説明

電線矯正装置

【課題】電線の送出停止状態における癖付きを抑制しつつ、癖矯正効果を維持すること。
【解決手段】電線矯正装置10は、矯正機構部121、122を備えている。矯正機構部121、122は、第1支持部22と、これに対向して設けられる第2支持部24と、外周部に底部53に向けて徐々に深くなる溝部52を有し、第1支持部22に対して送出経路Rに沿う方向に間隔をあけて回転可能に軸支された複数の第1矯正ローラー501と、外周部に底部53に向けて徐々に深くなる溝部52を有し、第2支持部24に対して送出経路Rに沿う方向においてそれぞれ第1矯正ローラー501の側方の位置で間隔をあけて回転可能に軸支された複数の第2矯正ローラー502とを有している。矯正ローラー501、502は、溝部52の底部53が送出経路Rに対して軸方向にずれる位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線の癖を矯正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な端子付電線は、連続供給される電線を所定の長さに調尺して切断すると共に切断された電線の端部における被覆を除去し、芯線の露出部分に端子を圧着することにより製造される。ここで、電線は、巻回リール等に巻回収容された状態で端子付電線の製造工程に供給され、該巻回リールから引き出して諸処理に供される。このように巻回リール等に巻回された電線には、巻癖等の癖がついていることがあり、端子圧着処理等の諸処理を施すにあたって、事前に電線の癖を矯正しておくことが要求される。
【0003】
特許文献1には、電線の癖を矯正する電線矯正装置が開示されている。この電線矯正装置は、下枠体に対して複数の矯正ローラーが間隔を存して回転自在に軸装されると共に、上枠体に対して、他の複数の矯正ローラーが、下枠体に軸装された複数の矯正ローラーの間に位置して癖取り対象となる電線を前記各矯正ローラーと共に挟持して押圧するように間隔を存して回転自在に軸装されている。上記矯正ローラーは、断面がV字状をなす形状に形成されている。この電線矯正装置において、下枠体に軸装された複数の矯正ローラーと上枠体に軸装された他の複数の矯正ローラーとの間に電線を通し、別の送出機構により電線を送り出すことにより、電線が複数の矯正ローラーと他の複数の矯正ローラーとの間で押圧される。そして、電線が複数の矯正ローラーと他の複数の矯正ローラーとの間を通り抜けることにより、電線の癖が矯正される。
【0004】
この電線矯正装置は、例えば、端子付電線の製造工程において、調尺装置の送出機構の上流側に設けられ、送出機構で送出されることにより巻回リールから引き出される電線の癖を矯正する。そして、調尺装置によって所定の寸法ずつ調尺して送出された電線は、切断装置により該所定の寸法に切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−58588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、調尺装置により所定の寸法ずつ調尺して送出した電線を切断装置により所定の寸法に切断するため、送出機構は、電線を所定の寸法送出するごとに停止される。また、端子付電線の製造工程では、ロット生産により所定本数の同種の端子付電線が製造されることがあるが、ロット生産分の所定本数の端子付電線が製造されると、調尺装置の送出機構は一時停止される。これらの停止状態では、電線が複数のローラー間に挟まれて押圧されたままとなる。このため、停止状態で(特に停止状態が長い場合)複数のローラー間に挟まれた電線に曲げ癖がついてしまう恐れがある。
【0007】
また、曲げ癖がつくのを防ぐために、電線を挟む各ローラー同士の間隔を大きくすることも可能であるが、この場合、癖取り効果が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、電線の送出停止状態における癖付きを抑制しつつ、癖矯正効果を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様は、送出経路に沿って送出される電線の癖を矯正する電線矯正装置であって、1つ又は複数の矯正機構部を備え、矯正機構部は、第1支持部と、前記第1支持部に対向して設けられる第2支持部と、外周部に底部に向けて徐々に深くなる溝部を有し、前記第1支持部に対して、前記送出経路に沿う方向に間隔をあけて回転可能に軸支された複数の第1矯正ローラーと、外周部に底部に向けて徐々に深くなる溝部を有し、前記第2支持部に対して、前記送出経路に沿う方向においてそれぞれ前記複数の第1矯正ローラーの側方の位置で、前記送出経路に沿う方向に間隔をあけて回転可能に軸支された複数の第2矯正ローラーと、を有し、前記複数の第1矯正ローラー及び前記複数の第2矯正ローラーは、前記溝部の前記底部が前記送出経路に対して軸方向にずれる位置に設けられている。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係る電線矯正装置であって、前記複数の第1矯正ローラーは、軸方向において前記溝部の前記底部が前記送出経路の一側方にずれる位置に設けられ、前記複数の第2矯正ローラーは、軸方向において前記溝部の前記底部が前記送出経路の他側方にずれる位置に設けられている。
