2(B)と類似しているが、透明被覆層3が部分積層法で形成され図面左右方向に幅狭として積層することで接地用露出部4Aを形成している関係上、この透明被覆層3の領域内の角部近くの接地領域3に設けた例である。
【0032】
[透明被覆層の除去方法]
ここで、除去条件設定用露出部5の形成、及び、その後の接地用露出部4の形成時に、透明被覆層3を除去する方法について説明する。
【0033】
本発明による電磁波遮蔽材10は、前記したとおり、A.特定の導電体層積層体を準備する準備工程、B.透明被覆層を試し掘りする除去条件設定工程、C.接地電極とする部分の透明被覆層を実際に除去する透明被覆層除去工程、の各工程をこの順に実施することで製造できるものであるが、これら工程のなかでも、特に特徴的な工程は、B.除去条件設定工程と、C.透明被覆層除去工程、及びこれらの順番であり、透明被覆層の除去はこれら工程の主要な処理操作である。
【0034】
除去条件設定工程及び透明被覆層除去工程にて、導電体層2上の透明被覆層3を除去するための除去加工の方法としては、前述した従来の剥離法以外の方法であれば良く、従来法による問題を回避できる。この様な除去加工の方法は、例えば、レーザ加工、研摩加工、切削加工などの掘削加工による除去加工、或いは化学反応による除去加工を利用できる。
【0035】
レーザ加工では、レーザ光として、例えば、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ等の赤外線レーザ、ルビーレーザ、Arイオンレーザ等の可視光線レーザ、エキシマレーザ等の紫外線レーザなどを使う。レーザ加工では、溶融、蒸発、分解などによって透明被覆層3が除去される。また、研摩加工では研磨材を用い、研磨材としては研磨シート、研磨テープなどを用いる。なお、研磨材の粗さは例えばJIS B0601(1994年)規定のRz値であらわした表面粗さで0.1〜5μm程度である。また、切削加工では、フライス盤などの刃物による切削で加工する。
【0036】
(除去条件設定用露出部を形成時の透明被覆層の除去と終点検知)
除去条件設定工程では、透明被覆層3を試し掘りして除去条件設定用露出部5を形成するときに、必要十分な透明被覆層3が除去されたか否かの除去加工の終点確認が重要となるが、その確認法は、代表的には電気的に確認する電気的確認法である。
【0037】
例えば、試験的に除去加工して除去条件設定用露出部5とする領域内の2箇所で、或いは試験的に除去加工する領域内の1箇所と、それ以外の領域内の1箇所とで、二点間の導通(電流値や電位差で検知)や電気容量の変化を検知する。例えば、二点間で導通が得られれば、導電体層が露出する程度に除去されていると判定できるので終点を検知できる。なお、上記それ以外の領域とは、例えば、図2(B)の取出し電極7、図2(C)の接地用露出部4Aなどの既に導電体層が露出している部分であり、透明被覆層3の除去が必要ない部分が好適である。
この様な、電気的確認法は、接触加工方式でも非接触加工方式でも、2箇所の検知プローブを利用すれば検知できなど、加工方式によらない利点がある。また、除去条件設定用露出部5とする領域内の2箇所間の導通で検知する場合、検知プローブ2本で導通を検知しても良いし、1本の検知プローブで2箇間の導通を検知できる様にしても良い。
【0038】
ただ、導通による検知では、除去加工しつつある面での導電体層2上に透明被覆層3がまだ残留している段階では導通が得られず、また導電体層2の全厚みを除去してしまった段階では導通が保証されない。また、銅箔や導電性組成物から形成した導電体層2の厚さが2〜10μmなどと薄いと、一回の試験的な除去加工でも透明被覆層3を貫通して導電体層2を深く除去してしまうおそれがあり、その点では複数回の加工を繰り返して目的とする除去加工量となる様に、条件出しの除去加工を行うのが好ましい。或いは、透明被覆層除去工程の加工中に常時検知する連続的な終点検知を行うのが好ましい。
【0039】
この様に、電気的確認法としては、除去加工した或いは除去加工しつつある領域面上と、露出している導電体層2の面上との両方の箇所に導通端子や電極端子などの検地プローブを置き、両箇所間に電圧を印加して、電流量や電位差により、導電体層2の露出の有無、或いは透明被覆層3の残留の有無や残留量を検知する方法が代表的である。
