説明

電磁遮蔽方法および電磁遮蔽部材

【課題】溶解法により二元合金として、銅鉄合金、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金を使用した電磁遮蔽素材を提供する。
【解決手段】従来、電磁遮蔽を行う方法として、特に電界を遮蔽するためには、導電性の高い金属類が用いられ、一方、磁気の遮蔽には、鉄をはじめとする磁性材料が用いられてきた。従って、電界及び磁界を同時に遮蔽するためには、導電性の高い金属と透磁率の高い鉄を二層構造にして電磁遮蔽をすることが考えられたが、実施上の難しさ、経済的要因で利用されてこなかった。本素材は銅と鉄の二元合金あるいは、前記二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金は共晶状態を呈し、電界と磁界を同時に遮蔽する能力をあわせて備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路あるいは電子部品の使用に当たって、あるいはシールドルームの建設において、当該電子回路あるいは電子部品から洩れ出る電磁波、電界、磁気の遮蔽あるいは、外界から来る不要な電磁波、電磁界を高い電磁遮蔽率で行い得る電磁遮蔽方法または電磁遮蔽部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子回路や電子部品から発生する電磁波は、鉄板ないしは金属板で覆うなどして、妨害電波の遮蔽を行ってきた。また導電性フィルムなども用いられてきた。電子技術の発展に伴い、それらの妨害電磁波の低減は、法規制で守られ、相互の干渉、電子機器の誤動作などを低減する工夫がされて来た。しかしながら、電子技術の発達で、益々電子技術を用いた設備や機器が使われ、身近にそれらのものが常に使用されるようになってきており、電磁遮蔽の問題は、外界への影響を最小化するに限らず、電子回路、電子機器の性能を向上させるために、重要な要素となり、一方外界への無用な電磁界を放出することは、他の電子機器や設備に与える影響が大きくなり、益々深刻な事態となって来たため、従来の電磁遮蔽率より一層の高い電磁遮蔽方法や電磁遮蔽材料の必要性が増してきた。
又、精密な電磁的測定を伴う医療や、電磁波の回り込みを嫌う放送設備、高度な電子技術を駆使した航空機内での電子機器の使用、電磁計測装置、磁気ヘッド、コンピュータ機器、DC−DCコンバータ、ICチップなど外部への影響を最小化するあるいは、外部からくる電磁波の影響を最小化するため、電磁遮蔽技術が工夫されてきた。これらの従来技術の特許文献を以下に示す。
【0003】
【特許文献1】特開2004−137823
【特許文献2】特許3033826
【特許文献3】特公平07−024352
【特許文献4】特開2004−327687
【特許文献5】特許3591629
【特許文献6】特開2005−147822
【特許文献7】特公平07−024362
【非特許文献1】電波吸収体のはなし 橋本修著 日刊工業新聞社発行 2001年6月29日初版
特許文献1の特開2004−137823には、導電性被膜を設けた弾性目地遮蔽材を前記目地に圧入して電波の壁面通過を防いでなる電磁シールドコンクリート利用が記載されており、を前記電磁シールドコンクリートには、マグネタイト系鉄鉱石、砂鉄、製鉄ダスト又はカーボン繊維を混入した電磁シールドコンクリート利用の電磁シールド工法が記載されている。しかしながら、この場合において、完全な電気的接地が出来ず、電気抵抗が比較的高いことにより、電磁界の透過に対し不十分である欠点を有する。
【0004】
特許文献2特許3033826には、磁気シールドと電波シールドとを同時に且つ有効に成し得るシールドルーム用シールドパネル及びその組立体が示されており、MRI装置では、磁気共鳴によって人体内から発生する微弱な電磁波を精密測定してこれを映像するようになっているため、周波数が近い僅かなノイズ電波をもこれを回避しなければならず、このため、外部電波を厳格に遮蔽するための電波シールド室が装置全体(或いは一部)を対象として施設されることが記載されている。MRI装置は人体の断面映像を撮影するためのものであり、撮影時には被撮影物は、例えば0.2(2000ガウス)乃至2テスラという強力磁界中に所定時間晒されており、同時に、外部周囲の空間も、このMRI装置からの強力磁場に晒され、例えば周囲への磁気漏れによって10ガウス程度の磁界が生じても周辺の精密電子機器が誤動作し、特に、ペースメーカ等を体内に内蔵した人が作動中の当該MRI装置の近傍を歩くとペースメーカが誤動作し易いという大きな危険を伴うことが記載されている。この場合、シールドルームの組立て作業そのものが実施し易い工夫がされているが、導電性が高く、且つ、透磁率の高い材料が必要である。しかしながら従来においては、亜鉛をコーティングした鉄板で形成したことを特徴としていたが、透磁率が高く且つ導電性の高い材料の使用が困難であり、銅のように電気伝導率が高く、コストの安い材料が使用されるべきであり、又、鉄のように透磁率が高い金属の使用が合わせて使われることが望ましい。従って、銅と鉄の合金である二元合金の使用は、この点において最適材料であり、電界及び磁界の同時遮蔽において好都合である。
【0005】