【0011】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る電線矯正装置であって、前記第1矯正ローラー及び前記第2矯正ローラーは、軸方向において前記溝部の前記底部が中心からずれて位置する形状に形成されている。
【0012】
第4の態様は、第1〜第3のいずれか一態様に係る電線矯正装置であって、前記矯正機構部を複数備え、少なくとも1つの矯正機構部は、他の矯正機構部に対して、前記送出経路に沿う方向における前記複数の第1矯正ローラー及び前記複数の第2矯正ローラーの間隔が異なる間隔に設定されている。
【0013】
第5の態様は、第4の態様に係る電線矯正装置であって、前記送出経路に沿う方向における前記複数の第1矯正ローラー及び前記複数の第2矯正ローラーの間隔が、上流側の矯正機構部より下流側の矯正機構部で大きく設定されている。
【0014】
第6の態様は、第5の態様に係る電線矯正装置であって、前記第1支持部と前記第2支持部とは、相対接離移動可能に設けられ、前記矯正機構部は、前記第1支持部と前記第2支持部とを相対的に近接付勢する付勢部をさらに有し、前記上流側の矯正機構部の付勢部は、前記下流側の矯正機構部の付勢部より付勢力が小さく設定されている。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様に係る電線矯正装置によると、第1支持部に軸支された複数の第1矯正ローラー及び第2支持部に軸支された複数の第2矯正ローラーが、溝部の底部が送出経路に対して軸方向にずれる位置に設けられているため、電線は、送出停止状態では、自身の曲げ強さにより送出経路から各第1矯正ローラー又は各第2矯正ローラーの溝部の底部に寄った経路に変位する。また、電線は、送出状態では、送出経路を通って各第1矯正ローラー又は各第2矯正ローラーの溝部のうち底部より大径の外周面に接触し、各第1矯正ローラー及び各第2矯正ローラーから押圧力を受けた状態で、複数の第1矯正ローラーと複数の第2矯正ローラーとの間を通り抜ける。これにより、電線の送出停止状態における癖付きを抑制しつつ、癖矯正効果を維持することができる。
【0016】
第2の態様に係る電線矯正装置によると、複数の第1矯正ローラーが、軸方向において溝部の底部が送出経路の一側方にずれる位置に設けられ、複数の第2矯正ローラーが、軸方向において溝部の底部が送出経路の他側方にずれる位置に設けられているため、癖矯正効果を向上させることができる。
【0017】
第3の態様に係る電線矯正装置によると、第1矯正ローラー及び第2矯正ローラーは、軸方向において溝部の底部が中心からずれて位置する形状に形成されているため、複数の第1矯正ローラーを軸方向において溝部の底部が送出経路の一側方にずれる位置に設けると共に、複数の第2矯正ローラーを、第1矯正ローラーとは軸方向において反対の姿勢で、溝部の底部が送出経路の他側方にずれる位置に設けることにより、軸方向における矯正機構部の寸法を小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。
【0018】
第4の態様に係る電線矯正装置によると、複数の矯正機構部のうち少なくとも1つが、他の矯正機構部に対して、送出経路に沿う方向における複数の第1矯正ローラー及び複数の第2矯正ローラーの間隔が異なる間隔に設定されているため、複数種の線径の電線の癖矯正を行うことができる。
【0019】
第5の態様に係る電線矯正装置によると、送出経路に沿う方向における複数の第1矯正ローラー及び複数の第2矯正ローラーの間隔が、上流側の矯正機構部より下流側の矯正機構部で大きく設定されているため、癖矯正効果をより向上させることができる。
【0020】
第6の態様に係る電線矯正装置によると、矯正機構部が、相対接離移動可能に設けられた第1支持部と第2支持部とを相対的に近接付勢する付勢部を有し、上流側の矯正機構部の付勢部が、下流側の矯正機構部の付勢部より付勢力が小さく設定されているため、送出経路に沿う方向における複数の第1矯正ローラー及び複数の第2矯正ローラーの間隔が小さく電線の引き出し抵抗が大きくなり易い上流側の矯正機構部において、曲げ強さが高い大径の電線についてもよりスムーズに引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】電線矯正装置の設置例を示す図である。
【図2】電線矯正装置の側面図である。
【図3】電線矯正装置の平面図である。
【図4】電線矯正装置の正面図である。
【図5】電線矯正装置の背面図である。
【図6】矯正ローラーを示す部分的に断面視した正面図である。
【図7】電線の経路を示した矯正ローラーの正面図である。
【図8】電線の経路を示した複数の矯正ローラーの平面図である。
【図9】小径の電線を矯正対象とした場合の電線矯正装置の様子を示す図である。
【図10】大径の電線を矯正対象とした場合の電線矯正装置の様子を示す図である。
【図11】中径の電線を矯正対象とした場合の電線矯正装置の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、電線矯正装置の構成について説明する。電線矯正装置は、電線についた巻き癖、曲げ癖等の癖を矯正するための装置である。
【0023】
