電解メッキ装置および電解メッキ方法
【課題】より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる電解メッキ装置を実現する。
【解決手段】本発明に係る電解メッキ装置50は、メッキ処理槽9内のメッキ液4に、カソード電極15に接続された半導体基板1とアノード電極2とを対向させて浸漬し、アノード電極2とカソード電極15とを通電させることにより半導体基板1に電解メッキを行う。電解メッキ装置50は、半導体基板1とアノード電極2との間に、半導体基板1の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、アノード電極2から半導体基板1の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板3を備えるとともに、アノード電極2と遮蔽板3とを、一体的に揺動させる揺動手段を備えている。
【解決手段】本発明に係る電解メッキ装置50は、メッキ処理槽9内のメッキ液4に、カソード電極15に接続された半導体基板1とアノード電極2とを対向させて浸漬し、アノード電極2とカソード電極15とを通電させることにより半導体基板1に電解メッキを行う。電解メッキ装置50は、半導体基板1とアノード電極2との間に、半導体基板1の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、アノード電極2から半導体基板1の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板3を備えるとともに、アノード電極2と遮蔽板3とを、一体的に揺動させる揺動手段を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解メッキ法を適用した電解メッキ装置および該電解メッキ装置を用いた電解メッキ方法に関するものであり、特に被メッキ材において均一なメッキ厚を得るための電解メッキ装置および電解メッキ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話情報端末などの電子機器において小型軽量化が進んでおり、それに呼応してこれらの電子機器に組み込まれる半導体集積回路自体にも、小型軽量化や高密度実装化が求められている。
【0003】
半導体集積回路等(以下、半導体装置と記す)の小型化および高密度実装化を達成する有力な方法として、実装用の突起電極(所謂バンプ電極)を用いる方法が広く用いられている。この方法では半導体装置表面の所定の位置に、メッキ技術を応用して金(Au)によるバンプ電極を形成し、このバンプ電極を利用して半導体装置を実装基板に直接実装するようになっている。
【0004】
バンプ電極の形成は、先ず半導体装置が多数組み込まれた半導体基板の表面にフォトレジストを塗布し、バンプ電極を形成させるべき箇所のフォトレジスト膜を開口して、該半導体基板において予め堆積させておいた下地金属膜を露出させる。次いで、半導体基板(被メッキ材)をメッキ液(電解メッキ液)に浸漬させ、フォトレジスト膜の開口部分において露出した下地金属膜上に、メッキ技術を用いてメッキ金属、例えば金(Au)を析出させ、バンプ電極を形成する。
【0005】
メッキ法には、電解メッキ法と無電解メッキ法との2つの方法があるが、バンプ電極の形成には、通常電解メッキ法が用いられている。電解メッキ法とは被メッキ材を陰極に接続し、被メッキ材とアノード電極とを対向させてメッキ液中に浸漬し、所定の直流電圧を印加して被メッキ材上の所定の位置にメッキ金属を析出させる方法である。電解メッキ法は、無電解メッキ法に比べてメッキの成長速度が格段に速く、また下地金属とメッキ液との組合せの自由度が大きいこと等により、バンプ電極に必要な数十μmの厚みのメッキ層を容易に形成させることができる。
【0006】
また、上述のように、バンプ電極を用いて半導体装置を実装基板に実装する方法では、バンプ電極と実装基板との接続強度の確保や、接続に係る実装基板の信頼性確保の為に、半導体装置の表面に形成されるバンプ電極の高さ、つまりメッキの厚さが、半導体装置内はもとより半導体基板内で均一であることが必要不可欠である。
【0007】
一般的に、メッキの厚さを半導体基板内で均一にするためには、(1)被メッキ材、つまり半導体基板近傍におけるメッキ金属のイオン濃度を所定の濃度に保つこと、(2)被メッキ材近傍におけるメッキ液の電気力線の密度を均一にすること、が必要である。
【0008】
メッキ金属のイオン濃度を所定の濃度に保つ方法としては、メッキ液に所定の流速を与えることにより、被メッキ材周辺で常にメッキ液を置換する方法(例えば、特許文献1〜3参照)、アノード電極およびカソード電極とは別に攪拌装置を設ける方法(例えば、特許文献1、2参照)、アノード電極、カソード電極および被メッキ材を揺動させる方法(例えば、特許文献3参照)、が知られている。また、被メッキ材近傍におけるメッキ液の電気力線の密度を均一にする方法としては、被メッキ材とアノード電極との間に遮蔽板を設置する方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【0009】
以下に、上記従来の電解メッキ装置について、図11〜図13を参照してより具体的に説明する。
【0010】
図11は、特許文献1に記載の電解メッキ装置の概略構成を示す断面図である。
【0011】
図12は、特許文献3に記載の電解メッキ装置の概略構成を示す断面図である。また、図13は図12に示す電解メッキ装置のA−A’線矢視断面図である。
【0012】
図11に示すように、特許文献1に記載の電解メッキ装置100は、メッキ液104を充填するためのメッキ処理槽105の中に、カソード電極106に接続された被メッキ材101表面と平行に対向するように設置した平板状のアノード電極102を備えている。上記電解メッキ装置100は、被メッキ材101とアノード電極102との間を通電させることで被メッキ材101表面にメッキを行っている。上記電解メッキ装置100には、被メッキ材101近傍におけるメッキ金属のイオン濃度を所定の濃度に保つため、攪拌棒等の攪拌部材130が被メッキ材101の近傍に設けられている。また、上記電解メッキ装置100では、メッキ液104を下方から上方に向かって循環させている。これにより、被メッキ材101の周辺では、常にメッキ液104が置換されるので、被メッキ材101の表面にはメッキ金属が十分に補充されることになる。
【0013】
また、特許文献3に記載の電解メッキ装置200は、図12に示すように、攪拌部材130に代えて、メッキ液205中でメッキ治具204を揺動させるメッキ治具昇降ユニット206を備えている。メッキ治具204には、図13に示すように、アノード電極201、カソード電極202および被メッキ材203が備えられている。
【特許文献1】特開平8−311699号公報(平成8年11月26日公開)
【特許文献2】特開2005−54206号公報(平成17年3月3日公開)
【特許文献3】特開平5−251606号公報(平成5年9月28日公開)
【特許文献4】特開2003−34893号公報(平成15年2月7日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記図11に示す電解メッキ装置100のように、メッキ処理槽105の中に被メッキ材101並びにアノード電極102とは別に攪拌部材130を設置すると、メッキ処理槽105の容量が大きくなってしまい、多量のメッキ液104が必要となる。また、このように攪拌部材130を設置すると、メッキ処理槽105内に設置する部品が多くなるために、メッキ液104がメッキ処理槽105内の部品と接する接液面積が大きくなり、目的部位以外におけるメッキ金属の析出が生じ易くなる。目的部位以外におけるメッキ金属の析出が増加すると、メッキ液104中のメッキ金属の濃度が低下するため、被メッキ材101をメッキするのに必要なメッキ液104の量が増加する。更には、攪拌部材130と被メッキ材101とが近接することで、攪拌部材130近傍の被メッキ材101のみにメッキが厚く形成されてしまうなどの問題が生じる。
【0015】
一方、図12および図13に示すように、メッキ治具204そのものを揺動させた場合、上記問題点は解決される。しかしながら、電解メッキ法では、一般的に、メッキ液205中における電気力線は、被メッキ材203の中心部では電界方向と平行であり、互いの電気力線は平行で、密度もほぼ均一であるが、被メッキ材203の外縁部では、電気力線が集中する傾向がある。このため、特許文献3の構成では、被メッキ材203の外縁部のメッキ厚が厚くなってしまい、上記被メッキ材として、例えば半導体基板を使用した場合に半導体基板表面に均一な膜厚のメッキを形成することができない。
【0016】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材表面、特に半導体基板表面に均一な膜厚のメッキを形成することができる電解メッキ装置および電解メッキ方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る電解メッキ装置は、上記課題を解決するために、メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ装置であって、上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を備えるとともに、上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させる揺動手段を備えていることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、上記電解メッキ装置が上記遮蔽板を備えるとともに上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させることで、上記アノード電極を揺動させているにも拘らず、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽して上記被メッキ材の外縁部への電気力線の集中を防止することができる。また、上記構成によれば、上記アノード電極の揺動によるメッキ液の攪拌が上記アノード電極と被メッキ材との間に設けられた遮蔽板によって阻害されることがないので、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができる。従って、上記構成によれば、被メッキ材近傍の電気力線を均一な状態に維持したまま、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができる。
【0019】
また、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することにより、被メッキ材近傍のメッキ液中のメッキ金属イオン濃度が安定化されるため、メッキの成長レートが低下し難い。従って、上記構成によれば、安定したメッキの成長レートで電解メッキを行うことができる。
【0020】
しかも、上記構成によれば、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒を使用することなく、被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌することができるため、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒近傍の被メッキ材のみにメッキが厚く形成されてしまう等の問題が生じない。
【0021】
このため、上記構成によれば、被メッキ材表面に、均一な膜厚のメッキを形成することができる。
【0022】
更に、上記構成によれば、被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌するために、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒等の攪拌装置を上記アノード電極等とは別に設ける必要がない。このため、上記構成によれば、メッキ処理槽内に、アノード電極等とは別に攪拌装置を設ける場合と比較して、メッキ処理槽の容量を低減させることができ、メッキ液の使用量を低減することができる。
【0023】
また、上記構成によれば、メッキ処理槽内に、アノード電極等とは別に攪拌装置を設ける場合と比較して、メッキ液がメッキ処理槽内の部品と接する接液面積を小さくすることができる。これにより、目的とする領域以外におけるメッキ金属の析出を抑制することができるため、無駄なメッキ金属の析出が抑制され、メッキ液の使用量を低減することができる。
【0024】
従って、上記構成によれば、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる電解メッキ装置を提供することができるという効果を奏する。
【0025】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま上記被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌することができる。このため、上記の構成によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の電界を容易に制御することができるとともに、被メッキ材表面に形成されるメッキの膜厚の制御が容易となるという更なる効果を奏する。
【0027】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられていることが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させて上記被メッキ材と遮蔽板との間に供給することで、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、常に置換することができるとともに、この置換したメッキ液を、上記遮蔽板およびアノード電極の揺動により、効率良く攪拌することができる。このため、上記の構成によれば、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、より効率よく攪拌して均一にすることができるため、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0029】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させることが好ましい。
【0030】
上記構成によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま、被メッキ材近傍のメッキ液を、上記メッキ液の液流方向、すなわち、上記配管のメッキ液供給口に対する延設方向と、上記アノード電極および遮蔽板の揺動方向との互いに直交する2方向から攪拌することができるため、被メッキ材近傍のメッキ液をより均一に攪拌することができる。従って、上記構成によれば、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0031】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記遮蔽板は、上記アノード電極における上記被メッキ材との対向面に、上記アノード電極と一体的に形成されていることが好ましい。
【0032】
上記構成によれば、アノード電極と遮蔽板との間のスペースを無くすことができるため、メッキ処理槽の容量をより低減させることができる。また、メッキ処理槽内における部品の数が減少するため、メッキ液がメッキ処理槽内の部品と接する接液面積をより小さくすることができ、目的とする領域以外におけるメッキ金属の析出をより抑制することができる。従って、上記構成によれば、さらにメッキ液の使用量を低減させた電解メッキ装置を提供することができるという更なる効果を奏する。
【0033】
また、上記構成によれば、上記遮蔽板が、上記アノード電極における上記被メッキ材との対向面に、上記アノード電極と一体的に形成されていることで、上記遮蔽板とアノード電極とを、容易に、一体的に揺動させることができる。このため、上記遮蔽板とアノード電極とが別個に設けられている場合と比較して、上記揺動手段をより簡素な構成とすることができるとともに、上記揺動のための駆動制御が容易であるため、より安価な構成とすることができるという効果を併せて奏する。
【0034】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記アノード電極は、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離が10〜50mmの範囲内となるように設けられていることが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、上記被メッキ材近傍におけるメッキ液を均一に攪拌することができるため、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0036】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記遮蔽板における上記被メッキ材との対向面に突起が設けられていることが好ましい。
【0037】
上記構成によれば、上記遮蔽板における上記被メッキ材との対向面に突起が設けられていることで、上記突起が設けられていない場合と比較して、攪拌効率を向上させることができる。また、上記の構成によれば、上記遮蔽板の揺動により、上記突起近傍のメッキ液を上記被メッキ材近傍に押し出すことも可能となる。このため、上記の構成によれば、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、より効率よく攪拌して均一にすることができるので、被メッキ材表面に、より均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0038】
また、突起が遮蔽板と同じ絶縁体である場合には、突起により被メッキ材とアノード電極との間の電界を制御することができる。具体的には、上記アノード電極から上記被メッキ材へ印加される電界分布の遮蔽板の貫通口を通った後の広がりが、突起によって抑制される。これにより、より均一に被メッキ材に対してメッキを行うことができる。
【0039】
このため、上記の構成によれば、被メッキ材表面に形成されるメッキの膜厚の制御が容易になるという効果を併せて奏する。
【0040】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられており、上記突起は、上記メッキ液供給口から供給されたメッキ液の液流方向と平行に延設された板状の突起であることが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、上記突起が板状に形成されていることで、メッキ液の攪拌効率を向上させることができるとともに、上記突起がメッキ液の流れに沿って延設されていることで、このように板状の突起を形成した場合においても、上記突起によってメッキ液の流れが大きく妨げられることなくメッキ液を攪拌および循環させることができるので、被メッキ材近傍のメッキ液中のメッキ金属イオン濃度をより均一にすることができるという更なる効果を奏する。
【0042】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、上記突起の先端部における上記遮蔽板の揺動方向の幅は、上記突起の底面における上記遮蔽板の揺動方向の幅よりも小さいことが好ましい。より具体的には、例えば、上記突起は、上記遮蔽板の揺動方向における上記突起の断面の形状が、三角形状または台形状の突起であることが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、上記遮蔽板の揺動により、上記突起近傍のメッキ液をより効率よく被メッキ材近傍へ向けて送液することができる。このため、上記の構成によれば、被メッキ材近傍におけるメッキ液をより均一に攪拌することができ、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0044】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、上記突起の高さは、上記被メッキ材と遮蔽板との間の距離の1/2以上であり、上記被メッキ材と遮蔽板との間の距離より1mm短い距離以下の範囲内であることが好ましい。
【0045】