【0040】
また、電気的確認法としては、除去加工した或いは除去加工しつつある領域面上に、導電体層2と一定の距離を保った電極(検知プローブ)を置き、一方の電極は導電体層2に接触させて、これら両電極間に電圧を印加して両電極間の電気容量により、導電体層2の露出の有無、或いは導電体層2上の透明被覆層3の未除去量を検知してもよい。
【0041】
或いは、光学的確認法として、除去加工した或いは除去加工しつつある領域面上に照射された光線の反射光を測定し、吸収スペクトル或いは反射スペクトルの変化により、導電体層2の露出の有無、或いは導電体層2上の透明被覆層3の未除去量を検知してもよい。なお、前記光線は、可視光線、赤外線、紫外線などであり、波長幅や照射光スペクトルを設定してもよい。この光学的確認法は、除去条件として、導電体層2の表面が除去されて導電体層2内部が露出した状態でも良しとし、なお且つ導電体層2表面と導電体層2内部とが光学的に異なる特性(光線反射率、光線吸収率など)を有していれば、これを利用して光学的に検知して決定しても良い。例えば、導電体層2の表面が黒化処理されている場合などである。
また、光学的確認法は、2箇所間で測定する電気的確認法とは異なり、1箇所の光学特性の変化を測定することで終点を検知することもできる。光学的確認法では、反射光などの光学測定を検知プローブで行う。
【0042】
除去加工の終点検知のタイミングは、除去加工しながらの常時検知方式と、除去加工しながら或いは段階的な除去加工を中断しての間欠検知方式があるが、常時検知方式の場合は導電体層2の露出を瞬時に検知できる。また、間欠検知方式では、完全除去には至らない量として予め決められた除去量毎に検知を繰り返す。
【0043】
除去条件として設定する項目は、例えば、非接触加工方式であるレーザ加工では、レーザのエネルギー設定、波長、照射時間、パルスの場合はパルス幅などであり、また、接触式加工方式である研磨加工では、研磨材粗さ、押込み圧力、研磨時間、などであり、これらの内容は透明被覆層3の厚さや材質を考慮したものとなる。
以上の様な、除去加工設定工程では、必要な除去加工量を自動的に定めることができるので工程を自動化でき、またロール・ツー・ロール方式で連続処理できるので、生産性も良い。尚、ここで、「ロール・ツー・ロール方式」とは、シート状材料の加工方式であって、被加工材料を長尺帯状のシート状材料の巻取(ロール)から巻き出して供給し、所望の加工を程した後、再度、巻取に巻き取って保管、搬送等する加工方式を意味する。
【0044】
ここで、図3は、研磨加工によって、試掘の終点検知に電気的確認法を採用した1例を、概念的に説明する説明図(側面図)である。加工対象の電磁波遮蔽材10は、透明基材層1上に導電体層2が積層され、導電体層2上に該導電体層2の一部(図面では右端)を露出させる様に透明被覆層3が積層された構成である(図1で示した透明接着剤層6はその有無も含めて図示は省略してある)。
同図の加工ヘッド21は、回転ローラのローラ面に沿って走行する研磨テープで、透明被覆層3を擦って研磨することで、透明被覆層3を削り取って除去する。研磨材に研磨テープを用い、研磨テープを走行させて研磨テープの研磨面を新しくしていくことで、研磨屑の影響を軽減して安定的に研磨できる。なお、研磨屑は吸引(不図示)するなどして加工対象の汚れを防ぐことができる。
【0045】
図面右から左に水平に加工対象面に平行に走行する加工ヘッド21は天地方向に移動可能で研磨圧力を調整して研磨する。加工ヘッド21で削られて透明被覆層3の全厚みが丁度除去されると直下の導電体層2が露出する。図面中央の加工ヘッド21及び検知プローブ22は研磨開始前の段階を示し、図面左側の加工ヘッド21及び検知プローブ22は透明被覆層3の全厚みが研磨で除去されて、丁度導電体層2が露出した段階を示す。
なお、加工時の電磁波遮蔽材10は、加工ヘッド21の圧力を受け止める為に、例えば、水平な加工テーブル面(不図示)上に載せて一時的に固定する等しておくとよい。電磁波遮蔽材10を連続帯状で加工するときも、枚葉に切断する必要はなく、間欠送りで走行を一時停止させて固定して加工することができる。
【0046】
