説明

電線着色装置及び電線着色方法

【課題】電線の視認性及び意匠性を向上することができる電線着色装置を提供する。
【解決手段】液状の着色材を電線3の外表面3aに付着させて、該外表面3aに帯状の意匠パターン6を形成する電線着色装置1であって、前記電線3の外表面3aに向かって前記着色材を噴出する着色手段13と、前記意匠パターン6に対応した前記外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って前記着色材が付着されるように、前記着色手段13の移動方向Mと前記電線3の長手方向Aとが交差する状態で、前記着色手段13と前記電線3とを相対的に移動させる移動手段14,15と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性の芯線と、この芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを備えた電線を着色する電線着色装置及び電線着色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車などは、前記電子機器に電源などからの電力やコンピュータなどからの制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
【0003】
電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。コネクタは、導電性の端子金具と絶縁性のコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、電線の端部などに取りつけられかつ該電線の芯線と電気的に接続する。コネクタハウジングは、箱状に形成されかつ端子金具を収容する。
【0004】
前記ワイヤハーネスを組み立てる際には、まず電線を所定の長さに切断した後、該電線の端部などに端子金具を取り付ける。必要に応じて電線同士を接続する。その後、端子金具をコネクタハウジング内に挿入する。こうして、前述したワイヤハーネスを組み立てる。
【0005】
前述したワイヤハーネスの電線は、芯線の大きさと、被覆部の材質(耐熱性の有無などによる材質の変更)と、使用目的などを識別する必要がある。なお、使用目的とは、例えば、エアバック、ABS(Antilock Brake System)や車速情報などの制御信号や、動力
伝達系統などの電線が用いられる自動車の系統(システム)である。
【0006】
ワイヤハーネスの電線は、前述した使用目的(系統)を識別するために、外表面が互いに異なる2色でストライプ模様に形成されてきた。そこで、従来から芯線の周りに合成樹脂を押し出し被覆して、被覆部を形成する際に、まず、被覆部を構成する合成樹脂に所望の色の着色剤を混入する。そして、芯線を被覆した合成樹脂即ち被覆部の外表面の一部に、前記着色剤と異なる色の着色剤を付着させる。こうして、被覆部の外表面の一部を着色して、電線をストライプ模様に着色してきた(マーキングしてきた)。
【0007】
しかしながら、電線の製造時においては電線の種類等を電線の色で判別するため、ストライプ模様の電線では、電線の見る方向によっては模様を認識できない虞があったことから、本発明の出願人は、製造後の単色の電線を着色する際に、液状の着色材を電線の外表面に向かって一定量ずつ滴射して、該着色材の液滴が電線の軸線を中心とした螺旋状に電線の外表面に付着させる電線の着色装置を提案している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−79200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように螺旋状の着色を電線に施すことで、電線をあらゆる方向から見ても、電線の外表面に形成された複数の点を容易に認識できるようになった。しかしながら、製造する電線の種類の増加に伴って1つの色(マーク)のみでは、電線の種類を管理することが困難であることから、色の組み合わせ等によって管理するようになっているが、複数色の点を螺旋状に着色すると、電線の見る方向によっては模様を認識できない虞があった。
【0009】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、電線の視認性及び意匠性を向上することができる電線着色装置及び電線着色方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の電線着色装置は、図1の基本構成図に示すように、液状の着色材を電線3の外表面3aに付着させて、該外表面3aに帯状の意匠パターン6を形成する電線着色装置1であって、前記電線3の外表面3aに向かって前記着色材を噴出する着色手段13と、前記意匠パターン6に対応した前記外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って前記着色材が付着されるように、前記着色手段13の移動方向Mと前記電線3の長手方向Aとが交差する状態で、前記着色手段13と前記電線3とを相対的に移動させる移動手段14,15と、を有することを特徴とする。
【0011】
上記請求項1に記載した本発明の電線着色装置によれば、着色手段13の移動方向Mと電線3の長手方向Aとが交差する状態で、移動手段14,15によって着色手段13と電線とが相対的に移動されると、電線3の外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って着色材が付着されて、電線3の外表面3aに帯状の意匠パターン6が形成される。
【0012】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の電線着色装置において、前記電線3が、互いに並列に並べられ、全ての電線3の同一の前記着色領域3bに対して前記着色手段13の移動方向Mと該全ての電線3の長手方向Aとが交差する状態で、前記移動手段14,15に前記着色手段13と該全ての電線3とを相対的に移動させた後に、同じように他の前記着色領域3bに対して前記移動手段14,15に前記着色手段13と該全ての電線3とを相対的に移動させる移動制御手段21aを有することを特徴とする。
【0013】
上記請求項2に記載した本発明の電線着色装置によれば、複数の電線3が互いに並列に並べられると、移動制御手段21aの制御によって、全ての電線3の同一の前記着色領域3bに対して着色手段13の移動方向Mと該全ての電線3の長手方向Aとが交差する状態で、移動手段14,15が着色手段13と該全ての電線3とを相対的に移動させる。その後、同じように他の着色領域3bに対して移動手段14,15に着色手段13と該全ての電線3とを相対的に移動させる。
【0014】
請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項2に記載の電線着色装置において、前記複数の電線3を間欠的に搬送する電線搬送手段10を有するとともに、前記移動制御手段21aが、前記電線搬送手段10による複数の電線3の搬送が停止しているときに、前記移動手段14,15に前記同一の着色領域3bに対して前記着色手段13と前記全ての電線3とを相対的に移動させるとともに、該移動が終了した後に、前記複数の電線3の搬送方向に所定距離ずらして、次の着色対象となる前記着色領域3bに対応して設定された移動開始位置に、前記着色手段13を前記移動手段14,15に移動させるようにしたことを特徴とする。
【0015】
上記請求項3に記載した本発明の電線着色装置によれば、複数の電線3は電線搬送手段10によって間欠的に搬送される。そして、搬送が停止しているときに、移動手段14,15によって同一の着色領域3bに対して着色手段13と全ての電線3とが相対的に移動されるとともに、該移動が終了した後に、複数の電線3の搬送方向に所定距離ずらした次の着色対象となる着色領域3bに対応して設定された移動開始位置に、着色手段13が移動手段14,15によって移動される。
【0016】
請求項4記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜3の何れか1項に記載の電線着色装置において、噴出した前記着色材が前記電線3の外表面3aの全周に付着する位置のみで、前記着色手段13が前記着色材を噴出するように制御する着色制御手段21bを有することを特徴とする。
【0017】
上記請求項4に記載した本発明の電線着色装置によれば、着色手段13は着色材が前記電線3の外表面3aの全周に付着する位置のみで噴出するように着色制御手段21bによって制御される。
【0018】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項5記載の電線着色装置は、図1の基本構成図に示すように、液状の着色材を電線3の外表面3aに付着させて、該外表面3aに帯状の意匠パターン6を形成する電線着色装置1であって、前記電線3の外表面3aに向かって前記着色材を噴出するとともに、前記電線3を中心とした周方向に沿って並べられた複数の着色手段13と、前記意匠パターン6に対応した前記外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って前記着色材が付着されるように、前記複数の着色手段13を前記電線3の長手方向Aに移動させる移動手段14と、前記着色領域3bに前記着色材を付着する位置で前記着色手段が前記着色材を噴出するように制御する着色制御手段21bと、を有することを特徴とする。
【0019】
上記請求項5に記載した本発明の電線着色装置によれば、複数の着色手段13は電線3を中心とした周方向に沿って並べられた状態で、移動手段14によって電線3の長手方向Aに移動されると、着色手段13は着色材が前記電線3の外表面3aの全周に付着する位置で噴出するように着色制御手段21bによって制御される。そして、電線3の外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って着色材が付着されて、電線3の外表面3aに帯状の意匠パターン6が形成される。