特許文献3の特公平07−024352には、請求項1に、電磁波遮蔽建物として、建物内で使用される各種情報通信機器の通信電磁波周波数に対して電磁波を十分に遮蔽できる電磁波遮蔽材で独立的に被覆された情報通信機器室ユニットや設備室ユニット等の各々独立した室ユニットと、上記電磁波遮蔽材で独立的に被覆され、内部に電力線、通信線および/または空調ダクトを備えた連絡スペースユニットとにより建物を構成し、該連絡スペースユニットと上記各室ユニットの間の配線や配管による連絡を上記各ユニットに設けた電波漏洩防止装置を通して行うように構成したことを特徴とする電磁波遮蔽建物が記載されている。又請求項3には、上記電磁波遮蔽材が亜鉛メッキ鉄板等の金属板、金網、金属格子、メッキまたは蒸着板・膜等の電磁波反射材であることを特徴とする前記特許請求の範囲第1項または第2項に記載の電磁波遮蔽建物との記載がある。この場合も、前記特許文献2と同じく、銅のように電気伝導率が高く、コストの安い材料が使用されるべきであり、又、鉄のように透磁率が高い金属の使用が合わせて使われることが望ましい。従って、銅と鉄の合金である二元合金の使用は、この点において最適材料であり、電界及び磁界の同時遮蔽において好都合である。
【0006】
特許文献4の特開2004−327687には、電磁波障害防止用材料として、粒径が100ナノメートル未満の微結晶を含有する軟磁性金属皮膜の少なくとも一層(A層)が湿式めっき法によって形成されてなるシート状電磁波障害防止用材料の記載がある。請求項4には、前記A層の上又は(及び)下に、該軟磁性皮膜の層よりも電気伝導度の良好な金属皮膜の層(B層)が湿式めっき法によってさらに形成されて、少なくとも二層以上の層構造となっている請求項1〜3のいずれかに記載のシート状電磁波障害防止用材料が記載され、又、請求項14には、前記B層が銅又は銀或いはそれらを含む合金から選ばれる一種又は二種以上からなる請求項4〜13のいずれかに記載のシート状電磁波障害防止用材料が記載されている。しかし、この場合、湿式めっき法では、処理において、電磁波障害防止用材料相当の面積以上のメッキ槽を必要とし、又、二層構造にする必要がある難点があり、コスト面、実施面でコストにおいても高価になるという問題がある。従って、従って、銅と鉄の合金である二元合金の使用は、二層化せずとも銅と鉄の共晶が多層膜を形成している状況であり、この点においても最適材料であり、電界及び磁界の同時遮蔽において好都合である。
【0007】
特許文献5の特許3591629には、電磁シールド床について、その請求項1において、真綿状シールド材を床スラブ上に所要電磁シールド性能の発現に足る割合で敷き、前記真綿状シールド材の壁側の端縁を前記壁面シールド材の折曲げた下端へ電気的に接触させてなる電磁シールド床が記載されており、更請求項9において、前記導電性繊維を、銅、黄銅、ステンレス鋼、鉄・クロム合金、及び炭素からなる群から選んだ一以上の材料からなる直径40〜100μmの繊維としてなる電磁シールド床であることが記載されている。ここでは、銅のように電気伝導率が高い材料による線材と、鉄のように透磁率が高い金属の線材を合わせて使うものであるが、そのそれぞれの銅、鉄の線材が互いに離散することなく、均一に床面に敷くことは難しく、これを固定するには、樹脂などの第三の材料を要することとなり、取り扱い上及び、コストにおいての難点がある。又、終端を完全に電気的に設置するには、かしめ作業が必要である一方、湿度を伴った場合の電食が生じ易く、耐久性の上から、問題が生じる。ここにおいても、銅と鉄の合金である二元合金の使用は、この点において最適材料であり、終端を相手側の銅材のアースバーへの溶接、友材によるロウ付け、ネジ止めが容易であり、電界及び磁界の同時遮蔽において好都合である。
【0008】
特許文献6の特開2005−147822には、前記第1及び第2の金属体は電磁界シールド効果を有すると共に、一方は熱伝導が高い金属であることの必要性が記載されており、又、DC/DC電源であるスイッチング電源では、伝導性、放射性ノイズ、特に漏洩磁界ノイズが発生し、周辺回路、とりわけパネルセンサ及びアンプICを含めた検出系に磁気結合して誘導ノイズ電圧を発生し、画像表示装置の品質などに影響を及ぼす問題が記載されている。こうした漏洩電磁界ノイズを発生する電子回路や、デバイスからの漏洩電磁界ノイズを遮蔽するには、電磁遮蔽材で密閉することが必要であるとしているが、特に磁場遮蔽を高遮蔽率で実現するためには、放熱性の高い材料つまり熱伝導率の高い、銅などの材料を合わせて使用する方法が記載されている。この場合も、二種の金属を熱抵抗を持たせることなく、電磁界を高効率で、行うための課題が生じる。従って、銅と鉄の二元合金の使用は、この点においても最適材料であり、電界及び磁界の同時遮蔽と熱を外部に放出する上で、好都合である。
【0009】
又、特許文献7に示す、特公平07−024362のような場合の電磁遮蔽ブラインドを構成する電磁遮蔽材料においても、特に高い磁場遮蔽率を要する場合には、銅と鉄の二元合金の使用が効果的であり、最適材料であることは明白である。
非特許文献1の電波吸収体のはなしでは、電波吸収体について種々材料、方法の記載があるが、本発明で用いた銅と鉄の二元合金の使用については、一切の記載が無い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来電磁遮蔽を行う場合、電界を遮蔽する場合、導電率の高い金属、例えば銅、金、銀、アルミなどが用いられ、又、磁界の遮蔽においては、パーマロイや鉄などの強磁性体が用いられてきた。しかしながら、電界と磁界を同時に遮蔽することは、難しく、又、電界と磁界を同時に遮蔽する素材が無かった。又、遮蔽効果を完全にするには、密閉する必要があるが、同時に密閉された中の電子デバイスや電子回路からの発熱を外部に逃がす必要が生じる。かかる場合において、導電率の高い金属、例えば銅、金、銀、アルミなどが用いられるが、この場合、透磁率の高い鉄やパーマロイと比較すると磁場遮蔽効果が落ちる難点がある。この逆に、透磁率の高い鉄やパーマロイを使用すれば、磁場遮蔽効果は確かに良いが、熱伝導率が銅、金、銀、アルミなど劣り、放熱上の問題、電界遮蔽の効果において、難点がある。