試掘の終点の確認は、2箇所の検知プローブ22(或いは22と22A)間の導通などによって行う。天地方向に移動可能な検知プローブ22は、少なくとも1本は加工ヘッド21の直後(図面右側)に設けてある。もう1本の検知プローブ22Aは、図2(B)で例示した、研磨加工前に既に露出させてある取出し電極部7に接触させる。これら2本の検知プローブ22及び22Aの二点間で電気的方法により終点を検知し確認する。二点間で導通が得られれば終点と判定できる。
【0047】
また、この様に、加工ヘッド21の加工が研磨加工であれば接触加工方式であり、接触加工方式の場合は、加工ヘッド自体で検知プローブを兼用させてもよい。例えば研磨テープの研磨面を導電性としておけば、加工ヘッドでの接触で電気的接触による導通を行う形で、電気的確認法での終点を検知し確認できる。
【0048】
次に、透明基材層、導電体層、透明被覆層などの各層について説明する。なお、これらは公知のものを適宜選択することができる。
【0049】
[透明基材層]
透明基材層1には、公知の透明な材料を使用すれば良く、可視光線領域での透明性、耐熱性、機械的強度等を考慮すると、樹脂フィルム(乃至シート)が代表的である。樹脂フィルム(乃至シート)の樹脂は例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、或いは、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂等である。なかでも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは好適な材料である。なお、透明基材層の厚みは、取扱性、コスト等の点で通常12〜500μm、好ましくは25〜200μmだが、特に制限はない。
【0050】
[導電体層]
導電体層2は、光透過性確保の為にパターン領域2Aが必要な層であり、該層自体は不透明な層である。また、導電体層2は、パターン領域2A周囲の、画像表示に影響のない部分に接地の為に、パターン領域2Aと電気的に接続した接地領域2Bも有する。この様な導電体層2は、公知のものでよく、代表的には、銅、アルミニウム等の金属層、或いは銀等の導電性粒子を樹脂バインダ中に分散させた導電性組成物層などである。
また、導電体層2の厚みは、電磁波遮蔽性能、除去条件設定の容易性等の点から、通常は2〜100μm、より好ましくは5〜20μm程度である。厚みが薄すぎると、試掘で除去条件を設定する時に、導電体層2が残る条件範囲が狭くなる。
【0051】
また、導電体層2が銅箔など由来の金属層である場合、特にパターン領域2Aの導電体層2は、コントラスト向上の為に、その表面が黒化処理層を有するのが好ましい。黒化処理層としては、電磁波遮蔽材において公知のものを適宜採用すれば良い。例えば、黒化処理層には、金属などの無機材料、黒色樹脂などの有機材料などを使用する。無機材料は、例えば金属乃至は合金、金属酸化物、金属硫化物などの金属化合物であり、めっき法など公知の黒化処理にて、黒化処理層を形成する。また、黒色樹脂は例えば黒色の着色剤を樹脂中に含有させた組成物で、黒色樹脂層として黒化処理層を形成する。
【0052】
パターン領域2Aにおけるパターンの平面視形状は、特に制限はなく公知の形状でよく、例えば、メッシュ形状(格子模様)、ストライプ形状(直線状縞模様、螺旋模様など)などである。なかでもメッシュ形状、それも正方格子形状が代表的である。なお、パターンの形成は、公知の方法、例えば、ケミカルエッチング、印刷法等により行えば良い。
【0053】
一方、接地領域2Bは、パターン領域2Aにて光透過性確保の為に設けた開口部は存在しないか、存在しても、その占有面積比率が小さくて良い。
【0054】
[透明被覆層]
透明被覆層3は、導電体層2を被覆する電気絶縁性の層であるが、少なくとも接地電極とする接地用露出部4と、除去条件設定用露出部5との部分は、導電体層2を被覆しない層である。透明被覆層3は、各種光学フィルタ、光学フィルタ機能以外のその他の機能を担う機能層などである。透明被覆層は透明被覆シートの積層や、塗料で塗布形成した透明被覆塗膜として形成する。
なお、透明被覆層の厚さは、それを除去する観点からはある程度薄い方が除去量が少なくなる点で好ましいが、透明被覆層の形成のし易さや性能維持などの観点から、適宜な厚さとすれば良い。