例えば、電線矯正装置は、端子付電線の製造工程において用いられる。すなわち、端子付電線は、巻回リールに巻回収容された電線を引き出して、所定の寸法に調尺して送出すると共に該所定の寸法で切断し、切断された電線の端部における被覆を除去して露出された芯線に端子を圧着して製造される。この端子付電線の製造は、調尺装置、切断装置及び端子圧着装置等を有する切圧機等により行われるが、電線に癖がついていると、該切圧機の各装置における電線の取り扱い位置(経路)からはみ出して、圧着不良等の処理不良が生じる恐れがある。また、製造された複数の端子付電線を把状にまとめる場合、把揃え性が低下する恐れもある。このため、予め電線の癖を矯正しておくことが要求される。
【0024】
ここでは、電線矯正装置10は、切圧機の調尺装置における送出機構部80の上流側、すなわち、送出機構部80と巻回リール90との間に設けられている(図1参照)。
【0025】
<送出機構部>
送出機構部80は、対の送出ローラー82を有し、間に電線2を挟んだ状態で対の送出ローラー82を回転させることにより、該電線2を送出経路Rに沿って下流側に送出する装置である。ここで、送出経路Rとは、送出される電線2が通る直線状の経路である。対の送出ローラー82は、図示省略の駆動部により回転駆動される。また、送出機構部80は、電線2を、製造する端子付電線の種類に応じた所定の寸法ずつ調尺して送出するように構成されている。すなわち、送出機構部80は、電線2を、所定の寸法送出して一時停止し、また所定の寸法送出する動作を繰り返す。また、送出機構部80は、1種類の端子付電線のロット生産が終了した際等にも停止される。
【0026】
<電線矯正装置の全体構造>
電線矯正装置10は、送出経路Rに沿って送出される電線2の癖を矯正する装置であって、1つ又は複数の矯正機構部を備えている。ここでは、電線矯正装置10は、2つの矯正機構部を有し、そのうち、送出経路Rの上流側に配設される矯正機構部を上流側矯正機構部121、下流側に配設される矯正機構部を下流側矯正機構部122と称する。各矯正機構部121、122は、それぞれ、第1支持部22と、第2支持部24と、付勢部と、複数の第1矯正ローラー501と、複数の第2矯正ローラー502と、を有している(図2〜図5参照)。
【0027】
概略的には、電線矯正装置10は、送出経路Rに案内される電線2を、第1支持部22に支持された複数の第1矯正ローラー501と第2支持部24に支持された第2矯正ローラー502との間を通じて引き抜くことにより、電線2の癖を矯正する。
【0028】
第1支持部22及び第2支持部24は、それぞれ、複数の第1矯正ローラー501又は複数の第2矯正ローラー502を支持する部分である。この第1支持部22及び第2支持部24は、例えば、扁平な略直方体状に形成されている。また、第1支持部22と第2支持部24とは、互いに対向して(並んで)相対接離移動可能に設けられている。ここでは、第1支持部22と第2支持部24とは、スライドシャフト機構により相対接離移動可能となっている。より具体的には、第1支持部22が土台としての基台部20に固定されると共に、第2支持部24が該第1支持部22に対してスライド移動可能に設けられている。
【0029】
第1支持部22には、一方向に向けて突出する一対のスライドシャフト23が設けられている。また、第2支持部24には、第1支持部22の一対のスライドシャフト23をそれぞれ挿通可能な一対の軸受部25が設けられている。すなわち、第1支持部22のスライドシャフト23が第2支持部24の軸受部25に対して挿通された状態で、第2支持部24が第1支持部22に対してスライド移動する。
【0030】
以下、第1支持部22と第2支持部24との接離方向を、単に接離方向と言うことがある。
【0031】
また、第1支持部22と第2支持部24との近接位置は、ストッパー28により決定される。ストッパー28は、第1支持部22側に向けて突出する形状で、第2支持部24に一対設けられている。ここでは、ストッパー28は、第2支持部24に螺合されたボルトであり、突出量を可変に設けられている。すなわち、ストッパー28が第1支持部22に当接する位置で、第1支持部22に対する第2支持部24の近接移動が規制される。
【0032】
複数(ここでは4つ)の第1矯正ローラー501は、第1支持部22に対して、送出経路Rに沿う方向に間隔をあけて回転可能に軸支されている。また、複数(ここでは3つ)の第2矯正ローラー502は、第2支持部24に対して、送出経路Rに沿う方向においてそれぞれ複数の第1矯正ローラー501の側方(ここでは間)の位置で、送出経路Rに沿う方向に間隔をあけて回転可能に軸支されている。より具体的には、各複数の矯正ローラー501、502は、それぞれ、第1支持部22と第2支持部24との接離方向及び送出経路Rに沿う方向に対して直交する方向に沿った軸周り(すなわちそれぞれ平行な軸周り)に回転可能に支持される。そして、複数の第1矯正ローラー501と複数の第2矯正ローラー502とは、送出経路Rを挟んで互い違いに設けられている。
【0033】
なお、各矯正ローラー501、502の形状及び配設態様については、電線矯正装置10の全体構成を説明した後で詳述する。
【0034】
上記第1支持部22と第2支持部24とは、エアシリンダ30により相対接離駆動可能に設けられている。エアシリンダ30は、本体部に対して進退部を進出状態と退避状態との間で進退移動させることが可能な部材である。このエアシリンダ30は、本体部が基台部20に固定されると共に進退部の先端部が第2支持部24に固定され、該第2支持部24を第1支持部22に対して接離駆動する。
【0035】