【0020】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項6記載の電線着色装置は、図1の基本構成図に示すように、液状の着色材を電線3の外表面3aに付着させて、該外表面3aに帯状の意匠パターン6を形成する電線着色装置1であって、前記電線3の幅方向に幅が広い前記着色材の吐出口から前記電線3の外表面3aに向かって前記着色材を噴出する着色手段13と、前記意匠パターン6に対応した前記外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って前記着色材が付着されるように、前記着色手段13を前記電線3の長手方向Aに移動する移動手段14と、前記着色領域3bに前記着色材を付着する位置で前記着色手段が前記着色材を噴出するように制御する着色制御手段21bと、を有することを特徴とする。
【0021】
上記請求項6に記載した本発明の電線着色装置によれば、着色手段13の吐出口及び電線3の各幅方向が一致した状態で、移動手段14によって電線3の長手方向Aに移動されると、着色手段13は着色材が前記電線3の外表面3aの全周に付着する位置のみで噴出するように着色制御手段21bによって制御される。そして、電線3の外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って着色材が付着されて、電線3の外表面3aに帯状の意匠パターン6が形成される。
【0022】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項7記載の電線着色装置は、図2の基本構成図に示すように、液状の着色材を電線3の外表面3aに付着させて、該外表面3aに帯状の意匠パターン6を形成する電線着色装置1であって、前記電線3の外表面3aに向かって前記着色材を噴出する着色手段13と、前記電線3と前記着色手段13との間に介在し、且つ、前記意匠パターン6となるように前記着色手段13が噴出した着色材の前記電線3の外表面3aに対する付着を規制するマスク部材70と、前記マスク部材70に対して前記着色手段13を前記電線3の長手方向Aに向かうように移動する移動手段14と、を有することを特徴とする。
【0023】
上記請求項7に記載した本発明の電線着色装置によれば、電線3と着色手段13との間にマスク部材70は配置される。そして、移動手段14によって着色手段13が電線3の長手方向Aに移動されると、着色手段13が噴出する着色材は、意匠パターン6となるように電線3の外表面3aに対する付着がマスク部材70によって規制される。そして、電線3の外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って着色材が付着されて、電線3の外表面3aに帯状の意匠パターン6が形成される。
【0024】
請求項8記載の発明は、図1又は2の基本構成図に示すように、請求項1〜7の何れか1項に記載の電線着色装置において、前記着色手段13は、保持部材で保持された状態の前記電線3の外表面3aに前記着色材を噴出することを特徴とする。
【0025】
上記請求項8に記載した本発明の電線着色装置によれば、電線3は保持部材によって保持されると、着色手段13によってその外表面3aに着色材が着色される。
【0026】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項9記載の電線着色方法は、液状の着色材を電線の外表面に付着させて、該外表面に帯状の意匠パターンを形成する電線着色方法であって、前記意匠パターンに対応した前記外表面の複数の着色領域の各々の全周に亘って前記着色材が付着されるように、前記電線の外表面に向かって前記着色材を噴出する着色手段の移動方向と前記電線の長手方向とが交差する状態で、前記着色手段と前記電線とを相対的に移動させることを特徴とする。
【0027】
上記請求項9に記載した本発明の電線着色方法によれば、着色手段の移動方向と電線の長手方向とが交差する状態で、着色手段と電線とが相対的に移動されると、電線の外表面の複数の着色領域の各々の全周に亘って着色材が付着されて、電線の外表面に帯状の意匠パターンが形成される。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように請求項1、9に記載した本発明によれば、意匠パターンに対応した外表面の複数の着色領域の各々の全周に亘って着色材が付着されるように、電線の外表面に向かって着色材を噴出する着色手段の移動方向と電線の長手方向とが交差する状態で、着色手段と電線とを相対的に移動させるようにしたことから、電線の外表面の全周に亘って帯状の意匠パターンを形成することができるため、電線に対応した意匠パターンを電線のあらゆる方向から見ても容易に認識することができる。また、電線の長手方向と交差するように着色手段を移動させればよいことから、着色手段の移動範囲を小さくすることができるため、着色手段の小型化を図ることができる。従って、外表面の一部に着色した電線よりも、視認性及び意匠性を向上することができるという効果を奏する。また、電線の識別が可能な意匠パターンを電線に容易に形成することができるため、複数の色毎に用意する電線の在庫削減に貢献することができる。さらに、在庫削減に応じて電線棚等を削減することができるため、電線の製造工程に設けるスペースの削減にも貢献することができる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、複数の電線を互いに並列に並べて、全ての電線の同一の着色領域に対する着色が終了した後に、他の着色領域に対する着色を行うようにしたことから、複数本の電線を同時に着色できるため、着色手段を一定の速度で着色することができる。従って、常に同じ速度で着色することにより、着色材の噴出量を一定にすることができるため、着色ムラの発生を防止することができる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、複数の電線を間欠的に搬送し、該搬送が停止しているときに、同一の着色領域に対して着色手段と全ての電線とを相対的に移動させ、該移動が終了した後に、複数の電線の搬送方向に所定距離ずらした次の着色対象となる着色領域に対応して設定された移動開始位置に着色手段を移動させるようにしたことから、電線の搬送動作に同期して着色を行うことができるため、他の電線加工時間に影響を及ぼすことなく、電線の外表面に意匠パターンを形成することができる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明の効果に加え、噴出する着色材が電線の外表面の全周に付着する位置でのみ着色手段が噴出するように制御するようにしたことから、電線を着色しない区間では着色材が噴出されないことから、着色材の噴出量を低減することができる。
【0032】
以上説明したように請求項5に記載した本発明によれば、意匠パターンに対応した外表面の複数の着色領域の各々の全周に亘って着色材が付着されるように、複数の着色手段を電線を中心とした周方向に沿って並べられた状態で電線の長手方向に移動して、複数の着色領域に着色材を付着させるようにしたことから、電線の外表面の全周に亘って帯状の意匠パターンを形成することができるため、電線に対応した意匠パターンを電線のあらゆる方向から見ても容易に認識することができる。また、複数の着色手段を長手方向の一方向のみに移動させれば良いため、移動手段の簡単化を図ることが可能となり、コストダウンを図ることができる。従って、外表面の一部に着色した電線よりも、視認性及び意匠性を向上することができるという効果を奏する。また、電線の識別が可能な意匠パターンを電線に容易に形成することができるため、複数の色毎に用意する電線の在庫削減に貢献することができる。さらに、在庫削減に応じて電線棚等を削減することができるため、電線の製造工程に設けるスペースの削減にも貢献することができる。
【0033】
以上説明したように請求項6に記載した本発明によれば、着色手段の吐出口が電線の幅方向に広くなるように楕円状等に形成し、該吐出口及び電線の各幅方向が一致した状態で電線の長手方向に移動して、複数の着色領域の全周に亘って着色材を付着させるようにしたことから、電線の外表面の全周に亘って帯状の意匠パターンを形成することができるため、電線に対応した意匠パターンを電線のあらゆる方向から見ても容易に認識することができる。また、複数の着色手段を長手方向の一方向のみに移動させれば良いため、移動手段の簡単化を図ることが可能となり、コストダウンを図ることができる。従って、外表面の一部に着色した電線よりも、視認性及び意匠性を向上することができるという効果を奏する。また、電線の識別が可能な意匠パターンを電線に容易に形成することができるため、複数の色毎に用意する電線の在庫削減に貢献することができる。さらに、在庫削減に応じて電線棚等を削減することができるため、電線の製造工程に設けるスペースの削減にも貢献することができる。
【0034】
以上説明したように請求項7に記載した本発明によれば、電線と着色手段との間にマスク部材を介在させ、着色手段が噴出した着色材を、意匠パターンとなるように電線の外表面に対する付着をマスク部材によって規制するようにしたことから、電線の外表面の全周に亘って帯状の意匠パターンを確実に形成することができるため、電線に対応した意匠パターンを電線のあらゆる方向から見ても容易に認識することができる。また、着色手段における着色材の噴出開始、噴出停止を制御する必要がないため、着色制御の簡単化を図るとともに、着色手段の移動速度を速めることができる。さらに、複数の着色手段を長手方向の一方向のみに移動させれば良いため、移動手段の簡単化を図ることが可能となり、コストダウンを図ることができる。従って、外表面の一部に着色した電線よりも、視認性及び意匠性を向上することができるという効果を奏する。また、電線の識別が可能な意匠パターンを電線に容易に形成することができるため、複数の色毎に用意する電線の在庫削減に貢献することができる。さらに、在庫削減に応じて電線棚等を削減することができるため、電線の製造工程に設けるスペースの削減にも貢献することができる。
【0035】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1〜7の何れか1項に記載の発明の効果に加え、電線3を保持部材に保持した状態でその外表面に着色材を付着させるようにしたことから、切断済みの電線でも容易に意匠パターンを形成することができるため、着色材の乾燥時間を考慮することが不要となり、生産性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る電線着色装置の一実施の形態を、図3〜図19の図面を参照して説明する。
【0037】