又、銅板を鉄の筐体と結合するには、溶接が出来ず、ボルトによる固定では、隙間ができ、その間隙からの電波漏洩や、接触抵抗の増加によるアースを取る場合の不具合が生じていた。
【0011】
又、鉄と銅の薄板を交互に張り合わせ、圧接した材料を使用する場合、薄板加工や、圧延加工が出来ず、所望の厚さ、広さの平板を得るための平板加工が出来ない不具合があった。一方、鉄と銅の粉末を焼結した焼結金属においても、素材が脆く、圧延加工などの板加工が出来ない不具合があった。
本発明は、元材料を導電率の高い金属として銅を用い、透磁率の高い鉄との二元合金を得て、電磁界の遮蔽効果が高い電磁遮蔽を実現し、電子機器、設備、建物から放出される漏洩電磁界を押さえ、又、外界からの不要な電磁界から高感度の精密機器、測定器、医療設備への影響を除外することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明において、用いる素材の二元合金は、溶解法により、鉄3%以上から90%以下、残りの97%未満から10%未満を電解銅の比率とし、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金を使用するが、前記銅鉄合金である二元合金は、加工性に富み、圧延加工、線引き加工が容易である。
【0013】
従って、圧延加工によって得られた、平板や、薄板を求める電磁遮蔽目的に合わせ、使用するものである。一方、前記銅鉄合金である二元合金は、棒状加工や、線状加工も容易であるから、平板電波吸収体に限らず、線状電波吸収体、あるいは、電磁遮蔽の用途に板状、線状の形態で使用することができる。
前記銅と鉄の共晶合金は、含まれる鉄が強磁性体として磁場の遮蔽に有効である共に、これを囲む銅は良好な導電体であることから、高い電磁遮蔽効果が得られる。
また、鉄は電気抵抗が銅よりも高いために流れる電流を熱に変える役割を果たし、鉄は交番磁界に対し、抵抗として熱エネルギーに変換され、何れも電波吸収として働く。
【0014】
また、前記銅と鉄の二元合金は、電波の遮蔽を必要とするシールドルームの外壁材としても薄板状、線状又は、線状の線を網状に織るなどして、効果的に電磁遮蔽材として応用できる。
また、電子回路から発信される障害電波を外部に漏らすことなく、同時に内部に熱を篭らす事なく放熱する電磁波漏洩を遮蔽する覆い材料として利用することができる。
【0015】
本発明の請求項1に記載した発明は、溶解法により、鉄60%以上から90%以下、残りの40%未満から10%未満を電解銅の比率とした二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金二元合金を使用する電磁遮蔽方法ある。
前記銅鉄合金二元合金は、鉄を3%から90%、残りの97%未満から10%未満を銅で構成することができるが、鉄成分の増量は、透磁率を上げる効果があるものの、硬さが増し、加工率が上げられない欠点が有る。
従って、成分比率を使用目的に合わせ、適正に選択する必要がある。
又、添加物の効果は、透磁率を上げる効果が得られ、磁気遮蔽に高い効果を有する。
【0016】
請求項2では、鉄の成分比率を下げ、溶解法により、鉄30%以上から60%以下、残りの70%未満から40%未満を電解銅の比率とした二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金二元合金を使用する電磁遮蔽方法を記載し、これによって、電磁遮蔽特性のことなる加工率の改善された電磁遮蔽部材を得ている。
【0017】
請求項3では、更に鉄の成分比率を下げ、溶解法により、鉄3%以上から30%以下、残りの97%未満から70%未満を電解銅の比率とした二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金二元合金を使用する電磁遮蔽方法を記載したもので、一層の加工性の改善を得たものである。この場合、鉄の共晶が圧延方向に更に長く伸ばせることから、請求項5に示す、高周波側の電磁遮蔽効果の維持が可能となっている。
【0018】
本発明の請求項4において、平板あるいは薄板加工により形成し、被遮蔽物を覆うことにより、電磁遮蔽効果を得る電磁遮蔽方法又は電磁遮蔽部材が記載している。これは、請求項1から請求項3において、銅と鉄の合金である二元合金を平板または薄板加工し、被電磁遮蔽物を覆うことによる電磁遮蔽部材であり、電磁界の漏れを完全に覆い、電磁界の漏れあるいは、外部からの不要な電磁界から電磁遮蔽する電磁遮蔽部材である。
【0019】
又、請求項5に記載したように、請求項4において、圧延板加工時に銅と鉄の共晶体の伸張方向に伸張率を1%から70%調整し、銅の中の鉄の共晶長を可変し、電気特性を加減すること又は、前記伸張率を可変した材料平板を電磁界の入射方向と直交あるいは伸張方向を斜めにずらして使用する電磁遮蔽部材を記載したものであり、これにより、平板あるいは薄板の電磁界遮蔽特性を使用する元材料が伸張された方位によって得られる特性で電磁界の遮蔽改善し、高周波領域の電磁界遮蔽特性の低下を抑止した効果を得るものである。
【0020】