ここで、エアシリンダ30の進退部が退避状態にあるときの第1支持部22と第2支持部24との相対位置を離間位置といい、ストッパー28が第1支持部22に対して当接した状態の第1支持部22と第2支持部24との相対位置を近接位置という。より具体的には、第1支持部22と第2支持部24との離間位置とは、複数の第1矯正ローラー501と複数の第2矯正ローラー502とが送出経路Rに案内される電線2に非接触、すなわち、電線2の直径より大きい間隔をあける位置である。また、近接位置とは、送出経路Rに案内される電線2の外周面に対して、少なくとも各矯正ローラー501、502がそれぞれ接離方向両側から接触する位置である。
【0036】
また、エアシリンダ30は、第1支持部22と第2支持部24とを、相対的に近接付勢可能な付勢部としても作用する。より具体的には、エアシリンダ30は、ストッパー28が第1支持部22に当接する位置からさらに第1支持部22に対して近接する向きに、第2支持部24に対して付勢力を作用させるように設けられている。すなわち、エアシリンダ30は、ストッパー28が第1支持部に当接する位置より近接方向前方に進退部の進出位置が設定されている。
【0037】
これまで付勢部がエアシリンダ30である例で説明してきたが、付勢部は、第1支持部22と第2支持部24とを、相対的に近接付勢可能であればよく、コイルばね等を採用してもよい。
【0038】
また、電線矯正装置10は、電線矯正装置10において電線2を送出経路Rに案内する経路案内部40を有していてもよい(図1参照)。経路案内部40は、電線2を挿通可能な挿通孔部を有し、該挿通孔部の内周面が電線2の外周面に接触することにより電線2を案内する。この経路案内部40は、挿通孔部が送出経路Rを囲う位置に設けられている。ここでは、経路案内部40は、基台部20に固定されている第1支持部22に対して固定されている。より具体的には、経路案内部40は、上流側矯正機構部121における第1支持部22の上流側端部及び下流側端部と、下流側矯正機構部122における第1支持部22の下流側端部との3箇所に設けられている。上流側矯正機構部121における第1支持部22の上流側端部に設けられた経路案内部40は、その上流側にパイプ状の部分が連設されている。
【0039】
もっとも、経路案内部40は、電線矯正装置10において省略されてもよい。すなわち、経路案内部は、電線矯正装置が設置される設備上に設けられていてもよい。
【0040】
そして、電線2が、各経路案内部40に挿通され、複数の第1矯正ローラー501と複数の第2矯正ローラー502との間で送出経路R上を通った状態で、第1支持部22及び第2支持部24が近接位置に移動される。これにより、各矯正ローラー501、502が電線2の外周部に接触した状態となる。この状態で、送出機構部80により電線2が送出されると、電線2は、複数の第1矯正ローラー501と複数の第2矯正ローラー502との間を、各矯正ローラー501、502から接離方向に押圧力を受けて蛇行しつつ通り抜ける。上記動作により、電線2の癖が矯正される。
【0041】
<矯正ローラーについて>
上記第1矯正ローラー501及び第2矯正ローラー502は、外周部に底部53に向けて徐々に深くなる溝部52を有している(図6、図7参照)。より具体的には、各矯正ローラー501、502の溝部52は、周方向に直交する断面視において略V字状に形成されている。
【0042】
この複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502は、溝部52の底部53が送出経路Rに対して軸方向にずれる位置に設けられている(図8参照)。より具体的には、複数の第1矯正ローラー501は、軸方向において溝部52の底部53が送出経路Rの一側方にずれる位置に設けられ、複数の第2矯正ローラー502は、軸方向において溝部52の底部53が送出経路Rの他側方にずれる位置に設けられている。
【0043】
ここでは、第1矯正ローラー501及び第2矯正ローラー502は、軸方向において溝部52の底部53が中心からずれて位置する形状に形成されている(図6、図7参照)。より具体的には、矯正ローラー501、502は、周方向に直交する断面視において、溝部52のうち軸方向における中心に、底部53に向けて徐々に内周側に傾斜する矯正斜面54を有している。すなわち、矯正ローラー501、502は、軸方向において、溝部52の底部53を挟んだ一方側の緩やかな矯正斜面54と、矯正斜面54より急な他方側の斜面とを有している。
【0044】
矯正斜面54の角度は、送出機構部80による送出動作が停止された状態(送出停止状態)と送出動作が行われている状態(送出状態)とで切り替えされる際に、電線2が矯正ローラー501、502の軸方向において中心と溝部52の底部53との間で、矯正斜面54を上り下り可能な程度に緩やかに設定されているとよい。この矯正斜面54の角度は、送出機構部80による電線2の送出速度、送出対象となる電線2の直径等を考慮して決定されるとよい。
【0045】
この複数の第1矯正ローラー501と複数の第2矯正ローラー502とは、軸方向において反対向きの姿勢で支持されている。すなわち、各複数の矯正ローラー501、502の溝部52の底部53は、送出経路Rに沿う方向において、順に、軸方向における送出経路Rの一方側と他方側とで互い違いに配設される。ここでは、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502は、軸方向において端部が揃えられた形態で、送出経路Rに沿う方向に並べられている(図8参照)。