ワイヤハーネスを製造するワイヤハーネス製造システムには、図3に示すように、電線切断工程P1、着色工程P2、端子圧着工程P3、ジョイント工程P4等の複数の工程を有している。そして、本最良の形態では、本発明による電線着色装置を着色工程P2に設ける場合について説明するが、上記システムに着色工程P2を設けない場合は、切断工程P1や端子圧着工程P3に電線着色装置を設けることになる。
【0038】
なお、ワイヤハーネスは、複数のサブワイヤハーネスを備えている。サブワイヤハーネスは、前述した自動車に搭載される系統(システム)毎に設けられている。各サブワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
【0039】
電線切断工程P1では、電線選択、測長、切断等を行う。該電線切断工程P1は、図4に示す電線作製装置100を備えている。
【0040】
電線作製装置100は、リール状の長尺電線を所定の長さで切断し、定尺の電線を作製して、該電線を各種工程に供される電線クランプ竿等にU字状にして電線の各端部を係止する。そして、該電線クランプ竿等は、上述した複数の工程に亘って設けられた搬送装置10によって着色工程P2に搬送される。
【0041】
搬送装置10は、上述した複数の工程に亘って循環しているベルトや鎖等の搬送帯と、該搬送帯の駆動原減である搬送用駆動モータと、該搬送用駆動モータの駆動を制御する搬送用制御部と、を有している。つまり、搬送用制御部の制御による搬送用駆動モータの駆動に応じて電線クランプ竿が各工程に搬送される。また、本最良の形態では、搬送用制御部が、後述する圧着機の圧着する周期(タクトタイム)に応じて間欠的に搬送用駆動モータを駆動させることで、複数の電線を間欠的に搬送させている。よって、搬送装置10が電線搬送手段に相当している。
【0042】
また、電線クランプ竿は、図示しないが、電線を挟持する複数の挟持部11と、該挟持部11を所定の間隔で固定する固定部と、を有している。そして、電線作製装置100は、電線のUターン旋回ヘッドを用いて電線の先端部をU字状に折り曲げた状態で、電線の両端寄りを一対の挟持部11に挟持させるようにしている。
【0043】
着色工程P2では、電線切断工程P1から搬送される電線に、液状の着色材を電線の外表面に付着させて、該電線の識別が可能な帯状の意匠パターンを形成する。そして、後述する本発明の電線着色装置1を有している。
【0044】
端子圧着工程P3では、仕分け・アプリケータ(A/P)段取・圧着・検査・マジック付け(マーキング)等を行う。すなわち、先ず端子の種類毎に電線を仕分けする。A/P段取は、端子圧着機200のA/P(アプリケータ)を端子の種類に応じて載せ換えたり、圧着高さを調整したりすることである。A/Pは圧着具である昇降式の上型(クリンパ)と固定式の下型(アンビル)とを含む。電線の端末に端子を圧着した後、圧着状態を目視やテレビカメラで検査し、後述の端子挿入工程での識別のためにマジックインクで端子に識別印を付ける。
【0045】
端子圧着機200は、それぞれ異種類の端子を圧着するもので、装置自体の構成は既知である。端子圧着機200は、電線クランプ竿によって搬送された電線に対して、前記圧着具を用いて端子を圧着するものである。
【0046】
ジョイント工程P4では、ジョイント仕分け・ジョイント中剥き・A/P段取・ジョイント圧着・検査・ジョイントテープ巻きを行う。すなわち、先ずジョイント端子の種類やジョイント位置に応じて、端子圧着工程P3の端子付き電線を仕分けする。次いで電線の中間部の絶縁被覆を皮剥き機で皮剥きする。さらに端子圧着と同様にジョイント圧着機のA/Pをジョイント端子に応じて段取する。そして電線の皮剥き位置に別の電線の端末をジョイント端子で分岐接続する。圧着状態を検査した後、ジョイント部を絶縁ビニールテープでテープ巻きする。
【0047】
その後の工程では、例えば、端子圧着工程P3で端子圧着した電線やジョイント工程P4でジョイントした電線を品番ごとにセットする。そして、それらの各電線の端子をコネクタハウジング内に挿入して、ワイヤハーネスを構成するサブワイヤハーネスを組み立てる。
【実施例1】
【0048】
図4に示す実施例1に係る電線着色装置1は、上述した着色工程P2に設けられ、電線3の外表面3aの一部に示す意匠パターン6(図5参照)を形成する装置である。即ち、着色装置1は、電線3の外表面3aに、液体の着色材を付着させて帯状の意匠パターン6を形成する。
【0049】
電線3は、移動体としての自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する。電線3は、図5に示すように、導電性の芯線4と、絶縁性の被覆部5とを備えている。芯線4は、複数の導線が撚られて形成されている。芯線4を構成する導線は、導電性の金属からなる。また、芯線4は、一本の導線から構成されても良い。被覆部5は、例えば、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride:PVC)などの合成樹脂からなる。被覆部5は、芯線4を被覆している。このため、電線3の外表面3aとは、被覆部5の外表面をなしている。
【0050】
また、被覆部5は、単色である。なお、被覆部5を構成する合成樹脂に所望の着色剤を混入して、電線3の外表面3aを単色にしても良い。
【0051】
前述した構成の電線3は、複数束ねられるとともに端部などにコネクタなどが取り付けられて前述したワイヤハーネスを構成する。コネクタが自動車などの各種の電子機器のコネクタにコネクタ結合して、ワイヤハーネス即ち電線3は、各電子機器に各種の信号や電力を伝える。
【0052】
また、電線3の外表面3aには、意匠パターン6に対応した複数の着色領域3bが着色材によって形成される。そして、着色領域3bに付着した着色材は、その付着した面からその裏面に回り込むことで、着色領域3bの全周に亘って付着することになる。なお、本最良の形態では、着色領域3bが、意匠パターン6に対応して、電線3の長手方向における幅が異なるように形成する場合について説明するが、全てを同一の幅とするなど種々異なる形状とすることができる。
【0053】
このように形成された意匠パターン6は、着色領域3bの幅、着色箇所の個数、色等の組み合わせによって電線3の色、サイズ、使用目的等を示している。よって、意匠パターン6を変更することで、電線の色、サイズ、使用目的等の識別が可能な構成となっている。なお、意匠パターン6については、電線の品種、系統(システム)等の他の情報を示すようにしてもよい。
【0054】
また、電線3の外表面3aの全周にリング状に形成することで、識別性を損なうことなく、意匠パターン6を形成することができる、そして、従来の電線のように、電線製造時にナチュラル材等に白色の電線を統一して形成し、マーキングを追加することにより、電線サイズや品種を識別するためのバンドマークをマーキングする必要性がなくなることから、識別性を損なうことのない電線3を製造することが可能となる。
【0055】
電線着色装置1は、図4に示すように、制御ユニット20と、着色ユニット30と、該着色ユニット30を駆動するドライバ24と、移動検出ユニット60と、を有している。
【0056】
制御ユニット20は、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)21、CPU21のためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM22、各種のデータを格納するとともにCPU21の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM23等を有して構成している。
【0057】
ROM22には、請求項中の着色制御手段及び移動制御手段としてCPU21を機能させるための着色移動制御プログラム等の各種プログラムと、電線3の色、サイズ等に対応した意匠パターン6を形成する上で必要な各種データを有する複数の意匠パターン情報と、を記憶している。意匠パターン情報は、着色対象となる着色領域3b、該着色領域3bの着色する着色材の色、該着色領域3bの噴出開始位置等の各種データを有している。
【0058】
ドライバ24は、制御ユニット20と着色ユニット30との各々に接続している。ドライバ24は、制御ユニット20からの指示に応じて後述する着色装置13の噴出及び移動の制御を行う。ドライバ24は、移動させている着色装置13の移動位置に対応する位置情報(カウンタ値など)を制御ユニット20に出力する。
【0059】
着色ユニット30は、着色材の色等に応じた複数(図4中では4つ)の着色装置13と、これらの着色装置13を収容するケース14aを図4中のY方向に移動可能な第1スライド部14と、該第1スライド部14を図4中のX方向に移動可能な第2スライド部15と、を有している。
【0060】
該複数の着色装置13は、電線3の搬送方向Fに沿って並設している。着色装置13の各々は、着色手段としての着色ノズル31と、着色材供給源32と、加圧気体供給源33と、を備えている。なお、本最良の形態では、複数の着色装置13を搬送方向Fに一列に並設する場合について説明するが、その列を複数列とするなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0061】
前述した構成の着色ノズル31は、後述の着色材供給源32からの液状の着色材を、電線3の外表面3aに向かって噴出する。着色ノズル31は、噴出した着色材の液滴を電線3の外表面3aに付着させて、該電線3の外表面3aの少なくとも一部を着色する(マーキング)する。
【0062】
着色ノズル31は、図7に示すように、円筒状のノズル本体34と、このノズル本体34内に収容されたインサート部材35と、流入管36と、第1のノズル部材37と、弁機構38と、第2のノズル部材50と、接続パイプ51とを備えている。
【0063】
第2のノズル部材50は、円筒状に形成されている。第2のノズル部材50は、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone:以下PEEKと呼ぶ)からなる。第2のノズル部材50の外径は、第1のノズル部材37の外径と等しい。
【0064】
また、第2のノズル部材50の内径は、第1のノズル部材37の内径より小さい。第2のノズル部材50は、第1のノズル部材37と同軸に配されているとともに、該第1のノズル部材37に連結している。
【0065】
