説明

電線被覆剥取器用操作道具および電線被覆剥取器用操作道具先端具

【課題】電線被覆剥取器を共用操作棒のみで落下させることなく電線に着脱させることのできる電線被覆剥取器用操作道具を提供すること。
【解決手段】電線に引っ掛けた状態にする引掛部と、該引掛部との間で電線を挟持する接離部と、該接離部を該引掛部に対して接離させるネジ構造部と、接離部と同一方向に移動して電線の被覆に切り込む切断刃と、を具備して、引掛部と接離部の間に電線を内装する状態にして周囲を周回させることにより、切断刃が当該電線の被覆を切断して当該電線の導通線から剥ぎ取る電線被覆剥取器を保持する操作道具であって、ネジ構造部の端部を相対回転不能かつ着脱自在に保持して電線被覆剥取器自体を支持する保持ブロック11と、該保持ブロックが先端側に一体になるように連結されて電線被覆剥取器を遠隔位置に移動させる操作を実現する絶縁共用操作棒と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線被覆剥取器用操作道具および電線被覆剥取器用操作道具先端具に関し、詳しくは、電線に容易に引っ掛けることを実現するものに関する。
【背景技術】
【0002】
電線を分岐などさせるときに、絶縁性を確保しつつ遠隔位置から作業する間接活線工法を採用する場合には、その電線に電線被覆剥取器を引っ掛けた状態にして切断刃を被覆に切り込ませつつ周回させることにより、電線の導通線周りから被覆を剥ぎ取って露出させる作業が行われている。
【0003】
この電線被覆剥取器は、ヤットコ(絶縁把持道具)で把持して遠隔位置の電線に引っ掛ける状態を維持しつつ、絶縁操作棒の先端に取り付けたフックを引っ掛けて回転操作することにより電線に取り付ける作業を行う必要があり、さらに、その絶縁操作棒先端のフックを引っ掛け用リングに引っ掛けつつ牽引することによりその電線周りに周回させるようになっている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
このうちの特許文献1に記載の電線被覆剥取器では、フックを引っ掛ける位置を増やして周回作業をやり易く工夫することが提案されており、特許文献2に記載の電線被覆剥取器では、電線に容易に引っ掛けることを可能にするのと同時に不用意に外れてしまうことがないように引っ掛け箇所にカバーを取り付けることが提案されている。
【0005】
なお、電線端部を差し込む形態での電線被覆剥取器としても、各種提案がなされている(例えば、特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010− 22182号公報
【特許文献2】特開2009−284722号公報
【特許文献3】特開2008−125293号公報
【特許文献4】特開2009−201241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特に、特許文献1、2に記載のような電線被覆剥取器にあっては、架線途中の電線に引っ掛けて作業することもでき、このときには、絶縁把持道具のヤットコと共に絶縁操作棒を同時に操作することから、相当の腕力と共に熟練が必要であり、また、ヤットコは挟み込む形態で把持する道具であることから、ずれるなどすると、外れてしまって落下させてしまう恐れがあるので、より一層の緊張を伴う作業が強いられていた。
【0008】
さらに、電線が捩れることを防止する必要がある際には、ヤットコで電線を把持して押さえつつ、絶縁操作棒先端のフックで電線被覆剥取器をその電線周りに周回させる作業を行う場合もあり、その作業負担も過大であった。
【0009】
そこで、本発明は、電線被覆剥取器を共用操作棒のみで落下させることなく電線に着脱させることのできる電線被覆剥取器用操作道具や電線被覆剥取器用操作道具先端具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する電線被覆剥取器用操作道具の発明は、電線に引っ掛けた状態にする引掛部と、該引掛部に対して接離することにより前記電線を当該引掛部の間で挟持あるいは解放する接離部と、該接離部の前記引掛部に対する接離方向を軸方向にして相対回転することにより該引掛部に対して当該接離部を接離させるネジ構造部と、前記接離部と同一方向に移動して前記電線の被覆に切り込む切断刃と、を具備して、前記引掛部と前記接離部の間に前記電線を内装する状態にして周囲を周回させることにより、前記切断刃が当該電線の被覆を切断して当該電線の導通線から剥ぎ取る電線被覆剥取器を保持する操作道具であって、前記ネジ構造部の前記接離部から離隔する側の端部を相対回転不能かつ着脱自在に保持して前記電線被覆剥取器自体を支持する保持部と、該保持部が先端側に一体になるように連設されて前記電線被覆剥取器を遠隔位置に移動させる操作を実現する棒状部と、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
