説明

電線の加圧状態表示装置

【課題】高圧電線の加圧状態を確実に且つ認識し易い態様で作業者に知らせることができる電線の加圧状態表示装置を提供する。
【解決手段】グランドとの間に対地間静電容量C1を生じる銅板22を設置し、交流の高電圧が加圧される電線32と銅板22の間に発生する電圧を測定する加圧検知回路33を設ける。そして、電線32と銅板22の間に所定レベルの電圧が発生した場合には、電線32が加圧状態であると判断して、赤色LED25を点灯させ、電線32と銅板22の間に電圧が発生しない場合には、電線32は加圧状態でないと判断して、青色LED26を点灯させる。従って、作業者は電線32が加圧されているか否かを確実に認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が加圧されているか否かを検出し、この検出結果を表示して作業者に知らせる電線の加圧状態表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、変電所の構内では、高電圧が加圧される電線及びその周辺機器のメンテナンスを行う際には、専用の検電装置を用いて電線が加圧されていないことを確認する。しかし、電線が加圧されているか否かは、作業者が目視で確認することができないので、加圧状態でないことが確認されているとはいえ、常に注意力をもって作業をする必要があり、作業者に多くの労力を強いることになっていた。
【0003】
そこで、電線の加圧状態を目視可能とするために、例えば、特開平7−311226号公報(特許文献1)に開示されているように、交流高電圧が加圧される電線とグランドとの間に生じる電圧を検出し、この電圧を用いて液晶表示回路を駆動させ、電線の加圧状態を表示する表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−311226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例は、電線に生じる電圧を電力として液晶表示回路を駆動させる方式であるので、液晶表示回路に供給可能な電力に限りがあり、作業者が容易に認識できる程度の明るさで電線の加圧状態を表示することができない。また、液晶表示回路の駆動電力は、電線が加圧されている場合にのみ得られるので、電線が加圧されていない場合には電力が供給されず、電線が加圧状態でないことを表示することができない。即ち、電線が加圧状態である場合にのみ、これを作業者に知らせることができる。
【0006】
従って、例えば液晶表示回路が故障している場合には、電線が加圧されているにも関わらず加圧状態が表示されないことになり、作業者は電線が加圧されていないのか、或いは液晶表示回路に故障が発生しているのかの判断ができない。このため、液晶表示装置に加圧状態が表示されていない場合であっても、安全確認のために検電装置を用いて加圧状態を検知する作業が必要となっていた。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電線の加圧状態を確実に、且つ認識し易い態様で作業者に知らせることができる電線の加圧状態表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、交流電力送電用の電線に固定され、該電線の加圧状態を検知して表示する加圧状態表示装置において、蓄電手段と、第1の照明手段、及び前記第1の照明手段とは発光色が異なる第2の照明手段と、グランドとの間で対地間静電容量を形成する導電体と、前記電線と前記導電体との間に設けられ、該電線、導電体間に生じる電圧に基づいて前記電線が加圧されているか否かを検出する加圧検知手段と、前記蓄電手段より電力が供給されて駆動し、前記加圧検知手段にて前記電線の加圧が検知された場合に前記第1の照明手段を点灯させ、前記電線の加圧が検知されない場合に前記第2の照明手段を点灯させる照明制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、太陽光発電手段を更に備え、該太陽光発電手段で発電された電力を前記蓄電手段に充電することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2の発明において、前記太陽光発電手段が発電しているか否かを検知する発電検知手段を更に備え、前記照明制御手段は、前記発電検知手段にて前記太陽光発電手段による発電が検知されているときには、発電が検知されていないときよりも、前記第1の照明手段或いは第2の照明手段を点灯する際の明るさを増大させることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3の発明において、前記第1の照明手段、及び前記第2の照明手段は、それぞれ複数個のLEDからなり、前記照明制御手段は、発光させるLEDの個数を変更することにより、明るさを増減することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、グランドとの間で対地間静電容量を形成する導電体(例えば、銅板22)を設け、電線と導電体との間に生じる電圧に基づいて、電線が加圧状態であるか否かを判定する。また、照明制御手段には、蓄電手段より電力が供給されており、電線が加圧状態であるときにはこの電力を用いて第1の照明手段(例えば、赤色LED25)を点灯させ、電線が加圧状態でないときには、第2の照明手段(例えば、青色LED26)を点灯させる。このため、常に第1の照明手段及び第2照明手段のうちのいずれか一方が点灯することになり、作業者に対して現在の加圧状態を確実に認識させることができる。また、第1の照明手段及び第2の照明手段の双方が消灯している場合には、装置に故障が発生したものと判断できるので、装置故障に対していち早く対応することができる。