【0046】
そして、電線2は、送出停止状態で、各複数の矯正ローラー501、502の溝部52のうち、軸方向において中心より底部53側に寄った経路を通る形態に落ち着く。より具体的には、電線2は、自身の柔軟性により、各矯正ローラー501、502の溝部52のうち、軸方向における中心の位置から矯正斜面54を下って底部53側に寄って湾曲しようとする。このため、電線2は、各矯正ローラー501、502の矯正斜面54のうち底部53寄りの部位に交互に接触し、軸方向において送出経路Rの両側方に交互に振れて蛇行する。
【0047】
また、電線2は、送出状態で、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の溝部52のうち、軸方向において略中心を通り抜ける。より具体的には、電線2は、送出動作による引張力により、送出経路Rに電線2を案内する各経路案内部40間において直線状に移動しようとする。このため、電線2は、複数の第1矯正ローラー501と複数の第2矯正ローラー502との間で、軸方向において溝部52の底部53寄りの位置から矯正斜面54を上って略中心の位置を通り抜ける。
【0048】
<複数の矯正機構部について>
複数の矯正機構部のうち、少なくとも1つの矯正機構部は、他の矯正機構部に対して、送出経路Rに沿う方向における複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の間隔が異なる間隔に設定されている。より具体的には、送出経路Rに沿う方向における複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の間隔が、上流側の矯正機構部より下流側の矯正機構部で大きく設定されている。ここでは、上述したように、電線矯正装置10は、上流側矯正機構部121及び下流側矯正機構部122の2つの矯正機構部を有している。そして、上流側矯正機構部121より下流側矯正機構部122で、送出経路Rに沿う方向における複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の間隔が大きく設定されている(図2、図3参照)。
【0049】
また、ここでは、上流側矯正機構部121より下流側矯正機構部122で、ストッパー28が第1支持部22に当接する際の第1支持部22と第2支持部24との間隔が大きく設定されている。
【0050】
つまり、上流側矯正機構部121より下流側矯正機構部122で、隣合う第1矯正ローラー501と第2矯正ローラー502との間隔が大きくなっている。このため、電線2が各矯正ローラー501、502から受ける押圧力は、上流側矯正機構部121より下流側矯正機構部122の方で小さくなる。より具体的には、隣合う第1矯正ローラー501と第2矯正ローラー502との間隔が大きくなることにより、複数の第1矯正ローラー501と複数の第2矯正ローラー502との間を通る電線2の経路の曲げ角度が緩くなり、該電線2に加わる接離方向の負荷が小さくなる。
【0051】
ここで、電線矯正装置10は、小径(例えば0.35mm、0.50mm)、中径(例えば0.75mm)、大径(例えば1.00mm、1.25mm)の各種電線2を矯正対象とするものとする。そして、上流側矯正機構部121の複数の矯正ローラー501、502の送出経路Rに沿う方向における間隔、及び、ストッパー28が第1支持部22に当接する際の第1支持部22と第2支持部24との間隔は、それぞれ、小径の電線2の癖を矯正するのに適した間隔に設定されている。一方、下流側矯正機構部122の複数の矯正ローラー501、502の送出経路Rに沿う方向における間隔、及び、ストッパー28が第1支持部22に当接する際の第1支持部22と第2支持部24との間隔は、それぞれ、大径の電線2の癖を矯正するのに適した間隔に設定されている。
【0052】
また、上流側矯正機構部121のエアシリンダ30は、下流側矯正機構部122のエアシリンダ30より付勢力が小さく設定されている(図9、図10参照)。
【0053】
下流側矯正機構部122のエアシリンダ30の付勢力は、大径の電線2の癖を矯正するのに適した大きさに設定されている。すなわち、該エアシリンダ30の付勢力は、大径の電線2が複数の第1矯正ローラー501と複数の第2矯正ローラー502との間を通り抜ける際に、該電線2の曲げ強さにより、ストッパー28が第1支持部22に当接した状態から第1支持部22と第2支持部24とが離間しない程度に大きく設定されている。換言すると、下流側矯正機構部122において、大径の電線2は、ストッパー28が第1支持部22に当接した状態で、複数の矯正ローラー501、502間を蛇行して通り抜け可能である。
【0054】
上流側矯正機構部121のエアシリンダ30の付勢力は、小径の電線2が複数の矯正ローラー501、502の間を通り抜ける際に、該複数の矯正ローラー501、502が送出経路R上の小径の電線2に干渉する(小径の電線2を押圧して湾曲した経路に通す)程度に大きく設定されている。好ましくは、この付勢力は、小径の電線2の曲げ強さにより、ストッパー28が第1支持部22に当接した状態から第1支持部22と第2支持部24とが離間しない程度に大きく設定されている。また、前記エアシリンダ30の付勢力は、複数の矯正ローラー501、502の間を通って配設された大径の電線2が、接離方向になるべく曲げられないように小さく設定されている。すなわち、前記付勢力は、大径の電線2の曲げ強さにより、少なくとも、ストッパー28が第1支持部22に当接した状態から第1支持部22と第2支持部24とが離間する程度に大きく設定されている。