又、高周波電磁界の場合、垂直偏波、水平偏波と言われる電磁界に入射方向依存性がある。鍛造、圧延加工した銅と鉄合金である二元合金は、鉄の共晶の圧延による伸張が、遮蔽する高周波電磁界の、垂直偏波、水平偏波に係わる方位特性を有する。請求項6では、請求項4において、圧延線引き加工時に銅と鉄の共晶体の伸張方向を俥張率1%から98%の間で調整し、銅の中の鉄の共晶長を可変し、電気特性を加減すること又は、前記伸張率を可変した線材料を直交あるいは伸張方向を斜めにずらして二枚又は複数枚重ね使用することで、一層の電磁遮蔽効果の高い電磁遮蔽部材について記載している。
【0021】
又、請求項7に記載した請求項1から請求項5において、圧延加工時の加工率を変え、鉄および銅の共晶の伸張長さを変え、電磁遮蔽効果の周波数特性を変える電磁遮蔽部材について、特に鉄の共晶の伸張長さは、銅鉄合金二元合金の内部あるいは表皮を流れる高周波電流の周波数依存性を利用するものであり、電磁遮蔽効果の周波数特性を材料設計において成すものである。
【0022】
又、電子回路や電子デバイスの遮蔽効果を高めるために密閉すると、それらの電子回路や電子デバイスからの発熱も遮蔽の覆いの中に閉じ込めることとなり、不具合が生じる。請求項8に記載されたように、請求項1から請求項6において、電磁遮蔽とともに機器の熱の放出を図るため、部材としてあるいは、放熱フィンあるいは、発熱部を遮蔽の覆いに密着させ、熱伝導を良くし、熱の発散を改善することを意図した構造とした電磁遮蔽材料であり、銅鉄合金である二元合金は熱伝導率もよく、又、構造材料としても鉄成分により銅やアルミに比較し、強度が高いため、より薄い材料でよく、放熱と共に電磁界の遮蔽も同時に行うことができる。
【0023】
更に、請求項9においての記載の通り、銅鉄合金である二元合金は、溶接相手が銅であっても鉄であっても溶接できる利点がある。そこで、請求項1から請求項7において、電気的に筐体や他の部品、構造物が鉄あるいは銅である場合、それらの構造物が銅であっても鉄であっても二元合金を用いてあるいは鉄、銅の溶接材を用いて容易に溶接することによって、機械的設置をより確実にし、且つ、電気的にも確実な接地が行い得るため、これにより電磁遮蔽効果を更に高めることができる電磁遮蔽材料である。例えば、シールドルームの建設において、鉄骨への溶接や、銅製のアースバーへの溶接が容易であり、これによって接地工事をより完全にすることができる。通常銅板と鉄の溶接は出来ず、ボルト締めによる必要が生じるが、本発明の場合、溶接相手が、鉄でも銅でも銅と鉄の二元合金を溶接棒として用いることで、溶接工事が容易となる。
【0024】
又、請求項10において、記載された網状の電磁遮蔽部材とは、前記銅と鉄の二元合金製の線引きした線を用い、請求項1から請求項3において、線引き加工した当該二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅および鉄の二元合金を使用し、網状に織り込むことを特徴とする電磁遮蔽部材であり、同時に別の繊維と編みこみ、電磁遮蔽部材とすることが出来、平板や薄板の加工品に比較し、被遮蔽物の覆いとして容易に利用できることを特徴としている。この場合、電磁遮蔽部材が絶縁体であることを要する場合、絶縁物の糸で芯線である銅と鉄の合金である二元合金製の線を覆うように編みこみ、絶縁体として使う方法も容易に実施できる。
【0025】
更に、請求項11に記載されている、請求項1から請求項3において、線引き加工した当該銅と鉄の合金である二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の合金である二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅と鉄の合金である二元合金を使用し、絶縁体の中に一定方向、または不特定方向に固定あるいは絶縁体で固めた電磁遮蔽部材は、線状の銅と鉄の合金である二元合金を樹脂フィルムで挟み、あるいは樹脂で固めて固定し、電磁遮蔽部材を形成するものであり、板金加工の隙間部分からの電磁波の漏れ、防止、不定形の覆いの形成による電磁遮蔽、あるいは電磁遮蔽カーテンや、シールドルームの壁面に使用することができる。又、外周部から銅と鉄の合金である二元合金を引出し、接地すべく加工することができる。
【0026】
請求項12に記載された請求項1から請求項3において、線引き加工した当該銅と鉄の合金である二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の合金である二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金二元合金を使用し、前記線引きした線材を等長あるいは非等長に寸断に、等方向あるいは規則性を持って配列し、あるいは規則性を持たせず絶縁体のなかに一定方向、または不特定方向に固定あるいは絶縁体で固めた電磁遮蔽部材は、外部へ放射される電磁波の偏波に合わせ、あるいは周波数特性を得るために線材を等長に裁断して、規則性を持って配列したもの、あるいは電磁波の偏波によらず、あるいは周波数特性を持たないように、非等長に寸断あるいは規則性を持たせず配列し、電磁遮蔽する部材である。又、それらの電磁遮蔽部材を重ねて使用するものである。
【0027】