第2のノズル部材50は、第1のノズル部材37より電線3寄りに配されている。また、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との間は、水密になっている。第2のノズル部材50と第1のノズル部材37は、内側に第1のノズル部材37の長手方向に沿う矢印Sに沿って、着色材が流れる。矢印Sは、着色材が流れる方向をなしている。
【0066】
このため、第2のノズル部材50の第1のノズル部材37寄りに端面50aは、第1のノズル部材37の内面から該第1のノズル部材37の内側に向かって突出している。また、端面50aは、矢印Sに対し直交(交差)する方向に沿って平坦に形成されている。
【0067】
なお、前述した第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とで、ノズル部材47を構成している。ノズル部材47は、インサート部材35内に連通し、内側に着色材が流れる。
【0068】
接続パイプ51は、フッ素樹脂からなり円筒状に形成されている。接続パイプ51の内径は、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50の外径と略等しい。接続パイプ51は、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との双方の外側に嵌合しており、これらの第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とを連結する。また、接続パイプ51は、第2のノズル部材50を第1のノズル部材37から着脱自在としている。
【0069】
前述した構成の着色装置13の各々は、上述した制御ユニット20に接続しており、制御ユニット20の制御に応じて動作する。そして、着色ノズル31は、着色材供給源32からの着色材を、流入管36を通して、流路39内に導く。そして、コイル40に印加されていない状態で、コイルばね42の付勢力により、弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aに接触して、着色材が流路39内に位置付けられている。
【0070】
そして、着色ノズル31は、コイル40に印加されると、コイルばね42の付勢力に抗して、円板部46に取り付けられた弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aから離れて、流路39内の着色材を矢印Sに沿って第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との内側を通す。そして、着色ノズル31は、第2のノズル部材50から着色材を噴出する。また、コイル40は、ドライバ24からの命令に基づいて、予め定められる一定時間印加される。このため、着色ノズル31は、一定量ずつ着色材を電線3の外表面3aに向かって噴出する。
【0071】
前述した着色材とは、色材(工業用有機物質)が水またはその他の溶媒に溶解、分散した液状物質である。即ち、着色材は、色材と溶媒とからなる。有機物質(色材)としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。より具体的な例として、着色材とは、着色液または塗料である。
【0072】
着色液とは、溶媒中に色材としての染料が溶けているもの又は分散しているものを示しており、塗料とは、溶媒としての分散液中に色材としての顔料が分散しているものを示している。このため、着色液が電線3の外表面3aに付着すると、染料が被覆部5内にしみ込み、塗料が電線3の外表面3aに付着すると、顔料が被覆部5内にしみ込むことなく外表面3aに接着する。即ち、着色装置13は、電線3の外表面3aの一部を染料で染める又は電線3の外表面3aに顔料を塗る。このため、電線3の外表面3aを着色するとは、電線3の外表面3aの一部を染料で染める(染色する)ことと、電線3の外表面3aの一部に顔料を塗ることとを示している。
【0073】
また、前記溶媒と分散液は、被覆部5を構成する合成樹脂と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料が被覆部5内に確実にしみ込んだり、顔料が外表面3aに確実に接着することとなる。
【0074】
また、本実施形態では、着色材として前述した着色液を用い、溶媒としてアセトン(Acetone)を用いている。
【0075】
着色材供給源32は、液状の着色材を収容するとともに、着色ノズル31に対応している。着色材供給源32は、対応する着色ノズル31の流入管36内に着色材を供給する。
【0076】
加圧気体供給源33は、加圧された気体を着色材供給源32内に供給する。加圧気体供給源33は、ドライバ24からの要求に応じて、加圧された気体を着色材供給源32内に供給することで、着色ノズル31の弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aから離れると、流路39内の着色材が速やかに第1のノズル部材37及び第2のノズル部材50から滴射するようにする。
【0077】
このように構成した着色装置13は、加圧気体供給源33による加圧、着色ノズル31のノズル径、着色材のノズル通過速度、着色ノズル31と電線3との距離、着色材の粘度等を変化させることで、電線3の着色領域3bにおける着色幅、着色材の電線3に対する回り込み具合等を変更することができるため、任意の意匠パターンを効率よく形成することができる。
【0078】
第1スライド部14は、ドライバ24に接続しており、該ドライバ24からの駆動指示に応じて駆動モータが駆動されることで、駆動モータがケース14aを矩形状のレール部材14bに沿って所定位置まで移動可能な構成となっている。つまり、制御部20によってケース14aの図5中の上下方向(Y軸方向)における位置を制御することが可能な構成となっている。また、第1スライド部14は、着色装置13の着色ノズル31から電線3に対して着色材が垂直に向かう状態でケース14aを保持するとともに、該状態で前記上下方向の移動が可能な構成となっている。
【0079】
第2スライド部15は、搬送装置10に並設され、該搬送装置10を中心に平行となるように設けている一対のガイド15aを有している。一対のガイド15aには、図示しないが、レール部材14bの両端をX軸方向に対して移動自在に駆動機構と、該駆動機構を制御ユニット20の制御の下で駆動する駆動モータと、を有している。第2スライド部15は、複数の電線3に対して着色装置13の着色ノズル31が噴出した着色材が垂直に向かうように、ケース14aを図4中のX軸方向における位置L0〜L4の範囲を移動可能な構成となっている。つまり、制御部20によってケース14aの図4中の搬送方向F(X軸方向)における位置を制御することが可能な構成となっている。
【0080】
これらの第1スライド部14及び第2スライド部15とによって、着色装置13は全ての電線3に対して着色材が垂直に向かうように噴出することができる。よって、着色装置13を電線3の長手方向に対して交差するように移動させることで、噴出した着色材が電線3の外表面3aの全周に回り込ませることができるため、着色領域3bの全周に亘って着色材を付着させることができる。
【0081】
制御ユニット20は、着色領域3bに着色するときに、その着色する色に対応した着色装置13を選択して、該当する着色装置13に対する図4中のX軸方向及びY軸方向の移動の制御、及び、着色装置13の着色材の噴出を制御をドライバ24に要求することで、ドライバ24が第1スライド部14及び第2スライド部15の駆動させ、かつ、着色装置13に着色材を噴出させる。なお、本最良の形態では、ドライバ24を用いる場合について説明するが、制御ユニット20が着色装置13、第1スライド部14及び第2スライド部15を直接制御することもできる。
【0082】
例えば、図5に示す意匠パターン6を固定した1本の電線3の外表面3aに形成する場合、ドライバ24は、図6中のSTARTからENDで示した実線と破線とからなる矢印B方向に、該当する着色装置13を移動させることになる。そして、矢印Bの実線部分、つまり、着色装置13の移動方向Mと電線3の長手方向Aとが交差するときに、着色装置13の着色ノズル31から着色材を噴出させることで、各着色領域3bに着色材が付着される。
【0083】
ここで、電線3に対して着色材を着色する場合の動作(作用)の一例を図8を参照して説明する。まず、図8(a)に示すように、噴出した着色材が電線3の外表面3aの全周に付着しない位置では、着色装置13は着色材の噴出を行わない。そして、着色装置13が移動方向Mに移動されて、噴出した着色材が電線3の外表面3aの全周に付着する位置の範囲を示す付着範囲Eになると、図8(b)に示すように、着色装置13は着色材7の噴出を開始する。
【0084】
図8(c)に示すように、着色装置13から噴出された着色材7が電線3の着色領域3bに付着すると、着色材7は電線3の着色装置13との対向側から反対側に向かって回り込む。そして、図8(d)に示すように、着色装置13が電線3の長手方向Aと交差することで、電線3の着色領域3bの全周に亘って着色材7が回り込むことになる。つまり、電線3の着色領域3bの全周に亘って着色材7が付着される。
【0085】
移動検出ユニット60は、図示しないが、回転子と、エンコーダと、を有している。回転子は、搬送装置10の搬送に応じて回転し、かつ、その停止時は回転しない構成となっている。前記エンコーダは、制御ユニット20に接続している。前記エンコーダは、前記回転子が所定角度ずつ回転すると、該回転に応じた搬送装置10の移動両に応じた移動量情報を制御ユニット20に出力する。
【0086】
次に、搬送装置10が間欠的に搬送している複数の電線3に対して着色を行う場合の一例を、上述したCPU21が実行する着色移動制御処理の一例示す図9及び図10のフローチャートを参照して説明する。
【0087】
なお、説明を簡単化するために、着色ユニット30が間欠的に搬送する電線3に対して3箇所単位で着色し、電線3の意匠パターン6が3つの帯(着色領域3b)からなることを前提としている。また、1つの着色領域3bに対して着色装置13を往復させて、太い着色領域3bに対する着色することを前提としているが、着色領域3bの幅等に応じて着色装置13の着色回数は異なるものである。
【0088】
この場合、ROM22の意匠パターン情報としては、電線3の識別データと、着色領域3bに対応し、かつ、着色順に対応する、着色する色を示す色データ、移動開始位置データ(例えば、図4中の位置L0〜L4など)、折り返し位置データ、移動停止位置データ、電線3のサイズデータ(幅)、着色開始位置データ、着色停止位置データ等の各種データと、を有している。そして、該意匠パターン情報は電線3の品番等の数分、予めROM22に記憶している。