上記構成によれば、突起が受けるストレスを抑制しながら、上記被メッキ材近傍におけるメッキ液をより均一に攪拌することができる。具体的には、上記突起の高さ(遮蔽板から被メッキ材へ向かう方向における幅)が上記被メッキ材と遮蔽板との間の距離の1/2以上であることにより、レイノルズ数が低く抑えられ、メッキ液を安定的に被メッキ材近傍に供給することができる。これにより、被メッキ材近傍におけるメッキ液をより均一に攪拌することができる。一方、上記突起の高さが、被メッキ材と遮蔽板との間の距離より1mm短い距離以下であることにより、上記突起の高さが高くなるに従って大きくなる突起が受けるストレスを低減することができ、突起が変形したり、剥がれてしまうといった問題を抑制することができる。従って、上記構成によれば、突起の耐久性を保持しながら、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0046】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、上記遮蔽板が揺動する距離の幅は、上記突起の底面における上記遮蔽板の揺動方向の幅以上であり、隣接する突起間の幅以下であることが好ましい。
【0047】
上記構成によれば、上記遮蔽板が揺動する距離の幅は上記突起の底面における上記遮蔽板の揺動方向の幅以上であるため、上記遮蔽板およびアノード電極を揺動させることにより、電界方向において被メッキ材が常に突起によってアノード電極から遮蔽される領域が生じることを避けることができる。このため、被メッキ材における電気力線への上記突起による影響を除去することができる。よって、上記の構成によれば、突起の形状に拘らず、被メッキ材表面に、均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0048】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられており、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させることが好ましい。
【0049】
上記構成によれば、上記突起により、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま、被メッキ材近傍のメッキ液を、上記メッキ液の液流方向、すなわち、上記配管のメッキ液供給口に対する延設方向と、上記アノード電極および遮蔽板の揺動方向との互いに直交する2方向から攪拌することができるため、被メッキ材近傍のメッキ液をより均一に攪拌することができる。従って、上記構成によれば、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0050】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記被メッキ材が半導体基板であることが好ましい。
【0051】
上記構成によれば、半導体基板に対して、より少ないメッキ液の使用量で均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0052】
バンプ電極を用いて半導体装置を実装基板に実装する方法では、バンプ電極と実装基板との接続強度の確保や、接続に係る実装基板の信頼性確保の為に、半導体装置の表面に形成されるバンプ電極の高さ、つまりメッキの厚さが、半導体装置内はもとより半導体基板内で均一であることが必要不可欠である。本発明によれば、このようにバンプ電極に必要なメッキ層を、より少ないメッキ液の使用量で、容易に、かつ均一な膜厚で形成することができる。このため、本発明に係る電界メッキ装置は、被メッキ材として半導体基板を用いたメッキの形成に、特に好適に使用することができる。
【0053】
本発明に係る電解メッキ方法は、上記課題を解決するために、メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ方法であって、上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を配置し、上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることを特徴としている。
【0054】
上記方法によれば、上記遮蔽板を配置するとともに上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させることで、上記アノード電極を揺動させているにも拘らず、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽して上記被メッキ材の外縁部への電気力線の集中を防止することができる。また、上記方法によれば、上記アノード電極の揺動によるメッキ液の攪拌が上記アノード電極と被メッキ材との間に設けられた遮蔽板によって阻害されることがないので、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができる。従って、上記方法によれば、被メッキ材近傍の電気力線を均一な状態に維持したまま、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができる。
【0055】
また、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することにより、被メッキ材近傍のメッキ液中のメッキ金属イオン濃度が安定化されるため、メッキの成長レートが低下し難い。従って、上記構成によれば、安定したメッキの成長レートで電解メッキを行うことができる。
【0056】
しかも、上記方法によれば、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒を使用することなく、被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌するため、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒近傍の被メッキ材のみにメッキが厚く形成されてしまう等の問題が生じない。
【0057】
このため、上記方法によれば、被メッキ材表面に、均一な膜厚のメッキを形成することができる。
【0058】
更に、上記方法によれば、被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌するために、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒等の攪拌装置を上記アノード電極等とは別に設ける必要がない。このため、上記方法によれば、メッキ処理槽内に、アノード電極等とは別に攪拌装置を設ける場合と比較して、使用するメッキ処理槽の容量を低減させることができ、メッキ液の使用量を低減することができる。
【0059】
また、上記方法によれば、メッキ処理槽内に、アノード電極等とは別に攪拌装置を設ける場合と比較して、メッキ液がメッキ処理槽内の部品と接する接液面積を小さくすることができる。これにより、目的とする領域以外におけるメッキ金属の析出を抑制することができるため、無駄なメッキ金属の析出が抑制され、メッキ液の使用量を低減することができる。
【0060】
従って、上記方法によれば、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができるという効果を奏する。
【0061】
本発明に係る電解メッキ方法では、上記アノード電極と遮蔽板とを上記被メッキ材と平行に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることが好ましい。
【0062】
上記方法によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま上記被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌することができる。このため、上記方法によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の電界を容易に制御することができるとともに、被メッキ材表面に形成されるメッキの膜厚の制御が容易となるという更なる効果を奏する。
【0063】
本発明に係る電解メッキ方法では、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させて上記被メッキ材と遮蔽板との間に供給しながら上記電解メッキを行うことが好ましい。
【0064】
上記方法によれば、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させて上記被メッキ材と遮蔽板との間に供給することで、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、常に置換することができるとともに、この置換したメッキ液を、上記遮蔽板およびアノード電極の揺動により、効率良く攪拌することができる。このため、上記の方法によれば、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、より効率よく攪拌して均一にすることができるため、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0065】
本発明に係る電解メッキ方法では、上記アノード電極と遮蔽板とを上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることが好ましい。
【0066】
上記方法によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま、被メッキ材近傍のメッキ液を、上記メッキ液の液流方向、すなわち、上記配管のメッキ液供給口に対する延設方向と、上記アノード電極および遮蔽板の揺動方向との互いに直交する2方向から攪拌することができるため、被メッキ材近傍のメッキ液をより均一に攪拌することができる。従って、上記方法によれば、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0067】
本発明に係る電解メッキ方法では、上記遮蔽板として、上記被メッキ材との対向面に突起が設けられている遮蔽板を使用することが好ましい。
【0068】
上記方法によれば、上記遮蔽板における上記被メッキ材との対向面に突起が設けられていることで、上記突起が設けられていない場合と比較して、攪拌効率を向上させることができる。また、上記の方法によれば、上記遮蔽板の揺動により、上記突起近傍のメッキ液を上記被メッキ材近傍に押し出すことも可能となる。このため、上記の方法によれば、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、より効率よく攪拌して均一にすることができるので、被メッキ材表面に、より均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0069】
更に、上記方法によれば、上記遮蔽板における上記被メッキ材との対向面に突起が設けられていることで、上記遮蔽板を介して上記アノード電極から被メッキ材に印加される電界を容易に制御することができる。このため、上記の方法によれば、被メッキ材表面に形成されるメッキの膜厚の制御が容易になるという効果を併せて奏する。
【発明の効果】
【0070】
本発明に係る電解メッキ装置は、以上のように、メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ装置であって、上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を備えるとともに、上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させる揺動手段を備えていることを特徴とする。
【0071】
上記構成によれば、上記電解メッキ装置が上記遮蔽板を備えるとともに上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させることで、上記アノード電極を揺動させているにも拘らず、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽して上記被メッキ材の外縁部への電気力線の集中を防止することができる。従って、被メッキ材近傍の電気力線を均一な状態に維持したまま、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができ、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる電解メッキ装置を提供することができるという効果を奏する。
【0072】
また、本発明に係る電解メッキ方法は、メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ方法であって、上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を配置し、上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることを特徴としている。
【0073】
上記方法によれば、上記遮蔽板を使用するとともに上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させることで、上記アノード電極を揺動させているにも拘らず、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽して上記被メッキ材の外縁部への電気力線の集中を防止することができる。従って、被メッキ材近傍の電気力線を均一な状態に維持したまま、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができ、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
本発明の一実施形態について図1〜図10に基づいて説明すると以下の通りである。尚、以下の説明においては、本発明を適用する電解メッキ装置として、金メッキによりバンプ電極を形成する半導体集積回路の製造に用いられる電解メッキ装置を例示する。また、半導体集積回路の製造工程や製造条件等は、通常の半導体集積回路の製造工程にて用いられているものと同じである。
【0075】
図1は、本実施の形態に係る電解メッキ装置の概略構成を示す断面図であり、図2は、図1に示す電解メッキ装置におけるB−B’線矢視断面図である。また、図3は、図2に示すアノード組品における半導体基板との対向面の概略構成を示す正面図であり、図4は、図3に示すアノード組品の概略構成を示す斜視図である。また、図5(a)・(b)は、図3および図4に示すアノード組品における遮蔽板表面に設けられる突起の形状例を示す斜視図であり、図5(a)は突起5が四角柱である場合、図5(b)は突起5が曲面を有する場合を示す。また、図6は、本実施の形態に係る電解メッキ装置を上方から見たときの概略構成を示す平面図であり、図7は本実施の形態に係る電解メッキ装置における揺動手段の動作を説明するため平面図である。
【0076】
図1に示すように、本実施の形態に係る電解メッキ装置50は、カソード電極15と、アノード電極2および遮蔽板3からなるアノード組品16と、このアノード組品16を揺動させる偏芯カムなどの揺動手段40(図6参照)と、メッキ処理槽9と、オーバーフロー槽10と、温調槽11と、循環ポンプ8と、フィルタ7と、配管12とを備えている。上記カソード電極15は、被メッキ材としての半導体基板1にメッキ処理を施す際に、上記半導体基板1と接続される。上記半導体基板1は、メッキ処理を行う際に、上記アノード組品16と対向するように、内部にメッキ液4が収容されたメッキ処理槽9内に配置される。これにより、上記カソード電極15および上記アノード電極2に電源6から所定の直流電流を印加することで上記半導体基板1にメッキ処理が施される。すなわち、上記メッキ処理槽9は、上記アノード組品16を内部に備え、内部に半導体基板1を設置することができるようになっている。オーバーフロー槽10は、メッキ処理槽9から流出してくるメッキ液4を受けるためにメッキ処理槽9と隣接して設けられている。
【0077】
上記メッキ処理槽9およびオーバーフロー槽10は、上記配管12を介して、温調槽11、循環ポンプ8、およびフィルタ7と接続されている。具体的には、温調槽11は、オーバーフロー槽10の底壁10aに設けられた配管12を介して、オーバーフロー槽10と接続されている。温調槽11は、温調槽11内のメッキ液4の液温を一定の範囲内に調整する。循環ポンプ8は、配管12を介して温調槽11とフィルタ7との間に備えられ、温調槽11から流入するメッキ液4をフィルタ7へ吐出することにより、メッキ液4を循環させる。フィルタ7は、配管12を介して、一方が循環ポンプ8の吐出側に接続され、もう一方がメッキ処理槽9の底壁9aと接続されており、メッキ液4中に混入した異物をメッキ処理槽9にメッキ液4が流入する直前で除去する。つまり、本実施の形態に係る電解メッキ装置50は、温調槽11、循環ポンプ8、フィルタ7、メッキ処理槽9、オーバーフロー槽10の順でメッキ液4を循環する構成となっている。
【0078】
このようにメッキ液4を循環させることにより、本実施の形態に係る電解メッキ装置50は、半導体基板1近傍のメッキ液4の金属イオン濃度を一定濃度に保っている。
【0079】
また、本実施の形態において、上記メッキ処理槽9に接続された配管12、つまり、上記配管12からメッキ処理槽9にメッキ液4を流入させるための供給口(メッキ液供給口)12aは、メッキ処理槽9の底壁9aにおける、半導体基板1とアノード組品16との間に面する位置に設けられている。このように、本実施の形態では、メッキ液4を循環させて上記半導体基板1とアノード組品16との間に供給しながら電解メッキを行うことで、半導体基板1近傍のメッキ液4を、常に置換することができるとともに、この置換したメッキ液4を、上記アノード組品16の揺動により、効率良く攪拌することができる。
【0080】
循環するメッキ液4の流速は、特には限定されず、電解メッキ装置50の構成、被メッキ材の種類、メッキ金属の種類、メッキ液4の流速などの諸条件に応じて選択すればよい。
【0081】
尚、上記電解メッキ装置50には、これらの他に、その他多くの部品等が付随しているが、図面の煩雑さを避けるために特に関係のない構成については図面中の記載を省略している。
【0082】
本実施の形態において、上記半導体基板1としては、例えば、後述する工程により作成される複数個の半導体集積回路が組み込まれた半導体ウエハが使用される。より具体的には、本実施の形態では、直径6インチ(約150mm)のシリコンウエハに集積回路が組み込まれたものを使用している。
【0083】
上記カソード電極15は、導電性物質から構成され、メッキ液4中の陽イオンを上記半導体基板1に引き寄せる(陰イオンを放出する)ものである。カソード電極15の材質としては、導電性物質であれば特には限定されず、例えば、白金、チタン、ニオブ等の従来公知の種々の材料を単独で、もしくは互いに組み合わせて使用することができる。
【0084】
カソード電極15の大きさや形状は、半導体基板1に効率よく通電することができれば特には限定されず、従来公知の大きさや形状のものを使用することができる。
【0085】
アノード電極2は、導電性物質から構成され、メッキ液4中の陰イオンを引き寄せる(陽イオンを放出する)ものである。アノード電極2の材質としては、導電性物質であれば特には限定されず、白金、チタン、ニオブ等の従来公知の種々の材料を単独で、もしくは互いに組み合わせて使用することができる。
【0086】
アノード電極2の大きさや形状は特には限定されないが、半導体基板1に対して効率よくメッキ(電解メッキ)を行う観点から、半導体基板1と対向する面が、半導体基板1における被メッキ面と同じ形状であるものが好ましい。本実施の形態では、上記アノード電極2として、電解メッキ装置への固定の容易さから、底面が四角形の平板状であるメッシュ形状のチタンからなるアノード電極を用いている。
【0087】
アノード電極2と半導体基板1との間の距離は、10mm〜50mmの範囲内であることが好ましい。アノード電極2と半導体基板1との間の距離が上記範囲内であれば、半導体基板1近傍のメッキ液4の攪拌性を低下させることなく、アノード電極2と半導体基板1との間のスペースを低減することができる。これにより、より少ないメッキ液4の使用量で、半導体基板1に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる。尚、本実施の形態では、アノード電極2と半導体基板1との間の距離は40mmに設定している。
【0088】