この発明の態様では、電線被覆剥取器のネジ構造部端部を棒状部先端の保持部に保持させた後には、その電線被覆剥取器は、遠隔位置の電線に引掛部を引っ掛けつつその棒状部と共にネジ構造部を回転させて接離部との間で電線を挟持して内装する状態にすることができ、この後には、棒状部先端の保持部からネジ構造部端部を外して電線の周囲を周回させることができ、その電線の被覆を切断刃が切断して導通線から剥ぎ取ることができる。さらに、この電線の被覆を剥ぎ取る作業の後には、電線被覆剥取器のネジ構造部端部を棒状部先端の保持部に再度保持させてネジ構造部を回転させるだけで回収することができる。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明の一態様によれば、ヤットコなどのような把持道具による不安定な状態での作業を不要にして、棒状部先端の保持部に電線被覆剥取器のネジ構造部端部を相対回転不能かつ着脱自在に保持させて遠隔位置の電線に引っ掛ける作業を行うことができる一方、回収する作業も容易に行うことができる。この棒状部の先端への着脱は、保持部に保持させるだけで容易に行うことができる。したがって、遠隔位置の電線に対して処理する作業を落下させる恐れを少なくすることができ、腕力や熟練を必要とすることなく、また、不必要に緊張することなく、一本の操作道具のみを操作するだけで完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電線被覆剥取器用の操作道具先端具の第1実施形態の要部構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)はその側面図、(c)はその上面図である。
【図2】その操作道具で操作する電線被覆剥取器の全体構成を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図3】その要部構成を示す図であり、(a)はその一部拡大正面図、(b)はその一部拡大側面図である。
【図4】その図1に示す操作道具先端具の要部を連結する共用操作棒の全体構成を示す平面図である。
【図5】本発明に係る電線被覆剥取器用の操作道具先端具の第2実施形態の要部構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)はその一部断面側面図、(c)はその上面図である。
【図6】本発明に係る電線被覆剥取器用の操作道具先端具の第3実施形態の要部構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)はその側面図、(c)はその上面図である。
【図7】本発明に係る電線被覆剥取器用の操作道具先端具の第4実施形態の要部構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の形態としては、上記の課題解決手段のように、電線に引っ掛けた状態にする引掛部と、該引掛部に対して接離することにより前記電線を当該引掛部の間で挟持あるいは解放する接離部と、該接離部の前記引掛部に対する接離方向を軸方向にして相対回転することにより該引掛部に対して当該接離部を接離させるネジ構造部と、前記接離部と同一方向に移動して前記電線の被覆に切り込む切断刃と、を具備して、前記引掛部と前記接離部の間に前記電線を内装する状態にして周囲を周回させることにより、前記切断刃が当該電線の被覆を切断して当該電線の導通線から剥ぎ取る電線被覆剥取器を保持する操作道具であって、前記ネジ構造部の前記接離部から離隔する側の端部を相対回転不能かつ着脱自在に保持して前記電線被覆剥取器自体を支持する保持部と、該保持部が先端側に一体になるように連設されて前記電線被覆剥取器を遠隔位置に移動させる操作を実現する棒状部と、を備えることを基本構成とするのに加えて、次の構成を備えてもよい。
【0015】
第1の態様としては、前記電線被覆剥取器が遠隔位置から引掛道具を引っ掛けて牽引操作することにより前記電線の周囲を周回させるための被引掛部を備えるのに対して、前記保持部には、前記被引掛部に引っ掛け可能に側方に突出する突起棒が1本または2本以上連設されていてもよい。
【0016】
この態様では、電線被覆剥取器のネジ構造部端部を棒状部先端の保持部から外した後にも、他の操作棒に持ち換えることなく、そのまま保持部の突起棒を電線被覆剥取器の被引掛部に引っ掛けて牽引操作をすることができ、電線被覆剥取器の移動・操作を容易かつ負担なく行うことができる。