又、通常的な電磁遮蔽では、電気的接地を行いより完全な電磁遮蔽を行うのであるが、その場合、接地工事の終端部を銅製のアースバーや、銅製のアース棒を用いるが、銅は、ネジ加工した場合、強度が弱く、より締め付けを要する構造物に適さない。又、アース棒は地中に打ち込み接地抵抗を下げるものであるが、銅は、強度が弱いため、打ち込み作業中に曲がりなどの変形が生じ、再度別のアース棒に交換する必要性が生じるなどの不具合があった。そこで、請求項13に記載した請求項11において、等間隔に導電率の良い導体あるいは、前記銅と鉄の合金である二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金二元合金を使用した線によりアース線、アースバーあるいはアース棒による接地を設けることで、より完全なる電磁遮蔽を行う遮蔽部材が得られる。
この場合、前記電磁遮蔽部材とアース線、アースバーあるいはアース棒との結合は、銅に比較し、強度を確保できるネジ止めや溶接、ロウ付けいずれもが容易に行い得る。
【0028】
更に、請求項14の記載の如く、請求項12において、寸断長さを最小化し、粉末化したものを絶縁体ないしは、織物、プラスチックシート、不織布に付着加工あるいは混入固化し電磁遮蔽を行う部材を得ることができる。これにより、シールドルームの壁材、電波暗室の電波吸収部材、あるいは電磁遮蔽カーテンや、電磁遮蔽覆い材が得られる。
【0029】
又、請求項15の記載は、請求項4において、前記銅と鉄の合金である二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の合金である二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金二元合金を使用した板のバネ性を利用し、バネとしての復元力を利用して、塑性変形させる特定あるいは不特定多数の力点を設け、表面を変形させることで、表面の電磁波反射角度を選べる電磁遮蔽部材である。 銅と鉄の二元合金はその良好なバネ性が利用できる。前記バネ性による元も形状への復元力を利用し、必要に応じた形状に変形するが、被電磁遮蔽物の形状が入れ替わり変化する場合でも、元の形状に復元できる電磁遮蔽覆い材が得られる。
【0030】
電波暗室やシールドルーム、あるいは特定波長の電磁波に対しての無反射面の構成を請求項16に記載した。請求項10から請求項13において、前記銅と鉄の合金である二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金二元合金を使用した線のバネ性を利用し、バネとしての復元力を利用して、無反射特性の波長可変を可能とした無反射壁部材が得られる。例えば一定周期で前記電波吸収体あるいはシート状の電波吸収体を周期的に変形させるアクチェータを設け変形させるあるいは、構造物に吸着させることによって、特定周波数の電波無反射構造を形成できる。
【発明の効果】
【0031】
前記銅と鉄の二元合金を薄板状に圧延、鍛造加工を加え、あるいは線状に線引き加工を加え、あるいは線状の前記銅と鉄の二元合金を網状に編むあるいは、線引き加工したものを一定長あるいは不定長さに裁断し、これを樹脂で等間隔あるいは規則性無く固めるあるいは、接着し、電界及び磁界の遮蔽効率の高い電磁遮蔽を実現することが出来る。又、鍛造方向を同一方向に重ね、又は直交させてあるいは鍛造方向を異方位で二枚以上貼り合せることによって、更に電界及び磁界の遮蔽効率の高い電磁遮蔽を実現することが出来る。又、微細に切断あるいは粉末状にして、誘電体に混ぜ、固化させることによって、電波吸収体も形成できる。
【0032】
前記電界及び磁界の遮蔽効率の高い電磁遮蔽を実現したことにより、従来に比較し、小型、軽量化された電磁遮蔽した電子回路、電子応用装置、シールドルーム、医療設備を低価格で実現することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に関する薄板加工した銅と鉄の合金製の電磁遮蔽部材の各周波数における電界遮蔽特性を測定した結果である。CFA90は銅90%鉄10%の銅鉄二元合金電界遮蔽部材1であり、厚さを0.1mmに鍛造加工後に圧延加工した薄板状の電磁遮蔽部材であり、圧延方向をX軸とみて電磁波シールド・吸収材評価システム図9によって測定したものである。銅鉄二元合金を重ね使用による電界遮蔽部材2は、CFA90の0.1mm厚薄板を圧延方向に2枚揃えて重ね電界遮蔽部材としたものと、CFA90の0.1mm厚薄板を一枚は圧延方向に、更にもう一枚は、圧延方向に対し直交する方向に重ねて得た電界遮蔽部材と、CFA50は、銅50%鉄50%の銅鉄二元合金電界遮蔽部材であり、厚さを0.07mmとして、圧延方向に対し直交する方向に二枚を重ねて得た電界遮蔽部材の3種を電磁波シールド・吸収材評価システム図9によって同時測定し得た結果である。図1から解かるとおり、70MHz以上の周波数で、銅鉄二元合金電界遮蔽部材1単一枚数のものと、銅鉄二元合金を重ね使用による電界遮蔽部材2とでは、圧延方向に寄らず、二枚重ねの方が良好な電界遮蔽特性を示し、電界遮蔽部材2は3種とも略同一レベルの電界遮蔽特性を示すことがわかる。従って、電界遮蔽については、重ね合わせ効果が特に重要である。
【0034】
図2で、本発明による薄板加工した各種銅鉄二元合金の各周波数における電界遮蔽効果を厚さ12μmのアルミ箔と比較したものである。図1と同様合金の銅鉄混合配分は、電界遮蔽において差が生じないことがわかる。一方図3に示す本発明の例では、金属成分の銅鉄比率及び、圧延方向と直交する重ね合わせの電磁遮蔽効果において、大きく寄与することを示す。
【0035】
図4に本発明による薄板加工した銅鉄二元合金の各周波数における磁気遮蔽効果を示す。磁気遮蔽効果においては、銅鉄二元合金の圧延方向に直交し重ね合わせたことにより、著しい遮蔽効果改善が得られ、二倍の厚さの比較銅板に対し、1MHz以上1GHzの周波数範囲において、約30db近い遮蔽効果の改善が得られることがわかる。ここでは、CFA90の厚さ0.1mmの薄板を圧延方向に対して、直交方向に重ね合わせたものが、銅板0.2mmに比較し、1MHz以上の周波数領域において、磁気遮蔽効果が約30db高いことを示す。