また、上記半導体基板1とアノード電極2との間には、上記半導体基板1の中央部と対向して設けられた貫通口30を有する絶縁体から成り、上記アノード電極2から上記半導体基板1の表面における周縁部(外縁部)に印加される電界を遮蔽する遮蔽板3(電界遮蔽板)が設けられている。
【0089】
上記貫通口30は、半導体基板1に印加される電界を均一にすることができれば、その形状、位置、数などは特には限定はされないが、半導体基板1の外縁よりも30〜90mm小さい外縁を有する形状を有していることが好ましい。
【0090】
電解メッキ法によるメッキでは被メッキ材の外縁領域に電気力線が集中することにより被メッキ材の中心部よりも外縁(周縁)領域のメッキ厚が厚くなることが知られているため、貫通口30の形状を半導体基板1と同じ大きさの形状とした場合では外縁領域のメッキ厚が中心部よりも厚くなってしまう。このため、貫通口30を半導体基板1の外縁(周縁)よりも30〜90mm小さい外縁(周縁)を有する形状とすることにより、半導体基板1の外縁領域における電気力線の密度を低くすることができ、半導体基板1における全体の電気力線の密度を均一にすることができる。尚、本実施の形態では、遮蔽板3における貫通口30は、半導体基板1の外縁よりも60mm小さい略円形となっている。つまり、本実施の形態では半導体基板1の直径が略150mmの円形であるので、貫通口30は直径が略90mmの円形に設けられている。
【0091】
上記遮蔽板3の材質としては、絶縁体であれば特には限定されず、従来公知の種々の材料を使用することができる。上記遮蔽板3の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、石英等が挙げられ、メッキ金属の析出を抑制するという理由から好ましくは石英である。遮蔽板3の形状は特には限定されないが、メッキ処理槽9の容量を増加させないという観点から、アノード電極2と対向する面が、アノード電極2における遮蔽板3と対向する面と同じ形状であるものが好ましい。
【0092】
また、上記アノード電極2と遮蔽板3とは、メッキ処理槽9の容量をより小さくする上で、できるだけ近接させて設けられていることが好ましい。
【0093】
特に、本実施の形態では、上記アノード電極2と遮蔽板3とは、揺動手段40により一体的に揺動されるため、上記アノード電極2と遮蔽板3とは、互いに一体的に固定されていることがより好ましい。さらには、図1および図2に示すように、上記アノード組品16は、上記アノード電極2における上記半導体基板1との対向面に、上記遮蔽板3が、上記アノード電極2と一体的に形成(積層固定)されていることがより一層好ましい。
【0094】
これにより、アノード電極2と遮蔽板3との間のスペースを小さくし、好適には無くすことができるため、メッキ処理槽9の容量を小さくすることができ、この結果、メッキ液4の使用量を低減させることができる。さらには、メッキ処理槽9内における部品の数が減少するため、メッキ液4がメッキ処理槽9内の部品と接する接液面積をより小さくすることができ、目的とする領域以外におけるメッキ金属の析出を抑制することができる。
【0095】
本実施の形態では、例えば図1および図2に示すように、アノード電極2と遮蔽板3とは一体となって1つの部材(アノード組品16)を形成している。
【0096】
本実施の形態において、上記アノード組品16は、上記揺動手段40によって、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行な方向に揺動する。揺動手段40としては、偏芯カム(カム構造)、油圧ポンプ、駆動用エアー(ベローズ構造)などによる構成が挙げられる。電界メッキ装置50では揺動による攪拌速度が速く、オン/オフの切り替え回数が多いため、動作スピード及び動作の信頼性が要求される。このため、上記揺動手段40としては、偏芯カムによる構成がより好ましい。
【0097】
本実施の形態では、上記揺動手段40として、図6に示すような偏芯カム(カム構造)が用いられる。上記偏芯カムを用いた揺動手段40は、図7に示すように、回転軸42、突起部44を有する回転部材41、アノード組品16と接続された揺動部材43、およびスライダー45からなる。揺動部材43は、上記突起部44の直径と略同じ幅で、回転軸42と突起部44との距離の略2倍の長さを有する楕円形状の開口部を有する。揺動部材43は、回転部材41の上に配置され、揺動部材43の開口部に回転部材41の突起部44が挿入される。揺動部材43の両端の下には、揺動部材43の動作を水平方向に限定するためのスライダー45が配置されている。
【0098】
上記揺動手段40は、図7に示すように、揺動部材43を、回転軸42を中心に回転させることで、アノード組品16と接続された揺動部材43をスライダー45に沿って揺動させる構成となっている。これより、アノード組品16は半導体基板1に対して平行に揺動する。
【0099】
上記アノード組品16の揺動方向は、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向であれば、メッキ液4の液流方向と平行の方向であっても、メッキ液4の液流方向と直交する方向であってもかまわない。上記アノード組品16の揺動方向が、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向でない場合、アノード組品16がより接近する半導体基板1の部分では、メッキ液4の供給が過多となり、メッキが厚く形成されてしまう。
【0100】
また、本実施の形態のようにメッキ液4を循環させる場合には、メッキ液4を均一に、且つ効率よく攪拌するという観点から、上記アノード組品16の揺動方向は、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行であり、且つ、メッキ液4の液流方向と直交する方向であることがより好ましい。以下、本実施の形態では、アノード組品16は、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行であり、且つ、メッキ液4の液流方向と直交する方向に揺動する場合を例に挙げて説明する。
【0101】
尚、本実施の形態における「メッキ液4の液流方向」とは、メッキ処理槽9の供給口12aへの配管12の延設方向を意味している。
【0102】
また、本実施の形態で用いられる上記遮蔽板3は、上記半導体基板1との対向面に、突起5が設けられていることが好ましい。このように上記遮蔽板3に突起5を設けることで、上記突起5が設けられていない場合と比較して、攪拌効率を向上させることができる。また、このように上記遮蔽板3に突起5を設けることで、上記遮蔽板3の揺動により、上記突起5近傍のメッキ液4を上記半導体基板1近傍に押し出すことも可能となる。このため、本実施の形態によれば、上記遮蔽板3に上記突起5が設けられていることで、遮蔽板3の動作により半導体基板1近傍のメッキ液4をより効率良くかつ均一に攪拌することができるため、半導体基板1に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0103】
また、上記したように、上記遮蔽板3における上記半導体基板1との対向面に突起5が設けられていることで、上記遮蔽板3を介して上記アノード電極2から半導体基板1に印加される電界を容易に制御することができる。このため、上記半導体基板1に形成されるメッキの膜厚の制御が容易になる。以下、図8を用いて具体的に説明する。
【0104】
図8は、アノード電極2と半導体基板1との間の電界分布を説明するための図1におけるB−B’線矢視断面図であり、(a)は突起5を有しない構成である場合を示し、(b)は突起5を有する構成の場合を示す。
【0105】
図8(a)に示すように、突起5がない場合では、上記電界における電気力線は、遮蔽板3の貫通口30を通過した後には、一旦拡散してから、半導体基板1近傍で半導体基板1に集まるような分布となる。これに対して、突起5を有する場合では、図8(b)に示すように、上記電界における電気力線は、遮蔽板3の貫通口30を通過した後であっても突起5により拡散が抑制されるため、突起5がない場合と比べて広がりの小さい分布となる。従って、突起5を設けることによって、より均一に電界を半導体基板1に印加することができるため、より均一に半導体基板1にメッキを形成させることができる。
【0106】
更には、突起5を有する場合では、図8(b)に示すように、電気力線の拡散が抑制されているため、半導体基板1の外縁(周縁)領域に電気力線が集中し難い。このため、アノード電極2を揺動させる場合であっても、半導体基板1の外縁(周縁)領域に電気力線が集中し難く、より均一に半導体基板1にメッキを形成させることができる。
【0107】
突起5の形状は、特に限定はされないが、好ましくは、板形状であり、より好ましくは遮蔽板3の一辺と同じ長さを長辺とした長方形を底面とする板形状である。上記突起5の形状として、板形状ではなく、遮蔽板3と接する面が円形である円錐形状、遮蔽板3と接する面が正方形である直方体形状などでもかまわないが、遮蔽板3はメッキ液4の中で揺動するため、突起5と遮蔽板3との接合強度を確保するためには、突起5を、遮蔽板3の一辺と同じ長さを長辺とした長方形を底面とする板形状とし、該遮蔽板3の一辺と突起5の底面における長辺とが平行に、且つ、突起5の両端と遮蔽板3の両端とが揃うように、突起5を遮蔽板3に配置することが好ましい。さらには、遮蔽板3の上下で突起5を確実に固定することが好ましく、突起5と遮蔽板3とを一体成形で加工することがより好ましい。突起5と遮蔽板3とを一体成形で加工する場合、突起5と遮蔽板3とを、樹脂などのブロックの削り出しや、金型を用いた一体成形により作製することができる。
【0108】
尚、本実施の形態において用いられる「板形状」とは、厚さが均一である長方形を底面とする直方体には限定されず、底面における短辺方向に向かって厚さが変化するもの、例えば断面が三角形や台形であるものなども板形状として扱う。
【0109】
突起5が上述したような板形状である場合、図2に示すように、遮蔽板3との接触面の短辺方向における突起5の幅w、つまり、上記突起5の底面における上記遮蔽板3の揺動方向の幅wの方向と平行にアノード組品16を揺動させることで、突起5のメッキ液4と作用する面積を最大化させることができるため、メッキ液4の攪拌効率を最大限に高めることができる。
【0110】
また、遮蔽板3の揺動により更に効率よく半導体基板1にメッキ液4を送液させるため、上記突起5の先端部における上記遮蔽板3の揺動方向の幅は、上記突起5の底面における上記遮蔽板3の揺動方向の幅wよりも小さいことが好ましい。つまり、上記突起5は、例えば、図2に示すように、上記遮蔽板3が揺動する方向における上記突起5の幅が、上記突起5の先端側程小さくなるように形成されていることが好ましい。
【0111】
具体的には、突起5の形状としては、突起5の断面の形状が台形または三角形であるものなどが挙げられる。つまり、突起5の形状としては、例えば、図4に示すように、突起5の遮蔽板3との接触面の短辺方向における断面形状が三角形であり、該三角形の底辺と接する側面を遮蔽板3との接触面とする三角柱、または、図5(a)に示すように、突起5の遮蔽板3との接触面の短辺方向における断面形状が台形であり、該台形の下辺(1組の平行な辺における長い方の辺)と接する側面を遮蔽板3との接触面とする四角柱などが挙げられる。
【0112】
突起5における遮蔽板3との接触面以外の面は、必ずしも平面である必要はなく、曲面などであってもかまわない。曲面を有する突起5の形状としては、例えば図5(b)に示すような突起5における遮蔽板3との接触面以外の面である2つの側面が内側に窪んだ曲面となっているものなどが挙げられる。
【0113】
上記したように、上記突起5の先端部における上記遮蔽板3の揺動方向の幅p(図5(a)参照)が、上記突起5の底面における上記遮蔽板3の揺動方向の幅よりも小さいことにより、メッキ液4をより効率よく半導体基板1近傍へ向けて送液することができる。このため、半導体基板1近傍におけるメッキ液4はより均一に攪拌され、半導体基板1に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0114】
また、図2に示すように、遮蔽板3が備える突起5の高さhは、メッキ液4の攪拌を有効に行うために、半導体基板1と遮蔽板3との間の距離dの1/2以上とすることが好ましい。突起5の高さhが距離dの1/2未満であっても半導体基板1にメッキを形成させることはできるが、メッキ厚の均一性およびメッキの成長速度の観点から、突起5は半導体基板1に接近していることが好ましい。一方、突起5の高さhが距離dより1mm短い距離(距離d−1mm)を超えると、遮蔽板3が揺動する際に突起5が受けるストレスが大きくなり、突起5の変形、剥離などが生じ易くなるため、突起5の高さhは距離dより1mm短い距離以下であることが好ましい。
【0115】
遮蔽板3における突起5の設置位置は、特には限定されないが、循環するメッキ液4の液流を妨げない位置であり、遮蔽板3の揺動による攪拌を均一に行うことができる位置に配置することが好ましい。具体的には、例えば、循環するメッキ液4の液流を妨げないために、突起5の遮蔽板3と接する面における長辺方向をメッキ液4の液流方向と平行になるように突起5を配置することが好ましい。具体的には、上記遮蔽板3における半導体基板1との対向面に、配管12のメッキ液4の供給口12aの延設方向と平行に延設された板状の突起5が設けられていることが好ましい。また、突起5が複数個設けられている場合では、遮蔽板3の揺動による攪拌を均一に行うため、それぞれの突起5の間隔が一定となるように突起5を配置することがより好ましい。
【0116】
尚、本実施の形態では、突起5は、半導体基板1側に突出するように遮蔽板3に設けられている。また、遮蔽板3に設置される突起5の形状は、図4に示すように、側面が二等辺三角形であり、三角柱形状である板形状のものを用いている。突起5は遮蔽板3に9個設置されており、それぞれの突起5は、突起5における遮蔽板3と接する面の長辺方向が全てメッキ液4の液流方向と平行となるように、遮蔽板3に配置されている。また、隣り合う突起5間の間隔は全て同じ距離になるように、遮蔽板3に配置されている。
【0117】
また、本実施の形態において、上記アノード組品16が揺動する振幅(揺動する距離の幅)は、突起5の底面におけるアノード組品16の揺動方向の幅w(図2および図3参照)以上であることが好ましい。上記アノード組品16の揺動の振幅が、突起5の底面におけるアノード組品16の揺動方向の幅wより短い場合には、電界方向において、遮蔽板3によりアノード電極2から常に遮蔽される領域が半導体基板1表面に生じてしまう。このため、半導体基板1表面における電界が不均一となり、半導体基板1に形成されるメッキの厚さが不均一となるおそれがある。
【0118】
特に、図3および図4に示すように、突起5が、遮蔽板3の一辺と同じ長さを長辺とした長方形を底面とする板形状である場合、上記半導体基板1の一方の端から他方の端まで、ライン状に、上記半導体基板1が突起5によって常にアノード電極2から電界遮蔽される。このため、このように半導体基板1における電気力線への突起5による影響が大きい場合には特に、半導体基板1表面における電界が不均一となり、半導体基板1に形成されるメッキの厚さが不均一となるおそれが大きい。このため、上記アノード組品16が揺動する距離の幅は、突起5の底面におけるアノード組品16の揺動方向の幅w以上の幅に設定されていることが好ましい。
【0119】
このように上記突起5の底面における上記遮蔽板3の揺動方向の幅w以上に上記アノード組品16を揺動させることにより、電界方向において上記半導体基板1が常に突起5によってアノード電極2から遮蔽される領域が生じることを避けることができるので、上記半導体基板1における電気力線への上記突起5による影響を除去することができる。したがって、上記アノード組品16が揺動する振幅を、突起5の底面におけるアノード組品16の揺動方向の幅w以上とすることで、突起5の形状に拘らず、半導体基板1表面に、均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0120】
尚、本実施の形態では、隣接する突起5間の幅(隣接する突起5間の最短距離)xは25mmであり、突起5の底面における揺動方向の幅wは5mmであり、アノード組品16の振幅は20mm(±20mmに揺動)に設定している。よって、アノード組品16の振幅が突起5の底面における揺動方向の幅w(w=5mm)よりも大きいため、半導体基板1が受ける突起5による遮蔽の影響は低減されている。
【0121】
また、上記遮蔽板3が揺動する距離の幅は、隣接する突起5間の幅x以下であることが好ましい。このため、上記遮蔽板3が揺動する距離の幅は、上記突起5の底面における上記遮蔽板3の揺動方向の幅w以上であり、隣接する突起5間の幅x以下であることが好ましい。更には、突起5の底面の幅wと、隣接する突起5間の幅xと、遮蔽板3が揺動する距離の幅とが同じであると、突起5による半導体基板1への遮蔽の頻度が均一となるためより好ましい。
【0122】
尚、上記アノード組品16の揺動速度は、特には限定されず、電解メッキ装置50の構成、被メッキ材の種類、メッキ金属の種類、メッキ液4の流速などの諸条件に応じて選択すればよい。
【0123】
以下に、上述した本実施の形態に係る電解メッキ装置50を用いた半導体集積回路の製造方法、すなわち、半導体基板1上への金(Au)メッキによるバンプ電極形成工程について図9を用いて説明する。
【0124】
図9(a)〜(f)は、シリコンウエハにバンプ電極を形成する工程をシリコンウエハの断面にて示す図である。
【0125】
本実施の形態において被メッキ材として用いられる上記半導体基板1は以下の工程により作成される。但し、以下の説明による工程はあくまで一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0126】
最初に、例えば図9(a)に示す直径6インチ(約150mm)のシリコンウエハ20の表面全面に、SiO2等の絶縁膜(図示せず)を所定の厚さに堆積し、フォトリソグラフ技術および絶縁膜エッチング技術を用いて、該絶縁膜の所定の位置を開口する。
【0127】
次いで、シリコンウエハ20全面に、例えばAl−Si等の金属薄膜を約1μmの厚さに堆積し、フォトリソグラフ技術および金属薄膜エッチング技術を用いて、図9(b)に示すように、出入力用端子であるパッド電極(アルミニウムパッド)21を形成する(パッド電極形成工程)。ここで、パッド電極21の大きさは、略60μm×110μmとした。また、この際にシリコンウエハ20表面に組み込まれたトランジスタ等の素子の相互配線なども同時に形成されるものとする。
【0128】
次いで、図9(c)に示すように、シリコンウエハ20全面に、表面保護膜22として、例えばSiN膜等の絶縁膜を略0.6μmの厚さに堆積し、フォトリソグラフ技術および絶縁膜エッチング技術を用いて、表面保護膜22の所定の位置、つまりパッド電極21の上部の表面保護膜22を開口し、パッド電極21を露出させる(表面保護膜形成工程)。表面保護膜22の開口部27の大きさは、略30μm×80μmとした。
【0129】
次いで、図9(d)に示すように、シリコンウエハ20全面に、金属薄膜(バリヤメタル)23を所定の厚さに堆積する(金属薄膜形成工程)。この金属薄膜23は、バンプ電極となるAuと、パッド電極21の材料であるAl、またはAl合金との反応を阻止すると共に、電解メッキを行う際の所謂カレントフィルムの役割を果たすもので、下地金属とも称される。なお、この下地金属は、単層の金属薄膜でもかまわないが、上記のようなAuとAlまたはAl合金との反応阻止性や、あるいはその他の観点から、通常は複数の金属の積層膜が用いられている。本実施の形態では、金属薄膜23として下層にTiWを約0.2μm、その上層にAuを0.2μmを堆積させた。
【0130】
次いで、図9(e)に示すように、シリコンウエハ20全面にフォトレジスト24を塗布し、フォトリソグラフ技術を用いて、シリコンウエハ20上の所定の位置、すなわち表面保護膜22の開口部27上方のフォトレジスト24を除去する(フォトレジスト形成工程)。
【0131】
以上の工程により、次段のメッキ工程において被メッキ材となる半導体基板1が形成される。なお、シリコンウエハ20上に残ったフォトレジスト24はメッキ工程でのマスクの役目を果たし、メッキ金属はフォトレジスト24の開口部27に析出する。
【0132】
次に、上記半導体基板1に対して、前記した電解メッキ装置50を用いて、Auメッキによってバンプ電極を形成するメッキ工程について説明する。
【0133】
まず、上記半導体基板1のシリコンウエハ20上に堆積させた金属薄膜23の所定位置に、図1に示す電解メッキ装置50のカソード電極15を接続する。そして、図1に示すように、上記半導体基板1とアノード電極2とを略平行に対向させ、メッキ処理槽9に充填されたメッキ液4中に浸漬させる。この際、メッキ液4は循環ポンプ8によって循環している。