【0017】
第2の態様としては、前記保持部の前記突起棒は、前記電線被覆剥取器の前記切断刃が前記電線被覆を切断する該電線周囲の周回方向または該周回方向と反対方向の一方の方向あるいは双方の方向に屈曲していてもよい。
【0018】
この態様では、電線被覆剥取器のネジ構造部端部を棒状部先端の保持部から外した後にも、他の操作棒に持ち換えることなく、電線被覆剥取器を電線周りに周回させる方向に応じた向きに屈曲する突起棒を被引掛部に引っ掛けてその周回させる牽引操作や押し操作する作業をより容易に行うことができる。
【0019】
第3の態様としては、前記電線被覆剥取器が前記ネジ構造部の前記接離部から離隔する側の端部に、外形を扁平に形成されるとともに中心に前記引掛道具を引っ掛け可能な引掛穴を有する形状に形成されている被回転部を有するのに対して、前記保持部は、前記棒状部から離隔する先端側の先端面に形成されて前記被回転部を相対回転不能に収納する形状の保持穴と、該保持穴内に収納する前記被回転部の移動方向に応じて該被回転部の前記引掛穴内に係合部材を進退させて当該被回転部を離脱不能にロックするロック構造と、を有するようにしてもよい。
【0020】
この態様では、電線被覆剥取器のネジ構造部端部の扁平な被回転部を保持部の保持穴内に相対回転不能に収納して所定方向に移動させることにより、その被回転部に開口する引掛穴内に係合部材を進入させて離脱不能にロックすることができ、汎用の電線被覆剥取器に既存のネジ構造部の端部の被回転部を保持部に保持させて操作することができる。
【0021】
第4の態様としては、前記ロック構造は、前記保持部の前記保持穴内で左右に移動する前記被回転部の移動方向に応じて前記引掛穴内にボール部材などの係合部材が進退してロック・解除する構造にしてもよい。
【0022】
この態様では、複雑な動きをさせることなく、前記被回転部を前記保持部から不用意に離脱不能にロックすることができる一方、必要に応じてそのロックを解除して外すことができる。
【0023】
第5の態様としては、前記ロック構造は、前記被回転部の前記保持部の前記保持穴内へのロック・解除を表示する手段を備えていてもよい。
【0024】
この態様では、電線被覆剥取器のネジ構造部端部の被回転部が保持部の保持穴内にロックされているか否かを確認することができ、確認できないまま作業して電線被覆剥取器を落下させてしまう恐れをなくして、気を使うことなく集中して作業することができる。
【0025】
第6の態様としては、上記の前記電線被覆剥取器用操作道具の前記保持部と、共用操作棒の先端側に着脱するための各種先端工具が共通に備えるジョイント構造部と、を備えて、前記共用操作棒を前記棒状部として前記保持部に着脱する電線被覆剥取器用操作道具先端具を準備するようにしてもよい。
【0026】
この態様では、汎用の共用操作棒の先端に先端具として取り付けるようにすることができ、汎用性を高く利用することができる。
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図4は本発明に係る電線被覆剥取器用操作道具とするその操作道具先端具の第1実施形態を示す図である。
【0028】
図1において、電線被覆剥取器用の操作道具先端具10は、図4に示す絶縁共用操作棒200の先端に取り付けることにより、電線路の途中の被覆を剥いで電線の導通線を露出させる電線被覆剥取器100を遠隔位置の電線に取り付けて操作する際に使用する電線被覆剥取器用操作道具とする先端具であり、その電線被覆剥取器100の取付・回収と共に電線被覆の剥ぎ取りまでを行えるように構築されている。
【0029】
まず、電線被覆剥取器100は、図2および図3に示すように、縦断面形状を縦長のコの字形状に形成されている本体部112と、この本体部112のコの字内に内装されて上下動する可動部113と、この可動部113を上下動させる調整機構114と、が組み立てられている。
【0030】
本体部112は、コの字形状の上部に位置する本体上部121と、その下部に位置する本体下部122と、これら本体上部121と本体下部122の一端側を連結するように側方に位置する本体側部123と、を備えている。
【0031】
この本体部112の本体上部121は、本体側部123側の下面で幅方向に延在する円弧溝121aが形成されている。これにより、本体部112は、一般的には、後述する回動レバー115などを不図示のヤットコ等の絶縁把持道具により掴むことにより、電柱などに架線させている遠隔位置の電線を本体側部123の反対側から本体上部121の下方内に挿し込んで平行状態になるように位置させることができ、その本体上部121の円弧溝121a内にその電線の一部を収装する状態にして引っ掛けた状態にすることができる。すなわち、この本体上部121が引掛部を構成している。