【0013】
請求項2の発明では、太陽光発電手段(例えば、ソーラーパネル19)を設け、この太陽光発電手段で発電された電力を用いて蓄電手段を充電するので、蓄電手段を常時充電状態としておくことができ、第1の照明手段、及び第2の照明手段に供給する電力を確保することができる。
【0014】
請求項3の発明では、発電検知手段により太陽光発電手段の発電状態を検知し、該太陽光発電手段が発電しているときには、周囲が明るいものと判断し(例えば、昼間)、第1の照明手段または第2の照明手段を高輝度で点灯させ、太陽光発電手段が発電していないときには、周囲が暗いものと判断し(例えば、夜間)、第1の照明手段または第2の照明手段を低輝度で点灯させる。従って、周囲が明るい場合でも確実に第1の照明手段及び第2の照明手段の点灯を認識することができ、且つ、周囲が暗い場合には輝度を低下させることにより第1の照明手段及び第2の照明手段での消費電力を低減することができる。
【0015】
請求項4の発明では、第1の照明手段及び第2の照明手段をそれぞれ複数個のLEDで構成し、点灯するLEDの個数を変更することにより、第1の照明手段及び第2の照明手段の点灯時の明るさを調整するので、輝度調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る加圧状態表示装置の正面視の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る加圧状態表示装置の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る加圧状態表示装置の平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る加圧状態表示装置の下面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る加圧状態表示装置に設けられる制御回路の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る加圧状態表示装置に設けられるLEDを低輝度で点灯させる際の、各LEDを点灯させる時間帯を示すタイミングチャート図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る加圧状態表示装置に設けられるLEDを高輝度で点灯させる際の、各LEDを点灯させる時間帯を示すタイミングチャート図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る加圧状態表示装置に用いられる発電検知部の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図4は、本発明の一実施形態に係る加圧状態表示装置の構成を示す説明図であり、図1は正面視の断面図、図2は側面図、図3は平面図、図4は下面図である。
【0018】
各図に示すように、本実施形態に係る加圧状態表示装置100は、装置の各構成部材を収納する外装ケース11と、該外装ケース11の上部開口を密閉する外装カバー12を備えている。外装ケース11は、頂部が下方を向く円錐形状をなす円錐部11aと、この円錐部11aの上側に設けられ、円筒形状をなし且つ上端部が略矩形状となって開口される円筒部11bを備えている。
【0019】
また、外装カバー12は、平面視が略矩形状をなし、その中央部にクランプ板13が形成されている。そして、該クランプ板13には、当該加圧状態表示装置100全体を電線32に固定するための2つの取付金具14a,14bがボルト・ナット15により固定されている。
【0020】
各取付金具14a,14bは、その断面形状が略半円形状の窪み部を備えており、この窪み部内に電線32を挿入した後に、上部のボルト・ナット17を締め付けて、当該加圧状態表示装置100を変電所等に敷設される電線32に固定することができる。なお、各取付金具14a,14bの窪み部の形状は、取付対象となる電線32の径に応じて変更することができる。
【0021】
外装カバー12の中央部は、矩形状の透明板16(例えば、透明アクリル板等;図3参照)で構成され、外装カバー12の上方から照射される太陽光が外装ケース11内に照射されるようになっている。また、外装ケース11の内部には、横板18aと2枚の縦板18bからなるブラケット18が設けられており(図1参照)、横板18aの上面には、2枚のソーラーパネル(太陽光発電手段)19が設置されている。これらのソーラーパネル19は、外装カバー12の透明板16と対向配置されているので、該透明板16を介して太陽光が照射された際には、この太陽光を吸収して発電する。