【0134】
これに、半導体基板1とアノード電極2との間に電源6によって所定の電圧を印加することで、図9(f)に示すようにメッキ金属を半導体基板1の所定の位置、すなわち、フォトレジスト24の開口部27に析出させる(メッキ工程)。
【0135】
半導体基板1とアノード電極2との間に印加する電圧は、半導体基板1の大きさやメッキ生成速度などから適宜設定すればよい。尚、本実施の形態では、上記メッキ工程にて析出するバンプ電極25の高さ(すなわち、メッキ厚さ)は略18μmとし、バンプ電極25の大きさは略50μm×100μmとした。
【0136】
上記メッキ工程によるバンプ電極25の形成が終了した半導体基板1は、図9(g)に示すように、フォトレジスト24が除去され、さらに、該バンプ電極25自体をマスクとして不要な部分の金属薄膜23が除去される。その後に所定の工程を経て半導体集積回路が完成する。
【0137】
以上の工程により、半導体基板1に対して金(Au)メッキによるバンプ電極25の形成が行なわれる。
【0138】
上述したように、本発明に係る電解メッキ装置50は、メッキ処理槽9内のメッキ液4に、カソード電極15に接続された半導体基板1とアノード電極2とを対向させて浸漬し、上記アノード電極2とカソード電極15とを通電させることにより上記半導体基板1に電解メッキを行う電解メッキ装置であって、上記半導体基板1とアノード電極2との間に、上記半導体基板1の中央部と対向して設けられた貫通口30を有する絶縁体から成り、上記アノード電極2から上記半導体基板1の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板3を備えるとともに、上記アノード電極2と遮蔽板3とを、一体的に揺動させる揺動手段を備えている。このため、少ないメッキ液4の量で、半導体基板1に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる電解メッキ装置50を提供することができる。
【0139】
また、本発明に係る電解メッキ方法は、メッキ処理槽9内のメッキ液4に、カソード電極15に接続された半導体基板1とアノード電極2とを対向させて浸漬し、上記アノード電極2とカソード電極15とを通電させることにより上記半導体基板1に電解メッキを行う電解メッキ方法であって、上記半導体基板1とアノード電極2との間に、上記半導体基板1の中央部と対向して設けられた貫通口30を有する絶縁体から成り、上記アノード電極2から上記半導体基板1の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板3を配置し、上記アノード電極2と遮蔽板3とを一体的に揺動させながら上記アノード電極2とカソード電極15とを通電させる方法である。これにより、少ないメッキ液4の量で、半導体基板1に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0140】
尚、以上の説明においては、本発明の電解メッキ方法および電解メッキ装置を、金メッキによりバンプ電極を形成する半導体集積回路の製造に適用する場合を例示しているが、被メッキ材におけるメッキ厚の均一化を図ることは、被メッキ材の種類に関係なく、電解メッキおいて常に要求されることである。したがって、本発明の電解メッキ方法および電解メッキ装置は、半導体集積回路の製造への適用に限定されるものではなく、様々な材料に対する電解メッキ処理においても適用可能である。つまり、本実施の形態における被メッキ材はニッケル(Ni)や銅(Cu)などであってもよい。被メッキ材がニッケルや銅などであれば、本実施形態と略同様の効果が得られる。
【0141】
また、半導体集積回路の製造以外のメッキ処理へ本発明を適用する場合、被メッキ材の形状は半導体装置のウエハのように円形形状であるとは限らず、したがって遮蔽板3の貫通口30の形状は円形以外の形状とする必要がある。例えば、図10に示すように、被メッキ材1’の形状が矩形形状である場合、遮蔽板の貫通口30’の形状を、被メッキ材1’よりも所定の長さDだけ小さくなっている被メッキ材1’の相似形状とすればよい。つまり、遮蔽板の貫通口30’の形状を、被メッキ材1’の形状と対応する辺との間の距離の全てがDとなるようにすればよい。この場合、被メッキ材1’と遮蔽板の貫通口30’との寸法差、すなわち(L1−l1)および(L2−l2)が30〜90mmである時、被メッキ材1’に形成されるメッキの厚さが最も均一となる。
【0142】
また、本発明における電解メッキ方法および電解メッキ装置において、メッキ金属の種類等は特に限定されるものではなく、金(Au)以外の金属を用いることも可能である。本実施の形態のように、金のような高価な金属をメッキさせる場合では、メッキにかかるコストを大幅に低減させることができるため、特に効果が大きい。
【0143】
尚、上述の説明では、メッキ処理槽9中のメッキ液4を循環させるため、循環ポンプ8が電解メッキ装置50に備わっている場合について説明したが、これに限るものではない。循環ポンプ8を備えないで、アノード組品16の揺動のみでメッキ液4を攪拌する構成であってもよい。このような場合であっても、本実施形態と略同様の効果が得られる。
【0144】
ただし、本実施形態のように、循環ポンプ8を備えている場合は、被メッキ液近傍のメッキ液をより効率よく攪拌することができるため、特に効果が大きい。
【0145】
尚、本実施の形態では、配管12からメッキ処理槽9にメッキ液4を流入させるための供給口(メッキ液供給口)12aを、メッキ処理槽9底部に設けた構成について説明したが、上記供給口12aの形成位置は、これにのみ限定されるものではない。例えば、上記供給口12aは、メッキ処理槽9の側壁に設けられていてもよく、メッキ処理槽9の上方からメッキ液4を供給し、メッキ処理槽9の下部、例えば底部(底壁9a)から、配管12を介して、一旦、別のフロー槽を介して、もしくは、直接、温調槽11にメッキ液4が排出される構成を有していてもかまわない。但し、半導体基板1の近傍のメッキ液4を均一にする観点から、上記供給口12aは、メッキ液4の液流方向において半導体基板1よりも下流側、つまり本実施の形態では半導体基板1よりも下方に設けることがより好ましい。
【0146】
また、何れの場合においても、上記供給口12aは、半導体基板1の近傍のメッキ液4をより均一にする観点から、半導体基板1とアノード組品16との間(半導体基板1とアノード組品16との間に面する位置)に設けられることが好ましい。これにより、メッキ処理槽9に流入したメッキ液4により、半導体基板1近傍のメッキ液4が効率よく置換され、さらには、アノード組品16によって半導体基板1近傍のメッキ液4が効率よく攪拌される。また、上記メッキ処理槽9内におけるメッキ液4全体を均一に置換するためには、上記供給口12aは、メッキ処理槽9の底壁9aの中心付近に設けられていることがより好ましい。
【0147】
また、本実施の形態では、上記オーバーフロー槽10からメッキ液4を排出し、温調槽11にメッキ液4を送液するための排出口12bを、上記オーバーフロー槽10の底壁10aに設けた構成について説明したが、上記排出口12bの形成位置もまた、上記オーバーフロー槽10の底壁10aにのみ限定されるものではなく、例えば、上記オーバーフロー槽10側壁であってもよく、上記循環を妨げない範囲内で、種々の変更が可能である。
【0148】
また、本実施の形態では、上記遮蔽板3が、上記アノード電極2に、上記アノード電極2における上記半導体基板1との対向面に隣接して積層されている構成について例示したが、本発明は、これに限定されるものではなく、上記アノード電極2と遮蔽板3とは、互いに一体的に揺動可能であればよい。具体的には、上記アノード電極2と遮蔽板3とは、互いに離間して設けられており、1つもしくは独立した2つの揺動手段によって、互いに一体的に揺動される構成であってもよく、上記アノード電極2と遮蔽板3とは結合手段により、互いに離間した状態で結合されている構成を有していてもよく、上記アノード電極2と遮蔽板3とが、他の層(他の機能層)を介して互いに積層されている構成を有していてもかまわない。
【0149】
さらに、本実施の形態では、上記アノード組品16が、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向に揺動する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、上記アノード組品16が、上記半導体基板1との対面方向に揺動するものであってもかまわない。例えば、前記したように、上記アノード電極2と半導体基板1との間の距離が、好ましくは10mm〜50mmとなる範囲内で上記アノード組品16が、上記半導体基板1との対面方向に移動(揺動)するものであってもかまわない。但し、上記アノード組品16を、上記半導体基板1と平行に揺動させることで、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま上記被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌することができ、この結果、上記アノード電極と被メッキ材との間の電界を容易に制御することができるとともに、被メッキ材表面に形成されるメッキの膜厚の制御が容易となることから、上記アノード組品16は、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向に揺動させることが、より好ましい。
【0150】
また、本実施の形態では、上記アノード組品16が、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向に揺動する場合に、上記アノード組品16を、メッキ液4の液流方向と平行の方向(図3中、上下方向)、もしくは、メッキ液4の液流方向と直交する方向(図3中、左右上下方向)の何れかの方向に揺動する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記した両方向に揺動するものであってもよい。すなわち、上記アノード組品16は、上記したように上下方向もしくは左右方向への直線的な往復運動ではなく、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行な面内で上下左右に揺動(円運動)するものであってもかまわない。また、勿論、上記遮蔽板3が上記半導体基板1と対面した状態で、好ましくは上記アノード電極2と半導体基板1との間の距離が10mm〜50mmとなる範囲内で、上記アノード組品16が、上記半導体基板1との対面方向並びに半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向に揺動するものであってもかまわない。
【0151】
また、本実施の形態では、上記揺動手段として、偏芯カム(カム構造)を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記揺動手段としては、上記アノード組品16、つまり、上記アノード電極2および遮蔽板3を、一体的に、少なくとも往復移動させることができさえすればよく、例えば、上記偏芯カムに代えて、油圧ポンプなどの駆動手段を使用することもできる。
【0152】
また、本発明に係る電解メッキ装置は、メッキ液を下方から上方に循環させながら温度管理とフィルトレーション(異物除去)とを行う電解メッキ装置であり、メッキ液中にカソード組品(ウエハ)を浸漬すると共に、カソード組品から所定距離離間してカソード組品と平行にカソード組品よりわずかに大きな面状のアノード電極を浸漬して設置し、さらにカソード組品とアノード電極との間に、絶縁体からなる遮蔽板をアノード電極と平行に浸漬して設置し、上記アノード電極と遮蔽板との組品(アノード組品)を電解メッキ液中でカソード組品と平行方向に移動しながらカソード組品とアノード電極との間に通電することによってウエハ表面にメッキを行なう構成のものであってもよい。また、上記電解メッキ装置において、上記カソード組品とアノード組品との距離が10〜50mmと近接し、アノード組品が揺動する構成であることが好ましい。また、上記電解メッキ装置において、上記アノード組品はカソード組品よりわずかに小さい貫通口を有し、絶縁体からなる遮蔽板には攪拌と電界制御とを目的とした突起が設けられていることが好ましい。また、上記電解メッキ装置において、上記突起は、板状であり、メッキ液の流れ方向と平行に設けられていることが好ましい。また、上記突起は、カソード組品にメッキ液を送ることを目的として、カソード組品側が細く、アノード電極側が太い、台形もしくは三角形の形状に設けられていることが好ましい。また、上記電解メッキ装置において、上記突起は、レイノルズ数を低く抑え、メッキ液を安定供給するために、突起における突起の高さはアノード組品とカソード組品との距離の1/2以上の高さを有することが好ましい。また、上記電解メッキ装置において、上記アノード組品の移動距離は上記台形形状の突起の底辺の長さよりも大きいことが好ましい。更には、本発明の電解メッキ方法は、上記電解メッキ装置を用いる方法であってもよい。
【0153】
尚、上述の実施形態で示した電解メッキ装置50における各々の具体的数値は一例であり、本発明はその値に限定されない。
【0154】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の電解メッキ装置は、アノード電極から被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を備えるとともに、アノード電極と遮蔽板とを、一体的に揺動させる揺動手段を備えている。このため、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる電解メッキ装置を提供することができる。従って、本発明の電解メッキ装置は、半導体集積回路の製造におけるバンプ電極形成などの電解メッキが行われる工業製品の製造などに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の実施形態に係る電解メッキ装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す電解メッキ装置におけるB−B’線矢視断面図である。
【図3】図2に示すアノード組品における半導体基板との対向面の概略構成を示す正面図である。
【図4】図3に示すアノード組品の概略構成を示す斜視図である。
【図5】図3および図4に示すアノード組品における遮蔽板表面に設けられる突起の形状例を示す斜視図である。
【図6】上記電解メッキ装置を上方から見たときの概略構成を示す平面図である。
【図7】上記電解メッキ装置における揺動手段の動作を説明するための平面図である。
【図8】アノード電極2と半導体基板1との間の電界分布を説明するための図1におけるB−B’線矢視断面図であり、(a)は突起5を有しない構成である場合を示し、(b)は突起5を有する構成の場合を示す。
【図9】シリコンウエハにバンプ電極を形成する工程をシリコンウエハの断面にて示す図である。
【図10】被メッキ材の形状が短形形状である場合における被メッキ材と遮蔽板の貫通口との関係を説明するための平面図である。
【図11】従来の電解メッキ装置の概略構成を示す断面図である。
【図12】従来の他の電解メッキ装置の概略構成を示す断面図である。
【図13】図12に示す従来の他の電解メッキ装置におけるA−A’線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0157】
1 半導体基板(被メッキ材)
2 アノード電極
3 遮蔽板
4 メッキ液
5 突起
9 メッキ処理槽
12 配管
12a 供給口(メッキ液供給口)
15 カソード電極
16 アノード組品
30 貫通口
40 揺動手段
50 電解メッキ装置
d 遮蔽板と被メッキ材と間の距離
w 遮蔽板が揺動する方向における突起の幅
h 突起の高さ
x 隣接する突起間の幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解メッキ法を適用した電解メッキ装置および該電解メッキ装置を用いた電解メッキ方法に関するものであり、特に被メッキ材において均一なメッキ厚を得るための電解メッキ装置および電解メッキ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話情報端末などの電子機器において小型軽量化が進んでおり、それに呼応してこれらの電子機器に組み込まれる半導体集積回路自体にも、小型軽量化や高密度実装化が求められている。
【0003】
半導体集積回路等(以下、半導体装置と記す)の小型化および高密度実装化を達成する有力な方法として、実装用の突起電極(所謂バンプ電極)を用いる方法が広く用いられている。この方法では半導体装置表面の所定の位置に、メッキ技術を応用して金(Au)によるバンプ電極を形成し、このバンプ電極を利用して半導体装置を実装基板に直接実装するようになっている。
【0004】
バンプ電極の形成は、先ず半導体装置が多数組み込まれた半導体基板の表面にフォトレジストを塗布し、バンプ電極を形成させるべき箇所のフォトレジスト膜を開口して、該半導体基板において予め堆積させておいた下地金属膜を露出させる。次いで、半導体基板(被メッキ材)をメッキ液(電解メッキ液)に浸漬させ、フォトレジスト膜の開口部分において露出した下地金属膜上に、メッキ技術を用いてメッキ金属、例えば金(Au)を析出させ、バンプ電極を形成する。
【0005】
メッキ法には、電解メッキ法と無電解メッキ法との2つの方法があるが、バンプ電極の形成には、通常電解メッキ法が用いられている。電解メッキ法とは被メッキ材を陰極に接続し、被メッキ材とアノード電極とを対向させてメッキ液中に浸漬し、所定の直流電圧を印加して被メッキ材上の所定の位置にメッキ金属を析出させる方法である。電解メッキ法は、無電解メッキ法に比べてメッキの成長速度が格段に速く、また下地金属とメッキ液との組合せの自由度が大きいこと等により、バンプ電極に必要な数十μmの厚みのメッキ層を容易に形成させることができる。
【0006】
また、上述のように、バンプ電極を用いて半導体装置を実装基板に実装する方法では、バンプ電極と実装基板との接続強度の確保や、接続に係る実装基板の信頼性確保の為に、半導体装置の表面に形成されるバンプ電極の高さ、つまりメッキの厚さが、半導体装置内はもとより半導体基板内で均一であることが必要不可欠である。
【0007】
一般的に、メッキの厚さを半導体基板内で均一にするためには、(1)被メッキ材、つまり半導体基板近傍におけるメッキ金属のイオン濃度を所定の濃度に保つこと、(2)被メッキ材近傍におけるメッキ液の電気力線の密度を均一にすること、が必要である。
【0008】
メッキ金属のイオン濃度を所定の濃度に保つ方法としては、メッキ液に所定の流速を与えることにより、被メッキ材周辺で常にメッキ液を置換する方法(例えば、特許文献1〜3参照)、アノード電極およびカソード電極とは別に攪拌装置を設ける方法(例えば、特許文献1、2参照)、アノード電極、カソード電極および被メッキ材を揺動させる方法(例えば、特許文献3参照)、が知られている。また、被メッキ材近傍におけるメッキ液の電気力線の密度を均一にする方法としては、被メッキ材とアノード電極との間に遮蔽板を設置する方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【0009】
以下に、上記従来の電解メッキ装置について、図11〜図13を参照してより具体的に説明する。
【0010】
図11は、特許文献1に記載の電解メッキ装置の概略構成を示す断面図である。
【0011】
図12は、特許文献3に記載の電解メッキ装置の概略構成を示す断面図である。また、図13は図12に示す電解メッキ装置のA−A’線矢視断面図である。
【0012】
図11に示すように、特許文献1に記載の電解メッキ装置100は、メッキ液104を充填するためのメッキ処理槽105の中に、カソード電極106に接続された被メッキ材101表面と平行に対向するように設置した平板状のアノード電極102を備えている。上記電解メッキ装置100は、被メッキ材101とアノード電極102との間を通電させることで被メッキ材101表面にメッキを行っている。上記電解メッキ装置100には、被メッキ材101近傍におけるメッキ金属のイオン濃度を所定の濃度に保つため、攪拌棒等の攪拌部材130が被メッキ材101の近傍に設けられている。また、上記電解メッキ装置100では、メッキ液104を下方から上方に向かって循環させている。これにより、被メッキ材101の周辺では、常にメッキ液104が置換されるので、被メッキ材101の表面にはメッキ金属が十分に補充されることになる。