【0032】
可動部113は、本体部112の本体上部121と本体下部122の間に位置して調整機構114により上下動されるベース部材131と、このベース部材131の両側方に連設されている側面板132により本体側部123の背面側に位置するように支持されている背面バー133と、を備えている。
【0033】
また、調整機構114は、可動部113のベース部材131の下面に回転自在に連結されて外周面側に雄ネジ山141aを刻設されている主軸141と、本体下部122の上下方向に貫通する不図示の貫通穴に隣接するように固設されてその貫通穴に挿通される主軸141の雄ネジ山141aを螺合させる雌ネジリング142と、主軸141の下部に相対回転不能に連結されて、一般的には、絶縁共用操作棒200の先端に連結する不図示のフックを引っ掛けて操作するために円形穴143aの開口する縦ハンドル(被回転部)143と、を備えている。
【0034】
これにより、可動部113は、調整機構114の縦ハンドル143の円形穴143aに絶縁共用操作棒200先端のフックなどを挿し込んで回転させることにより、雌ネジリング42に螺合する主軸41を上下動させることができ、その主軸41の上部に連設されているベース部材131を背面バー133により本体側部123から離隔することを制限しつつ本体上部121に接離させることができる。すなわち、この可動部113が接離部を、主軸141がネジ構造部を、縦ハンドル143が被回転部を構成している。
【0035】
さらに、可動部113は、図3に示すように、ベース部材131の両側方に連設されている側面板132の間の空間に、その側面板132の双方の内面近傍まで延在して本体部112の本体側部123に対面する主刃134がそのベース部材131にネジ止めされており、その主刃134の両端辺と側面板132との間にはその側面板132と平行な補助刃135がベース部材131にネジ止めされている。この主刃134は、可動部113が調整機構114により本体部112の本体上部121に接近すると、その本体上部121の円弧溝121a内に収装されて位置決めされている電線の被覆の本体側部123から離隔する側に平行に切れ込むように設置されている。また、補助刃135は、可動部113が調整機構114により本体部112の本体上部121に接近すると、その主刃134の両側で、同時に、その電線の被覆に周方向(直交方向)に切り込むように設置されている。
【0036】
また、この可動部113の側面板132は、本体部112の本体上部121の円弧溝121aの両側に対応する箇所の端辺132aが主刃134と補助刃135よりも高くなるように延長されており、その円弧溝121aに対応する位置が電線を収装可能な幅のU字形状に切り欠かれた収装溝132bを形成する。これに対して、その本体部112の本体上部121は、円弧溝121a内に収装して位置決めする電線の被覆のみに、可動部113の主刃134と補助刃135が切り込んでそれ以上に上昇することを制限するストッパ溝125を有しており、主刃134と補助刃135が電線の被覆に切り込み過ぎて導通線を傷つけてしまうことがないようになっている。すなわち、主刃134が第3切断刃を構成する一方、補助刃135が第1、第2切断刃を構成している。なお、図中、136は、側面板132の外方に取り付けられているストッパであり、このストッパ136は、ネジ137で取り付けられているスプリング138により側面板132に押し付けられることにより、収装溝132b内に進退可能に保持されており、主刃134や補助刃135が不用意に電線の被覆に切り込まないように設けられている。
【0037】
一方、本体部112は、本体上部121の円弧溝121aの反対側(本体側部123の背面側)に回動レバー115が立設されており、この回動レバー115の先端側には、調整機構114の縦ハンドル143と同様に、絶縁共用操作棒200先端のフックを引掛可能に係合リング115aが固設されている。
【0038】
よって、電線被覆剥取器100は、電線を本体部112の本体上部121の円弧溝121a内に収装して引っ掛けた状態で位置決めした後に、可動部113を本体上部121に接近させる方向に上昇させると、可動部113の側面板132の端辺132a間の収装溝132b内に電線を収装することができる。このとき、可動部113は、電線の被覆に主刃134と補助刃135を切り込ませるとともに、側面板132の端辺132aをストッパ溝125の底面(天井)125aに突き当てて主刃134と補助刃135が電線の被覆のみに切り込む位置で衝止させる。
【0039】