【0055】
(光学フィルタ)
光学フィルタとしては公知の光学フィルタ、例えばその光学機能としては、近赤外線を吸収する近赤外線吸収機能、紫外線を吸収する紫外線吸収機能、或いは、視覚上の効果が得られる、PDPのネオン光を吸収するネオン光吸収機能、表示画像を好みの色調に補正する色補正機能などの特定光透過機能、反射防止機能(防眩、反射防止、防眩及び反射防止のいずれか)、微小ルーバによる外光反射防止機能などである。光学フィルタは、これら機能の1又は2以上を備え、単層又は多層構成によって複数機能を兼用することができる。
【0056】
これら各種の光学フィルタ機能は、例えば、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色補正機能などは、これら機能に応じた色素(近赤外線吸収色素、ネオン光吸収色素、色補正色素)を用い、紫外線吸収機能は紫外線吸収剤を用いるなど、公知の材料・方法で実現できる。例えば、これら材料を樹脂中に分散させた樹脂層を光学フィルタとして、公知の塗工法、押出法などで形成することができる。また、反射防止機能なども含めて光学フィルタ機能を担う光学フィルタは、適宜透明基材に積層して光学フィルタとすることもある。なお、ここでの透明基材としては、前述電磁波遮蔽材の透明基材層1で列記した材料を使用できる。
【0057】
(その他の機能層)
光学フィルタ機能以外のその他の機能層としては、公知の機能層、例えばその機能として、導電体層のパターン領域に於ける凹凸を平坦化する平坦化樹脂層、導電体層や光学フィルタの表面を保護する表面保護層、ハードコート層、帯電防止層、汚染防止層、耐衝撃層、或いは2層間を密着させる接着剤層(含む粘着剤層)などである。これら機能層は単層或いは多層積層され、また、1層で複数機能を兼用することもある。
【0058】
[その他の層:透明接着剤層など]
透明接着剤層6は、導電体層2を透明基材層1に固定するための層であり、例えば、導電体層を銅箔から形成するときに、銅箔を透明基材層に接着固定しておく為に使用する。なお、ここで言う接着剤には粘着剤も含むものとする。透明接着剤層としては、透明であれば公知の接着剤を適宜使用すればよい。例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤などである。
なお、導電体層が透明基材層に透明接着剤層なしでも密着するならば、透明接着剤層は省略できる。例えば、導電体層を導電性組成物層として、透明基材層上に導電性組成物の印刷法により形成する場合などである。
【0059】
また、図示はしないが、例えば、導電体層2が積層された側とは反対側の透明基材層1の面に、ディスプレイ前面板などの被着体に貼り付ける為の粘着剤層やそのセパレータフィルムなどの、他の層が積層されていても良い。
【0060】
[電磁波遮蔽材の製造方法]
上述した様に、本発明による電磁波遮蔽材10は、先ず、A.準備工程にて、透明基材層1上に、パターン領域2A及び接地領域2Bを有する導電体層2、透明被覆層3が順次積層された導電体層積層体を準備し、その後に、B.除去条件設定工程で、該接地領域2B上の一部で透明被覆層3を試掘して導電体層2を露出させて除去条件設定用露出部5を形成することで透明被覆層3の除去条件を設定し、その後に、C.透明被覆層除去工程を実施して、前記除去条件で接地電極とすべき部分の透明被覆層3を除去して導電体層2を露出させ接地用露出部4を形成する、ことで製造することができる。
これら工程のなかでも、特に特徴的な工程は、B.除去条件設定工程と、C.透明被覆層除去工程、及びこれらの前後関係であるところの、C.透明被覆層除去工程よりも先にB.除去条件設定工程を行うことにある。そして、これら各工程については、既に述べてきており、ここでは重複するため更なる説明は省略する。
【0061】