【0013】
また、特許文献3に記載の電解メッキ装置200は、図12に示すように、攪拌部材130に代えて、メッキ液205中でメッキ治具204を揺動させるメッキ治具昇降ユニット206を備えている。メッキ治具204には、図13に示すように、アノード電極201、カソード電極202および被メッキ材203が備えられている。
【特許文献1】特開平8−311699号公報(平成8年11月26日公開)
【特許文献2】特開2005−54206号公報(平成17年3月3日公開)
【特許文献3】特開平5−251606号公報(平成5年9月28日公開)
【特許文献4】特開2003−34893号公報(平成15年2月7日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記図11に示す電解メッキ装置100のように、メッキ処理槽105の中に被メッキ材101並びにアノード電極102とは別に攪拌部材130を設置すると、メッキ処理槽105の容量が大きくなってしまい、多量のメッキ液104が必要となる。また、このように攪拌部材130を設置すると、メッキ処理槽105内に設置する部品が多くなるために、メッキ液104がメッキ処理槽105内の部品と接する接液面積が大きくなり、目的部位以外におけるメッキ金属の析出が生じ易くなる。目的部位以外におけるメッキ金属の析出が増加すると、メッキ液104中のメッキ金属の濃度が低下するため、被メッキ材101をメッキするのに必要なメッキ液104の量が増加する。更には、攪拌部材130と被メッキ材101とが近接することで、攪拌部材130近傍の被メッキ材101のみにメッキが厚く形成されてしまうなどの問題が生じる。
【0015】
一方、図12および図13に示すように、メッキ治具204そのものを揺動させた場合、上記問題点は解決される。しかしながら、電解メッキ法では、一般的に、メッキ液205中における電気力線は、被メッキ材203の中心部では電界方向と平行であり、互いの電気力線は平行で、密度もほぼ均一であるが、被メッキ材203の外縁部では、電気力線が集中する傾向がある。このため、特許文献3の構成では、被メッキ材203の外縁部のメッキ厚が厚くなってしまい、上記被メッキ材として、例えば半導体基板を使用した場合に半導体基板表面に均一な膜厚のメッキを形成することができない。
【0016】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材表面、特に半導体基板表面に均一な膜厚のメッキを形成することができる電解メッキ装置および電解メッキ方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る電解メッキ装置は、上記課題を解決するために、メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ装置であって、上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を備えるとともに、上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させる揺動手段を備えていることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、上記電解メッキ装置が上記遮蔽板を備えるとともに上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させることで、上記アノード電極を揺動させているにも拘らず、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽して上記被メッキ材の外縁部への電気力線の集中を防止することができる。また、上記構成によれば、上記アノード電極の揺動によるメッキ液の攪拌が上記アノード電極と被メッキ材との間に設けられた遮蔽板によって阻害されることがないので、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができる。従って、上記構成によれば、被メッキ材近傍の電気力線を均一な状態に維持したまま、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができる。
【0019】
また、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することにより、被メッキ材近傍のメッキ液中のメッキ金属イオン濃度が安定化されるため、メッキの成長レートが低下し難い。従って、上記構成によれば、安定したメッキの成長レートで電解メッキを行うことができる。
【0020】
しかも、上記構成によれば、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒を使用することなく、被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌することができるため、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒近傍の被メッキ材のみにメッキが厚く形成されてしまう等の問題が生じない。
【0021】
このため、上記構成によれば、被メッキ材表面に、均一な膜厚のメッキを形成することができる。
【0022】
更に、上記構成によれば、被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌するために、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒等の攪拌装置を上記アノード電極等とは別に設ける必要がない。このため、上記構成によれば、メッキ処理槽内に、アノード電極等とは別に攪拌装置を設ける場合と比較して、メッキ処理槽の容量を低減させることができ、メッキ液の使用量を低減することができる。
【0023】
また、上記構成によれば、メッキ処理槽内に、アノード電極等とは別に攪拌装置を設ける場合と比較して、メッキ液がメッキ処理槽内の部品と接する接液面積を小さくすることができる。これにより、目的とする領域以外におけるメッキ金属の析出を抑制することができるため、無駄なメッキ金属の析出が抑制され、メッキ液の使用量を低減することができる。
【0024】
従って、上記構成によれば、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる電解メッキ装置を提供することができるという効果を奏する。
【0025】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま上記被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌することができる。このため、上記の構成によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の電界を容易に制御することができるとともに、被メッキ材表面に形成されるメッキの膜厚の制御が容易となるという更なる効果を奏する。
【0027】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられていることが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させて上記被メッキ材と遮蔽板との間に供給することで、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、常に置換することができるとともに、この置換したメッキ液を、上記遮蔽板およびアノード電極の揺動により、効率良く攪拌することができる。このため、上記の構成によれば、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、より効率よく攪拌して均一にすることができるため、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0029】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させることが好ましい。
【0030】
上記構成によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま、被メッキ材近傍のメッキ液を、上記メッキ液の液流方向、すなわち、上記配管のメッキ液供給口に対する延設方向と、上記アノード電極および遮蔽板の揺動方向との互いに直交する2方向から攪拌することができるため、被メッキ材近傍のメッキ液をより均一に攪拌することができる。従って、上記構成によれば、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0031】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記遮蔽板は、上記アノード電極における上記被メッキ材との対向面に、上記アノード電極と一体的に形成されていることが好ましい。
【0032】
上記構成によれば、アノード電極と遮蔽板との間のスペースを無くすことができるため、メッキ処理槽の容量をより低減させることができる。また、メッキ処理槽内における部品の数が減少するため、メッキ液がメッキ処理槽内の部品と接する接液面積をより小さくすることができ、目的とする領域以外におけるメッキ金属の析出をより抑制することができる。従って、上記構成によれば、さらにメッキ液の使用量を低減させた電解メッキ装置を提供することができるという更なる効果を奏する。
【0033】
また、上記構成によれば、上記遮蔽板が、上記アノード電極における上記被メッキ材との対向面に、上記アノード電極と一体的に形成されていることで、上記遮蔽板とアノード電極とを、容易に、一体的に揺動させることができる。このため、上記遮蔽板とアノード電極とが別個に設けられている場合と比較して、上記揺動手段をより簡素な構成とすることができるとともに、上記揺動のための駆動制御が容易であるため、より安価な構成とすることができるという効果を併せて奏する。
【0034】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記アノード電極は、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離が10〜50mmの範囲内となるように設けられていることが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、上記被メッキ材近傍におけるメッキ液を均一に攪拌することができるため、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0036】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記遮蔽板における上記被メッキ材との対向面に突起が設けられていることが好ましい。
【0037】
上記構成によれば、上記遮蔽板における上記被メッキ材との対向面に突起が設けられていることで、上記突起が設けられていない場合と比較して、攪拌効率を向上させることができる。また、上記の構成によれば、上記遮蔽板の揺動により、上記突起近傍のメッキ液を上記被メッキ材近傍に押し出すことも可能となる。このため、上記の構成によれば、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、より効率よく攪拌して均一にすることができるので、被メッキ材表面に、より均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0038】
また、突起が遮蔽板と同じ絶縁体である場合には、突起により被メッキ材とアノード電極との間の電界を制御することができる。具体的には、上記アノード電極から上記被メッキ材へ印加される電界分布の遮蔽板の貫通口を通った後の広がりが、突起によって抑制される。これにより、より均一に被メッキ材に対してメッキを行うことができる。
【0039】
このため、上記の構成によれば、被メッキ材表面に形成されるメッキの膜厚の制御が容易になるという効果を併せて奏する。
【0040】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられており、上記突起は、上記メッキ液供給口から供給されたメッキ液の液流方向と平行に延設された板状の突起であることが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、上記突起が板状に形成されていることで、メッキ液の攪拌効率を向上させることができるとともに、上記突起がメッキ液の流れに沿って延設されていることで、このように板状の突起を形成した場合においても、上記突起によってメッキ液の流れが大きく妨げられることなくメッキ液を攪拌および循環させることができるので、被メッキ材近傍のメッキ液中のメッキ金属イオン濃度をより均一にすることができるという更なる効果を奏する。
【0042】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、上記突起の先端部における上記遮蔽板の揺動方向の幅は、上記突起の底面における上記遮蔽板の揺動方向の幅よりも小さいことが好ましい。より具体的には、例えば、上記突起は、上記遮蔽板の揺動方向における上記突起の断面の形状が、三角形状または台形状の突起であることが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、上記遮蔽板の揺動により、上記突起近傍のメッキ液をより効率よく被メッキ材近傍へ向けて送液することができる。このため、上記の構成によれば、被メッキ材近傍におけるメッキ液をより均一に攪拌することができ、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0044】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、上記突起の高さは、上記被メッキ材と遮蔽板との間の距離の1/2以上であり、上記被メッキ材と遮蔽板との間の距離より1mm短い距離以下の範囲内であることが好ましい。
【0045】
上記構成によれば、突起が受けるストレスを抑制しながら、上記被メッキ材近傍におけるメッキ液をより均一に攪拌することができる。具体的には、上記突起の高さ(遮蔽板から被メッキ材へ向かう方向における幅)が上記被メッキ材と遮蔽板との間の距離の1/2以上であることにより、レイノルズ数が低く抑えられ、メッキ液を安定的に被メッキ材近傍に供給することができる。これにより、被メッキ材近傍におけるメッキ液をより均一に攪拌することができる。一方、上記突起の高さが、被メッキ材と遮蔽板との間の距離より1mm短い距離以下であることにより、上記突起の高さが高くなるに従って大きくなる突起が受けるストレスを低減することができ、突起が変形したり、剥がれてしまうといった問題を抑制することができる。従って、上記構成によれば、突起の耐久性を保持しながら、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0046】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、上記遮蔽板が揺動する距離の幅は、上記突起の底面における上記遮蔽板の揺動方向の幅以上であり、隣接する突起間の幅以下であることが好ましい。
【0047】
上記構成によれば、上記遮蔽板が揺動する距離の幅は上記突起の底面における上記遮蔽板の揺動方向の幅以上であるため、上記遮蔽板およびアノード電極を揺動させることにより、電界方向において被メッキ材が常に突起によってアノード電極から遮蔽される領域が生じることを避けることができる。このため、被メッキ材における電気力線への上記突起による影響を除去することができる。よって、上記の構成によれば、突起の形状に拘らず、被メッキ材表面に、均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0048】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられており、上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させることが好ましい。
【0049】
上記構成によれば、上記突起により、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま、被メッキ材近傍のメッキ液を、上記メッキ液の液流方向、すなわち、上記配管のメッキ液供給口に対する延設方向と、上記アノード電極および遮蔽板の揺動方向との互いに直交する2方向から攪拌することができるため、被メッキ材近傍のメッキ液をより均一に攪拌することができる。従って、上記構成によれば、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0050】
本発明に係る電解メッキ装置では、上記被メッキ材が半導体基板であることが好ましい。
【0051】
上記構成によれば、半導体基板に対して、より少ないメッキ液の使用量で均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0052】
バンプ電極を用いて半導体装置を実装基板に実装する方法では、バンプ電極と実装基板との接続強度の確保や、接続に係る実装基板の信頼性確保の為に、半導体装置の表面に形成されるバンプ電極の高さ、つまりメッキの厚さが、半導体装置内はもとより半導体基板内で均一であることが必要不可欠である。本発明によれば、このようにバンプ電極に必要なメッキ層を、より少ないメッキ液の使用量で、容易に、かつ均一な膜厚で形成することができる。このため、本発明に係る電界メッキ装置は、被メッキ材として半導体基板を用いたメッキの形成に、特に好適に使用することができる。
【0053】
本発明に係る電解メッキ方法は、上記課題を解決するために、メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ方法であって、上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を配置し、上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることを特徴としている。
【0054】
上記方法によれば、上記遮蔽板を配置するとともに上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させることで、上記アノード電極を揺動させているにも拘らず、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽して上記被メッキ材の外縁部への電気力線の集中を防止することができる。また、上記方法によれば、上記アノード電極の揺動によるメッキ液の攪拌が上記アノード電極と被メッキ材との間に設けられた遮蔽板によって阻害されることがないので、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができる。従って、上記方法によれば、被メッキ材近傍の電気力線を均一な状態に維持したまま、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができる。
【0055】
また、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することにより、被メッキ材近傍のメッキ液中のメッキ金属イオン濃度が安定化されるため、メッキの成長レートが低下し難い。従って、上記構成によれば、安定したメッキの成長レートで電解メッキを行うことができる。
【0056】
しかも、上記方法によれば、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒を使用することなく、被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌するため、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒近傍の被メッキ材のみにメッキが厚く形成されてしまう等の問題が生じない。
【0057】
このため、上記方法によれば、被メッキ材表面に、均一な膜厚のメッキを形成することができる。
【0058】
更に、上記方法によれば、被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌するために、前記特許文献1に記載の電解メッキ装置のように攪拌棒等の攪拌装置を上記アノード電極等とは別に設ける必要がない。このため、上記方法によれば、メッキ処理槽内に、アノード電極等とは別に攪拌装置を設ける場合と比較して、使用するメッキ処理槽の容量を低減させることができ、メッキ液の使用量を低減することができる。