この後に、電線被覆剥取器100は、回動レバー115の係合リング115aや縦ハンドル143の円形穴143aに、絶縁共用操作棒200先端のフックを引っ掛けて下方に牽引するなどして、本体上部121の円弧溝121aに位置決めされている電線の被覆に可動部113の主刃134と補助刃135を切り込ませた状態のまま、導通線を傷つけることなく、その電線の周囲を周回させることができ、その導通線周りの被覆を剥ぐことができる。すなわち、回動レバー115の係合リング115aや縦ハンドル143の円形穴143aが引掛穴を有して絶縁共用操作棒200先端のフックなどの引掛道具を引っ掛けて牽引操作する被引掛部を構成している。
【0040】
ところで、図1に戻って、先端具10は、電線被覆剥取器100の主軸141下端部の縦ハンドル143を、上面(先端面)11a側に開口する差込穴(保持穴)12内に相対回転不能に差込・収容して本体部112を電線に引っ掛けることができる姿勢に保持する保持ブロック(保持部)11と、この保持ブロック11の両側面11bに鉛直姿勢で突出する突起棒13、14と、上述のフックのような先端工具と同様に保持ブロック11の下面11cに配設されて絶縁共用操作棒200の先端に着脱し棒状部として利用することを実現するジョイント構造部15と、を一体になるように作製されている。
【0041】
保持ブロック11は、その外形が厚めの板形状に形成されており、差込穴12が電線被覆剥取器100の縦ハンドル143よりも大き目の寸法の幅W1と厚さT1と深さD1の板形状を差込可能な穴形状に形成されている。また、その差込穴12の上面11a側の中央には、電線被覆剥取器100の主軸141の下端部141bよりも大き目の幅W2と厚さT2と深さD2の円柱形状を差込可能な補助穴12aが形成されている。
【0042】
これにより、保持ブロック11は、縦ハンドル143の下端部を補助穴12aから差し込んで遠隔位置からでも容易に収容することができる一方、その縦ハンドル143が差込穴12内で相対回転してしまうことなく立てた状態のまま収容保持することができる。
【0043】
突起棒13、14は、保持ブロック11の両側面11bから側方に突出する状態に固設されており、電線被覆剥取器100の回動レバー115の係合リング115aや縦ハンドル143の円形穴143aの内部に差し込んで引っ掛けた状態を維持しつつ下方に牽引したり、上方に押し上げる操作を容易に行い得る長さLを有する。
【0044】
ジョイント構造部15は、円筒形状の対面する周面のそれぞれが概略T字形状に切り欠かれて開口することにより、後端面(絶縁共用操作棒200)側から先端側に向う差込切欠部16と、この差込切欠部16の直交方向の両側に連続するように屈曲する係合切欠部17と、が一対形成されている。
【0045】
これに対して、絶縁共用操作棒200は、図4に示すように、円柱形状の先端部の互いに反対側となる側面に突起形状に一対立設されることにより先端具10のジョイント構造部15の2箇所の切欠部16、17内に挿し込んで係合させることのできるピン201と、先端部の先端面に配設されて不図示の内蔵スプリングにより突出方向に付勢されている突起202と、先端部の側面に刻設されている不図示のネジ形状に螺合して進退可能なグリップ203と、滑り難い材質の取替え可能な滑り止が施されて作業員の把持する基端部側の把持部204と、を備えている。
【0046】
これにより、先端具10は、ジョイント構造部15内に絶縁共用操作棒200の先端部を差し込んで突起202を内蔵スプリングの弾性力に抗して沈ませつつ、ピン201の双方を切欠部16、17内に進入させて回転させた後に、その進入させる力を解放すると、突起202がスプリングの弾性力により突出してジョイント構造部15を押し出すことにより、その係合切欠部17から屈曲する係合溝17a内にピン201を離脱不能に係合させることができる。さらに、この絶縁共用操作棒200は、グリップ203を回転させてジョイント構造部15側に寄せることによりピン201が係合溝17a内から離脱して回転しないようにロックすることができ、先端具10が相対回転して外れてしまうことを信頼性高く防止して取り扱い易くすることができる。ここで、この絶縁共用操作棒200には、作業者が把持する基端部側との間の中間部分に傘カバー205、206が取り付けられているとともに、全体をプラスチックなどの絶縁材料で作製されることにより絶縁性が確保されており、先端側の傘カバー205が保持ブロック11側からの水分を滴下させるとともに、基端側の傘カバー206が安全に作業を行い得る限界位置を示して、作業する際の安全を確保している。
【0047】