【0022】
また、ブラケット18の2枚の縦板18bの外側には、それぞれ電池ボックス20が設けられ、各電池ボックス20内にはそれぞれ円筒形状の電池(蓄電手段)28が収納されている。この電池28は、ソーラーパネル19と電気的に接続されており、該ソーラーパネル19で発電された電力が供給されて、充電されるようになっている。
【0023】
ブラケット18の横板18aの下方で、2枚の縦板18bの間となる部分には、コントロールボックス21が設けられ、該コントロールボックス21内には、後述する制御回路31(図5参照)が収納されている。また、コントロールボックス21の上側には、グランドとの間で対地間静電容量C1(後述)を形成する銅板(導電体)22が設けられている。
【0024】
更に、コントロールボックス21の下端面には、固定ピン23が下方に向けて立設されており、該固定ピン23にはLED基板24が取り付けられている。該LED基板24には、図4に示すように、赤色LED25及び青色LED26が交互に、且つ円形状をなすようにそれぞれ4個ずつ設けられている。即ち、合計8個のLEDが円形状に並べられている。各LED25,26とLED基板24との間には、コントロールボックス21、或いは電池28が外部から見えないようにするための目隠し板27が設けられている。
【0025】
外装カバー12の上面の適所には、コントロールボックス21内に設けられる制御回路31の駆動、停止を切り替えるための電源スイッチ29(図3参照)が設けられている。外装ケース11の、目隠し板27よりも上側となる部分は遮光板で形成され、下側となる部分は透明板で形成されている。従って、外装ケース11内の目隠し板27よりも下側となる部分が外部から視認できるようになっている。
【0026】
次に、コントロールボックス21内に設けられる制御回路31について説明する。図5は、本実施形態に係る加圧状態表示装置100が有する制御回路31、及び周辺機器の構成を示すブロック図である。図5に示すように、この制御回路31は、交流の高圧電源43より出力される高電圧(例えば、30KV、60KV等)が加圧される電線32と銅板22との間に生じる電圧に基づいて、該電線32が加圧状態であるか否かを検知する加圧検知回路33と、発電検知部34、及びLED制御回路(照明制御手段)35、を備えている。
【0027】
加圧検知回路33は、ダイオード、ツェナーダイオード、コンデンサ、及びバッファを備えており、電線32に高電圧が加圧されている場合、即ち、高圧電源43の出力電圧が電線32とグランドとの間に加えられている場合には、Hレベルの信号を出力し、加圧されていない場合には、Lレベルの信号を出力する。即ち、銅板22と電線32との間には所定の大きさのインピーダンスが生じ、且つ、銅板22とグランドとの間には対地間静電容量C1に起因するインピーダンスが生じるので、各インピーダンスの比率に応じて電線32と銅板22の間に電圧が発生し、且つ電流が流れる。従って、電線32が加圧状態である場合には、加圧検知回路33の出力信号はHレベルとなり、加圧状態でない場合には加圧検知回路33の出力信号はLレベルとなる。
【0028】
発電検知部34は、ソーラーパネル19が発電しているか否かを検知するものであり、図8に示すように、ソーラーパネル19に設けられるプラス電極とマイナス電極との間に発生する電圧を検出し、この電圧が所定電圧以上である場合には、発電しているものと判断し、所定電圧未満である場合には、発電していないものと判断する。なお、上記の所定電圧は、ソーラーパネル19の最大発電電圧(例えば、6V)に基づいて適宜設定することができる。
【0029】
LED制御回路35は、例えばマイコンで構成され各赤色LED25、及び各青色LED26に供給する電力を制御して点灯、消灯を制御し、且つ点灯時の明るさを制御するものであり、発光選択処理部41、及び輝度選択処理部42を備えている。
【0030】
発光選択処理部41は、加圧検知回路33よりHレベルの信号が出力された場合に、赤色LED25を点灯させ、且つ青色LED26を消灯させる。また、加圧検知回路33よりLレベルの信号が出力された場合に、青色LED26を点灯させ、且つ赤色LED25を消灯させる。
【0031】
この際、各LED25,26の点灯方法としては、例えば、赤色LED25を点灯させる場合に、4個設けられている赤色LED25のうち、点灯する時間帯を4分割して各赤色LED25を時間差をもって点滅させる。即ち、4個の各赤色LED25をそれぞれ符号25a、25b、25c、25dで示すと、図6(a)に示すように、t1〜t2に示す時間帯で赤色LED25aを点灯させ、t2〜t3に示す時間帯で赤色LED25bを点灯させ、t3〜t4に示す時間帯で赤色LED25cを点灯させ、更に、t4〜t5に示す時間帯で赤色LED25aを点灯させることにより、全体として赤色が継続して点灯しているように見せる。即ち、4個の各赤色LED25(25a〜25d)をそれぞれ図中「LON1」で示す時間帯で点灯、消灯させることにより、全体として赤色が継続して点灯するように制御する。また、図7(a)〜(d)に示すように、各赤色LED25(25a〜25d)の点灯時間にインターバル時間(全てのLED25が点灯しない時間帯)を設けるようにしても良い。