【0036】
図5においては、本発明による薄板加工した銅鉄二元合金の各周波数における磁気遮蔽効果を示す。CFA50の0.07mm厚さの薄板を圧延方向に対し直交して重ねた場合、図4で使用したCFA90の厚さ0.1mmの薄板に比較して、周波数2MHz以上について、10db程度劣ることがわかる。
【0037】
図6において、本発明による薄板加工した銅鉄二元合金の600倍の顕微鏡写真を示す。写真の中で黒い横縞状の鉄共晶が圧延方向に伸びていることが解かる。
この縞状の鉄共晶は、圧延加工の加工率を上げることにより縞も圧延方向に伸びることになる。
【0038】
図7において、本発明による電磁波の水平偏波の模式図であり、伝播方向に対し、直角に伝播を阻止する形態で電磁遮蔽部材を置いた場合の共晶の圧延による伸びの方向の配置を示す。高周波磁界は、銅の中にある鉄の共晶により、消耗し、遮蔽効果を得ることが出来ている。
【0039】
図9に本発明の電磁シールド効果の測定に使用した電磁波シールド・吸収材評価システム構成を示す。ネットワークアナライザ26は、可変周波電磁波を発信し、高周波送信ケーブル27を経由し、高周波導波器28に送る。被測定電磁遮蔽部材30は、両面を測定用金属マスク材29によって挟み、測定領域を設定すると同時に、電磁波の漏洩を防止するため圧接し、更に必要に応じボルトによって締め付ける構造となっている。被測定電磁遮蔽部材30を通過した前記可変周波電磁波は、下側の高周波検出プローブ及び導波器31によって受信し、高周波検出側ケーブル32によって、ネットワークアナライザ26の入力として、漏洩電磁波を検出する。
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて説明する。
【0040】
本発明で用いる銅及び鉄の合金である二元合金は、電界銅と純鉄を高周波炉により、高周波加熱する溶解法により母合金を作製する。本発明の実施に当たっては、100KW高周波炉を使用した。
又、前記溶解法による銅鉄合金には、前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えることによって、より透磁率を高め、磁気遮蔽材料としての効果を高めることができた。
溶解に当たっては、電磁遮蔽部材の諸要件に合わせ、銅と鉄の混合比率を設定する。例えば、電磁遮蔽部材であり、且つ放熱部材であり、剛性を要する構造材として用いる電磁遮蔽部材である場合、銅50%、鉄50%のCFA50とするのが良い。
造られた銅と鉄からなる合金である二元合金は、焼結金属による母材と異なり、脆さが無く、容易に熱間圧延にて板状、丸棒状に加工できる。
【0041】
前記溶解法による銅鉄合金あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅と鉄の合金を熱間圧延にて板状、丸棒状に加工にものを更に、冷間板加工、棒状加工、線引き加工を施し、板状、棒状、線状の電磁遮蔽材料となる素材金属を得ることができた。
【0042】
次に、前記溶解法による銅鉄合金あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅と鉄に合金である二元合金を熱間圧延にて板状、丸棒状に加工にものを更に、冷間板加工、棒状加工、線引き加工を施し、板状、棒状、線状の電磁遮蔽部材となる素材金属を温度300℃から450℃で熱処理し、急冷し、電磁遮蔽部材を得る。
【0043】
実施例では、銅50%、鉄50%のCFA50、銅70%、鉄30%のCFA70、銅90%、鉄10%のCFA90を作製し、厚さを0.1mm、0.07mmとして図9に示す電磁波シールド・吸収材評価システムにより評価した。図4又は図5から0.2mm厚さの銅板とCFA50、CFA90と比較し、高い電磁遮蔽効果を示すことがわかる。図6において、銅と鉄の合金である二元合金の顕微鏡写真を示す。図6から圧延時に鉄の共晶が圧延方向に伸張させられ伸びていることがわかる。従って、この共晶の鉄が交番磁界に対し、抵抗となり、熱として消耗され、磁場の遮蔽効果を示す。
一方、この銅と鉄の合金である二元合金を共晶の伸張方向に対して、直交方向あるいは、共晶の方向をずらして重ね使用することで、電磁界の遮蔽を一層効果的に行える。
図7や図8の模式図で示される構造で、銅と鉄の合金である二元合金重ね電磁遮蔽効果を確認したものが、図1、図2、図3、図4、図5である。
図1おいて、銅と鉄の合金である二元合金の重ね使用による100MHz以上の高周波領域において、高周波電界の遮蔽効果が著しいことがわかる。同様に、図2において、アルミ箔に比較し、銅と鉄の合金である二元合金が高周波電界の遮蔽効果が確認できる。又、磁気遮蔽効果について、単一枚数、複数枚数、鉄共晶の圧延伸張方向別の重ね使用効果が図3、図4、図5において、確認できる。
これらの電磁遮蔽効果を利用し、電磁遮蔽をする方法あるいは電磁遮蔽部材とすることで、従来では得られなかった電磁遮蔽が実現できるようになったが、更に、遮蔽を完全に密閉した空間におくことによる、被遮蔽物から発生する熱の放熱についても、熱伝導率の高い銅と鉄の合金である二元合金に利用により、必要に応じて放熱フィンを設けることで、解消できた。
電磁遮蔽効果が高いため、従来部材よりも薄い材料の使用が可能となり、結果、小型軽量化にも効果があり、経済性の改善も合わせ持つことが出来た。