【0059】
また、上記方法によれば、メッキ処理槽内に、アノード電極等とは別に攪拌装置を設ける場合と比較して、メッキ液がメッキ処理槽内の部品と接する接液面積を小さくすることができる。これにより、目的とする領域以外におけるメッキ金属の析出を抑制することができるため、無駄なメッキ金属の析出が抑制され、メッキ液の使用量を低減することができる。
【0060】
従って、上記方法によれば、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができるという効果を奏する。
【0061】
本発明に係る電解メッキ方法では、上記アノード電極と遮蔽板とを上記被メッキ材と平行に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることが好ましい。
【0062】
上記方法によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま上記被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌することができる。このため、上記方法によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の電界を容易に制御することができるとともに、被メッキ材表面に形成されるメッキの膜厚の制御が容易となるという更なる効果を奏する。
【0063】
本発明に係る電解メッキ方法では、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させて上記被メッキ材と遮蔽板との間に供給しながら上記電解メッキを行うことが好ましい。
【0064】
上記方法によれば、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させて上記被メッキ材と遮蔽板との間に供給することで、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、常に置換することができるとともに、この置換したメッキ液を、上記遮蔽板およびアノード電極の揺動により、効率良く攪拌することができる。このため、上記の方法によれば、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、より効率よく攪拌して均一にすることができるため、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0065】
本発明に係る電解メッキ方法では、上記アノード電極と遮蔽板とを上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることが好ましい。
【0066】
上記方法によれば、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま、被メッキ材近傍のメッキ液を、上記メッキ液の液流方向、すなわち、上記配管のメッキ液供給口に対する延設方向と、上記アノード電極および遮蔽板の揺動方向との互いに直交する2方向から攪拌することができるため、被メッキ材近傍のメッキ液をより均一に攪拌することができる。従って、上記方法によれば、被メッキ材に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0067】
本発明に係る電解メッキ方法では、上記遮蔽板として、上記被メッキ材との対向面に突起が設けられている遮蔽板を使用することが好ましい。
【0068】
上記方法によれば、上記遮蔽板における上記被メッキ材との対向面に突起が設けられていることで、上記突起が設けられていない場合と比較して、攪拌効率を向上させることができる。また、上記の方法によれば、上記遮蔽板の揺動により、上記突起近傍のメッキ液を上記被メッキ材近傍に押し出すことも可能となる。このため、上記の方法によれば、被メッキ材近傍におけるメッキ液を、より効率よく攪拌して均一にすることができるので、被メッキ材表面に、より均一な膜厚のメッキを形成させることができるという更なる効果を奏する。
【0069】
更に、上記方法によれば、上記遮蔽板における上記被メッキ材との対向面に突起が設けられていることで、上記遮蔽板を介して上記アノード電極から被メッキ材に印加される電界を容易に制御することができる。このため、上記の方法によれば、被メッキ材表面に形成されるメッキの膜厚の制御が容易になるという効果を併せて奏する。
【発明の効果】
【0070】
本発明に係る電解メッキ装置は、以上のように、メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ装置であって、上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を備えるとともに、上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させる揺動手段を備えていることを特徴とする。
【0071】
上記構成によれば、上記電解メッキ装置が上記遮蔽板を備えるとともに上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させることで、上記アノード電極を揺動させているにも拘らず、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽して上記被メッキ材の外縁部への電気力線の集中を防止することができる。従って、被メッキ材近傍の電気力線を均一な状態に維持したまま、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができ、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる電解メッキ装置を提供することができるという効果を奏する。
【0072】
また、本発明に係る電解メッキ方法は、メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ方法であって、上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を配置し、上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることを特徴としている。
【0073】
上記方法によれば、上記遮蔽板を使用するとともに上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させることで、上記アノード電極を揺動させているにも拘らず、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽して上記被メッキ材の外縁部への電気力線の集中を防止することができる。従って、被メッキ材近傍の電気力線を均一な状態に維持したまま、被メッキ材近傍のメッキ液を効率良く攪拌することができ、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
本発明の一実施形態について図1〜図10に基づいて説明すると以下の通りである。尚、以下の説明においては、本発明を適用する電解メッキ装置として、金メッキによりバンプ電極を形成する半導体集積回路の製造に用いられる電解メッキ装置を例示する。また、半導体集積回路の製造工程や製造条件等は、通常の半導体集積回路の製造工程にて用いられているものと同じである。
【0075】
図1は、本実施の形態に係る電解メッキ装置の概略構成を示す断面図であり、図2は、図1に示す電解メッキ装置におけるB−B’線矢視断面図である。また、図3は、図2に示すアノード組品における半導体基板との対向面の概略構成を示す正面図であり、図4は、図3に示すアノード組品の概略構成を示す斜視図である。また、図5(a)・(b)は、図3および図4に示すアノード組品における遮蔽板表面に設けられる突起の形状例を示す斜視図であり、図5(a)は突起5が四角柱である場合、図5(b)は突起5が曲面を有する場合を示す。また、図6は、本実施の形態に係る電解メッキ装置を上方から見たときの概略構成を示す平面図であり、図7は本実施の形態に係る電解メッキ装置における揺動手段の動作を説明するため平面図である。
【0076】
図1に示すように、本実施の形態に係る電解メッキ装置50は、カソード電極15と、アノード電極2および遮蔽板3からなるアノード組品16と、このアノード組品16を揺動させる偏芯カムなどの揺動手段40(図6参照)と、メッキ処理槽9と、オーバーフロー槽10と、温調槽11と、循環ポンプ8と、フィルタ7と、配管12とを備えている。上記カソード電極15は、被メッキ材としての半導体基板1にメッキ処理を施す際に、上記半導体基板1と接続される。上記半導体基板1は、メッキ処理を行う際に、上記アノード組品16と対向するように、内部にメッキ液4が収容されたメッキ処理槽9内に配置される。これにより、上記カソード電極15および上記アノード電極2に電源6から所定の直流電流を印加することで上記半導体基板1にメッキ処理が施される。すなわち、上記メッキ処理槽9は、上記アノード組品16を内部に備え、内部に半導体基板1を設置することができるようになっている。オーバーフロー槽10は、メッキ処理槽9から流出してくるメッキ液4を受けるためにメッキ処理槽9と隣接して設けられている。
【0077】
上記メッキ処理槽9およびオーバーフロー槽10は、上記配管12を介して、温調槽11、循環ポンプ8、およびフィルタ7と接続されている。具体的には、温調槽11は、オーバーフロー槽10の底壁10aに設けられた配管12を介して、オーバーフロー槽10と接続されている。温調槽11は、温調槽11内のメッキ液4の液温を一定の範囲内に調整する。循環ポンプ8は、配管12を介して温調槽11とフィルタ7との間に備えられ、温調槽11から流入するメッキ液4をフィルタ7へ吐出することにより、メッキ液4を循環させる。フィルタ7は、配管12を介して、一方が循環ポンプ8の吐出側に接続され、もう一方がメッキ処理槽9の底壁9aと接続されており、メッキ液4中に混入した異物をメッキ処理槽9にメッキ液4が流入する直前で除去する。つまり、本実施の形態に係る電解メッキ装置50は、温調槽11、循環ポンプ8、フィルタ7、メッキ処理槽9、オーバーフロー槽10の順でメッキ液4を循環する構成となっている。
【0078】
このようにメッキ液4を循環させることにより、本実施の形態に係る電解メッキ装置50は、半導体基板1近傍のメッキ液4の金属イオン濃度を一定濃度に保っている。
【0079】
また、本実施の形態において、上記メッキ処理槽9に接続された配管12、つまり、上記配管12からメッキ処理槽9にメッキ液4を流入させるための供給口(メッキ液供給口)12aは、メッキ処理槽9の底壁9aにおける、半導体基板1とアノード組品16との間に面する位置に設けられている。このように、本実施の形態では、メッキ液4を循環させて上記半導体基板1とアノード組品16との間に供給しながら電解メッキを行うことで、半導体基板1近傍のメッキ液4を、常に置換することができるとともに、この置換したメッキ液4を、上記アノード組品16の揺動により、効率良く攪拌することができる。
【0080】
循環するメッキ液4の流速は、特には限定されず、電解メッキ装置50の構成、被メッキ材の種類、メッキ金属の種類、メッキ液4の流速などの諸条件に応じて選択すればよい。
【0081】
尚、上記電解メッキ装置50には、これらの他に、その他多くの部品等が付随しているが、図面の煩雑さを避けるために特に関係のない構成については図面中の記載を省略している。
【0082】
本実施の形態において、上記半導体基板1としては、例えば、後述する工程により作成される複数個の半導体集積回路が組み込まれた半導体ウエハが使用される。より具体的には、本実施の形態では、直径6インチ(約150mm)のシリコンウエハに集積回路が組み込まれたものを使用している。
【0083】
上記カソード電極15は、導電性物質から構成され、メッキ液4中の陽イオンを上記半導体基板1に引き寄せる(陰イオンを放出する)ものである。カソード電極15の材質としては、導電性物質であれば特には限定されず、例えば、白金、チタン、ニオブ等の従来公知の種々の材料を単独で、もしくは互いに組み合わせて使用することができる。
【0084】
カソード電極15の大きさや形状は、半導体基板1に効率よく通電することができれば特には限定されず、従来公知の大きさや形状のものを使用することができる。
【0085】
アノード電極2は、導電性物質から構成され、メッキ液4中の陰イオンを引き寄せる(陽イオンを放出する)ものである。アノード電極2の材質としては、導電性物質であれば特には限定されず、白金、チタン、ニオブ等の従来公知の種々の材料を単独で、もしくは互いに組み合わせて使用することができる。
【0086】
アノード電極2の大きさや形状は特には限定されないが、半導体基板1に対して効率よくメッキ(電解メッキ)を行う観点から、半導体基板1と対向する面が、半導体基板1における被メッキ面と同じ形状であるものが好ましい。本実施の形態では、上記アノード電極2として、電解メッキ装置への固定の容易さから、底面が四角形の平板状であるメッシュ形状のチタンからなるアノード電極を用いている。
【0087】
アノード電極2と半導体基板1との間の距離は、10mm〜50mmの範囲内であることが好ましい。アノード電極2と半導体基板1との間の距離が上記範囲内であれば、半導体基板1近傍のメッキ液4の攪拌性を低下させることなく、アノード電極2と半導体基板1との間のスペースを低減することができる。これにより、より少ないメッキ液4の使用量で、半導体基板1に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる。尚、本実施の形態では、アノード電極2と半導体基板1との間の距離は40mmに設定している。
【0088】
また、上記半導体基板1とアノード電極2との間には、上記半導体基板1の中央部と対向して設けられた貫通口30を有する絶縁体から成り、上記アノード電極2から上記半導体基板1の表面における周縁部(外縁部)に印加される電界を遮蔽する遮蔽板3(電界遮蔽板)が設けられている。
【0089】
上記貫通口30は、半導体基板1に印加される電界を均一にすることができれば、その形状、位置、数などは特には限定はされないが、半導体基板1の外縁よりも30〜90mm小さい外縁を有する形状を有していることが好ましい。
【0090】
電解メッキ法によるメッキでは被メッキ材の外縁領域に電気力線が集中することにより被メッキ材の中心部よりも外縁(周縁)領域のメッキ厚が厚くなることが知られているため、貫通口30の形状を半導体基板1と同じ大きさの形状とした場合では外縁領域のメッキ厚が中心部よりも厚くなってしまう。このため、貫通口30を半導体基板1の外縁(周縁)よりも30〜90mm小さい外縁(周縁)を有する形状とすることにより、半導体基板1の外縁領域における電気力線の密度を低くすることができ、半導体基板1における全体の電気力線の密度を均一にすることができる。尚、本実施の形態では、遮蔽板3における貫通口30は、半導体基板1の外縁よりも60mm小さい略円形となっている。つまり、本実施の形態では半導体基板1の直径が略150mmの円形であるので、貫通口30は直径が略90mmの円形に設けられている。
【0091】
上記遮蔽板3の材質としては、絶縁体であれば特には限定されず、従来公知の種々の材料を使用することができる。上記遮蔽板3の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、石英等が挙げられ、メッキ金属の析出を抑制するという理由から好ましくは石英である。遮蔽板3の形状は特には限定されないが、メッキ処理槽9の容量を増加させないという観点から、アノード電極2と対向する面が、アノード電極2における遮蔽板3と対向する面と同じ形状であるものが好ましい。
【0092】
また、上記アノード電極2と遮蔽板3とは、メッキ処理槽9の容量をより小さくする上で、できるだけ近接させて設けられていることが好ましい。
【0093】
特に、本実施の形態では、上記アノード電極2と遮蔽板3とは、揺動手段40により一体的に揺動されるため、上記アノード電極2と遮蔽板3とは、互いに一体的に固定されていることがより好ましい。さらには、図1および図2に示すように、上記アノード組品16は、上記アノード電極2における上記半導体基板1との対向面に、上記遮蔽板3が、上記アノード電極2と一体的に形成(積層固定)されていることがより一層好ましい。
【0094】
これにより、アノード電極2と遮蔽板3との間のスペースを小さくし、好適には無くすことができるため、メッキ処理槽9の容量を小さくすることができ、この結果、メッキ液4の使用量を低減させることができる。さらには、メッキ処理槽9内における部品の数が減少するため、メッキ液4がメッキ処理槽9内の部品と接する接液面積をより小さくすることができ、目的とする領域以外におけるメッキ金属の析出を抑制することができる。
【0095】
本実施の形態では、例えば図1および図2に示すように、アノード電極2と遮蔽板3とは一体となって1つの部材(アノード組品16)を形成している。
【0096】
本実施の形態において、上記アノード組品16は、上記揺動手段40によって、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行な方向に揺動する。揺動手段40としては、偏芯カム(カム構造)、油圧ポンプ、駆動用エアー(ベローズ構造)などによる構成が挙げられる。電界メッキ装置50では揺動による攪拌速度が速く、オン/オフの切り替え回数が多いため、動作スピード及び動作の信頼性が要求される。このため、上記揺動手段40としては、偏芯カムによる構成がより好ましい。
【0097】
本実施の形態では、上記揺動手段40として、図6に示すような偏芯カム(カム構造)が用いられる。上記偏芯カムを用いた揺動手段40は、図7に示すように、回転軸42、突起部44を有する回転部材41、アノード組品16と接続された揺動部材43、およびスライダー45からなる。揺動部材43は、上記突起部44の直径と略同じ幅で、回転軸42と突起部44との距離の略2倍の長さを有する楕円形状の開口部を有する。揺動部材43は、回転部材41の上に配置され、揺動部材43の開口部に回転部材41の突起部44が挿入される。揺動部材43の両端の下には、揺動部材43の動作を水平方向に限定するためのスライダー45が配置されている。
【0098】
上記揺動手段40は、図7に示すように、揺動部材43を、回転軸42を中心に回転させることで、アノード組品16と接続された揺動部材43をスライダー45に沿って揺動させる構成となっている。これより、アノード組品16は半導体基板1に対して平行に揺動する。
【0099】
上記アノード組品16の揺動方向は、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向であれば、メッキ液4の液流方向と平行の方向であっても、メッキ液4の液流方向と直交する方向であってもかまわない。上記アノード組品16の揺動方向が、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向でない場合、アノード組品16がより接近する半導体基板1の部分では、メッキ液4の供給が過多となり、メッキが厚く形成されてしまう。
【0100】
また、本実施の形態のようにメッキ液4を循環させる場合には、メッキ液4を均一に、且つ効率よく攪拌するという観点から、上記アノード組品16の揺動方向は、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行であり、且つ、メッキ液4の液流方向と直交する方向であることがより好ましい。以下、本実施の形態では、アノード組品16は、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行であり、且つ、メッキ液4の液流方向と直交する方向に揺動する場合を例に挙げて説明する。
【0101】
尚、本実施の形態における「メッキ液4の液流方向」とは、メッキ処理槽9の供給口12aへの配管12の延設方向を意味している。
【0102】
また、本実施の形態で用いられる上記遮蔽板3は、上記半導体基板1との対向面に、突起5が設けられていることが好ましい。このように上記遮蔽板3に突起5を設けることで、上記突起5が設けられていない場合と比較して、攪拌効率を向上させることができる。また、このように上記遮蔽板3に突起5を設けることで、上記遮蔽板3の揺動により、上記突起5近傍のメッキ液4を上記半導体基板1近傍に押し出すことも可能となる。このため、本実施の形態によれば、上記遮蔽板3に上記突起5が設けられていることで、遮蔽板3の動作により半導体基板1近傍のメッキ液4をより効率良くかつ均一に攪拌することができるため、半導体基板1に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0103】