したがって、先端具10は、ジョイント構造部15により共用操作棒200先端に連結した状態にして、保持ブロック11の差込穴12内に電線被覆剥取器100の縦ハンドル143を立てた姿勢で収容保持しつつ遠隔位置の電線に本体部112を引っ掛けることができ、そのまま共用操作棒200を回転させることにより主軸141を回転させて可動部113との間に電線を収装して主刃134と補助刃135を電線の被覆に切り込ませることができる。この後に、先端具10は、共用操作棒200を下方に下げることにより保持ブロック11の差込穴12内から電線被覆剥取器100の縦ハンドル143を離脱させても、共用操作棒200先端から外すことなく、言い換えると、作業道具を持ち変えることなく、保持ブロック11側面の突起棒13、14の一方を電線被覆剥取器100の回動レバー115の係合リング115aや縦ハンドル143の円形穴143aに引っ掛けて下方に牽引あるいは上方に押し上げることにより、電線の被覆に切り込ませている主刃134と補助刃135を周回させることができ、その導通線周りの被覆を剥ぐことができる。さらに、この先端具10は、その電線被覆を剥ぎ取る作業が終了した後には、共用操作棒200先端に保持ブロック11を取り付けた状態のまま、その保持ブロック11の差込穴12内に、遠隔位置の電線に引っ掛けた状態の電線被覆剥取器100の縦ハンドル143を立てた姿勢で再度収容保持することができ、そのまま共用操作棒200を回転させることにより主軸141を回転させて可動部113を本体部112から離隔させて電線被覆剥取器100を回収することができる。
【0048】
このように本実施形態においては、汎用性の高い絶縁共用操作棒200の先端に先端具10を連結するだけで、他の操作棒に持ち替えたり、その絶縁共用操作棒200の先端を他の先端工具に交換することなく、電線被覆剥取器100を遠隔位置の電線に取付・回収することができるとともに、取り付けた後には、そのままその電線被覆剥取器100を電線周りに周回させて被覆を剥ぐことができる。したがって、ヤットコや共用操作棒の双方を同時に操作するなどの腕力や熟練を必要とする作業を不要にして容易に電線の接続作業などを容易に行うことができる。
【0049】
次に、図5は本発明に係る電線被覆剥取器用操作道具とするその操作道具先端具の第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されていることから同様の構成には同一の符号を付して特徴を説明する(以下で説明する他の実施形態においても同様)。
【0050】
図5において、電線被覆剥取器用の操作道具先端具20は、上述実施形態の保持ブロック11に代えて、保持ブロック21を備えており、その保持ブロック21の両側面21bの側方には、突起棒13、14が突出しているとともに、その下面21cにはジョイント構造部15が配設されて絶縁共用操作棒200の先端に連結して同様に電線被覆剥取器100を操作することができるように作製されている。
【0051】
保持ブロック21は、上述実施形態の保持ブロック11の差込穴12を長手方向に広げた差込穴22が上面21a側に開口して同様に電線被覆剥取器100の主軸141下端部の縦ハンドル143を相対回転不能に差込・収容することができるようになっており、その差込穴22は、電線被覆剥取器100の縦ハンドル143を左右にスライド可能にする程度の大きさの寸法の幅W3の穴形状に形成されているとともに、その縦ハンドル143の左右へのスライド幅に応じて電線被覆剥取器100の主軸141の下端部141bのスライドを許容する程度の幅W4の補助穴22aが形成されている。なお、この保持ブロック21の差込穴22は、上面21aに開口する補助穴22aの幅W4が縦ハンドル143を差込可能な幅W1に一致して差込可能に開口するとともに、その補助穴22aの両側を開放することなく天井部23を有するように形成されており、スライドした位置から上方に自由に離脱してしまうことを制限している。
【0052】
また、保持ブロック21は、上面21a側から差込穴22内に縦ハンドル143を差し込んで左右にスライドさせたときのその円形穴143a内に向かって突出する突起24が埋設されており、この突起24は、先端部24aが半球形状に形成されているとともに、背面側のスプリング25により付勢されて差込穴22の内部に向かって突出するようになっている。すなわち、突起24が係合部材を構成して、スプリング25と共にロック構造を構成している。なお、この突起24は、ボール形状に形成した部材に交換してもよいことはいうまでもない。
【0053】
これにより、保持ブロック21は、差込穴22内に差し込まれる縦ハンドル143により突起24がスプリング25の付勢力に抗して後退された後に、その縦ハンドル143を左右のいずれか一方にスライドされたときに、縦ハンドル143の円形穴143a内に突起24がスプリング25の付勢力により突出して縦ハンドル143が逆方向にスライドしてしまうことを制限することができ、電線被覆剥取器100が脱落してしまうことを制限することができる。