【0089】
CPU21によって図9示す着色移動制御処理プログラムが実行されると、ステップS11において、電線3の識別情報が図示しないバーコードリーダによる読み取り、作業者による入力等によって取り込まれ、該識別情報はRAM23に記憶され、その後ステップS12に進む。
【0090】
ステップS12において、識別情報に対応する前記識別データを有する意匠パターン情報が複数の意匠パターン情報の中から取得されてRAM23に記憶され、その後ステップS13に進む。
【0091】
ステップS13(移動制御手段)において、RAM23の意匠パターン情報の色データに対応する着色装置13の、最初の移動開始位置データが示す移動開始位置への移動がドライバ24に要求されることで、ドライバ24は第1スライド部14及び第2スライド部15を駆動して、該当する着色装置13を最初の移動開始位置に移動させ、その後ステップS14に進む。なお、本最良の形態では、着色ユニット30が複数の着色装置13を有していることから、該当する着色装置13が移動を制御する上での基準となるように移動させている。
【0092】
ステップS14において、移動検出ユニット60からの移動量情報に基づいて、搬送装置10の搬送が停止したか否かが判定される。なお、搬送停止の判定方法としては、制御ユニット20を搬送装置10に接続して判定したり、制御ユニット20を搬送装置10に組み込むなど種々異なる形態とすることができる。
【0093】
また、搬送が停止していないと判定された場合は(S14でN)、この判定処理を繰り返すことで、搬送の停止を待つ。一方、搬送が停止していると判定された場合は(S14でY)、ステップS15(移動制御手段)において、RAM13の意匠パターン情報の折り返し位置データに基づいて、着色装置13の移動開始がドライバに要求されることで、ドライバ24は、第1スライド部14及び第2スライド部15を駆動して、該当する着色装置13を折り返しデータが示す位置に所定の速度で移動させ、その後ステップS16に進む。
【0094】
ステップS16(着色制御手段)において、ドライバ24からの位置情報と意匠パターン情報の着色開始位置データとの比較結果に基づいて、着色装置13が着色開始位置であるか否かが判定される。着色開始位置ではないと判定された場合は(S16でN)、この判定処理を繰り返すことで、着色装置13が着色開始位置に到達するのを待つ。一方、着色開始位置であると判定された場合は(S16でY)、ステップS17に進む。
【0095】
ステップS17(着色制御手段)において、ドライバ24に移動中の着色装置13の着色材の噴出開始が要求されることで、ドライバ24は上述したように着色装置13に着色材を噴出させ、その後ステップS18に進む。
【0096】
ステップS18(着色制御手段)において、ドライバ24からの位置情報と意匠パターン情報の着色停止位置データとの比較結果に基づいて、着色装置13が着色停止位置であるか否かが判定される。着色停止位置ではないと判定された場合は(S18でN)、この判定処理を繰り返すことで、着色装置13が着色停止位置に到達するのを待つ。一方、着色停止位置であると判定された場合は(S18でY)、ステップS19に進む。
【0097】
ステップS19(着色制御手段)において、ドライバ24に移動中の着色装置13の着色材の噴出停止が要求されることで、ドライバ24は着色装置13の着色材の噴出を停止させ、その後、図10に示すステップS20に進む。なお、着色停止位置の検出については、着色開始位置を検出してからの時間と着色装置13の所定速度に基づいて定められた判定閾値との比較結果で検出するなど種々異なる形態とすることができる。
【0098】
図10に示すステップS20(移動制御手段)において、ドライバ24からの移動完了通知の有無に基づいて、着色装置13が折り返し位置に到達したか否かが判定される。到達したと判定された場合は(S20でY)、ステップS21に進む。
【0099】
ステップS21(移動制御手段)において、図4中のY軸方向への着色装置13の移動が予め定められた移動距離に基づいてドライバ24に要求されることで、ドライバ24は、第1スライド部14を駆動して、該当する着色装置13を折り返し時の移動開始位置に移動させ、その後ステップS22に進む。
【0100】
ステップS22(移動制御手段)において、RAM13の意匠パターン情報の移動停止位置データに基づいて、図4中のX軸の逆方向への着色装置13の移動開始がドライバに要求されることで、ドライバ24は、第1スライド部14及び第2スライド部15を駆動して、該当する着色装置13を移動停止位置データが示す位置に所定の速度で移動させ、その後、図9に示すステップS16に戻り、一連の処理が繰り返される。
【0101】
ステップS20で折り返し位置ではないと判定された場合は(S20でN)、ステップS23において、電線3の全てに対する着色領域3bに対する着色が終了したか否かが判定される。着色が終了していないと判定された場合は(S23でN)、ステップS14に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、着色が終了していると判定された場合は(S23でY)、ステップS24に進む。
【0102】
ステップS24において、RAM23の意匠パターン情報の移動開始位置データに基づいて、次の移動開始位置が設定されているか否かが判定される。設定されていると判定された場合は(S24でY)、ステップS25(移動制御手段)において、前回の移動開始位置データの次に設定されている意匠パターン情報の移動開始位置データに基づいて、着色装置13の移動開始がドライバ24に要求されることで、ドライバ24は、第1スライド部14及び第2スライド部15を駆動して、該当する着色装置13を移動開始位置データが示す位置に移動させ、その後、図9に示すステップS14に戻り、一連の処理が繰り返される。
【0103】
また、ステップS24で次の移動開始位置が設定されていないと判定された場合は(S24でN)、ステップS26において、終了要求を受けたか否かが判定される。終了要求を受けていないと判定された場合は(S26でN)、図9に示すステップS13に戻り、一連の処理が繰り返されることで、次の電線3のセットに対する着色に対する制御が行われる。一方、終了要求を受けたと判定された場合は(S26でY)、処理が終了される。
【0104】
次に、上述した着色移動制御処理を実行した場合の電線着色装置1の動作(作用)の一例を図4の図面を参照して以下に説明する。
【0105】
電線着色装置1は、着色する電線3の品番等を取り込むと、それに対応する意匠パターンを抽出する。この意匠パターン情報は、3つの着色領域3bに対応したデータを有している。1つ目の着色領域3bに対応した、移動開始位置データには「位置L2」、折り返し位置データには「位置L0」、移動停止位置データには「位置L3」をそれぞれ示すデータが設定されている。2つ目の着色領域3bに対応した、移動開始位置データには「位置L3」、折り返し位置データには「位置L0」、移動停止位置データには「位置L4」をそれぞれ示すデータが設定されている。3つ目の着色領域3bに対応した、移動開始位置データには「位置L4」、折り返し位置データには「空白」、移動停止位置データには「位置L1」をそれぞれ示すデータが設定されている。
【0106】
着色ユニット30は着色装置13を1つ目の着色領域3bの移動開始位置データ「位置L2」が示す移動開始位置ST1に移動させる。そして、搬送装置10の停止を検出すると、着色ユニット30によって着色装置13が位置L0に向けて移動される。そして、電線3の付着範囲Eへの進入に応じて着色装置13は、着色材7の噴出を開始し、その後、付着範囲Eからの退出に応じて着色材7の噴出を停止する。この着色装置13による着色は、3本の電線3の全てに対して行われる。そして、折り返し位置である位置L0に到達すると、着色装置13はY軸方向に所定距離ずらされて、1つ目の着色領域3bの移動停止位置データが示す位置L3に向かって移動して停止する。この場合も、3本の電線3の全てに対して1つ目の着色領域3bの全周に亘る着色が行われることから、1回の着色よりも太い着色領域3bの着色が完了したことになる。
【0107】
1つ目の着色領域3bに対する移動停止位置である位置L3に到着した後、着色装置13は、Y軸方向に所定距離だけ移動されることで、複数の電線3の搬送方向Fに所定距離Lずらして、2つ目(次)の着色対象となる着色領域3bに対応して意匠パターン情報に設定された移動開始位置ST2に移動されたことになる。その後は、1つ目の着色領域3bに対する着色と同様に、全ての2つ目の着色領域3bの全周に亘る着色が行われる。
【0108】
2つ目の着色領域3bに対する移動停止位置である位置L4に到着した後、着色装置13は、Y軸方向に所定距離だけ移動されることで、複数の電線3の搬送方向Fに所定距離Lずらして、3つ目(次)の着色対象となる着色領域3bに対応して意匠パターン情報に設定された移動開始位置ST3に移動されたことになる。その後は、1つ目の着色領域3bに対する着色と同様に、全ての3つ目の着色領域3bの全周に亘る着色が行われる。そして、3つ目の着色領域3bに対する着色が終了すると、全ての着色領域3bに対する着色が終了したことになる。つまり、3つの意匠パターン6を電線3の外表面3aの全周に亘って形成することになる、また、続けて次の電線3群の3箇所に対する着色を行う場合、着色装置13は、移動開始位置ST1に移動されて、上述した一連の処理を実行して3つの着色領域3bからなる意匠パターン6を各電線3の外表面3aの全周に亘って形成することになる。
【0109】
以上説明した実施例1に係る電線着色装置1によれば、意匠パターン6に対応した電線3の外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って着色材7が付着されるように、電線3の外表面3aに向かって着色材7を噴出する着色装置13の移動方向Mと電線の長手方向Aとが交差する状態で、着色装置13と電線3とを相対的に移動させるようにしたことから、電線3の外表面3aの全周に亘って帯状の意匠パターン6を形成することができるため、電線3に対応した意匠パターン6を電線3をあらゆる方向から見ても容易に認識することができる。また、電線3の長手方向Aと交差するように着色装置13を移動させればよいことから、着色装置13の移動範囲を小さくすることができるため、着色装置13や着色装置13を有する着色ユニット30の小型化を図ることができる。従って、外表面3aの一部に着色した電線3よりも、視認性及び意匠性を向上することができるという効果を奏する。また、電線3の識別が可能な意匠パターン6を電線に容易に形成することができるため、複数の色毎に用意する電線3の在庫削減に貢献することができる。さらに、電線3の製造工程に設けるスペースの削減にも貢献することができる。