また、上記したように、上記遮蔽板3における上記半導体基板1との対向面に突起5が設けられていることで、上記遮蔽板3を介して上記アノード電極2から半導体基板1に印加される電界を容易に制御することができる。このため、上記半導体基板1に形成されるメッキの膜厚の制御が容易になる。以下、図8を用いて具体的に説明する。
【0104】
図8は、アノード電極2と半導体基板1との間の電界分布を説明するための図1におけるB−B’線矢視断面図であり、(a)は突起5を有しない構成である場合を示し、(b)は突起5を有する構成の場合を示す。
【0105】
図8(a)に示すように、突起5がない場合では、上記電界における電気力線は、遮蔽板3の貫通口30を通過した後には、一旦拡散してから、半導体基板1近傍で半導体基板1に集まるような分布となる。これに対して、突起5を有する場合では、図8(b)に示すように、上記電界における電気力線は、遮蔽板3の貫通口30を通過した後であっても突起5により拡散が抑制されるため、突起5がない場合と比べて広がりの小さい分布となる。従って、突起5を設けることによって、より均一に電界を半導体基板1に印加することができるため、より均一に半導体基板1にメッキを形成させることができる。
【0106】
更には、突起5を有する場合では、図8(b)に示すように、電気力線の拡散が抑制されているため、半導体基板1の外縁(周縁)領域に電気力線が集中し難い。このため、アノード電極2を揺動させる場合であっても、半導体基板1の外縁(周縁)領域に電気力線が集中し難く、より均一に半導体基板1にメッキを形成させることができる。
【0107】
突起5の形状は、特に限定はされないが、好ましくは、板形状であり、より好ましくは遮蔽板3の一辺と同じ長さを長辺とした長方形を底面とする板形状である。上記突起5の形状として、板形状ではなく、遮蔽板3と接する面が円形である円錐形状、遮蔽板3と接する面が正方形である直方体形状などでもかまわないが、遮蔽板3はメッキ液4の中で揺動するため、突起5と遮蔽板3との接合強度を確保するためには、突起5を、遮蔽板3の一辺と同じ長さを長辺とした長方形を底面とする板形状とし、該遮蔽板3の一辺と突起5の底面における長辺とが平行に、且つ、突起5の両端と遮蔽板3の両端とが揃うように、突起5を遮蔽板3に配置することが好ましい。さらには、遮蔽板3の上下で突起5を確実に固定することが好ましく、突起5と遮蔽板3とを一体成形で加工することがより好ましい。突起5と遮蔽板3とを一体成形で加工する場合、突起5と遮蔽板3とを、樹脂などのブロックの削り出しや、金型を用いた一体成形により作製することができる。
【0108】
尚、本実施の形態において用いられる「板形状」とは、厚さが均一である長方形を底面とする直方体には限定されず、底面における短辺方向に向かって厚さが変化するもの、例えば断面が三角形や台形であるものなども板形状として扱う。
【0109】
突起5が上述したような板形状である場合、図2に示すように、遮蔽板3との接触面の短辺方向における突起5の幅w、つまり、上記突起5の底面における上記遮蔽板3の揺動方向の幅wの方向と平行にアノード組品16を揺動させることで、突起5のメッキ液4と作用する面積を最大化させることができるため、メッキ液4の攪拌効率を最大限に高めることができる。
【0110】
また、遮蔽板3の揺動により更に効率よく半導体基板1にメッキ液4を送液させるため、上記突起5の先端部における上記遮蔽板3の揺動方向の幅は、上記突起5の底面における上記遮蔽板3の揺動方向の幅wよりも小さいことが好ましい。つまり、上記突起5は、例えば、図2に示すように、上記遮蔽板3が揺動する方向における上記突起5の幅が、上記突起5の先端側程小さくなるように形成されていることが好ましい。
【0111】
具体的には、突起5の形状としては、突起5の断面の形状が台形または三角形であるものなどが挙げられる。つまり、突起5の形状としては、例えば、図4に示すように、突起5の遮蔽板3との接触面の短辺方向における断面形状が三角形であり、該三角形の底辺と接する側面を遮蔽板3との接触面とする三角柱、または、図5(a)に示すように、突起5の遮蔽板3との接触面の短辺方向における断面形状が台形であり、該台形の下辺(1組の平行な辺における長い方の辺)と接する側面を遮蔽板3との接触面とする四角柱などが挙げられる。
【0112】
突起5における遮蔽板3との接触面以外の面は、必ずしも平面である必要はなく、曲面などであってもかまわない。曲面を有する突起5の形状としては、例えば図5(b)に示すような突起5における遮蔽板3との接触面以外の面である2つの側面が内側に窪んだ曲面となっているものなどが挙げられる。
【0113】
上記したように、上記突起5の先端部における上記遮蔽板3の揺動方向の幅p(図5(a)参照)が、上記突起5の底面における上記遮蔽板3の揺動方向の幅よりも小さいことにより、メッキ液4をより効率よく半導体基板1近傍へ向けて送液することができる。このため、半導体基板1近傍におけるメッキ液4はより均一に攪拌され、半導体基板1に対してより均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0114】
また、図2に示すように、遮蔽板3が備える突起5の高さhは、メッキ液4の攪拌を有効に行うために、半導体基板1と遮蔽板3との間の距離dの1/2以上とすることが好ましい。突起5の高さhが距離dの1/2未満であっても半導体基板1にメッキを形成させることはできるが、メッキ厚の均一性およびメッキの成長速度の観点から、突起5は半導体基板1に接近していることが好ましい。一方、突起5の高さhが距離dより1mm短い距離(距離d−1mm)を超えると、遮蔽板3が揺動する際に突起5が受けるストレスが大きくなり、突起5の変形、剥離などが生じ易くなるため、突起5の高さhは距離dより1mm短い距離以下であることが好ましい。
【0115】
遮蔽板3における突起5の設置位置は、特には限定されないが、循環するメッキ液4の液流を妨げない位置であり、遮蔽板3の揺動による攪拌を均一に行うことができる位置に配置することが好ましい。具体的には、例えば、循環するメッキ液4の液流を妨げないために、突起5の遮蔽板3と接する面における長辺方向をメッキ液4の液流方向と平行になるように突起5を配置することが好ましい。具体的には、上記遮蔽板3における半導体基板1との対向面に、配管12のメッキ液4の供給口12aの延設方向と平行に延設された板状の突起5が設けられていることが好ましい。また、突起5が複数個設けられている場合では、遮蔽板3の揺動による攪拌を均一に行うため、それぞれの突起5の間隔が一定となるように突起5を配置することがより好ましい。
【0116】
尚、本実施の形態では、突起5は、半導体基板1側に突出するように遮蔽板3に設けられている。また、遮蔽板3に設置される突起5の形状は、図4に示すように、側面が二等辺三角形であり、三角柱形状である板形状のものを用いている。突起5は遮蔽板3に9個設置されており、それぞれの突起5は、突起5における遮蔽板3と接する面の長辺方向が全てメッキ液4の液流方向と平行となるように、遮蔽板3に配置されている。また、隣り合う突起5間の間隔は全て同じ距離になるように、遮蔽板3に配置されている。
【0117】
また、本実施の形態において、上記アノード組品16が揺動する振幅(揺動する距離の幅)は、突起5の底面におけるアノード組品16の揺動方向の幅w(図2および図3参照)以上であることが好ましい。上記アノード組品16の揺動の振幅が、突起5の底面におけるアノード組品16の揺動方向の幅wより短い場合には、電界方向において、遮蔽板3によりアノード電極2から常に遮蔽される領域が半導体基板1表面に生じてしまう。このため、半導体基板1表面における電界が不均一となり、半導体基板1に形成されるメッキの厚さが不均一となるおそれがある。
【0118】
特に、図3および図4に示すように、突起5が、遮蔽板3の一辺と同じ長さを長辺とした長方形を底面とする板形状である場合、上記半導体基板1の一方の端から他方の端まで、ライン状に、上記半導体基板1が突起5によって常にアノード電極2から電界遮蔽される。このため、このように半導体基板1における電気力線への突起5による影響が大きい場合には特に、半導体基板1表面における電界が不均一となり、半導体基板1に形成されるメッキの厚さが不均一となるおそれが大きい。このため、上記アノード組品16が揺動する距離の幅は、突起5の底面におけるアノード組品16の揺動方向の幅w以上の幅に設定されていることが好ましい。
【0119】
このように上記突起5の底面における上記遮蔽板3の揺動方向の幅w以上に上記アノード組品16を揺動させることにより、電界方向において上記半導体基板1が常に突起5によってアノード電極2から遮蔽される領域が生じることを避けることができるので、上記半導体基板1における電気力線への上記突起5による影響を除去することができる。したがって、上記アノード組品16が揺動する振幅を、突起5の底面におけるアノード組品16の揺動方向の幅w以上とすることで、突起5の形状に拘らず、半導体基板1表面に、均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0120】
尚、本実施の形態では、隣接する突起5間の幅(隣接する突起5間の最短距離)xは25mmであり、突起5の底面における揺動方向の幅wは5mmであり、アノード組品16の振幅は20mm(±20mmに揺動)に設定している。よって、アノード組品16の振幅が突起5の底面における揺動方向の幅w(w=5mm)よりも大きいため、半導体基板1が受ける突起5による遮蔽の影響は低減されている。
【0121】
また、上記遮蔽板3が揺動する距離の幅は、隣接する突起5間の幅x以下であることが好ましい。このため、上記遮蔽板3が揺動する距離の幅は、上記突起5の底面における上記遮蔽板3の揺動方向の幅w以上であり、隣接する突起5間の幅x以下であることが好ましい。更には、突起5の底面の幅wと、隣接する突起5間の幅xと、遮蔽板3が揺動する距離の幅とが同じであると、突起5による半導体基板1への遮蔽の頻度が均一となるためより好ましい。
【0122】
尚、上記アノード組品16の揺動速度は、特には限定されず、電解メッキ装置50の構成、被メッキ材の種類、メッキ金属の種類、メッキ液4の流速などの諸条件に応じて選択すればよい。
【0123】
以下に、上述した本実施の形態に係る電解メッキ装置50を用いた半導体集積回路の製造方法、すなわち、半導体基板1上への金(Au)メッキによるバンプ電極形成工程について図9を用いて説明する。
【0124】
図9(a)〜(f)は、シリコンウエハにバンプ電極を形成する工程をシリコンウエハの断面にて示す図である。
【0125】
本実施の形態において被メッキ材として用いられる上記半導体基板1は以下の工程により作成される。但し、以下の説明による工程はあくまで一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0126】
最初に、例えば図9(a)に示す直径6インチ(約150mm)のシリコンウエハ20の表面全面に、SiO2等の絶縁膜(図示せず)を所定の厚さに堆積し、フォトリソグラフ技術および絶縁膜エッチング技術を用いて、該絶縁膜の所定の位置を開口する。
【0127】
次いで、シリコンウエハ20全面に、例えばAl−Si等の金属薄膜を約1μmの厚さに堆積し、フォトリソグラフ技術および金属薄膜エッチング技術を用いて、図9(b)に示すように、出入力用端子であるパッド電極(アルミニウムパッド)21を形成する(パッド電極形成工程)。ここで、パッド電極21の大きさは、略60μm×110μmとした。また、この際にシリコンウエハ20表面に組み込まれたトランジスタ等の素子の相互配線なども同時に形成されるものとする。
【0128】
次いで、図9(c)に示すように、シリコンウエハ20全面に、表面保護膜22として、例えばSiN膜等の絶縁膜を略0.6μmの厚さに堆積し、フォトリソグラフ技術および絶縁膜エッチング技術を用いて、表面保護膜22の所定の位置、つまりパッド電極21の上部の表面保護膜22を開口し、パッド電極21を露出させる(表面保護膜形成工程)。表面保護膜22の開口部27の大きさは、略30μm×80μmとした。
【0129】
次いで、図9(d)に示すように、シリコンウエハ20全面に、金属薄膜(バリヤメタル)23を所定の厚さに堆積する(金属薄膜形成工程)。この金属薄膜23は、バンプ電極となるAuと、パッド電極21の材料であるAl、またはAl合金との反応を阻止すると共に、電解メッキを行う際の所謂カレントフィルムの役割を果たすもので、下地金属とも称される。なお、この下地金属は、単層の金属薄膜でもかまわないが、上記のようなAuとAlまたはAl合金との反応阻止性や、あるいはその他の観点から、通常は複数の金属の積層膜が用いられている。本実施の形態では、金属薄膜23として下層にTiWを約0.2μm、その上層にAuを0.2μmを堆積させた。
【0130】
次いで、図9(e)に示すように、シリコンウエハ20全面にフォトレジスト24を塗布し、フォトリソグラフ技術を用いて、シリコンウエハ20上の所定の位置、すなわち表面保護膜22の開口部27上方のフォトレジスト24を除去する(フォトレジスト形成工程)。
【0131】
以上の工程により、次段のメッキ工程において被メッキ材となる半導体基板1が形成される。なお、シリコンウエハ20上に残ったフォトレジスト24はメッキ工程でのマスクの役目を果たし、メッキ金属はフォトレジスト24の開口部27に析出する。
【0132】
次に、上記半導体基板1に対して、前記した電解メッキ装置50を用いて、Auメッキによってバンプ電極を形成するメッキ工程について説明する。
【0133】
まず、上記半導体基板1のシリコンウエハ20上に堆積させた金属薄膜23の所定位置に、図1に示す電解メッキ装置50のカソード電極15を接続する。そして、図1に示すように、上記半導体基板1とアノード電極2とを略平行に対向させ、メッキ処理槽9に充填されたメッキ液4中に浸漬させる。この際、メッキ液4は循環ポンプ8によって循環している。
【0134】
これに、半導体基板1とアノード電極2との間に電源6によって所定の電圧を印加することで、図9(f)に示すようにメッキ金属を半導体基板1の所定の位置、すなわち、フォトレジスト24の開口部27に析出させる(メッキ工程)。
【0135】
半導体基板1とアノード電極2との間に印加する電圧は、半導体基板1の大きさやメッキ生成速度などから適宜設定すればよい。尚、本実施の形態では、上記メッキ工程にて析出するバンプ電極25の高さ(すなわち、メッキ厚さ)は略18μmとし、バンプ電極25の大きさは略50μm×100μmとした。
【0136】
上記メッキ工程によるバンプ電極25の形成が終了した半導体基板1は、図9(g)に示すように、フォトレジスト24が除去され、さらに、該バンプ電極25自体をマスクとして不要な部分の金属薄膜23が除去される。その後に所定の工程を経て半導体集積回路が完成する。
【0137】
以上の工程により、半導体基板1に対して金(Au)メッキによるバンプ電極25の形成が行なわれる。
【0138】
上述したように、本発明に係る電解メッキ装置50は、メッキ処理槽9内のメッキ液4に、カソード電極15に接続された半導体基板1とアノード電極2とを対向させて浸漬し、上記アノード電極2とカソード電極15とを通電させることにより上記半導体基板1に電解メッキを行う電解メッキ装置であって、上記半導体基板1とアノード電極2との間に、上記半導体基板1の中央部と対向して設けられた貫通口30を有する絶縁体から成り、上記アノード電極2から上記半導体基板1の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板3を備えるとともに、上記アノード電極2と遮蔽板3とを、一体的に揺動させる揺動手段を備えている。このため、少ないメッキ液4の量で、半導体基板1に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる電解メッキ装置50を提供することができる。
【0139】
また、本発明に係る電解メッキ方法は、メッキ処理槽9内のメッキ液4に、カソード電極15に接続された半導体基板1とアノード電極2とを対向させて浸漬し、上記アノード電極2とカソード電極15とを通電させることにより上記半導体基板1に電解メッキを行う電解メッキ方法であって、上記半導体基板1とアノード電極2との間に、上記半導体基板1の中央部と対向して設けられた貫通口30を有する絶縁体から成り、上記アノード電極2から上記半導体基板1の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板3を配置し、上記アノード電極2と遮蔽板3とを一体的に揺動させながら上記アノード電極2とカソード電極15とを通電させる方法である。これにより、少ないメッキ液4の量で、半導体基板1に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる。
【0140】
尚、以上の説明においては、本発明の電解メッキ方法および電解メッキ装置を、金メッキによりバンプ電極を形成する半導体集積回路の製造に適用する場合を例示しているが、被メッキ材におけるメッキ厚の均一化を図ることは、被メッキ材の種類に関係なく、電解メッキおいて常に要求されることである。したがって、本発明の電解メッキ方法および電解メッキ装置は、半導体集積回路の製造への適用に限定されるものではなく、様々な材料に対する電解メッキ処理においても適用可能である。つまり、本実施の形態における被メッキ材はニッケル(Ni)や銅(Cu)などであってもよい。被メッキ材がニッケルや銅などであれば、本実施形態と略同様の効果が得られる。
【0141】
また、半導体集積回路の製造以外のメッキ処理へ本発明を適用する場合、被メッキ材の形状は半導体装置のウエハのように円形形状であるとは限らず、したがって遮蔽板3の貫通口30の形状は円形以外の形状とする必要がある。例えば、図10に示すように、被メッキ材1’の形状が矩形形状である場合、遮蔽板の貫通口30’の形状を、被メッキ材1’よりも所定の長さDだけ小さくなっている被メッキ材1’の相似形状とすればよい。つまり、遮蔽板の貫通口30’の形状を、被メッキ材1’の形状と対応する辺との間の距離の全てがDとなるようにすればよい。この場合、被メッキ材1’と遮蔽板の貫通口30’との寸法差、すなわち(L1−l1)および(L2−l2)が30〜90mmである時、被メッキ材1’に形成されるメッキの厚さが最も均一となる。
【0142】
また、本発明における電解メッキ方法および電解メッキ装置において、メッキ金属の種類等は特に限定されるものではなく、金(Au)以外の金属を用いることも可能である。本実施の形態のように、金のような高価な金属をメッキさせる場合では、メッキにかかるコストを大幅に低減させることができるため、特に効果が大きい。
【0143】
尚、上述の説明では、メッキ処理槽9中のメッキ液4を循環させるため、循環ポンプ8が電解メッキ装置50に備わっている場合について説明したが、これに限るものではない。循環ポンプ8を備えないで、アノード組品16の揺動のみでメッキ液4を攪拌する構成であってもよい。このような場合であっても、本実施形態と略同様の効果が得られる。
【0144】
ただし、本実施形態のように、循環ポンプ8を備えている場合は、被メッキ液近傍のメッキ液をより効率よく攪拌することができるため、特に効果が大きい。
【0145】
尚、本実施の形態では、配管12からメッキ処理槽9にメッキ液4を流入させるための供給口(メッキ液供給口)12aを、メッキ処理槽9底部に設けた構成について説明したが、上記供給口12aの形成位置は、これにのみ限定されるものではない。例えば、上記供給口12aは、メッキ処理槽9の側壁に設けられていてもよく、メッキ処理槽9の上方からメッキ液4を供給し、メッキ処理槽9の下部、例えば底部(底壁9a)から、配管12を介して、一旦、別のフロー槽を介して、もしくは、直接、温調槽11にメッキ液4が排出される構成を有していてもかまわない。但し、半導体基板1の近傍のメッキ液4を均一にする観点から、上記供給口12aは、メッキ液4の液流方向において半導体基板1よりも下流側、つまり本実施の形態では半導体基板1よりも下方に設けることがより好ましい。
【0146】
また、何れの場合においても、上記供給口12aは、半導体基板1の近傍のメッキ液4をより均一にする観点から、半導体基板1とアノード組品16との間(半導体基板1とアノード組品16との間に面する位置)に設けられることが好ましい。これにより、メッキ処理槽9に流入したメッキ液4により、半導体基板1近傍のメッキ液4が効率よく置換され、さらには、アノード組品16によって半導体基板1近傍のメッキ液4が効率よく攪拌される。また、上記メッキ処理槽9内におけるメッキ液4全体を均一に置換するためには、上記供給口12aは、メッキ処理槽9の底壁9aの中心付近に設けられていることがより好ましい。