銅と鉄の合金である二元合金の利用により、電磁遮蔽効率の改善と共に、被電磁遮蔽物を密閉したことによる放熱の問題の解決、又、線状あるいは網状の電磁遮蔽が低コストで利用できるようになった。
又、線状の銅と鉄の合金である二元合金を裁断、粉体上に加工し、電磁界の遮蔽に留まることなく、電波吸収材としても利用ができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
平板加工した銅と鉄の合金である二元合金は、必要な寸法又は形状に切断あるいは曲げ加工し、同じく薄板であればロール巻きの状態から、型押し、曲げ、切断加工ののち、電磁遮蔽を要する電子回路や、電子設備に覆いとして電磁遮蔽材として用いることが出来る。又、集積回路の放熱部に直接あるいは絶縁物を解して接触させ、電磁遮蔽と放熱フィンの共用も出来る。例えば、DC−DCコンバータなどのような電磁界を伴う回路の電磁遮蔽に利用できる。
又、シールドルームであれば、壁に平板を逐次貼り付け、あるいは隣接部を溶接、鑞付け、ネジ止めにより、壁に貼り付けることにより、シールドルームの壁として、電磁遮蔽効率の高いシールド壁として利用できる。
例えば、放送局の電磁遮蔽壁やオフィスビルの無線LAN使用時の電磁遮蔽などに利用できる。
又、銅鉄二元合金を線状にしたものを、樹脂で必要な厚さに固め、あるは、フィルム状の樹脂、合成樹脂に挟み、あるいは、絶縁物に編み込んでカーテン状の電磁遮蔽物として利用できる。
又、網状に編んだ線状の銅鉄二元合金を使用に、不定形の被電磁遮蔽物あるいは、不定形のシールドスペースの構築ができる。
更に、上記の利用において、鉄共晶の伸びた方向に対して、直角方向にあるいは、方向をずらして重ね、電磁遮蔽効果を高め利用することができる。
このようにして利用すれば、医療分野のテレメータや、外部あるいは内部の電磁遮蔽が容易に利用できる。
又、細く線引きした銅鉄二元合金を使用して、これを短く切断し、セメントや、樹脂で固め、電波吸収材としても、使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による薄板加工した銅鉄二元合金の各周波数における電界遮蔽効果を示す。電界遮蔽効果においては、薄板の重ね使用するものの効果が大きい。
【図2】本発明による薄板加工した銅鉄二元合金の各周波数における電界遮蔽効果を厚さ12μmのアルミ箔と比較したものである。
【図3】本発明による薄板加工した銅鉄二元合金の各周波数における磁気遮蔽効果を表したものである。電界遮蔽効果とことなり、薄板加工した銅鉄二元合金の圧延方向、それと直交方向の重ね合わせ磁気遮蔽効果について優れていることがわかる。
【図4】本発明による薄板加工した銅鉄二元合金の各周波数における磁気遮蔽効果を示す。CFA90の厚さ0.1mmの薄板を圧延方向に対して、直交方向に重ね合わせたものが、銅板0.2mmに比較し、1MHz以上の周波数領域において、磁気遮蔽効果が高いことを示す。
【図5】本発明による薄板加工した銅鉄二元合金の各周波数における磁気遮蔽効果を示す。CFA50の0.07mm厚さの薄板を圧延方向に対し直交して重ねた場合、図4で使用したCFA90の厚さ0.1mmの薄板に比較して、周波数2MHz以上について、10db程度劣ることがわかる。
【図6】本発明による薄板加工した銅鉄二元合金の600倍の顕微鏡写真を示す。黒い横縞状の鉄共晶が圧延方向に伸びていることが解かる。
【図7】本発明による電磁波の水平偏波の伝播方向に対し、直角に伝播を阻止する形態で電磁遮蔽部材を置いた場合の共晶の圧延による伸びの方向の配置を示す。
【図8】銅と鉄の合金である二元合金の平板を圧延方向のものと圧延方向に直交する方向に一枚、更に圧延方向のものを三枚めとして重ねた電磁遮蔽部材である。
【図9】本発明の電磁シールド効果を測定に使用した電磁波シールド・吸収材評価システムである。
【符号の説明】
【0046】
1:銅90%鉄10%の銅鉄二元合金電界遮蔽部材
2:銅鉄二元合金を重ね使用による電界遮蔽部材
3:アルミ箔電界遮蔽部材
4:銅鉄二元合金電界遮蔽部材
5:0.1ミリ厚の銅鉄二元合金遮蔽部材
6:圧延方向と直交方向に重ね使用による磁気遮蔽部材
7:圧延方向と同一方向に重ね使用による磁気遮蔽部材
8:銅50%鉄50%で圧延方向に重ね使用による磁気遮蔽部材
9:銅90%鉄10%で圧延方向を十字に重ね使用による磁気遮蔽部材
10:銅50%鉄50%で圧延方向を十字に重ね使用による磁気遮蔽部材
11:銅50%鉄50%で圧延方向を十字に三枚重ね使用による磁気遮蔽部材
12:0.2ミリ厚の銅板の磁気遮蔽部材
13:銅90%鉄10%で圧延方向磁気遮蔽部材
14:銅90%鉄10%で圧延方向と直交する方向の磁気遮蔽部材
15:銅90%鉄10%で圧延方向を十字に重ね使用による磁気遮蔽部材
16:0.2ミリ厚の銅板の磁気遮蔽部材
17:銅90%鉄10%で圧延方向磁気遮蔽部材
18:銅90%鉄10%で圧延方向と直交する方向の磁気遮蔽部材
19:銅50%鉄50%で圧延方向を十字に重ね使用による磁気遮蔽部材
20:圧延方向の鉄共晶の分布する電磁遮蔽部材
21:圧延方向と直交する鉄共晶の分布する電磁遮蔽部材
22:圧延方向の鉄共晶の分布する電磁遮蔽部材への水平偏波入射
23:圧延方向と直交する鉄共晶分布の電磁遮蔽部材への水平偏波入射
24:電磁波の水平偏波模式図
25:三枚重ねの電磁遮蔽部材
26:ネットワークアナライザ
27:高周波送信ケーブル
28:高周波導波器
29:測定用マスク材
30:被測定電磁遮蔽部材
31:高周波検出プローブ及び導波器