なお、上記各工程にて、透明被覆層関係の操作を一括して一台の装置で処理しても良い。例えば、導電体層積層体を準備する、A.準備工程中の最後に透明被覆層3を積層する工程(A1.透明被覆層積層工程と呼ぶことにする)と、B.除去条件設定工程と、C.透明被覆層除去工程の各工程は、全て透明被覆層3に対する一連の操作工程であり、これらを同じ装置で連続して行っても良い。透明被覆層3の積層から、透明被覆層3の試掘による除去条件設定、接地電極とする部分の透明被覆層3の除去、の各操作を連続処理する装置である。上述したように、B.除去条件設定工程での条件設定は自動的に定めることができるので、連続処理が可能である。
しかも、これらの工程は、透明被覆層3をロールから連続帯状で供給して連続生産する場合に適しており、ロール・ツー・ロール方式での連続生産が可能である。
【0062】
また、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、上述した以外の、その他の工程を随時追加しても良い。例えば、導電体層2が積層された側とは反対側の透明基材層1の面に、ディスプレイ前面板などの被着体に貼り付ける為の粘着剤層やそのセパレータフィルムなどを積層する工程などである。
本発明の電磁波遮蔽材は、各種用途に使用可能である。特に、テレビジョン受像装置、各種測定機器や計器類、各種事務用機器、各種医療機器、電算機器、電話機等の表示部等に用いられるPDP、CRT、LCD、ELなどの画像表示装置の前面フィルタ用として好適であり、特にPDP用として好適である。又、その他、住宅、学校、病院、事務所、店舗等の建築物の窓、車輛、航空機、船舶等の乗物の窓、電子レンジ等の各種家電製品の窓等の電磁波及び赤外線遮蔽用途にも使用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 透明基材層
2 導電体層
2A 導電体層のパターン領域
2B 導電体層の接地領域
3 透明被覆層
3a 従来の部分積層法による透明被覆層
4 接地用露出部(接地電極)
4A 部分積層法による接地用露出部(接地電極)
5 除去条件設定用露出部
6 透明接着剤層
7 取出し電極部
10 電磁波遮蔽材
21 加工ヘッド
22 検知プローブ
22A 検知プローブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材層上に、導電体層、及び電気絶縁体からなる透明被覆層をこの順に積層して成り、
該導電体層は、中央部分に位置して開口部を有するパターン領域、及び該パターン領域と電気的に接続すると共に該パターン領域の周縁部の少なくとも一部に位置する接地領域、とから成る、電磁波遮蔽材であって、
該透明被覆層は、該接地領域内の接地電極となる領域上に於いて、該透明被覆層が除去されて該導電体層が露出して成る、接地用露出部を有し、
且つ、該透明被覆層は、該接地領域上の一部の領域に於いて、該透明被覆層が除去されて該導電体層が露出して成る、除去条件設定用露出部を有する、
ことを特徴とする電磁波遮蔽材。
【請求項2】
除去条件設定用露出部を接地用露出部とは離れた独立した領域に有する、請求項1記載の電磁波遮蔽材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽材を製造する方法であって、
A.透明基材層上に、導電体層、及び電気絶縁体からなる透明被覆層をこの順に積層して成り、該導電体層は、中央部分に位置して開口部を有するパターン領域、及び該パターン領域と電気的に接続すると共に該パターン領域の周縁部の少なくとも一部に位置する接地領域とから成る、導電体層積層体を用意する積層体準備工程、
B.該接地領域上の一部の領域に於いて、該透明被覆層を除去して直下の導電体層を露出させて除去条件設定用露出部を形成することで、該透明被覆層を除去加工する為の除去条件を設定する、除去条件設定工程、
C.設定した除去条件に基づき、該接地領域内の接地電極とすべき領域上の該透明被覆層を除去して直下の導電体層を露出させて接地用露出部を形成する、透明被覆層除去工程、
とをこの順に実施する電磁波遮蔽材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−232462(P2010−232462A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78994(P2009−78994)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】