【0054】
したがって、先端具20は、ジョイント構造部15により共用操作棒200先端に連結した状態にして、保持ブロック21の差込穴22内に電線被覆剥取器100の縦ハンドル143を立てた姿勢のまま収納保持する状態にロックすることができ、この後に遠隔位置の電線に電線被覆剥取器100を取り付けた状態ではそのまま共用操作棒200を横方向にある程度の力でスライドさせることにより縦ハンドル143の円形穴143a内から突起24をスプリング25の付勢力に抗して離脱させて電線被覆剥取器100から外すことができる。さらに、この先端具20は、共用操作棒200先端の保持ブロック21の差込穴22内に、遠隔位置の電線に引っ掛けた状態でその電線被覆を剥ぎ取る作業が終了した後の電線被覆剥取器100の縦ハンドル143を差し込んでそのまま共用操作棒200を横方向にある程度の力でスライドさせることにより縦ハンドル143の円形穴143aに突起24をスプリング25の付勢力に抗して突出させて電線被覆剥取器100に再度取付ロックして電線被覆剥取器100を回収することができる。
【0055】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、先端具20の保持ブロック21に電線被覆剥取器100の縦ハンドル143をロックして脱落させることなく保持することができ、より安全かつ容易に電線の接続作業などを容易に行うことができる。
【0056】
次に、図6は本発明に係る電線被覆剥取器用操作道具とするその操作道具先端具の第3実施形態を示す図である。
図6において、電線被覆剥取器用の操作道具先端具30は、保持ブロック21の側面21b側の突起棒13、14と下面21c側のジョイント構造部15に加えて、その上面21aに同一の外形に形成されているスライドカバー31が取り付けられており、絶縁共用操作棒200の先端に連結させて同様に電線被覆剥取器100を操作することができるように作製されている。
【0057】
スライドカバー31は、電線被覆剥取器100の縦ハンドル143の差込を許容するとともに主軸141の下端部141bの左右のスライドを制限するように、上述実施形態における補助穴12aを有する差込穴12と同様の開口形状のスライド穴32が開口されており、保持ブロック21の上面21aに隣接する長手方向の側面21dには、その上面21aと平行なスライド溝26が形成されているのに対して、そのスライド溝26にスライド自在に係合するスライドリブ36が形成されている。
【0058】
これにより、保持ブロック21は、スライドカバー31のスライド穴32を介して差込穴22内に差し込まれる縦ハンドル143を横方向にスライドさせてその円形穴143aに突起24を進入させてロックしたときには、同時に、スライドカバー31もその縦ハンドル143の主軸141の下端部141bがスライド穴32の補助穴32aに突き当たって横方向にスライドされることになって上面21aからはみ出した状態になる。
【0059】
したがって、先端具30は、ジョイント構造部15により共用操作棒200先端に連結した状態にして、保持ブロック21に電線被覆剥取器100の縦ハンドル143をロックする操作をしたときには、その保持ブロック21の上面21aからスライドカバー31がはみ出した状態になって、ロックされていることを確認することができる。
【0060】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、先端具20の保持ブロック21に電線被覆剥取器100の縦ハンドル143をロックしているか否かをスライドカバー31のはみ出しの有無により表示して容易に確認することができ、確認できないまま作業して電線被覆剥取器100を落下させてしまう恐れをなくして、より安全かつ容易に電線の接続作業などを容易に行うことができる。
【0061】
次に、図7は本発明に係る電線被覆剥取器用操作道具とするその操作道具先端具の第4実施形態を示す図である。
図7において、電線被覆剥取器用の操作道具先端具30は、上述実施形態の保持ブロック21の突起棒13、14に代えて、保持ブロック21の両側面21bの側方には突起棒43、44が突出しており、その下面21cにはジョイント構造部15が配設されて絶縁共用操作棒200の先端に連結して同様に電線被覆剥取器100を操作することができるように作製されている。
【0062】
突起棒43、44は、保持ブロック21の両側面21bから同様に側方に突出しており、突起棒43は下方に湾曲する形状に形成される一方、突起棒44は上方に湾曲する形状に形成されている。