【0032】
輝度選択処理部42は、ソーラーパネル19で発電されていることが発電検知部34にて検知されているときには、検知されていないときよりも赤色LED25或いは青色LED26を点灯する際の輝度が高くなるように制御する。この制御を赤色LED25の場合を例に挙げて説明すると、例えば、図7(a)〜(d)のt1〜t5で発生する各パルス(1回の周期でパルス5個分)で赤色LED25を点灯させることにより、高い輝度で赤色LED25を点灯させる。
【0033】
他方、ソーラーパネル19による発電が検知されていないときには、図7(a)〜(d)のt1〜t3の時刻に発生する各パルス(1回の周期でパルス3個分)で赤色LED25を点灯させることにより、低い輝度で赤色LED25を点灯させる。
【0034】
従って、発電検知部34にてソーラーパネル19による発電が検知されている場合には、赤色LED25の輝度を高くすることが可能となる。
【0035】
また、他の制御方法として、赤色、青色の各LED25,26をPWM信号で点灯するように構成し、デューティ比を変更することにより、各LED25,26の輝度を調整するように構成しても良い。
【0036】
次に、上述のように構成された本実施形態に係る加圧状態表示装置100の動作について説明する。まず、加圧状態表示装置100を設置する際には、電源スイッチ29をオフとした状態で、2個の取付金具14a,14b(図1参照)の窪み部に、検知対象となる電線32を挿入し、この状態でボルト・ナット17を締結して固定する。このため、加圧状態表示装置100全体が電線32に宙吊りになった状態で固定されることになる。従って、作業者は、加圧状態表示装置100を下方から視認することになり、図4に示すように、赤色LED25による照明光、或いは青色LED26による照明光のいずれかを視認することができる。なお、取り付ける対象となる電線32は、被覆電線でも良いし、裸電線でも良い。
【0037】
作業者は、加圧状態表示装置100が電線32に確実に固定されたことを確認した後、電源スイッチ29をオンとする。これにより、電池28と制御回路31が電気的に接続されるので、電池28に充電されている電力が制御回路31に供給され、該制御回路31による制御が開始される。
【0038】
そして、制御回路31内のLED制御回路35は、以下の(a)〜(d)の条件で各LED25,26を点灯させる。
【0039】
(a)加圧検知回路の出力がH、ソーラーパネルで発電している場合
赤色LED25を高輝度で点灯させる。これにより、変電所等で作業する作業者は赤色の照明光を視認することができ、この電線に高電圧が加圧されていることを認識することができる。また、昼間のように周囲が明るい場合でも、輝度が高いので赤色LED25による照明光を認識し易くすることができる。
【0040】
(b)加圧検知回路の出力がH、ソーラーパネルで発電していない場合
赤色LED25を低輝度で点灯させる。これにより、変電所等で作業する作業者は赤色の照明光を視認することができ、この電線に高電圧が加圧されていることを認識することができる。また、夜間のように周囲が暗い場合に、赤色LED25の輝度が低いので、該赤色LED25による消費電力を低減でき、電池28の充電電力の消耗を防止できる。
【0041】
(c)加圧検知回路の出力がL、ソーラーパネルで発電している場合
青色LED26を高輝度で点灯させる。これにより、変電所等で作業する作業者は青色の照明光を視認することができ、この電線に高電圧が加圧されていないことを認識することができる。また、昼間のように周囲が明るい場合でも、輝度が高いので青色LED26による照明光を認識し易くすることができる。
【0042】
(d)加圧検知回路の出力がL、ソーラーパネルで発電していない場合
青色LED26を低輝度で点灯させる。これにより、変電所等で作業する作業者は青色の照明光を視認することができ、この電線に高電圧が加圧されていないことを認識することができる。また、夜間のように周囲が暗い場合に、青色LED26の輝度が低いので、該青色LED26による消費電力を低減でき、電池28の充電電力の消耗を防止できる。
【0043】
このようにして、本実施形態に係る加圧状態表示装置100では、電線32に高圧電源43より出力される交流電圧が加圧されているか否かを検知し、加圧されている場合には、赤色LED25を点灯させ、加圧されていない場合には青色LED26を点灯させる。従って、作業者は照明光の色を判断して、電線32の加圧状態を認識することができる。また、電源スイッチ29をオンとしている場合には、赤色LED25或いは青色LED26のいずれか一方が常に点灯するので、例えば、制御回路31に故障が発生して赤色LED25及び青色LED26の双方が消灯した場合には、作業者は即時に装置の故障を知ることができ、他の検電装置を用いた加圧状態の検知を行う等の対応を採ることができる。従って、装置の故障時においても安全に対応することができる。
【0044】