【0110】
また、複数の電線3を互いに並列に並べて、全ての電線3の同一の着色領域3bに対する着色が終了した後に、他の着色領域3bに対する着色を行うようにしたことから、複数本の電線3を同時に着色できるため、着色装置13を一定の速度で着色することができる。従って、常に同じ速度で着色することにより、着色材7の噴出量を一定にすることができるため、着色ムラの発生を防止することができる。
【0111】
さらに、複数の電線3を間欠的に搬送し、該搬送が停止しているときに、同一の着色領域3bに対して着色装置13と全ての電線3とを相対的に移動させ、該移動が終了した後に、複数の電線3の搬送方向Fに所定距離Mずらした次の着色対象となる着色領域3bに対応して設定された移動開始位置に着色装置13を移動させるようにしたことから、電線3の搬送動作に同期して着色を行うことができるため、他の電線加工時間に影響を及ぼすことなく、電線3の外表面3aに意匠パターン6を形成することができる。
【0112】
また、噴出する着色材7が電線3の外表面3aの全周に付着する位置でのみ着色装置13が噴出するように制御するようにしたことから、電線3を着色しない区間では着色材7が噴出されないことから、着色材7の噴出量を低減することができる。
【0113】
さらに、電線3を保持部材である挟持部11に保持した状態でその外表面3aに着色材7を付着させるようにしたことから、切断済みの電線3でも容易に意匠パターン6を形成することができるとともに、電線3の搬送効率を向上させることができる。
【0114】
なお、上述した本最良の形態では、複数の電線3を間欠的に移動させるときに適した電線着色装置13について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、図12に示すように、クランプ竿80に係止している多数の電線3に対して、上述したように、意匠パターン6に対応した電線3の外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って着色材7が付着されるように、電線3の外表面3aに向かって着色材7を噴出する着色装置13の移動方向Mと電線の長手方向Aとが交差する状態で、着色装置13と電線3とを相対的に複数回移動させるようにすれば、複数本同時着色することができることから、アクチュエータ等の最高速度で着色することができるため、効率よく多数の電線3を着色することができる。
【0115】
また、上述した本最良の形態では、固定した電線3に対して着色装置13を移動させることで、電線3と着色装置13とを相対的に移動させる場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、固定した着色装置13に対して電線3を移動させる、電線3と着色装置13との双方を移動させるなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0116】
さらに、上述した本最良の形態では、図4に示すように複数の着色装置13を電線3の搬送方向Fに沿って並設した場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、複数の着色装置13の配置は種々異なる実施形態とすることができる。例えば、図12に示すように、複数の着色装置13を図12中のY軸方向に併設し、その列を搬送方向Fに沿って複数(図12中では2列)設けたり、また、その複数の列の中のうち1列のみを設けることもできる。
【実施例2】
【0117】
上述した実施例1では、着色装置13の1つの着色ノズル31によって電線3の外表面3aに着色材7を付着させる場合について説明したが、実施例2に係る電線着色装置1では、複数の着色ノズル31を用いて電線3の外表面3aに着色材7を付着させる場合について説明する。なお、上述した実施例1のところで説明したものと同一あるいは相当する部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0118】
電線着色装置1は、図13に示すように、制御ユニット20と、着色ユニット30と、該着色ユニット30を駆動するドライバ24と、移動検出ユニット60と、を有している。
【0119】
制御ユニット20は、上述したCPU21とROM22とRAM23等を有して構成している。そして、ROM22には、請求項中の着色制御手段及び移動制御手段としてCPU21を機能させるための着色移動制御プログラム等の各種プログラムと、電線3の色、サイズ等に対応した意匠パターン6を形成する上で必要な各種データを有する複数の意匠パターン情報と、を記憶している。意匠パターン情報は、着色対象となる着色領域3b、該着色領域3bの着色する着色材7の色、該着色領域3bの噴出開始位置等の各種データを有している。
【0120】
ドライバ24は、制御ユニット20と着色ユニット30との各々に接続している。ドライバ24は、制御ユニット20からの指示に応じて後述する着色装置13の噴出及び移動の制御を行う。ドライバ24は、移動させている着色装置13の移動位置に対応する位置情報(カウンタ値など)を制御ユニット20に出力する。
【0121】
着色ユニット30は、着色材7の色等に応じた複数の着色装置13と、これらの着色装置13を収容するケース14aを図13中の電線3の長手方向Aに移動可能なスライド部(移動手段)14を有している。
【0122】
該複数の着色装置13は、電線3の長手方向Aに沿って並設している。なお、複数の着色装置13は、上述したように搬送方向Fに複数として列設けるなど種々異なる実施形態とすることができる。また、着色装置13の各々は、図14に示すように着色手段としての3つの着色ノズル31と、着色材供給源32と、加圧気体供給源33と、を備えている。なお、本実施例2では、着色ノズル13が3つの場合について説明するが、2つ又は4つ以上の着色ノズル13を用いることもできる。
【0123】
3つ着色ノズル31は、電線3を中心とした周方向に沿って等間隔に並べられている。つまり、電線3の外表面3aには、その上方、斜め左下、斜め右下の3方向から着色材7が付着される。よって、各着色ノズル31から各着色領域3bに噴出された着色材は、電線3の外表面3aの全周に亘って付着されることになる。このような構成とすることで、電線3の外周の全てに着色材7を回り込ませることが困難な太い電線3等であっても、確実に電線3の外表面3aの全てに着色材7を着色することができる。
【0124】
着色材供給源32は、液状の着色材を収容するとともに、3つの着色ノズル31に対応している。着色材供給源32は、対応する3つの着色ノズル31の流入管36内に着色材7を供給する。
【0125】
加圧気体供給源33は、加圧された気体を着色材供給源32内に供給する。加圧気体供給源33は、ドライバ24からの要求に応じて、加圧された気体を着色材供給源32内に供給することで、3つの着色ノズル31の弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aから離れると、流路39内の着色材が速やかに第1のノズル部材37及び第2のノズル部材50から滴射するようにする。
【0126】
このように構成した着色装置13は、加圧気体供給源33による加圧、3つの着色ノズル31のノズル径、着色材7のノズル通過速度、着色ノズル31と電線3との距離、着色材の粘度等を変化させることで、電線3の着色領域3bにおける着色幅、着色材7の電線3に対する回り込み具合等を変更することができるため、任意の意匠パターンを効率よく形成することができる。
【0127】
スライド部14は、ドライバ24に接続しており、該ドライバ24からの駆動指示に応じて駆動モータが駆動されることで、駆動モータがケース14aを矩形状のレール部材14bに沿って所定位置まで移動可能な構成となっている。つまり、制御部20によってケース14aの図13中の上下方向(長手方向A)における位置を制御することが可能な構成となっている。また、スライド部14は、着色装置13の着色ノズル31から電線3に対して着色材が垂直に向かう状態でケース14aを保持するとともに、該状態で前記上下方向の移動が可能な構成となっている。
【0128】
このスライド部14によって着色装置13は電線3の長手方向Aに移動して所望の着色領域3bに着色材7を垂直に向かうように噴出することが可能な構成となっている。そして、3つの着色ノズル31の各々から噴出した着色材7を電線3の外表面3aの全周に回り込ませることができるため、着色領域3bの全周に亘って着色材7を確実に付着させることができる。
【0129】
制御ユニット20は、着色領域3bに着色するときに、その着色する色に対応した着色装置13を選択して、該当する着色装置13に対する図3中の電線3の長手方向Aにおける移動の制御、及び、着色装置13の着色材の噴出を制御をドライバ24に要求することで、ドライバ24がスライド部14の駆動させ、かつ、着色装置13に着色材7を噴出させる。なお、本最良の形態では、ドライバ24を用いる場合について説明するが、制御ユニット20が着色装置13及びスライド部14を直接制御することもできる。
【0130】
例えば、図15に示す意匠パターン6を固定した1本の電線3の外表面3aに形成する場合、ドライバ24は、図15中のSTARTからENDで示した実線と破線とからなる矢印C方向に、該当する着色装置13を移動させることになる。そして、矢印Cの実線部分、つまり、3つの各着色装置13が着色領域3bと対面しているときに、着色装置13の着色ノズル31から着色材7を噴出させることで、各着色領域3bに着色材7が付着される。
【0131】
次に、図15に示す意匠パターン6を固定した1本の電線3の外表面3aに形成する場合の制御ユニット20のCPU21が実行する制御の一例を説明する。
【0132】
この場合、ROM22の意匠パターン情報としては、電線3の識別データと、着色領域3bに対応し、かつ、着色順に対応する、着色する色を示す色データ、移動開始位置データ、移動停止位置データ、電線3のサイズデータ(幅)、着色開始位置データ、着色停止位置データ等の各種データと、を有している。