【0055】
つまり、上流側矯正機構部121は、小径の電線2の矯正に適した構成に設計され、下流側矯正機構部122は、大径の電線2の矯正に適した構成に設計されている。
【0056】
<電線矯正動作>
次に、上記電線矯正装置10における電線2の矯正動作の挙動について説明する。図9〜図11は、小径、大径及び中径の電線2を通した各電線矯正装置10における送出停止状態を示す概念図である。この図9〜図11では、説明のため、上流側矯正機構部121及び下流側矯正機構部122を同姿勢で示している。
【0057】
初期状態では、電線2が、上流側矯正機構部121及び下流側矯正機構部122の複数の第1矯正ローラー501と複数の第2矯正ローラー502との間に通されている。また、第1支持部22と第2支持部24とは、エアシリンダ30により近接移動されている。そして、電線2は、送出停止状態にあるものとする。
【0058】
まず、小径の電線2の矯正動作の挙動について説明する(図9参照)。小径の電線2が複数の矯正ローラー501、502の間に通された状態で、上流側矯正機構部121では、ストッパー28が第1支持部22に当接している。そして、小径の電線2は、送出停止状態で、複数の矯正ローラー501、502の軸方向における中心から溝部52の底部53側に寄った位置を通る。より具体的には、小径の電線2は、前記軸方向において、下流側矯正機構部122より上流側矯正機構部121の方で、中心から溝部52の底部53により近く寄った位置を通って、接離方向から見てより大きく蛇行した経路に配置される。
【0059】
また、小径の電線2は、送出機構部80により送出され始めると、複数の矯正ローラー501、502の軸方向において、溝部52の底部53側から中心側に向けて矯正斜面54を上って移動する。
【0060】
さらに、小径の電線2は、送出状態では、軸方向における中心付近の位置を通る。より好ましくは、軸方向の中心の位置を通って、接離方向から見て送出経路Rに沿った直線状の経路で送出されるとよい。また、小径の電線2は、前記軸方向から見て送出停止状態より接離方向に大きく蛇行した経路を通り、複数の矯正ローラー501、502からより大きい押圧力を受けつつその間を通り抜ける。
【0061】
次に、大径の電線2の矯正動作の挙動について説明する(図10参照)。大径の電線2が複数の矯正ローラー501、502の間に通された状態で、上流側矯正機構部121では、大径の電線2の曲げ強さにより各矯正ローラー501、502が離間する向きに第2支持部24が押戻されて、ストッパー28が第1支持部22から離間している。そして、大径の電線2は、送出停止状態で、接離方向から見て、上流側矯正機構部121では略直線状の経路を通り、下流側矯正機構部122では蛇行した経路を通る。より具体的には、下流側矯正機構部122では、大径の電線2は、各矯正ローラー501、502の軸方向における中心から溝部52の底部53側に寄った位置を通る。なお、上流側矯正機構部121の複数の矯正ローラー501、502の間を通る大径の電線2も僅かに蛇行し得ることは言うまでもない。
【0062】
また、大径の電線2は、送出機構部80により送出され始めると、複数の矯正ローラー501、502の軸方向において、溝部52の底部53側から中心側に向けて矯正斜面54を上って移動する。なお、上流側矯正機構部121において、大径の電線2が送出停止状態で直線状の経路に配設されていた場合にも、少なくとも送出停止状態より軸方向の中心に寄ろうとする力が強くなる。
【0063】
さらに、大径の電線2は、送出状態では、軸方向における略中心の位置を通る。より好ましくは、前記軸方向の中心の位置を通って、接離方向から見て送出経路Rに沿った直線状の経路で送出されるとよい。そして、送出状態では、大径の電線2は、上流側矯正機構部121において、自身の曲げ強さにより第2支持部24を押戻して、軸方向から見て直線状の経路を通る。また、大径の電線2は、下流側矯正機構部122において、軸方向から見て送出停止状態より大きく蛇行した経路を通り、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502からより大きい押圧力を受けて各矯正ローラー501、502間を通り抜ける。
【0064】
次に、中径の電線2の矯正動作の挙動について説明する(図11参照)。中径の電線2が複数の矯正ローラー501、502の間に通された状態で、上流側矯正機構部121では、中径の電線2の曲げ強さにより各矯正ローラー501、502が離間する向きに押戻されて、ストッパー28が第1支持部22から離間している。このストッパー28の第1支持部22に対する離間距離は、大径の電線2の場合より小さい。もっとも、中径の電線2の場合、直径の大きさ(曲げ強さ)によっては、ストッパー28が第1支持部22に当接し得るが、各矯正ローラー501、502に対して、小径の電線2より大きい押戻力を作用させている。そして、中径の電線2は、送出停止状態で、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の軸方向における中心から溝部52の底部53側に寄った位置を通って蛇行した経路に配設される。より具体的には、中径の電線2は、軸方向において、上流側矯正機構部121では、小径の電線2より中心寄り且つ大径の電線2より溝部52の底部53寄りの位置を通り、下流側矯正機構部122では、小径の電線2より底部53寄り且つ大径の電線2より中心寄りの位置を通る。