更に、ソーラーパネル19の発電状態を検知し、ソーラーパネル19が発電しているときには、周囲が明るいものと判断し(例えば、昼間)、赤色LED25または青色LED26を高輝度で点灯させ、ソーラーパネル19が発電していないときには、周囲が暗いものと判断し(例えば、夜間)、赤色LED25または青色LED26を低輝度で点灯させる。従って、周囲が明るい場合でも確実にLED25,26の点灯を認識することができ、且つ、周囲が暗い場合には輝度を低下させることにより消費電力を低減することができる。
【0045】
また、ソーラーパネル19の発電状態に基づいて、周囲の明るさを判断するので、別途明るさを検出するためのセンサを用いる必要がない。このため、装置規模を拡大することなく、周囲の明るさを判断して各LED25,26の輝度を調整することができる。
【0046】
更に、LED25,26の点灯時間LON1(図6参照)の変更と点灯回数を変更することにより明るさの増減を調整するので、輝度調整を容易に行うことができる。
【0047】
以上、本発明の電線の加圧状態表示装置100を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、照明手段としてLEDを用いる例について説明したが、蛍光灯等の他の照明手段を用いることも可能である。また、上述した実施形態では、電線32が加圧されているときには赤色LED25を点灯させ、加圧されていないときには青色LED26を点灯する例について説明したが、発光色は赤色、青色に限定されず、任意の色とすることができる。
【0049】
更に、上述した実施形態では、赤色LEDまたは青色LEDを点灯する例について説明したが、所定の周期で点滅させるようにして注意を促すようにしても良い。
【0050】
また、上述した実施形態では、ソーラーパネル19を設置し、該ソーラーパネル19で発電された電力を電池(蓄電手段)28に充電する例について説明したが、ソーラーパネル19を設置せずに、通常の交換式の電池を用いる構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、変電所の構内に設けられる電線の加圧状態を知らせることに利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
11 外装ケース
11a 円錐部
11b 円筒部
12 外装カバー
13 クランプ板
14a,14b 取付金具
15 ボルト・ナット
16 透明板
17 ボルト・ナット
18 ブラケット
18a 横板
18b 縦板
19 ソーラーパネル(太陽光発電手段)
20 電池ボックス
21 コントロールボックス
22 銅板(導電体)
23 固定ピン
24 LED基板
25 赤色LED(第1の照明手段)
26 青色LED(第2の照明手段)
27 目隠し板
28 電池(蓄電手段)
29 電源スイッチ
31 制御回路
32 電線
33 加圧検知回路(加圧検知手段)
34 発電検知部(発電検知手段)
35 LED制御回路(照明制御手段)
41 発光選択処理部
42 輝度選択処理部
43 高圧電源
100 加圧状態表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力送電用の電線に固定され、該電線の加圧状態を検知して表示する加圧状態表示装置において、
蓄電手段と、
第1の照明手段、及び前記第1の照明手段とは発光色が異なる第2の照明手段と、
グランドとの間で対地間静電容量を形成する導電体と、
前記電線と前記導電体との間に設けられ、該電線、導電体間に生じる電圧に基づいて前記電線が加圧されているか否かを検出する加圧検知手段と、
前記蓄電手段より電力が供給されて駆動し、前記加圧検知手段にて前記電線の加圧が検知された場合に前記第1の照明手段を点灯させ、前記電線の加圧が検知されない場合に前記第2の照明手段を点灯させる照明制御手段と、
を備えたことを特徴とする電線の加圧状態表示装置。
【請求項2】
太陽光発電手段を更に備え、該太陽光発電手段で発電された電力を前記蓄電手段に充電することを特徴とする請求項1に記載の電線の加圧状態表示装置。
【請求項3】
前記太陽光発電手段が発電しているか否かを検知する発電検知手段を更に備え、
前記照明制御手段は、前記発電検知手段にて前記太陽光発電手段による発電が検知されているときには、発電が検知されていないときよりも、前記第1の照明手段或いは第2の照明手段を点灯する際の明るさを増大させることを特徴とする請求項2に記載の電線の加圧状態表示装置。
【請求項4】
前記第1の照明手段、及び前記第2の照明手段は、それぞれ複数個のLEDからなり、前記照明制御手段は、点灯するLEDの個数を変更することにより、明るさを増減することを特徴とする請求項3に記載の電線の加圧状態表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−153927(P2011−153927A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15964(P2010−15964)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】