【0133】
CPU21によって図15示す着色移動制御処理のプログラムが実行されると、ステップS31において、電線3の識別情報が図示しないバーコードリーダによる読み取り、作業者による入力等によって取り込まれ、該識別情報はRAM23に記憶され、その後ステップS32に進む。
【0134】
ステップS32において、識別情報に対応する前記識別データを有する意匠パターン情報が複数の意匠パターン情報の中から取得されてRAM23に記憶され、その後ステップS33に進む。
【0135】
ステップS33(移動制御手段)において、RAM23の意匠パターン情報の色データに対応する着色装置13の、最初の移動開始位置データが示す移動開始位置への移動がドライバ24に要求されることで、ドライバ24はスライド部14を駆動して、該当する着色装置13を最初の移動開始位置(図15中のSTART)に移動させ、その後ステップS34に進む。なお、本最良の形態では、着色ユニット30が複数の着色装置13を有していることから、該当する着色装置13が移動を制御する上での基準となるように移動させている。
【0136】
ステップS34(移動制御手段)において、RAM13の意匠パターン情報の折り返し位置データに基づいて、着色装置13の移動開始がドライバに要求されることで、ドライバ24は、スライド部14を駆動して、該当する着色装置13を電線3の長手方向Aに所定の速度で移動終了位置(図15中のEND)まで移動させ、その後ステップS35に進む。
【0137】
ステップS35(着色制御手段)において、ドライバ24からの位置情報と意匠パターン情報の着色開始位置データとの比較結果に基づいて、着色装置13が着色開始位置であるか否かが判定される。着色開始位置ではないと判定された場合は(S35でN)、この判定処理を繰り返すことで、着色装置13が着色開始位置に到達するのを待つ。一方、着色開始位置であると判定された場合は(S35でY)、ステップS36に進む。
【0138】
ステップS36(着色制御手段)において、ドライバ24に移動中の着色装置13の着色材の噴出開始が要求されることで、ドライバ24は上述したように着色装置13に着色材を噴出させ、その後ステップS37に進む。
【0139】
ステップS37(着色制御手段)において、ドライバ24からの位置情報と意匠パターン情報の着色停止位置データとの比較結果に基づいて、着色装置13が着色停止位置であるか否かが判定される。着色停止位置ではないと判定された場合は(S37でN)、この判定処理を繰り返すことで、着色装置13が着色停止位置に到達するのを待つ。一方、着色停止位置であると判定された場合は(S37でY)、ステップS38に進む。
【0140】
ステップS38(着色制御手段)において、ドライバ24に移動中の着色装置13の着色材の噴出停止が要求されることで、ドライバ24は着色装置13の着色材の噴出を停止させ、その後、ステップS39に進む。なお、着色停止位置の検出については、着色開始位置を検出してからの時間と着色装置13の所定速度に基づいて定められた判定閾値との比較結果で検出するなど種々異なる形態とすることができる。
【0141】
ステップS39において、着色装置13が移動終了位置に到達したか否かの判定結果等に基づいて、電線3の全ての着色領域3bに対する着色が終了したか否かが判定される。着色が終了していないと判定された場合は(S39でN)、ステップS35に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、着色が終了していると判定された場合は(S39でY)、ステップS40に進む。
【0142】
ステップS40において、次の電線3に対する着色要求を受けているか否かが判定される。着色要求を受けていると判定された場合は(S40でY)、ステップS31に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、着色要求を受けていないと判定された場合は(S40でN)、ステップS41に進む。
【0143】
ステップS41において、終了要求を受けたか否かが判定される。終了要求を受けていないと判定された場合は(S41でN)、ステップS31に戻り、一連の処理が繰り返されることで、次の電線3に対する着色に対する制御が行われる。一方、終了要求を受けたと判定された場合は(S41でY)、処理が終了される。
【0144】
次に、上述した実施例2に係る電線着色装置1の動作(作用)の一例を図15の図面を参照して以下に説明する。
【0145】
電線着色装置1は、着色する電線3の品番等を取り込むと、それに対応する意匠パターンを抽出する。この意匠パターン情報は、3つの着色領域3bに対応したデータを有している。1つ目の着色領域3bに対応した、着色開始位置データには位置L11,L13,L15がそれぞれ設定されている。また、着色終了位置データには位置L12,L14,L16がそれぞれ設定されている。
【0146】
着色ユニット30は着色装置13が1つ目の着色領域3bの着色開始位置データ「位置L11」が示す着色開始位置に到達すると、着色材7の噴出を開始し、着色終了位置データ「L12」が示す着色終了位置に到達すると、着色材7の噴出を停止する。そして、3つの着色ノズル31から噴出された着色材7は電線3の外表面3aの全てに亘って付着される。
【0147】
同様に、2つ目の着色領域3bの着色開始位置データ「位置L13」が示す着色開始位置に到達すると、着色材7の噴出を開始し、着色終了位置データ「L14」が示す着色終了位置に到達すると、着色材7の噴出を停止する。そして、3つ目の着色領域3bの着色開始位置データ「位置L15」が示す着色開始位置に到達すると、着色材7の噴出を開始し、着色終了位置データ「L16」が示す着色終了位置に到達すると、着色材7の噴出を停止する。
【0148】
このように3つの着色領域3bからなる意匠パターン6を電線3の外表面3aの全周に亘って形成することになる、また、搬送装置10によって電線クランプ竿の挟持部11が移動されて次の電線3がセットされると、続けて電線3に対して上述した一連の処理を実行して意匠パターン6を電線3の外表面3aの全周に亘って形成することになる。
【0149】
以上説明した実施例2に係る電線着色装置1によれば、意匠パターン6に対応した外表面3aの3つの着色領域3bの各々の全周に亘って着色材7が付着されるように、複数の着色装置13を電線3を中心とした周方向に沿って並べられた状態で電線の長手方向Aに移動して、複数の着色領域3bに着色材7を付着させるようにしたことから、電線3の外表面3aの全周に亘って帯状の意匠パターンを形成することができるため、電線3に対応した意匠パターン6を電線3のあらゆる方向から見ても容易に認識することができる。また、複数の着色装置13を長手方向Aの一方向のみに移動させれば良いため、着色ユニット30のスライド部14の簡単化を図ることが可能となり、コストダウンを図ることができる。従って、外表面3aの一部に着色した電線3よりも、視認性及び意匠性を向上することができるという効果を奏する。また、電線3の識別が可能な意匠パターン6を電線3に容易に形成することができるため、複数の色毎に用意する電線3の在庫削減に貢献することができる。さらに、電線の製造工程に設けるスペースの削減にも貢献することができる。
【実施例3】
【0150】
上述した実施例1〜2では、着色装置13からの着色材7の噴出を着色ノズル31の電線3に対する相対位置に基づいて制御する場合について説明したが、実施例4に係る電線着色装置1では、1本の電線3に対して着色ノズル31から着色材7を噴出させたままの状態で着色を行う場合について説明する。なお、上述した実施例2のところで説明したものと同一あるいは相当する部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0151】
電線着色装置1は、基本構成は実施例2と同一であり、図13に示すように、制御ユニット20と、着色ユニット30と、該着色ユニット30を駆動するドライバ24と、移動検出ユニット60と、マスク部材70と、を有している。
【0152】
マスク部材70は、図17に示すように、電線3に対する意匠パターン6よりも大きな平板状に金属、合成樹脂等によって形成されている。マスク部材70は、着色装置13のノズル31と電線3の外表面3aとの間に介在するように配置される。また、本実施形態では、着色材7を電線3の外表面3aの上方から付着させて、その全周に回り込ませることから、電線3との間には若干の隙間を形成させている。
【0153】
なお、実施例2のように複数の着色ノズル31から電線3に着色材7を付着させる場合は、マスク部材70をシール部材等で形成して、電線3の外表面3aに着色領域3bが露出されるように覆うような実施形態とすることもできる。
【0154】
マスク部材70は、図18に示すように、電線3の着色領域3bに対応した複数(図18中では3つ)の貫通部71を有している。つまり、マスク部材70に向かって噴出された着色ノズル31からの着色材7は、貫通部71のみを通過して電線3の外表面3aに付着され、それ以外の部分では、マスク部材70の表面に付着される。なお、本実施例では、貫通部71が電線3の幅よりも狭い場合について説明するが、電線3の幅よりも広く貫通部71を形成することもできる。
【0155】
このようにマスク部材70を設けることで、制御ユニット20は、セットされた電線3に対して、着色ノズル31を図18中のSTART位置に移動させ、着色ノズル13を移動方向Fに移動させるとともに、着色材7の噴出をする。そして、着色ノズル31がEND位置に到着した際に着色材7の噴出を停止すように制御すれば良くなる。つまり、図18中の実線の矢印Gで示すように、START位置からEND位置まで着色ノズル31から着色材7を噴出させた状態を維持すれば良くなるため、着色制御の簡単化を図るとともに、着色ノズル31の移動速度を速めることができる。よって、1本の電線3に対する着色時間の短縮を図ることができる。
【0156】
次に、上述した実施例4に係る電線着色装置1の動作(作用)の一例を、図18の図面を参照して以下に説明する。
【0157】
電線着色装置1は、着色する電線3の品番等を取り込むと、それに対応する意匠パターンを抽出する。この意匠パターン情報が単色のパターンを示している場合は、その着色材7の色に対応する着色装置13を、所定位置にセットされた電線3に対する着色開始位置(START)に移動させる。そして、マスク部材70が配置されていると、着色ノズル31を電線3の長手方向Aにおける移動方向Fに移動させるとともに、着色材7の噴出を開始する。その後、着色ノズル31が着色終了位置13到着したことを検出すると、着色材7の噴出を停止する。