【0065】
また、中径の電線2は、送出機構部80により送出され始めると、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の軸方向において、溝部52の底部53側から中心側に向けて矯正斜面54を上って移動する。
【0066】
さらに、中径の電線2は、送出状態では、軸方向における中心付近の位置を通る。より好ましくは、軸方向の中心の位置を通って、接離方向から見て送出経路Rに沿った直線状の経路で送出されるとよい。そして、送出状態では、中径の電線2は、前記軸方向から見て送出停止状態より大きく蛇行した経路を通り、複数の矯正ローラー501、502からより大きい押圧力を受けつつその間を通り抜ける。
【0067】
上記構成に係る電線矯正装置10によると、第1支持部22に軸支された複数の第1矯正ローラー501及び第2支持部24に軸支された複数の第2矯正ローラー502が、溝部52の底部53が送出経路Rに対して軸方向にずれる位置に設けられているため、電線2は、送出停止状態では、自身の曲げ強さにより送出経路Rから各矯正ローラー501、502の溝部52の底部53に寄った経路に変位する。また、電線2は、送出状態では、送出経路を通って各矯正ローラー501、502の溝部52のうち底部53より大径の矯正斜面54に接触し、各矯正ローラー501、502から押圧力を受けた状態で、複数の第1矯正ローラー501と複数の第2矯正ローラー502との間を通り抜ける。これにより、送出停止状態における電線2は、送出状態と比較して、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502から受ける押圧力が小さくなり、該押圧力を受けることによる癖付を抑制できる。一方、送出状態における電線2は、送出停止状態と比較して、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502から受ける押圧力が大きくなり、より確実に癖矯正効果を得ることができる。そして、電線2の送出停止状態における癖付きを抑制しつつ、癖矯正効果を維持することができる。
【0068】
なお、本電線矯正装置10においても、送出停止状態で、電線2が各矯正ローラー501、502の軸方向において湾曲して蛇行するが、これは電線2が自身の柔軟性により逃げて変形しているのであり、エアシリンダ30により(間接的に)付勢された矯正ローラー501、502に押圧された状態で曲げられて蛇行する場合より癖が残りにくいと考えられる。
【0069】
また、複数の第1矯正ローラー501が、軸方向において溝部52の底部53が送出経路Rの一側方にずれる位置に設けられ、複数の第2矯正ローラー502が、軸方向において溝部52の底部53が送出経路Rの他側方にずれる位置に設けられているため、癖矯正効果を向上させることができる。
【0070】
また、第1矯正ローラー501及び第2矯正ローラー502は、軸方向において溝部52の底部53が中心からずれて位置する形状に形成されているため、複数の第1矯正ローラー501を軸方向において溝部52の底部53が送出経路Rの一側方にずれる位置に設けると共に、複数の第2矯正ローラー502を、第1矯正ローラー501とは軸方向において反対の姿勢で、溝部52の底部53が送出経路Rの他側方にずれる位置に設けることにより、軸方向における矯正機構部121、122の寸法を小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。
【0071】
また、上流側矯正機構部121と下流側矯正機構部122とで、送出経路Rに沿う方向における複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の間隔が異なる間隔に設定されているため、複数種の線径の電線2の癖矯正を行うことができる。
【0072】
また、送出経路Rに沿う方向における複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の間隔が、上流側矯正機構部121より下流側矯正機構部122で大きく設定されているため、癖矯正効果をより向上させることができる。特に、中径の電線2については、段階的に癖を矯正することができ、高い癖矯正効果を得ることができる。
【0073】
また、各矯正機構部121、122が、相対接離移動可能に設けられた第1支持部22と第2支持部24とを相対的に近接付勢するエアシリンダ30を有し、上流側矯正機構部121のエアシリンダ30が、下流側矯正機構部122のエアシリンダ30より付勢力が小さく設定されているため、送出経路Rに沿う方向における複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の間隔が小さく、電線2の引き出し抵抗が大きくなり易い上流側矯正機構部121において、曲げ強さが高い大径の電線2についてもよりスムーズに引き出すことができる。
【0074】
これまで、電線矯正装置10について、2つの矯正機構部121、122を有する構成である例で説明してきたが、1つ又は3つ以上の複数の矯正機構部を有する構成であってもよい。
【0075】