【0147】
また、本実施の形態では、上記オーバーフロー槽10からメッキ液4を排出し、温調槽11にメッキ液4を送液するための排出口12bを、上記オーバーフロー槽10の底壁10aに設けた構成について説明したが、上記排出口12bの形成位置もまた、上記オーバーフロー槽10の底壁10aにのみ限定されるものではなく、例えば、上記オーバーフロー槽10側壁であってもよく、上記循環を妨げない範囲内で、種々の変更が可能である。
【0148】
また、本実施の形態では、上記遮蔽板3が、上記アノード電極2に、上記アノード電極2における上記半導体基板1との対向面に隣接して積層されている構成について例示したが、本発明は、これに限定されるものではなく、上記アノード電極2と遮蔽板3とは、互いに一体的に揺動可能であればよい。具体的には、上記アノード電極2と遮蔽板3とは、互いに離間して設けられており、1つもしくは独立した2つの揺動手段によって、互いに一体的に揺動される構成であってもよく、上記アノード電極2と遮蔽板3とは結合手段により、互いに離間した状態で結合されている構成を有していてもよく、上記アノード電極2と遮蔽板3とが、他の層(他の機能層)を介して互いに積層されている構成を有していてもかまわない。
【0149】
さらに、本実施の形態では、上記アノード組品16が、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向に揺動する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、上記アノード組品16が、上記半導体基板1との対面方向に揺動するものであってもかまわない。例えば、前記したように、上記アノード電極2と半導体基板1との間の距離が、好ましくは10mm〜50mmとなる範囲内で上記アノード組品16が、上記半導体基板1との対面方向に移動(揺動)するものであってもかまわない。但し、上記アノード組品16を、上記半導体基板1と平行に揺動させることで、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離を一定に保ったまま上記被メッキ材近傍のメッキ液を攪拌することができ、この結果、上記アノード電極と被メッキ材との間の電界を容易に制御することができるとともに、被メッキ材表面に形成されるメッキの膜厚の制御が容易となることから、上記アノード組品16は、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向に揺動させることが、より好ましい。
【0150】
また、本実施の形態では、上記アノード組品16が、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向に揺動する場合に、上記アノード組品16を、メッキ液4の液流方向と平行の方向(図3中、上下方向)、もしくは、メッキ液4の液流方向と直交する方向(図3中、左右上下方向)の何れかの方向に揺動する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記した両方向に揺動するものであってもよい。すなわち、上記アノード組品16は、上記したように上下方向もしくは左右方向への直線的な往復運動ではなく、半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行な面内で上下左右に揺動(円運動)するものであってもかまわない。また、勿論、上記遮蔽板3が上記半導体基板1と対面した状態で、好ましくは上記アノード電極2と半導体基板1との間の距離が10mm〜50mmとなる範囲内で、上記アノード組品16が、上記半導体基板1との対面方向並びに半導体基板1におけるアノード電極2と対向する面と平行の方向に揺動するものであってもかまわない。
【0151】
また、本実施の形態では、上記揺動手段として、偏芯カム(カム構造)を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記揺動手段としては、上記アノード組品16、つまり、上記アノード電極2および遮蔽板3を、一体的に、少なくとも往復移動させることができさえすればよく、例えば、上記偏芯カムに代えて、油圧ポンプなどの駆動手段を使用することもできる。
【0152】
また、本発明に係る電解メッキ装置は、メッキ液を下方から上方に循環させながら温度管理とフィルトレーション(異物除去)とを行う電解メッキ装置であり、メッキ液中にカソード組品(ウエハ)を浸漬すると共に、カソード組品から所定距離離間してカソード組品と平行にカソード組品よりわずかに大きな面状のアノード電極を浸漬して設置し、さらにカソード組品とアノード電極との間に、絶縁体からなる遮蔽板をアノード電極と平行に浸漬して設置し、上記アノード電極と遮蔽板との組品(アノード組品)を電解メッキ液中でカソード組品と平行方向に移動しながらカソード組品とアノード電極との間に通電することによってウエハ表面にメッキを行なう構成のものであってもよい。また、上記電解メッキ装置において、上記カソード組品とアノード組品との距離が10〜50mmと近接し、アノード組品が揺動する構成であることが好ましい。また、上記電解メッキ装置において、上記アノード組品はカソード組品よりわずかに小さい貫通口を有し、絶縁体からなる遮蔽板には攪拌と電界制御とを目的とした突起が設けられていることが好ましい。また、上記電解メッキ装置において、上記突起は、板状であり、メッキ液の流れ方向と平行に設けられていることが好ましい。また、上記突起は、カソード組品にメッキ液を送ることを目的として、カソード組品側が細く、アノード電極側が太い、台形もしくは三角形の形状に設けられていることが好ましい。また、上記電解メッキ装置において、上記突起は、レイノルズ数を低く抑え、メッキ液を安定供給するために、突起における突起の高さはアノード組品とカソード組品との距離の1/2以上の高さを有することが好ましい。また、上記電解メッキ装置において、上記アノード組品の移動距離は上記台形形状の突起の底辺の長さよりも大きいことが好ましい。更には、本発明の電解メッキ方法は、上記電解メッキ装置を用いる方法であってもよい。
【0153】
尚、上述の実施形態で示した電解メッキ装置50における各々の具体的数値は一例であり、本発明はその値に限定されない。
【0154】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の電解メッキ装置は、アノード電極から被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を備えるとともに、アノード電極と遮蔽板とを、一体的に揺動させる揺動手段を備えている。このため、より少ないメッキ液の使用量で、被メッキ材に対して均一な膜厚のメッキを形成させることができる電解メッキ装置を提供することができる。従って、本発明の電解メッキ装置は、半導体集積回路の製造におけるバンプ電極形成などの電解メッキが行われる工業製品の製造などに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の実施形態に係る電解メッキ装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す電解メッキ装置におけるB−B’線矢視断面図である。
【図3】図2に示すアノード組品における半導体基板との対向面の概略構成を示す正面図である。
【図4】図3に示すアノード組品の概略構成を示す斜視図である。
【図5】図3および図4に示すアノード組品における遮蔽板表面に設けられる突起の形状例を示す斜視図である。
【図6】上記電解メッキ装置を上方から見たときの概略構成を示す平面図である。
【図7】上記電解メッキ装置における揺動手段の動作を説明するための平面図である。
【図8】アノード電極2と半導体基板1との間の電界分布を説明するための図1におけるB−B’線矢視断面図であり、(a)は突起5を有しない構成である場合を示し、(b)は突起5を有する構成の場合を示す。
【図9】シリコンウエハにバンプ電極を形成する工程をシリコンウエハの断面にて示す図である。
【図10】被メッキ材の形状が短形形状である場合における被メッキ材と遮蔽板の貫通口との関係を説明するための平面図である。
【図11】従来の電解メッキ装置の概略構成を示す断面図である。
【図12】従来の他の電解メッキ装置の概略構成を示す断面図である。
【図13】図12に示す従来の他の電解メッキ装置におけるA−A’線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0157】
1 半導体基板(被メッキ材)
2 アノード電極
3 遮蔽板
4 メッキ液
5 突起
9 メッキ処理槽
12 配管
12a 供給口(メッキ液供給口)
15 カソード電極
16 アノード組品
30 貫通口
40 揺動手段
50 電解メッキ装置
d 遮蔽板と被メッキ材と間の距離
w 遮蔽板が揺動する方向における突起の幅
h 突起の高さ
x 隣接する突起間の幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ装置であって、
上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を備えるとともに、
上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させる揺動手段を備えていることを特徴とする電解メッキ装置。
【請求項2】
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項3】
上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項4】
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させることを特徴とする請求項3に記載の電解メッキ装置。
【請求項5】
上記遮蔽板は、上記アノード電極における上記被メッキ材との対向面に、上記アノード電極と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項6】
上記アノード電極は、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離が10〜50mmの範囲内となるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項7】
上記遮蔽板における上記被メッキ材との対向面に突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項8】
上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられており、
上記突起は、上記メッキ液供給口から供給されたメッキ液の液流方向と平行に延設された板状の突起であることを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項9】
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、
上記突起の先端部における上記遮蔽板の揺動方向の幅は、上記突起の底面における上記遮蔽板の揺動方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項10】
上記遮蔽板の揺動方向における上記突起の断面の形状が、三角形状または台形状であることを特徴とする請求項9に記載の電解メッキ装置。
【請求項11】
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、
上記突起の高さは、上記被メッキ材と遮蔽板との間の距離の1/2以上であり、上記被メッキ材と遮蔽板との間の距離より1mm短い距離以下の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項12】
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、上記遮蔽板が揺動する距離の幅は、上記突起の底面における上記遮蔽板の揺動方向の幅以上であり、隣接する突起間の幅以下であることを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項13】
上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられており、
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させることを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項14】
上記被メッキ材が半導体基板であることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項15】
メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ方法であって、
上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を配置し、上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることを特徴とする電解メッキ方法。
【請求項16】
上記アノード電極と遮蔽板とを上記被メッキ材と平行に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることを特徴とする請求項15に記載の電解メッキ方法。
【請求項17】
上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させて上記被メッキ材と遮蔽板との間に供給しながら上記電解メッキを行うことを特徴とする請求項15に記載の電解メッキ方法。
【請求項18】
上記アノード電極と遮蔽板とを上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることを特徴とする請求項17に記載の電解メッキ方法。
【請求項19】
上記遮蔽板として、上記被メッキ材との対向面に突起が設けられている遮蔽板を使用することを特徴とする請求項15に記載の電解メッキ方法。
【請求項1】
メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ装置であって、
上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を備えるとともに、
上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させる揺動手段を備えていることを特徴とする電解メッキ装置。
【請求項2】
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項3】
上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項4】
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させることを特徴とする請求項3に記載の電解メッキ装置。
【請求項5】
上記遮蔽板は、上記アノード電極における上記被メッキ材との対向面に、上記アノード電極と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項6】
上記アノード電極は、上記アノード電極と被メッキ材との間の距離が10〜50mmの範囲内となるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項7】
上記遮蔽板における上記被メッキ材との対向面に突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項8】
上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられており、
上記突起は、上記メッキ液供給口から供給されたメッキ液の液流方向と平行に延設された板状の突起であることを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項9】
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、
上記突起の先端部における上記遮蔽板の揺動方向の幅は、上記突起の底面における上記遮蔽板の揺動方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項10】
上記遮蔽板の揺動方向における上記突起の断面の形状が、三角形状または台形状であることを特徴とする請求項9に記載の電解メッキ装置。
【請求項11】
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、
上記突起の高さは、上記被メッキ材と遮蔽板との間の距離の1/2以上であり、上記被メッキ材と遮蔽板との間の距離より1mm短い距離以下の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項12】
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行に揺動させるとともに、上記遮蔽板が揺動する距離の幅は、上記突起の底面における上記遮蔽板の揺動方向の幅以上であり、隣接する突起間の幅以下であることを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項13】
上記メッキ処理槽に、上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させるための配管が設けられているとともに、上記配管から上記メッキ処理槽内にメッキ液を供給するメッキ液供給口が、上記被メッキ材と遮蔽板との間に設けられており、
上記揺動手段は、上記アノード電極と遮蔽板とを、上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させることを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項14】
上記被メッキ材が半導体基板であることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項15】
メッキ処理槽内のメッキ液に、カソード電極に接続された被メッキ材とアノード電極とを対向させて浸漬し、上記アノード電極とカソード電極とを通電させることにより上記被メッキ材に電解メッキを行う電解メッキ方法であって、
上記被メッキ材とアノード電極との間に、上記被メッキ材の中央部と対向して設けられた貫通口を有する絶縁体から成り、上記アノード電極から上記被メッキ材の外縁部に印加される電界を遮蔽する遮蔽板を配置し、上記アノード電極と遮蔽板とを一体的に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることを特徴とする電解メッキ方法。
【請求項16】
上記アノード電極と遮蔽板とを上記被メッキ材と平行に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることを特徴とする請求項15に記載の電解メッキ方法。
【請求項17】
上記メッキ処理槽内のメッキ液を循環させて上記被メッキ材と遮蔽板との間に供給しながら上記電解メッキを行うことを特徴とする請求項15に記載の電解メッキ方法。
【請求項18】
上記アノード電極と遮蔽板とを上記被メッキ材と平行かつ上記メッキ液の液流方向と直交する方向に揺動させながら上記アノード電極とカソード電極とを通電させることを特徴とする請求項17に記載の電解メッキ方法。
【請求項19】
上記遮蔽板として、上記被メッキ材との対向面に突起が設けられている遮蔽板を使用することを特徴とする請求項15に記載の電解メッキ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−177307(P2007−177307A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378962(P2005−378962)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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