【0158】
このように電線着色装置1は着色制御を行うことで、マスク部材70の3つの貫通部71を通過した着色材7のみが電線3の各着色領域3bに付着し、その着色材7がその外表面3aを回り込むことで、各着色領域3bの外表面3aの全てに亘って付着される。
【0159】
また、電線3の複数の着色領域3bに異なる色の着色材7を付着させる場合は、上記実施例2で説明した着色開始位置、着色終了位置をマスク部材70に対して任意に設定し、そこで、噴出中の着色ノズル31を停止させ、異なる色の着色ノズル31から着色材7を噴出させるように切り替える等の制御を行うことで対応することができる。
【0160】
以上説明した実施例3に係る電線着色装置1によれば、電線3と着色装置13との間にマスク部材70を介在させ、着色装置13が噴出した着色材7を、意匠パターン6となるように電線3の外表面3aに対する付着をマスク部材70によって規制するようにしたことから、電線3の外表面3aの全周に亘って帯状の意匠パターン6を確実に形成することができるため、電線3に対応した意匠パターン6を電線3のあらゆる方向から見ても容易に認識することができる。また、着色装置13における着色材7の噴出開始、噴出停止を制御する必要がないため、着色制御の簡単化を図るとともに、着色ノズル31の移動速度を速めることができる。さらに、複数の着色装置13を長手方向Aの一方向のみに移動させれば良いため、着色ユニット30のスライド部14の簡単化を図ることが可能となり、コストダウンを図ることができる。従って、外表面3aの一部に着色した電線3よりも、視認性及び意匠性を向上することができるという効果を奏する。また、電線3の識別が可能な意匠パターン6を電線3に容易に形成することができるため、複数の色毎に用意する電線3の在庫削減に貢献することができる。さらに、電線の製造工程に設けるスペースの削減にも貢献することができる。
【0161】
なお、上述した実施例1〜3では、着色装置13の着色ノズル31の吐出口が円形のものを用いることを前提にして説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、その形状を、電線3の幅方向に広くなるように楕円状等に形成し、該吐出口及び電線3の各幅方向が一致した状態で電線3の長手方向Aに移動して、複数の着色領域3bの全周に亘って着色材7を付着させるような実施形態とすることもできる。このような実施形態としても、電線3の外表面3bの全周に亘って帯状の意匠パターン6を形成することができるため、電線3に対応した意匠パターン6を電線3のあらゆる方向から見ても容易に認識することができる。従って、外表面3aの一部に着色した従来の電線よりも、視認性及び意匠性を向上することができるという効果を奏する。また、電線3の識別が可能な意匠パターン6を電線3に容易に形成することができるため、複数の色毎に用意する電線3の在庫削減に貢献することができる。さらに、在庫削減に応じて電線棚等を削減することができるため、電線の製造工程に設けるスペースの削減にも貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明に係る電線着色装置の第1の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る電線着色装置の第2の基本構成を示す構成図である。
【図3】本発明に係る電線着色装置を用いるワイヤハーネス製造システムの工程例を説明するための図である。
【図4】本発明の実施例1に係る電線着色装置の概略構成の一例を示す構成図である。
【図5】電線に形成する意匠パターンを説明するための図である。
【図6】図5中の意匠パターンに対応する着色装置の移動例を説明するための図である。
【図7】図4に示された着色装置の着色ユニットの着色ノズルの構成例を示す断面図である。
【図8】電線の外表面に対する着色材の付着例を説明するための図であり、(a)は着色材の付着前、(b)着色材の噴出開始時、(c)電線に対する着色材の付着開始時、(d)電線に対する着色材の付着完了時をそれぞれ示している。
【図9】図4中のCPUが実行する着色移動制御処理の一部を示すフローチャートである。
【図10】図4中のCPUが実行する着色移動制御処理の他の一部を示すフローチャートである。
【図11】多数の電線に対する着色を説明するための図である。
【図12】図4中の着色装置の他の構成例を示す構成図である。
【図13】本発明の実施例2に係る電線着色装置の概略構成の一例を示す構成図である。
【図14】実施例2における着色装置と電線との配置関係を説明するための図である。
【図15】実施例2の意匠パターンに対応する着色装置の移動例を説明するための図である。
【図16】図13中のCPUが実行する実施例2に係る着色移動制御処理を示すフローチャートである。
【図17】実施例3に係る着色装置吐電線とマスク部材との配置関係を説明するための図である。
【図18】実施例3の意匠パターンとマスク部材との関係を説明するための図である。
【符号の説明】
【0163】
1 電線着色装置
3 電線
3a 外表面
6 意匠パターン
10 電線搬送手段(搬送装置)
13 着色手段(着色装置)
14,15 移動手段(第1スライド部,第2スライド部,スライド部)
21a 着色制御手段(CPU)
21b 移動制御手段(CPU)
70 マスク部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の着色材を電線の外表面に付着させて、該外表面に帯状の意匠パターンを形成する電線着色装置であって、
前記電線の外表面に向かって前記着色材を噴出する着色手段と、
前記意匠パターンに対応した前記外表面の複数の着色領域の各々の全周に亘って前記着色材が付着されるように、前記着色手段の移動方向と前記電線の長手方向とが交差する状態で、前記着色手段と前記電線とを相対的に移動させる移動手段と、
を有することを特徴とする電線着色装置。
【請求項2】
前記電線が、互いに並列に並べられ、
全ての電線の同一の前記着色領域に対して前記着色手段の移動方向と該全ての電線の長手方向とが交差する状態で、前記移動手段に前記着色手段と該全ての電線とを相対的に移動させた後に、同じように他の前記着色領域に対して前記移動手段に前記着色手段と該全ての電線とを相対的に移動させる移動制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電線着色装置。
【請求項3】
前記複数の電線を間欠的に搬送する電線搬送手段を有するとともに、
前記移動制御手段が、前記電線搬送手段による複数の電線の搬送が停止しているときに、前記移動手段に前記同一の着色領域に対して前記着色手段と前記全ての電線とを相対的に移動させるとともに、該移動が終了した後に、前記複数の電線の搬送方向に所定距離ずらして、次の着色対象となる前記着色領域に対応して設定された移動開始位置に、前記着色手段を前記移動手段に移動させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の電線着色装置。
【請求項4】
噴出した前記着色材が前記電線の外表面の全周に付着する位置のみで、前記着色手段が前記着色材を噴出するように制御する着色制御手段を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電線着色装置。
【請求項5】
液状の着色材を電線の外表面に付着させて、該外表面に帯状の意匠パターンを形成する電線着色装置であって、
前記電線の外表面に向かって前記着色材を噴出するとともに、前記電線を中心とした周方向に沿って並べられた複数の着色手段と、
前記意匠パターンに対応した前記外表面の複数の着色領域の各々の全周に亘って前記着色材が付着されるように、前記複数の着色手段を前記電線の長手方向に移動させる移動手段と、
前記着色領域に前記着色材を付着する位置で前記着色手段が前記着色材を噴出するように制御する着色制御手段と、
を有することを特徴とする電線着色装置。
【請求項6】
液状の着色材を電線の外表面に付着させて、該外表面に帯状の意匠パターンを形成する電線着色装置であって、
前記電線の幅方向に幅が広い前記着色材の吐出口から前記電線の外表面に向かって前記着色材を噴出する着色手段と、
前記意匠パターンに対応した前記外表面の複数の着色領域の各々の全周に亘って前記着色材が付着されるように、前記着色手段を前記電線の長手方向に移動する移動手段と、
前記着色領域に前記着色材を付着する位置で前記着色手段が前記着色材を噴出するように制御する着色制御手段と、
を有することを特徴とする電線着色装置。
【請求項7】
液状の着色材を電線の外表面に付着させて、該外表面に帯状の意匠パターンを形成する電線着色装置であって、
前記電線の外表面に向かって前記着色材を噴出する着色手段と、
前記電線と前記着色手段との間に介在し、且つ、前記意匠パターンとなるように前記着色手段が噴出した着色材の前記電線の外表面に対する付着を規制するマスク部材と、
前記マスク部材に対して前記着色手段を前記電線の長手方向に向かうように移動する移動手段と、
を有することを特徴とする電線着色装置。
【請求項8】
前記着色手段は、保持部材で保持された状態の前記電線の外表面に前記着色材を噴出することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の電線着色装置。
【請求項9】
液状の着色材を電線の外表面に付着させて、該外表面に帯状の意匠パターンを形成する電線着色方法であって、
前記意匠パターンに対応した前記外表面の複数の着色領域の各々の全周に亘って前記着色材が付着されるように、前記電線の外表面に向かって前記着色材を噴出する着色手段の移動方向と前記電線の長手方向とが交差する状態で、前記着色手段と前記電線とを相対的に移動させることを特徴とする電線着色方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−181805(P2007−181805A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116544(P2006−116544)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】