32:高周波検出側ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解法により、鉄60%以上から90%以下、残りの40%未満から10%未満を電解銅の比率とした二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金である二元合金を使用することを特徴とする電磁遮蔽方法。
【請求項2】
溶解法により、鉄30%以上から60%以下、残りの70%未満から40%未満を電解銅の比率とした二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金である二元合金を使用することを特徴とする電磁遮蔽方法。
【請求項3】
溶解法により、鉄3%以上から30%以下、残りの97%未満から70%未満を電解銅の比率とした二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金である二元合金を使用することを特徴とする電磁遮蔽方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3において、銅鉄の合金である二元合金を平板または薄板加工し、被電磁遮蔽物を覆うことを特徴とする電磁遮蔽部材。
【請求項5】
請求項4において、圧延板加工時に銅と鉄の共晶体の伸張方向に伸張率を1%から70%調整し、銅の中の鉄の共晶長を可変し、電気特性を加減すること又は、前記伸張率を可変した材料平板を電磁界の入射角度に対し、直交あるいは伸張方向を斜めにずらして使用することを特徴とする電磁遮蔽部材。
【請求項6】
請求項4において、圧延線引き加工時に銅と鉄の共晶体の伸張方向を伸張率1%から98%の間で調整し、銅の中の鉄の共晶長を可変し、電気特性を加減すること又は、前記伸張率を可変した線材料を直交あるいは伸張方向を斜めにずらして二枚又は複数枚重ね使用することを特徴とする電磁遮蔽部材。
【請求項7】
請求項1から請求項5において、圧延加工時の加工率を変え、鉄および銅の共晶の伸張長さを変え、電磁遮蔽効果の周波数特性を変えることを特徴とする電磁遮蔽部材。
【請求項8】
請求項1から請求項6において、電磁遮蔽とともに機器の熱の放出を図るため、部材としてあるいは、放熱フィンを設けることを特徴とした電磁遮蔽材料。
【請求項9】
請求項1から請求項7において、電気的に筐体や他の部品、構造物が鉄あるいは銅である場合、それらの構造物が銅であっても鉄であっても二元合金を用いてあるいは鉄、銅の溶接材を用いて容易に溶接することによって、接地をより確実にし、これにより、電磁遮蔽効果を高めることを特徴とした電磁遮蔽部材。
【請求項10】
請求項1から請求項3において、線引き加工した当該二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅および鉄の二元合金を使用し、網状に織り込むことを特徴とする電磁遮蔽部材。
【請求項11】
請求項1から請求項3において、線引き加工した当該二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金である二元合金を使用し、絶縁体の中に一定方向、または不特定方向に固定あるいは絶縁体で固めることを特徴とする電磁遮蔽部材。
【請求項12】
請求項1から請求項3において、線引き加工した当該二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金である二元合金を使用し、前記線引きした線材を等長あるいは非等長に寸断に、一定方向あるいは規則性を持って配列し、あるいは規則性を持たせず絶縁体のなかに一定方向、または不特定方向に固定あるいは絶縁体で固めることを特徴とする電磁遮蔽部材。
【請求項13】
請求項11において、等間隔に導電率の良い導体あるいは、前記銅と鉄の二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金二元合金を使用した線によりアース線、アースバーあるいはアース棒による接地を設けることを特徴とする電磁遮蔽部材。
【請求項14】
請求項12において、寸断長さを最小化し、粉末化したものを絶縁体ないしは、織物、プラスチックシート、不織布に付着加工あるいは混入固化したことを特徴とする電波吸収材。
【請求項15】
請求項4において、前記銅と鉄の二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金である二元合金を使用した板のバネ性を利用し、バネとしての復元力を利用して、塑性変形させる特定あるいは不持定多数の力点を設け、表面を変形させることで、表面の電磁波反射角度を選べることを特徴とした電磁遮蔽部材。
【請求項16】
請求項10から請求項13において、前記銅と鉄の二元合金を用いて、あるいは前記銅と鉄の二元合金に微量添加物として、コバルト、ニッケル、マンガン、クロムを加えて造られた銅鉄合金である二元合金を使用した線のバネ性を利用し、バネとしての復元力を利用して、無反射特性の波長可変を可能とした無反射壁材料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−49104(P2007−49104A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254068(P2005−254068)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(504092471)銅鉄合金株式会社 (2)
【Fターム(参考)】