【0063】
これにより、突起棒43は、電線被覆剥取器100の縦ハンドル143の円形穴143aや係合リング115aに引っ掛けて、下方に牽引する際に容易に外れてしまうことを少なくすることができるとともに、突起棒44は、逆に上方に押し上げる際に容易に外れてしまうことを少なくして、その電線被覆剥取器100の主刃134と補助刃135により電線の被覆を剥ぐ方向に容易に周回させることができる。
【0064】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、先端具20の保持ブロック21の両側面21bの側方から突出する突起棒43、44が縦ハンドル143の円形穴143aや係合リング115aから容易に外れないように引っ掛けてその電線被覆剥取器100を効率よく周回させることができ、より容易に電線の接続作業などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
10、20、30、40……電線被覆剥取器用の操作道具先端具 11、21、31……保持ブロック 12、22……差込穴 12a、22a……補助穴 13、14、43、44……突起棒 15……ジョイント構造部 23……天井部 24……突起 25……スプリング 26……スライド溝 31……スライドカバー 32……スライド穴 36……スライドリブ 41……主軸 100……電線被覆剥取器 115……回動レバー 115a……係合リング 134……主刃 135……補助刃 143……縦ハンドル 143a……円形穴 200……絶縁共用操作棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に引っ掛けた状態にする引掛部と、該引掛部に対して接離することにより前記電線を当該引掛部の間で挟持あるいは解放する接離部と、該接離部の前記引掛部に対する接離方向を軸方向にして相対回転することにより該引掛部に対して当該接離部を接離させるネジ構造部と、前記接離部と同一方向に移動して前記電線の被覆に切り込む切断刃と、を具備して、前記引掛部と前記接離部の間に前記電線を内装する状態にして周囲を周回させることにより、前記切断刃が当該電線の被覆を切断して当該電線の導通線から剥ぎ取る電線被覆剥取器を保持する操作道具であって、
前記ネジ構造部の前記接離部から離隔する側の端部を相対回転不能かつ着脱自在に保持して前記電線被覆剥取器自体を支持する保持部と、該保持部が先端側に一体になるように連設されて前記電線被覆剥取器を遠隔位置に移動させる操作を実現する棒状部と、を備えることを特徴とする電線被覆剥取器用操作道具。
【請求項2】
前記電線被覆剥取器が遠隔位置から引掛道具を引っ掛けて牽引操作することにより前記電線の周囲を周回させるための被引掛部を備えるのに対して、
前記保持部には、前記被引掛部に引っ掛け可能に側方に突出する突起棒が1本または2本以上連設されていることを特徴とする請求項1に記載の電線被覆剥取器用操作道具。
【請求項3】
前記保持部の前記突起棒は、前記電線被覆剥取器の前記切断刃が前記電線被覆を切断する該電線周囲の周回方向または該周回方向と反対方向の一方の方向あるいは双方の方向に屈曲していることを特徴とする請求項2に記載の電線被覆剥取器用操作道具。
【請求項4】
前記電線被覆剥取器が前記ネジ構造部の前記接離部から離隔する側の端部に、外形を扁平に形成されるとともに中心に前記引掛道具を引っ掛け可能な引掛穴を有する形状に形成されている被回転部を有するのに対して、
前記保持部は、前記棒状部から離隔する先端側の先端面に形成されて前記被回転部を相対回転不能に収納する形状の保持穴と、該保持穴内に収納する前記被回転部の移動方向に応じて該被回転部の前記引掛穴内に係合部材を進退させて当該被回転部を離脱不能にロックするロック構造と、を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電線被覆剥取器用操作道具。
【請求項5】
上記請求項1から4のいずれかに記載の前記電線被覆剥取器用操作道具の前記保持部と、共用操作棒の先端側に着脱するための各種先端工具が共通に備えるジョイント構造部と、を備えて、前記共用操作棒を前記棒状部として前記保持部に着脱する電線被覆剥取器用操作道具先端具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−161169(P2012−161169A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19429(P2011−19429)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】