また、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502は、軸方向における中心に溝部の底部が位置する形状に形成されていてもよい。この場合も、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502は、溝部の底部が送出経路Rに対してずれる位置に設けられるとよい。なお、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502は、双方が溝部の底部を送出経路Rに対して軸方向一方側にずらす位置に設けられても、互いに溝部の底部を送出経路Rに対して軸方向の異なる方向にずらす位置に設けられてもよい。そして、この場合、送出状態では、電線2が接離方向から見て送出経路Rに略沿った経路で各矯正ローラー501、502間を通り抜け、送出停止状態では、各矯正ローラー501、502の溝部52の底部53寄りの位置を通る経路に配設される。
【0076】
また、第1支持部22と第2支持部24とは、相対接離移動可能に設けられた別部材である場合に限られず、並んで一体に形成され、送出経路Rに沿ったライン上に間隔をあけて複数の第1矯正ローラー501が軸支されると共に、送出経路Rに沿った異なるライン上に間隔をあけて複数の第2矯正ローラー502が軸支されていてもよい。
【0077】
また、上流側矯正機構部121より下流側矯正機構部122の方が、送出経路Rに沿う方向における複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の間隔が小さく設定されている構成に限られない。すなわち、複数の矯正機構部のうち少なくとも1つにおいて、複数の第1矯正ローラー501及び複数の第2矯正ローラー502の間隔が他の矯正機構部と異なる間隔に設定されていれば、複数種類の電線2の癖の矯正をより効果的に行うことができる。
【符号の説明】
【0078】
2 電線
10 電線矯正装置
22 第1支持部
24 第2支持部
30 エアシリンダ
52 溝部
53 底部
121 上流側矯正機構部
122 下流側矯正機構部
501 第1矯正ローラー
502 第2矯正ローラー
R 送出経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送出経路に沿って送出される電線の癖を矯正する電線矯正装置であって、
1つ又は複数の矯正機構部を備え、
矯正機構部は、
第1支持部と、
前記第1支持部と並んで設けられる第2支持部と、
外周部に底部に向けて徐々に深くなる溝部を有し、前記第1支持部に対して、前記送出経路に沿う方向に間隔をあけて回転可能に軸支された複数の第1矯正ローラーと、
外周部に底部に向けて徐々に深くなる溝部を有し、前記第2支持部に対して、前記送出経路に沿う方向においてそれぞれ前記複数の第1矯正ローラーの側方の位置で、前記送出経路に沿う方向に間隔をあけて前記複数の第1矯正ローラーと平行な軸周りに回転可能に軸支された複数の第2矯正ローラーと、
を有し、
前記複数の第1矯正ローラー及び前記複数の第2矯正ローラーは、前記溝部の前記底部が前記送出経路に対して軸方向にずれる位置に設けられている、電線矯正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電線矯正装置であって、
前記複数の第1矯正ローラーは、軸方向において前記溝部の前記底部が前記送出経路の一側方にずれる位置に設けられ、
前記複数の第2矯正ローラーは、軸方向において前記溝部の前記底部が前記送出経路の他側方にずれる位置に設けられている、電線矯正装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電線矯正装置であって、
前記第1矯正ローラー及び前記第2矯正ローラーは、軸方向において前記溝部の前記底部が中心からずれて位置する形状に形成されている、電線矯正装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電線矯正装置であって、
前記矯正機構部を複数備え、
少なくとも1つの矯正機構部は、他の矯正機構部に対して、前記送出経路に沿う方向における前記複数の第1矯正ローラー及び前記複数の第2矯正ローラーの間隔が異なる間隔に設定されている、電線矯正装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電線矯正装置であって、
前記送出経路に沿う方向における前記複数の第1矯正ローラー及び前記複数の第2矯正ローラーの間隔が、上流側の矯正機構部より下流側の矯正機構部で大きく設定されている、電線矯正装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電線矯正装置であって、
前記第1支持部と前記第2支持部とは、相対接離移動可能に設けられ、
前記矯正機構部は、前記第1支持部と前記第2支持部とを相対的に近接付勢する付勢部をさらに有し、
前記上流側の矯正機構部の付勢部は、前記下流側の矯正機構部の付勢部より付勢力が小さく設定されている、電線矯正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−90497(P2013−90497A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230564(P2011−230564)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】